不平衡状態で運転される三相誘導電動機の発生する
トルク
著者
西山 卓夫
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
4
ページ
31-37
別言語のタイトル
ANALYSIS OF THE TORQUE DEVELOPED BY A 3-PHASE
INDUCTION MOTOR OPERATING UNDER UNBALANCED
CONDITION
不平衡状態で運転される三相誘導電動機の発生する
トルク
著者
西山 卓夫
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
4
ページ
31-37
別言語のタイトル
ANALYSIS OF THE TORQUE DEVELOPED BY A 3-PHASE
INDUCTION MOTOR OPERATING UNDER UNBALANCED
CONDITION
(1)
西 山 卓 夫
(受理昭和39年5月30日) ANALYSISOFTHE’rORQUEDEVELOPEDBYA3−PHASEINDUCTION MOTOROPERATINGUNDERUNBALANCEDCOND1n[ON HideoNISHIYAMA Whena3-phaseinductionmotorisoperatedunderconditionthatunbalancedcurrentsand voltagesexist,itdcvelopesthetorquepulsatingwithdoublefrequencyofthesource、The evaluationofitsvalueisprettytroublesome,Theauthorhasdevelopedtheexpressionofthis torquebymeansofthevectorproductofthevectorsofthefhlxinterlinkageandthecurrent, however,inthispaper,hetreatstheproblembyapplingthevectorthensoranalysis・Theresult of[heanalysisshowsthatresistancelossinthewindingsandthestoredenergyinthemagnetic pathsalsocontain,inadditiontotheconstantvalues,theoscillatingcomponentswithdouble freqUency. 用いて次の如く表わされる.‘
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こ こ に β = の r ① : 電 気 的 角 速 度 I群はIの共役量を表わすものとする. 三相誘導電動機の各相電流の瞬時値jα,j6,ガcとそ の対称分/0,j1,i2とはマトリスクを利用して次の如 くに,その変換関’係が表わされる. 1 . ま え が き 三相誘導電動機の電圧及び電流に不平衡が存在する ときは,一定値の平均トルクの他に電源周波数の2倍 の周波数で変化するトルクが存在することは既知のこ とであるが,その取扱いが煩雑なためか余り深く論ぜ られたものはない.筆者は既に鎖交磁束の回転ベクト ルと電流の回転ベクトルとのベクトル積を利用して, この問題を解析する方法について発表したが'),ここ には別の見地からインピーダンステンソルを利用して 瞬時電力の式を求め,そのうちに現われる2倍周波数 の電力より脈動トルクの等式を導く方法について述べ ている.そしてまたこの場合には電動機巻線内の抵抗 損失及び磁路内に貯えられるエネルギーにも,また2 倍周波数で変化する成分を含んでいることを明かにし ている.且つ鎖交磁束ベクトルと電流ベクトルとのベ クトル積より求めた脈動トルクの等式と,ここに新に インピーダンステンソルを利用して求めた等式との間 の関連について論じ,両者は容易に変換しうることを 説明している. j O i α [ノノ]=j’=A−'[j]A=−1jD i 2 i c II
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不 平 衡 状 態 で 運 転 さ れ る 三 相 誘 導 電 動 機 の
発 生 す る ト ル ク
Z21Zl* こ こ に 1 α | α 2 Z ・ 不 平 衡 状 態 の 三 相 誘 導 電 動 機 の 電 力 の 瞬 時 値 この解析には多軸行列法を利用し,対・称座標変換に は絶対変換を使用することとする. 正弦波電流の瞬時値jはその実効値のベクトルIを 1元 A l l a 2 1 a 逆 に 相 電 流 を 変 換 す る と1 32 (7) 対称構造の三相誘導電動機ではY接続ならば零相 電流は零である.4接続ならばこれを容易にY接続 に変換して考えることができるので,(7)式から明な る通り何れの場合でも零相分は電力に関与しない.故 に零相分は除外して瞬時電力Pzは次の如く表わさ れる. 01 .J 1 雲釧抑﹁増一曲.|薄一娼噌一
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j2ノ'* 1 1 1 α 2 a ell 1 一I/す 1 1 1 1 α | α 2 (2) 電圧についても同様な変換を行なうことができる. elC el2 α 2 1 a 1 g2b e21 i : 1 α|α2 e2c e22 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 4 号 1|石 A G A |印一助一 α α 2E
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α 2 口 i ; 卵一割 (6) ■旬。D■ E,唖:、 (3) i e] (5),(6)式を(4)式に代入して計算すると次の結 果をうる.方21厳
Cf こ こ にi
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a (8) 1 卸しOU4 ゆぜ″歩 eIb bl oZ 1 α2 eO e,はオ目電 92 P礼= 蝦一鮒何町一喝|喝 1 1 P ーI − g J | 皇 |
圧の対称座標分の瞬時値である.次に固定子と回転子の電流,電圧はj或はeの右
下にそれぞれ接尾字1,2を添付して区別することと
する. 瞬時電力Pjは固定子,回転子関係を一つのマトリ スクにまとめて,次の如く表われことができる. e22 1 1 I/3 。︼2 ,7レ a 1 1 細行弧一m涯惣一刑死弘一の六訓一釧砧﹄幻闘 α2 α1 .J ela α⑨ 。7F e2a 1相電流,相電圧の対称座標分への変換は次の如く書
ける. (4) j } i f elC i f 1 an ■7P 1 1 1 電動機は固定子,回転子とも三巻線軸を有するもの とする.固定子巻線及び回転子巻線の一相の抵抗,漏 れインダクタンス及び主自己インダクタンスをそれぞ れR,,ノ1,L’及びR2,/2,L2とする.今回転子が時計方向に。'=¥癒る角速度で回転しているものとす
れば,固定子回転子巻線間の相互インダクタンスは時 間とともに変化するが,その最大値を〃=,/Z1瓦と する.かくの如く電動機のインピーダンスは時間とと 1 Il|川コー
⑪凸q0ユ c守りし 1 如一恥一鋤 i ; e2b 卸し、 。γし e2c =[j'][C][e'] PL= −圭司角 ■ず〃し ela 鋤一鋤上式の各マトリスクを一文字で表わして次のように 書かれる. [e']=[Zγ][ノノ] こ れ に K 変 換 を 施 す と
K一'[e']=K−1[Z1KK−1[メノ](11)
西山:不平術状態で運転される三相誘導電動機の発生するトルク e21 但し’1,12は固定子の正相分,逆相分に対応し, 11,,112は回転子の正相分,逆相分に対応することを 示している. 対称座標分で表わした三相誘導電動機の基本行列式 は次のようである. もに変化するが,これを次に述べるように(9)式の整流行列Kを用いて変換すると時間的に一定なるイン
ピーダンステンソル[Z′]に置き代えて考察すること ができる. 1112111112 (13) lj"]=K−l[j']= ノミ 1 1 1 2 K = II1 112 1 1 (9) 922 漁e-jO′ e−jOノ│
e
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或 は[
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但し [e']=K[e"];[jノ]=K[j"] (11)式の計算を行なえば次の結果をうる. 塗(,,+”') Z1(p) 6J②t E−”Z e22e-j"ノ Z2(p−j⑳ノ) j i−
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瑚一埼一ら一驚等
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これらにそれぞれs”'‘及びe-j"'‘を乗じた増e"',
j;e-j‘'(6'=。'r)は。)r即ち電源周波数で変化するの
で , 電 流 瞬 間 値 の マ ト リ ス ク は 次 の よ う に 書 け る . 911 但しZ
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(12)式中の回転子電流端,j;はそれぞれ滑りの電
気的角速度(の一のノ)及び(の+の')で変化するから,[Zノ][i"]= 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 4 号
│
刺
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i
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│
i
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電圧についても同様である. [j']↓=[唾"ルー[j"]jKc なることを考慮して(8)式のPzは次の如く変形さ れる. Pz=[jノル[C][e']=[j"ルKj[C]KK−1[Zγ]KK−1Fノ]=
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D1Ejcj6十D2e-j皿 C1ej⑩L+C2e-ju)』 (16) 1 一,/す 好一鳥二潟 BIej⑳6+B2E-j②c 41e'⑳6+a2E-j①Z Z(p+必')川一一I
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E-J⑳〔 1 I 1 1 垂(p−j①') KC[C]K= =[Cl;
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故 に 1 7言〃鮮二瀞
(14) 1e
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1 Z1(刀) Z1(") E血【 gj6' 1 E”:”
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上式に(12)式中の[Zγ'],(13)式の[Z"]を用い て計算すればよいのであるが,便宜上前半の二項と後 半の二項とに分けて計算する. (15) Pz=Ij'/]z[C][Z'][i"] 34斑瀞:
引引島│j:
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I 1l謹坪/§蕊罵鄭
邑D1ejm6+D2e-j⑩6 35 り,電動機の磁路に貯えられる磁気エネルギーにもま た2倍周波数で増減するエネルギーの成分が存在する ことを示めしている. 岐後の項が脈動トルクを表わす電力で[]内は共 役量の差で虚数となり,全体としては実数で2倍周波 上 式 に て 抵 抗 を 含 む 第 一 攻 と 第 二 菰 と の か っ こ 内 は ‘何れも共役ベクトルの和であって実数を表わし,抵抗 損失にも一定の平均値の上にこの項で示めされる2倍 周波数の変化が亜呪することを知る. 第三攻と第四項とはお互に共役でその和は実数とな (15)式,(16)式よりPjは次の如く表わされる. |、一
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上式より瞬間電力Pjは定値項と,2イ)禍波数で変定仙項を計算すると次のようになる. 化する変化項とからなっていることを知る.き
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+抑瑚一戦嬢)-(j;雛j;-/調縦)'(;jw)(-ん')('8)
(18)式でR1,尺2を含む攻は抵抗損失を示す.妓後一〔厳:ノチーi調瀧)](19)
の項の[]内は第一項も第二項も共役ベクトルの差但し2極機とする.
であるから虚数であって,全体としては実数である. 次に2倍周波数で変化する変化項について考える. これは」E相分トルクと逆相分トルクに対応する電力の差である.故に平均トルクz,‘は角速度の'で除して(/;A1+舟B,+/;c,+踊り,)si2・‘
次の如く書ける.+
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これにA,B,C,Dの値を入れて整理すると E−ju)↓/│*|岸:ノ;*|ノ;*
』,Ej⑩c+A2E-j"c B1e/"'’十B2e-j皿 Cl可",‘+C2e−抑【jflillj;|殿
'
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’
西 山 : 不 平 衡 状 態 で 運 転 さ れ る 三 相 誘 導 電 動 機 の 発 生 す る ト ル ク SJ(JjZ数で変化する.この電力を角速度①′で除して脈動ト ルク刀の式をうる.
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但し2極機とする. 故に電動機の全トルクrは次の如く表わされる. T = 西 " 十 刀 ( 2 2 ) 2.2KW200V60c/s4極の三相誘導電動機に外部移相器として200‘"Fのコンデンサ1個を使用して単
相電源によりて逆転した場合,1,780r、p、mの回転数
において発ノ│そするトルクの時間的変化の状況を撮影し たオシログラムを写典にホめす.この逆転状態では竜 36 3.鎖交磁束ベクトルと電流ベクトルのベクトル積 を利用して求めたトルクの式と(19)式,(21)式 との関連 三相誘導電動機の固定子の鎖交磁束の1湘分,逆相分を表わす回転ベクトルをそれぞれjs1,億$とし,
固定子電流の正相分,逆相分を表わす回転ベクトルを であって,これが(23)式の1/'、s1に対応する.故に』'『$,とis,(=月)とによりて生ずるトルクは(23)式
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=3{:M""(ノム講島)}(24)
但し刀"(瑚撫jl)=0
(19)式の正相分トルクは次の如し.〔註:(19)式
の対称座標分は絶対変換によるものである〕(
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[
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上式の[]内の芯霞赴とi鎧*とはお互に共役
であるから,虚数部は符号反対で絶対値は相等しいか’一/閉朔一夢|
三 相 誘 導 電 動 機 に 不 平 衡 電 圧 を 印 加 し た 場 合に発生する2倍周波数の脈動トルク波形 動擬の各相に加えられる電圧は相当不平衡となる')が, この場合は平均トルクの100%程度の振幅を行する2 倍周波数の振動トルクが発生していることをオシログ ラムは示している.トルクの瞬時値の測定も困難で従 来余り試みられていない.このオシログラムは直流電 気助力計にストレーンゲージを使用した測定装置を試 作して行なったものであるが,精確な定並的数値を出 すことは困難であったが,平均値と振幅の関係は十分 よく測ることができる. . . * それぞれ1s,,Is2とすれば,電動機のトノレクは次式で 表わされるI).『
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"
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錨
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一
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j
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ゥG●● +(V,。21s,一妙、s1Is2)}(23) ここにi;L1号恥は虚数部分を表わす. なお(23)式を導く場合に対称座標分への変換は相対変換を利用したが,(19)式,(21)式の導出には絶
対変換を用いたことは前述の通りである. 第2章で用いた相互インダクタンスMは一相の巻 線間の値であるから,三相巻線を総合して考えた場合の固定子,同転子間の相互インダク頚ンス憾号皿と
なる. なお,回転子巻線は固定子側と同一尖効巻回数に換 算されているものとする.回転子電流遇の作る主磁束と固定子巻線との総鎖交
数は:M1/2赴であり,岡定子電流肘(=八')のた
めに生ずる主磁束と伺転子巻線との総鎖交数は:班
!/2月である回転子巻線は固定子巻線側に換算さ
れているからリハ〃2月は汁による]皇磁束と固定
子巻線との総鎖交数でもある.故に固定子巻線と主磁
束との縄鎖交数は:
M
1
/
2
(
乃
十
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鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 4 号 鐸 ︾一 ■ f n 曲 ■ r、iー汐ポバ‘ 趨 跡 W I ‐ … 、 −西 山 : 不 平 衡 状 態 で 運 転 さ れ る 三 相 誘 導 電 動 機 の 発 生 す る ト ル ク 37 らその差は次のように書ける.