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今後の教員養成カリキュラムの在り方を求めて : 滋賀大学教育学部での調査研究報告

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Academic year: 2021

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今後の教員養成カリキュラムの在り方を求めて :

滋賀大学教育学部での調査研究報告

著者

下野 浩二, 田宮 弘宣

雑誌名

鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要

17

ページ

277-284

別言語のタイトル

A Future Curriculum for Teacher Development :

A Research Report of the Faculty of Education,

Shiga University

(2)

1 調査研究の目的

本学においては特別教育研究として「県教育委 員会との連携による新しい教員養成カリキュラム の開発」を行っている。その目的は,実践的指導 力を備えた教員養成のためのカリキュラムづくり や学部から大学院段階を見通したカリキュラムの 在り方等を模索することにある。 教員の資質能力が改めて問い直されるととも に,その養成に関する改善が求められている背景 には,学校が置かれている状況や教員の在り方に 対する見方・考え方が大きく変化していることが 挙げられる。このことを踏まえ,中教審の答申に おいては,とりわけ,教員養成・免許制度に関し て,教員として必要な資質能力を明確にして,そ れらを確実に身に付けさせるものへと改革を進め ることが強く求められている。また,大学院段階 の教員養成においても,学校現場での実践力・応 用力など教職としての高度な専門性の育成という 点で十分に機能を果たしていないことが指摘され ており,実践的な指導力を備えた新人教員やス クールリーダーの養成への取組が期待されてい る。その中では,教職大学院において焦点化して 養成すべき資質能力として,解釈力・診断力,企 画力,実践的な展開力,評価力などを高度にマ ネージメントしながら職務を遂行できる能力,幅 広い人間性,深い教養などを挙げている。 この答申を受け,本学と同様の取組を行ってい る大学は数多く見られる。本報告では,本学の教 員養成改革・教員研修等の体制整備等に資するよ う,その取組の一つである滋賀大学教育学部の取 組を紹介するものである。

2 学校・大学コラボアクションプラン

平成19年2月,滋賀県内で唯一の教員養成課程 をもつ滋賀大学教育学部と滋賀県教育委員会は 「滋賀の教員養成コラボプロジェクト推進チー ム」を設置し,協働して優れた教員養成のための 「学校・大学コラボアクションプラン推進事業」 を展開している。 まず,その取組の一つが学生を県内の小・中学 校に派遣する「スクールサポーター派遣」であ る。児童生徒の活動を充実させ,派遣先学校の活 性化を図るとともに,学生の児童生徒理解を深 め,指導力を向上させることをねらいとしてい る。もう一つの取組は滋賀県教育委員会が進めて いる「滋賀の教師塾」であり,滋賀大学教育学部 の教員も講師としてかかわっていく。教員採用志 望者を対象として募集しているが,その活動の一 環として上述のスクールサポーター派遣へも参加 することになっており,実践に即した指導力・教 員としての資質向上がねらいとされている。 これらの取組の全体的な企画運営を協議するの が「滋賀の教育養成コラボプロジェクト推進チー ム」であり,滋賀県教育委員会・滋賀大学教育学 部とともに,小・中・高等学校の校長会及びス クールサポーター派遣事業に参加する学生の代表 も構成員となっている。

今後の教員養成カリキュラムの在り方を求めて

~滋賀大学教育学部での調査研究報告~

下 野 浩 二

〔鹿児島大学教育学部附属教育実践総合センター〕

田 宮 弘 宣

〔鹿児島大学教育学部附属教育実践総合センター〕

A Future Curriculum for Teacher Development

:

A Research Report of the Faculty of Education, Shiga University

SHIMONO Koji・TAMIYA Hironobu  

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鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要 第17巻(2007) (1) スクールサポーター派遣 「学校・大学コラボアクションプラン」の「ス クールサポーター派遣」は,これまで滋賀大学教 育学部が取り組んできた事業が基盤となってお り,その一つは平成17年度から始められた「石山 プロジェクト」であり,もう一つは地域教育支援 室が中心となり実施してきた「学校支援ボラン ティア派遣プロジェクト」である。 【石山プロジェクト】 この事業は,高度な専門性と実践的指導力を兼 ね備えた教員の育成を支援するため,平成17年度 に始められた。同大学の近くにある石山小学校と の小大連携を通して,学生を恒常的に小学校の教 育活動に参加させ,児童や学校の実情を体験的に 理解させることをねらいとするものである。平成 18年度からは近隣の石山幼稚園との連携も加えて いる。 平成18年度は,春学期(4~9月)に30名の学 生が,秋学期(10月~2月)には25名の学生が石 山小学校へのスクールサポーターとして派遣さ れ,石山幼稚園には5名(秋学期のみの実施)の 学生が派遣されている。幼稚園においては4・5 歳児の保育補助に当たっており,小学校では1~ 4年生の国語科と算数科における指導補助,小学 校5・6年ではそれらの教科に加えて総合的な学 習の時間の指導補助がその主な活動内容となって いる。また,毎月1回,参加する学生たちが集ま る「定例省察会」を開き,体験の共有化を図って いる。 【学校支援ボランティア派遣プロジェクト】 この事業は,学校での学習指導や様々な活動を 支援し,学生の人間的な成長や地域社会とのかか わり・ボランティア精神を促すものとして,地域 教育支援室が担当していた事業である。 平成18年度,各学校園の依頼により派遣したボ ランティアの数は103名(12月現在),学年別の内 訳では,1年生12名,3年生22名,4年生41名, 大学院生1名であった。派遣先は大津市内の小学 校・幼稚園が多いが,他にも草津市・高島市や長 浜市の小学校への派遣もあった。活動内容として

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は主に学習支援や保育支援で,そのほとんどが年 間を通じての活動を行っていた。また,短期のボ ランティアではあるが,校外学習や自然体験宿泊 学習の指導補助を行ったものもあった。 【スクールサポーター派遣】 こうした取組が基盤となって,今年度からは県 教委との連携により,要請があった県内の全小中 学校に対象を広げるとともに,県教委と協働して 「滋賀の教師塾」受講者も含めて他大学の学生も 加えて実施していく計画である。派遣期間は,春 学期が5月~9月,秋学期が10月~2月のそれぞ れ5か月間,1・2回生を石山小学校へ派遣 (「石山プロジェクト」)する近隣型,3・4回生 を地元や居住地の学校へ派遣する広域型と発展性 を持たせている。また,参加学生については活動 証明書等をもとに単位認定の対象とすることがで きるようになっている。 (2) 滋賀の教師塾 教育委員会が主導する「教師塾」については, 京都市が平成18年9月に開講(「京都教師塾」), 横浜市が平成19年1月に開講(「よこはま教師 塾」)している。滋賀県の「滋賀の教師塾」は今 年7月~8月に募集し,10月開講の計画である。 県教員への採用を志望する教員免許取得者や教職 課程を履修する3回生以上の大学生を対象とし て,100人を募集している。実施時期は10月下旬 から採用試験前の翌年7月までであり,そのカリ キュラムは必修講座・選択講座・学校実地研修の 3つからなっている。 【必修講座~教師への思いを高める】 ・講座の形態は,講演,講義,演習,グループ討 議,パネルディスカッションなど。全体講義から グループ討議へ進める形で深化を図る。 ・講師陣は,大学教授,校長,指導主事,中堅教 員若手教員,保護者など ・期間中,15回講座が行われる。 【選択講座~教育への見識を広める】

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鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要 第17巻(2007) ・滋賀教育の日やことのはコンテストなど県教育 委員会主催行事,指定校研究発表大会,県総合教 育センター開設講座,しが文化芸術体験サポート 事業等の中から,3つを選択し受講する。 【学校実地研修~教育への理解を深める】 ・スクールサポーター事業等を通じて,授業や学 習活動の補助を行う活動を10日間体験する。 講座の内容として,授業や生徒指導にかかわる 指導力や学級経営に関する講座や,地域理解に関 する講座などが予定されるとともに,スクールサ ポーター等としての学校での実地体験を10日間以 上位置づけており,実践的な指導力の育成が目指 されている。

3 教育参加カリキュラムの構築

平成16年度からの国立大学の法人化に際し,滋 賀大教育学部では平成17年度に組織の改革を行 い,新しいカリキュラムのもとで教員養成の充実 を図る「教育参加カリキュラム」を作成してい る。端的に言うと,1年時から段階的に教育実習 科目と教育体験科目とを組み合わせながら,4年 間を通して,教師としての実践的な力量を獲得さ せることを目指したものである。 (1) 教育体験科目 教育体験科目は,教育体験科目Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの3 つから成り,課程によって履修方法が変わるが, その具体的な内容は介護等体験,フレンドシップ 体験,自主参加体験Ⅰ・Ⅱ・Ⅲである。 【介護等体験】 2回生において5日間,社会福祉施設等での介 護等体験(体験Ⅰ),3回生において2日間,附 属特別支援学校での体験(体験Ⅱ)を行う。 【フレンドシップ体験】 2回生において,地域の子どもたちを招いて 「子どもふれあい教室」を開催する。 【自主参加体験】 自主参加体験は,Ⅰが15時間,Ⅱが30時間,Ⅲ が選択の30時間とされ,学校内外の様々な教育体 験に自ら申請して参加するもので,1~4回生を 通して履修する。学校支援ボランティアなど学部 で募集するもののほか,コースで企画されたもの への参加や個人で探してきた活動などについて, 事前に申請し認定を受けて参加する。認定の基準 としては次の3点が挙げられている。 ・学生の受け入れに対し,科目の目的に整合し, 協力的あること ・主に学校の正課以外の活動で,広く教育や人間 理解に関わる活動であること ・基本的にはボランティア活動であり,営利を目 的とした活動でないこと 自主参加体験については,活動証明書及び学生 本人との面談やポートフォリオの提示,また体験 交流会などでの報告をもとに,教育実習委員会が 単位認定を行っている。 (2) 教育実習科目 教育実習科目においては,3回生での基本実習 Ⅰを中心としながら,1回生時から事前事後指導 を段階的に配し,その充実を図っている。また, 教育実習科目とは別科目となるが,2回生時に履 修する教育実践研究も事前事後指導と連動してお り,附属学校園の教師による講義や模擬授業など の実地経験を積む機会となっている。 教育参加カリキュラム4年間のイメージ図

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【事前事後指導Ⅰ】 事前事後指導Ⅰは観察実習・人権教育・事前実 習・実習報告Ⅰの4つのプログラムから成り,す べてを履修することとなっている。 ・観察実習:1回生9~11月実施。附属学校園の うち,幼・小・中・特別支援学校のいずれか1 校,希望する校種の観察実習。基本実習に行く校 種と同じでなくてもよい。教師の視点から学校・ 子ども・授業・教師を観察することを目的として いる。 ・人権教育:2回生6~7月実施。教師の基本的 な認識として,人権教育について学習する。 ・事前実習:3回生5~8月実施。(特別支援学 校は2回生2月,幼稚園は2回生2月と3回生5 月)各コースの特別講義や教科教育法の科目と連 携しながら,授業や教材づくりの基礎を学ぶ。基 本実習を行う学校園のクラスを参観する。 ・実習報告Ⅰ:3回生11月実施。基本実習Ⅰ後, 校種ごとに報告会を行い,各自のレポートをもと に,授業実践や子ども理解,学級経営の在り方な どの実習の成果を振り返る。 【事前事後指導Ⅱ】 事前事後指導Ⅱは交流実習Ⅰ・Ⅱ及び実習報告 Ⅱで構成され,各コース単位で行われる。 ・交流実習Ⅰ・Ⅱ:交流実習Ⅰは1回生の秋学期 に,Ⅱは2回生で実施する。附属学校園のクラス ・学年・学校の行事や学習活動等にコース単位で 参加する実習である。主なねらいは,子どもや授 業及び指導の在り方の基本的な理解を図るととも に,教職科目や各コースの科目の履修を通して, 事前実習・基本実習へとつなげていく基礎を培う ことである。 ・実習報告Ⅱ:10月~12月に実施。基本実習参加 者(3回生)全員が自らの体験を,同じコースの 他学年の学生及び教育実習委員をはじめとする学 部教員の前で報告する。交流実習や自主参加体験 に関する報告・交流も併せて行い,各コースでの 主要な行事の一つとなっている。 教育実習については,3回生(特別支援学校は 6月,幼・小・中は9月)で実施する基本実習Ⅰ が中心的な実習となっているのは,他大学でも同 様であるが,さらに,発展実習として教師イン ターンシップを実施している点は特徴である。 【発展実習】 4回生時に,主に公立の幼稚園・小・中・高等 学校,特別支援学校において教育支援活動に取り 組むものである。希望する学生はインターン登録 をしておき,募集のあった学校において活動を行 う。また,活動の記録としてのポートフォリオを 作成し,実習報告会での報告等により評価が行わ れ,単位が認定されることとなっている。

教員養成GP「実践力診断講座」に

よる教員の資質向上

(1) 目的 教員養成系の大学院への入学者は,それまでの 多様な経歴や個々の関心,興味にかかわらず,資 質の高い教員になる,あるいは教員として高い実 践力を身につけることを目標としている。従って 大学院としては,入学に当たって大学院での2年 間をどのように学習するのが当人の目標を実現す るために最も適切かを明確に示さなければならな い。そのために,まず,一人ひとりの入学者が一 体どのような問題意識をもち,大学院での学習に 対してどのような要望をもっているのか,各人の 資質や問題意識などを正確に把握し,それに基づ いて各人に応じた適切な学習方針を提示すること を目的としている。 (2)プロジェクト概念の全体構想図(次頁参照) (3) 具体的な取組 ①プレ講座 大学院入学予定の現職教員を対象に前年度10 月から「事前の説明会」や個別の面談を行い,入 学予定者の大学院における学習目標を明確にする とともに研究意欲の高揚を図る契機とすること, 大学が入学予定者の抱える課題を把握し,大学と しての効果的なサポートの在り方を考えることを 目的としている。 また,2回に分けて現職教員13名の授業の様子 をビデオに撮影し,大学院入学後の「実践力診断 テスト」の資料として用いる試みも行っている。 さらに,現職校長や教育委員会関係者から構成

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鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要 第17巻(2007) される「アドバイザーチーム」による検討会を実 施し,「実力診断講座」における診断の在り方や アドバイスの方法について検討する。 併せて,教師用エゴグラムを作成し,現職の教 員がどのような対人関係をもち,どのようにコ ミュニケーションをとっているのか知ることにも 努めている。 ②実践力診断講座 「実践力診断講座」では,「教科指導力」「生徒 指導力」「保護者・地域対応力」「学級・学年経営 力」の4分野について診断を行う。ここでは,プ レ講座で収集した資料を用いると共に,集団の中 で他者のものの見方との比較や他者からの評価を もとに実践力を診断することになる。 具体的には以下のような内容である。 【教科指導力】 録画された授業をもとに授業研究を行い,教科 の本質的理解,授業設計力,指導技術力,教材開 発力等,指導上の問題点,改善点等について検討 する。 【生徒指導力】 生徒指導場面に関わるテーマと条件を設定し, その条件下において想定できる生徒指導のモデル プランの発表や模擬指導を行う。その対応方法や 指導効果等について意見交換や討論を行う。 【保護者・地域対応力】 保護者や地域への対応に関わる典型的な問題場 面や課題場面事例を示し,その事例に対する対応 方法について検討・議論・意見交換を行うと共 に,モデルプランの発表や模擬対応を行う。 【学級・学年経営力】 学級経営・学年経営場面に関わる典型的な問題 場面や課題場面を示し,その背景や対応方法につ いて検討・議論・意見交換を行うと共に,モデル プランを発表し,検討する。 現職大学院生は「実践力診断講座」を通して, 自己の教育活動を多元的多面的に省察することが できるとともに,集団の中での検討や議論をとお

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して,解決するための方向性や自分自身の新たな 課題を発見することができる。 診断は,大学教員から構成される「診断チー ム」に加え,現職教員,教育委員会関係者,教員 OB,保護者・地域代表などからなる「アドバイ ザーチーム」が参加する。診断結果については, 診断チームが面談を通しながら,現職教員の課 題,それを解決し克服していくために必要な大学 院における学習や研修の方向性をパーソナルロー ドマップとして具体的に提示する。 ③実践力強化講座 「実践力診断講座」により明確になった不得意 分野や課題を克服するための講座として既設の授 業科目の他に新たに「実践力強化講座」を開設す る。この講座においては,他大学教員,教育行政 担当者,管理職経験者,現職教員を講師として招 き,高度な実践的指導力の育成を図る。いずれの 講座においても,理論的な学習はもちろん,実際 の場面に即してどのように対応すればよいかを実 践的に学ぶ。具体的な講座は以下のようなもので ある。 【生徒指導力Ⅰ】 講師:中央大学教授 実 務 型 講 師 ますます深刻化する学校の病理現象―不登校・ いじめなどの現象を学校の実践と関連づけ,調査 ・分析・理解する技法について学び,臨床的な教 育指導の在り方を探る。その際には,優れた実践 を行っている学校・教育施設を見学し,実践面に おける受講者の力量を高めることを目指している。 【生徒指導力Ⅱ】 講師:東京学芸大学教授 実 務 型 講 師 特別支援を必要とする子どもの個々の発達特性 を身体的側面から行動的側面にわたって総合的に 理解するための考え方,子どもの学習困難度の評 価方法や学習計画立案,さらに問題行動の対処に 必要な知識を学ぶ。また,関連施設での見学など をとおして特別支援教育への理解を深める。 【保護者・地域対応力】 講師:滋賀大学教授 実 務 型 講 師 教員は,①保護者や地域からの要望や提案,相 談等への対応,②保護者や地域に対する教育方針 や教育内容についての説明責任,情報公開などの 社会的責任を果たさなければならない。また,保 護者や地域との関係をいかして,充実した学校づ くりにつなげていくノウハウやスキルなどの習得 が求められている。こうしたことについての実践 的な知識や技術を主体的に学ぶ。 【外国籍児童生徒の教育支援】 講師:群馬大学准教授 実 務 型 講 師 滋賀県は,ニューカマーと呼ばれる外国人登録 者の比率が高いという特性があり,外国籍児童生 徒の教育問題が重要な課題となっている。講座で は,多文化共生という観点から外国籍児童生徒の 教育支援の理念と具体的な方法について学ぶもの である。また実際に,外国籍児童生徒の多い学校 を訪問しこの問題に対する学校全体の取り組み方 や日本語教室の実際についての理解を深める。 【学校マネージメント力】講師:広 島 大 学 教 授 鳴門教育大学教授 実 務 型 講 師 現代の学校教育において必要とされるマネージ メントの理論や有効性を確認し,その実際の運用 に関わる諸問題について理解することをめざすも のである。学校や教育委員会を訪問し,マネージ メントの実際に接することを通して,その理解を 深化させる。 ④フォローアップ講座 大学院を修了した現職教員をフォローアップす るために2つの事業を行う。一つは,日頃の教育 研究や教育実践を発表したり,学校教育の課題や 問題について大学教員・大学院学生・地域の学校 教員と語り合い交流したりする「教育研究フォー ラム」を開催する。さらに新たな取組として個別 相談体制も整えている。

5 調査研究のまとめ

滋賀大学の取組を通して感じたことを述べて本 報告のまとめとしたい。

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鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要 第17巻(2007) ○「スクールサポーター派遣」に関しては,散発 的な体験ではなく,継続的に児童生徒と,また, 教師と接することができることの有用性を指摘し たい。児童生徒理解を深めることができるととも に,具体的な事例・状況に即した対応・指導の在 り方を学ぶことができ,より実践的な指導力向上 につながると考えられる。また,これまでの実績 を踏まえながら,1・2年生での近隣型,3・4 年生での広域型と差異化・発展性が構想されてい るが,広域型は,学生自身の地域へのかかわりを 持たせれば,より有効な体験となりうると考え る。さらに,参加者には「滋賀の教師塾」も受講 させることで,体験と実践的な視点・指導につい ての学習とを相互に関連させ,資質向上を図るこ とが意図されていると感じた。 ○「滋賀の教師塾」について,県教委は「確かな 学力の向上」の新規事業として位置づけており, 優れた人材の採用・確保のためにも,積極的に取 組む姿勢であると考えられる。また,講師陣に指 導主事,教育学部教員等のほか,現職教員や校長 を配するとともに,学校での10日間以上の教育 体験活動を組んでおり,より実践的な内容を学ぶ ことが重視されていると感じた。 ○「教育参加プログラム」については,1年生時 から,参加体験・観察・実習等を効果的に配し, 実践的な指導力を身につけさせるための構造的な カリキュラムとなっていると感じた。また,自主 参加体験等,教育体験科目を設けることにより, 幅広い教育体験を経験させるとともに,学校教育 や教師の役割を広い視野から見ることができると 考える。さらに,自主参加の体験に積極的に取り 組むことは,教師として必要な主体性や自発性の 育成にもつながるものであると考える。 ○教員養成GP「実践力診断講座」による教員の 資質向上の取組は,まさに大学院生個々のニーズ や課題に応えようとする実践である。個々の現職 教員の普段の授業や教育実践との関わりの中で実 践力向上を図ろうとする試みであること,2年間 という短い期間の中でより効果的な大学院生活に なるよう,より早い時期からの取組であることな ど学ぶべき点が多いと感じた。 ○「プレ講座―実践力診断講座―実践力強化講座 ―フォローアップ講座」等の一連の取組は,現職 大学院生の意識やその取組を発展的なものにしよ うとするものであり,新たな試みとして参考にな るものであると思う。 引用・参考文献 1:今後の教員養成・免許制度の在り方について (答申)平成18年7月11日中央教育審議会 2:教育参加ハンドブック 平成19年3月 滋賀大学教育学部教育実習委員会・附属学校園

参照

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