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英語教育における最近の研究動向 (<特集2>「教科教育における最近の研究動向」)

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Academic year: 2021

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英語教育における最近の研究動向

兵庫教育大学 山岡俊比古 1.はじめに 最近の英語教育において最も強調されている点は、コミュニケ-シヨンを志 向した教授であろう。 言語の主たる機能がコミュニケ-シヨンにあり、特に口 頭によるコミュニケーションがその中核を占めるとき、外国語としての英語の 教授がこの点を強調して行なわれるのは当然とも言える。 しかし、コミュニケーションの重視は、言語の本来的機能を反映するだけで なく、他の要因によっても動機づけられている。 以下で、このことについて触 れ、コミュニケーション能力の養成に肝要となる過程としての相互作用の効用 と、形式教授との関連におけるその位置づけを最近の. 研究動向として議論する。 2.コミュニケーション重視の背景 コミュニケーション重視の背景の一つとして、第1言語習得過程の特赦由握 と、これによる言語習得モデルとしての理想化があげられる。 第1言語習得は、 親からの意図的教授を受けることなく、音声第1主義の中でコミュニケーショ ンを図ることの結果として行なわれる。 この特徴は、当該言語に触れるすべて の子供が、比較的短期間のうちに. 、その言語の基本のすべてを習得し、その結 果でき上がる文法体系がすべての子供において均質である。 この意味において、 第1言語習得は完壁で理想的であると言える。 もう一つの背景として、伝統的な形式教授偏重による失敗と、その反省をあ げることができる。 筆記テストはある程度できるにしても、,一向に英語を話す ことができないというのが、伝統的授業の一般的な結果であった。 形式教授と は、言語の形式と機能のうち、形式に対して学習者の意識を意図的に向けて行 なわれる教授で、典型的には文法教授となる。 形式教授の効果を測る、一連の研 究を概観した結論によると、形式教授は習得の速さは促進するものの、習得の 道筋そのものを変更することはできない(Long,1983;Ellis,1990),英語の特 定の構造を形式教授し、その効果を測定した実験研究においても、同じ事が確 認されている。 例えば、英語の否定文と疑問文の構造を教授し、その効果を学

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-74-習者の自発的発話の中で調べると、`Inolikeswimming. 'とか`Youlike sports? tnのような発話が確認される。 これらの発話が、自然な英語の習得 の過程上に現われる発話と共通した形式を持っていることに注意すべきである。 さらに、自然な環境における第2言語習得研究の蓄積によって、第2言語が第 1言語習得とかなり似かよった過程を踏んで習得されることが指摘されている。 このような背景を基にして、教室でできる限り自然な習得環境を再現するこ とで第2言語の習得を促す教授法である、自然的アプロ-チが提唱された。 こ こでは、いわゆる理解可能入力を提供することを中心とし、文法配列や文法教 授を排除した教授が行なわれ、何とか聞いて理解するというコミュニケーショ ンを通す中での言語習得が意図される(KrashenandTerrell,1983) 3.形式教授の意味と役割 上で述べた形式教授の役割に関する限定的な結論にも関わらず、第2言語教 室から形式教授を排除してしまうのは早計である。 これにはいくつかの理由が ある。まず、形式教授は多くの要因により、実に様々な形態をとるが、これま での研究では、与えられた形式教授の特定化が行なわれていなかったり、これ が不十分なものが多い。 学習者の特性と学習目標に合わせた形式教授の特定化 を行なって初めて、その効果を適正に測定できる。 また、形式教授が直接的に目標とするものは、コミュニケ-シヨン能力の一 つの基盤作りであって、その能力そのものではないことを認識しなければなら ないff>式教授の直接的な目標は文法的仕組みの認知的理解であって、それを 自発的発話として使いこなす能力の養成ではない。 この観点からすれば、形式 教授がその効果を発揮するためには、形式教授に加えて自発的発話能力養成の ための練習を行なう必要がある。 つまり、形式教授の効果を自発的発議を通し て確認する場合には、形式教授の結果を自発的発話能力まで高めるための活動 が必要であり、それを怠ったところで形式教授の効果を自発的発話を通して測 定することはほとんど意味を持たないのである。 文法を使いこなす能力としての自発的発議能力は、単なる文法操作能力では なく、意図する意味・概念を発話として実現することである。 つまり、この能 力は常に意味と共に機能し、意味の言語的実現を担うものであるO文法知識は 意味の実現のために使用に付されるものなのである。 理解能力も含めてこのこ とを回示すると、図1のようになる。

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-75-(話すこと)

(聞くこと)

」_ _ー_一、」

図1文法を使いこなすことの意味

自発的発話能力はコミュニケーション能力のうちの中核を占めるもので、こ の発話能力を支えているのが文法知識である。 第2言語習得において、第1言 語習得と同じように、自然なコミュニケーションを図る中で自発的発話能力を 身につけることは可能ではあろうが、これを可能たらしめるために必要な入力 量と時間と動機づけの質と量を考慮に入れなければならない。 おそらく、羊の すべてが限定されざるをえないいわゆる外国語として学習環境では、自然な習 得のメカニズムを稼働させることは難しいであろう。 浸潰教授課程(immersion program)に対する批判を参考にすべきである(Hammerly,1989)< 4.相互作用の重要性 限られた条件の中でできるだけ効率的な教授を目指すとき、文法知識の養成 のために適切な形式教授を行なうことは当然と考える。 ただし、形式教授噂垂 がもたらした教訓と、形式教授の限定的役割の認識に基づいて判断すれば、コ ミュニケ-シヨン能力へつながる重要なステップとして、自発的発話能力の養 成を行なうことが必要である。 この能力の実体が意味の言語的実現にあること を考慮に入れると、その養成の過程として、相互作用を有力なものとして上げ ることができる。 言語教室の相互作用とは、教室において目標言語を用いて個 人間で行なわれるコミュニケーションの達成を目指した相互作用を言う。 Alト wright(1984)はこの観点から、教室の相互作用を単に現代的な言語教授法の一 側面としてだけでなく、教室における教授が持つべき必須条件としてとらえるO ただし、このことは教室において無統制の言語的やりとりを奨励するもので はない。そのようなところでは相互作用そのものが生じえないであろうOあく まで相互作用は相互作用が生じる範囲内でしか生じない。 Allwright(1984)は 教授的示唆を述べる中で、学習者が自分に必要な援助を求めることができない ことが明らかになった場合には、このような種類の質問の仕方を彼らに教え、 これを教室の内外でどのように使うことができるか議論することが必要である とし、このような積み重ねが相互作用を育むステップであると述べている。

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-76-ここに、言語教室における形式教授と相互作用の相互依存性と、相互の不可 欠性を見ることができる。 形式教授だけでは甚だしい片手落ちであり、名ばか りの相互作用ほど学習者にとって意欲を減退させるものはない。 したがって、 両面を維持しながら教授を構成しなければならない。 形式教授に関しては、我 々は比較的長い歴史を持っているのに対し、相互作剛ま新しい試みであると言 ってよいであろう。 したがって、Allwrightの示唆からしても、特定の学習者 の特定の学習段階において最もふさわしい相互作用のありかたを求めることが 焦眉の研究課題となる。 最近2年の全国学会誌に、このテーマに関係する論考 を数多く見ることができるが、この要請に応えるものであると言える。 ヽ 恥ite(1991)は、「言語教授における現在の趨勢は、文法教授や形式重視の 教授を避け、誤りの訂正も避けながら豊富な肯定証拠を提供することを行ない、 これを学習者が第2言語を習得する最良の方法であるとしている」と認識した 上で、ある種の否定証拠を形式教授として与えることの絶対的必要性を実験的 に明らかにしている。 相互作用と相並ぶべき形式教授の必要性を示すものとし て、注目すべきである。

参考文献

Allwright,R. L. (1984)Theimportanceofinteractioninclassroomlan guagelearning. 細山旦_dw上inguistics5:156-171.

Ellis,R. (1990)InstructejiJSecjinAJLani旦旦ge.. 如且吐軍ition. Oxford:Basil Blackwell.

Hammerly,H. (1989)Fren. ch_ii│fflers. ipn. i取y. t!ls_.and_xealityJ! ,_A_better classroomroadtobilingual皇旦n. Calgary:DetseligEnterprises.

Krashen,S. D. andT. D. Terrell(1983)TJie. _^jara_l_iitEroa. chj_. i_an星や阜星阜 aj_至担isitionintheclassroom. OxfordandSanFrancisco:Pergamon/ AlleInany Long,M. H. (1983)Doessecondlanguageinstructionmakeadifference? Areviewresearch. 里ISQOuarter. 上里17:359-382. White,L. (1991)Adverbplace加entinsecondlanguageacquisition:some effectsofpositiveandnegativeevidenceintheclassrool刃. Second 垣負担はeResearch7:133-161.

参照

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