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組織的共同研究における企業と大学の関係構築プロセス

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Academic year: 2021

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(1)産学連携学 Vol. 17, No. 1, 2021. 【論 文 Original Article】. 組織的共同研究における企業と大学の 関係構築プロセス Relation-Building Process in University-Industry Joint Research. 寺 内 伊久郎 Ikuo TERAUCHI. 国立大学法人北海道大学, 〒001-0021 北海道札幌市北区北 21 条西 11 丁目 北キャンパス総合研究棟 3 号館 2 階 Hokkaido University, Kita-21, Nishi-11, Kita-ku, Sapporo, 001-0021, JAPAN. 企業と大学における組織的な大型共同研究は長期的な増加傾向にあるが,両者の関係構築には 組織文化や社会的使命の違いなどに関する多くの阻害要因が存在する.これらは,共同研究の成 否にも影響を及ぼすが,阻害要因を克服し共同研究の成果を得るためには,適切な組織間関係の 構築・維持が不可欠である.産学連携に関する先行研究では,対話・理解・信頼からなる一連の 関係構築プロセスが良好な関係やパフォーマンス向上に大きな役割を果たすことが指摘されてい るが,共同研究事例において検討されることは少なかった.産学連携の実務経験者 15 名に対する インタビュー調査データを,グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析したところ, 企業と大学において組織的共同研究を進める上で,①組織階層を考慮した関係構築プロセス,② 相手を尊重した不確実性への対処,③社会的視点からの成果評価が重要になることが明らかになっ た. While the number of university-industry joint researches has been increasing steadily, there are various obstacles for relationship building between them due to differences in organizational culture and mission.  These obstacles sometimes influence success or failure of joint research, so it is essential to establish  and maintain appropriate inter-organizational relationship to overcome them and obtain expected results. In prior researches regarding with university-industry collaboration, relation-building process such as communication, understanding and trust is pointed out to play an important role to build good relationship and improve research performance. As a result of analysis using a grounded theory approach for interview survey data with 15 university-industry collaboration experts, I found three points are important in conducting joint research, (1) relation-building process considering organizational hierarchy, (2) dealing with uncertainties under respect with the other party, (3) evaluating results of joint research from a social perspective. Key Words: communication, joint research, relation-building process, trust, understanding, universityindustry collaboration. 1 .はじめに 企業が大学との共同研究を推進する理由には,基 礎科学的な知識の獲得,企業が抱える課題の解決, 未知の研究や技術の入手など様々なものがある1).ま た,大学にも,社会における研究成果の事業化,研 究進展のための研究費の獲得などの理由が存在す る2).. 共同研究が活発化する一方で,組織文化・構造の 違いやプロジェクトマネジメントに関する認識の違 いなどにより様々な阻害要因が生じている3, 4).こう した阻害要因に対処する上で,対話・理解・信頼か ら成る関係構築プロセスが適切な組織関係を構築す るための重要な要素であることが,企業連携や産学 連携に関する先行研究によって示されている5~7).し かし,企業と大学という性格の異なる組織間で実施. 受付:2019 年 8 月 15 日 受理:2020 年 7 月 8 日. ― 29 ―.

(2) J. Jpn. Soc. Intel. Prod., Vol. 17, No. 1, 2021. される共同研究において,研究開始前から終了まで を通して,双方がどのように阻害要因に対処し,関 係を構築しているかについては明らかにされていな かった.本研究は,この関係構築プロセスを,具体 的な事例に基づき共同研究の初期・中期・後期段階 に分けた上で検討することを目的としている5, 6).以 下では,関係構築プロセスにおいて重視されてきた 対話・理解・信頼プロセスおよび共同研究における 阻害要因について先行研究をレビューした上で,イ ンタビュー調査データを質的研究法の一つであるグ ラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析し 関係構築プロセスについて考察したい.. 2 .産学連携に関する先行研究 ⑴ 関係構築プロセス 組織連携において生じる様々な阻害要因を取り除 き,目標実現に導く要素として,対話・理解・信頼 という一連の関係構築プロセスが重要であると言わ れる.以下,対話・理解・信頼の役割について説明 する. a)対話 対話は,組織間関係の構築に重要な役割を果た す5, 6, 8).特に,初期段階では直接対話が重視される と共に,定期的に,オープンに,双方向に,非公式 に対話を行うことは,企業と大学が直面する困難に 対処する上で重要である5). 企業と大学が頻繁に対話を行うことは,知識・情 報・スキルの事前共有を通して共同研究から得られ る利益を最大限にするための基盤を構築するために, また,研究成果の取扱い,マイルストーンの設定, 責任の明確化に関する合意形成や関係調整コストの 削減においても有効である6, 8).一方,情報の不透明 性や聞き取り能力の不足など対話の品質が保てない 場合は,共同研究全体に悪影響を与え,将来の信頼 関係の構築にも大きな影響を及ぼすことになる5, 6). b)理解 相手に対する理解は対話を通じて深まっていくが, 初期段階において理解が進むことは,相互協力関係 の進化を推し進め,双方の距離を早期に縮めること に繋がる.さらに企業と大学の相互理解が進むと, 一つのチームとして同じ目標に向かう一体感の醸成 がなされ,お互いのニーズや行動パターンを理解し た上で可能性のある解決方法を探ることが可能とな る5, 6). c)信頼 信頼は,双方が自らの義務を果たし期待通りの行 動をしてくれるという安心感を生みだすことで,交 渉の労力やコストを削減し,予測可能性を高め衝突 や摩擦の軽減を通じて共同研究の効率を向上させ る7).信頼は, 「双方がお互いの約束を実行し,公平 な行動を取り,不測の事態にも信用ある行動を示す という期待」と定義することができる9).信頼が生 まれると,相手の脆弱性につけ込まず,双方に割り 当てられた責任を遂行することを双方が信じること. に繋がり,共同研究の終了時には,将来もパート ナーシップを継続し利益をもたらし合う関係となる ことを信じさせることになる5, 10). d)対話・理解・信頼の関係性 関係構築プロセスにおける対話・理解・信頼の 3 要素は,強い相関性を有する5~8).関係構築の初期段 階では,まずオープンで直接的な対話を進めること により,相手の事情・ニーズ・目標を理解すること が重要になる5).大学研究者の学術的蓄積は成功の 重要な要素となるため1),その内容については十分 に議論されなければならない.中期段階では,継続 的な対話とフィードバックが相互理解を促し,共同 研究に期待する成果を達成することを促進する.信 頼は対話と理解を通して構築されるため,継続的な 対話と約束の履行を続けていくことが重要となるが, 信頼が高まると,プロジェクトの枠を超えた情報交 換や相互支援が行われるようになる5, 6, 10). ⑵ 共同研究の阻害要因 共同研究の主な 3 つの阻害要因について,先行研 究における指摘内容を整理する.企業と大学という 全く異なる組織が協働する共同研究においては,以 下が阻害要因となることが多いと言われる. a)組織の目標・指向性 第一の阻害要因は,企業と大学の組織目標や指向 性の相違である.例えば, 1 )企業は秘密保持と知 的財産権取得により独自の資産戦略を展開しようと し,大学は研究成果を自由に公開するオープンサイ エンスを実現しようとする, 2 )企業は短中期の成 果指向の研究を求め,大学は好奇心指向の長期的研 究を行う, 3 )企業は競争力の源泉となる価値の高 い知識を得ることが活動の原点となり,大学は新し い知見を生み出し教育活動を行うことが活動の原点 になるといった点である1).これらは,共同研究成 果の価値の捉え方の違いとなって現れると共に,研 究マネジメントや事業化リスクに対する認識の違い にも関係し,共同研究の背後に存在する阻害要因と なる11). b)知的財産に関する考え方 知的財産が大きな阻害要因とされる理由は,企業 が競合他社への技術流出防止のために公表内容の制 限や時期を遅らせるなど知的財産を事業の保護資産 として重視するのに対し,大学研究者は知的財産を 自由に公開することを研究の主眼として重視するた めである12).すなわち,企業は情報を秘密にするか 適切に管理することを希望し,大学研究者は自身の 対外優位性を得るために開示を強く希望する傾向に ある.さらに,近年は大学が知的財産を収入源とし て重視する動きにより,知的財産に対する企業と大 学の価値観が異なることが多くなっており,知的財 産をめぐる対立時には,共同研究は開始できないか, 関係が破綻することさえある11). c)不確実性 大学の研究の多くは未知の現象を対象にしており, 基礎研究では特に技術的な不確実性が高くなる12).. ― 30 ―.

(3) 産学連携学 Vol. 17, No. 1, 2021. 共同研究における不確実性には,文化的な衝突・目 的の不一致・組織間マネジメントの困難さなどの内 的要因と,市場の変化・政府の介入・規制の壁など の外的要因があるとされる13).さらに,相手行動に 対する不確実性も存在するが,対話や理解の不足に より生じる不確実性であれば,直接的な対話を通じ た理解が進むことで縮小していくことが期待され る14).不確実性の中で共同研究を行うためには,継 続的な対話により,研究計画策定・研究進捗管理・ 知的財産管理・論文発表管理等の共同研究マネジメ ントを行うことが重要となる2). ⑶ 本研究の問い 関係構築において対話・理解・信頼が必要となる ことが示される一方で,企業と大学は組織の目的や 指向性が大きく異なるため,複数の要因が共同研究 を阻害していることが指摘されている4).このこと から,現状としては,企業と大学における共同研究 において,対話・理解・信頼を通した関係構築がう まく機能していないケースが多いと考えられる. そこで,本研究では,次のようなリサーチクエス チョン(RQ)を設定した. RQ:共同研究において企業と大学の連携担当者 は,対話・理解・信頼のプロセスを通して, 共同研究の初期・中期・後期段階における 阻害要因を如何に克服し良好な関係を構築 しているのか?. 3 .研究方法 ⑴ 分析対象と質問内容 本研究では,共同研究における産学連携マネジメ ントの実務経験者 15 名に対しインタビュー調査を行 いながら,インタビュー調査データを分析し,企業 と大学の関係構築プロセスをモデル化した.インタ ビュー対象者は,全員が企業における勤務経験があ り,かつ,企業および大学において 5 年以上の共同 研究のマネジメント・交渉など実務経験を有する産 学連携・法務知財のマネージャクラス人材である. 企業経験者のほとんどは,大企業に勤務していた経 歴を持つ者である.15 名の内訳は,11 名が比較的大 きな国立大学法人の産学連携担当者であり,内 8 名 が企業において管理職経験のある大学産学連携担当 者(大学担当者 BEFJKLMO)で,残り 3 名が企業 において技術者および知財担当経験がある大学産学 連携担当者(大学担当者 CGI) ,他の 4 名は東京を中 心とした大企業の産学連携担当の管理職(企業担当 者 ADHN)である.本稿では,これら 15 名のイン タビュー対象者による 24 件のコメントを紹介してい るが,同じ対象者が複数のコメントをしている場合 には,1 回目のコメントについては A,2 回目以降 のコメントについては A2 のように表記した. 主な質問内容は以下の項目である. ・共同研究を進める上での阻害要因にはどのような. ものがあるか. ・共同研究の実務において,相手との対話・理解・ 信頼をどの程度重視しているか. ・対話・理解・信頼はどのような相手や状況におい て成立するか. ・対話・理解・信頼が成立する要件は何か. ・対話・理解・信頼が成立しない場合,その理由は 何か. ⑵ 分析方法 インタビュー調査データは,グラウンデッド・セ オリー・アプローチにより分析を行った15).グラウ ンデッド・セオリー・アプローチは,代表的な質的 研究法の一つであり16, 17),経営学におけるトップ ジャーナルに掲載されている論文でも採用されてい る18~20). グラウンデッド・セオリー・アプローチは,ある 現象に対して,体系化した一連の手順を用いること で,データに根ざして帰納的に引き出された理論を 構築することを目的とした質的研究の方法論であ る21).そのため,データ収集力・洞察力・分析力や, データから新たな発見を導くための創造性や感受性 も必要であるとされる. 本研究においては,インタビューなどによりデー タを収集し,データに内在する現象に基づいて帰納 的に概念を抽出し,理論を構築しているが,本研究 でグラウンデッド・セオリー・アプローチを採用し た理由は,企業および大学の多くの人が様々な立場 や目的で関与する共同研究においては,関与する人 間の内的経験とその意味を発見し,ダイナミックに 理論を構築することで概念生成と概念間の関係を明 らかにするという特徴を持つグラウンデッド・セオ リー・アプローチが,関係構築プロセスの分析に適 すると考えたためである. インタビュー調査データは,グラウンデッド・セ オリー・アプローチで示されたオープン・コード化 (open coding),軸足コード化(axial coding),選択 コード化(selective coding)という 3 つのコーディ ング手法によって分析した.オープン・コード化と は,データの分解・検証・比較・概念化・カテゴ リー化を行うプロセスである.また,軸足コード化 とは,オープン・コード化の後に,条件・文脈・戦 略・帰結などのパラダイムを用いて諸カテゴリー相 互を関連づけることによってデータをまとめなおす 一連のプロセスである.さらに,選択コード化とは, 中核となるカテゴリーを選び,他のカテゴリーと体 系的に関連づけ,それらの関係が妥当なものかを確 認しながら,精錬し発展させていくプロセスを意味 する. カテゴリーとは,抽象的な諸概念(出来事・事 件・現象など)から同じ現象に属するような概念を 分類しまとめたものであり,概念を相互に比較し類 似の現象であると判断されたときに発見されるもの である.また,下記手順にあるサブカテゴリーとは カテゴリーの一種であるが,カテゴリーの諸特徴を. ― 31 ―.

(4) J. Jpn. Soc. Intel. Prod., Vol. 17, No. 1, 2021. 明らかにするため,カテゴリーを導き出す条件を特 定化したものである. 以下の 1 )から 6 )に示す手順で行ったが, 1 ) から 3 )がオープン・コード化, 4 )が軸足コード 化, 5 )および 6 )が選択コード化となる21, 22). 6 ) では,体系化されたカテゴリーの関係性をモデル化 するため,カテゴリー関連図を作成した. 1 )15 名のインタビュー調査データの内容を, 文脈から切り離すため細かく区切る切片化 を行う. 2 )切り分けられた切片を比較し,特性(property)と次元(dimension)を抽出する.こ の段階ではカテゴリー化はまだ行っていな いが,特性とは,あるカテゴリーに関する ための属性あるいは特質であり,次元とは, 連続体上における特性の位置を意味する15). 特性は,高/低,強/弱,広/狭のように 連続的に変化するものであり,次元は変化 しうる連続範囲内における特性の位置を示 す.従って,データの中にカテゴリーの実 例が含まれる場合,特性と次元は,一定条 件下においてその現象に関する個別的特性 を示すこととなる. 3 )似た特性同士をまとめて,サブカテゴリー を作りサブカテゴリー名を付ける. 4 )特性と次元を用いながら,サブカテゴリー 間の関連づけを行う. 5 )サブカテゴリー間の関係性を考慮しながら 1) ~ 4 )の オ ー プ ン・コ ー ド 化 と 軸 足 コード化を理論的に飽和するまで繰り返 す22). 6 )サブカテゴリーを統合する形で,より抽象 度の高いカテゴリーを抽出し,さらに各カ テゴリーを特性と次元を用いながら関連づ け,カテゴリーの体系化を行う.具体的に は,ストーリーを明確にした上で,サブカ テゴリーからカテゴリーを抽出すると共に, 中核となるカテゴリーを選び,他のカテゴ リーと体系的に関係づけながら妥当な関係 を確定する.本研究においては,カテゴ リーの関係性をモデル化し俯瞰できるよう にカテゴリー関連図を作成した. インタビュー調査データ数が 15 名分である 理由は,これ以上インタビュー数を増やし たとしても,新しいカテゴリーが生まれな い理論的飽和の状態に至ったと判断したた めである.なお,新規事業創出経験を通じ た中堅管理職の学習プロセスをグラウン デッド・セオリー・アプローチによって分 析した田中と中原(2017)も,15 名で理論 的飽和に達したと報告していることから22), 本研究のデータ数も妥当なレベルであると いえる. 以下の分析結果では,企業と大学の関係構築プロ セスについてグラウンデッド・セオリー・アプロー. チによる分析の過程と,それにより明らかになった 関係構築プロセスのモデルを示す.本稿では,紙面 が限られているため,特性と次元の説明は表に示す にとどめ,サブカテゴリーとカテゴリーの関係を中 心に説明を行う.. 4 .分析結果 以下では,共同研究における関係構築プロセスを, 関係構築の初期・中期・後期段階の三つに分けた上 で,インタビュー調査データのグラウンデッド・セ オリー・アプローチによる分析結果を示す.初期・ 中期・後期段階それぞれにおけるカテゴリー,サブ カテゴリー,特性および次元を表に示したものが表 1,2,3 であり,カテゴリーおよびサブカテゴリー の関連性をカテゴリー関連図としてモデル化したも のが図 1,2,3 である.各表は,カテゴリー(左 列),サブカテゴリー(中列),特性および次元(右 列)から構成されている.分析においては,インタ ビュー調査データから特性および次元を抽出し,次 に特性と次元に基づいてサブカテゴリーを抽出し, 最後に,複数のサブカテゴリーを基にカテゴリーを 決定した.また,表からカテゴリー関連図の作成に おいては,表の最左列のカテゴリーを図中にブロッ クとして配置すると共に,ブロック内部にはサブカ テゴリーを記載した.各表は上から時系列にカテゴ リーを並べているため,各ブロックの間は時系列に なるよう矢印で接続した.また,各表には未記載で あるが,インタビュー調査データから得られた各カ テゴリーに対する阻害要因を可能な限り図に組み入 れた. インタビュー調査データには成功事例と失敗事例 が含まれるが,本研究においては,どのようにすれ ば良好な関係が構築できるかというリサーチクエス チョンに答えるため,成功事例を中心に分析を行っ ている.また,紙面の関係上,カテゴリーに関係す る企業担当者および大学担当者の典型的なコメント のみを示した. ⑴ 関係構築の初期段階(共同研究開始前) 企業と大学が関係を構築する際の初期段階におけ るグラウンデッド・セオリー・アプローチによるカ テゴリー分析結果を表 1 に示す.具体的には,イン タビュー調査データにおいて関係構築の初期段階を 示す状況を詳細に検討し,関係構築プロセスに影響 を及ぼす特性および次元の抽出を何度も繰り返し, それらを基にサブカテゴリーの抽出を実施すると共 に,最終的にカテゴリーを確定することを通して表 1 を作成した.例えば,表 1 の最上部に示した「企 業の積極性」カテゴリーを例に説明すると,数多く のインタビュー調査データの検討を通して「企業の オープンクローズ方針」を特性として発見し,その 次元として企業のオープンクローズ方針の位置を示 すために「明確さ」から「曖昧さ」までという連続 体を見いだすと共に,別に抽出した特性である「自. ― 32 ―.

(5) 産学連携学 Vol. 17, No. 1, 2021 表 1 初期段階の関係構築のカテゴリー分析 カテゴリー a1. 企業の積極性 (企業の産学連携に対する内部推 進力が存在するかどうか). サブカテゴリー. 特性と次元. オープンイノベーション指向. 企業のオープンクローズ方針 自前前提主義 . 明確 ↔ 曖昧 弱い ↔ 強い. 新事業領域模索の意欲. 全く新たな研究領域の開拓意欲 共同研究の準備資金 . 強い ↔ 弱い あり ↔ なし. 産学連携のモチベーション 研究推進意欲 研究者のビジネス感覚 . 高い ↔ 低い 高い ↔ 低い 高い ↔ 低い. 研究内容の共同研究への適応度 研究の進捗状況 研究者の事業化への期待 . 適 ↔ 不適 適 ↔ 不適 高い ↔ 低い. 研究者の意欲 a2. 大学研究者の積極性 (大学において,研究者が共同研 究を必要とし,産学連携部門と大 学研究者が良好な関係かどうか) 研究の進捗段階. 研究者と産学連携部門の関係 対話階層相手の相性 b. 階層間対話の開始 (共 同 研 究 前 に 企 業 と 大 学 間 コ ミュニケーションが成立するかど うか) 階層間の関係性. 研究者の産学連携部門への信頼 高い ↔ 低い 産学連携部門からの研究支援の必要 強い ↔ 弱い 対話の内容 相手の理解 情報の公平性 . 成立 ↔ 不成立 前向き ↔ 後向き 双方向 ↔ 一方向. 事業部門と研究者の関係 知財法務部門と産学連携部門の関係 事業責任者と大学責任者の関係 同階層・異階層とのトータル関係 . 良好 ↔ 不良 良好 ↔ 不良 良好 ↔ 不良 良好 ↔ 不良. 共同研究の目的と期待する成果. 研究方針と研究計画 共同研究費・成果・リスクの考え 協力方向性・事業化出口 . 明確 ↔ 曖昧 乖離小↔乖離大 明確 ↔ 曖昧. 基本的な条件の合意状況. 契約条件の納得性 契約議論の納得性 研究計画の納得性 . 高い ↔ 低い 高い ↔ 低い 高い ↔ 低い. c. 理解の素地形成 (相互理解を共同研究開始意志を 固めるまでに高めることができる か). 相互理解の実感や度合. 相手理解の度合 理解力 相互尊重 . 相手の積極性や実現意欲. 対話姿勢 実現意欲 . d. 信頼関係構築の期待 (信頼に足る相手か). 個人的信頼性の見極め. 人間としての信頼度 . 高い ↔ 低い. 組織的信頼構築の期待. 組織の信頼可能性 . 高い ↔ 低い. b.階層間対話の開始. a1.企業の積極性 オープンイノベーション指向 新事業領域模索の意欲. 対話階層相手の相性 階層間の関係性 共同研究の目的と期待する成果 基本的な条件の合意状況. 研究者の意欲 研究の進捗段階 研究者と産学連携部門の関係. 理解へ. 相互理解の実感や度合 相手の積極性や実現意欲. d.信頼関係構築の期待. 阻害要因 相手尊重欠如. 理解から 信頼へ. 阻害要因 不信感の残存. 関 係 構 築 � � � � � 繰 返 �. 個人的信頼性の見極め 組織的信頼構築の期待. 積極的 ↔ 消極的 高い ↔ 低い. a2.大学研究者の積極性. 対話から. c.理解の素地形成. 十分理解 ↔ 理解不能 高い ↔ 低い 高い ↔ 低い. 関係構築失敗 共同研究中止. 関係構築の中期段階へ. 図 1 初期段階の関係構築プロセスモデル. ― 33 ―.

(6) J. Jpn. Soc. Intel. Prod., Vol. 17, No. 1, 2021. 前前提主義」とあわせた 2 特性を「オープンイノ ベーション指向」というサブカテゴリーに集約した. その後,もう一つのサブカテゴリーとして抽出した 「新事業領域模索の意欲」と共に,最終的に「企業の 積極性」カテゴリーとして確定した. 表 1 におけるカテゴリー間の関係をカテゴリー関 連図として関係構築プロセスをモデル化したものが 図 1 である.カテゴリー関連図を作成することによ り,カテゴリーおよびサブカテゴリーの関係性が一 度に俯瞰できると共に,表 1 ではわかりにくかった 時系列でのカテゴリー関係も理解できるようになる. カテゴリー関連図を見ると,初期段階では,企業と 大学の双方が,共同研究に対する積極性を確認し, その後「階層間の対話」によって「理解の素地が形 成」され, 「信頼関係構築の期待」が高まることで, 共同研究を開始するかどうかが決まることがわかる. 以下では,成功事例のインタビューを紹介しなが ら図 1 のプロセスを説明する. a)共同研究に対する積極性の確認 共同研究の開始を判断する初期段階において必要 なことは,企業および大学が共同研究を行うことに 対して積極性があるかどうかである.企業において, オープン・イノベーション方針を明確に打ち出して いたり新事業領域を社外で模索している場合は積極 的であり23),技術部門が自社開発に拘っていたり会 社方針が自前主義から抜け出せない場合は消極的と 言える.企業の共同研究に対する積極性は共同研究 開始を決定する一因となるが,積極性が高い企業の 産学連携担当者は次のように述べている. (企業担当者 A)現在の自社主力事業は時代の 変化と共にいずれ存在しなくなるという危機感 が会社にはある.現在ある利益を使ってこれま で未経験の新事業にチャレンジしたいと考えて いる.自社にはシーズはないので,大学のシー ズを探すことが会社上層部からも求められてい る. 大学研究者は,優れた論文の蓄積が自身の評価を 高める大学のキャリアシステムの中にいると考える 傾向にあるが,学術的に優れた研究者というだけで は共同研究成功の要因にはならない.大学研究者の 積極性とは,共同研究の実施に対して積極的かどう かということである.また,共同研究を進めるため には,研究が共同研究を行う段階まで到達している かという点や,交渉などを担当する大学の産学連携 部門と大学研究者の関係が良好であるかも重要とな る.この関係が良好でなければ,産学連携部門は企 業との共同研究を回避することもある.研究者の積 極性についてある大学の産学連携担当者は次のよう に述べている. (大学担当者 B)共同研究を成功させるために は,研究者のやる気が最も重要である.過去の 苦い経験から企業を好きではない研究者がいる が,そうした研究者をやる気にさせることは困 難である.研究内容はもちろん重要ではあるが, 共同研究に対してやる気がある研究者を産学連. 携部門は支援していくことになる. 企業と大学研究者の積極性が高まったとき,初め て企業と大学が共同研究の実施に向けた対話が前進 することとなる. b)階層間対話の開始 積極性が高いと双方が判断した場合は,共同研究 開始に向けた対話を本格的に開始することとなるが, 目的や期待する成果は,明確にしておくことが望ま しい.しかし,大学と企業では,目的や期待する成 果が同一ではないことも多く,ギャップが存在する ことがある.これらのギャップを双方がどの程度認 識しているか,またギャップをどのようにして小さ くするかについて議論する必要がある.ある大学の 産学連携担当者は以下のようにコメントしている. (大学担当者 C)過去には,大学研究室の研究 テーマ全体を共同研究の目的とすることが多 かった.大学研究者は企業のためではなく自ら の研究を進めていくことだけを考えており,企 業はその中から何か自社事業に使える成果が出 れば使いたいというケースが多かったためであ る.しかし,研究室では数多くの細分化された テーマがあり,成果物が共同研究の範囲か自主 研究の範囲かと言った権利の扱いで企業とトラ ブルになったり,必要以上の幅広い範囲設定の ため研究室が他の企業と共同研究ができなくな ることも発生した.そうした問題を踏まえ,共 同研究の目的や目標についてはできる限り明確 に事前合意をするように心がけている. 分析の結果,共同研究では企業および大学におい てそれぞれ 3 階層から成る対話構造があり,3 つの 階層ごとに対話を進めることが重要であることが明 らかになった.3 階層とは, 1 )企業の事業技術部 門と大学の研究者(研究階層), 2 )企業の法務知財 部門と大学の産学連携部門(交渉階層), 3 )企業の 事業経営責任者と大学の経営責任者(経営階層)で ある. 関係構築の初期段階においては,この 3 階層の対 話がどの程度適切に行われるかが,その後の相互理 解や相互信頼に大きな影響を及ぼすこととなる.イ ンタビュー調査においては,研究階層と経営階層に 比べ,交渉階層における関係構築が難しいことが指 摘された.すなわち,研究階層における研究者同士 の研究方針や研究計画など技術的な議論,および経 営階層における責任者同士の連携方向性など方針的 な議論は,積極的な対話となりやすい.これに対し, 企業の法務知財部門と大学の産学連携部門が関係す る交渉階層は,研究費の金額,研究成果の帰属,リ スク発生時の責任など契約内容に直結する議論が多 く,利害関係が絡む対話となるため対立構造に陥り やすいためである.これに関して,企業および大学 の産学連携担当者は以下のように述べている. (企業担当者 D)企業知財部門と大学産学連携部 門の意思疎通が上手く行かないのは,それぞれ の部門が,組織全体でなく,部門自身が背負っ ている役割や自部門の交渉成果に拘りすぎてい. ― 34 ―.

(7) 産学連携学 Vol. 17, No. 1, 2021. るためではないか.各部門が全体の利益を考え るような体制にならなければ産学連携は上手く 行かない. (大学担当者 E)異なる組織同士の連携が簡単に 進まないことは普通ではないか.企業と大学だ から駄目ということではなく,企業と企業でも 利益の配分などに関しては同じはずである.大 学特有の問題はあると思うが,企業間の交渉で も解決すべき課題は実質的には同じではないか. 対話は人間同士が行うものであるため,相手との 相性も重要となる.例えば,対話相手の人間性や態 度,対話の基礎となる知識のレベル,相手を理解し ようとする姿勢などが相性を決定する要因となる. 対話について産学連携担当者は以下のように述べて いる. (大学担当者 F)企業は対話によって研究者の人 間性を知りたいと考えている.大学研究者は個 性的な気質の人も多く,共同研究を進めるにあ たっては研究者の対人的能力も重要と考えてい るからである. (大学担当者 C2)企業担当者によっては,大学 の研究情報を聞き出すことには熱心だが自社情 報は話したがらない人もいるなど,対話するこ とを嫌がる相手では,理解しあう状況にはとて も進めない.この場合は,相手との対話を終了 することになるか,距離を置いてお付き合いす ることになる. c)理解の素地形成 理解の素地形成は,共同研究を安心して開始でき る程度まで相互理解を形成する段階である.相手を 十分理解できたか,相手から理解されていると感じ るかと共に,対話相手の人間的な魅力なども大きく 影響する.相手から感じられる積極性や好奇心,共 同研究の成功に向けた実現意欲なども理解を促進す るための重要な要件となる.大学と企業間の理解に 関して,産学連携担当者は以下のようにコメントし ている. (大学担当者 B2)共同研究開始前に,将来生ま れるかもしれない共有特許の扱いなどばかり議 論しても,結局は契約書の文言修正に対して事 務的に対立しているだけに思える.想定する研 究成果をどう使ってどうなりたいかを想像しな いまま交渉する場面が多いが, 「双方平等になる にはどうなるのかな」と考えながら交渉してい る. (大学担当者 G)理解すべき重要なことは,「相 手の利益は何か」だと考えている.相手の立場 や考え方を理解しただけでは不十分であり,共 同研究による企業の利益および大学研究者の利 益を考えることが相互理解に繋がる. d)信頼関係構築の期待 初期段階で一定の信頼が構築されていることは望 ましいが,特に初めての共同研究相手の場合は,そ れまでの対話や理解に基づき,共同研究を進めるに おいて相手が信頼に足るかどうかを判断する必要が. ある.この段階では,組織ではなく,対話や理解を 進めてきた相手の信頼感が重要な基準となるため, 個人を通して組織の信頼度を見極めることとなる. インタビュー調査では,特に企業と大学の交渉階層 の信頼関係は容易に成り立たないことや,自己の主 張にだけ固執せずに相手の主張を聞くことが信頼関 係に繋がる第一歩であるという点も指摘された. (企業担当者 H)大学がなぜ不実施補償の主張を するのか全くわからない.共同研究費により研 究支援をしていることで十分のはずであり,不 実施補償を支払う必要がないことは特許法に照 らして平等かつ正当な主張をしているつもりで ある. (大学担当者 C3)相手の発言を理解できるよう になっても,自分の立場への必要以上の固執な どにより信頼関係が構築できない場合がある. 一方,信頼が生まれると,相手の発言が理解で きなくなった場合でも,なんとか相手の立場に なって考えようと努力するようになる. 以上の分析から,初期段階では,双方の積極性を 確認すると共に,共同研究の開始に向けて,階層間 の対話や理解を通じて相互の信頼性を見極める努力 をすることが重要なプロセスであることがわかる. ⑵ 関係構築の中期段階(共同研究中) 表 2 は,企業と大学が関係を構築する際の中期段 階におけるカテゴリー分析結果である. 表 2 におけるカテゴリー間の関係をカテゴリー関 連図として図示したものが図 2 である.中期段階で は,「対話を促進」することで,「不確実性を理解・ 共有」し, 「信頼関係を継続的に醸成」することが重 要になる.以下では,図 2 にしたがって,中期段階 における企業と大学の関係構築プロセスを説明する. a)対話の促進 共同研究中における対話の主体は研究階層であり, 研究の進捗および研究課題の共有と対応策などが, 定期的(例えば月次)に双方向で対話されることが 重要となる.こうした対話において,情報が一方通 行であったり,必要な情報が欠如する状態に陥ると, 情報共有の促進が阻害される.中期段階では,一般 的に交渉階層間や経営階層間の対話は減少する.共 同研究中の積極的な対話の場作りについて,ある産 学連携担当者は以下のように述べている. (大学担当者 I)大学の研究者は,講義や学生の 指導など,共同研究以外にも様々な業務や雑務 を持っている.研究室に自分から出かけて,定 期的に話を聞かなければ進捗状況や課題を把握 することはできない場合もある. (大学担当者 G2)対話を双方が誠実かつ適切に 行うことは,事後的な対策を排除する効果があ り双方のコスト削減にも繋がる.対話が上手く 行かない場合には,意思疎通に余計な手間がか かり,共同研究の進捗把握や情報共有が非常に 非効率となる.. ― 35 ―.

(8) J. Jpn. Soc. Intel. Prod., Vol. 17, No. 1, 2021 表 2 中期段階の関係構築のカテゴリー分析 カテゴリー. サブカテゴリー. 特性と次元. a. 対話の促進 (企業と大学間の良悪情報含めコ ミュニケーションを促進できてい るかどうか). 研究階層による継続的情報共有. 事業部門と研究者の情報共有意欲 情報共有頻度 . 研究進捗や研究課題の共有. 研究進捗共有 前向き ↔ 後向き 懸念事項の洗い出しと検討意識 十分 ↔ 不十分 発生課題共有と対応策検討 前向き ↔ 後向き. 情報開示の積極性. 情報開示の透明性 情報の方向性 . 不確実性の理解と共有 b. 不確実性の理解と共有 (共同研究中に発生する不確実性 について理解しようとしている か,組織としての相違点によって 不確実性の予測努力 生じる不確実性を理解共有してい るか) 不確実性対応の選択肢創出. c. 信頼関係の継続的醸成 (大学と企業間の相互信頼に到達 させ,それを維持できるか). 高い ↔ 低い 頻繁 ↔ 疎遠. 高い ↔ 低い 双方向 ↔ 一方向. 大学と企業の相違点の理解 相手への共感 不確実性への理解力 . 高い ↔ 低い 高い ↔ 低い 十分 ↔ 不十分. 不確実性の予測能力 理解姿勢 . 高い ↔ 低い 積極的 ↔ 消極的. 選択肢の想像力 不確実性への対応意識 共同研究の成功意欲 . 高い ↔ 低い 積極的 ↔ 消極的 高い ↔ 低い. パートナーシップ意識の醸成. パートナー意識 権利意識 相手の尊重意識 . 信頼向上の努力. 信頼の程度 将来的関係 . 高い ↔ 低い 対等意識 ↔ 自己利益中心 高い ↔ 低い 高い ↔ 低い 継続希望 ↔ 今回限り. 関係構築の初期段階から a.対話の促進. 阻害要因 双方向性欠如、情報不足. 研究階層による継続的情報共有 研究進捗や研究課題の共有 情報開示の積極性 対話から 理解へ. b.不確実性の理解と共有 阻害要因. 不確実性の理解と共有 不確実性の予測努力 不確実性対応の選択肢創出. 想定外事象発生、不確実性増大 (想定外事象の例:突然の経営悪化、 天災など). 相互理解から. c.信頼関係の継続的醸成. 信頼へ. 阻害要因 自己中心主義. パートナーシップ意識の醸成 信頼向上の努力. 関係構築の後期段階へ 図 2 中期段階の関係構築プロセスモデル. b)不確実性の理解と共有 中期段階においては,不確実性を発生させる事象 に関する情報共有と相互理解が重要である.不確実 性は,研究内容と組織連携に関する事象に大別でき る.研究内容に関する不確実性とは,期待した実験 結果が出ない,追加実験が必要となる,研究期間中 に結果が出そうにない,資金が不足するなどである. 組織連携に関する不確実性とは,組織的相違の理解. 不足により生じることが多く,例えば,対話不足に より双方の意志に齟齬が生じる,企業と大学のマネ ジメントの違いにより計画に遅れが生じる,事務的 手続のくい違いにより必要以上に日数を浪費するな どが挙げられる. 不確実性をどこまで予測し理解しておくことがで きるかは,共同研究の成功に対する大きなポイント となる.多くの不確実性がある状況では,対話と理. ― 36 ―.

(9) 産学連携学 Vol. 17, No. 1, 2021. 解の継続的な繰り返しが,目的実現のための対応策 の選択肢の創出を導き,最終的には共同研究を成功 に導く原動力となる.ある産学連携担当者は以下の ようにコメントしている. (大学担当者 J)研究もすべてが上手く行くとは 限らず結果が出ないことも当然あるとわかって いるが,研究者も人間なので悪いことは伝えた くなくなり,実験意欲が減退することもあるだ ろう.そのため,研究者の性格も理解した対応 を想定しておく必要がある. (大学担当者 B3)この時点までには,ここまで 研究を進めようと計画的に共同研究を進めるこ とが成功の秘訣である.想定より進捗が悪けれ ば,計画を見直すことも必要である.大学研究 者が自分の研究ペースで進めるのでは上手く行 かないので,産学連携部門が企業の目線で進捗 を確認することもある. c)信頼関係の継続的醸成 共同研究が終盤に近づくと,共同研究中の対話内 容や理解の進展に応じて,相互に信頼が生じる傾向 にある.信頼の判断指標は,双方がパートナーシッ プ意識を持って接していると感じることができるか, 権利や義務について対等な意識をもっているか,相 手からの尊重意識を感じることができるかなどであ るが,双方ともに信頼性向上の継続的な努力が必要 である.前出の産学連携担当者は以下のように述べ ている. (大学担当者 J2)共同研究には不測の事態も多 く発生するが,大学研究者だけでなくそれを支 援する産学連携部門が必死になって対応策を考 えてくれていることがわかれば,自社も必死に なって対応を考えようとする. (大学担当者 G3)共同研究が計画通り進んだ ケースの多くは,対話による意思疎通や理解が 上手く進んだプロジェクトである.高い信頼関 係がある場合は,細かい対話すら必要ではなく なる.相手が不誠実な主張をしないことがわ かっているし,相手も当方の考えを信じてくれ ているからである.また,こちらを試すような こともしてこないし,こちらからも当然するこ とはない. インタビュー調査では,相手の主張する内容は理 解することはできるが,相手がこちらを尊重してい ないと感じる場合などは,最後まで信頼には至らな いことが指摘された.例えば,相手の権利主張には 一定の理解ができるが,自己の立場や利益の主張を するばかりで一方的に理解を求めるケースなどは, 理解には到達しても信頼には到底至らない.共同研 究終了前までに相互信頼を構築できたかどうかは, 共同研究の反復可能性にも大きな影響を与える. 以上の分析結果から,中期段階では,対話頻度を 上げながら,相手に対する尊重と情報の共有を通じ て,共同研究中に発生する不確実性に対して共同で 対応していくことが特に重要であることがわかる.. ⑶ 関係構築の後期段階(共同研究終了時) 企業と大学が関係を構築する際の後期段階におけ るカテゴリー分析結果を示したものが表 3 である. 図 3 は,表 3 を基に共同研究終了時における関係 構築の後期段階をモデル化したものである.共同研 究の終了時点においては,不確実性の影響を受けな がらも目標としていた研究成果が生まれることが期 待される.しかし,環境や時代の変化に応じ,研究 成果に対する企業および大学の価値評価の基準は大 きく変化している中で,将来関係を継続するために は双方が相手の評価基準を良く理解しておく必要が ある. a)企業と大学の共同研究目的の変化 企業が共同研究を通して得ようとする価値は,時 代と共に変化している.過去には,企業にとっての 共同研究は,事業利益に直接的に繋がる成果を求め るのではなく知識獲得や学生獲得が狙いであること も多かった.しかし,現在では,多くの企業は自前 主義からオープン・イノベーションへと方向性を変 え,共同研究の強化を通じて,大学の研究シーズの 自社への取り込みや新しいイノベーション創出によ る新規事業開拓を目指している.この状況について, 大学の担当者は以下のようにコメントしている. (大学担当者 K)ある企業において社長直轄の部 門として産学連携推進部門が新設された.共同 研究などの産学連携を全社として進めていこう という企業方針の表れと考えている. 大学の産学連携活動に対する考え方も大きく変わ りつつある.長年,大学にとっての共同研究の目的 は,論文発表や学会発表,研究室の学生の企業への 採用で十分であり,研究成果が生み出す事業的価値 には注意を払っていなかった.しかし,現在の大学 は,教育研究に留まらず研究成果の企業による事業 化や,研究資金の民間企業からの獲得を強く求めら れており,産学連携部門が設置され,共同研究の目 的や価値と共に大学研究者の意識も変化している. 大学も大学研究者も国からの活動資金が減少する中, 「企業に提供した研究成果が共同研究費に見合ったも のか」, 「企業が研究成果を基に事業化を進める中で, 企業への貢献対価として将来収入を得られる可能性 があるか」を考えざるを得ない状況になってきた. ある大学の産学連携担当者は以下のように主張して いる. (大学担当者 L)研究成果は,長年にわたる大学 研究者の試行錯誤の研究の賜であり,世界初, 世界最先端の研究成果も多く含まれる.企業が, 自社開発人員や開発コストなしに新事業や新製 品の芽を手に入れることができるのであるから, 投資としても相当の共同研究費を投じたり,貢 献に対する対価を支払うことは何ら不思議では ないと考えている. b)企業と大学の共同研究成果の価値評価 上記の変化により,研究成果を企業と大学が同じ 基準で価値評価をするのではなく,企業と大学が 個々の指標で価値評価を行うようになっている.双. ― 37 ―.

(10) J. Jpn. Soc. Intel. Prod., Vol. 17, No. 1, 2021 表 3 後期段階の関係構築のカテゴリー分析 カテゴリー. サブカテゴリー. a1. 企業の共同研究目的変化. a2. 大学の共同研究目的変化. 特性と次元. 事業利益獲得の意欲. 具体的シーズの自社取込み意欲 . 新規事業開拓の意欲. イノベーション創出意欲 組織的な産学連携対応 . 高い ↔ 低い あり ↔ なし. 研究資金の獲得意欲. 研究成果の企業価値意識 公開優先の意識 . 高い ↔ 低い 低い ↔ 高い. 研究の社会実装期待. 研究成果の社会貢献意識 . 高い ↔ 低い. 企業設定目標の達成度合 b1. 企業による成果価値評価 (当初予定していた成果が得られ, 事業化につながりそうか) 事業化実現への期待度. 信頼関係構築の度合 大学設定目標との達成度合 b2. 大学による成果価値評価 (当初予定していた成果が得られ, 研究の進展 研究の進展や研究の社会実装につ ながりそうか) 社会実装・将来収入の期待. 共同研究の成果 企業想定外の好結果 . 大 ↔ 小. 目標達成 ↔ 目標未達 あり ↔ なし. 事業化目処 事業化可能性 共同研究の継続・拡大希望 . あり ↔ なし 大 ↔ 小 あり ↔ なし. 相互信頼程度 関係性の長期維持希望 . 高い ↔ 低い あり ↔ なし. 共同研究の成果 . 目標達成 ↔ 目標未達. 論文発表 学会発表 . 可能 ↔ 不可能 可能 ↔ 不可能. 社会貢献可能性 高い ↔ 低い 成果に対する研究費の満足度 高い ↔ 低い 企事からの貢献対価 可能性大 ↔ 可能性小. 信頼関係構築の程度. 相互信頼程度 共同研究継続希望 . 高い ↔ 低い あり ↔ なし. b3. 社会的視点の評価. 研究成果の社会的価値. 研究成果の技術進歩への貢献 研究成果の社会的貢献 . 高い ↔ 低い 高い ↔ 低い. c. 共同研究終了後の評価. 関係構築の拡大又は継続又は終 了判断. 研究成果の評価結果 研究成果の満足度 信頼関係の程度 . 高い ↔ 低い 高い ↔ 低い 高い ↔ 低い. 関係構築の中期段階から a2.大学の共同研究目的変化. a1.企業の共同研究目的変化 事業利益獲得の意欲 新規事業開拓の意欲. 研究資金の獲得意欲 研究の社会実装期待. b2.大学による成果価値評価. b1.企業による成果価値評価 研究終了時 企業設定目標の達成度合 事業化実現への期待度 信頼関係構築の度合. 大学設定目標の達成度合 研究の進展 社会実装・将来収入の期待 信頼関係構築の程度. 研究成果. b3.社会的 視点の評価 企業評価基準 の時代変化. 研究成果の技術進歩への 貢献 研究成果の社会的貢献 評価結果. 評価結果. c.共同研究終了後の評価 関係構築の拡大又は継続又は終了判断. 図 3 後期段階の関係構築プロセスモデル. ― 38 ―. 大学評価基準 の時代変化.

(11) 産学連携学 Vol. 17, No. 1, 2021. 方が共同研究から直接的に利益を得ようとする意識 の変化により,研究成果の価値を評価する必要性が 高まったと考えられるが,研究成果の価値評価の困 難性や評価基準の相違が,関係構築に対して影響を 与えるようになっている.以前は,共同研究によっ て獲得したい対象物が,企業は研究成果自体であり 大学は成果発表であったことから衝突することがな かったため,双方にとって満足な結果になりやすい 関係であったが,双方共が研究成果を金銭的価値と して評価することになったためである.価値評価の 変化についてある大学の産学連携担当は以下のよう に述べている. (大学担当者 M)昔,日本の大学は研究成果を 企業に自由に渡していた.大学研究者は論文発 表で満足しており,大学もそれで良いと考えて いた.現在は国の方針や大学の資金不足もあり, 共同研究によって得られる対価重視による収支 目標が求められるようになった.その意味で昔 の WIN − WIN 論はもう成り立たなくなってい るが,金額だけを追求しても満足度は低い.大 学の研究成果が製品化されたことなどは,大学 が社会的使命を果たした成果として捉えるべき ではないか. 共同研究の成果は,新技術・新知見・ノウハウ・ 知的財産権・論文・人材創出など多種多様であるが, その評価は主観的な満足度だけを基礎とすることが 多かった.幅広い研究成果の中でどの成果がどのよ うな価値を生むのかを判断することは非常に困難で あり,そのような対話をすることを避ける傾向に あった.実際,共同研究成果の価値は,共同研究終 了時点ではなく企業の事業化を通じて生み出される 将来価値であり,また,研究成果の事業への貢献度 の数値化や様々な価値評価など,その算出は非常な 困難を伴う. 知的財産権は出願件数などの数値指標として早期 から価値評価の対象になったが,知的財産権の価値 は件数ではない.企業は知的財産権を自社事業が利 益を生むために活用したいと考え,大学は研究資金 としての自己収入を生み出す源泉として活用したい と考えている.そのため,大学と企業で知的財産権 の価値評価基準は大きく異なり,知的財産権におけ る価値評価結果に対する衝突は,時に避けられない 阻害要因になることが示された.企業および大学の ある産学連携担当者は以下のように述べている. (企業担当者 N)共同研究成果に特許権があった としても,それを活用するのは企業であって大 学ではない.したがって,特許権に価値を付与 しているのは,企業の製品開発努力や営業努力 であって大学ではないはずである.ただし,発 明創出に大学研究者の存在がなければあり得な いことは理解しているので,企業利益が出れば 大学に返したいと思っている. (大学担当者 F2)近年,大学は共同研究成果で ある特許についてライセンス収入を如何に得よ うかと考えるが,本来研究成果としては多種多. 様なものがある.しかし大学は共同研究の貢献 対価を得るカードとしては権利としての特許権 しか見いだせていない.社員の成長や社会から の信頼など共同研究を行うことで企業が得る金 銭以外の利益について,大学も真剣に考える必 要がある. 共同研究成果の価値評価は衝突の原因となってい るが,企業および大学からは,価値評価を目先の利 益追求や金銭的価値のみとすることに対しての危機 感も示されている.現状に対し,企業で管理職経験 のある大学の産学連携担当者は以下のように訴えて いる. (大学担当者 O)多くの日本企業はリーマン ショックなどを経て 10 年先を見据えた基礎研究 をしなくなってしまった.今それを行っている のは大学だけである.日本の未来を考えるなら, 日本の産業界が大学を支えていくという社会的 な視点が必要である. (大学担当者 L2)基礎から応用まで様々な研究 を自由にしているのが大学である.資金を集め ている研究者だけを重視することも問題はある が,それらを活動資金として大学全体として研 究活動が行えなければ,未知の研究への挑戦や 若手の自由な研究を継続できなくなる.日本の 研究力や技術力の基礎を支えているのは大学で あるという社会的な視点や責任感が双方には重 要なはずである. c)共同研究終了後の評価 後期段階における企業および大学の研究成果に対 する価値評価の結果は,企業と大学の将来の関係を 決定する要因となる.研究成果が顕著であり成果価 値評価の結果が双方期待したものである場合は,共 同研究を継続あるいは拡大したり,新たな大学研究 者と共同研究を行うことになる.重要なことは後期 段階時点で信頼が確立されているかどうかであり, 信頼がない場合には成果価値の評価が高くても次の 共同研究には繋がらない.信頼関係の程度により, 一度限りの共同研究となるか,継続的なパートナー 関係が構築できるかが決まることになる. 以上の分析結果から,後期段階では,組織におけ る利益追求視点の価値評価指標だけにとらわれず, 図 3 に示すように共同研究成果が生まれることにつ いて社会的視点からの価値を見いだしていくことの 重要性を認識する必要があることがわかる.社会的 視点とは,インタビュー内容から,共同研究成果が 我が国の技術進歩に貢献できたか,次世代の人材を 創出できたか,具体的な製品として具現化できたか などの視点である.. 5 .考察 本研究では, 「共同研究において企業と大学の連携 担当者は,対話・理解・信頼のプロセスを通して, 共同研究の初期・中期・後期段階における阻害要因 を如何に克服し良好な関係を構築しているのか?」. ― 39 ―.

(12) J. Jpn. Soc. Intel. Prod., Vol. 17, No. 1, 2021. というリサーチクエスチョンについて検討を行った. グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いてイ ンタビュー調査データを分析した結果,現在の共同 研究における企業と大学の関係を構築するプロセス が明らかになった. 第 1 に,初期段階では,共同研究の大型化・組織 化により,研究階層の個人的繋がりという現場任せ の状況から,交渉階層を交えた対話が増え,さらに 経営階層を含めた複数階層との対話の機会が増加す るなど2),先行研究において検討が不十分であった 企業と大学の変化が12),共同研究に関わる関係者数 や交渉事案を増加させている点を明らかにした. 第 2 に,中期段階では,共同研究中に発生する多 様な不確実性に対して,相手の尊重と情報の共有を 通じて共同で対応することが重要であり,その繰り 返しが強い信頼を生み出している事実から,不確実 性と信頼構築の関係を明らかにした. 第 3 に,後期段階では,共同研究の目的が事業成 功や収益増加という短期的成果の獲得に移行し研究 成果の金銭的評価での衝突が生じると共に2, 5, 11, 12), 組織的相違点などの阻害要因がより顕在化し,関係 構築プロセスが機能しにくくなっていた.先行研究 において検討が不十分であった関係構築プロセスに 影響を及ぼしている共同研究目的や価値意識の変化 は 1, 24),利益追求視点だけではない社会的視点で研 究成果を評価することで産学官に共通の価値を見い だせる可能性を明らかにした. また,先行研究においては,対話・理解・信頼は 個人に帰属する行為であり,組織間関係でも個人間 の関係構築プロセスを基礎として分析されることが 一般的であったのに対し5, 6),本研究では相対する組 織内における複数の立場の違う個人群を対象にした 関係構築プロセスとして検討した5, 6, 8).その結果, 現在の共同研究においては,研究・交渉・経営とい う 3 階層における適切な関係の構築が関係構築プロ セスとして必要になっており,研究階層や経営階層 においては信頼関係が成立しても,上述の企業担当 者 D(4.(1)b 記載)が述べているように交渉階層 では対立構造になりやすく,信頼関係の構築が困難 であることが多いという階層毎の関係構築状況の乖 離という事実も分析により明らかになった. これらを踏まえると,今後は,企業および大学と いう組織の意志代弁者といえる経営階層の意志を中 心に,同階層間および別階層間における関係の構築 をしながら,尊重意志を持って双方が共に不確実性 に対応し,社会的視点から研究成果を評価していく ことが重要になると言える.なお,ここで社会的視 点とは,表 3 および図 3 に示すように, 「研究成果の 技術進歩への貢献」や「研究成果の社会的貢献」か らの視点を意味している.. を通していかに関係を構築しているのかを,インタ ビュー調査データからグラウンデッド・セオリー・ アプローチを用いて明らかにすることであった.分 析の結果,共同研究の初期段階では「組織階層を考 慮した関係構築プロセス」,中期段階では「相手を尊 重した不確実性への対処」,後期段階では「社会的視 点からの成果評価」がそれぞれ重要であることが明 らかになった.これらの発見事実に基づく実践的な 示唆は以下の通りである. 「組織階層を考慮した関係構築プロセス」において は,今後,実際に協力して研究を行う研究階層,組 織としての方向性を示す経営階層,双方の利益を生 み出せるように契約面から利害調整する交渉階層の 3 階層が 1 つの組織体として,共同研究の目的と期 待する成果を共有しつつ相手を尊重しながら協働行 動をする必要があるだろう. 「相手を尊重した不確実性への対処」に関しては, 事業や研究におけるグローバル競争激化やさまざま な国際問題など不確実性が増す状況が予想されるな か,企業と大学が理解を深めながら協力して予測努 力とその対応を真摯に進めていくことが重要になる と考えられる. 最後に, 「社会的視点からの成果評価」は,共同研 究の意味とそれが生み出す価値を企業と大学が共に 検証する必要があるだろう.共同研究は,単に個別 の研究が進展し企業が事業化をするだけではなく, 我が国の国際競争力や基礎研究力の向上,研究人材 の育成など様々な可能性を秘めている.3 階層にお いて企業の知財法務部門と大学の産学連携部門は権 利や利益の取り合いに終始することが未だに多い状 況であるが,自己利益や短期的利益ばかりにとらわ れず企業と大学が連携して我が国に新しい価値を生 み出すという社会的視点からあらためて共同研究の 成果を評価することで,強固な関係を築くことがで きる関係構築プロセスを作り上げていくことが重要 になる. 今後の研究においては,業種の違いを考慮に入れ つつ,本研究で明らかになった関係構築プロセスを 検証する必要があるだろう.また,本研究における インタビュー対象者は大企業に勤務した経験を持つ 人材であり,産学連携の対象も大企業が中心である. 今後は,本研究で得られた知見が,大学と中小企業 の連携においても適用できるかどうかについても検 討すべきであると考えられる. 引用文献. 6 .おわりに 本研究の目的は,共同研究において日頃から企業 と大学の連携担当者が対話・理解・信頼のプロセス ― 40 ―. 1 ) Perkmann, M., Neely, A. and Walsh, K.: How should firms evaluate success in universityindustry alliances? A performance measurement system, R&D Management, 41(2), 202-216, 2011. 2 ) 山内恒,古川勝彦:持続可能な産学連携事業の構 築,知財管理,63 (9), 1427-1434, 2013. 3) Hall, B. H., Link, A. N. and Scott, J.T.: Barriers inhibiting industry from partnering with universities: Evidence from the advanced technology .

(13) 産学連携学 Vol. 17, No. 1, 2021 program, Journal of Technology Transfer, 26, 87-98, 2001. 4 ) Bruneel, J., D’Este, P. and Salter, A.: Investigating the factors that diminish the barriers to university-industry collaboration, Research Policy, 39, 858-868, 2010. 5 ) Plewa, C., Korff, N., Johnson, C., Macpherson, G., Baaken, T. and Rampersad, G. C.: The evolution of university-industry linkages – A framework, Journal of Engineering and Technology Management, 30, 21-44, 2013. 6 ) Plewa, C., Korff, N., Baaken, T. and Macpherson, G.: University-industry linkage evolution: an empirical investigation of relational success factors, R&D Management, 43 (4) , 365-380, 2013. 7 ) Lavie, D., Haunschild, P. R. and Khanna, P.: Organizational differences, Relational Mechanisms, and Alliance performance, Strategic Management Journal, 33, 1543-1479, 2012. 8 ) Agarwal, R., Croson, R. and Mahoney, J. T.: The role of incentives and communication in strategic alliances: an experimental investigation, Strategic Management Journal, 31, 413-437, 2010. 9 ) Krishnan, R.: When does trust matter to alliance performance?, Academy of Management Journal, 49 (5) , 894-917, 2006. 10) Gulati, R., Nohria, N. and Zaheer, A. : Strategic networks, Strategic Management Journal, 21, 203-215, 2000. 11) 西川洋行,古川勝彦:産学連携から産学共働への 新たな仕組み創り,知財管理,56 (11) , 1663-1674, 2006. 12) 日本知的財産協会ライセンス委員会第 1 小委員 会:産学連携における共同研究契約─連携の多様 化・高度化を見据えた契約実務─,知財管理,64 (8) , 1229-1240, 2014. 13) Luo, Y.: Procedural fairness and interfirm cooperation in strategic alliances, Strategic Manage-. ― 41 ―. ment Journal, 29, 27-46, 2008. 14) Goerzen, A.: Alliance networks and firm performance: The impact of repeated partnerships, Strategic Management Journal, 28, 487-509, 2007. 15) Strauss, A. and Corbin, J.: Basics of Qualitative Research, SAGE, Newbury Park, 1990. 16) Creswell, J. W.: Qualitative Inquiry and Research Design: Choosing Among Five Approaches, SAGE, 1998. 17) Easterby-Smith, M., Thorpe, R. and Lowe, A.: Management Research: Second Edition, SAGE, 2002. 18) Volkoff, O., Strong, D. M. and Elmes, M. B.: Technological Embeddedness and Organizational Change, Organization Science, 18(5), 832-848, 2007. 19) Margolis, J. D. and Molinsky, A.: Navigating the bind of necessary evils: psychological engagement and the production of interpersonally sensitive behavior, Academy of Management Journal, 51(5), 847-872, 2008. 20) Daudigeos, T.: In Their Profession’s Service: How Staff Professionals Expert Influence in Their Organization, Journal of Management Studies, 50 (5), 772-749, 2013. 21) 戈木クレイグヒル滋子:グラウンデッド・セオ リー・アプローチ概論,KEIO SFC JOURNAL, 14(1), 2014. 22) 田中聡,中原淳:新規事業創出経験を通じた中堅 管理職の学習に関する実証的研究,経営行動科学, 30(1), 13-29, 2017. 23) Chesbrough, H.: Open Business Models: How to Thrive in the New Innovation Landscape, Harvard Business School Press, Boston, 2006. 24) 日本知的財産協会第 1 委員会第 3 小委員会:産学 連携の新しい枠組みでの知的財産マネージメント, 知財管理,54(9), 1317-1330, 2004..

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表 1 初期段階の関係構築のカテゴリー分析 カテゴリー サブカテゴリー 特性と次元 a1. 企業の積極性 (企業の産学連携に対する内部推 進力が存在するかどうか) オープンイノベーション指向 企業のオープンクローズ方針  明確 ↔ 曖昧自前前提主義 弱い ↔ 強い 新事業領域模索の意欲 全く新たな研究領域の開拓意欲  強い ↔ 弱い 共同研究の準備資金  あり ↔ なし a2

参照

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