• 検索結果がありません。

法人税と所得税の統合と税制の投資誘因特別措置

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "法人税と所得税の統合と税制の投資誘因特別措置"

Copied!
16
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)V o l .3 7N o .1・2 ・ 3. 近畿大学「商経学叢 」. November 1 9 9 0. 法人税と所得税の統合と税制の投資誘因特別措置. 芳. 治. 今. 西. 除の使用を否定しているわけではない。. はじめに. このように,現実に租税特別措置が実施され たり, モデル所得税の提案において ,そ の利用. 税負担の水平的公平を実現するためには,所. を認める限り,法人税と所得税の統合において. 得税や法人税の課税ベースはできる限り ,包括. も,その存在が反映する ような 仕組のものでな. 的でなければならない。我が国では,このよう. ければならない。ところが,我が国の現行配当. な税負担 の公平性を犠牲 に しても,そ れぞれの. 控除制度は,法人の投資所得に租税特別措置が. 時代に必要な特定政策目標実現のため種々な租. 適用される場合 と,そ うでない場合の区 別を株. 税特別措置を実施してきた。例えば,直接的な. 主の所得税負担にまで反映する形で法人税と所. 投資誘因を目的とした現存の租税特別措置とし. 得税の統合を行う 仕組 になっていない。しかも. ては次のようなものがある。エネルギー環境変. この配当控除制度は ,租税特別措置の存在しな. 化対応設備. 中小企業の電子機器利用設備や特. い場合においても ,法人税と所得税の統合方式. 定事業基盤強化設備の設置促進のため i .割増償. として は,極めて不完全なもので , しばしば別. 却と特別税額控除の選択を認め.住宅供給増加. の統合方式に改めるべきことが提案された。 本稿では ,現在 EC諸国の共通税制とし て提. のための割増償却,公害対策として公害防止施 設の特別償却,さらに新技術開発促進のための. 示され,かつイギリス,フランス,西ドイツ,. 増加試験研究費についての税額控除制度等であ. アイルラ ンド等においては現実に採用され,そ. る(1)。一方,包括的所得税の モデル を提示して. の域外でもオ ース トラリア で近年採用されるに. いる,アメリカの「プループリント」では.こ. 至ったインピュテーション方式,さらにできれ. のような租税特別措置を認めないが.カナ ダの. ば,完全統合方式が,法人税と所得税の統合方. 「カーター報告」では,. 式として望ましいと考え,これらの統合方式の. 企業投資は貨幣政策な. ど租税特別措置以外の方法で操作されるべ き事. 中に,高速度償却(本稿では割増償却に加わえ. を述ぺながら ,一方 で高速度償却や投資税額控. て特別償却を含めて考えている 。)と投資税額. このような特別措置に よって, 特定の経済主体 やグ)レ ープ税負担面で利益を受ける反面, その税 収減少を取り戻すための税負担増は広く , 薄く拡 散する。そこで特別措置は既得権化したり,対象 範囲が拡大する傾向がある。それゆえ,その時代 の必要性を不断に検討 ,吟味し ,弾力的な改廃が 要求される。 H u l t o n,C .R . ,R .A .K l a y m a n ," I n v e s t m e n t I n c e n t i v e si nTheoryand P r a c t i c e ,A a r o n ,H, .Pechman( e d s ) ,U n e a s yComH .G a l p e randJ promi s e , Pro 祈e ms o f aH y b r i dI n c o m eC o n s u m p t i o nTa x ,1 9 8 8 .p p .3 3 5 3 3 8をみられたい。. ( 1 ). 控除 による投資誘因措置をどの ように組み込む かを考察するものである。そこでまず,こ のよ うな租税特別措置が実施されている中で ,法人 部門と 非法人部門の投資所得間 での税負担の公 平性,および法人の配当政策に対する効果の 2 つの基準から,現行我が国の配当控除制度の問 題点を明らかにする。その後,同一基準との 関 係で,インビュテーション方式と完全統合方式 の中に ,高速度償却と投資税額控除制度をいか. -6 5-.

(2) t :法人税率. に組み込むかを明らかにする。. m:個人 iの限界所得税率 第 1節. わが国の配当控除制度と租税. k :配当控除率. m':株式のキャヒ°タル・ゲインに対する所得. 特別措置. 税の実効税率 受け取り配当を個人所得税の中で総合課税さ れる時,現行配当控除制度の下では,法人段階. 1 . わが国の配当控除制度と高速度償却. で課税された所得に対する個人段階での 2重課. 高速度償却によって,追加的減価償却がなさ. 税調整が十分なされていない。しかも,法人税. れる時,当該期の非法人事業の投資所得に対す. と所得税の統合がなされる趣旨からして,租税. る税負担は次の如くである。. 特別措置によって法人段階で課税されない法人. T=m(P-D). 所得は,例えそれが配当として分配されても, 本来所得税の課税ベースに算入されるぺき性質. この式で投資所得に対する税負担水準れを,. のものではない。にもかかわらず,現行制度で. 個人の限界税率 m が法人税率よりも低い場合. は課税ベースに算入されている。. について,第 1-1図の太い実線で示される。. しかも,それは法人段階で課税されたものと. ところが,現行配当控除制度の下では,法人. して,配当の 1定割合が配当控除によって払い. の投資所得に対する法人税と所得税の合計負担. 戻される。. は次の如く示され得る。. 法人税と所得税の統合は非法人事業による投. T=t(P-D)+ (1-t)(m-k)Pd. 資と法人事業による投資所得を課税上均等化す ることを目的とするものであるから,現行配当 控除制度において,少なくとも配当分につい て,法人段階での優遇措置が所得税の中でも反 映するよう取り扱わなければならない。 このような状況の中で,法人の課税所得や非 課税所得が配当として分配される時,法人所得. いま配当が当該期の課税所得 (P-D) を源 泉として分配される時,配当増加に対する法人 税と所得税の合計負担は dT/dPd=(1-t)(m. , k ) となる。我が国の場合, 配当控除率は, 課税所得が 1 , 0 0 0万以下である時,. から,限界税率が 10%以下の株主以外はすべて. に対する法人税と所得税の合計負担が配当水準. 第 1-1図 税負担. とともにどのように変化するかを,非法人事業 の投資所得の場合と比較し,さらにその負担水 準との関係で現行税制が法人の配当水準にどの ような影響を与えるのかという点をまず本節で. 咋_—_— _ — -. P:通常減価償却の下で生じる法人所得のう. -. —ーニ::芝. T, ------------..-~-::-ここ___. 明らかにする。 本稿では,次の記号を用いて 議論を進める。. 10%である. T,. ― -. ,. /. ― -. T。. Pd: この法人所得のうち,配当として分配さ. れる部分. D. ゜. ち,個人 iに帰属する部分. P-D. P. D:高速度償却によって生じる減価償却の追. 距( 1 )法人税率より所得税の限界税率が低い場合. 加分のうち,個人 iに帰属する部分. (2)To=m(P-D) T1=t(P-D) T2=t(P-D)+加 {(1-t)(P-D)+D} Ts=(l-t)(m-k)(P-D)+(m-k)D. C:投資税額控除による租税節約のうち,個 人 iに帰属する部分 -6 6-. 、. P.

(3) (l-t)(m-k)>o であ る。つまり限界税率が 2 0. る 。. 配当増加は不利であ. 次に株式のキャヒ°タル・ゲインに実効税率. , 0 0 0万円を越えると限界 る。特に課税所得が 1. m' となる所得税が課税される とする。現行配. 税率が 30%となり,逆に配当控除率は 5彩であ. 当控除制度の下では法人税と所得税の合計負担. るため,配当増加が一層不利になる。. は次の如くなる。. 彩以上の株主にとって.. 一方,非法人形態 の事業における高速度償却. T=t(P-D)+(1-t)(m-k)Pd+m'〔 ( 1. との均衡を考えれば, 配 当 凡 が追加的減価償. -t){(P-D)-Pd}+ D〕. 却による非課税所得からなされる時,それは株. かくして,配当が課税所得 (P-D)からなさ. 主の 課 税ベースに 算入されるべきものではな い。つまり dT/dPd=Oでなければならない。. れる時, dT/dPd=(1-t)(m-k-m')となり,. にもかかわらず,現行制度の下では株主の受け. 所得税の限界税率が 20%以上の株主においても. 取り配当は,法人段階での課税所得と非課税所. 配当が有利になる者も生じてくるし,なお配当. 得の区別なく所得税の課税ベースに算入され.. が不利である者もその程度が緩和されてくる。. かつその一定率の配当控除が認められる。それ. 一方,配当が追加的減価償却分 Dからなされ. ゅぇ.この減価償却の追加分からの配当には法. る限り, dT/dPd=(m-k-m') である。配当. 人税が非課税であったゆえ, t=O で dT/dPd. が課税所得からなされる場合よりも,税負担が. =(m-k) となる。. 配当水準の上昇とともに増加する程度,あるい. かくして,法人の課税所得から順次配当がな. は減少する程度が大きく なる。 かくして,株式のキャビタル・ゲインが課税. され,そ れが分配され尽く せば非課税所得から 分配されると仮定すると.配当水準と法人所得. される 場合に ,所得税の限界税率が 20%以上で. に対する法人税と所得税の合計負担の関係は第. かつ k+m' よりも高い株主について,法人所. 1-1図において実線で示される。逆に非課税. 得に対する法人税と所得税の合計負担と配当水. 所得から順次分配されるとすれば,税負担合計. 準の関係が第 1-1 図の点線で示されている。. は同図の破線で示される形をとる。. 我が国の現行制度では,株式のキャビタ)レ,. このようなこと から ,所得税の限界税率が 2 0 彩を越える個人にとって,個人事業の投資所得. ゲインに 20%の分離課税か「みなし譲渡益課 税」か,納税者による選択が認められているた. であれば税負担水準が m(P-D) に一定してい. め,後者を選択する場合に m'がきわめて低い. るにもかかわらず,法人所得であれば配当水準. 水準になる。つまり m<k+m' となることは. が増加するに従って税負担が増加していくので. 稀である。かくして,我が国の制度では,税制 が配当を抑圧する効果をもつ。しかも,配当は. ある。 これは,現行配当控除制度の下では.法人の. 課税所得の範囲内でなされる圧力が特に強く生. 投資所得と非法人事業の投資所得の間.その中. じ,減価償却 の追加分はそのまま自己資金の追. でも非課税所得について特に不公平な税負担を. 加となって,法人の投資資金のアヴェイラビリ. 生ぜしめて いる ことを 意味し てい る 。. ティ増加に大きく貢献する。. かくして ,現行配当控除制度は ,かっての株. ところが,株式のキャビタル・ゲインが総合. 式のキャビタルゲイン非課税制度と相まって,. 課税されると m与 m' となるため,上の式は. 法人の配当を抑制する圧力を上記の株主から生. dT/dPd=-(1-t)k, dT/dPd=-k となる。. ぜしめ,特に非課税所得からの配当に対しては. つまり,株主の限界税率とは独立に,配当は税. 強い配当抑制圧力を生ぜしめたはずである。し. 負担を軽減し,社内留保よりも有利になるた. かも所得税の限界税率が 30%を越える株主から. め,配当促進効果が働く。しかも,配当が非課. のこの ような圧力は特に強くなったはずであ. 税所得からなされる時,税負担の軽減効果は大. - 6 7-.

(4) きいため,一層配当増加が加速される。それゆ. この式より,. 配当が課税所得よりなされる. ぇ.株式のキャビタル・ゲインの完全課税は法. 時 , dT/dPd=(1-t)(m-k-m') となって,. 人の内部留保を枯渇させるように圧力が生じる. 株式のキャヒ°タル・ゲインが非課税の場合に配. とともに.高速度償却は法人の投資資金のアヴ. 当が不利とした株主もそれが有利になったり,. ェイラビリティを増加させるよりも削減する結. 不利な程度が緩和される。. 果になり得る。. 配当が税額控除による租税節約分から分配さ れれば, dT/dPd=(m-k-m') となり,配当. 2 . わが国の配当控除制度と投資税額控除. の相対的な有利性が全体に高まってくる。それ. 法人税において,一定額の投資税額控除が認. ゅぇ.株式のキャビタル・ゲインが課税される. められると.株式のキャビタル・ゲイン非課税. ことによって,税制の配当抑制効果は緩和され. の下で.法人の投資所得に対する法人税と所得. てくる。 特に株式のキャビタル・ゲインが完全課税さ. 税の合計負担は次の如くなる。. れると , m与 m' より上式はそれぞれ dT/dPd. T=tP-C+(1-t)(m-k)P, 配当が課税所得からなされる限り,. =-(l-t)k,dT/dPd=-k となる。すなわち, dT/dP,. 税制によって配当促進効果が生じ,特に投資税. =(1-t)(m-k) で,前の高速度償却の場合と. 額控除による租税節約分を配当に向けることの. 同様に,限界税率が 20%以上の株主は社内留保. 有利性は高まってくる。それゆえ,株式のキャ. 圧力をかける。. ヒ°タル・ゲインの完全課税は,現行配当控除制. 配当が税額控除による租税節約分 Cを源泉と. 度の下で法人の自己資金を枯渇させ,投資税額. して分配されれば.本来この部分も非法人事業. 控除の 1つの大きな役割である,投資を実行す. の投資税額控除との均衡を考えれば所得税の課. る法人の自己資金それゆえ投資資金のアヴェイ. 税ベースから除外されるべき性質のものであ. ラビリティを増加させるという効果を無にする. る。にもかかわらず.現行制度は配当の源泉と. 結果になる。. はかかわりな<. 受け取り配当は株主の課税ベ ースに算入されると同時に,その部分に配当控. 第 2節. 除が認められる。. インピュテーション方式と租. 税特別措置. そこで.この租税節約分を配当に向けられる 時.この部分への法人税は t=O であるから,. インビューテーション方式の基本的な仕組. 法人税と所得税の合計負担は dT/dP,=(m-. は,法人所得のうち,少なくとも配当分につい. k) となり,. て,個人事業の投資所得と 課税上同等に扱かう. 課税所得を源泉とする場合よりも. ように意図したものである。そこで,法人段階. 配当抑制効果は大きくなるはずである。 一方,株式のキャヒ°タル・ゲインが実効税率. での投資誘因措置の利益が配当を通して株主に. m' で課税されれば,法人所得に対する法人税. まで波及するようにするため,インビュテーシ ョン方式の中でどのように組み込まれるべきか. と所得税の合計負担は次の如くなる。. T=tP-C+(1-t)(m-k)P,+m'{(1-t). を考察してみる。. (P-P,)+C} 1 . インピュテーション方式と高速度償却 法人税に投資税額控除が認められると社内留. 株式のキャビタル・ゲインが非課税であれ. 保は { (1-t)(P-P,)+C} となるため,租税. ば,インビュテーション方式の下で法人所得に. C は,それを反映した株式のキャヒ°タ. 対する法人税と所得税の合計負担は次の如くな. 節約分. ル・ゲインにも課税されるのである。. る 。. - 6 8-.

(5) 高速度償却によって ,法人税は t{P-Pd)+. かくし て , 配当は,まず法人の課税所得から. Pd-D}, 株主段階の所得税負担は配当分に対. 分配され,それが使用し尽くされた段階で減価. して,. 償却の追加によって生じる非課税所得からなさ. m{(l-t)Pd+fPd}-tPd となるため,. れるとすれば,法人所得に対する法人税と所得. その合計は次の如く示される。. 税の合計負担は配当水準との関係で第 2-1 図. T=t( P-D)+(m-t)Pd. の実線または破線の如く示される。 この式より ,株式のキャヒ°タル ・ゲイン非課. 株式の キャピ タル ・ゲ イ ンに m'の実効税率. 税の下で,法人所得 Pに対する法人税と所得税. で所得税が課されると法人留保 ( 1-t){CP-. の合計負担と非法人事業の投資所得に対する. Pd)-D}+D を反映した株式のキャヒ°タル ・. 所得税負担 の間で公平性が保証されない。しか. ゲインが発生するため,法人所得に対する法人. も ,. 税と所得税の合計負担は次の如く示される。. 配当が課税所得よりなされる限り,. dPd= (m-t) であるから,. dT /. 法人税率よりも高 (1-t){ ( P T=t(P-D)+ (m-t)Pd+m'〔. い限界税率をもつ個人は配当を不利とし ,配当. -Pd)-D}+ D〕. 抑制圧力 をかける。現実に この ような人々に株 式保有が偏在する時,社内留保が大きくなって. そこで,配当が法人の課税所得の範囲内で分. くる。. 配されるならば dT/dPd={(m-t)-m'(1-. 一方,配当 が減価償却 の追加分 よりなされる. t ) } , 配当が非課税所得からなされるならば,. 限り ,法人税の課税対象外である所得を配当に. dT /d Pd=-m' となる。. これは,. 第 2-1図. 向けるゆえ,株主段階でも課税ベースに算入し. の点線で示されるように,法人税率よりも高い. ないという)レールを作っておけば,法人税の優. 所得税の限界税率をもつ個人であっても,配当. 遇措置が配当を通して株主にま でその効果を波. t+( l-t) が課税所得からなされる時には m <. 及せしめ,法人の投資所得と非法人の投資所. となり得ることを意味する。つまり ,株式のキ. 得の間に配当分については均等な税負担を生. ャヒ°タル・ゲインが非課税の場合に社内留保が. ぜしめる。しかも ,こ のような)レ ー)レの下では. 有利であった株主でも配当が有利となり得る。. dT / dPd=O となって,減価償却の追加分から. あるいは配当がなお不利である個人でも , その. の配当に対 しては,税制 は中立的となる。. 程度が緩和される。 しかも ,配当が非課税所得からなされるに至. 第 2-1図. れば,株式のキャビタル ・ゲイン が課税される. >. ことによって,あらゆる所得層にとってこの非 課税所得を配当される方が有利 になる。. T,「 " ' : : 、 一_ -. このようにして,株式のキャヒ°タル・ゲ イン. Ta. T , ' -. 一 —.. ―m>` t. ― ` <t ---m. が課税されることによって,配当水準が上昇す. ヽ. --. る 。. ― ― こ =. しかし,株式のキャビタル・ゲインが優遇. ``. される程度に応じて,法人税率よりも高い限界 税率を持つ株主からの社内留保圧力が強くなっ てくる。し かも, このような配当を不利とする. P-D. 距 冗 =t(P-D). T2 =t(P-D)+m'{(l-t)(P-D)+D) T3=m(P-D). P. p、. 人々に株式保有が集中するほど.配当水準が低 くなり,. 非課税所得を配当するまでに至らな. い。すなわち.このような配当ル ール の下では, 配当を通して.法人税の投資誘因措置の効果を. - 6 9-.

(6) 第 2-2図. 株主にまで波及させ得ない。減価償却 の追加分 を反映した税負担の軽減から生じる社内留保 の増加は株式の キャビタル・ ゲインを大きくす. T, T,ド -----' , .. _ _ _ __ , ,, -. -_ . -・ ``` ・ . , , ``_ _ __ , , -......___ ``` _ . . . T,r-------. る形で株主に利益を与えるのである。 もし ,株式のキャ ヒ°タル・ゲイ ンが全額,完 全課税される時 ,m与 m' となるため,配当が 課税所得から分配される時に dT / dPd=f(m' -1)<0 となる。それゆえ,. 配当が課税所得. そ. ― ― ― _ _ _ _ _ , . -. .m>t --m<t. ―. ゜. からなされても ,非課税所得からなされても, 配当が社内留保よりも有利になる。. ‘ ‘. この場合. は,できるだけ多く配当に向けられるような圧. P-D. P. Pd. 力が生じるため,株主にとって,配当を通して 減価償却の追加による利益が得られる。. しか. 固. T1=tP-{at+m(l-a)}D T2=tP-〔 at+m(l-a)〕D+m'{(1-t)(P-aD)+ aD} T3=mP-{at+m(l-a)}D. し,高速度償却を通して,投資を実行する法人 の投資資金のアヴェ イラビリテ ィを増加させる という効果は減殺されてくる。株主の可処分所 得の増加を通した貯蓄増加と投資資金供給増加. もし, Pd が P-aD を超えてなされれば ,. のみが生じるのである。 次に ,C .E . マクルーアが示したように (2). 減価償却追加分を配当として分配される法人所 得から控除する部分と社内留保に向けられる法 人所得から控除する部分 に分割して ,前者につ いては,高速度償却の効果が株主にまで波及す るような仕組みを考える。 いま,上の追加的減価償却分 Dの うち,配当 分から控除する部分を ( l-a)D, 社内留保分 から控除する部分を aD としておくと法人所 得に対する法人税と所得税の合計負担は次の如. (減価償却不足が生じ,. 次期に不足分は繰り越. されるとしても),当該期の税負担は dT/dPd. = mとなる。つまり,この水準を越えた配当は すべての個人にとって不利となる。 この配当水準と法人所得に対する法人税と所得 税の負担合計 の関 係は第 2-2図 の 実 線 や 破 線 の如く示される。 株式のキャビタル・ゲインが実効税率 m'で 課税される 場合には.上の法人所得に対する法 人税と所得税の合計負担は次の如くなる。. T=tP-{ a t+m(l-a)}D +(m-t)P. くなる。. +m'〔 (l-t){(P-Pd)-aD}+aD〕. T=t{(P-Pd)-crD}+ m{ P dー (1-cr)D} =tP-{ c r t + m ( l c r ) }D +( m-t)Pd ここでも,法人の投資所得と非法人の投資所 得の間で税負担の公平性は保証されない。しか も,配当に向けられる所得 Pd が P-aD り小さい限り, dT/dPd=m-t である。. ょ. それ. ゅぇ,株主の限界税率が法人税率より高い か否. ここで,配当 Pdが P-aD以下ならば dT. /dPd=( m-t)-m'(l-t), 配当がそれを越え /d Pd=m-m' となる。所 てなされる時 , dT 得税の限界税率が m>t と m<tなる個人につ いて.それぞれ第 2-2図の点線で示される税 負担となる。 配当が P-aD以下であれば ,株式の キャビ. かによって,配当が不利か有利かが決まる。. タル・ゲインが非課税の時.社内留保が有利で. ( 2 )M c L u r e ,C .E . , Must c o r p o r a t eI n comeB e T w i c e ,1 9 7 7 ,p p .1 0 9 1 1 1 .. あった個人も .配当を有利としたり ,社内留保 が有利である程度が緩和されるため ,株式の キ. - 70-.

(7) tPd}-tPd. ャビタ)レ・ゲインの優遇の程度に依存しながら. =(tP-C)+(m-t)Pd. 全体的に配当水準が上昇する。しかし,配当水 準が P-aDを越える場合には,株式のキャビ. 非法人企業の投資所得に対する税額控除後. タル・ゲインが優遇される限り,すべての株主. の税負担額は T=mP-Cであるから,これと. にとって配当が不利であることには変りがな. 法人所得に対する税負担合計と一致する保証. い。それゆえ,株式のキャヒ°タル・ゲインが課. はない。. 税されても,優遇される限り,配当水準は P-. 配当 Pdが課税所得からなされると, dT/dPd. aD より低い水準で落ち付く。つまり,配当水. =(m-t) となる。それゆえ,法人税率よりも. 準には歯止めが存在するのである。. 高い所得税の限界税率をもつ個人に株式保有が. このような形で,法人段階の優遇措置をイン ビュテーション方式に組み込む方法の特徴は,. 集中する時,法人所得は社内留保に向けられる よう強い圧力が生じる。. 配当水準が低く,法人の課税所得から配当がな. ところが,配当が法人所得を越えてなされる. される場合でも, (l-a)D だけ株主の課税所. と,投資税額控除による租税節約分 Cから分配. 得から控除されるため,高速度償却の効果が配. されなければならない。そこで,インビュテー. 当を通して必ず株主にまで波及する点にある。. ション方式の下で,この投資税額控除の効果が. 法人の課税所得をすべて配当し尽くさないと. 配当を通して株主にまで波及するには, C を源. 株主に追加的減価償却の効果が波及しない前述. 泉とする配当は株主の段階で非課税所得と扱か. の方法と異なり,インビュテーション方式によ. うような)レールを作ればよい。そうすれば Cを. る統合の意図とよりよく合致する制度となろ. 源泉とする配当について, dT/dPd=Oとなる。. う 。. すなわち,投資税額控除による租税節約分の配. もし,株式のキャヒ°タル・ゲインが完全課税. 当に対して,税制は中立的となる。. されるならば , m号 m' となるため, dT/dPd=. このような,法人所得に対する法人税と所得. -t(l-m')<O,dT/dPdキ 0 となる。つまり,. 税の合計負担と配当水準の関係は第 2-3図で. 配当が P-aDよりも低い水準にあっても配当. 実線や破線で示される。. 促進効果が生じ,それを越えた段階では税制は. ここでは,法人税の投資税額控除の利益が配. 配当水準に中立的となる。それゆえ.このよう. 当を通して株主の可処分所得の増加という形で. な統合方式の下では株式のキャヒ°タル・ゲイン 完全課税と結びつくならば,配当水準を高める 圧力は生じても,それを抑えようとする圧力は 生じない点で,法人の自己資金増加に積極的に. 第 2-3図. 『 T , t. ヽ こ ― ― ― -. ` ` ` ` ` ```T,ヤ : : : _ _. 貢献しない 。. 2 . インピュテーション方式と投資税額控除 法人の投資に対し, C の税額控除が認められ. ・ --―... . .. —. —. ` , , . . . 一 —-· --— . 、 `. ー .. T,. ると,税引後所得は (1-t)P+C となる形で,. ゜. 法人投資の税引後収益率の上昇と税引後所得の 増加を生ぜしめる。この場合の法人所得に対す る法人税と所得税の合計負担は次の如く示され. m'C. ----. m>t. T= {t(P-Pd)+Pdー C}+m{(l-t)Pd十 - 7 1-. `.. — .. m<t. 固. る 。. , ,. T1=tP-C T2=tP-C+m'{(1-t)P+C) 乃 =mP-C. P. P+C Pd.

(8) 波及するには. 課税所得が配当 し尽くされた 後. 次に, C . E . マクルーアが示し た如く ,投資. になる。それゆえ,所得税の限界税率が法人. 税額控除を社内留保に帰属さ せ る部分 aCと配. 税率よりも高い株主に株式保有が偏在し配当率. 当に帰属 させる部分 (1-a)C にあら か じめ分. が低く 投資税額に よる祖税節約分ま で配当とし. 割し ,後者については配当を通して株主にまで. て分配するに 至ら なければ, 株主に その利益を. 波及さ せる 場合を考える。. 波及させることができない 。彼らは ,内 部留保. 株式 のキャビタル・ゲイン が非課税である場. が Cだけ 増加するこ とによる 株式のキャヒ°タル. 合には法人所得に対する法人税 と所得税の合計. ゲィンの発生という形で利益を受ける 。. 負担は次の如くなる。. 次に株式の キャビタ)レ・ゲインに m'の実効. T={t(P-Pa)-aC}+mPaー (1-a)C. 税率で所得税が課される場合を考える。 ここで所得税の課税所得が配当のみ か らなる. 投資税額控除に よって 社内留保は (l-t)(P. -Pd)+C となるため ,法人所得に対する税負. 1. 個人についていえば,配当水準が 一ー (1-a)C. m. に至るまで Pa の増加によ って所得税負担はゼ. 担は次の如くなる。. ロのままである 。そ の一方 ,配当 の増加に よっ. T=(tP-C)+(m-t)Pd+m'{(1-t)( P. て社内留保に向けられる法人所得の法人税負担. -Pd)+C}. は減少するのみであるから , dT / dPa=-t と. 配当が課税所得からなされる限り, dT/dPd. =(m-t)-m'(1-t) となり,所得税の限界税. 1 m の増加によって dT/dPa=m-t とな る 。. なる。配当が ―-(1-a ) C を越える時か ら配当. 率が法人税率よりも高い個人であっても ,配当. 所得が受け取り配当以外にもあって ,株主 の. が社内留保より有利になったり,配当が不利で. 1-a)C よりも大きい 場合に 算出所得税額が (. ある程度が緩和される。. は,配当が P- - aC より低い限り dT/dPa. 1. t. もし,配当が Cからなされれば社内留保は追. =(m-t)である。. 加的配当分だけ減少するため ,dT/dPd=-m'. 1. 配当が P-- aC を越えると配当が増加 し. t. である。つまり,このような配当増加は株主に. ても,社内留保に向け られる法人所得に対する. 有利となるため,配当増加圧力が生じる。 かくして,法人所得に対する法人税と所得税 の合計負担は第 2-3図 の 点線で示される如く なる。 配当水準は株式のキ ャピタル ・ゲイ ン非課税 の場合よりは 上昇するが,m>t+m'(l-t) な. 第 2- 4図. >. ・ t -. I. る株主に株式保有が集中すれば,それだけ 低い. . . __ _ _ _ __ _. 水準に決定される。もし ,m<t +m'(l-t) な る株主に株式保有が集中すれば配当は課税所得 を越えて ,租 税節約分 C からも ,し かもできる. -. _ _ _ _ _ _ _ __,『・・: ‘_ ・ -_ . . ``-. —-—-. T,~. だけ多くなされるように圧力が生じ,投資税額. -. 、/. m>t ― ―--m<t ―. ゜. 控除の 1つの役割である ,投資を実行する企業 の 自己資金増加によって ,投資資金の アヴェイ. P-_!_dc 2. ラビリティを増加するという効果を減じる。も ちろ ん.こ れは株主の側からみれば,投資税額. ,→ m'aC. /' . . 、 '. 固. 控除によって可処分所得の増加が生じることを 意味する。. -7 2-. T1=tP-aC 四=tP-aC+m'{(1-t)P+C} T3 =mP-C. p. p、.

(9) 法人税はゼロのままであるから, dT/dP,=m. ての所得水準の株主に有利となるし,それを越. となる。. える水準でも配当抑制効果が生じなくなる。. 株主の課税所得が配当以外からも 構成されて. いずれにし ても,投資税額控除に よる租税節. いる後の場合について.法人所得に対する法人. 約分を 配当と 社内留保分に 帰属 される方法で. 税と所得税の合計負担は第 2-4図の実線や破. は,配当水準と関係なく ,法人段階 の租税節約. 線で示される。. 効果を配当を通して株主にまで波及させ,個人. 法人税率よりも高い所得税 0)限界税率をもつ. 事業の投資所得と法人所得の間で税負担面の均. 株主に株式が偏在しているか否かによって配当. 衡を実現し得ることから,法人所得のうち配当. 水準は依存するが .前の場合であれば株主 から. 分について公平性を確保しようとするインビュ. 配当抑制圧力が生じる。. しかし.. 配当が P-. 1 -taCを越えると あらゆる所得階層に とって配. テーション方式の意図と合致すると考えられ る 。 しかも,株式のキャビタル・ゲインが優遇さ. 当増加は不利となる。つまり. 配当水準は P-. 1 - aCを最高水準とするどこかに決定される。 t 次に株式のキャ ビタル・ゲ インが m'の 実 効. 1. れる限り,配当水準も必ず P-- aCなる水準. t. 以下で決定されるため.法人の留保所得を過度. 税率で課税される時,法人所得に対する法人税. に削減しない点でも,投資を実行する法人の投. と所得税の合計負担は次の如くなる。. 資資金のアヴェイラビリティを増加させるとい. T={ t( P-Pa)-aC}+mPdー (l-a ) C+ m'{(l-t)( P-Pd)+aC}. う投資税額控除の目的と合致すると考えられ る 。. いま配当以外にも課税所得が十分ある個人を 考えておく。配当水準が. 第 3節. P--1 yaCに至る ま. で dT/dPd=(m-t)-m'(l-t) となる。そこ. 完全統合と租税特別措置. 法人所得のうち,配当とし て分配される部分. で,第 2-4図の点線で示されるように法人税率. と社内留保 される部分 の双方に ついて,非法人. よりも高い限界税率をもつ株主であっても,配. 形態の投資所得と同一税負担が生じ ,かつ法人. 当を有利とする株主も生じるし,なお配当が不. の配当政策に対しても税制が 中立的 にな ること. 利であ っても株主のキャピタル・ゲインが非課. を 目的とするのが法人税 と所得税の完全統合方. 税の場合よりも不利である程度が緩和される。. 1 配当水準が P-- aCを越えると dT/dPd. t =m-m' となる。株式のキャビタル・ゲイン. に対して税負担が優遇されている限り,すぺて. 式である。それゆえ ,法人税における租税特別 措置が非法人部門の投資に対する 租税特別措置 と同一の税負担軽減効果が生じるようになるの が完全統合の本来の姿である。 本節では,「カーター報告」や C . E . マクル. の株主にとって配当が不利である ことには変 り. ーア が提案した法人税 と所得税の完全統合の 中. がない。 かくして,株式の キャビタル・ゲインが課税 されること によって ,配当水準は全体として上. に租税特別措置を どのよう に組み込 むべきかに ついて検討してみる。. 1. 昇するが ,な お P-- aC より低い水準で落. t. 1 . 完全統合方式と高速度償却. ちつく。 ところが.株式のキャヒ°タル・ゲインに完全 与m ' となるため,上の結果 課税される時, m は dT/dPd 与ー ( l-m')t,dT/dPd与0となる。. 1 t. つまり,配当は 一aC より低い水準で,. すべ. 「カーター報告」 が提示した完全統合方式の 下で は,課税所得に対しては,配当分,社内留 保分双方とも各株主の限界税率で所得税負担が 生じるようになっている。それゆえ,高速度償 却によって減価償却 の追加分 D が生 じれば,. - 7 3-.

(10) 第 1-1図の太線で示された非法人企業の投資. 「カーター報告」が提示する第 2の追加的減. 所得と同じく,税負担は次の如くなるのが本来. 価償却分の取り扱い方を用いれば次の如きメカ. の姿であろう。. ニズムで株主にその効果が波及する。 減価償却の追加分をすべて法人の手許に留保. T=m(P-D). すれば,当該資本設備の耐用期間にわたって株 ところが,追加的減価償却による非課税所得. 式を保有する株主は,一時的に所得税の納税を. が株主に配当として分配されれば,それをこの. 延期するにすぎない。それゆえ,所得税の税率. 統合の中でどのように取り扱うべきかが問題と. が累進的である限り,このような納税延期が必. なる。. ずしも株主にとって有利であるとは限らない。. 「カーター報告」ではこのような非課税所得 の取り扱い方について,二つの可能性を示して いる (3)。. 将来,課税所得が大きくなる年に,株主の限界 税率が上昇しているかも知れないからである。 減価償却の追加分の一部が配当として分配さ. その 1つは,減価償却の追加分 D によって生. れ , しかも株主は当該設備の耐用年限以前に株. じた税引後所得の増加分がすべて法人の手許に. 式を売却する場合には,配当を受け取った時点. 留保される限り,非課税扱いとなるが,その全. で所得税を支払わない。配当時になされたコス. 部または 1部が配当として分配される時には,. ト・ベースの引き下げ分だけ,株式のキャヒ°タ. その部分に法人税を課し,他の課税所得と同様. ル・ゲインの課税額が大きくなることによっ. の扱いをする。つまり,減価償却の追加分であ. て,所得税負担が生じる。つまり,追加的減価. っても,株主に分配される部分については非課. 償却分の一部または全部が配当に向けられれ. 税としないという方法である。. ば,株主はこの配当の受け取りより後の,株式. 高速度償却は本来,法人段階の投資資金の豊. の売却時に所得税負担が生じる。. 富化を目的とするのに,追加的減価償却 0)全部. ところが,減価償却 0)追加分の一部が配当と. または 1部分が分配されてしまえば,政府にと. して分配された結果,株式のコスト・ベースの. って,所期の目的が実現せずに税収のみが減少. 引き下げを行ったが,将来減価償却の減少が生. する。それゆえ特別な非課税扱いをする必要が. じ,課税所得が大きくなった時点で,以前のコ. ないとの考え方である。. スト・ベースの引き下げ分だけ,逆にコストベ. 第 2の取り扱い方は次の如くである。. ースの引き上げをしなければ,この配当分に対. 高速度償却の下では,設備の耐用期間におけ. する二重課税が発生する。この点は「カーター. る減価償却額は同ーであるから,現在の課税所. 報告」では明示していない。しかし,この二重. 得の減少は将来における課税所得の増加をもた. 課税は次の如き理由によって生じる。. らす。. 減価償却分を配当として分配するか否かにか. そこで,追加的減価償却分 DOJl部が配当と して分配されることは,いまだ生じていない所 得の前払いとみなす。つまり,減価償却の追加 分から生じた非課税所得 Dから配当が分配され れば,株式のコスト・ベースをその金額だけ引 き下げるように株主に通知する W O. かわらず,将来の減価償却の減少によって課税 ベースが Dだけ大きくなるため,当該設備の耐 用期間の早い時期に課税されなかった Dが将来 において課税される。一方,その内の一部が配 当として分配されることによって,コスト・ベ ースの引き下げがなされるのであるから,株主 が減価償却の増加した時点以降で売却すれば,. ( 3 )R e p o r to f TheR o y a lC o m m i s s i o no nT a x a .6 9 0 . t i o n ,V o l .4 ,1 9 6 6 ,p ( 4 ) 株式配当による場合は法人の手許資金は不変で あるから, コスト・ベースの引き下げを行わない。. 上述の如く配当分にはキャビタル・ゲインとし て所得税が課されるためである。. - 7 4-. かくして,減価償却の全部または一部が株主.

(11) に分配され,コスト・ベースの引き下げがなさ. 税制は中立的である。上の第 2の取り扱い方法. れれば,将来課税所得が大きくなった時点で,. の下では,株主は配当を通して高速度償却の恩. 以前の分配分についてコスト・ベースの引き上. 恵を直接受け,自からの可処分所得増加が生じ るためには,課税所得がすべて配当に向けられ. げをしなければならないのである。 上の第 1の取り扱い方の下では,減価償却 の. た後でなければならない。低い配当水準の下で は配当を通した恩恵は受けられない。. 追加分が株主に配当として分配される限り,. .E. マクルーアの完全統合の提案で 一方, C. 当該期の法人税および所得税の課税ベースに算 入されるため,そ の分につい て納税延期の効果. は,減価償却の追加分 Dをあらかじめ,配当に. は生じない。個人事業の下で高速度償却が認め. 帰属する部分と社内留保に帰する部分に按分. られれば,減価償却の追加分は全額課税延期の. し,それぞれを配当に向けられる法人所得と社. 利益を受ける 。しかも ,その投資主体にとって. 内留保に向けられる法人所得から控除 する形. 投資資金のアヴェイラビリティが増加する。. で,高速度償却を法人税と所得税の統合の中に. r ヵーター報告」. 6 ¥ 組み込む方法を取っている <. の このような取り扱い方の下. では,減価償却 の 追 加 分 に よ っ て , それが配 当として分配される限り,法人はもとより,株. いま,減価償却の追加分 D のうち, (3Dが配 当分に,. (l-(3)D が社内留保分に帰属させる. 主における投資資金の供給増加をも生ぜしめな. ものとする。そこで,法人段階での減価償却の. い。このような法人部門と非法人部門の間にお. 追加分による税負担軽減効果を株主にまで波及. ける異なった結果は,法人税と所得税の完全統. させるための,. 合の目的と合致せず,妥当な取り扱い方法とい. 如くである。. えない。この点は「カーター報告」も指摘する ところである。. C .E . マクルーアの提案は次の. 配当に対する法人税は t(Pdー{ 3 D )であるか ら,株主の課税所得に算入される金額は,法人. 上の第 2の取り扱かい方 は,減価償却の追加. 税引後所得 {(1-t)(P-Pd)+{ 3 D } と法人税額. 分が配当として分配されても,株式のキャビタ. t{(P-Pd)-{3D} の合計から追加的減価償却. ル・ゲインが実現するまで所得税の納税延期が. 分 (3Dを控除した金額である。. 認められる形で,高速度償却の意医が株主の所. それゆえ,法人所得のうち配当に向けられる. 得税の負担にまで反映 してくる。それゆえ,法. 部分の法人税と所得税の合計負担は次の如くな. 人税と所得税の統合の目的とよりよく合致する. る 。. 点から「カーター報告」も第 1の取り扱かい方 t(Pd 一肛D) 十 m 〔t(Pd ー ~D). よりも優れていると考える。 以上の「カーター報告」における追加的減価. =m(Pd-~D). 償却分からの配当については,以下の共通した 前提がある。. かくし て ,. 配当はまず課税所得 (P-D) か らなされ,そ れが分配され尽くした段階で追加的減価償却分 から生じる非課税所得より分配される. + {(1-t)(P-. ~D)+~D}-~D〕ー t(P-~D). 法人所得のうち配当に向けられ. る部分に対する所得税負担は当該期において m(3Dだけ減少する。. 。それ. 一方,法人所得のうち社内留保に向けられる. (5). ゅぇ,この完全統合方式では課税所得 (P-D). 部分 (P-Pd) に対する法人税負担は t{(P-. を配当に向ける か社内留保に向けるかについて. Pd)-(l-~)D}. 株主に分配するのは (l-t)(P-D) からである が,株主段階で法人税分 t(P-D) はグ ロスアッ e p o r to fThe R o y a l Commission プされる。 R o nT a x a t i o n ,V o l .4 .p .6 9 0 の例をみられたい。. ( 5 ). となり,法人に留保される金. 額は (l-t){(P-P 必ー o-mnl+ o-~)D で ある。そうすれば,株主の所得税負担は配当の. - 7 5-. ( 6 ) McLure,C .E . ,o p .c i t , .p p .101-105をみよ。.

(12) 場合と同じく. {(P-Pd)-(1-fi)D}m となっ. る。それゆえ,法人段階では社内留保に向けら. て減価償却の追加により m(l-fi)D だけ所得. れる法人所得に対して,減価償却の追加分によ. 税負担が減少する。. る税負担軽減は生じない。株主段階のみ税負担. かくして ,法人所得には,配当分,社内留保. 軽減が生じる。当然この方法の下では,追加的. 分の双方について,減価償却の追加を通して所. 減価償却によって,法人の自己資金増加は生じ. 得税負担が減少する。法人段階での優遇措置が. ない。株主の可処分所得の増加による貯蓄増加. 株主にまで完全に波及するのである。. を通した投資資金供給増加のみである。. ところが, C .E . マクルーアは,. この統合方. b 」 もう 1つの方法は,法人段階で社内留保に l. 法を提示する中で,株式のキャビタル・ゲイン. けられる課税所得から追加的減価償却分の控除. の取り扱い方を明示していない。当然課税所得. を認めるが,株主にまでその効果を波及させな. (P-Pd) への法人と個人の両段階での二重課. いものである。つまり,. 税を排除するために ,(1-t)( P-Pd) の金額だ. Pd)-(l-f,)D} の税制負担をさ せるが,. け株式のコスト・ベースの引き上げをしなけれ. の課税ベ ースに算入する金額は ( P-Pd) であ. 法人段階では t{ ( P株主. ばならない。そうすると,マクルー アの,減価. る。それゆぇ.株主において税負担軽涼が生じ. 償却の追加分のうち社内留保に掃属させる部分. ない 。. に対する上の取り扱い方には次の問題が生じて. ところが.この方法であれば.法人 の 自己資 金増加額は1 (1-t){(P-Pりー ( 1-{ , )D}+(1-. くる。 株主段階では法人税の追加的減価債却によっ. f,)Dであるから,. 減価償却の追加分によって,. て課税ベース が (1-fi)D だけ減少する形でそ ... の恩恵を受けるのに ,隠れた留保所得が法人税. t(l-{,)Dの自己資金増加が生じることになる。. の軽減分 t(l-fi)D だけ 追加されるために,. +t(l-{,)Dだけ引 き上げることによって. t ( l. それを反映した株式のキャピタル・ゲインも発. -{,)D を反映した株式のキャビタ)レ・ゲイン. そして,株式のコストベースは (l-t)(P-Pd). 生する (7)。それゆえ,将来における減価償却の. が所得税の課税ベ ースに算入されずに,株主の. 減少ないし税収の取り戻しが生じる以前にこの. 経済力増加要因となる。. 株式を売却すれば,所得税負担の軽減と株式の. 第 1の方法であれば.法人税の追加的減価伯. キャヒ°タル・ゲインの追加という二重の利益を. 却によって法人の自己資金増加は生じないのに. 得る。それゆえ,追加的減価償却分は当然,社. 対し,第 2の方法であれば自己資金が t ( l { , ). 内留保に大きな割合で割当てら れた 方が上の株. D だけ増加する。また,第 1の方法であれば.. 主にとって有利になる。. 追加的減価償却は株主の税負担を減じるのに,. このよう に,過度な利益を発生せしめる のを. 第 2の方法であれば社内留保に向けら れる法人. 防止するためには,次の 2つの解決法のどちら. 所得に対する株主の税負担軽減が生じない反面. かを取らなければならない。. t(l-f,)D だけ株式のキャヒ°タル ・ゲイ ンの一. 9. 1つは ,上の追加的減価償却分のうち,社内 留保所得に帰属させる部分 ( 1 f i )I J について. 時的増加という形で株主の経済力を増加させ る 。 それゆえ,第 1の方法であれば追加的減価償. は,法人税の課税所得から控除しないで,株主の 所得税の課税ベースに算入する金額 (P-Pd) か ら控除すべきものとして通知する方法であ. 却分を配当に帰属させる か社 内留保に 帰属させ るかについて税制は中立的である。第 2の方法 であれば配当と社内留保に 帰属させる部分が株. ( 7 ) 1回限りの投資であれば一時的性格をもつが,. 高速度償却の対象となる投資が継続的, かつ年々 成長する形でなされれば, この自 己資金の追加分 はその間継続的に生じる。. 主にとって等価ではないゆえ,そ の割合につい て税制は中立的でない。. - 7 6-. 法人税と所得税の完全統合の目的からすれ.

(13) ば.法人段階での追加的減価償却分が.法人の. れる。 (1-a)Cのキャヒ° タル ・ゲイン の発生に. 配当水準に依存せず.非法人事業の投資所得と. よって,所得税が課税されれば (1-m)(l-a)C. 同じ <.株主の所得税負担の一時的軽減をもた. の税 引後収益 の上昇とな る。社内留保分には .. らす方法であ る 第 1の方法が好ましい。し か. 株式のキャピタル・ゲイン実現時まで課税の延. し,この方法であれば.投資を行う法人の自己. 期がなされる点で , 配当分と異なるが.こ の差. 資金 の増 加効果を生ぜしめない点から高速度償. を無視すれば税額控除によって全体として ( 1. 却の目的に合致しなくなる。租税特別措懺の意. -m)C の投資収益の増加を株主 にもたらす 。. 図を考慮すれば第 1の解決法は適切であるとは. しかし.社内 留保分には上の納税延期の利点か. し、しヽ難しヽ。. ら,税制が配当政策に必ずしも中立的でなくな る 。. 2 . 完全統合と投資税額控除. 「 カ ーター 報告」の提案する第 2の方法は,. 「カーター報告」では投資税額控除による租. 投資税額控除による租税節約分 Cを株主に配当. 税節約分を完全統合方式の中で次の 3つの取り. として分配される時,法人税と所得税の課税を. 扱い方を提示 している (8)0. 行わないとするものである。このような方法で. 第 1の方法は .投資税額控除によって得た租. あれば配当に向ける部分 aCは完全に非課税と. 税節約分を社内留保しておく限り,法人税と所. なる点から,非法人形態の事業における投資税. 得税の課税の対象にしない。それが配当として. 額控除と 同等の扱いになる。 しかし , 「カータ. 分配されれば.その部分に対し て他所得 と全 く. 一報告」では社内留保分 ( 1-a)C を反映する. 同一の 課税上の扱かいをするというものであ. 株式のキャヒ°タル・ゲインをどのように扱うか. る 。. について 明ら かにし ていない。もし,その 金額. 法人税の税額控除によって得た租税節約分 C. だけコストベースの引き上げをしなければ,第. は本来法人の自 己資金の豊富 化を 目的とするも. 1の方法と同じく,キャヒ°タル・ゲインの実現. のであるから . その内の (l-a)C が法人に留. 時に所得税が課される。つまり aCについ ては. 保されている限り法人税を 課 されないが, aC. 全額投資収益を増加させる要因になるが ,(1-. が配当として分配されれば,それには他所得と. a)C については (1-m)(1-a)Cの税引後投資. 同様に各株主の限界税率で税負担が生 じるよう. 収益の 上昇 があるのみである。. に扱う。そこで配当分によって,投資所得が税. この方法 の下では, 投資税額控除に よる租税. 引後におい て (l-m)aC だけ増 加するとと も. 節約分を配当に向けるか社 内留保に向けるかに. に.それが貯蓄に向けられる限りにお いて個人. よって課税上異なった扱かいを受ける 。税制は. 貯蓄の増加 と投資資金の増加を生ぜしめる。. 配当を促進する圧力を生ぜしめる。それゆえ,. 投資税額控除による租税節約分のうち 法人に. 投資税額控除 の 目的の 1つが法人の自己資金増. 留保される部分 (l-a)C は法人の自己資金の. 加にある とすれば,そ の目的が十分達成 し得な. 増加分になると同時に.株式のキャビタル・ゲ. くなる。. ンがそれを反映して発生する。一方.これは法. 第 3の方法として,こ の租税節約分 Cの 1部. 人税.所得税の課税ベ ースに算入されない部分. または全部が配当として分配されれば,. であるから,株式の コストベースの引き上げを. の方法のように分配時点で法人税と所得税の課. もなされない。. 税を行うのでなく,その分配分について株式の. 第1. かくして ,社内 留保される部分は株式のキャ. コストベースの引き下げを行う。それゆえ ,こ. ビタル・ゲインが実現した段階で所得税が課さ. の取り扱い方法の下では,株式の所有権が移転. R e p o r to f Th eR o y a l Commi s s i o no nT a x a .6 9 2 . t i o n ,V o l .4 .p. ( 8 ). した 時点で,株式のキャビタル・ゲインとして 課税する ことになる。 配当分 に納税延期 の利益. - 77-.

(14) いま,租税節約分 C のうち aC が配当に,. が与えられる。 この租税節約分のうち,社内留保される部分. (1-a)C が社内留保に帰属させるとする。法. はそれを反映して株式のキャピタル・ゲインが. 人所得の P のうち,配当に向けられる部分 Pd. 発生するため,やはり実現時に所得税が課され. の法人税と所得税の合計負担は,所得税の課税. る。つまり,この節約分は配当に向けても社内. ベースに算入される金額が {(1-t)Pd+aC+. 留保に向けても株式のキャピタル・ゲイン実現. (tPd-aC)} であるから次の如く示される。. 時に所得税が課される。株主にとって (1-m). T=(tPd-aC)+m{(l-t)Pd+aC+( t P d. C の投資収益の増加とそれに対する納税延期に. -aC)}-{(tPd-aC)+aC}. よる実質的税負担軽減の 2つの利益を得る ので ある。. =mPd-aC. この方法では社内留保分 (1-a)C の自. 己資金増加となる一方,法人の配当政策に税制. このような配当分に対する取り扱い方は「カー. が中立的である点で,第 1や第 2の方法よりも. ター報告」が租税節約分 C のうち配当分 aCを. 優れている。. 非課税としたとの等価である。 一方 ,社内 留保分 (P-Pd) に対し,法人段. しかし,本来,法人税と所得税の完全統合の 目的が法人部門の投資所得と非法人部門の投資. 階で {t(P-Pd)-aC} の税負担が生じ,. 所得を課税上同等に扱うということであるとす. の法人税引後金額は (l-t)(P-Pd)+aC であ. これ. れば,第 1や第 3の方法は法人の租税節約分を. る。この合計額が所得税の課税ベースに算入さ. 配当と社内留保のどちらに向けても所得税の課. れ,算出所得税から法人段階での税負担と aC. 税がなされる点この目的から乖離している。第. の合計を税額控除する というのが,マクルーア. 2の方法であれば少なくとも,配当に向けられ. の示すところ である 。確かに ,こ の方法によっ. る部分には非課税であるから,より上の目的に. て法人所得のうち社内留保に向けられる部分に. 近づく。. は , (l-a)C だけ所得税負担の軽減が生じる。 かくして,株式のキャビタル・ゲインに対す. そこで,上のような完全統合の目的を,投資 税額控除による租税節約分すべてに対して反映 させるには,第 2の方法において,社内留保分. る課税を無視すれば,非法人事業の投資所得と 税負担が均等になる。 ところが,マクルーアはここでも株式のキャ. を反映する株式のキャピタル・ゲインを非課税 扱いにするべく,この (1-a)Cについても株式 のコストベースを引き上げさせるような方法を とればよい 。 そうすれば,非法人部門における 投資税額控除と同等になると同時に,配当政策. ない。課税所得の税引後部分 (l-t)(P-Pd) に対する所得税の二重課税を回避するため,少 なくともこの金額だけ株式のコストベース の引 き上げをしなければならない。この点からして,. に対する税の中立性をも確保できるのである。 「カーター報告」の提案では,. ビタル・ゲインに対する取り扱い方を示してい. 法人の課税後. 所得 (1-t)Pが配当として分配された後にはじ. マクルーアの投資税額控除の取り扱い方には次 の問題点をもつ。 法人所得のうち,社内留保分と配当分に対す. めて,投資税額控除の租税節約分を配当として. る所得税負担は合計 C だけ減少する点を見れ. 分配されるとの前提がある。 一方, C .E . マクルーアはこ の租税節約分を あらかじめ一定割合で,配当分と社内留保分に 分割し,法人税と所得税の完全統合の中に税額 控除制度を組み込んでいる (9)。. ば,法人段階での税額控除の効果は株主にまで 完全波及しているけれども,一方で,法人 の自 己資金が (l-a)Cだけ増加する。株主にとって 上の所得税負担の減少効果と併せて,こ の自己 資金の追加を反映した株式のキャヒ°タル・ゲイ. ( 9 ) McLure,C .E . ,o p .c i t . ,p p .9 6 9 9 .. ンを得る。租税節約分を配当に向ければ所得税. ― -78-.

(15) 負担の軽減効果のみであるのに,社内留保に向. 措置の目的が達成されない。株主段階での可処. ければ二重の利益が生じる。当然株主は社内留. 分所得の増加を通した貯蓄増加という間接的な. 保に多く向けることを望み,税制が配当政策に. 投資資金の供給増加のみが生じる。 第 2の解決法であれば,税負担の公平化とい. 対して中立的でない。 この問題を解決するためには,次の 2つの方. う完全統合の目的とは完全に合致しないが,投 資を実行する法人の自己資金増加という租税特. 法が考えられる。. 1つは,租税節約分 のうち .配当に向けられ. 別措置の目的がより良く実現する。. 結. る部分 aCは 法 人 税 か ら 税 額 控 除 す る こ と が 忍められても ,社内留保分に向ける部分は法人 税から税額控除を認めない方法である. 語. < 1 0 )。と. ころが.株主の段階で算出税額から税額控除を. 法人税と所得税の統合は.法人部門と非法人. 認める金額は法人税 tP と投資税額控除 C の. 部門の投資所得に対する税負担の均等化を計る. 合計額である。. ところにその目的がある。一方.高速度償却や. このようにすれば.法人投資に対する税額控 除の効果が株主にまで完全波及するし ,株主に. 投資税額控除といった租税による投資誘因措置 は .. 投資の税引後収益率を引き上げると同時. とって税制は配当政策に中立的である。もちろ. に,投資を行う企業の自己資金を増加して投資. んこの方法では投資税額控除による投資を実行. を資金のアヴェイラビリティの面から容易化す. する法人の自己資金増加が配当を通して生じな. ることにその目的がある。この二つの目的を考. 、 し. 慮し,租税特別措置を法人税と所得税の統合の. ゜ もう. 1つの方法は.法人段階で上記 (1-a). 中に組み込む方法を種々検討してきた。. C の税額控除を 認めるが .株主段階で の 算 出. 高速度償却による納税延期の効果を,非法人. 税額からこの金額を税額控除することを認めな. 企業における投資所得と同等になるべく,法人. い方法である。この方法であれば.社内留保が. 企業の投資所褐を取り扱うためには.法人所得. (1-a)C だ け 増 加 す る た め , 株 主 は そ れ を 反. のうち,配当分についてすら,それが実現しな. 映した株式の キャヒ゜タル・ゲ イン の増加という. い配当控除制度は論外である。しかも,この制. 形で利益を得る。このキャピタル・ゲインには. 度の下で株式のキャヒ°タル・ゲインを総合課税. 実現時に所得税が課されるため, (1-m)(1-. すれば,租税特別措置が意図した法人の自己資. a)Cだけ税引後の収益増加が生じる。もちろん. 金増加も生じない。逆に配当促進によってそれ. 投資税額控除による租税節約分が配当に向けら. を枯渇させる作用が生じる。一方.インビュテ. れれば税引後において aCの収益を増加させる. ーション方式の下では.減価償却の追加分を配. ことと比較すれば.その有利性は小さい。この. 当に向ける法人所得と社内留保に向ける法人所. 点から,租税節約分を配当に向けるか社内留保. 得にそれぞれ帰属させるべく分割し.前者に帰. に向けるかについて税制は中立的でない。. 属する部分は株主段階でもその課税所得からの. 第 1の解決策であれば,投資税額控除につい. 控除項目と扱う方法がよい。この方法であれば. て.法人部門と非法人部門の投資所得に対する. 配当水準に依存せずして,高速度償却の効果が. 均等な扱いという目的は達成されるが,投資を. 配当を通して株主に波及する。一方,法人所得. 実行する法人の自 己資金 の増加という租税特別. のうちの社内留保分に帰属さ せた追加的減価償 却分は投資を実行する法人の自己資金を増加せ. 1 1 0 ) 配当分 aC についてのみでなく社内留保分 ( 1. -a)Cについても法人段階で税額控除を認ず , 株主段階で C の税額控除を認めても,同等であ る 。. しめる。しかも.株式のキャピタル・ゲインが 所得税の課税上優遇される限り.過度な配当促 進圧力も生じないゆぇ.投資を実行する法人の. - 7 9-.

(16) 自己資金増加を無に帰してしまうこともない点. 算出税額から税額控除する方法がよい。. で優れている。. いずれにしても,このような完全統合方式の. 法人税と所得税の統合 の目 的からして,投資. 下では,上記完全統合 の 目的実現と,投資を 実. 税額控除についても社内留保分と配当分に分割. 行する法人 の投資の 税引後収益率上昇と併せて. して,後者 につ いては株主の算出税額から税額. 自己資金の豊富 化を行うという租税特別措 置の. 控除することを認める形で株主の税負担の軽減. 目的 を同時 に達成できない。後の目的 を考慮す. を計る方法がよい。一方,前者は法人 の自 己資. れば,完全統合の「完全」さを犠牲にしなけれ. 本を増加させ, 当該法人の投資を投資資金のア. ばならないのである。それゆえ,租税特別措置. ヴェイラビリティ面 から容易にする 。 しかも ,. が有効であるためには,インヒ゜ュテ ーシ ョン 方. 株式のキ ャビタル・ゲインの課税上の優遇措厭. 式に比べた完全統合方式の,我々の基準での優. と組み合わせることによって,過度な配当 水準. 位性はそれだけ減じることになる。. にならないよう防止するメカニズムを持ち合わ せることになる。. 参考文献. 完全統合の下で,高速度償却による減価償却 の追加分を法人所得の 配分と社内 留保分から そ れぞれ控除する形で ,そ の効果を株主にまで完 全波及させる C . E .マクルーアの方法は,法人 税 と所得税の完全統合の意図には 合致するにし ても,法人の自己資本の増加という租税特別措 逍の 目的と合致しない。 それゆえ,高速度償却によって生じる追加的 減価償却分のうち,社内留保に向けられる法人 所得に帰屈する部分は法人段階で控除するが, 株主段階で控除しないで,それを反映する株式 のキャヒ° タル ・ゲインを課税 ベースから除外す る方法が よい 。 この方法であれば,完全統合の 目的には完全に合致しないけれども,投資を実 行す る法人の 自己資金を増加させるのに貢献す る 。 一方,投資税額控除についても,投資を実行 する法人の自己資金の豊富化という目的を考慮 すれば,. C . E .アクルーアの方法の中で, 配当. に向ける法人所褐に帰属する部分のみを株主の. ( 1 1 B r a d f o r d ,D .F and U .S .T r e a s u r y Tax. P o l i c yS t a f f ,B l u e p r i n t sForB a s i c TaxRef a r m , 9 8 4 ,( U . S .T r e a s u r yD e p t . ) . S e c o n de d . ,1 ( 2) H u l t e n ,C . R . and R .A .K l a y m a n ," I n v e s t mentI n c e n t i v ei n Theory and P r a c t i c e , "H . .Pechman( e d s . ) ,U n Aaron,H.G a l p e r andJ e a s yC o m p r o m i s e ,P r o b l e m so faH y b r i dI n c ome B r o o k i n g sI n s t i t u t i o n ) C o n s u m p t i o nT a x ,1988( p p .317-346. ( 3 ) M cLure, C .E . , Must C o r p o r a t eI n c o m e Be T a x e dT w i c e ,S t u d i e so fGovernmentF i n a n c e , 1 9 7 7( B r o o k i n g sI n s t i t u t i o n s ) . ( 4 ) N eumark,F . ," I n c o m eTaxo rI n c o m eT a x e s " .S m i t handJ .M.C u l b e r t s o n( e d s )P u b W.L 9 74( North l i eF i n a n c ea n dS t a b i l i z a t i o nP o l i c y ,1 H o l l a n dP u b l i s h i n gCompany) p p .7 1 9 1 . ( 5 ) P echman, J .A, . World Tax Reform, A n s t i t u P r o g r e s s i v eR e p o r t ,1987(BrookingsI t i o n s ) ( 6 ) R e p o r to f TheR o y a lC o m m i s s i o no n Ta x a t i o n ,V o l .4,1966( Q u e e n sP r i n t e r ) . ( 7 ) F i r s tR e p o r tof t h eC o m m i s s i o no nT a x a t i o n , D i r e c tT a x a t i o n ,1982( S t a t a n a r yo f f i c e ). ( 8 ) S e c o n dR e p o r to ft h eC o m m i s s i o no nT a x a t i o n ,D i r e c tT a x a t i o n ,t h eR o l eo fI n c e n t i v e s , 1 9 8 4( S t a t i o n a r yo f f i c e ) .. -8 0-.

(17)

参照

関連したドキュメント

 所得税法9条1項16号は「相続…により取 得するもの」については所得税を課さない旨

は︑公認会計士︵監査法人を含む︶または税理士︵税理士法人を含む︶でなければならないと同法に規定されている︒.

越欠損金額を合併法人の所得の金額の計算上︑損金の額に算入

  支払の完了していない株式についての配当はその買手にとって非課税とされるべ きである。

The Service has since changed its position, however, and ruled that smoking cessation costs are medical expenses because nicotine causes disease and

それを要約すれば,①所得税は直接税の中心にして,地租・営業税は其の

た意味内容を与えられている概念」とし,また,「他の法分野では用いられ

【消費税】 資産の譲渡等に該当しない (処理なし)。. 【法人税】