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2100年の世界地図 : アフラシアの時代(資料紹介)

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2100年の世界地図 : アフラシアの時代(資料紹介

著者

牧野 久美子

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アフリカレポート

58

ページ

23-23

発行年

2020-03

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00051589

(2)

23 アフリカレポート 2020 年 No.58 Ⓒ IDE-JETRO 2020

2100 年の世界地図

――アフラシアの時代――

峯 陽一 著 東京 岩波書店 2019 年 viii+207+7 p. 題名からして壮大だ。コンパクトな新書のなかに、アフリカとアジアの人びとの歴史と未来が、 ぎゅっと詰まっている。 本書の出発点は、2100 年にアジアとアフリカをあわせた「アフラシア」の人口が世界全体の 8 割を占めるという国連の人口予測である。2001 年の世界人口の 6 割はアジアに集中し、アフリカ は 13%に過ぎなかったが、今後、アジアの人口の伸びが鈍化するのに対してアフリカの人口は増 え続け、2100 年にはアジア、アフリカともにほぼ 4 割ずつを占める見込みなのだという。 人口の大多数がアフラシアに集中する 2100 年の世界とは、どのようなものになるのだろうか。 著者はアフラシアの歴史と思想を紐解き、そこから学びながら、ありうる未来の径路として、「分 裂」と「収斂」の 2 つのシナリオを提示する。今後の選択次第で、対立と相互不信がアフラシア を支配する「分裂」シナリオが現実化する可能性もある。しかし著者が構想するのは、アフリカ とアジアの人びとがともに知恵を絞って対話を重ねながら、危機を乗り越えていくという「収斂」 の未来である。アフリカとアジアは植民地支配の痛みを経験したという共通の歴史をもつ。「他者 に踏みつけられた者は、他者を踏みつけてはならないことを知っているはず」(p.185)であるから こそ、自ら植民地主義的に振舞ったり覇権を追求したりせず、アフラシアの人びとが水平的で開 放的な関係を築くことが可能なのだ、というのが本書の中心的なメッセージである。 本書のとくに後半には、「大国が中小国の自由を奪うことがあってはならない」(p.187)といっ た規範的叙述が頻出する。そのことに違和感を覚える読者もいるかもしれないが、思うに本書は、 2100 年の未来予測なのではなく、このような未来をつくりたい、というマニフェストなのだ。著 者は宿命論や環境決定論に与することを拒否し、人びとが道義的な正しさに基づき、主体的に未 来を選び取る力があることを固く信じている。そして、著者はただ夢を語っているのではなく、 アフリカとアジアの研究者らと交流を重ね、国内でも日本アフラシア学会を立ち上げるなど、あ るべきアフラシアの未来の実現に向けて、実際に行動しているのである。 著者の主張に賛同するかは読者の判断に委ねられている。しかし、アジアの片隅でアフリカに ついて読んだり書いたりしている私たちは、すでにアフラシアの当事者であり、アフラシアの未 来への責任の一端を負っているということは、自覚しておくべきではなかろうか。 牧野 久美子(まきの・くみこ/アジア経済研究所)

参照

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