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ハンナ・アレントの創設論における「始まり」の恣意性とその暴力性についての批判的検討

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Academic year: 2021

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博士論文要旨

ハンナ・アレントの創設論における「始まり」の恣意性と

その暴力性についての批判的検討

立命館大学大学院社会学研究科 応用社会学専攻博士課程後期課程 まにわ だいすけ 間庭 大祐 本博士論文は、ハンナ・アレントの政治思想における創設論に焦点をあて、「始まり」の 恣意性とその暴力性を批判的に検討することで、アレントが公的領域の可謬性を認めると 同時に「始まり」に抵抗という新たな意義を見出したことを明らかにしたものである。 これまでアレント研究は、時代的な知的状況に応じて多岐にわたって展開されてきた。 そのなかでも90 年代以降の、いわゆるポストモダニズムと呼ばれる思想潮流のなかで、フ ェミニズムやポストコロニアリズムの議論がアレント研究に積極的な役割を果たしてきた。 その結果、アレント思想における「活動的生活」の区分および公的なもの、私的なもの、 社会的なものという区分の境界設定の厳格さを脱構築するとともに、活動概念の両義性を 再検討・再解釈することによって、「熟議」に代わる「闘技」の意義が高調されるようにな った。こうした論争的発展は、アレントの思想から脱構築的性格と参加民主主義的、およ び「差異」の政治という性格を導出する方向で発展してきたと言えよう。それを受けて、 法の創設、同意、アイデンティティという概念に議論が先鋭化してきているのである。 そのなかでも、法の創設についての議論は、アレントの公的領域論および自由論と密接 にかかわっており、アレント思想の両義的性格が明確に現われている。そこで本博士論文 では、アレントにおける創設論を、「始まり」の恣意性とその暴力性という観点から再検討 することで、アレントの自由、ないし「始まり」の再解釈を行うことを目的とする。それ にあって、第一章では、『革命について』で記述されている「始まり」の暴力という問題に 接近することで、アレントのフランス革命批判論を再解釈し、それがたんなる「社会問題」 批判ではなく、政治と暴力をめぐるより内在的な暴力批判(伝統的に自明視されてきた暴 力)であることを明らかにする。それを受けて第二章では、法の創設にきわめて重要な意 義をなしたアメリカ革命論を自由論との両義的性格から検討することで、アメリカ革命そ のものに払拭できない暴力(自由の制度化にともなう暴力)が付帯していること、自由の 制度化そのものが安定化の暴力を内在させてしまう事態を明らかにする。そして第三章で は、二つの位相の暴力の前で最終的に隠されることになった「始まり」が市民的不服従に おいて、抵抗可能性を現わすと同時に、公的領域の可謬性を指し示すことを明らかにする。

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最後に結語において、これらの議論をまとめ、市民的不服従論の今後の課題およびアレン ト思想の現代的意義を提示する。

参照

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なお︑本稿では︑これらの立法論について具体的に検討するまでには至らなかった︒

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