研 究 ノ ー ト 名古 屋市 立 大学 看 護 学 部 紀 要 第10巻2011
訪 問 看 護 に お け る感 染 に 関 す る有 害 事 象 の 実 態
− 管理者 を対象 と したイ ンタビュー調 査か ら −
福 井 幸 子1),矢 野 久 子2) 要 約 訪 問看 護 に お け る感 染 の有 害事 象 と標準 予 防策 実 施 の 実 態 を 明 らか に す るた め、 訪 問 看護 ス テ ー シ ョン6事 業 所 の 管理 者 に、 訪 問 看護 中 に発 生 した感 染 に 限定 した 内容 の イ ン シデ ン ト ・ア ク シデ ン トと標準 予 防策 の遵 守 状 況 に つ い て半 構 成 的 イ ン タ ビ ュー を 実施 した。 感 染 の イ ン シデ ン ト事 例 に は、疥癬 の 発生 、 ノ ロ ウイ ル ス に よ る 感 染 性 胃腸 炎 発 生 、 利 用 者 ベ ッ ド上 に 注射 針 キ ャ ップ の 置 き忘 れ、 結 核 の 発生 、 耐 性 緑 膿 菌 が検 出 され た利 用者 の 発 熱 、 不 衛 生 な環 境 に よ る感 染 の恐 れ が7件 あ った。 ア ク シ デ ン ト事 例 は4件 で 、 利 用 者 か ら看 護 師 にMRS Aが 感 染 した事 例 と、疥癬 が看 護 師 を介 して 利 用 者 間 で 感 染 した事 例 、 そ して ノ ロ ウ イ ル ス が利 用 者 の 家族 か ら 看護 師 に感 染 した事 例 、 訪 問 看護 の対 象 で あ る有 料 ホ ー ム入 所 者 の経 管栄 養 実施 者 に ノ ロ ウイ ル ス の集 団感 染 が あ った。 感 染 の有 害事 象 発 生 の原 因 に は、 感 染 症 や予 防対 策 の情 報 が入 手 しに くい こ と、 標準 予 防策 が遵 守 され て い な い こ とが示 唆 され た。 キ ー ワ ー ド:訪 問 看 護 、 有 害 事 象 、 管 理 者 、 イ ン タ ビ ュ ー 、 標 準 予 防 策 1)青 森県立保健大学健康科学部看護学科 2)名 古屋市立大学看護学部 I.は じ め に 在 宅 ケ ア に お け る感 染 管理 の基 本 は、 病 院 と同様 に 標 準 予 防 策(=ス タ ン ダ ー ドプ リコ ー シ ョ ン:standard precautions)で あ る とい わ れ て い る1)。 標 準 予 防 策 と は、 利 用 者 の感 染 症 罹 患 の有 無 に か か わ らず、 血 液 や体 液、 喀痰 、 尿 、 便 な どの 湿性 生 体 物 質 全 て に感 染病 原 体 が含 ま れ て い る と仮 定 し、 これ らに接 触 す る恐 れ が あ る 場 合 の手 袋 ・マ ス ク ・ガ ウ ンの着 用 、 及 び接 触 した場 合 の手 洗 い、 使 用 器 具 ・器 材 の処 理 な どを適 切 な 時 に適 切 な方 法 で実 施 し、 看 護 師 自身 の身 を守 る と と もに、 感 染 経 路 を遮 断 す る とい う もの で あ る。 訪 問 看 護 の 場 合 、 先 行 研 究2)か ら、 利 用 者 が 手 洗 い場 を提 供 しな い た め手 洗 い が で きな い、 利 用 者 や そ の 家族 が疎 外 感 ・不 快 感 を抱 く こ とか ら手 袋 や マ ス クの着 用 が で きな い、 利 用 者 や ス テ ー シ ョンの経 済 的 負担 を考 え て 使 用 器 材 や衛 生 材 料 を再 利 用 せ ざ るを得 な い等 、在 宅 ケ ア を取 りま く環 境 は病 院 とか な り異 な るた め、 病 院 で 実 施 して い る標 準 予 防策 を 全面 適 用 は 困難 で あ る状 況 が 明 らか とな った。 病 院 に比 して在 宅 ケ ア で は、 サ ー ビス の 提 供 場 所 が利 用者 の 居 宅 で あ り、 家族 に よ る介護 の他 、 複 数 の職 種 が 介護 サ ー ビス を提 供 して い る こ とや、 利 用 者 に 発生 した感 染症 の サ ー ベ イ ラ ンス を有 して い な い た め に感 染経 路 の特 定 が 困難 とな って い る。 この よ うな状 況 か ら訪 問 看護 に お け る標準 予 防 策 の有 効性 を評 価 す る こ とは 困難 で あ り、 そ の こ とが 標準 予 防策 遵 守 に影 響 を 与 え る もの と考 え られ る。 安 全 な訪 問 看護 を 実施 す る上 で早 急 に取 り組 む べ き こ と は、 優 先 して 実施 す べ き標準 予 防策 を明 確 に し、 根 拠 に基 づ いて 実施 す る こ とで あ る。 本研 究 で は、訪 問 看護 中 に利 用者 や訪 問 看護 師 な ど利 用 者 を取 り巻 く人 々 に 発生 した感 染症 の事 例 の 実 態 とそ の 発生 要 因 に つ い て訪 問看 護 ス テ ー シ ョンの 管理 者 に イ ン タ ビ ュー した。 そ の結 果、 在 宅 で 発生 す る感 染症 の有 害事 象 の 実 態 が 明 らか とな り、訪 問 看護 に お い て 実施 す べ き標準 予 防策 を検 討 す る上 で の一 考 察 を 得 た の で報 告 す る。 Ⅱ.研 究 目 的 訪 問 看護 に お け る感 染 の有 害事 象 に影 響 を与 え る標準 予 防策 遵 守 の 実 態 を 明 らか に す る。Ⅲ.研 究 方 法 1.調 査 対 象 者 イ ン タ ビ ュー は、6事 業 所 の訪 問 看護 ス テ ー シ ョンの 管 理 者6名 を対 象 と した。6事 業 所 の 内訳 は、 病 院併 設 で、 設 置主 体 が地 方 公 共 団体 で あ る1事 業 所 と、 病 院 非 併 設 で、 設 置主 体 が 医療 法 人2事 業 所 、 社 会 福 祉 法 人2 事 業 所 、 厚 生 連1事 業 所 で あ った。 ま た、6事 業所 の う ち4事 業 所 は、 介 護 保 険 法 第115条29第1項 に基 づ い て 公 開 して い る 「介 護 サ ー ビス情 報 の公 表」 か ら、"感 染 症 及 び食 中毒 の 発生 事 例 、 ヒヤ リ ・ハ ッ ト事 例 等 の検 討 記 録 が あ る"が 実施 され て い る事 業 所 で、X県 とY県 か ら無 作 為 に抽 出 した3)4)。他2事 業 所 は、 東 京 都 内 のZ 区 で訪 問看 護 ス テ ー シ ョンを統 括 す る責 任 者 か ら紹 介 が あ った事 業 所 と した。 2.調 査 期 間 平 成21年2月 ∼平 成22年5月 3.調 査 方 法: 訪 問看 護 中 に発 生 した、 感 染 に 限定 した 内容 の イ ン シ デ ン ト ・ア ク シデ ン トと標 準 予 防策 の遵 守 状 況 に つ い て 半 構 成 的 イ ン タ ビ ュー を実 施 し、 録 音 した イ ン タ ビ ュー 内容 の逐 語 録 を作 成 した。 1)イ ン タ ビ ュー 内容 (1)属性(管 理 経 験 年 数 な ど)、(2)過去 に発 生 した感 染 症 の有 害事 象 の 内容 と、 訪 問 看護 ス テ ー シ ョンで の 対 応 、 標 準 予 防策 の実 施 状 況 、(3)公開 して い る 「介護 サ ー ビス情 報 の 公 表 」 に あ る 「感 染 症 及 び食 中毒 の 発 生 事 例 、 ヒヤ リ ・ハ ッ ト事 例 等 の検 討 記 録 」 に 関 す る内容 と した。 2)分 析 方 法 逐 語 録 か ら、有 害 事 象 の 内容 と管理 者 が考 え た原 因 、 事 例 に対 す る対 応 と結 果、 有 害事 象 の 発生 後 に立 案 し た感 染 予 防対 策 、 有 害事 象 発 生 に影 響 を与 え る要 因、 標 準 予 防策 の実 施 に 関 す る文脈 を抽 出 し、 事 例 の 実 態 と発 生 要 因 を 明 らか に した。 【感 染 の有 害事 象 に つ い て の操 作 的定 義 】 感 染 の イ ン シデ ン ト事 例 を、1)訪 問 看護 中 に利 用 者 ま た は看 護 師 に発 生 した感 染 症 が適 切 に処 理 され な い と他 者 へ感 染 す る可 能 性 の あ る事 象 、2)看 護 師 が 針 刺 しを お こす危 険 の あ った事 象 、 と した。 つ ま り、 実 際 に は感 染症 が発 生 しな か った が、 ア ク シデ ン トと な る危 険性 の あ った事 象 と した。 ま た、 感 染 の ア ク シ デ ン ト事 例 を、1)訪 問看 護 中 に利 用 者 ま た は看 護 師 に発 生 した感染 症 に対 して、適 切 な行 動 が と られ なか っ た こ とか ら他 者 へ感 染 が広 が った可 能 性 の 高 い事 象、 2)利 用者 の 感 染症 に 関 わ らず、 訪 問 看護 中(移 動 を 含 む)に 発生 した 看護 師 の 針刺 し、 と した。 4.倫 理 的配 慮 選 出 した訪 問看 護 ス テ ー シ ョンの 管理 者 に対 し、 事 前 に電 話 連 絡 し、 口 頭 で 了解 が得 られ た場 合 、正 式 に依 頼 文書 を発 送 し同意 を 得 た。 そ の 際 、依 頼 文書 に は、 研 究 協 力 を 断 る こ とで の不 利 益 が生 じな い こ とを 明記 し、 協 力 の任 意 性 を確 保 して い る。 イ ン タ ビ ュー に対 して の 発 言 内容 は、 同意 が得 られ た場 合 は録 音 し、 録 音 途 中 で の 拒 否 も可 能 で あ る こ とを説 明 した。 本 研 究 は、 青 森 県 立 保 健 大 学 研 究 倫 理 委 員 会(ID: 08097)、 名 古 屋 市 立 大 学 看 護 学 部 研 究 倫理 委 員 会(ID: 09017)の 承 認 を得 て 実 施 した。 IV.結 果 病 院 併 設 型1事 業 所 と病 院 非 併 設 型5事 業 所 で 調 査 を 実 施 した 。 イ ン タ ビ ュ ー の 平 均 時 間 は 管 理 者 一 人 あ た り 80.8分(最 小57分 、 最 大105分)で あ っ た 。 イ ン シ デ ン ト ・ア ク シ デ ン ト共 に 発 生 、 何 れ か の 発 生 が あ っ た の は 5事 業 所 で 、 何 れ も な か っ た の は病 院 併 設 型 の1事 業 所 で あ っ た(表1)。 イ ン シ デ ン ト は 、 針 キ ャ ッ プ の 置 き 忘 れ 、 ノ ロ ウ イ ル ス 感 染 症 疑 い 、疥癬 の 発 生 、 耐 性 緑 膿 菌 が 検 出 さ れ た 利 用 者 の 発 熱 、 不 衛 生 な 環 境 で の 感 染 の 危 険 、 が 各1件 と結 核 が2件 で 合 計7件 〔事 例1∼7〕 で あ っ た(表2)。 ア ク シ デ ン ト は 、 ノ ロ ウ イ ル ス 感 染 症 発 生2件 、MRSA(Methicillin-resistant Staphylo-coccus aureus)感 染 症 の 発 生1件 、疥癬 の 発 生1件 の 合 計4件 〔事 例8∼11〕 で あ っ た(表3)。 1.有 害事 象 の 内 容 1)イ ン シデ ン ト事 例 イ ン シデ ン ト事 例 に は、利 用者 の ベ ッ ド上 に 注 射 針 キ ャ ップ の 置 き忘 れ(1件)、 ノ ロ ウイ ル ス感 染 症 疑 い の利 用 者 発 生(1件)、疥癬 発 生(1件)、 結 核 発生 (2件)、 耐 性 緑 膿 菌 の利 用 者 が 発 熱(1件)、 不 衛 生 な 環 境 に よ る感 染 の 恐 れ(1件)、 の7件 が あ っ た (表2)。 2)ア ク シデ ン ト事 例 利 用 者 の感 染症 が他 者 に感 染 した ア ク シデ ン ト事 例 が あ った の は4事 業所(表1・ 表3)で 、 そ の うち、 訪 問看 護 の対 象 が有 料 ホ ー ム入 所 者 の事 例 で 、経 管 栄 養 実施 者 の ノ ロ ウイ ル ス集 団感 染 が1件 あ った。 利 用 者 か ら看 護 師 にMRSAが 感 染 した 事 例 、疥癬 が 利 用 者 か ら看 護 師 に、 看 護 師 か ら別 の利 用者 に 感 染 した事
表1訪 問看護管理者 の属性 と有 害事象 の概要 例 、 利 用 者 の 家族 か ら看 護 師 に ノ ロ ウイ ル ス が感 染 し た事 例 が 各1件 で あ った。 ア ク シデ ン トの原 因 と して 管理 者 が考 え た の は、 利 用者 間 で使 用 す る注射 器 や血 圧 計 等 の 医療 器 具 の共 有 、 マ ニ ュア ル の周 知 を含 め て ガ ウ ンや マ ス ク等 の個 人 防護 具着 用 が ス タ ッ フに徹 底 され て い な か った こ とで あ った。 看 護 師 の針 刺 しの事 例 は な か った。 3)イ ン シデ ン ト ・ア ク シデ ン トの発 生 が無 か った事 例 イ ン シデ ン ト ・ア ク シデ ン トの発 生 が無 か った事 例 は病 院併 設 型1事 業 所 で、 病 院 と同様 の 標準 予 防策 を と って訪 問 して い る こ と、 訪 問看 護 開始 前 に 感 染症 有 無 の検 査結 果 を確 認 で き る こ と、 訪 問 時 に感 染症 が疑 わ れ た 時点 で 医 師 か ら検 査 の オ ー ダー が得 られ る状 況 で あ った(表4)。 2.事 業 所 別 の 手 指 衛 生 と 個 人 防 護 具 の 使 用 を め ぐ る 標 準 予 防 策 の 状 況 1)手 指 衛 生 6事 業 所 に お け る手 指 衛 生 の 状 況 は 表5の と お り で あ っ た 。 利 用 者 や 家 族 に 遠 慮 し て 手 洗 い 場 の 使 用 の 申 し 出 に 苦 慮 す る状 況 や 、 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン か ら持 参 した 石 鹸 を 持 参 す る、 あ る い は 私 物 の ハ ン カ チ で 手 を 拭 く な ど の 状 況 が み られ た 。 ま た 、CDC(Centers for Disease Control and Prevention:米 国 疾 病 予
防 セ ン ター)が 手 指 衛 生 の方 法 で は第 一 優 先 と して勧 め て い る擦 式 速 乾 性 ア ル コ ー ル手 指 消 毒5)を 慣 習 的 に 実施 して い る管理 者 が い る一 方 、方 法 が周 知 され て い な い と述 べ た 管理 者 もい た。 2)個 人 防護 具(手 袋、 マ ス ク、 ガ ウ ン) 表6の とお り、 個 人 防護 具 の使 用場 面 や 管理 方 法 に つ い て は様 々 な状 況 が み られ、 統 一 され て い なか った。 看護 師 が私 物 の マ ス クを購 入 して使 用 す る場 合 もあ っ た。 V.考 察 わ が 国 で は、 在 宅 ケ ア 感 染 に 関 す る サ ー ベ イ ラ ン ス は 実 施 さ れ て い な い た め 、 訪 問 看 護 利 用 者 の 感 染 症 罹 患 率 や 感 染 症 の 種 類 、 発 症 した 利 用 者 に 実 施 さ れ て い た 医 療 処 置 を 含 む 訪 問 看 護 サ ー ビ ス の 内 容 に つ い て の 統 計 学 的 な デ ー タ は な い 。 二 階 堂 ら がN市 の22箇 所 の 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン を 対 象 に 実 施 した 調 査 で は、 訪 問 看 護 の 道 中 で の 交 通 事 故 や 、 利 用 者 の 転 倒 ・転 落 な ど の イ ン シ デ ン ト ・ア ク シ デ ン トが 明 ら か と な っ て い る6)。 ま た 、 看 護 師 自 身 に 発 生 した 事 故 と して 、 針 刺 しの イ ン シ デ ン トが 3件 、 ア ク シ デ ン トが1件 、 結 核 や疥癬 等 の イ ン シ デ ン トが5件 、 ア ク シ デ ン トが2件 、 と い う結 果 を 示 して い る。 しか し、 こ の 調 査 で は利 用 者 側 の 感 染 症 は把 握 さ れ
表2感 染 の イ ン シ デ ン ト 事 例 〔事 例1∼7〕 事 例 事 例1 事 例2 事 例3 事 例4 事 例5 事 例6 事 例7 状 況 注 射 針 や キ ャ ッ プ は 密 封 容 器 に 入 れ て 、 看 護 師 が そ の 都 度 、 持 ち 帰 っ て い た が 、 訪 問 時 、 患 者 の ベ ッ ド か ら 採 血 ま た は 点 滴 後 の キ ャ ッ プ が 出 て き た 。 嘔 気 ・ 下 痢 の 症 状 を 訴 え る 利 用 者 が い た 。 左 麻 痺 の 利 用 者 の 右 手 に ト ン ネ ル の よ う な 掻 き 傷 を 発 見 し た 。 発 熱 で 受 診 を 繰 り 返 し て い た 一 人 暮 ら し の 利 用 者 が 入 院 。 入 院 後 、 塗 抹 陽 性 で 結 核 と 診 断 さ れ 、 ケ ア マ ネ ジ ャ ー か ら ス テ ー シ ョ ン に 報 告 が あ っ た 。 利 用 者 が 入 院 後 に 結 核 菌 の 排 菌 が み ら れ 、 系 列 の 病 院 か ら 非 公 式 に 報 告 が あ っ た(家 族 や ケ ア マ ネ ジ ャ ー か ら の 報 告 は な か っ た)。 訪 問 看 護 開 始 前 に 病 院 か ら の 情 報 で 、 利 用 者 が 耐 性 緑 膿 菌 保 菌 者 と 知 っ た 。 糖 尿 病 で 血 糖 コ ン ト ロ ー ル が 悪 い 一 人 暮 ら し の 認 知 症 の 利 用 者 の 居 宅 が 不 衛 生 で 、 洋 式 便 器 の 側 面 や 廊 下 、 座 椅 子 、 マ ッ ト 、 畳 な ど は 便 ま み れ で 、 ね ず み の 糞 も あ っ た 。 対 応 針 は 処 置 毎 に 持 ち 帰 ら ず 、 針 捨 て 容 器 を 利 用 者 宅 に 常 置 し 、 処 置 最 終 日 、 ま た は あ る 程 度 容 器 内 の 廃 棄 物 が 溜 ま っ た ら 、 病 院 に 持 参 す る よ う に し た 。 検 査 結 果 が 出 る 前 に 、 症 状 か ら 感 染 性 胃 腸 炎 と 推 測 し 、 標 準 予 防 策 の 実 施 と 家 族 に 便 器 の 消 毒 ・ 吐 物 の 扱 い 、 手 洗 い や 含嗽 等 を 指 導 し た 。 標 準 予 防 策 の 継 続 (処 置 後 の 手 洗 い 、 擦 式 消 毒 用 ア ル コ ー ル 使 用 は 習 慣 化 し て い た)。 管 理 者 は ノ ロ ウ イ ル ス 感 染 症 に 関 す る 知 識 が あ っ た 。 症 状 か ら疥癬 と 判 断 。 管 理 者 は疥癬 の 流 行 を 病 院 勤 務 時 に 体 験 し て い た ため 、疥癬 に つ い て の 知 識 が あ っ た 。 か か り つ け 医 に 依 頼 し 、 皮 膚 科 へ の 紹 介 状 を 手 配 し 、 早 期 受 診 を 勧 め た 。 接 触 感 染 予 防 策 を 追 加 し 、 治 療 ・ 処 置 (清 拭 、 軟 膏)を 実 施 し た 。 接 触 感 染 予 防 策 と し て は 、 デ ィ ス ポ ー ザ ブ ル の 帽 子 ・ マ ス ク ・ 手 袋 ・ ガ ウ ン ・ シ ュ ー カ バ ー を 着 用 し た 。 事 後 対 応 に つ い て 保 健 所 に 相 談 。 濃 厚 接 触 し た 看 護 師 数 名 の う ち 、 一 人 は 退 職 し て い た た め 、 保 健 所 担 当 者 が 対 応 し た 。 他 の 看 護 師 は 、 3ヶ 月 後 に レ ン ト ゲ ン 検 査 を 受 検 す る よ う 指 導 が あ っ た 。 保 健 所 に 連 絡 し 、 職 員 は 指 示 に 従 い 経 過 観 察 し た 。 病 院 で は 経 管 栄 養 や 吸 引 が 必 要 で 使 い 捨 て の エ プ ロ ン を 使 用 し 個 室 対 応 だ っ た が 、 在 宅 で は 訪 問 の 順 番 を 最 後 に す る 程 度 で 、 標 準 予 防 策 を 基 本 と し た 対 応 だ つ た 。 訪 問 看 護 開 始 後 、 間 も な く 発 熱 の た め 再 入 院 と な っ た 。 再 入 院 は 、 救 急 車 で の 搬 送 と な っ た が 、 そ の 際 、 耐 性 緑 膿 菌 の こ と を 救 急 隊 員 に 伝 え た 30分 の 契 約 時 間 の 中 で 訪 問 サ ー ビ ス を 効 率 よ く 、 ま た 感 染 予 防 の 目 的 で 、 浴 室 用 の ス リ ッ パ で 家 に 入 り 、 浴 室 に 置 い て あ る 長 靴 に 履 き 替 え 、 使 い 捨 て の 長 手 袋 と エ プ ロ ン を 着 用 し 、 最 初 に 身 体 を 洗 う こ と と し た 。 結 果 利 用 者 並 び に 看 護 師 に 針 刺 し の 発 生 は な い 。 利 用 者 の 家 族 や 他 の 利 用 者 、 看 護 師 に ノ ロ ウ イ ル ス 感 染 症 の 発 生 は な い 。 皮 膚 科 受 診 後 、疥癬 の 診 断 が 確 定 し 治 療 開 始 。 利 用 者 の 家 族 や 他 の 利 用 者 、 看 護 師 に疥癬 の 発 生 は み ら れ ず 。 他 利 用 者 に 対 し て も 通 院 先 や 退 院 先 の 病 院 で 流 行 し て い る 感 染 症 を 非 公 式 な 形 で 意 識 的 に 情 報 収 集 す る よ う に な っ た 。 そ の 後 の 検 診 で 職 員 に 異 常 は な い 。 ノ ロ ウ イ ル ス や イ ン フ ル エ ン ザ な ど が 利 用 者 や 家 族 、 看 護 師 や そ の 家 族 に 感 染 し た と わ か っ た 時 、 確 認 し た 部 分 を 一 覧 表 に 書 き 、 全 員 が 情 報 を 共 有 す る よ う に し た 。 そ の 後 の 検 診 で 職 員 に 異 常 は な い 。 他 の 利 用 者 や 看 護 師 に 発 熱 は み ら れ な い 。 感 染 症 の 発 生 は な い 。
表3感 染 の ア ク シ デ ン ト 事 例(事 例8∼11) 事 例 事 例8 事 例9 事 例10 事 例11 発 生 経 過 経 管 栄 養 を 実 施 し て い る 有 料 ホ ー ム 入 所 者20名 が ノ ロ ウ イ ル ス に よ る 感 染 性 胃 腸 炎 に 集 団 感 染 し た 。 訪 問 看 護 師 ス タ ッ フ が1ヶ 月 前 か ら 膿 性 の 鼻 汁 が 続 い て い る こ と を 管 理 者 に 相 談 す る 。 管 理 者 は 、 ス タ ッ フ がMRS A感 染 症 の 利 用 者 宅 を 訪 問 し ケ ア し て い た こ と か ら 、 感 染 を 疑 い 病 院 で の 受 診 を 勧 め た 。 そ の 結 果 、MRSAが 検 出 さ れ た 。 ケ ア で の 接 触 感 染 予 防 策 は 実 施 し て い た 。 管 理 者 の 病 院 勤 務 で の 経 験 か らMRSA対 策 を 厳 重 に 実 施 し 、 訪 問 看 護 ス タ ッ フ に も 指 導 し て い た 。MRSA保 菌 者 宅 訪 問 時 は マ ス ク 、2重 の 靴 下 、 手 袋 、 ガ ウ ン (綿)を 着 用 し て い る 。 石 鹸 や タ オ ル は 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン の 物 を 持 参 し 使 用 し て い る 。 使 用 後 の ガ ウ ン は 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン に 持 ち 帰 り 洗 濯 し て い た 。 訪 問 は 最 後 に し て い た 。 利 用 者Aの 両 脇 ・ 両 上 肢 、 腹 部 に あ る 湿 疹 が 改 善 さ れ な い ため 皮 膚 科 受 診 し た 結 果 、疥癬 と 診 断 さ れ た 。 利 用 者Aの 担 当 看 護 師 の 前 胸 部 や 上 腕 部 に 発 赤 疹 が 出 現 し 、 リ ン デ ロ ン 軟 膏 を 塗 擦 す る 。 腹 部 に も 発 疹 が 広 が り 、 受 診 後 、疥癬 と 診 断 さ れ 出 勤 停 止 と な る 。 利 用 者Aに 診 断 が つ い た1週 間 後 、 利 用 者Bの 腹 部 に 湿 疹 あ り 。 診 察 後 、疥癬 と 診 断 さ れ た 。 利 用 者Bは 利 用 者Aの 後 の 訪 問 先 で あ っ た 。 訪 問 先 の 家 族 が ノ ロ ウ イ ル ス 感 染 症 に 罹 患 し た 。 そ の 後 、 訪 問 看 護 ス タ ッ フ が 胃 腸 炎 を 発 症 し た 。 訪 問 時 に は 家 族 は 嘔 吐 し て い な か っ た が 、 発 症 時 期 が 近 か っ た 。 利 用 者 に ノ ロ ウ イ ル ス の 発 症 は な か っ た 。 ケ ア の 状 況 経 管 栄 養 開 始 前 に 経 鼻 胃 管 に 注 射 器 を 接 続 し 、 気 泡 音 を 聴 診 し 、 胃 管 先 端 の 位 置 を 確 認 し て い た 。 MRSA感 染 症 の 利 用 者 は 在 宅 酸 素 療 法 を し 、 気 管 切 開 孔 か ら 吸 引 を 実 施 し て い た 。 胃 ろ う も 造 設 し て い る 。 自 費 に よ る24時 間 ヘ ル パ ー の 付 添 い が あ っ た 。 利 用 者Aは 脳 梗 塞 と 認 知 症 の 寝 た き り で 、 血 圧 測 定 、 お む つ 交 換 、 清 拭 と 陰 部 洗 浄 等 を 実 施 し て い た 。 湿 疹 に は ス テ ロ イ ド 混 合 の 軟 膏 を 塗 擦 し た 。 利 用 者Bは 血 圧 測 定 と リ ハ ビ リ を 実 施 し て い た 。 利 用 者 は 中 心 静 脈 ラ イ ン や 尿 道 カ テ ー テ ル 留 置 中 で 、 そ れ ら の 管 理 お よ び 気 道 内 吸 引 を 実 施 し て い た 。 推 測 さ れ た 感 染 の 原 因 気 泡 音 の 聴 取 の た め に 使 用 し て い る 注 射 器 は 共 有 で 使 用 し て い た 。 注 射 器 等 の 不 適 切 な 使 用 が 原 因 と 推 測 さ れ た 。 不 明 利 用 者Aに 皮 膚 の 異 常 は あ っ た が 、 接 触 時 の 手 袋 着 用 は な し 。Tシ ャ ツ と エ プ ロ ン で ケ ア し 、 エ プ ロ ン は 汚 染 し た 場 合 の み 交 換 し て い た 。 担 当 看 護 師 は 、 自 宅 に 直 接 帰 宅 す る 勤 務 形 態 で あ り 、 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン で 更 衣 ・ 洗 濯 し て い な か っ た 。 事 業 所 の マ ニ ュ ア ル で は 利 用 者 毎 に エ プ ロ ン を 替 え る こ と と な っ て い た が 、 そ の 看 護 師 は 知 ら な か っ た 。 感 染 し た 看 護 師 は 、 臨 床 経 験 が 精 神 科 の み で 、 退 職 後 、 期 間 を お い て か ら 訪 問 看 護 に 従 事 し て い た 。 皮 膚 の 湿 疹 部 に 直 接 当 て た マ ン シ ェ ッ ト を 他 利 用 者 で も 使 用 し て い た 。 推 測 さ れ る 原 因 と し て は 、 器 材 の 不 適 切 な 使 用 や ガ ウ ン の 不 適 切 な 着 用 、 マ ニ ュ ア ル の 周 知 の 不 徹 底 が あ る 。 室 内 に あ る 絨 毯 に 付 着 し て い た 嘔 吐 物 を 吸 い 込 ん だ 可 能 性 が あ る 。 マ ス ク を す ぐ に 着 用 し な か っ た こ と も 原 因 と 推 測 し て い る 。 そ の 後 の 対 策 と 発 生 状 況 ボ ト ル 、 注 射 器 、 接 続 ラ イ ン は 洗 浄 後 、 熱 湯 消 毒 す る よ う 改 善 し た 。 結 果 、 現 在 ま で 集 団 発 生 は な い 。 追 加 ・ 修 正 し た 予 防 策 は な い が 、 他 の 利 用 者 や 看 護 師 へ の 感 染 は な い 。 感 染 し た 看 護 師 は 出 勤 停 止 と し た 。 皮 膚 の 異 常 時 の 早 期 受 診 と 器 材 の 取 り 扱 い や マ ニ ュ ア ル の 内 容 と 周 知 方 法 を 見 直 し た 。 利 用 者A,Bと も 治 癒 し 、 そ の 後 に疥癬 の 発 生 は 無 い 。 発 症 し た ス タ ッ フ は 受 診 し な か っ た が 有 給 休 暇 を と っ た 。 マ ス ク を 訪 問 バ ッ グ に 常 備 す る こ と と し た 。 労 働 災 害 補 償 の 対 象 と は な ら な か っ た 。
表4感 染 の有 害事象 の発生が なか った事業所 の感染予 防策 感染症 の把握状況 ・病 院退 院後 に訪 問看 護 を利 用 す るケ ー ス が 多 い。 ・訪 問 看 護 サ ー ビス の提 供 前 に、必 ず入 院時検査を実施 している感染症(MRSA、 結 核 、B・C型 肝 炎 、 梅 毒 等)の 結 果 を把 握 す る こ とに して い る。 感染症 の早期発見 1回/2週 の 訪 問 診 療 で 医 師 に 同 行 し、 利 用 者 に感 染 症 が 疑 われ た場 合 に は、 直 ち に検 査 が 指 示 さ れ る。 感染予 防策 の状況 ・対 象 者 の状 況 に か か わ らず手 袋 、マス ク、 ガ ウンを使用 してい る。 ・殆 どす べ て の ケ ア(清 拭 を含 む)で 手 袋 を着 用 して い る。 ・院 内 の感 染 対 策 委 員 会 か ら特 別 に指 示 が あ る場 合(例:イ ン フル エ ンザ の流 行期)に は、訪 問時、 必 ず マ ス ク を着 用 す る 。 ・病 院 の 看 護 師 の マ ス ク着 用 に 慣 れ て い る た め、訪 問看護 の利用者 か らマス クに対す る抵抗感 の訴 え は少 な い。 ・病 院 内 の訪 問看 護 室 で あ るた め、感 染予 防策 も、病 院での感 染予 防対策 の延長 とな ってい る。 表5事 業所 別の手指衛生 の状 況 手 指 衛 生 の 方 法 に 関 す る こ と 使 用 物 品 に関 す る こ と A訪 問看護室 ・利 用 者 宅 で手 洗 い場 を提 供 され る場 合 は少 な い。 ・手 洗 い 場 の 提 供 を お願 い した ら洗 面 器 を 居 室 に 持 っ て きた。 ・手 洗 い 場 を 貸 して くだ さ い と言 え な い雰 囲気 が あ る。 ・ケ ア す る部 屋 か ら他 の 室 内 に 出 入 りす るの を利 用 者 や家 族 は好 ま な い。 ・便 失 禁 の 処 置 後 、手洗 いを勧 めて くれたが、 流 し場 は調 理 で使 用 して い たた め 、 手洗 い を言 い 出せ なか っ た。 ・手 洗 い で きず 気 持 ち悪 い 時 は、 病院 に帰 る途 中の公 衆 トイ レ等 で洗 う。 ・車 内 に は携 帯 用 の擦 式 速 乾 性 ア ル コ ー ル手 指 消 毒 薬 を常 備 して い る。 ・利 用 者 宅 の液 体 石 鹸 を使 用 す る こ とが あ る。 B訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン ・清 潔 操 作 が 必 要 な ケ ア で は最 初 に手 指 衛 生 を実 施 す る。 ・流 水 と石 鹸 で 手 洗 い後 に 擦 式 速 乾 性 ア ル コ ー ル 手 指 消毒 薬 で手 指 消毒 し、 手 袋 を着 用 す る。 ・利 用 者 宅 に 石 鹸 が 置 い て い な い場 合 や 汚 れ て い る場 合 は、 持 参 して き た石 鹸 を使 用 す る。 ・持 参 した私 物 のハ ンカ チで 手 を拭 く。 ・ペ ーパ ー タオ ル を利 用 者 ごと に1枚 使 用 す る案 が あ っ た が 、 訪 問 時 の荷 物 に な る と い う理 由 で 実 施 さ れ な か っ た。 C訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン ・手 洗 い後 、 私 物 の ハ ンカ チ で 拭 き、 そ の 後 、 擦 式 速 乾 性 ア ル コー ル手 指 消毒 薬 で手 指 消毒 す る。 ・擦 式 速 乾 性 ア ル コ ー ル 手 指 消 毒 薬 で の手 指 消 毒 は習 慣 化 さ れ て い る。 ・石 鹸 は こ れ ま で 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ンか ら持 参 して い た が 、 コス ト削 減 の ため 、 平 成21年 度 か ら利 用 者 宅 の もの を使 用 す る予 定 で あ る。 D訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン ・利 用 者 宅 の手 洗 い場 を借 りて手 洗 い を実 施 す る。 ・事 業 所 か ら ミュ ー ズR石 鹸 を 持 参 し、 手 洗 い に使 用 す る。 ・持 参 した事 業 所 の タ オ ル を使 用 して 手 を拭 く。 E訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン ・訪 問 時 と処 置 中 は、手洗 いをす る。 ・石 鹸 と ペ ー パ ー タ オ ル は事 業 所 か ら持 参 した 物 を使 用 す る。 F訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン ・利 用 者 宅 の 流 し台 で そ の 家 の衛 生 状 態 が 確 認 で き る の で必 ず手 洗 い を す る。 ・洗 面 所 で な く、 台 所 や トイ レの手 洗 い場 、 トイ レ の 水 タ ン ク上 等 で手 洗 い を す る場 合 もあ る。 ・手 洗 い 回 数 を減 らす よ う に、 清 潔 ケ ア を 先 に して か ら次 の ケ ア を行 うよ うに して い る。 ・訪 問 直後 は手 洗 い を す る。 ・居 室 に 入 る前 に 洗 面 所 が あ る場 合 に は処 置 前 に 手 洗 い を す る が 、 利 用 者 に 挨 拶 して か ら手 洗 い 場 所 に行 く場 合 は、 手 洗 い 前 に 体 温 計 を 入 れ る な ど の処 置 を して利 用 者 に触 れ て しま う。 ・擦 式 速 乾 性 ア ル コ ー ル 手 指 消 毒 薬 を手 洗 い 後 に 使 用 す るの は面 倒 な の か も しれ な い。 ・擦 式 速 乾 性 ア ル コ ー ル 手 指 消 毒 薬 を用 い た 手 指 衛 生 が 手 指 衛 生 方 法 の 第1優 先 と ガ イ ドラ イ ン に あ る こ と は知 らな い。 管 理 者 の 自分 が 意 識 改 革 を しな けれ ば な らな い。 ・ス テ ー シ ョ ン に 帰 っ て か ら の 手 洗 い は 布 タ オ ル で 、 訪 問 先 で は ペ ー パ ー タ オ ル を 使 用 す る 。 ・擦 式 速 乾 性 ア ル コ ー ル 手 指 消 毒 薬 を 持 参 さ せ て い る が 、 ス タ ッ フ は 使 用 し な い 。
表6事 業所 別の個 人防護具使 用の状 況 使用場面 管理方法(交 換場面 を含 む) A訪 問看護室 ・陰部 洗 浄 を伴 わ な い 清拭 の場 合 で も手 袋 は着 用 す る。 ・手 袋 を着 用 しな い の は、 訪 問直後 に行 うバ イ タル測 定 と体 操 の 介助 時 ぐ らい で あ る。 ・マ ス ク は、利用者 が感 染症で ない場合 で も着 用す る。 ・デ ィス ポ ー ザ ブ ル エ プ ロ ンは 、 まだ導入 して いない が 、 必 要 性 につ いて 話 し合 って い る。 ・入 院 時MRSAが 検 出 さ れ る場 合 が 多 く、訪 問開始 後 も吸 引 す る こ とが あ る の で デ ィ ス ポ ーザ ブ ル エ プ ロ ンの 準 備 は必 要 と思 う。 B訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン ・エ プ ロ ン は任 意 で 着 用 し、事 業所へ の出勤時 と帰宅 時 は制 服 に 更衣 す る。 ・事 業 所 で 準 備 した マ ス ク を使 用 して い る。 ・手 袋 は、一 回 の訪 問で利用 者宅 か ら2枚 まで の使 用 と し、 それ 以 上 は事 業 所 の物 を使 用 して い る。 C訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン ・痰の 吸 引 時 は手 袋 とエ プ ロ ンを着 用 す る。 ・基 本 は エ プ ロ ン着 用 し、 訪問 時に手洗 い、痰 の出て い る利 用 者 を訪 問 す る場 合 は マ ス クを着 用 す る。 ・マ ス ク は痰 が 出 て い る 利 用 者 訪 問 時 と看 護 師 が 風 邪 気 味 の 時 に着 用 す る。 ・次 の 訪 問 で 呼 吸 器 使 用 の利 用 者 が い る場 合 は エ プ ロ ンを 交 換 す る が 、 そ れ 以 外 は同 じエ プ ロ ンで 訪 問 す る。 ・エ プ ロ ン交 換 の頻 度 は1回/週 程 度 で あ る。 ・エ プ ロ ンは 自宅 で 洗 濯 す る。 D訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン ・MRSA保 菌 者 の訪 問 時 に は マ ス ク、2重 の靴下、 手 袋 と予 綿 の予 防衣 を着 用 す る。 ・2重 の靴 下 は、訪 問終了 時に1枚 脱 いでか ら帰 る。 ・疥癬 の利 用 者 を 訪 問 す る場 合 は デ ィ ス ポ ー ザ ブル の キ ャ ップ と袖 の長 い ガ ウ ン、 マ ス ク と手 袋 を着 用 し 厳 重 に 防護 す る。 ・使 用 後 の予 防 衣 は 内 側 に巻 い て ビニ ー ル袋 に 入 れ て 事 業 所 に持 参 し、 洗 濯 す る。 E訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン ・家族 が 手 袋 を着 用 しな い で 陰 部 洗 浄 す る場 合 が あ る。 ・家 族 な ど介 護 者 の 中 に は 手 袋 着 用 に抵 抗 を 示 す 場 合 もあ る。 ・吸 引 や 軟 膏 で 手 袋 を着 用 し な い家 族 に対 し、手 袋着 用 を理 解 して い た だ くに は 時 間 を要 す る。 ・マ ス ク は 利 用 者 や 訪 問 看 護 師 自 身 が 咳 を して い る と きや イ ン フル エ ンザ の シー ズ ンに着 用。 ・看 護 師 の マ ス ク 着 用 は 花 粉 症 で も着 用 す る の で 抵 抗 は な い よ うだ。 ・マ ス ク は利 用 者 が 咳 を して い る場 合 は1件 ず つ 使 い 捨 て る よ う指 導 して い る。 F訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン ・施 設 内 の 他 部 門 で 発 熱 者 が 発 生 す る と ス テ ー シ ョ ン で も全 員 が マ ス クを す るよ う決 め られ て い る。 ・サ ー ジ カ ル マ ス ク は よ く使 用 す る が、 看 護 師 が 個 人 で マ ス ク を 購 入 して い る 。 ・デ ィ ス ポ ー ザ ブ ル の シ ュ ー カ バ ー は な い が、 靴 下 の 上 に 着 用 す る 綿 製 の 靴 下 カ バ ー を 共 有 して い る 。 て お らず、 ま た、 感 染 管理 の 実 態 に つ い て は触 れ て い な い た め、 標 準 予 防策 の有 効 性 を検 証 す る もの で は な い。 今 回 の感 染 に特 化 した有害 事 象 の イ ン タ ビュ ー調 査 は、 小 規 模 で は あ るが、 訪 問看 護 に お け る感 染 の 実 態 が 明 ら か とな り、 ま た、 訪 問看 護 に お け る標準 予 防策 の有 効 性 を検 証 す る上 で手 が か り とな る結 果 が示 され た。 1.感 染 の有 害事 象 に つ い て 表2の 感 染 の イ ン シデ ン ト事 例 で は、 利 用者 に結 核 が 発 生 した場 合 の情 報 が訪 問看 護 事 業 所 に 届 い て お らず 、 この こ とが 看護 師 へ の感 染 の リス クを 高 い もの と して い る。 訪 問 開始 に 当 た って は、 退 院 サ マ リー の他 に、 病 院 で の事 前 訪 問 に よ り、 病 院 で把 握 して い る感 染症 に 関 す る情 報 を得 る機 会 は あ るが、 訪 問看 護 中 に 発生 した感 染 事 例 につ いて は情 報 の入手 が 不十 分 な状 況 が 明 らか とな っ た。 情 報 入 手 を 困難 に して い る原 因 の一 つ に 家族 か らの 情 報 が得 られ な い こ とが挙 げ られ るが、 そ の背 景 に は、 感 染 の拡 大 予 防 とい う認 識 が低 い こ とや、 感 染症 発生 に よ って訪 問看 護 が 中止 され る こ とを危 惧 して い る こ とが 考 え られ る。 ま た、 保 健 所 で結 核 の発 生 を把 握 して い た と して も、 利 用 して い た 介護 サ ー ビス業 者 へ の連 絡 は な され て お らず、 管 理 者 らは ケ ア マ ネ ジ ャー や 系列 の病 院 か ら情 報 を 得 て い た こ とか ら、情 報 伝 達 の シス テ ム が 確 立 され て い な い こ とが情 報 入 手 を 困難 に して い る と考 え られ る。 訪 問看 護 で は利用 者 の感 染 症 を把 握 す る こ とで、 個 人 防護 具 の着 用 や訪 問 先 の順 番 を 決定 す るな ど、 看 護 師 自身 の安 全 を 図 り、 か つ看 護 師 が媒 介 とな って他 の利 用者 へ の感 染拡 大 に繋 が るよ うな事 態 を 回避 で き る。 今 後 、 在 宅 に お け る感 染症 発生 に つ い て把 握 し、 感 染症 の 発生 を どの よ うに伝 達 す れ ば訪 問看 護 師 を 含 め他 の利 用 者 へ の 感 染拡 大 を予 防 で き るの か、 ま た、 そ の シス テ ム 構 築 が で き るの か を検 討 す る こ とが必 要 と考 え る。 表3の疥癬 や ノ ロ ウイ ル ス の事 例 の よ うに、 異 常 な皮 膚 に接 触 した器 材 や ガ ウ ンの不 適 切 な使 用 ・着 用 や、 不 潔 な再 使 用 器 具 の使 用 が感 染 に 関与 して い た と考 え られ る ことか ら、標 準予 防 策 を遵 守 す る必要 性 が 明 らか とな っ た。 ま た 、利 用者 か ら疥癬 に感 染 し、 自分 が媒 介 とな っ て他 の利 用者 に感 染 させ た と考 え られ る看護 師 は、疥癬 の患 者 に遭 遇 した経 験 はな く、 訪 問 看護 に就 労 す る前 は、 暫 くは看 護 職 に つ い て い な か った事 例 で あ った。 この事 例 で は、"異 常 の 皮 膚 に は 直接 触 れ な い"と い う標 準 予 防策 の知 識 が低 か った こ とに加 え て、 職 業経 験 か ら疥癬 の知 識 が低 か った こ とが感 染 の原 因 の一 つ と考 え られ る が、 訪 問看 護 ス テ ー シ ョンの マ ニ ュア ル を遵 守 して い な
か った こ とは 問題 で あ る。 イ ン シデ ン ト事 例 で疥癬 や ノ ロ ウイ ル ス の 発生 で感 染 の拡 大 を 防 ぐ こ とが で きた ケ ー ス は、 臨床 で の看 護 師 と して の経 験 を生 か して い た。 以 上 の こ とか ら、 感 染 の有 害事 象 に は 標準 予 防策 の遵 守 状 況 との 関連 が考 え られ、 今 後 、 研 修 会 参 加 や 臨床 経 験 年 数 、 看 護 基礎 教 育 で の 習得 状 況 との 関連 性 を明 らか に し、 標 準 予 防策 の知 識 と実 践 の 向上 を 図 る必 要 が あ る と考 え る。 2.標 準予 防策 遵 守 の 実 態 に つ い て 標 準 予 防策 の遵 守 を 阻 む要 因 に つ い て は表5や 表6に あ るよ うに、 利 用者 が手 洗 い場 を提 供 しな い、 介護 者 が 手 袋 着 用 に抵 抗 を示 す、 コス ト削減 の た め に手 袋 や石 鹸 等 は利 用者 宅 の物 や訪 問 看護 師 の私 物 を用 い る、等 が あ っ た。 これ らは先 行 研 究2)で 、 標 準 予 防 策 遵 守 に影 響 を与 え る要 因 と して 明 らか とな った、 利 用者 の住 環 境 の 問題 、 ケ ア の 困難 性 、 物 品購 入 に よ る経 済 的 負担 、 看護 師 の意 識 ・知 識 不 足、 病 院 との連 携 、 利 用 者 や 家族 が疎 外 感 を 持 つ こ とを懸 念 、 等 の 内容 と一 致 す る もの が あ り、 病 院 に あ る物 品 を使 用 す るの が基 本 で あ る病 院 との違 い が浮 き彫 り とな った。 訪 問看 護 は治 療 や ケ ア の場 で あ る と共 に生 活 の場 に 介入 す る こ とか ら、 個 人 防護 具 を着 用 して ケ ア を提 供 す る こ とが異 質 な光 景 と して利 用 者 や 家族 に 映 る こ と もあ り、 抵 抗 を示 す こ とに な り得 るが、 結 果 的 に は利用 者 を感 染 か ら守 る ことに繋 が るとい う説 明 に よ っ て解 決 で き る もの で あ る と考 え られ る。 コス ト削減 に 関 して は、 デ ィス ポ ー ザ ブル手 袋 な どの衛 生 材 料 の供 給 は 診 療 報 酬 の在 宅療 養 指 導 管 理 料 に含 ま れ て お り、 使 用 量 で請 求 す る こ とは で きな い こ とが影 響 し、 利 用 者 宅 に 置 い て あ る もの を使 用 す る事 業 所 が み られ た。 ま た、 手 指 衛 生 につ いて は手 拭 と して ペ ーパ ー タオ ル の使 用 や石 鹸 、 手 拭 き用 タオ ル な ど を持 ち 出 して い る事 業 所 が あ る反 面 、 コス ト削減 の た め利 用 者 宅 に あ る石 鹸 を使 用 す る とい う 事 業 所 もみ られ た。 しか し、 手 指 衛 生 の 目的 や ケ ア の責 任 範 囲 と照 合 す る と、 本来 、 事 業 所 で準 備 す べ き物 品 が 存 在 す るは ず で あ り、 そ の範 囲 を 明確 に す る こ とや、 衛 生 材 料 費 に係 る財 源 の確 保 な どの シス テ ム を構 築 す る こ とは急 務 と考 え る。 個 人 防護 具 の着 用状 況 を 見 る と、 マ ス クに 関 して は、 咳 エ チ ケ ッ トと して、 咳 が あ る人 は マ ス クを す る こ とが 基 本 とな って い る1)。 しか し、 利 用 者 の咳嗽 の有 無 に 関 わ らず、 事 業 所 を 出 て利 用 者 宅 に 向 か う時点 で訪 問看 護 師 が マ ス クを着 用 して ケ ア す る こ とを方 針 とす る事 業 所 が あ った。 これ は エ プ ロ ンに つ い て も同様 で あ る。 この 場 合 、 同 じマ ス ク、 エ プ ロ ンで複 数 の利 用者 宅 を訪 問 し ケ ア す る こ とに な り、 か つ そ の管 理 もま ち ま ち で あ る こ とか ら、 今 後 、 個 人 防護 具 の汚 染 と感 染 の拡 大 との 関連 を 明 らか に す る こ とが必 要 で あ る。 3.研 究 の 限界 と今 後 の課 題 イ ン タ ビ ュー調 査 を通 し、訪 問 看護 に お け る有 害事 象 の 内容 と原 因、 標準 予 防策 の 実施 状 況 に つ い て把 握 す る こ とが で きた が、 対 象数 が少 な い こ とか ら内 容 に偏 りが あ り、 ご く一 部 の 実 態 で しか な い。 ま た、 管理 者 へ の イ ン タ ビ ュー は、 実 際 に有 害事 象 に 遭遇 した事 例 と は限 ら ず 、 ス タ ッ フ看護 師 自身 に 発生 した もの も含 ま れ て い る こ とか ら、 当事 者 で な けれ ば 回答 で きな い こ とや、 標準 予 防策 の 実施 との 関連 性 を 明 らか に で きな い。 今後 、 量 的分 析 が で き るよ う、 質 問紙 に よ る全 国調 査 を 実施 し、 有 害事 象 との影 響 要 因 を 明 らか に す る必 要 が あ る。 ま た、 本研 究 の結 果 か ら、 質 問紙 の 内 容 に は、 従 属 変 数 と して潜 伏 期 間 の短 い ノ ロ ウイ ル ス感 染症 や、 接 触 場 面 を特 定 しや す い疥癬 や ノ ロ ウイ ル ス、 結 核 な どの 市 中感 染症 や針 刺 しな どを挙 げ、 標準 予 防策 の 実施 状 況 との 関連 を分 析 す る こ と は可 能 で あ る とい え る。 Ⅵ.結 論 訪 問看 護 に お け る感 染 の有 害事 象 に は看護 師 の職 業 感 染 や 看護 師 を媒 介 に した利 用者 へ の感 染 が 強 く疑 わ れ る 事 例 が あ った。 そ の原 因 に は不 適 切 な 医療 器 具 の使 用 や 個 人 防護 具 の 未着 用 等 が考 え られ た こ とか ら、 看 護 師 の 感 染症 や 標準 予 防策 に対 す る知 識 ・認 識 に つ い て 改善 の 必 要 性 が示 唆 され た。 ま た 、利 用者 に感 染症 が 発生 した 場 合 の情 報 が訪 問 看護 事 業所 に伝 わ って お らず、 この こ とが看 護 師 へ の感 染 の リス クを 高 い もの と して い る。 謝 辞 調 査 に ご協 力 い た だ きま した訪 問 看護 ス テ ー シ ョン事 業所 管理 者 の 皆様 に 深 く感 謝 申 し上 げ ま す。 な お、 本研 究 の一 部 は第25回 日本 環 境 感 染学 会 で 発 表 しま した。 利 益 相 反 に つ い て 本 研 究 は、 科 学 研 究 費 補 助 金(基 盤 研 究C)の 助 成 を 受 けて い る研 究 「訪 問 看護 に お け る標準 予 防策 の検 討 − 感 染 に関 す るイ ン シデ ン ト ・ア ク シデ ン トか ら− 」(課 題 番 号20592664)の 一 部 で あ る。 文 献
1)Siegel JD,Rhinehart E,Jackson M,et al.:C DC Guideline for Isolation Precautions Prevent-ing Transmission of Infectious Agents in Heal-thcare Settings 2007,満 田 年 宏 訳,隔 離 予 防 策 の
た め のCDCガ イ ド ラ イ ン 医 療 環 境 に お け る 感 染 性 病 原 体 の 伝 播 予 防2007,18,ヴ ァ ン メ デ ィ カ ル,
東 京,2007. 2)福 井 幸 子,細 川 満 子,泉 美 紀 子:訪 問 看 護 サ ー ビ ス に お け る ス タ ン ダ ー ド プ リ コ ー シ ョ ン の 遵 守 状 況 と 阻 害 因 子 の 追 求,青 森 県 立 保 健 大 学 健 康 科 学 特 別 研 究 成 果 報 告 書,2007. 3)青 森 県 介 護 サ ー ビ ス 情 報 公 表 シ ス テ ム, http://www.aokaigojyouho.jp/kaigosip/Top.do, 2009.12.18. 4)静 岡 県 介 護 サ ー ビ ス 情 報 公 表 シ ス テ ム, http://www.kaigo-kouhyo-Shizuoka.jp/kaigosip /Top.do,2009.12.18.
5)Boyce JM,Pittet D:CDC Guideline for Hand Hygiene in Health-Care Settings,Recom-mendations of the Healthcare Infection Control Practice,Advisory Committee and the HICPA C/SHEA/APIC/IDSA,Hand Hygiene Task Fo-rce.MMWR,2002;51(RR):1-40. 6)二 階 堂 一 枝,篠 原 裕 子,松 村 幸 子 他:訪 問 看 護 に お け る イ ン シ デ ン ト ・ ア ク シ デ ン ト及 び 予 防 ・対 応 策 の 実 態 − 介 護 保 険 施 行 後3年 を 経 たN市 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン の 調 査 か ら −,新 潟 青 陵 大 学 紀 要 第4 号,237-261,2004. (受 稿 平 成22年10月12日) (受 理 平 成22年12月21日)
Status
of Visiting
Nurse
Services
in Regards
to Adverse
Events
Relating
to Infection
— Based on an Interview
Survey
Targeting
Managers
—
Sachiko Fukui1), Hisako Yano2)
1) Aomori University of Health and Welfare Department of Nursing
2) Nagoya City University, School of Nursing
Abstract
A semi-structured interview survey on incidents and accidents during home visits relating to infec-tion and adherence to standard precautions targeting managers of 6 institutions that provide visiting nurse services was conducted. There were 7 incidents relating to infection: scabies, infectious gastroen-teritis due to norovirus, a left needle cap on a patient's bed, tuberculosis, multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa, and suspected infection due to unsanitary conditions. Additionally there were 4 accidents: a nurse infected by a patient with MRSA, patients infected with scabies via a nurse, a nurse infected with norovirus by a patient's family, and patients at a nursing home were infected with norovirus by enteral nutrition. It was suggested that the cause of adverse events relating to infection are connected to the current situation where information on infection and safety precautions is hard to obtain, as well as the lack of mastery of standard precautions in a clinical setting.