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セメント固定式上部構造から電鋳テレスコープ義歯に改造した1症例

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Academic year: 2021

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(1)<症例報告>. セメント固定式上部構造から電鋳テレスコープ義歯に改造した 1 症例 林 昌二1,2) 古谷田啓子3) 山田 千恵3) 保母 恭子3) 山川 理代3) 堀田 直花3) 徳増奈央美3) 富樫 敏夫1,2). 使用中の清掃困難な固定式上部構造の一部を改造して,清掃性に優れた電鋳テレスコープ義歯に改良した結果,良好な予 後が得られたので報告する. 患者は 77 歳の女性で,上顎無歯顎欠損に 6 本のインプラントが埋入され,セメント固定の上部構造が装着されていたが, 清掃が困難でインプラント周囲に大きな違和感を感じ,可撤式補綴装置の新製を希望した.そこで,既存のアバットメント を内冠として応用し,外冠にはアバットメントを印象採得し,得られた電鋳用模型から適合精度に優れた電鋳加工法を用い て電鋳コーピングを製作し外冠として応用した.そのコーピングが上部構造体内部に適合するように削合,調整し,口腔内 で内外冠を装着した状態で電鋳外冠を上部構造内にセメント装着し,硬化後に内外冠を離脱させ,電鋳テレスコープ義歯が 完成した.その結果,患者は 3 回の来院回数で義歯改造が完了し,同時に治療費も削減され,セルフケアが容易になり,イ ンプラント周囲の出血,疼痛や違和感は消失し,良好に経過している. キーワード:電鋳テレスコープ義歯,電鋳コーピング,トライボロジー,義歯改造. 告する.. 緒 言 高齢者の無歯顎症例における固定式インプラント上部. 症例の概要. 構造の選択は,設計によっては,セルフケアが困難な場 合がある.特に審美性や発音機能の向上を目的に上部構. 患 者:77 歳,女性.. 造の形態を付与した場合,不適な清掃器具の使用やプ. ラークコントロール不良が原因で,インプラント体喪失 リスクが高くなる場合があり,そのような症例に対して は患者可撤式上部構造の選択が有益である.. 本症例は,上顎無歯顎の高齢者にセメント固定された. セルフケア困難な上部構造が装着されており,新製せず に患者可撤式に改造が可能であるか検討した.. そこで,使用中の上部構造の一部を改造し,既存のア. バットメントを内冠に応用,電鋳コーピングを外冠とし て応用することにより,鋳造法や CAD/CAM 法では得. られない,嵌合に頼らない内外冠の維持力を発揮する電 鋳テレスコープクラウンが製作できた.セルフケアによ るプラークコントロールが向上したことで,違和感や疼 痛が消失した無歯顎症例を経験したので,その概要を報. 初 診:2013 年 5 月.. 主 訴:インプラント周囲に違和感がありブラッシン. グができない.. 既往歴・家族歴:特記事項なし.. 現病歴:インプラント周囲の違和感を主訴に,神奈川. 歯科大学附属横浜クリニックインプラント科に,2013 年 5 月に来院した.近医にて数年前に,上顎に種類の異. なる 6 本のインプラント体を 2 回に分けて埋入され, 前歯部にフレンジを有した上部構造がセメント固定され ていた.審美的障害や咬合機能に問題はなく,かかりつ け歯科医ではメインテナンス時に歯科衛生士から歯ブラ シ指導を受けていたが,患者自身で上部構造が外せない のでセルフケアができず,清掃しても口腔内に絶えず不 快を感じ,友人の紹介で当科を受診した. 現 症:. 1). 神奈川歯科大学高度先進口腔医学講座 2) 神奈川歯科大学附属横浜クリニックインプラント科 3) 神奈川歯科大学附属横浜クリニック歯科衛生士科 2020 年 10 月 22 日受付. 全身所見;特記事項なし.. 口腔内所見;2013 年 5 月初診時(図 1A)に上部構造. をリムーバーで外したところ,セメントと食物残渣が上 84 ─ 84.

(2) 2021 年 3 月. 電鋳テレスコープ義歯に改造した 1 症例. 85 ─ 85. 図 2 初診時のパノラマエックス線画像 表 1 PTV 測定値:初診時と 4 年経過 後のペリオテスト測定値(PTV). A. 歯式. B. C. 図 1 術前における口腔内写真 A:初診時口腔内写真,B:上部構造を外した直後の 上部構造体粘膜面観.セメントの残留や食片が認めら れる,C:上部構造を外した直後の口腔内写真.イン プラント周囲に食物残渣と残留セメントが認められる.. 部構造基底面と歯槽堤粘膜に多量に認められ,歯肉は発 赤,腫脹,インプラント周囲から排膿と出血が生じてい. 17 15 13 22 23 27. PTV 初診. 4 年後. -3 -2 0 1 1 -3. -4 -3 -1 -1 -1 -4. とが望ましいと考えた.しかし,新たに同等の患者可撤. 式上部構造を製作するには高額な治療費が必要となり, 高齢者であるため可能なかぎり来院回数も少なくし,経 済的に負担の少ない改良方法を考えた.. 患者は上部構造の審美,機能,咬合状態には満足して. た.口腔内全体の清掃不良により口蓋部にはびらんが認. いたので,第三次構造体である上部構造は新製せず,既. た(図 1B,C) .. 内冠に使用し,新たに電鋳コーピングを第二次構造体で. められ,特にポンティック部の軟組織は圧迫が生じてい 画像所見;パノラマエックス線写真(図 2)ではメタ. ルフレームとアバットメント間に不適合が認められ,上. 顎には 3 種類の異なるインプラント体が 6 本,下顎に. 存のインプラントアバットメントを第一次構造体である ある外冠に応用することで患者可撤式上部構造の電鋳テ レスコープ義歯に改造し,清掃性の向上を考えた.. 処置および経過:初診時 2013 年 5 月にパノラマエッ. は同一種類のインプラントが 3 本埋入され,特に上顎の. クス線画像(図 2)とインプラント体の動揺度を客観的. 診 断:補綴装置不適合によるインプラント周囲炎.. Modautal,Germany) か ら 得 ら れ た ペ リ オ テ ス ト 値. インプラント周囲には軽度の骨吸収が生じていた.. 1.. 治療過程. 治療方針:上部構造装着後,患者はかかりつけ医の指. 導で毎食後,超音波歯ブラシを使用し,口腔内清掃を実 施していた.しかし,使用中の補綴装置は前歯部フレン ジとインプラント間に歯間ブラシが貫通する適度な隙間 がないため,清掃器具の挿入が困難であるという理由に より,インプラント周囲に痛みに伴う違和感と不快感を 感じていた.そこで,セメント固定式上部構造から患者 可撤式に変更し,セルフケアが獲得できるようにするこ. に測定できる装置(Periotest,Medizintechnik Gulden, (Periotest value:PTV)より,骨結合喪失に影響を及ぼ さない程度の動揺度と判断した(表 1) .そこで,初期. 治療として,超音波スケーラーを使用した口腔内清掃と PMTC を行い,歯周基本治療を開始した.テレスコー. プ義歯へ改造後,内冠になるインプラントアバットメン トに対してタフトブラシとペリオブラシによる清掃指導 を実施し,口腔衛生管理に対するモチベーションの向上 を行った.7 月に再度,口腔内清掃を実施し,寒天とア. ルギン酸印象材による連合印象により研究用模型を製作 し,個歯トレーと各個トレーを製作した.初診時に上部.

(3) 86 ─ 86. 日口腔インプラント誌. 第 34 巻 第 1 号. A. B. 図 4 トランスファー治具 A:トランスファー治具に固定された電鋳コーピン グ,B:印象精度向上のためトランスファー治具を切 断し,口腔内でパターン用レジンを使用して再接合. A. B. 図 3 電鋳用模型と電鋳装置 A:導電塗料(Silver switch)を付与した電鋳用模 型,B:電鋳装置(AGC-Micro).. 構造を外して口腔内清掃を開始しただけでもインプラン ト周囲軟組織の症状は改善した.以後,毎回来院時には 口腔清掃,歯ブラシ指導を行い,軟組織の状態が安定し た後,個歯トレーと各個トレーを使用し流動性の高い付. 加重合型シリコーン印象材(Aquasil Ultra,デンツプラ イシロナ,東京)で印象採得し,作業用模型を製作,同 時にインプラントアバットメントの複印象を採得し,電. A. B. 図 5 ピックアップ印象と試適用模型 A:図 4B の治具を取り込んだピックアップ印象, B:電鋳コーピングが装着されたメタルフレーム試適 用模型.. 鋳用石膏模型を完成した.電着前処理として,電鋳用石 膏模型に導電処理用ラッカー(Silver switch,Wieland. Dent & Tec,Pforzheim,Germany)を塗布し(図 3A),. 40 分間乾燥させた後に電鋳装置(図 3B) (AGC-Micro, Wieland Dent & Tec)に装着し,0.2 mm 厚の電鋳コー. ピングが 12 時間後に完成した.その後,加温した硝酸 にてコーピング内面に付着したシルバーラッカーを完全 に除去し,コーピング外面にサンドブラスト処理装置. (ハイブラスターⅢ,松風,京都)を用いて平均粒径. 50 nm のアルミナ粉末を 0.15 MPa で噴射処理した後, フィニッシングラインをカーバイトバーとシリコーンポ. イントで調整し,外冠として使用した(図 4A) .その. A. B. 図 6 調整した上部構造と完成した電鋳テレスコープ 義歯 A:図 5 の試適模型上で電鋳コーピングが装着でき るように調整した上部構造,B:改造が終了し完成し た電鋳テレスコープ義歯. 後,口腔内で電鋳コーピングをインプラントアバットメ. メタルフレーム内面に 0.25 MPa で噴射処理を行い,電. レジン,GC,東京)で製作したトランスファー治具に. 8 月,電鋳コーピングの内面にワセリンを塗布してイン. ントに装着させ,常温重合レジン(パターン用常温重合 て模型精度を確認した結果,不適合が生じたため治具を. 切断,パターン用レジンにて再接合後(図 4B) ,流動性 の高い付加重合型シリコーン印象材にてピックアップ印. 象を行い,模型の精度を向上させた(図 5A) .その後, 硬質石膏にてメタルフレーム試適用模型を製作(図. 5B) ,電鋳コーピングが使用中の上部構造メタルフレー ム内に装着できるように,メタルフレームを慎重にラウ ンドバー,フィッシャーバーとシリコーンポイントにて. 調整した.さらに,平均粒径 50 nm のアルミナ粉末を. 鋳コーピングの接着性向上を図った(図 6A) .2015 年 プラントアバットメントに装着,外面には金属接着性プ ライマー(メタルリンク,松風)にて表面処理後,接着 性レジンセメント(レジセム,松風)にて咬頭嵌合位を 維持させながら,左右両側対角線上に位置するアバット メントに対して 2 回に分けて接着し,電鋳テレスコープ. 義歯が完成した(図 6B) .さらに,電鋳コーピングと内 冠の適合を確認する目的で鋳造体チェックスプレー(オ. クループラス,Harger & Werken,Duisburg,Germany) を塗布した結果,電鋳コーピングと内冠に嵌合を呈する.

(4) 2021 年 3 月. 電鋳テレスコープ義歯に改造した 1 症例. 87 ─ 87. A. 図 7 電鋳コーピングと内冠の適合検査. B. 図 9 電鋳テレスコープ義歯に改造後の口腔内写真と 上部構造内面 A:4 年 5 カ月経過時の口腔内写真,B:4 年 5 カ 月経過時の上部構造粘膜面観 総合 安定感. 見た目 旧装置 食事. 違和感. 図 8 上部構造装着後のパノラマエックス線 画像. 接触はなく非常に良好な適合を得た(図 7) .口腔内に. 装着し,咬合紙にて咬合調整を行い,患者に口腔内の清 掃方法と義歯着脱方法と 3 カ月に一度のリコールを説明. 痛み. 新装置. 会話. 図 10 VAS を用いた補綴装置に対する満足度. ま た, 補 綴 装 置 に 対 す る 満 足 度 を Visual analogue. した.. scale(VAS)を用いて評価した結果,従来の固定式上部. 労したが,すぐに慣れて外せるようになった.口腔清掃. い満足が得られた(図 10).. 経過は審美,機能ともに良好で,最初は取り外しに苦. 器具の選択はエンドタフトブラシ(ルシェロペリオブラ シ,GC) , (プラウトミディアムソフト,オーラルケア, 東京)とデンタルフロス(プロキシソフトスーパーフロ ス.Proxysoft Co,Bethel,USA)の使用を勧め,指導開. 構造に比較して痛み,違和感の項目が大きく改善し,高. 考 察 BUSCH1),DEIDRICHS ら2)によると,電鋳テレスコー. 始 3 カ月後には初診時に比較して出血,腫脹は軽減して. プ義歯は歯周組織の保護,咀嚼機能の回復,審美性の改. クス線画像(図 8)でも骨吸収の進行はほとんど認めら. も電鋳テレスコープ義歯装着以降,メインテナンスを継. 軟組織状態は安定した.3 年 5 カ月経過時のパノラマエッ れない.年に 4 回ほどのメインテナンスを説明し,4 年. 5 カ月後の口腔内写真においてもプラークコントロール. が良好に維持され歯肉からの出血や排膿はなく,上部構 造においても問題は認められなかった(図 9A,B).. 2.. 術後の評価. インプラント動揺度を客観的に評価できるペリオテス. 善などに有効であると報告されている.本症例において 続的に実施することで出血,排膿などの症状が消失し, 義歯ともにトラブルなく経過し,術後の VAS 評価3) か. ら患者は高い満足度が得られ,特に違和感や痛みは改善 した.その理由は,可撤式上部構造なので高齢者でもタ フトブラシやペリオブラシで視覚的にセルフケア4)が可. 能になり,不快感が消失したと考えられる.さらに,ペ. リオテスト値5)が安定し,部位によっては(+)値から. ト値を測定したところ,初診時は 0 以上の(+)測定値. (−)値に変化が認められたことで,インプラント体の. 数値を示し,インプラント体の骨植が良好になった(表. 直接的に第二次構造体である電鋳コーピングをレジンセ. が 13,22,23 に認められたが,4 年後はすべて(−). 1).. 骨植は良好であると考える.その理由として,口腔内で メントにて接着したことで,装着時に第三次構造体であ.

(5) 88 ─ 88. 日口腔インプラント誌. 第 34 巻 第 1 号. 厚さ約 10 μm の均一な唾液層 嵌合. A. シルバーラッカー層 (約 10 μm). B. 図 11 鋳造内外冠と電鋳内外冠の維持力発生機構 A:鋳造外冠と鋳造内冠の接触は摩擦力とくさび力による嵌合, B:電鋳コーピングと内冠の接触は唾液層による接着. るアバットメントと適合精度が向上し,インプラント体. チェアーサイド. ラボサイド. 容易になったことが原因と考えられる.また,過去に天. 口腔内印象. 電鋳コーピング作製. 電鋳コーピング試適 取り込み印象. 試適用模型作製 上部構造調整. に生じる応力が減少したためとプラークコントロールが 然歯支台のテレスコープ義歯に 1 本インプラントを追加. して,支台の位置を理想的な矩形配置にすることで咬合 の安定が大きく改善され,良好な経過をたどった症例も. 報告6) されているが,使用中の補綴装置の改造ではな. く,最終的には新義歯を製作している.今回の症例は, 上部構造の一部のみの改造で改良が可能になった.その 理由は,すでに前歯から大臼歯間に 6 本インプラント体 が埋入され,咬合状態は安定しており,電鋳コーピング. 電鋳コーピングと上部構造 をセメントで装着し完成 リコールへ. が装着される部位の上部構造の金属フレームの厚みを. 図 12 可撤式電鋳上部構造改造の作業工程. の厚みは鋳造法では製作が困難な 0.2 mm の厚さに電着. 後の間隙が得られ(図 11),その緊密で適度な間隙に唾. なったためと考えられる.. わる応力が抑制され,着脱に負担の少ないテレスコープ. 1.0 mm 以上有していたこと,さらに,電鋳コーピング でき,金属フレーム内に電鋳コーピングの格納が可能に 義歯の着脱に患者が満足感をもったのは,内外冠の間. に生じる維持力の発現機構が理由として考えられる.そ. 液が介在することで,咬合力によるインプラント体へ加 義歯に改良できたと考えられる.. 従来の鋳造内外冠の維持力はテレスコープクローネ,. の発現機構に関して WEIGL ら は,鋳造もしくはセラ. コーヌスクローネやレジリエンツテレスコープに生じる. 較した場合,トライボロジーの概念から摩擦や嵌合力で. ントロールされている9,10).具体的には外冠にコーヌス. 7). ミック製内冠と外冠である電鋳コーピングとの関係を比. 摩擦力やくさび効果,いわゆる咬合力による嵌合力でコ. はなく陰圧による吸着および接着であると報告してい. 角を設定し,くさび状の適合付与や咬合力による沈下分. 一方,筆者らの研究においては,無歯顎のバーフレー. あり,内外冠の摩擦抵抗を考慮し,柔軟な金合金が良い. る.. ムにおける維持力機構について同様な結果が得られ. を見越して 0.2 mm の間隙を設けるなど工夫する必要が. とされている10).しかし,本症例は,99.98%のほぼ純. た8,9).この実験方法は 37℃に加温された蒸留水中で得. 金製の外冠である電鋳コーピングと内冠であるチタン合. ス曲線は 15 万回の着脱後においてもスムーズな曲線が. ず,装着 4 年後においても患者は義歯の着脱に満足感を. られた結果であるが,維持力機構を解析するヒステリシ 認められ,装着時よりも取り外す際に生じる力のほうが やや大きいことから,支台フレームと電鋳バーフレーム 間に蒸留水が介在し,陰圧による接着が維持力となると. 報告10) されている.今回は導電処理用ラッカーの塗布 を 2 回に分けて処理したことで,ほぼ均一に 10 nm 前. 金製アバットメントにおいても維持力の減少は認められ もっている.その理由を電鋳加工の製作工程から考察す ると,維持力の決定は導電処理用ラッカーの塗布量によ. り影響を受けることが報告されている11,12).今回は 2 回. に分けて導電処理を行ったことで,ほぼ均一に電鋳コー. ピングとアバットメント間に約 10 nm の間隙11,13) が得.

(6) 2021 年 3 月. 電鋳テレスコープ義歯に改造した 1 症例. られ,その緊密で適度な間隙に唾液が介在したことと, ほぼ純金である電鋳コーピングの弾性. 9, 10). と電着金属特. 11) 有な適度な硬度(120 HV) により,インプラント体へ. の咬合力による応力が抑制された結果,着脱に負担の少 ないテレスコープ義歯に改良できたと考えられる.. 以上のように,本症例は初診から 3 回の来院回数(図. 12)で電鋳テレスコープ義歯への改良が完了し,高度. な技工操作は不必要であるため経済的にも優位であるこ とから,高齢者にとって有益な補綴装置の改造方法であ ると示唆された.. 結 論 本症例は上部構造を新製せずに,使用中のセメント固. 定式上部構造へ電鋳コーピングを外冠として既存の補綴 装置に追加するだけの必要最小限の改造で電鋳テレス. コープ義歯に改良することができ,患者の QOL の向上 が得られたと考える.. 本論文に関して,開示すべき利益相反状態はない.. 文 献 1) Busch M. Combination Prosthetics with and without Implants. Jakob Wirz, Andreas Hoffmann. Electroforming in Restorative Dentistry, Berlin:Quintessence Publishing, 132─159, 1999. 2) Deidrichs G, Rosenhain P. Galvanoforming, Bio-Aesthetik in. 89 ─ 89. der restaurativen Zahnheilkunde. Muenchen:Verlang Nueuer Merkur, 1996. 3) 佐藤雅之,矢田部 優,藍 稔,ほか.新たに装着した部分 床義歯に対する患者の満足度評価.日補綴歯会誌 1999; 4:871─875. 4) 林 昌二,山田千恵.なぜインプラント周囲炎に進行させて はならないのか.DH style 2012;66:18─24. 5) 湯川博嗣,山内六男,苦瓜明彦,ほか.ペリオテストの補綴 臨 床 応 用 に 対 す る 検 討. 日 補 綴 歯 会 誌 1998;32:189─ 198. 6) 和田誠大:インプラントオーバーデンチャーのアタッチメン トベストチョイス.東京:デンタルダイヤモンド社,98─ 101,2018. 7) Weigl P, Hahn L, Lauer HC. Advanced biomaterials used for new telescopic retainer for removable dentures:ceramic vs. electroplating gold copings;Part 1. In vitro tribology effects. J Biomed Mater Res 2000;5:320─336. 8) 林 昌二.第 9 回 可撤式電鋳インプラント上部構造.歯科 技工 2014;42:300─309. 9) 高瀬 直,大畠一成.エレクトロフォーミングシステムを併 用した AGC ドッペルクローネデンチャー.玉置勝司,佐藤 幸司編.超高齢社会を見据えたパーシャルデンチャーの製 作.東京:医歯薬出版,2016. 10) Koeber E, Weber H, Schwenzer N, et al. Prothetik und Werkstoffkunde Band 3, Stuttgart, New York:Georg Thieme Verlag, 271─281, 1994. 11) 林 昌二.超高齢社会に適応する補綴治療のための電鋳加工 (最小の労力で最大の効果を発揮する可撤性補綴装置).東 京:医歯薬出版,15─27,2016. 12) 林 昌二.第 3 回 エレクトロフォーミング法の原理と技工 操作.歯科技工 2012;40:800─804. 13) 林 昌二.第 4 回 エレクトロフォーミング法の原理と技工 操作.歯科技工 2012;40:1273─1283..

(7) 90 ─ 90. 日口腔インプラント誌. 第 34 巻 第 1 号. <Case Report>. A Case in Which a Cement-fixed Superstructure Was Modified to an Electroformed Telescopic Crown-retained Denture HAYASHI Shoji1,2), KOYATA Hiroko3), YAMADA Chie3), HOBO Kyoko3), YAMAKAWA Masayo3), HOTTA Naoka3), TOKUMASU Naomi3) and TOGASHI Toshio1,2) 1). Department of Highly Advanced Stomatology, Kanagawa Dental University 2) Division of Implantology, Kanagawa Dental University Yokohama Clinic 3) Division of Dental Hygienist, Kanagawa Dental University Yokohama Clinic. A difficult-to-clean fixed superstructure was modified to an electroformed telescopic denture that was easier to clean, and a favorable course was achieved. The patient was a 77-year-old female with 6 implants placed in maxillary edentulous defects attached with cement-fixed superstructures. Since cleaning was difficult and caused discomfort around the implants, the patient requested a new prosthetic appliance. Thus, using the existing abutment as an inner cup, the outer cup was prepared by taking an impression of the abutment and preparing an electroformed coping superior in fitting accuracy from the acquired cast for electroforming. In the preparation, the inside of the superstructure was ground and adjusted to enable the electroformed coping to be attached, and the electroformed outer cup was attached to the inside of the socket with cement in the oral cavity. After cement hardening, the superstructure was separated to complete preparation of the electroformed telescopic denture. Denture modification was completed by several visits, reducing the cost of treatment, in addition, self-care became easier, and bleeding and discomfort around the implants were resolved. Key words:electroformed telescopic crown-retained denture, electroformed coping, tribology, denture modification.

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