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幼児における全体的−分析的カテゴリー化様式と認 知型との関係

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

幼児における全体的−分析的カテゴリー化様式と認 知型との関係

著者 桜井 茂男, 桜井 登世子

雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学

巻 42

号 1

ページ 203‑210

発行年 1993‑11‑25

その他のタイトル The Relation between Analytic‑holistic

Categorization Modes and Cognitive Style in Young Children

URL http://hdl.handle.net/10105/1738

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幼児における全体的一分析的 カテゴリー化様式と認知型との関係

桜 井 茂 男 ・桜 井 登世子

(奈良教育大学心理学教室) (桜井人間科学研究所) (平成5年4月23日受理)

カテゴリー化とは、対象間に等価性を兄いだし、その等価性に基づいて対象のまとまりを形成 していくことである。等価性に関しては、 Brunerら(1966)以来、多くの研究が行われてきた。

これらの研究をカテゴリー化の観点からみると、知覚的属性による等価性と名義的属性による等 価性のいずれによってカテゴリー化が行われているのかが争点となっている。研究の諸結果をま

とめてみると、知覚様式によるカテゴリー化から名義様式によるカテゴリー化へという発達的変 化を示している。このような知覚的一名義的という観点は、すでに定着していると思えるが、近 年になって、異なる視点から学習、知覚、認知の発達が再検討されるようになってきた。それは Kemler(1983)のいう全体的(holistic)一分析的(analytic)、 Shepp(1983)のいう非分折的‑分析的

という視点である。

知覚の発達的研究においては、 Gibson(1969)等の、未分化から分化へ発達するという分化説 が有力であった。この説では、未分化というのは構造化されていないとか混沌としているという 意味であった。

これに対して、 Shepp & Swartz(1976)やSmith & Kemler(1977)は、未分化というのは構造 化ないし体制化されていないのではなく、刺激間の全体的な類似性によって体制化された全体的

な知覚であることを示唆した。その後の多くの研究を展望して、 Kemler(1983)は知覚と認知の 発達が全体的様式(holistic mode)から分析的様式(analitic mode)へ進んでいくと主張した。こ こで全体的様式というのは、刺激間の全体的類似性によって刺激が処理され体制化されることで あり、分析的様式というのは、刺激問に共通する次元(属性)によって処理され体制化されるこ とである。

Kemlerたちが全体的様式、分析的様式と呼んでいるものの例として、 Smith & Kemler (1977)の研究を紹介する。彼らは3つの刺激(A, B, C)を呈示して、同じ仲間の・ものを2つ選択 させる。刺激A(l, 1)と刺激B(l, 4)はⅩ次元に関して同じ価(1)をもっているがY次元に関し ては離れた価(1と4)をもっている。刺激C(2, 3)は刺激A、刺激BのいずれともⅩ次元、 Y 次元に関し同じ価をもたないが、刺激Bとは両次元とも1つしか離れていない。そこで、各刺 激問のの距離を計算すると、刺激Aと刺激Bの間は3.0、刺激Bと刺激Cの間は1.4、刺激A

と刺激Cの間は2.2となり、刺激Bと刺激Cの距離が最も近く、 3つの刺激対の中で全体的類 似性が最も高いことになる。

したがって、もし子供が刺激Bと刺激Cを仲間として認識(分類)したならば、全体的類似性 すなわち全体的様式によって刺激を処理し、分類したと判定される。もし子供が刺激Aと刺激 Bを仲間として認識(分類)したならば、 Ⅹ次元の価(1)によって、すなわち分析的様式で刺激を

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201

桜 井 茂 男・桜 井 登世子 処理し、分類したと判定される。

Smith & Kemler(1977)の結果によると、次元に基づいて分類した者は幼稚園児が34 ‑ 40%、

2年生が50‑57%、 5年生が66‑68%であって、年令とともに分析的様式を用いる者が増加 する。

Smith(1979)は、色と大きさの2次元が8価で変化する二等変三角形を刺激として、カテゴ リー般化課題(category‑generalyzation‑task)を考案し、カテゴリー化における様式の発達的 変化を検討したo この課題ではグループAに属する刺激とグループBに属する刺激をブロック 呈示し、それぞれが仲間であることを教える。そのあとで、別に用意した刺激を1枚ずつ呈示し て、それがグループAに属するか、グループBに属するかを判断させる。

条件SIM+DIM(頬似+次元)ではグループAの3刺激はY次元が価6、グループBの3刺 激もY次元が価3でそれぞれ等価である。したがって、 Y次元によって2つのグループにカテ

ゴリー化できる。またⅩ次元については、 2つのグループは離れているが、各グループ内は接 近している。 したがって、 Ⅹ次元における類似性によっても2つのグループにカテゴリー化で きる。この条件において、次元に基づいてカテゴリー化した者の割合は幼稚園児が33%、 2年 生が56%、 5年生が89%であり、幼児は類似性に基づいてカテゴリー化する者が多く、 5年生 は次元に基づいてカテゴリー化する者が多くみられた。

このことから、 Smith(1979)はカテゴリー化様式が全体的様式から分析的様式へと発達的に変 化すると結論している。

カテゴリー般化課題は、我々が日常経験する事態によく似ている。特に、まだ野菜や果物と いった概念が完全には習得されていない幼児は、買い物の場面でグループごとに陳列されている 事物に接したり、食べ物や乗物などの絵本を見たりすることによってグループの等価性を学習し、

新事例がどのグループに属するのか判断すると思われる。

以上のように、幼児は全体的様式を用いやすいという主張が優勢であると思われるが、現在の ところ明らかにはされていない。また、全体的一分析的様式が幼児の日常的認知とどのような関 係にあるのかについても、ほとんど述べられていない。 Smith & Kemler Nelson(1988)は、衝 動型一熟慮型との関係を検討し、衝動的な子供は分類課題で熟慮的な子供よりも全体的処理を 行ったが、マッチング課題では熟慮的な子供よりもェラーが多く、衝動型一熟慮型とカテゴリー 化様式との関係は明白にされなかった。本研究ではカテゴリ一般化課題を用いて衝動型‑熟慮型 と全体的一分析的様式との関係について検討する。

方   法

実験計画 認知型(衝動、熟慮)×刺激(顔、図形)の要因計画が用いられた。いずれも被験者間 要因であった。

被験者 幼稚園年長児44名であり、平均年令は6:2 (5:816:7)であった。杉原(1977)の CSTのうちのMFFテストを実施し、衝動性得点を算出し、衝動型一熟慮型に分類した。衝動型

の平均衝動得点は69.0(SD‑ 2.32)、熟慮型の平均衝動療点は49.9(SD‑ 5.55)であった。

刺  激 耳の大きさ(大・小)、前髪の分け目(左・右)、両目の間隔(広・狭)、鼻の形(三

角・四角)、口の大きさ(大・小)の5次元が2価で変化する図式的な顔と、大きさ(大・小)、位

置(たて・ななめ)、形(丸・三角)、色(白・黒)、数(2つ・3つ)の5次元が2価で変化する図形。

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カテゴリ‑1

O'IH H

,

.o

 1

i

.

i

i

i

i

 O

i

i

I

H

 i

I

 O

I

t

.

l

l

 

1

例事本棟

カテゴリー0

I   O   O   O O

H   O   O 0   n V 1 0 0 n U   0   1 o   o   o

<

=

>

プロトタイプ事例

テスト事例 0 1 1 1 1

1 0  0  0  0

図1 本研究で用いたカテゴリー講造

課  題 カテゴリ‑1の典型価を1、カテゴリー0の典型価を0としたとき、図1は本研究 で用いた課題のカテゴリー構造を示している。

(a)標本事例 カテゴリ‑1では価1を4つもつ4事例、カテゴリー0では価0を4つもつ 4事例で構成されている。図が示すように、 1つの基準次元(たとえばa次元)においてカテゴ リ‑ 1では全ての事例が価1、カテゴリー0では全ての事例が価0であるので、この基準次元に よってカテゴリーlとカテゴリー0に分類できる。また、カテゴリ‑1は価lを16、カテゴ

リー0は価0を16もっているので、この典型価による類似性によってもカテゴリ‑1とカテゴ リー0に分類できる。

(b)テスト事例 カテゴリー化様式を査定するために、 2つのテスト事例が用いられた。

01111をカテゴリ‑1に、 10000をカテゴリー0に分類したときは全体的類似性によってカテゴ リー化し、全体的様式を用いたと判定する。 01111をカテゴリー0に、 10000をカテゴリ‑1に

tf*  *B

図2 カテゴリ一般化課題(顔)

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桜 井 茂 男・桜 井 登世子

○  ▲

○  ▲

△   △

△   △

▲ ▲ ▲ °

° 0

図3 カテゴリ一般化課題(図形)

分類したときは基準次元によってカテゴリー化し、分析的様式を用いたと判定する。 01111と 10000を同一カテゴリーに分類した場合は、分析的様式、全体的様式のいずれでもないと判定し、

不定とする。

手続き 衝動型一熟慮型を測定するために杉原(1977)のCSTのうちのMFFテストを実施し た後、カテゴリ一般化課題を個別に行った。図2、図3に示すように、カテゴリ‑1とカテゴ リ‑Oの4つの標本事例を各々枠で囲み左右に並べ、下の中央にテスト事例を呈示した.枠で囲 まれた4つの顔(図形)は仲間であり、下の顔(図形)はどっちの仲間と思うかを指でさし示すよう に教示した。課題は5(基準次元)×2(テスト事例)の合計10枚を冊子にまとめ、被験者ペースで 進められた。

結   果

表1はカテゴリー化様式を認知型と刺激について表したものである。各々の群について期待値 に関しx2検定を行ったところ、図形刺激は衝動型α (2)‑6.72, p<.05)、熟慮型玩:(2)‑

13.83, ♪<.001)とも期待値との有意な差が認められた。顔刺激については、衝動型は期待値と

の有意な差が見られたが玩;(2)‑ ll.28, pく.01)、熟慮型は有意な傾向しか見られなかったα2

(2)‑4.94, p<.10)。刺激をこみにして2(認知型)×3(カテゴリ‑化様式)のx2検定を行った

ところ、 x2(2)‑8.39, p<.01となり、衝動型と熟慮型では用いるカテゴリー化様式に有意な差

が見られた。そこで、各様式ごとにx2検定を行った結果、分析的様式については有意ではな

かったが、全体的様式は*2(l)‑3.09, p<.10となり、熟慮型の方が衝動型よりも全体的様式

を用い易い傾向が見られた。不定はx2(l)‑8.38, p<.01で衝動型の方が多かった.次に、刺

激別に衝動型一熟慮型とカテゴリー化様式との関係をみると、図形刺激については、衝動型‑熟慮

型ともに同様の反応を示しており有意差は認められない。顔刺激についてはx2(2)‑ 7.43, p<

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表1 衝動型一熟考型とカテゴリー化用式(%) 刺激 衝動/熟慮 分析的様式 全体的様式 不定

図形  衝動    21.8    49.1  29.1 熟慮    25.5    56.4  18.2 顔   衝動   16.4         52.7 熟慮    25.5    47.3  27.3

.01となり両者間に有意差がみられたので、様式別にx2検定を行ったところ、全体的様式は熟 慮型の方が用い易い傾向がありは(1)‑ 3.09, pく.10)、不定は衝動型の方が有意に多かった α!(1)‑ 7.42,p<.01)c

次に、能力をこみにして2(刺激)×3(カテゴリー化様式)のx2検定を行ったところ、 x2(2)‑

7.04, p<.05となり、図形刺激と顔刺激では用いられるカテゴリー化様式が有意に異なること が示された。そこで、各様式ごとにx2検定を行った結果、分析的様式については有意差がみら れなかったが、全体的様式はx2(l)‑4.12, pく.05となり、図形刺激において有意に用いられ 易かった。不定は^2(1)‑ 6.79, />く.05で顔刺激の方が有意に多かった。

さらに、認知型および刺激の両方が影響していると思われる全体的様式と不定に関して角変換 法による2 (認知能力)×2(刺激)の分散分析を行った。全体的様式については、刺激の主効果が 有意でありは!(1)‑4.23, p<.05,仇J2‑ 14.93)、認知型の主効果は有意な傾向が見られた玩2 (1)‑ 3.24, p<.10, ctw2‑ 14.93)c不定は認知型の主効果は(l)‑8.40, p<.01, oco2‑ 14.93)、

および刺激の主効果は2(1)‑ 6.83, p<.01, ao)2‑ 14.93)がいずれも有意であった.

Lp^^^^^^EtjeS

本研究の結果を全般的にみると、 Smith(1979), Kemler Nelson(1984)が主張しているよう に、幼児は全体的様式を用い易いということが示された。熟慮型の者は顔刺激と図形刺激の両方 において期待値以上に全体的様式を用いていた。また、衝動型の者も、図形刺激においては期待 値以上に全体的様式を用いた。認知型とカテゴリー化様式の関係についてみると、分析的様式に ついては認知型の差は見られず、全体的様式は熟慮型の者に用いられ易く、不定は衝動型の者の 方が多かった。本研究では図形刺激と顔刺激を用いたが、認知型によるカテゴリー化様式の用い られ方の相違は顔刺激において顕著であった。このことは、カテゴリー般化課題を用いたこと、

および刺激の分離可能性、さらに被験者ペースで課題を行ったことに帰因すると思われる。

カテゴリ一般化課題は、我々が日常場面で概念を獲得していく過程と類似しており、日常場面 ではRosch(1973)が示唆したように、カテゴリーの典型性に基づく類似性による認知が行われ るようである。したがって、幼児がカテゴリ一般化課題を与えられたとき、類似性による全体的 様式を用いることは心的努力を必要としない自然な事態であると患われる。

図形刺激と顔刺激を比べると、図形刺激の方は大きさ、位置、形、色、数という5次元に分離

するのは困難であるが、顔刺激の方は、 5次元が目、口、鼻、耳、髪といった顔の構成要素であ

り、次元に分離するのが容易であると思われる。したがって、図形刺激においては衝動型一熟慮

型のいずれも類似性による全体的処理を行い易かったのであろう。衝動型の者は、顔刺激におい

て半数以上が不定である。顔刺激は次元に分離し易いので分析的様式が用いられ易いように患え

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桜 井 茂 男・桜 井 登世子

るのであるが、幼児にとっては基準次元に基づく分析的処理より類似性に基づく全体的処理の方 が容易であるため、全体的処理がうまく使えないときには方略が一定せず、個々の事例のマッチ

ングを行っていたと考えられる。

本実験では被験者ペースで課題を行ったが、時間制限などを加えた実験者ペースで行ったとし たら、異なる結果になったかもしれない.一般的には、衝動型の者より、熟慮型の者の方が発達 的に高次のレベルにあると思われてきたが、最近の研究では、衝動型の者の結果が常に否定的で はないことが示唆されている。たとえば、 Dickman(1985)は、実験課題が簡単な場合、衝動型 の者の迅速な反応によるエラーはほとんどないことを示した。また、 Dickman & Meyer(1988) は、実験にかなり短い制限時間が設定されるような場合、衝動型の者の方が熟慮型の者よりも正 確に反応するという結果を報告している。本研究でも衝動型の者は異なる2刺激に分化的な反応 を示しているは!(2)‑6.46, ♪<.05)e 衝動型の者の中には速く、適切な処理を行っていた者も いたのではないかと思われる。

要   約

認知型として衝動型‑熟慮型をとりあげ、幼児のカテゴリー化における全体的一分析的様式との 関係を検討した。被験者は幼稚園年長児であり、 5次元2価の図式的な顔と図形で構成されたカ テゴリ一般化課題を用いた。衝動型一熟慮型に分けるために杉原(1977)のCSTのなかのMFFテ ストを行ってから、被験者ペースで課題を行った。

その結果、全般的に幼児は全体的様式を用い易いという事が示された。認知型との関係は、熟 慮型の者のはうが全体的様式を用い易く、不定は衝動型の者の方が多く、この傾向は顔刺激にお いて顕著であった。これらのことは、カテゴリ一般化課題を用いたこと、及び刺激次元の分離可 能性さらに被験者ペースで課題を進めたことに帰因すると思われる。

r^a^^^H iy^^^CV^^^Br. , 3

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杉原一昭1977 CTS(見方・考え方診断検査)東京:田研出版株式会社

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The Relation between Analytic‑holistic Categorization Modes and Cognitive Style in Young Children

Shigeo Sakurai

{Department of Psychology, Nara University of Education, Nara, 630 Japan)

and Toyoko Sakurai

(Sakurai Institute of Human Sciences, Nara, 630 Japan) (Received April 23, 1993)

This study was conducted to clear the relation between analytic‑holistic categonza‑

tion modes and reflection‑impulsivity cognitive stylein young children. Forty‑four fifth‑

and sixth‑year‑old children were showed the category generalization tasks of schematic faces or geometric figures with five dimensions varying in two values, and required to classify the test exemplars. As a result, young children classified test exemplars by holistic mode. And refering to cognitive style, reflective children classified test exem‑

plars by holistic mode rather than impulsive children did. This tendency was conspicu‑

ous in schematic face stimuli. It seems that these results are due to using the category‑

generalization tasks, stimulus separability, and doing the task at subject s pace.

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(1)  研究課題に関して、 資料を収集し、 実験、 測定、 調査、 実践を行い、 分析する能力を身につけて いる.