Title
東南アジア・オセアニアの地域開発が環境と住民に及ぼす
影響に関する生態人類学的研究( はしがき )
Author(s)
口蔵, 幸雄
Report No.
平成13年度-平成16年度科学研究費補助金 (基盤研究(A)(1)
課題番号13375004) 研究成果報告書
Issue Date
2004
Type
研究報告書
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/81
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。はしがき 平成13−16年度の4年間にわたる科学研究費補助金による調査研究(課題名「東南アジ テ・オセテ三アゐ地墟南東が環境と住民に及ぼす影響に関する生態人類学的研究」) が終了した。東南アジアや太平洋地域の発展途上国における,国家や世界から比較的隔離 された自律的・自給的集団は,近年の経済のグローバリゼーションと関連した企業や国家 (行政)主導による開発の影響のもとで急激な生活の変容を余儀なくされている。これら の開発は,それら集団がそれまで利用してきた生息地の自然環境・資汲の剥奪や撹乱を必 然的に伴い,彼らは開発に直接的に組み込まれるか,移住して伝統的な生活を維持するか, 資源利用(生業)の変更のいずれかによって対処せざるをえない状況である。本研究では, 政策的開発によって急激に生活が変容したマレーシア半島部の先住民オランアスリ集団お よびマレー人農村の環境劣化を生態学的に評価し,開発と環境劣化が彼らの生存能力にお よぼす影響の生物・医学的調査を行った。 この主調査に加え,開発の影響の多様性を明らかにするためにパプアニューギニアとト ンガ王国での比較調査も行った。本研究では,生存能力を生業活動,食物摂取,栄養状態, 成長,疾病率などの個体レベル,環境収容力,出生・死亡・再生産率などの個体群レベルに おいて評価するためにデータを収集し,分析した。同時に地域環境の改変・劣化の程度と 資源の利用性の変化を指標として生態系レベルにおける開発の影響を解明することを目的 とした。 したがって, 研究成果についてはマレーシア,パプアニューギニア,トンガおよび太平 洋諸島の三部に分けて編集した。研究成果は,刊行済み,印刷中,および原稿嘩階のもの もいずれをも含めた。本調査は過去に行った調査地での経年的変化を重視しているため, 過去の調査のデータや知見が多く含まれている。また,研究代表者や研究分担者が筆頭者 となっていない共同執筆の論文もかなり含まれているが,それらには本調査で得られたデ ータや知見が生かされている。 少なくとも私たちが調査を行った地域では開発が加速度的に進行し,住民に対する生態 学的,社会経済的影響がますます増大しつつある。本課題における調査研究は今回を持っ て終了するが,追跡調査の必要性を痛感している。本調査の実施においては,調査地の皆 様をはじめさまざまな人々・機関のご協力を得た。この紙面をかりて感謝申し上げたい。