平 成
27年
度
学 位 論 文
の
一
題
て
課
し
知
目
認
注
動
に
情
法
と
定
ル
測
キ
の
ス
知
的
認
会
動
社
情
の
一
児
幼
関 連
学 校 教 育 研 究 科
人 間 発 達 教 育 専 攻
臨 床 心 理 学 コ ー ス
M14076J
橋 本
紗 波
目 次
第 一 章
序 論
1.社
会 的 ス キ ル
1-1
定 義
・ ・ ・ ・ ・ ・
1-2
生 起 過 程 モ デ ル
1 22.情
動 認 知2-1
定 義 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・2-2
情 動 認 知 課 題 ・ ・ ・ ・ ・00
2-3
情 動 認 知 の 発 達 ・ ・0・
00
3.社
会 的 ス キ ル と 情 動 認 知3-1
先 行 研 究 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・3-2
先 行 研 究 の 問 題 点 ・ ・ ・ ・ ・4。
本 研 究 に お け る 情 動 認 知 課 題 の 設 定5。
研 究 の 目 的 と 仮 説 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・第 二 章
方 法
1.情
動 認 知 課 題 の 作 成
1-1
表 情 写 真 の 作 成
・ ・ ・
1-2
状 況 手 が か り 文 の 作 成
1-3
情 動 認 知 課 題 の 決 定 ・
2.調
査 協 力 児 と 調 査 時 期 ・ ・ ・
3.調
査 手 続 き
0・
・ ・ ・ ・ ・ ・
4.調
査 場 所 ・ 環 境 設 定 ・ ・ ・ ・
5.調
査 内 容
(1)個
人 属 性 ・
0・
・ ・ ・ ・
(2)語
彙 力 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
(3)情
動 認 知 課 題 ・ ・ ・ ・ ・
① 表 情 図 選 択 課 題 ・ ・ ・
00
② 情 動 語 選 択 課 題 ・ ・ ・ ・ ・
③ 状 況 手 が か り 課 題 ・ ・ ・ ・
(4)社
会 的 ス キ ル 尺 度 ・ ・ ・
6.倫
理 的 配 慮 ・ ・ ・ ・ ・
0・
・
4 4 4 6 7 8 89
9
11
13
13
13
13
13
14
14
16
17
17
18
第 二 章 結 果
1.記
述 統 計 量 ・ ・ ・ ・0000000・
・019
2.各
変 数 間 の 相 関 分 析 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・019
3。
社 会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 に 影 響 す る 諸 要 因 の 検 討3-1
重 回 帰 分 析 (ス テ ッ プ ワ イ ズ 法)に
よ る 検 討 ・ ・ ・ ・ ・00・
・ ・ ・ ・ ・20
3-2
単 回 帰 分 析 に よ る 検 討 ・ ・ ・0・
・21
3-3
社 会 的 ス キ ル 尺 度 の 下 位 尺 度 得 点 に 影 響 す る 諸 要 因 の 検 討 ・ ・ ・ ・ ・ ・22
第 四 章 考 察1.社
会 的 ス キ ル と 情 動 認 知 の 関 連1-1
重 回 帰 分 析 (ス テ ッ プ ワ イ ズ 法)に
よ る 検 討 ・ ・ ・ ・ ・00・
・ ・ ・ ・025
1-2
単 回 帰 分 析 に よ る 検 討 ・ ・ ・00026
2.社
会 的 ス キ ル 下 位 尺 度 得 点 と 情 動 認 知 の 関 連 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・00・
・ ・ ・ ・ ・ ・3.先
行 研 究 間 の 知 見 の 不 一 致 に つ い て ・ ・4。
本 研 究 の 課 題 点4-1
状 況 手 が か り 課 題 に つ い て0・
・4-2
分 析 対 象 者 に つ い て ・ ・ ・ ・ ・ ・5。
臨 床 的 意 義 ・ ・0・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 第 五 章0 26
・27
・29
・30
・31
・32
・0 33
・ ・36
引 用 文 献 ・ 謝 辞 ・ ・ 0第 一 章
序 論
1.社
会 的 ス キ ル1-1
定 義 社 会 的 ス キ ル に は 様 々 な 定 義 が あ り,統
一 し た 定 義 は な い 。 こ れ ま で,多
く の 研 究 者 に よ つ て 社 会 的 ス キ ル が 定 義 さ れ,社
会 的 ス キ ル を 捉 え る 立 場 は 様 々 で あ る 。 相 川(2000)は
,こ
れ ま で 様 々 な 研 究 に よ つ て な さ れ た 社 会 的 ス キ ル の 定 義 を,個
々 の 具 体 的 行 動 を 社 会 的 ス キ ル と す る 「 行 動 的 側 面 を 強 調 し て い る 定 義 」 と,社
会 的 ス キ ル を,個
々 の 具 体 的 行 動 の 背 景 に あ つ て,そ
れ ら の 行 動 を 生 み 出 し て い る 能 力 だ と す る 「 能 力 的 側 面 を 強 調 し て い る 定 義 」 に 分 類 し た 。 例 え ば 相 川(2000)に
よ る と,行
動 的 側 面 を 強 調 し て い る 定 義 に は,「
望 ま し い 社 会 的 成 果 を 導 く,特
定 の 肯 定 的 対 人 行 動(Young&West,1984)」
や,「
他 者 か ら 正 の 反 応 を 引 き 出 し,負
の 反 応 を 回 避 す る 手 助 け と な る よ う な 形 で の 相 互 作 用 を 可 能 に す る,社
会 的 に 受 容 さ れ,学
習 さ れ た 行 動(Cartledge&Milburn,1986)」
が 分 類 さ れ る 。 ま た,能
力 的 側 面 を 強 調 し て い る 定 義 と し て は,「
他 者 に よ つ て 正 ま た は 負 の 強 化 を 受 け る 行 動 を 発 現 さ せ , 罰 せ ら れ た り 圧 倒 さ れ る よ う な 行 動 を 抑 え る 複 雑 な 能 力(Libet&Lewinsohn,1973)」
や,「
社 会 的 に 受 容 さ れ 評 価 さ れ る と と も に,個
人 に と つ て,あ
る い は お 互 い に と つ て 利 益 と な る よ う な 特 定 の や り 方 で,一
定 の 社 会 的 文 脈 の 中 で 他 者 と 相 互 作 用 を 行 う 能 力(Com&
Slerby(1977)」
が あ る 。 一 方 で 相 川(2000)は
,こ
れ ら の 定 義 に 対 し,「
行 動 」 と 「 能 力 」 は 別 個 の も の で は な く,能
力 は 行 動 に 具 体 的 に 表 現 さ れ,現
れ た 行 動 は 能 力 の 形 成 に 寄 与 す る と 主 張 し た 。 そ の た め,社
会 的 ス キ ル を 「 行 動 」 と 「 能 力 」 を 含 ん だ 一 連 の 「 過 程 」 で あ る と 捉 え,定
義 し た 。 本 研 究 で は,行
動 と 能 力 が 別 個 の も の で は な い と す る 相 川(2000)の
立 場 を 支 持 し,社
会 的 ス キ ル を,行
動 と 能 力 を 含 ん だ 一 連 の 過 程 で あ る と 捉 え る 。1-2
生 起 過 程 モ デ ル 前 述 し た 社 会 的 ス キ ル を 提 え る 視 点 と し て,相
川 ら(1993)が
提 唱 し た 社 会 的 ス キ ル の 生 起 過 程 モ デ ル が あ る 。 相 川 ら(1993)は
,従
来 も つ と も よ く 応 用 さ れ て き たArgyle(1967)の
社 会 的 ス キ ル に 関 す る モ デ ル に 対 し,人
間 工 学 の 影 響 が 強 く,社
会 的 ル ー ル の 知 識 や 他 者 に つ い て の 知 識 で あ る 認 知 的 要 素 が 入 つ て い な い 点 に つ い て 批 判 し た 。 一 方 で,社
会 的 ス キ ル と 類 似 し た 概 念 で あ る 社 会 的 コ ン ピ テ ン ス に 関 す る モ デ ル で あ る,Dodge(1990)の
「 子 ど も の 社 会 的 適 応 に 関 す る 情 報 処 理 モ デ ル 」 を 挙 げ,認
知 的 機 能 が 十 分 に 取 り 入 れ ら れ,対
人 行 動 が 学 習 性 の も の で あ る と 明 示 さ れ て い る 点 な ど を 評 価 し た 。 し か し 相 川 ら(1993)は
,Dodge(1990)の
モ デ ル は あ く ま で 社 会 的 コ ン ピ テ ン ス に 関 す る モ デ ル で あ る た め,社
会 的 ス キ ル に 関 す る こ れ ま で の 知 見 が 反 映 さ れ て い な い こ と を 指 摘 し,社
会 的 ス キ ル の モ デ ル と し て 採 用 す る に は 不 十 分 で あ る こ と を 主 張 し た 。 そ の 上 で,従
来 の 社 会 的 ス キ ル の モ デ ル にDodge(1990)の
モ デ ル を 取 り 入 れ る こ と の 有 効 性 を 示 し た 。 以 上 の こ と か ら,相
川 ら(1993)は
,こ
れ ま で の 社 会 的 ス キ ル 研 究 の 知 見 を ま と め た う え で,Dodge(1990)の
モ デ ル を 参 考 に し,新
し い 社 会 的 ス キ ル の 生 起 過 程 モ デ ル を 提 唱 し た 。 相 川 ら(1993)に
よ つ て 作 成 さ れ た 社 会 的 ス キ ル の 生 起 過 程 モ デ ル をFigurelに
示 す 。 本 モ デ ル は , 全 五 過 程 を 辿 り,社
会 的 ス キ ル が 対 人 反 応 と 単 純 に イ コ ー ル で は な く,そ
の 背 後 に 認 知 や 感 情 が 機 能 し て い る こ と を 示 し た 点 が 大 き な 特 徴 で あ る 。 本 モ デ ル の 第 一 過 程 で あ る 「 相 手 の 対 人 反 応 の 解 読 」 過 程 が,こ
の 生 起 過 程 モ デ ル の 大 き な 特 徴 で あ る 認 知 の 機 能 を 示 し た 部 分 で あ る 。 こ の 過 程 は ① 対 人 反 応 の 知 覚 過 程 か ら 始 ま り,②
対 人 反 応 の 解 釈,③
対 人 感 情 の 生 起 へ と 進 む 。 ① 対 人 反 応 の 知 覚 と は,相
手 が 示 す さ ま ざ ま な 言 語 的,非
言 語 的 反 応 を 知 覚 す る 過 程 で あ る 。 ② 対 人 反 応 の 解 釈 と は,対
人 反 応 の 知 覚 に 基 づ い て,相
手 が どの よ う な 意 図 や 要 求 の も と に
,当
の 反 応 を し た の か 解 釈 す る 過 程 で あ る 。 第 二 過 程 は,「
対 人 目 標 の 決 定 」 過 程 で あ り,対
人 反 応 を 解 釈 し,対
人 感 情 が 生 じ た こ と に よ つ て,対
人 的 状 況 に 対 し て い か に 反 応 す べ き か が 決 定 さ れ る 。 第 二 過 程 は,「
感 情 の 統 制 」 過 程 で あ る 。 対 人 目 標 を 達 成 す る た め に,否
定 的 感 情 を 抑 制 し た り,強
す ぎ る 肯 定 的 感 情 を 統 制 す る 過 程 で あ る 。 第 四 過 程 は,「
対 人 反 応 の 決 定 」 過 程 で あ る 。 こ の 過 程 は ① ス キ ル 因 子 の 決 定,②
ス キ ル 要 素 の 決 定,③
対 人 反 応 の 効 果 予 測 と い う3つ
の 下 位 過 程 を 辿 り,対
人 目 標 を 達 成 す る た め に は ど の よ う な ス キ ル 因 子 を 用 い る べ き か 判 断 。 決 定 し,ス
キ ル 因 子 を 実 際 に 用 い た 時 に ど の よ う な 効 果 が 期 待 で き る か を 予 測 す る 。 第 五 過 程 は,「
対 人 反 応 の 実 行 」 過 程 で あ り,決
定 さ れ た 対 人 反 応 を 言 語 的 ・ 非 言 語 的 行 動 に 表 出 す る 過 程 で あ る 。 本 研 究 で は,相
川 ら(1993)の
モ デ ル の 大 き な 特 徴 で あ る 第 一 過 程 の 「 相 手 の 対 人 反 応 の 解 読 」 過 程 に 着 日 し , 対 人 反 応 の 知 覚 ・ 解 釈 で あ る 他 者 情 動 の 認 知 と 社 会 的 ス キ ル に 焦 点 を 当 て,そ
の 関 連 を 検 討 す る 。 Φスキル園子⑬凌定 ②スキル勲 決定Figurel
相 川 ら(1993)の
社 会 的 ス キ ル 生 起 過 程 モ デ ル2.情
動 認 知2-1
定 義 近 藤(2014)に
よ る と,情
動 認 知 と は,「
有 機 体 内 で 生 じ る 内 的 (主 観 的 お よ び 認 知 的)経
験 。 神 経 生 理 学 的 反 応 ・ 表 出 反 応 に よ つ て 示 さ れ る 状 態 で あ り,多
く の 場 合 生 物 学 的,社
会 的 機 能 を 担 っ て い る 状 態 (機 能 )を 理 解 す る こ と 」 で あ る 。 ま た,情
動 認 知 と 類 似 し た 用 語 と し て,「
情 動 理 解 」 や 「 感 情 理 解 」,「
表 情 理 解 」 な ど の 用 語 を 用 い た 研 究 が あ り,多
く の 場 合,同
様 の 意 味 を 示 し て い る が,研
究 間 で の 用 語 は 統 一 さ れ て い な い 。 本 研 究 で は,相
川 ら(1993)の
モ デ ル の 認 知 的 な 部 分 に 着 日 し て い る た め,情
動 認 知 と い う 用 語 を 用 い る 。2-2
情 動 認 知 課 題 情 動 認 知 の 測 定 は,幼
児 期 ・ 児 童 期 に お け る 情 動 認 知 の 発 達 に 関 す る 研 究 に お い て 数 多 く 行 わ れ て い る 。 そ の 研 究 の 多 く が,情
動 認 知 の 測 定 法 と し て,情
動 に 関 す る 手 が か り を 協 力 児 に 呈 示 し,反
応 を 求 め る と い う 情 動 認 知 課 題 を 用 い て い る 。 呈 示 す る 手 が か り と し て は,そ
の 多 く が 「 表 情 図 」,「
情 動 語 」,「
状 況 」 の3つ
に 分 類 さ れ る 。 さ ら に 表 情 図 は,「
線 画 」,「
イ ラ ス ト 」,「
他 者 写 真 」 に 分 類 さ れ る 。 ま た,対
象 児 の 反 応 方 法 と し て は,「
選 択 肢 か ら の 選 択 」,「
言 語 に よ る 自 由 回 答 」 , 「 表 情 に よ る 表 出 」 に 分 類 さ れ る 。 表 情 図 の 呈 示 内 容 お よ び 反 応 方 法 に つ い て は,対
象 児 の 年 齢 に よ つ て,情
動 認 知 に 至 る 年 齢 に 差 が あ る こ と が 明 ら か と な っ て い る 。 以 下 に お い て,情
動 認 知 の 発 達 の 詳 細 を 記 述 す る 。2-3
情 動 認 知 の 発 達 情 動 認 知 の 発 達 に 関 す る 研 究 は,発
達 心 理 学 の 領 域 に お い て 盛 ん に 検 証 さ れ て い る 。Ashiabi(2000)に
よ る と , 早 く は2歳
頃 か ら 他 者 の 感 情 状 態 を 理 解 し だ す と さ れ , こ の 頃 よ り,情
動 認 知 課 題 に よ る 発 達 の 検 討 が 盛 ん に 行わ れ る 。
ま ず
,こ
れ ま で の 研 究 か ら,情
動 語 と 表 情 図 の マ ッ チン グ の 成 績 が
,年
齢 と と も に 上 昇 す る こ と が 分 か つ て い る 。 例 え ばMarkham & Adams(1992)は
, 4歳 , 6歳
,8歳
を 対 象 に 課 題 を 行 い,課
題 の 正 答 率 と 年 齢 の 関 係 に つ い て 検 討 し た 。 そ の 結 果,全
て の 情 動 語 に 対 応 す る 課 題 の 正 答 率 が 年 齢 と と も に 上 昇 し た 。 ま た,星
野(1969)
は, 3歳
∼5歳 , 7歳
∼11歳 ,13歳
,21∼ 22歳
ま で の 被 験 者 に 課 題 を 行 い,感
情 理 解 の 発 達 に つ い て 検 討 し た 。 そ の 結 果,年
齢 と と も に,表
情 図 に 対 応 す る 適 切 な 応 答 が 増 え る こ と を 示 し た 。 次 に,呈
示 す る 表 情 図 の 種 類 に よ っ て,情
動 認 知 に 至 る 年 齢 に 差 が あ る こ と が 分 か つ て い る 。 例 え ば 菊 池(2004)は
, 3∼
6歳
児 に 対 し て 情 動 語 を 示 し,線
画,イ
ラ ス ト,他
者 写 真,自
己 写 真 で 示 さ れ た4種
類 の 表 情 図 か ら の 選 択 課 題 を 行 つ た 。 そ の 結 果,他
者 写 真 条 件 の 正 答 率 が,線
画 条 件 お よ び イ ラ ス ト 条 件 の 正 答 率 よ り も 有 意 に 低 く,自
己 写 真 条 件 は そ れ よ り も さ ら に 有 意 に 低 い こ と が 明 ら か と な っ た 。 ま た,線
画 条 件 ・ イ ラ ス ト 条 件 の 正 答 率 は,年
少 児 か ら 年 長 児 ま で,84∼
100%と
い う 高 い 正 答 率 で あ る こ と が 示 さ れ た 。 ま た,課
題 の 反 応 方 法 の 観 点 か ら 発 達 を 検 討 し た 研 究 が あ る 。Harrigan(1984)は
,3歳
,6歳
,9歳
,12歳
児 に 対 し 情 動 語 を 呈 示 し,そ
の 情 動 語 に 対 応 す る 表 情 図 (他 者 写 真 )を 選 択 さ せ る 課 題,及
び 表 情 図 (他 者 写 真 )を 呈 示 し,そ
の 表 情 図 に 対 応 す る 情 動 語 を 自 由 に 産 出 す る (言 語 に よ る 自 由 回 答 )課 題 を 行 つ た 。 そ の 結 果,ど
の 年 代 に お い て も 表 情 図 を 選 択 す る 課 題 が,情
動 語 を 自 由 に 産 出 す る 課 題 よ り も 容 易 で あ る こ と が 明 ら か と な つ た 。 ま た ,Jinni,H。
(1984)の
研 究 に お い て も,同
様 の 結 果 が 得 ら れ て い る 。 他 に も,状
況 を 手 が か り と し た 研 究 と し て,笹
屋(1997)
は,4歳
児,5歳
児,6∼
7歳 ,10∼ H歳
,12∼ 13歳
, 大 学 生 の 被 験 者 に 対 し 情 動 に 対 応 す る 表 情 図 お よ び 状 況 (映 像 )を 呈 示 し,自
由 回 答 に よ り 反 応 を 求 め る 課 題 を 行つ た 。 そ の 結 果
,午
齢 と と も に 情 動 に 対 す る 適 切 な 応 答 が 増 え る こ と や,5歳
ご ろ か ら 状 況 か ら の 情 動 理 解 が 進 む こ と が 示 さ れ た 。 こ の よ う に,多
く の 研 究 者 に よ っ て 情 動 認 知 の 発 達 が 研 究 さ れ,情
動 認 知 の 発 達 に つ い て,様
々 な こ と が 明 ら か に な っ て き て い る 。 以 上 に 示 し た よ う な 研 究 か ら は , ① 情 動 認 知 の 理 解 が 年 齢 と と も に 発 達 し て い く こ と,②
3歳
頃 に は す で に 表 情 図 の 選 択 が 可 能 で あ り,特
に 線 画 ・ イ ラ ス ト に よ る 表 情 図 の 選 択 が 容 易 で あ る こ と,③
ど の 年 齢 に お い て も 情 動 語 の 産 出 は 困 難 な 課 題 で あ る こ と,④ 5歳
頃 か ら,状
況 呈 示 に よ る 情 動 理 解 が 発 達 す る こ と 等 が 言 え る だ ろ う 。3.社
会 的 ス キ ル と 情 動 認 知3-1
先 行 研 究 我 が 国 の 研 究 に お い て,前
述 し た 社 会 的 ス キ ル と,情
動 認 知 の 関 連 を 検 討 し た 研 究 は 数 少 な く,そ
れ ら の 研 究 に よ つ て 得 ら れ た 知 見 も 一 致 し て い な い 。 例 え ば 社 会 的 ス キ ル と 情 動 認 知 に 関 連 が あ る こ と を 示 し た 研 究 と し て,伊
藤(1997)と
,森
野 。 早 瀬(2005)が
あ る 。 伊 藤(1997)は
,4歳
∼5歳
児 を 対 象 と し,実
際 場 面 を 用 い て 向 社 会 的 行 動 と 情 動 理 解 の 関 連 を 検 討 し た 。 そ の 結 果,他
者 の 適 切 な 感 情 の 推 測 と 向 社 会 行 動 が 密 接 に 関 連 し て い る こ と を 示 し た 。 ま た,森
野 ・ 早 瀬(2005)は
,3歳
∼6歳
児 を 対 象 と し,社
会 的 ス キ ル と 情 動 認 知 と の 関 連 を 検 討 し た 。 そ の 結 果,年
少 児(3∼ 4歳
)お よ び 年 長 児(5∼ 6歳
)に お い て,社
会 的 ス キ ル と 情 動 認 知 に 正 の 相 関 が 見 ら れ た 。 そ の 一 方 で,社
会 的 ス キ ル と 情 動 認 知 に 関 連 が 見 ら れ な い と 示 し た 研 究 と し て,大
対 。 松 見(2007)と
,森
野(2005)が
あ る 。 大 対 。 松 見(2007)は
,3歳
∼5歳
児 を 対 象 と し,情
動 認 知 の 理 解 を 含 ん だ 他 者 視 点 取 得 か ら 社 会 的 ス キ ル が 予 測 さ れ る か に つ い て 検 討 し た 。 そ の 結 果 ,ど の 年 齢 に お い て も
,他
者 視 点 取 得 は 社 会 的 ス キ ル を 予 測 す る も の で は な い と の 結 果 が 得 ら れ た 。 ま た,森
野(2005)は
, 3歳
∼6歳
児 を 対 象 と し,仲
間 と の 相 互 作 用 (社 会 的 ス キ ル と 人 気 )お よ び 情 動 認 知 の 関 連 を 検 討 し て い る 。 そ の 結 果,
ど の 年 齢 に お い て も,仲
間 と の 相 互 作 用 と 情 動 認 知 の 間 に 相 関 は 見 ら れ な か つ た 。 こ の よ う に,社
会 的 ス キ ル と 情 動 認 知 の 関 連 を 検 討 し た 研 究 に お い て,そ
の 関 連 を 示 し た 研 究 や,関
連 が 示 さ れ て い な い 研 究 が あ り,未
だ 知 見 が 一 致 し て い な い 現 状 で あ る 。3-2
先 行 研 究 の 問 題 点 前 述 し た,社
会 的 ス キ ル と 情 動 認 知 の 関 連 を 検 討 し た 研 究 に お け る 知 見 の 不 一 致 に つ い て は,情
動 認 知 を 測 定 す る た め の 課 題 設 定 の 観 点 か ら 考 え る こ と が で き る 。 《2-2
情 動 認 知 課 題 》 に お い て 記 述 し た よ う に , 情 動 認 知 を 測 定 す る 手 が か り と し て 「 表 情 図 」 「 情 動 語 」 「 状 況 」 の3つ
が 挙 げ ら れ,反
応 方 法 と し て 「 選 択 肢 か ら の 選 択 」 「 言 語 に よ る 自 由 回 答 」 「 表 情 に よ る 表 出 」 が 挙 げ ら れ る 。 こ れ ま で 行 わ れ て い る 社 会 的 ス キ ル と 情 動 認 知 の 関 連 を 検 討 し た 研 究 に お け る 情 動 認 知 の 測 定 方 法 を 見 る と,手
が か り と す る 刺 激 や 反 応 方 法 が 様 々 で あ り,統
一 さ れ て い な い 。 ま た,呈
示 す る 表 情 図 の 種 類 や 情 動 語 が,幼
児 の 発 達 面 を 考 慮 し て お ら ず,表
情 図 の 中 で も 幼 児 間 の 理 解 の 差 が 小 さ い 線 画 や イ ラ ス ト に よ る 表 情 図 を 用 い た り,情
動 語 の 種 類 が 「 喜 び 」 や 「 悲 し み 」 の み に 留 ま つ て い る 。 そ こ で こ れ ま で の 研 究 で 行 わ れ た 情 動 認 知 課 題 に お い て,対
象 児 の 情 動 認 知 の 程 度 を 把 握 し き れ て い な い 可 能 性 が あ る と 考 え,各
研 究 に お け る 情 動 認 知 を 捉 え る 視 点 の 違 い が,前
述 し た 知 見 の 不 一 致 へ と 繋 が っ て い る の で は な い か と 考 え た 。 本 研 究 で は,情
動 認 知 を 提 え る 方 法 に つ い て 検 討 し,幼
児 の 発 達 に 考 慮 し た 課 題 設 定 を 行 う 。 課 題 設 定 に つ い て は,以
下 に 詳 細 を 記 述 す る 。4.本
研 究 に お け る 情 動 認 知 課 題 の 設 定 先 述 し た 指 摘 か ら,本
研 究 に お け る 情 動 認 知 課 題 を 設 定 す る 。 第 一 に,情
動 認 知 お よ び 社 会 的 ス キ ル の 発 達 が 著 し い 幼 児 期 を 対 象 と し て 研 究 を 行 う こ と と す る 。特 に , 情 動 認 知 や 社 会 的 ス キ ル の 発 達 の 差 が 顕 著 で あ る5,6歳
児 を 対 象 と す る 。 第 二 に,情
動 認 知 を 測 定 す る 手 が か り と し て,「
表 情 図 」 「 情 動 語 」 「 状 況 」 の そ れ ぞ れ を 対 象 児 に 呈 示 す る こ と で,対
象 児 の 情 動 認 知 を 把 握 す る 。 第 二 に,幼
児 の 発 達 面 に 考 慮 し て,反
応 方 法 を,よ
り 容 易 に 反 応 す る こ と が 可 能 な 「 選 択 肢 か ら の 選 択 」 と す る 。 第 四 に,用
い る 表 情 図 と し て,よ
り 幼 児 間 の 発 達 の 差 を 提 え る こ と が で き る 「 表 情 写 真 」 刺 激 を 使 用 す る 。 第 五 に,情
動 語 の 種 類 と し て,Ekman et al。
(1987)が
提 唱 し た6種
類 の 基 本 情 動 を 設 定 す る 。5。
研 究 の 目 的 と 仮 説 こ れ ま で の 研 究 で 行 わ れ た 情 動 認 知 課 題 に お い て,対
象 児 の 情 動 認 知 の 程 度 を 把 握 し き れ て い な い 可 能 性 が あ る こ と を 念 頭 に,情
動 認 知 が 社 会 的 ス キ ル ヘ 及 ぼ す 影 響 を 検 討 す る 。 ま た,社
会 的 ス キ ル 及 び 情 動 認 知 が 発 達 す る 時 期 と さ れ る5,6歳
の 幼 児 を 対 象 と す る 。 そ の 際,前
述 し た 研 究 を 基 に,発
達 面 に 考 慮 し た 課 題 を 設 定 す る 。 ま た,仮
説 と し て,情
動 認 知 課 題3課
題 が 社 会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 を 有 効 に 予 測 す る こ と を 挙 げ る 。第 二 章
方 法
1.情
動 認 知 課 題 の 作 成 情 動 認 知 の 発 達 を 検 討 し た 先 行 研 究 に 倣 い,情
動 認 知 課 題 に 使 用 す る 刺 激 を 作 成 し た 。 作 成 し た 刺 激 は,表
情 写 真 お よ び 状 況 手 掛 か り 文 で あ る 。 情 動 認 知 課 題 で 扱 う 情 動 は,Ekman et al.(1987)が
提 唱 し た 人 間 の 基 本 情 動 で あ る,「
喜 び 」 「 驚 き 」 「 悲 し み 」 「 怒 り 」 「 恐 れ 」 「 嫌 悪 」 に 対 応 す る6種
類 で あ り,表
情 写 真 お よ び 状 況 手 が か り 文 は 基 本 情 動 に 対 応 し て 作 成 し た 。1-1
表 情 写 真 の 作 成 菊 池(2004)に
な ら い,表
情 写 真 の 作 成 を 行 っ た 。 表 情 写 真 の モ デ ル は,先
行 研 究 の 結 果 と 比 較 す る た め に20
代 の 大 学 生 と し た 。6名
の 大 学 生 に 依 頼 し て 撮 影 を 行 い , 前 述 し た6種
類 の 基 本 情 動 に 対 応 す る 表 情 を す る よ う に 教 示 を 行 っ た 。 撮 影 中 は,モ
デ ル に 対 し,よ
り 的 確 に 情 動 を 表 す こ と が で き る よ う,顔
の パ ー ツ の 動 き に 対 す る フ ィ ー ド バ ッ ク を 行 つ た 。 そ の 後,情
動 認 知 課 題 で 使 用 す る 写 真 を 決 定 す る た め に,10名
の 大 学 院 生 で 評 定 を 行 っ た 。 評 定 者 に 表 情 写 真 を 呈 示 し,評
定 者 は,呈
示 さ れ た 表 情 写 真 が ど の 情 動 を 表 し て い る か に つ い て 情 動 語 の 選 択 を 行 つ た 。 選 択 さ れ た 情 動 語 が,撮
影 時 に 示 し た 情 動 語 と 一 致 し た 場 合 を 正 答 と し,評
定 者 全 員 の 正 答 率 が , そ れ ぞ れ の 情 動 で80%を
超 え た 人 物 の 写 真 を,情
動 認 知 課 題 で 使 用 す る 刺 激 と し た 。 こ の 評 定 に よ り,3名
の 協 力 者 の 写 真 を 選 定 し た 。1-2
状 況 手 が か り 文 の 作 成 こ れ ま で の 研 究 (e.g。 ,枡 田,2014;笹
谷,1997;渡
邊 ・ 瀧 口,1986)で
使 用 さ れ た 課 題 文 を 参 考 に,調
査 対 象 児 の 年 齢 を 考 慮 し て 状 況 手 が か り 文 の 作 成 及 び 選 定 を 行 つ た 。 選 定 し た 状 況 手 が か り 文 をTablelに
示 す 。 ま ず 研 究 者 が,6種
類 の 基 本 情 動 に 対 応 す る 状 況 手 が か り 文 を そ れ ぞ れ5文
ず つ 作 成 し た 。 そ の 後,情
動 認 知 課 題 で 使 用 する 状 況 手 が か り 文 を 決 定 す る た め に
,10名
の 大 学 生 。 大 学 院 生 で 評 定 を 行 つ た 。 評 定 者 に,研
究 者 が 作 成 し た 状 況 手 が か り 文 を 呈 示 し,評
定 者 は,呈
示 さ れ た 文 が 意 図 し た 情 動 を 表 す 文 と し て ど の 程 度 適 切 か に つ い て,1(ま
っ た く 適 切 で な い )∼5(適
切 で あ る )の5件
法 で 評 定 を 行 っ た 。 評 定 の 平 均 が4以
上 の 文 を,情
動 認 知 課 題 で 使 用 す る 刺 激 文 と し た 。 こ の 評 定 に よ り,各
情 動 に つ き,1
文 の 状 況 手 が か り 文 を 選 定 し た 。T ablel選
定 し た 状 況 手 が か り 文 喜 び ○ ○ さ ん は,誕
生 日 に ず つ と 前 か ら 欲 し か つ た ゲ ー ム を プ レ ゼ ン ト し て も ら い ま し た 。 驚 き ○ ○ さ ん が ド ア を 開 け る と,
日 の 前 に 人 が い て,ぶ
つ か り そ う に な り ま し た 。 悲 し み ○ ○ さ ん は,仲
良 し の お 友 達 が 遠 く へ お 引 越 し を す る こ と に な り ま し た 。 も う 一 緒 に 遊 べ な く な り ま し た 。 え蚤 り ○ ○ さ ん が 遊 ん で い た お も ち ゃ を,お
友 達 が 無 理 や り 持 っ て い っ て し ま い,喧
嘩 に な っ て し ま い ま し た 。 恐 れ ○ ○ さ ん が 道 を 歩 い て い ま し た 。 す る と,後
ろ か ら 大 き な 犬 が 走 っ て 追 い か け て き ま し た 。 嫌 悪 ○ ○ さ ん は 机 の 上 に 置 い て あ っ た 牛 乎Lを
飲 み ま し た 。 変 な 味 と,変
な に お い が し ま し た 。 101-3
情 動 認 知 課 題 の 決 定 調 査 課 題 の 所 要 時 間,手
続 き 等 の 確 認 お よ び 課 題 内 容 の 決 定 の た め,5∼ 6歳
児3名
(男 児2名
,女
児1名
)を 対 象 に 情 動 認 知 課 題 を 行 つ た 。 く課 題 内 容>
a.言
語 能 力 (語 彙 力 )の 測 定:WPPSI知
能 検 査 「 単 語 」b.情
動 認 知 課 題 (全3課
題 ) ① 表 情 図 選 択 課 題6種
類 の 情 動 語 を1種
類 ず つ 協 力 児 へ 呈 示 し,協
力 児 が そ れ ぞ れ の 情 動 語 に 合 う 表 情 写 真 の 選 択 を 行 う 課 題 。 ② 情 動 語 選 択 課 題6種
類 の 表 情 写 真 を1枚
ず つ 協 力 児 へ 呈 示 し,協
力 児 が そ れ ぞ れ の 表 情 写 真 に 合 う 情 動 語 の 選 択 を 行 う 課 題 。 ③ 状 況 手 が か り 課 題6種
類 の 状 況 手 が か り 文 を1文
ず つ 協 力 児 へ 呈 示 し , 協 力 児 が そ れ ぞ れ の 状 況 手 が か り 文 に 合 う 表 情 写 真 の 選 択 を 行 う 課 題 。<結
果 と 考 察>
課 題 の 実 施 に よ り 得 ら れ た 結 果 を,Table2に
示 す 。 予 定 し て い た 時 間 (全20分
)を 大 幅 に 超 過 し,特
にWPPSI
知 能 検 査 「 単 語 」 に お け る,実
施 時 間 の 超 過 が 顕 著 で あ っ た 。WPPSI知
能 検 査 「 単 語 」 は 自 由 回 答 法 で あ る た め,幼
児 に よ つ て は 発 語 ま で に 時 間 が か か る 等,回
答 が 困 難 で あ る 様 子 が 観 察 さ れ た 。 さ ら に,WPPSI知
能 検 査 「 単 語 」 で の 緊 張 や 疲 労 が , そ の 後 の 情 動 認 知 課 題 へ も 影 響 を 与 え る こ と が 推 察 さ れ た 。 ま た,協
力 児 の 年 齢 に 配 慮 し て,情
動 認 知 課 題 内 に お け る 情 動 語 や 教 示 文 に 用 い る 単 語 を よ り 平 易 に す る 必 要 性 や,手
続 き を 改 善 す る 必 要 性 が 明 ら か と な つ た 。Table2
各 課 題 の 結 果 年 齢 6歳3カ月 5歳10カ月 5歳7カ月 正答数 (正答数/ 問題数) 表情図選fR 4/6 ′ ′ 情動認知 課題 ノ √ ” t 4/6 情動語選択 状況手がか り WPPSI 所要時間 (分) 表情図選択 情動話選択 出題された言葉に関 で,教示を最後まで 回ごもり,発話まで 連した私語が多 く, 聞かずに答える(選 に時FB3がかかる。 時PB5がかかる。択肢の数がわからな ②表情が硬 く,研究 ② 【驚き】がわから セヽ様子)。
者の質問への反応が ず,「びっくり?」 ②わからない問題が 乏しい。 と問 う。 あると,回答に迷
Oわ
からない問題が 0情動認知課題の問 い,日ごもって時FB5あると,回まる。 題数を気にする。い がかかる。 つ終わるかを繰 り返 し問 う。 く手 続 き 等 の 変 更 点>
① 言 語 能 力 (語 彙 力 )の 測 定 方 法 の 変 更 所 要 時 間 及 び 幼 児 の 負 担 を 考 慮 し て,WPPSI知
能 検 査 「 言 語 」 か ら 日 本 版 K‐ABCⅡ
の 「 表 現 語 彙 」 に 変 更 し た 。 ② 教 示 方 法 ・ 教 示 内 容 の 変 更A)何
種 類 の 選 択 肢 が あ る か に つ い て 理 解 を 促 す た め,情
動 語 選 択 課 題 時 に は,言
語 に よ る 情 動 語 呈 示 に 加 え,各
情 動 語 を ひ ら が な で 記 し た 情 動 語 カ ー ド を 協 力 児 へ 呈 示 す る 。 ま た,幼
児 に 情 動 語 を 示 す 際 に,情
動 語 カ ー ド を 指 さ し,理
解 を 促 す 。B)同
じ 選 択 肢 (表 情 写 真,情
動 語 )を 何 度 も 選 ん で よ い こ と を 協 力 児 へ 伝 え る 。C)幼
児 が 理 解 で き る よ う,平
易 な 言 葉 を 用 い て 情 動 語 を 呈 示 す る 。 ① 喜 び:う
れ し い ② 驚 き:び
つ く り ③ 嫌 悪:い
や だ (い や な)④
恐 怖:こ
わ い 情動認知 課題 様 子 4 122.調
査 協 力 児 と 調 査 時 期A県
内 の 幼 稚 園 に 所 属 す る5歳
児32名
,6歳
児35名
の 計67名
を 対 象 に,2015年
9月
か ら10月
に か け て 調 査 を 実 施 し た 。3.調
査 手 続 きA県
内 の 幼 稚 園 へ 訪 問 し,調
査 協 力 を 依 頼 し た 。 幼 稚 園 の 責 任 者 よ り 研 究 協 力 へ の 同 意 が 得 ら れ た 後,情
動 認 知 課 題(3課
題 )及 び 社 会 的 ス キ ル 尺 度 を 実 施 し た 。 調 査 課 題 は 研 究 者 に よ り,協
力 児1名
ず つ 行 つ た 。 課 題 の 所 要 時 間 は 協 力 児1名
に つ き 約10∼
15分
で あ り,園
の ス ケ ジ ュ ー ル に 考 慮 し て ,園 の 責 任 者 の 指 示 の も と 行 つ た 。 ま た,社
会 的 ス キ ル の 測 定 は 協 力 児 の 担 当 教 諭 に 依 頼 し , 後 日 ま と め て 回 収 し た 。4.調
査 場 所 ・ 環 境 設 定 調 査 課 題 は 協 力 児 の 所 属 す る 幼 稚 園 の 空 き 教 室 を 使 用 し て 実 施 し た 。 机1台
と 椅 子2脚
を,研
究 者 と 協 力 児 が 対 面 す る よ う に 設 置 し た 。5。
調 査 内 容 調 査 の 内 容 は 以 下 の 通 り で あ つ た 。(1)個
人 属 性 個 人 属 性 と し て,調
査 協 力 児 の 性 別,月
齢,発
達 障 害 の 有 無 に つ い て,担
当 教 諭 に 回 答 を 求 め た 。 発 達 障 害 で あ る と 報 告 を 受 け た 協 力 児 の デ ー タ は,分
析 の 対 象 と は し な か つ た 。(2)語
彙 力 協 力 児 間 の 言 語 能 力 を 統 制 す る た め に,語
彙 力 の 測 定 と し て 日 本 版 K‐ABCⅡ
の 習 得 尺 度 の う ち,語
彙 尺 度 「 表 現 語 彙 」 を 実 施 し た 。 語 彙 力 の 測 定 に よ り 言 語 的 な や り 取 り が 難 し い と 研 究 者 が 判 断 し た 協 力 児 の デ ー タ は,分
析 の 対 象 と は し な か つ た 。 13(3)情
動 認 知 課 題 扱 う 情 動 は,Ekman et al.(1987)が
提 唱 し た6種
類 の 基 本 情 動 で あ る,喜
び(う
れ し い)・
驚 き (び っ く り )。 悲 し み 。 怒 り ・ 恐 れ (こ わ い )。 嫌 悪 (い や だ )と し た 。 情 動 認 知 課 題 は,①
表 情 図 選 択 課 題,②
情 動 語 選 択 課 題 , ③ 状 況 手 掛 か り 課 題 の3課
題 で 構 成 さ れ,各
課 題 の 所 要 時 間 は,そ
れ ぞ れ 約3分
∼5分
で あ つ た 。 本 課 題 で 使 用 す る 情 動 語 及 び 状 況 手 が か り 文 は,協
力 児 が 理 解 で き る よ う に 平 易 な 単 語 を 用 い て 呈 示 し た 。 課 題 の 順 番 及 び 正 答 と な る 刺 激 は 協 力 児 間 で カ ウ ン タ ー バ ラ ン ス を と つ た 。 課 題 の 詳 細 な 手 続 き は 以 下 の 通 り で あ る 。 く刺 激>課
題 に 使 用 し た 刺 激 は 以 下 の 通 り で あ る 。 ア )表 情 写 真(3セ
ッ ト):
一 人 の 人 物 の 「 普 通 」 の 状 態 を 表 し た 表 情 写 真 と ,6種
類 の 基 本 情 動 に 対 応 す る 表 情 写 真 を1セ
ッ ト(全7枚
)と し た 。3種
類 の 課 題 で そ れ ぞ れ1セ
ッ ト ず つ 使 用 し,課
題 ご と に 別 の 人 物 の 写 真 を 使 用 し て 課 題 を 実 施 し た 。 イ )情 動 語 カ ー ド(全6枚
):
6種
類 の 情 動 語 を,そ
れ ぞ れ1種
類 ず つ カ ー ド に 記 し た 。 ① 表 情 図 選 択 課 題 詳 細 な 手 続 き をTable3に
示 す 。 手 続 き は,Table3に
示 し た 手 続 き1の
後 に,手
続 き2へ
進 む 。 以 下 の 教 示 の 通 り に,研
究 者 が,6種
類 の 情 動 語 の う ち1種
類 の 情 動 語 を 協 力 児 へ 教 示 し,協
力 児 が6種
類 の 表 情 写 真 か ら 情 動 語 に 合 つ た 写 真 を1枚
選 択 し た 。 こ の 手 続 き を6種
類 の 情 動 語 す べ て に 対 し て 行 つ た 。 協 力 児 が,写
真 を 指 さ し た 時 点 で 選 択 が な さ れ た と 見 な し,得
点 化 を 行 つ た 。 表 情 図 選 択 課 題 の 得 点 範 囲 は0∼
6点
で あ り,1種
類 の 情 動 を 正 答 す る ご と に1点
と し た 。 14Table3
表 情 図 選 択 課 題 の 手 続 き 手 続 き 1 手 続 き 2 机 上 に,「
普 通 」 状 態 の 表 情 写 真 を 呈 示 す る 。 そ の 後,<
こ の 人 は ○ さ ん で す 。今 は 普 通 の 顔 を し て い ま す 。 こ れ か ら い ろ い ろ な 気 持 ち の 名 前 を 言 う の で,一
番 ぴ っ た り く る 顔 を 一 つ 選 ん で く だ さ い 。 同 じ 顔 を 何 回 選 ん で も い い で す よ 。>と
教 示 す る 。 机 上 に,6種
類 の 表 情 写 真 を 呈 示 す る 。 そ の 後,6種
類 の 情 動 語 の 中 か ら,1種
類 の 情 動 語 を 教 示 す る 。<こ
の 中 で,○
○ (情 動 語 )の 時 の 顔 は ど れ で す か 。一 番 ぴ つ た り く る 顔 を 選 ん で く だ さ い 。>
15② 情 動 語 選 択 課 題 詳 細 な 手 続 き を
Table4に
示 す 。 手 続 き は,Table4に
示 し た 手 続 き1の
後 に,手
続 き2,そ
の 後 手 続 き3へ
進 む 。 以 下 の 教 示 の 通 り に,研
究 者 が,6種
類 の 表 情 写 真 の う ち1種
類 を 協 力 児 へ 呈 示 し,協
力 児 が6種
類 の 情 動 語 か ら 表 情 に 合 つ た 情 動 語 を1種
類 選 択 し た 。 情 動 語 を 協 力 児 へ 示 す 際 に,情
動 語 カ ー ド を 呈 示 し た 。 こ れ を 6 種 類 の 表 情 写 真 す べ て に 対 し て 行 つ た 。 協 力 児 が,研
究 者 が 示 し た 情 動 語 に 手 を 挙 げ た 時 点 で 選 択 が な さ れ た と 見 な し,得
点 化 を 行 つ た 。 情 動 語 選 択 課 題 の 得 点 範 囲 は0∼
6点
で あ り,1種
類 の 情 動 を 正 答 す る ご と に1点
と し た 。Table4
情 動 語 選 択 課 題 の 手 続 き 手 続 き 1 手 続 き 2 手 続 き 3 机 上 に,「
普 通 」 状 態 の 表 情 写 真 を 呈 示 す る 。 そ の 後,<
こ の 人 は △ さ ん で す 。 今 は 普 通 の 顔 を し て い ま す 。 こ れ か ら △ さ ん が,色
々 な 顔 を し ま す 。 △ さ ん が,ど
ん な 気 持 ち な の か 選 ん で,教
え て く だ さ い 。 同 じ 気 持 ち を 何 回 選 ん で も い い で す よ 。>と
教 示 す る 。 机 上 に,6種
類 の 表 情 写 真 の 中 か ら, 1
種 類 の 表 情 写 真 を 呈 示 す る 。 そ の 後 ,<△
さ ん は,ど
ん な 気 持 ち で す か 。 一 つ ず つ,気
持 ち の 名 前 を 言 う の で,一
番 ぴ つ た り く る 気 持 ち の と こ ろ で 手 を 挙 げ て く だ さ い 。>と
教 示 し,6種
類 の 情 動 語 及 び 情 動 語 カ ー ド を 一 つ ず つ 呈 示 す る 。 協 力 児 が あ る 情 動 語 を 選 択 し た 場 合 も,そ
の ま ま 引 き 続 き6種
類 の 情 動 語 全 て を 呈 示 す る 。 協 力 児 が 複 数 の 情 動 語 を 選 択 し た 場 合 ,<選
ん だ 気 持 ち の 中 か ら,一
番 ぴ つ た り く る 気 持 ち の 名 前 を,一
つ だ け 教 え て く だ さ い 。>と
教 示 し,選
択 し た 情 動 語 か ら 一 つ の 情 動 語 を 選 択 す る よ う に 促 す 。 16③ 状 況 手 が か り 課 題 詳 細 な 手 続 き を
Table5に
示 す 。 手 続 き は,Table5に
示 し た 手 続 き1の
後 に,手
続 き2へ
進 む 。 以 下 の 教 示 の 通 り に,研
究 者 が,6種
類 の 状 況 手 が か り 文 の う ち1種
類 を 協 力 児 へ 呈 示 し,協
力 児 が6種
類 の 表 情 写 真 か ら 状 況 手 が か り 文 に 合 つ た 表 情 写 真1枚
を 選 択 し た 。 こ れ を6種
類 の 情 動 語 に 対 応 し た 状 況 手 が か り 文 す べ て に 対 し て 行 つ た 。 協 力 児 が,写
真 を 指 さ し た 時 点 で 選 択 が な さ れ た と 見 な し,得
点 化 を 行 つ た 。 状 況 手 が か り 課 題 の 得 点 範 囲 は0∼
6点
で あ り,1種
類 の 情 動 を 正 答 す る ご と に1点
と し た 。Table5
状 況 手 が か り 課 題 の 手 続 き(4)幼
児 用 社 会 的 ス キ ル 尺 度 (金 山 ら,2014)
協 力 児 の 社 会 的 ス キ ル を 測 定 す る た め に,金
山 ・ 金 山 ・ 磯 部(2014)が
作 成 し た 尺 度 を 用 い た 。 本 尺 度 は,全
12
項 目5件
法 か ら な る 保 育 者 評 定 尺 度 で,「
主 張 性 」 「 協 調 性 」 「 自 己 統 制 」 の3因
子 か ら 構 成 さ れ て い る 。 「 ま つ た く み ら れ な か つ た 」1点 ,「
少 し み ら れ た 」2点
, 「 と き ど き み ら れ た 」3点 ,「
よ く み ら れ た 」4点 ,「
非 常 に よ く み ら れ た 」5点
か ら な る 。 評 定 は,協
力 児 が 所 属 す る 幼 稚 園 の 担 当 教 諭 へ 依 頼 し た 。 手 続 き 1 手 続 き 2 机 上 に,「
普 通 」 状 態 の 表 情 写 真 を 呈 示 す る 。 そ の 後,<
こ の 人 は ◇ さ ん で す 。 今 か ら,◇
さ ん が 出 て く る お 話 を 読 み ま す 。 お 話 の 後 で,◇
さ ん が,ど
ん な 顔 を す る か,教
え て く だ さ い 。同 じ 顔 を 何 回 選 ん で も い い で す よ 。>と
教 示 す る 。6種
類 の 状 況 手 が か り 文 の 中 か ら, 1種
類 の 状 況 手 が か り 文 を 回 頭 で 読 み 上 げ た 後,机
上 に6種
類 の 表 情 写 真 を 呈 示 す る 。 そ の 後,<◇
さ ん は , 今 ど ん な 顔 を し て い る で し ょ う 。 一 番 ぴ つ た り く る 顔 を 選 ん で く だ さ い 。>と
教 示 す る 。 176.倫
理 的 配 慮本 研 究 の 倫 理 的 配 慮 に つ い て
,兵
庫 教 育 大 学 の 倫 理 委 員 会 で 審 査 済 み で あ り,承
認 を 受 け た 。第 二 章
結 果
1.記
述 統 計 量 研 究 協 力 児67名
の う ち,発
達 障 害 の 疑 い の あ る 幼 児 5 名 の デ ー タ を 除 い た62名
の デ ー タ に つ い て,社
会 的 ス キ ル 尺 度 得 点,言
語 得 点 (表 現 語 彙 )お よ び 情 動 認 知 課 題3課
題 得 点 (表 情 図 選 択 得 点,情
動 語 選 択 得 点,状
況 手 が か り 得 点)の
平 均 値 と 標 準 偏 差 を 算 出 し た 。 結 果 をTable6に
示 す 。Table6
各 得 点 の 平 均 値 とS'
全体(n=62) 男児 (n=38) 女児 (n=24) " ″ " " ″ ∬ 社会的スキル尺度 言語得点 表情図選択課題 情動語選択課題 状況手がかり課題3973
1587
379
861324
660
316
112
106
131 38.241647
3.47693
288
118
368 099
334 140
4208 537
1492 340
429 081
350 118
3.08 1 182.各
変 数 間 の 相 関 分 析 社 会 的 ス キ ル 凡 度 得 点 に 関 連 す る 要 因 を 検 討 す る た め,ま
た,そ
の 他 の 各 変 数 間 の 相 関 を 確 認 す る た め に ,Pearsonの
積 率 相 関 係 数 を 算 出 し た 。結 果 をTable7に
示 す 。 ま ず,社
会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 と 各 課 題 得 点 と の 相 関 分 析 の 結 果,社
会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 と 表 情 図 選 択 得 点(r=.26,′
<.05),状
況 手 が か り 得 点(r=.27,′
<。05)と
の 間 に 弱 い 正 の 相 関 が 見 ら れ,情
動 語 選 択 得 点(r=.41,′
<.01)と
の 間 に 中 程 度 の 正 の 相 関 が 見 ら れ た 。 月 齢 お よ び 言 語 得 点 と の 間 に は,有
意 な 相 関 が 見 ら れ な か っ た 。 次 に,社
会 的 ス キ ル 尺 度 の 下 位 尺 度 得 点 と 各 変 数 と の 相 関 分 析 の 結 果,主
張 性 得 点 と 表 情 図 選 択 得 点(r=.30,′
<.05),情
動 語 選 択 得 点(r=.31,′
<.05)と
の 間 に 弱 い 正 の 相 関 が 見 ら れ,月
齢 と の 間 に 中 程 度 の 正 の 相 関 が 見 ら れ た(r=.45,′
<.01)。
さ ら に,協
調 性 得 点 と 情 動 語 選 19択 得 点 と の 間 に
,弱
い 正 の 相 関 が 見 ら れ た(r=.35,′
<.01)。
自 己 統 制 得 点 と 情 動 語 選 択 得 点 と の 間 に は,弱
い 正 の 相 関 が 見 ら れ た(r=.26,′
<.05)。
ま た,そ
の 他 の 各 変 数 間 の 相 関 分 析 の 結 果,表
情 図 選 択 課 題 得 点 と 月 齢 と の 間 に 弱 い 正 の 相 関 が 見 ら れ た(r=.31,′
<.05)。
し か し,そ
の 他 の 変 数 間 に 有 意 な 相 関 は 見 ら れ な か っ た 。Table7
各 変 数 間 の 相 関 係 数 社会的スキル (主張性) (協調性)(自己統制) 月齢 言語得点 表情図選択 情動語選択 状況手がかり 社会的スキル (主張性) (協調性) (自己統制) 月齢 言語得点 表情図選択 情動語選択 状況手カミかり 63 76 11 84 32 一 25 37 45** 24 26 * 41 .27 * 56** 16 -― -05 30 ・ 31 * .22 19 35** .23 08 26 Ⅲ .17 31 + 10 23 11 13 20 -― -04 -■02 - ―.10 -25 -.13 21 *ρ〈.05**ρ く013.社
会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 に 影 響 す る 諸 要 因 の 検 討3-1
重 回 帰 分 析 (ス テ ッ プ ワ イ ズ 法)に
よ る 検 討 社 会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 に 対 す る 情 動 認 知 課 題3課
題 得 点 (表 情 図 選 択 得 点,情
動 語 選 択 得 点,状
況 手 が か り 得 点 ) の 影 響 を 明 ら か に す る た め に,重
回 帰 分 析 を 行 つ た 。 な お,上
記3課
題 の 得 点 と 併 せ て,月
齢 お よ び 言 語 能 力 の 影 響 を 考 慮 し,月
齢 お よ び 言 語 得 点 を 投 入 し た 。 ま た , 分 析 に 際 し て,い
ず れ の 値 も 多 重 共 線 性 の 問 題 は 確 認 さ れ な か っ た 。 全 分 析 対 象 者 の 社 会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 を 目 的 変 数 と し,各
変 数 (表 情 図 選 択 得 点,情
動 語 選 択 得 点,状
況 手 が か り 得 点,月
齢,言
語 得 点 )を 説 明 変 数 と し た 重 回 帰 分 析 を 行 つ た 。 結 果 をTable8に
示 す 。 重 回 帰 分 析 の 結 果,月
齢 と 言 語 得 点 が 除 外 さ れ た 。 社 会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 は 表 情 図 選 択 得 点,情
動 語 選 択 得 点 , 状 況 手 が か り 得 点 の3つ
の 指 標 か ら 有 効 に 予 測 さ れ た(F(3,58)=9.98,Pく
.01)。 各 変 数 の 標 準 偏 回 帰 係 数 (β )は , 20表 情 図 選 択 得 点 に お い て 。
28,情
動 語 選 択 得 点 に お い て.45,状
況 手 が か り 得 点 に お い て.32で
あ つ た 。Table8
社 会 的 ス キ ル 尺 度 に 対 す る 重 回 帰 分 析 の 結 果モデル
B
標準誤差 調整済み 月2乗 .41.15**
(定数) 情動語選択 30.61 2.52 2.76 .73 .41 ** .51 .24** (定数) 情動語選択 表情 図選択 24.85 2.71 1.57 3.34 .70 .57 .44** .31 ** .58 .31 ** (定数) 情動語選択 状況手がかり 表情 図選択 18.15 2.79 1.60 4.07 .67 .54.45**
.32**
1.56 .63 .28* *ρく.05**ρく.013-2
単 回 帰 分 析 に よ る 検 討 単 一 課 題 得 点 の み で 社 会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 を 予 測 で き る か に つ い て 検 討 を す る た め,社
会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 に 対 す る 各 課 題 得 点 の 影 響 を 単 回 帰 分 析 に よ つ て 検 討 し た 。 全 分 析 対 象 者 の 社 会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 を 目 的 変 数 と し,各
課 題 得 点 を 説 明 変 数 と し た 単 回 帰 分 析 を 行 つ た 。 結 果 をTable9に
示 す 。 ま ず,表
情 図 選 択 得 点 を 説 明 変 数 と し た 単 回 帰 分 析 の 結 果,標
準 偏 回 帰 係 数 (β )が 。26,調
整 済 みR2乗
(決 定 係 数 )は.05で
あ つ た(F(1,60)=4.22,′
<.05)。
情 動 語 選 択 得 点 を 説 明 変 数 と し た 単 回 帰 分 析 の 結 果,標
準 偏 回 帰 係 数 (β )が.41,調
整 済 みR2乗
(決 定 係 数 )は 。15で
あ つ た(F(1,60)=11.83,′
<.01)。
さ ら に,状
況 手 が か り 得 点 を 説 明 変 数 と し た 単 回 帰 分 析 の 結 果,標
準 偏 回 帰 係 数 (β ) が 。27,調
整 済 みR2乗
(決 定 係 数 )は.06で
あ つ た (」 『(1,60)=4.73,′
<.05)。
21Table9
各 課 題 に よ る 単 回 帰 分 析 の 結 果 説明変数 標準誤差 調 整 済 みR2乗
表情 図選択 1.51 .74 .26* .05* 情 動 語 選 択 2.52 .73 .41 ** .41.15**
状 況 手 が か り 1.36 .62 .27* .06* *ρ 〈.05**ρ〈.013-3
社 会 的 ス キ ル 尺 度 の 下 位 尺 度 得 点 に 影 響 す る 諸 要 因 の 検 討 社 会 的 ス キ ル 尺 度 の 下 位 尺 度 得 点 に 対 す る 情 動 認 知 課 題3課
題 得 点 (表 情 図 選 択 得 点,情
動 語 選 択 得 点,状
況 手 が か り 得 点 )の 影 響 を 明 ら か に す る た め に,ス
テ ッ プ ワ イ ズ 法 に よ る 重 回 帰 分 析 を 行 つ た 。 な お,上
記3課
題 の 得 点 と 併 せ て,月
齢 お よ び 言 語 能 力 の 影 響 を 考 慮 し,月
齢 お よ び 言 語 得 点 を 投 入 し た 。 ま た,い
ず れ の 値 も 多 重 共 線 性 の 問 題 は 確 認 さ れ な か つ た 。 全 分 析 対 象 者 の 各 下 位 尺 度 得 点 を 目 的 変 数 と し,各
変 数 (表 情 図 選 択 得 点,情
動 語 選 択 得 点,状
況 手 が か り 得 点 , 月 齢,言
語 得 点 )を 説 明 変 数 と し た ス テ ッ プ ワ イ ズ 法 に よ る 重 回 帰 分 析 を 行 つ た 。 結 果 をTable10-Table12に
示 す 。 ま ず,主
張 性 得 点 を 目 的 変 数 と し た 重 回 帰 分 析 の 結 果 , 言 語 得 点,表
情 図 選 択 得 点,状
況 手 が か り 得 点 が 除 外 さ れ た 。 主 張 性 得 点 は,月
齢 と 情 動 語 選 択 得 点 の2つ
の 指 標 か ら 有 効 に 予 測 さ れ た(F(2,59)=10。
80,P<.01)。
各 変 数 の 標 準 回 帰 係 数 (β )は,月
齢 に お い て 。42,情
動 語 選 択 得 点 に お い て 。26で
有 意 で あ っ た 。 次 に,協
調 性 得 点 を 目 的 変 数 と し た 重 回 帰 分 析 の 結 果 , 月 齢,言
語 得 点,表
情 図 選 択 得 点 が 除 外 さ れ た 。 協 調 性 得 点 は,情
動 語 選 択 得 点 と 状 況 手 が か り 得 点 か ら 有 効 に 予 測 さ れ た(F(2,59)=6.75,ノ
<.01)。
各 変 数 の 標 準 回 帰 係 数 (β )は,情
動 語 選 択 得 点 に お い て 。37,状
況 手 が か り 得 点 に お い て 。26で
有 意 で あ っ た 。 最 後 に,自
己 統 制 得 点 を 目 的 変 数 と し た 重 回 帰 分 析 の ′ .26 .27 22結 果
,月
齢,言
語 得 点,表
情 図 選 択 得 点,状
況 手 が か り 得 点 が 除 外 さ れ た 。 自 己 統 制 得 点 は,情
動 語 選 択 得 点 から 有 効 に 予 測 さ れ た
(F(1,60)=4.25,′
<.05)。
情 動 語 選 択 得 点 の 標 準 回 帰 係 数 (β )は.26で
有 意 で あ つ た 。Table10
主 張 性 得 重 回 帰 分 点 に 対 す る 析 (ス テ ッ プ ワ イ ズ 法 )の 結 果 標準誤差 調整済み ′2乗 .45.19**
(定数) 月齢 -11.88 .35 6.62 .09 .45** .52.24**
(定数) 月齢 情 動 語 選 択.73
-12.95 .33 0 9 1 4 0 3 6.42**
.26* *ρく.05**ρ〈.01Tablell
協 調 性 重 回 帰 得 点 に 対 す 分 析 (ス テ る ッ プ ワ イ ズ 法 )の 結 果モデル
標準誤差 調整済み ′ 2乗 1 (定数) 情 動 語 撰 択 .35.10**
10.93 .93 3 3 2 3 .35** .43.16**
(定数) 情動語選択 状況手がか り 8.84 1.00 .57 2 2 6 5 3 2.37**
.26*
*ρ〈.05**ρ〈.01Table12
自 己 統 制 得 点 に 対 す 重 回 帰 分 析 (ス テ る ッ プ ワ イ ズ 法 )の 結 果モデル
B
標準誤差 調整済み ′ 2乗 .26 .05** (定数) 情動語選択 9.02 .75 7 6 3 3 .26* *ρ〈.05**ρく.01 24第 四 章
考 察
1.社
会 的 ス キ ル と 情 動 認 知 の 関 連1-1
重 回 帰 分 析 (ス テ ッ プ ワ イ ズ 法)に
よ る 検 討5,6歳
児62名
の デ ー タ に つ い て,社
会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 に 対 す る 情 動 認 知 課 題3課
題 得 点 (表 情 図 選 択 得 点,情
動 語 選 択 得 点,状
況 手 が か り 得 点 )の 影 響 を 明 ら か に す る た め に,ス
テ ッ プ ワ イ ズ 法 に よ る 重 回 帰 分 析 を 行 つ た 。 そ の 結 果,社
会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 は,表
情 図 選 択 得 点 , 情 動 語 選 択 得 点,状
況 手 が か り 得 点 か ら 予 測 さ れ た 。 日 的 変 数 に 及 ぼ す 説 明 変 数 の 影 響 力 を 示 す 標 準 偏 回 帰 係 数 (β )が,3課
題 全 て に お い て 有 意 で あ つ た こ と か ら,社
会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 へ,表
情 図 選 択 得 点,情
動 語 選 択 得 点,状
況 手 が か り 得 点 が 影 響 を 与 え る こ と が 明 ら か に な っ た 。 各 説 明 変 数 の う ち,影
響 が 一 番 大 き い 変 数 は,情
動 語 選 択 得 点 で あ っ た 。 こ の 課 題 は,幼
児 に1枚
の 表 情 写 真 を 見 せ,そ
の 表 情 が 表 し て い る 情 動 (気 持 ち )に つ い て 回 答 を 求 め る 内 容 で あ る 。 情 動 語 選 択 課 題 は,表
情 を 読 み 取 つ て 他 者 情 動 を 読 み 取 り,選
択 す る と い う 過 程 を 辿 る 。 こ れ は,現
実 で の 対 人 関 係 場 面 に お け る,友
達 や 先 生 の 表 情 か ら 情 動 を 推 測 し,何
ら か の 行 動 に 移 る と い う 過 程 と 関 連 し て い る と 考 え ら れ る 。 つ ま り,情
動 語 選 択 課 題 は,そ
の 他 の2課
題 と 比 較 し て,よ
り 現 実 場 面 に 則 し た 側 面 を 測 定 し て い る こ と が 考 え ら れ,最
も 影 響 力 の あ る 変 数 と し て 示 さ れ た と 推 測 で き る 。 さ ら に,情
動 語 選 択 得 点 だ け で な く,表
情 図 選 択 得 点 お よ び 状 況 手 が か り 得 点 も,そ
れ ぞ れ 社 会 的 ス キ ル に 影 響 を 与 え る こ と が 明 ら か と な っ た 。 ま た,各
課 題 間 に 有 意 な 相 関 が 見 ら れ な か つ た こ と か ら,3種
類 の 情 動 認 知 課 題 が,そ
れ ぞ れ 情 動 認 知 の 異 な る 側 面 を 測 定 し て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。 社 会 的 ス キ ル に は,情
動 認 知 の 一 側 面 で は な く,多
側 面 が 影 響 を 与 え て い る と 考 え ら れ る 。 251-2
単 回 帰 分 析 に よ る 検 討 社 会 的 ス キ ル に 対 す る 単 一 課 題 の 影 響 を 明 ら か に す る た め に,各
課 題 の 得 点 を 説 明 変 数 と し た 単 回 帰 分 析 を 行 っ た 。 そ の 結 果,3課
題 全 て に お い て 調 整 済 みR2乗
の 値 が 低 く 示 さ れ,社
会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 の 予 測 性 は 低 い と 言 え る 。 即 ち,情
動 認 知 課 題 の う ち,単
一 課 題 の 得 点 は , 社 会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 を 正 確 に 予 測 す る 値 と は 言 え な い 。2.社
会 的 ス キ ル 下 位 尺 度 得 点 と 情 動 認 知 の 関 連 本 研 究 で 使 用 し た 社 会 的 ス キ ル 尺 度 の 下 位 尺 度 得 点 で あ る 主 張 性 得 点,協
調 性 得 点,自
己 統 制 得 点 に 対 す る 情 動 認 知 課 題3課
題 得 点 (表 情 図 選 択 得 点,情
動 語 選 択 得 点,状
況 手 が か り 得 点 )の 影 響 を 明 ら か に す る た め に,ス
テ ッ プ ワ イ ズ 法 に よ る 重 回 帰 分 析 を 行 っ た 。 全 て の 下 位 尺 度 に つ い て,情
動 語 選 択 得 点 が 影 響 し て い る こ と が 示 さ れ た 。 こ れ に よ り,情
動 語 選 択 課 題 で 測 定 さ れ る 情 動 認 知 の 側 面 は,社
会 的 ス キ ル の 様 々 な 側 面 へ 広 く 影 響 を 与 え る こ と が 示 唆 さ れ た 。 ま た,協
調 性 に 影 響 を 与 え る 変 数 と し て,情
動 語 選 択 得 点 に 加 え,状
況 手 が か り 得 点 が 示 さ れ た 。 こ こ で の 協 調 性 と は,指
示 や ル ー ル に 従 う 等 と い つ た 行 動 の こ と で あ る 。 状 況 を 手 が か り と し て 他 者 の 情 動 を 判 断 す る 情 動 認 知 の 側 面 は,現
実 場 面 で,幼
児 が 自 分 の お か れ て い る 状 況 を 読 み 取 り,現
在 す べ き 行 動 を 判 断 す る と い う 行 動 に 繋 が っ て い る と 考 え ら れ る 。 一 方 で,表
情 図 選 択 に つ い て は,下
位 尺 度 得 点 に 対 す る 重 回 帰 分 析 に お い て,除
外 さ れ た 変 数 と し て 示 さ れ た 。 し か し,表
情 図 選 択 得 点 は,社
会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 に 対 す る 重 回 帰 分 析 に お い て,影
響 を 与 え る 変 数 と し て 示 さ れ て い る 。 表 情 図 選 択 課 題 は,特
定 の 情 動 が 想 起 さ れ た 際 に 表 出 さ れ る 表 情 を 予 想 し,適
切 な 表 情 を 選 択 す る 課 題 で あ り,他
の2課
題 と 比 較 し て,よ
り 発 達 の 早 い 段 階 か ら 実 施 可 能 な 課 題 で あ る 。 他 の2課
題 と 比 べ,情
動 に 26関 す る 基 本 的 な 知 識 を 問 う 課 題 で あ る と 考 え る こ と が で き る 。 よ り 細 分 化 さ れ た 特 定 の ス キ ル 項 目 に 関 連 す る と い う よ り は
,社
会 的 ス キ ル 尺 度 全 体 に 関 係 す る 変 数 で あ る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。3.先
行 研 究 間 の 知 見 の 不 一 致 に つ い て 社 会 的 ス キ ル と 情 動 認 知 の 関 連 を 調 査 し た 先 行 研 究 に お け る 結 果 の 不 一 致 は,次
の2点
の 側 面 か ら 考 え る こ と が で き た 。 ま ず 一 点 目 は,情
動 認 知 課 題 の 種 類 の 違 い と い う 視 点 で あ る 。 例 え ば 先 行 研 究 の 中 に,情
動 認 知 課 題 と し て 表 情 図 選 択 課 題 の み を 使 用 し て い る 研 究 や,情
動 手 が か り 課 題 の み を 使 用 し て,幼
児 の 情 動 認 知 の 程 度 を 提 え て い る 研 究 が あ る な ど,課
題 の 種 類 に ば ら つ き が あ る 。 特 に , 感 情 認 知 を 測 定 す る 課 題 と し て,単
一 課 題 を 用 い て い る 場 合 が 多 く,筆
者 は,こ
の 課 題 の 種 類 の 違 い が,幼
児 の 情 動 認 知 が 社 会 的 ス キ ル に 影 響 を 与 え る か 否 か と い う 研 究 結 果 を 分 け る の で は な い か と 考 え た 。 本 研 究 で,単
一 課 題 得 点 の み で 社 会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 を 予 測 で き る か に つ い て 検 討 す る た め に,単
回 帰 分 析 に よ り 単 一 課 題 の 影 響 を 検 討 し た 結 果,3課
題 全 て に お い て,社
会 的 ス キ ル 尺 度 得 点 の 予 測 性 が 低 い と い う 結 果 が 得 ら れ た 。 こ れ ら の 結 果 か ら 考 察 し,先
行 研 究 に お け る 知 見 の 不 一 致 が , 情 動 認 知 課 題 の 種 類 の 違 い に よ つ て 生 じ た 可 能 性 が 考 え ら れ た 。 二 点 目 に,刺
激 の 種 類 や 情 動 の 種 類 の 違 い と い う 観 点 か ら も 考 え る こ と が で き る 。 本 研 究 が,社
会 的 ス キ ル と 情 動 認 知 の 関 連 を 検 討 し た 他 研 究 と 異 な る 点 と し て,3種
類 の 情 動 認 知 課 題 を 用 い た 点 に 加 え て,よ
り 幼 児 の 発 達 に 考 慮 し て 刺 激 や 情 動 の 選 択 を 行 つ た と い う 点 が 挙 げ ら れ る 。 序 論 で 述 べ た よ う に,刺
激 や 情 動 の 種 類,回
答 方 法 に よ つ て 情 動 を 認 知 で き る 発 達 時 期 が 異 な る こ と が 明 ら か と な つ て い る 。 本 研 究 で は,5,6歳
の 幼 児 が 調 査 対 象 で あ る た め,そ
の 発 達 27に 沿 つ た 課 題 を 選 定 し