Vol. 46 No. 171 (2020. 9) - 133 - 1 .栃木県にある医科大学 参加した学会会場で良くいただく質問は「自治医科大 学ってどこですか?」です。答えは「栃木県下野市」です。 日光東照宮とも宇都宮餃子とも関係なく印象は薄いです が、卒業生の医師国家試験合格率が
8
年連続全国1
位(直 近の114
回では合格率100%
)を誇る医科大学です。昭 和47
年に全国の都道府県が共同で設立した大学で、僻 地における医療の確保と地域住民の健康向上を推進する 医療人の育成がミッションの1
つです。また、研究活動 にも積極的で、大型実験動物(主に実験用ミニブタ)を 利用できる先端医療技術開発センターを備えています。 加えて、学長による科研費獲得セミナー(申請書の書き 方を講義、若手には直接添削)の効果により採択数を年々 増やしており、筆者も大変お世話になりました。 2 .所属研究室について 分子薬理学部門は、輿水崇鏡教授が主宰する研究室で、 「ひと」に優しく効く「くすり」の開発を目標にして、薬 の受け皿となる「受容体」の動態を探っています。教員4
名、技師1
名、博士課程の大学院生4
名の9
名で研究 を進めています。各自が独立した研究テーマをもち、2
週間に一度のリサーチミーティングで進捗状況を報告し 合います(写真1
)。研究内容が違う中で新鮮な議論が 生まれ、時には新しい実験のアイディアとなります。 研究のメインはG
蛋白質共役7
回膜貫通型受容体 (GPCR
)であるバソプレッシン受容体を標的とした創 薬開発です。具体的には、培養細胞の分子イメージング を利用した受容体-受容体あるいは受容体-細胞内分子 との複合体形成とその機能解析、バソプレッシン受容 体(V1a
受容体とV1b
受容体)ノックアウトマウスの表 現型解析をヒントに新しい創薬ターゲットの発見を目指 しています。手技として、生物発光共鳴エネルギー移動 による受容体ダイマー形成や受容体へのβアレスチン 結合の検出を得意としています。また、最近では、深 層学習を利用した解析にも取り組んでいます。詳しく は、研究室のオリジナルサイト(http://www.jichi.ac.jp/
molpharm/
)をご覧ください。 3 .筆者の研究内容について そんな医科大学の研究室で、筆者はまじめに古代魚(主 にポリプテルス、チョウザメ、アミア)を飼育していま す(写真2
)。筆者の研究テーマの1
つは、視床下部ニュー ロンの軸索を下垂体神経葉に誘導する分子機序を同定す ることです。これまでに筆者は、条鰭類の魚種では一般 に、メラニン凝集ホルモン(MCH
)ニューロンが神経 葉に投射してMCH
を放出しますが、原始的な条鰭類 のポリプテルスではMCH
ニューロンが神経葉に投射 しないことを発見しています。そこで、比較内分泌学の 視点からポリプテルスを「MCH
ニューロンが神経葉に 投射しない動物モデル」として、「神経葉からMCH
を 放出する魚種」と比較することで、未同定な「神経葉に 軸索を誘導するシグナル」を明確にできると考えていま す。また、動物種を問わず、in situ hybridization
法によ り中枢や末梢組織でMCH
を含めホルモンの受容体(特 にGPCR
)を発現する細胞を特定し、未同定なホルモン の働きを発見することも研究テーマとしています。以上 のように、筆者自身は組織学的解析を得意としています ので、実験手法や研究テーマ、研究室のことで質問がご ざいましたら、気軽にお声がけください。自治医科大学医学部 薬理学講座 分子薬理学部門
東 森生(自治医科大学・医学部) E-mail: [email protected]研究室紹介
写真 1.ミーティングの様子(筆者撮影) 左端は輿水教授 写真 2.筆者と魚類飼育設備(自作)比較内分泌学 - 134 - 4 .終わりに ちなみに、栃木県下野市の名産は生産量全国