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イメージマップを利用した学習のふりかえり : 小学校理科第6学年「水溶液の性質」単元を事例として

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(1)Title. イメージマップを利用した学習のふりかえり : 小学校理科第6学年「水 溶液の性質」単元を事例として. Author(s). 廣島, 亨; 栢野, 彰秀; 森, 健一郎. Citation. 北海道教育大学大学院高度教職実践専攻研究紀要 : 教職大学院研究紀要 , 5: 65-74. Issue Date. 2015-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/7659. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学大学院高度教職実践専攻研究紀要 第5号. イメージマップを利用した学習のふりかえり 小学校理科第6学年「水溶液の性質」単元を事例として. 廣島 亨*1・栢野 彰秀*2・森 健一郎*3. はじめに. イメージマップ(以下、IMと略)は本来、映像視聴能力測定・評価ツールとして開発された(水 越他,1980)。IMは、鍵概念から連想した言葉を同心円上に書いてそれらを線で結ぶだけで作成で きるため、初等・中等教育における理科授業の評価ツールとしても使用されている(相野他,2000, 2009;相野,2008)。. 近年、理科学習への認知論的研究の成果によって、単元学習の進行に伴って学習者の理解がどのよ うに変容していっているのかを把握することの重要性が指摘されている(堀他訳,1990)。単元学習. の進行に伴う学習者の理解を可視化させるツールの一つとして、マッピングと呼ばれる作業化の手法 が利用されている。IMも概念地図法もマッピングによる作業化の手法として位置づけられている(塚. 田,2001)。概念地図法は、理科授業の評価ツール(福岡他,1989,1990,1991a)として利用できる だけではなく、理科授業の学習支援ツール(福岡他,1991b,1992a,1992b)としても利用できるこ とが報告されている。概念地図法を理科授業の学習支援ツールとして利用する報告に共通するのは、 単元学習の前、途中、後に概念地図を措いて学習者が自己学習をふりかえるタイプの学習支援が行わ れている点である。IMも概念地図法と同じように単元学習の進行に伴う学習者の理解を可視化させ るツールであるので、IMを利用すると概念地図法と同様な学習支援が期待できるのではないか。こ の点が、筆者らが本研究に取り組んだ問題意識である。. 上述した問題意識を解決するために、理科授業の学習支援のために概念地図を利用した福岡らの報 告を参考に、単元学習の前、途中、後の時期に学習者がIMを作成する授業を行った。その結果、概 念地図法と同様にIMにも、単元学習に関連する概念や知識・理解に関する言葉や言葉のつながりを 学習者が多く書き山すことが分かった。この結果は、小学校の理科授業においても中学校の理科授業 においても同様であった(相野他,2010,2011)。概念地図法は理科授業の評価ツールとしても、学 習支援ツールとしても利用できる。その一方IMは、理科授業の評価ツールとして利用できるが、子 どもがIM上に可視化した言葉や言葉のつながりが理科学習の支援となっているのか否かは未だ明ら かになっていない。. そこで本研究では、単元学習の前、途中、後にIMを作成して学習者が自己学習をふりかえると、. 単元の学習内容をどのように捉えるようになるかを明らかにすることを第一の目的とした。次いで、 IMを利用した学習のふりかえりが単元学習のどこに有効に働くか、検討を加えることを今ひとつの 目的とした。 *1釧路市立共栄小学校 *2島根大学教育学部 *3北海道教育大学教職大学院(大学院教育学研究科高度教職実践専攻)釧路. 65.

(3) 廣島 亨・相野 彰秀・森 健一郎. Ⅰ.1Mを利用した学習のふりかえりの概要 1.授業実践の概要. IMを利用した学習のふりかえりを行った単元は、小学校理科第6学年「水溶液の性質」単元であ る。授業は全11時間であり、2010年10月に行った。授業実践の対象者はF小学校第6学年2クラス(男 子30人、女子25人)である。授業は、IMを学習のふりかえりのために利用した授業を行ったクラス (以下、実験群)26人、及びIMを利用せずに通常の授業を行ったクラス(以下、統制群)29人に分. け実施した1)。授業において使用した教科書は、教育出版『小学理科6上』(2010)である。なお、 これらのクラスの授業を担当する教師は同一人である。第5学年時から引き続き理科専科で担当して いる。これまでにも、IMを利用した学習のふりかえりの授業を行っている。実験群の授業展開の概 要を表1に示した。. 表1から分かるように、実験群は教科書に基づいた単元の授業の際に学習者がIMを作成し、前に 作成したIMと比較を行うことで自己学習をふりかえり自己評価する授業計画である。第1時が最初 にIMを作成する時間となる。第5時及び第11時. がIMを比較して自己学習をふりかえり自己評価. 表1 実験群の授業展開の概要. する時間となる。統制群には、同じ授業時間数で. 次 時. 教科書に基づいた単元計画で、板書、実験と個人. ロ ロ ・lMlの作成 ・「水溶液」とは何かを知る。 ・5種類の水溶液を見分ける方法を考える。. ノートを取る授業を行った。. 単元学習の前半1次(第1∼5時)では、5種 類の水溶液(塩酸、炭酸水、食塩水、石灰水、ア ンモニア水)の液性と性質を調べる実験を行い、 それぞれの水溶液には固有の性質があることや、 水溶液の液性による指示薬とその色の変化を学習. する。次いで、炭酸水に溶けているものは何か調 べる実験を行い、水溶液には気体が溶けているも のがあることを学習する。. 単元学習の後半2次(第6∼11時)では、5つ の水溶液をそれぞれ鉄に滴下し、その変化の様子 を観察する実験を行う。次いで、鉄が溶けている. 授業展開の概要. 2 ・実験1:5種類の水溶液の液性と性質を調べ、水 溶液を見分ける。 3 ・実験1の結果から、水溶液は酸性、アルカリ性、 中性の3つに分けることができることを知る。 4 ・蒸発乾固をしても何もでてこなかった水溶液に は、何が溶けているのか考える。 ・炭酸水に溶けているものを調べる実験の計画を立 てる。 5 ・実験2:炭酸水に溶けているものを調べる。 ・実験2の結果から、水溶液には、気体が溶けてい るものがあることを知る。 ・lM2を作成してIMイ1と比較し、自己評価す る。 2 6 ・実験3:水溶液の中には、金属を溶かすものがあ るのかを調べるために、鉄に水溶液を滴下し、観 察する。 ・実験3の結果から、水溶液の中には金属を溶かす ものがあることを知る。. 塩酸から溶けているものを取り出し、取り出した. 7 ・塩酸に溶けた鉄を取り出すことができるか調べる 実験の計画を立てる。. ものが鉄かどうか調べる実験を行い、水溶液によ. 8 ・実験4:塩酸に溶けた鉄を耽り出すことができる. る金属の変化を学習する。その後、身の回りの水 溶液の液性や性質に関する学習を行う。 すなわち1次では、水溶液の液性と性質、水溶 液の液性による指示薬とその色の変化、水溶液の 溶質に関する内容を学習する。2次では、金属を. 変化させる水溶液と、身の回りの水溶液の液性や 性質が学習内容である。そこで、学習者に書かせ、. 比較させるIMの鍵概念を「水溶液」とした。. 66. か調べる。. ・実験4の結果から、鉄が溶けている塩酸を蒸発乾 固すると鉄ではないような何かを取り出すことが できることを知る。 9 ・鉄が溶けた塩酸を蒸発乾固して、取り出したもの が鉄なのかどうか調べる実験の計画を立てる。 10 ・実験5:鉄が溶けた塩酸から取り出したものが鉄 なのかどうか調べる実験をする。 ・実験5の結果から、水溶液には、金属を変化させ るものがあることを知る。 田 ・身の回りにある水溶液を調べ、身の回りにある水 溶液の液性や性質を知る。 ・lM3を作成して、IMl、IM2と比較し、自 己評価する。.

(4) イメージマップを利用した学習のふりかえり. 2.1Mの作成と比較及びふりかえりの手続き (1)lMの作成とふりかえりのための書式 学習者がIMを作成し、比較し、自己評価するための記入プリントの書式は図1の通りである。. このマップは、皆さんの理科の勉強を助けるために書きます。 テストではありませんから、あなたの思ったことを自由に書いてください。. 年 組. 番 名前. 図11Mの書式. A3用紙横位置の上段に、IMの記入枠が並べて3つ印刷してある。鍵概念はどれも「水溶液」で. ある。学習者は左側の記入枠から順に作成する。左側からぞれぞれIMl、IM2、IM3である。 IMlと2の下段には、「1のマップと2のマップを比べて授業で勉強したことで、気がついたこと や分かったことを自己評価して書こう」と題された、IMlと2を比較し、自己評価した文章を記入 する書込欄(以下、書込欄1と略)を設けている。IM2と3の下段には、「2のマップと3のマッ プを比べて、授業で勉強したことで気がついたことや分かったことを自己評価して書こう」と題され た、IM2と3を比較し自己評価した文章を記入する書込欄(以下、書込欄2と略)を設けている。 さらにその下段には、「1と2と3の3枚のマップを比べて、授業で勉強したことで気がついたこと や分かったこと自己評価して書こう」と題された、IMlと2と3を比較し自己評価した文章を記入 する書込欄(以下、書込欄3と略)を設けている。 (2)lMlの作成 1次第1時の授業に入る前に、学習者は図1に示した記入プリントにIMlを5分間で作成する。 この時、口頭で与えた指示は「これからの授業では、水溶液の性質に関する勉強をします。これから. 水溶液をキーワードとしたIMを書きます。水溶液から連想する言葉を書いてIMを作りましょう。」 である。. 67.

(5) 廣島 亨・相野 彰秀・森 健一郎. (3)lM2の作成及びIMlと2の比較とふりかえり 1次第5時の授業終了前に、学習者はIM2を5分間で作成する。この時、口頭で与えた指示は「こ れまでの授業では、水溶液を見分ける実験と水溶液に溶けているものを調べる実験などをしました。 これまでの授業で勉強したことをよく思い出しながら、水溶液から連想する言葉を書いてIMを作り ましょう。」である。併せて、IMlが見えないようにプリントを折って作成する指示も与えた。. 次いで、見えないようにしていたIMlとIM2を比較しながら、学習者は書込欄1に5分間で自 己評価した文章を記入する。この時口頭で与えた指示は、「1のマップと2のマップを比べて、授業 で勉強したことで気がついたことや分かったことを自己評価してたくさんの文章を書きましょう。」. であった。以下、IMlと2の比較は比較1と略。 (4)lM3の作成とIM2と3の比較とふりかえり、及びIMlと2と3の比較とふりかえり 第2次第11時の授業終了前に、学習者はIM3を5分間で作成する。この時教師は、IM2作成時 と同様な指示を与える。次いで、学習者は書込欄2に5分間で自己評価した文章を記入する。この時 教師は、比較1の時と同様な指示を与える。さらに、学習者は書込欄3に5分間で自己評価した文章 を記入する。この時教師は、比較1の時と同様な指示を与える。以下、IM2と3の比較とIMlと 2と3の比較はまとめて比較2と略。 (5)授業中におけるIM及びふりかえりの学習者による発表とそれらへの教師の関わり. 本授業実践においては、学習者が作成したIM及びIMを比較して書いた文章の授業中における学 習者による発表や、それに対する教師がコメントを加えることは行わなかった。学習者自らが単元の 学習内容を可視化しふりかえり、自己評価する活動だけを行っている。. Ⅰ.1Mを利用した学習のふりかえりの検討方法 IMを利用して学習をふりかえると、単元の学習内容をどのように捉えるようになるかについて検 討を加えるためには、次のような方法を採った。実験群の学習者が作成した3つのIMに、学習評価 ツールとしての定法の分析を加え、単元学習に関連する概念や知識・理解に関する検討を行う2)。 IMを利用して学習をふりかえると単元学習のどこに有効に働くかについて検討を加えるために は、次のような方法を採った。実験群と統制群の単元末テストにおける得点の違いを調査し、その両. 者に検討を行う3)〈その後、得点の違いが現れた問題に関連するIMに書き出された連想語の構造に 検討を加える。. Ⅱ.1Mを利用した学習のふりかえりの検討 1.単元の学習内容をどのように捉えるのかに関する検討 (1)連想語数. 学習者の知識獲得や概念形成状況を量的に明らかにするために、学習者がIMに書き出した連想語 数の増減に検討を加えた。学習者が作成した3枚のIMに書きだした連想語数を全て数え上げ、学習 者1人当りが書き出した連想語数の平均値を算出した。IMlでは6.5、2では12.6、3では14.6であっ た。IMを書いた時期を要因とする分散分析を実施すると、IMを書いた時期に関する主効果は有意. 68.

(6) イメージマップを利用した学習のふりかえり. であった(ダ(2,75)=23.1,♪<.01)。これら3つの平均値の差について全ての組み合わせによる多. 重比較を行った4)。IMlと2及びIMlと3の間に5%水準で有意差が認められた。 学習前より第1次終了後及び第2次終了後の方が多くの連想語を学習者が書き出したことが分か. る。このことから、鍵概念「水溶液」からさまざまな言葉をイメージしたり連想したりできるように なったといえる。. (2)連想語の属するカテゴリー. 学習者の知識獲得や概念形成状況を質的に明らかにするために、学習者が1Mに書き出した連想語 がどのような種類のカテゴリーに分類できるか、検討を加えた。 ① 各カテゴリーに含まれる連想語数 学習者がIMに書き出した連想語を分類するに当たっては、単元学習において、学習者は次の6つ. の学習を行ったので、学習者が3枚のIMに書き出した連想語がこれらのどの観点に属するかを筆者 らが分類した。①水溶液の定義や名称を知る学習。②5種類の水溶液の液性と性質を調べる学習。. ③. 指示薬の扱い方や水溶液の液性による指示薬の色の変化を知る学習。④気体が溶けている水溶液を調 べる学習。⑤金属を変化させる水溶液に関する学習。⑥それまでの単元学習で学習した概念や知識・. 理解を身の回りの水溶液に適用する学習。. その後、(∋の観点である水溶液の定義や名称を知る学習に関連する連想語のまとまりを、サブカテ ゴリー. 「水溶液の定義や名称」と名付けた。同様に、②の連想語のまとまりを「水溶液の液性と性質」、. ③を「指示薬と色の変化」、④を「気体」、⑤を「金属」、⑥を「身の回りの水溶液」とそれぞれ名付 けた。これら6つのサブカテゴリーを統合したカテゴリー名は、主カテゴリー「単元の学習事項」と 名付けた。. 残った連想語はKJ法的手法を用いて筆者らが分類した(川喜田,1967)。2つのカテゴリー「水 溶液に対するイメージ」及び「その他」に分類できた。カテゴリー「水溶液に対するイメージ」は、 第5学年「物の溶け方」単元の学習内容と、児童の身の回りにある様々な水溶液と水溶液に関する見 聞きした情報をもとに連想した既習・未習の用語のまとまりである。これをサブカテゴリー「水溶液 に対するイメージ」と名付けた。上記7つのサブカテゴリーに分類できなかった連想語は「その他」 である。これら2つのサブカテゴリーを統合したカテゴリー名は、主カテゴリー「既習・未習事項」 と名付けた。 分類したカテゴリーと各サブカテゴリーに含まれる主な連想語を表2に示した。. 学習者の理解傾向を検討するために、学習者が3枚のIMに書きだした連想語数を数え上げ、連想 語総数に対する各サブカテゴリーに属する連想語の占める割合を3枚のIMごとに算出した。IMご との、連想語総数に対する各サブカテゴリーに属する連想語数の占める割合を図2に示した。 図2より、IMlでは主カテゴリー「単元の学習事項」に属する6つのサブカテゴリーに含まれる 連想語数は全体の75.9%を占めている。IM2は94.5%、IM3は95.6%である。学習前より第1次 終了後及び第2次終了後の方が主カテゴリー「単元の学習事項」に関連する多くの連想語を学習者が 書き出したことが分かる。このことから、鍵概念「水溶液」から単元の学習内容に直接関連する連想 語をよりイメージしたり連想したりできるようになったといえる。. 主カテゴリー「単元の学習事項」に属する6つのサブカテゴリーに含まれる連想語の占める割合に ついて検討を加える。IM2は次の3つの学習を行った後、学習者が作成する。(∋5種類の水溶液の. 69.

(7) 廣島 亨・相野 彰秀・森 健一郎. 液性と性質を調べる実験を行い、水溶液にはそれ. 表2 カテゴリーと含まれる主な連想語. ぞれ固有の性質がある。(む水溶液の液性による指 示薬とその色の変化。(彰炭酸水に溶けているもの. カテゴリー. 主. 含まれる主な連想語. サブ. は何か調べる実験を行い、水溶液には気体が溶け. 水溶液の 定義や名称. 食塩水塩酸何か溶けた水. ているものがある。. 水溶液の 液性と性質. 中性酸性アルカリ性臭う. 図2における、サブカテゴリー「水溶液の定義. 単 プt. リトマス紙 BTB溶液赤色青色. や名称」に含まれる連想語の占める割合はIMl. の 学. 色の変化. においては25.9%であったが、1M2では37.0%. 事 項. 気体. 二酸化炭素気体入り 気体が溶けている 気体. 金属. 鉄を溶かす金属 アルミニウムを溶かす. に増加している。同様に、サブカテゴリー「水溶 液の液性と性質」は28.9%から30.0%に、サブカ. 身の回りの 水溶液. テゴリー「指示薬と色の変化」は14.5%から21.4% に、サブカテゴリー「気体」は1.8%から4.3%に 増加した。学習者が書き出した連想語を検討する. 洗剤 レモン水サイダー. 既習 水溶液に対する 液体液水みたい イメージ 何でも溶ける 未習 事項 その他 川海魚. と、「塩酸」、「食塩水」、「石灰水」などの用語と ともに、「中性」、「酸性」、「リトマス紙」、「赤色」、 「二酸化炭素」、「気体が溶けている」などの教科 書に記載された用語を害いていた。. イメージ マップ1. イメージ マップ2. IM3は次の2つの学習を行った後、学習者が 作成する。(∋5つの水溶液をそれぞれ鉄に滴下し、. その様子を観察する実験。鉄が溶けている塩酸か ら溶けているものを取り出し、取り出した物が鉄. イメージ マップ3. 0!i. 20%. 40,i. 60,i. 80,i. lOO,i. 占める割合(%). かどうか調べる実験を行い、水溶液による金属の. ■水溶液 □水溶液の 固持示集と □気体 四金属 田身の回り田水溶液に 田その他 液性と性質 色の変イヒ の水溶液 対するイメージ. 変化。②これまでの単元学習で学習した概念や知. 図2 連想語総数に対する各サブカテゴリーに属. 識・理解を身の回りの水溶液に適用する。. する連想語の占める割合. サブカテゴリー「金属」に含まれる連想語の占. める割合について検討を加えると、IMl、2においては、「金属」に含まれる連想語はなかったが、 IM3において12.1%を占めた。同様に、サブカテゴリー「身の回りの水溶液」はIM2では1.8%だっ たが、IM3において4.5%に増加した。学習者が書き出した連想語を検討すると、「鉄を溶かす」、「ア ルミニウムを溶かす」、「金属」などの水溶液と金属に関する用語とともに、「洗剤」、「レモン水」、「サ. イダー」などの学習者の身の回りの水溶液やそれに類する溶液を示す用語を書いていた。 次に、直接学習内容に関連しない連想語のまとまりである主カテゴリー「既習・未習事項」に属す. る2つのサブカテゴリーについて検討を加える。この2つのサブカテゴリーに属する連想語の占める 割合の和は、学習前において24.1%であったが、単元学習の進行に伴いIM2、3においてはそれぞ れ5.5%、4.5%へと減少した。 学習前より第1次終了後及び第2次終了後の方が、単元の学習事項に直接関連しない連想語は少な くなったことが分かる。. ② 連想語の属するサブカテゴリーの数. IMを分析する際には、連想語を分類したカテゴリーの数の増減に検討を加え、学習者の考えの広 がりを論じる。. 70. しかし、表2に示された2つの主カテゴリーに含まれる8つのサブカテゴリー全てを.

(8) イメージマップを利用した学習のふりかえり. 対象としてその数の増減を検討したのでは、真に学習者の考えの広がりを検討したことにはならない と考えられる。本研究では、IMを学習をふりかえるために利用しているのであるから、主カテゴリー 「単元の学習事項」に含まれる6つのサブカテゴリーのみを対象とすることが適当であると筆者らは. 考えた。そこで、IMに書きだした連想語が、主カテゴリー「単元の学習事項」を構成する6つのサ ブカテゴリーのいくつに属するかについて、検討を加えた。. 学習者が3枚のIMに書き出した連想語が、2つの主カテゴリーを構成するサブカテゴリーのいく つに属するかを数え上げた。学習内容に関連する連想語のまとまりである、主カテゴリー「単元の学 習事項」に学習者が書き出した連想語を含むサブカテゴリー数の1人当たりの平均値は、1Mlでは 2.3、IM2では3.7、IM3では4.5であった。これらについて分散分析を実施した。IMを書いた 時期に関する主効果は有意であった(ダ(2,75)=22.8,♪<.01)。多重比較を加えると、IMlと2 及びIMlと3の間に5%水準で有意差が認められた。 念のために、直接学習内容に関連しない連想語のまとまりである主カテゴリー「既習・未習事項」. についても同様な検討を加えた。IMlでは0.5、IM2では0.3、IM3では0.2であった。分散分 析を実施すると、IMを書いた時期に関する主効果に有意差は認められなかった(ダ(2,75)= 2.7,視.ざ.)。 学習者が書きだした連想語の属する主カテゴリー「単元の学習事項」内のサブカテゴリーの数は学. 習前のIMより第1次終了後及び第2次終了後に害いたIMの方が増加したことが分かる。このこと から、水溶液をとりまく6つの学習事項のより多くとリンクできるようになったといえる。 ③ 全体的特徴 IMを利用して学習のふりかえりを行った実験群は、単元学習の進行に伴って学習内容を次のよう に捉えたといえる。. 第一に、鍵概念「水溶液」からさまざまな言葉をイメージしたり連想したりできるようになっただ けではなく、単元の学習内容に直接関連する連想語をよりイメージしたり連想したりしていった。 第二に、水溶液をとりまく6つの学習事項のより多くがリンクできるようになっていった。 2.単元学習のどこに有効に働くかに関する検討 (1)単元末テストの得点. 上述したような特徴を持つ実験群と通常の授業を受けた統制群の単元末テストにおける得点を調査. しが)。単元末テストは、単元学習の前半1次(第1∼5時)が出題されたテスト(以下、テスト1) と後半2次(第6∼11時)が出題されたテスト(以下、テスト2)の2枚である。テスト1は第5時 終了後、テスト2は第11時終了後、日を改めてテスト時間を設けて実施した。. 実験群1人当たりのテスト1の平均点は17.3点、統制群は18.0点であった。テスト2の平均点は実 験群15.9点、統制群14.1点であった。テスト1及びテスト2の実験群と統制群の平均値にt検定を加 えた。テスト1における平均値の差は有意でなかったが、テスト2における平均値の差は有意であっ た(テスト1;古=1.1,斬=53,視.ざ.、テスト2;古=2.3,斬=53,♪<.05)。 このことから次のことがいえる。(∋単元学習の前半1次の学習内容である水溶液を見分ける問題及. び水溶液に溶けているものに関する問題であるテスト1においては、実験群と統制群の得点の差は見 られない。②単元学習の後半2次の学習内容である水溶液と金属に関する問題であるテスト2におい ては、実験群が統制群より得点が高い。. 71.

(9) 廣島 亨・相野 彰秀・森 健一郎. (2)各設問ごとの正誤数. 単元末テストにおいて実験群及び統制群の間に有意差が現れたテスト2に出題された全18問の問題 それぞれについて実験群及び統制群の解答の正誤数を調査し、直接確率計算を行った。各設問ごとの. 正誤人数及び直接確率計算の結果を表3に示す。. 表3より、問題10に有意な人数の隔たりが見られ る(両側検定:♪=.001)。 人数に有意な隔たりが見られる問題10は、鉄を塩. 表3 実験群及び統制群の正誤人数 問題 番 姐 正 誤 ♪ 号 実験群 26 0. 酸に溶かした水溶液を蒸発乾固して取り出した物質 は、元々あった鉄の性質が変化して塩酸に溶けなく なるとともに磁石にもつかなくなる実験を行ったと した時の実験結果からどのようなことが分かるかを. 統制群 28 ロ. 統制群 26 3 実験群 14 12. 3. 統制群 18 田 4. り塩酸による鉄の変化を正しく文章で解答する問題. 5. 実」験群 18 8 0.577. 0.764 14. 統制群 17 12. 15 実」験群 23 3 0.659 16 実」験群 22 4 0.178 実」験群 19 7. 0.355 17. 8. 9 実験群 24 2 0.149. 0.426. 13 実」験群 24 2 0.672 統制群 25 4. 実験群 25 ロ. 10に関する理解に差があることが分かる。. (3)問題10に関する検討. 実」験群 24 2. 統制群 24 5. 統制群 21 8. 6 実験群 26 0 0.492 7 実験群 22 4 0.215. 0.001. 実」験群 24 2 0.149 統制群 22 7. 0.592 12. 実験群 24 2 1.000 統制群 27 2 実験群 20 6. た実験群の学習者は、作成しない統制群の学習者よ. 実」験群 21 5. 1.000 10. 実験群 25 ロ 0.613 田 2. 文章で答える問題である。. このことから、IMを作成して学習をふりかえっ. 問題 番 姐 正 誤 ♪ 号. 0.164. 18 実」験群 22 4 0.510. 問題10は、塩酸による鉄の変化を正しく理解していれば正答可能な問題である。そこでIM3に「塩 酸」−. 「鉄」や「塩酸」−. 「鉄を溶かす」のような、「塩酸」という連想語と「鉄を溶かす」のよう. な鉄に関する連想語をつなぐ連想の系列を書いた学習者と書かなかった学習者をそれぞれ特定すると ともに、その数を数え上げた。その後、単元テストにおける正答と誤答を答えた学習者をそれぞれ特. 定するとともに、その数を数え上げた。連想系列の記載の有無と単元末テストの正誤の関係の推移を 図3に表した。. 図3より、IM3に〔塩酸〕という連想語と鉄に関する連想語のつながりを含む連想系列の記載が あった学習者14人のうち、単元末テストの問題10に正答したのは13人である。一方、記載がなかった 学習者12人のうち、単元末テストに正答したのは8人である。. 表3より、問題10では実験群では26人のうち21人が正答しているが、統制群では29人のうち10人し か正答していない。実験群で問題10に正答した21人 のうち13人が、に鍵となる連想語〔塩酸〕と鉄に関 する連想語のつながりを含む連想の系列を書いてい る。. さらに、イメージマップ3に〔塩酸〕という連想 語と鉄に関する連想語のつながりを含む連想系列の 記載があり、かつ問題10に正答を答えた13人の学習. ′J ・. 者の書いたIMに詳細な検討を加えた。そのうちの 4人のIM3に、「塩酸」−「黄色」−「鉄じゃない」 や「塩酸」−. 「鉄を溶かす」−「他の物に変える」. などの連想系列が見られた。IM3に「塩酸」とい う連想語と鉄に関する連想語のつながりを含む連想. 72. 三 由 連想系列の. 記載の有無. 単元未テスト の正誤. 図3 連想系列の記載の有無と単元末テストの 正誤.

(10) イメージマップを利用した学習のふりかえり. 系列の記載があったが、問題10に誤答した学習者の書いたIMには上述した連想系列はなかった。. これらのことから、IM上に鍵となる「塩酸」という連想語と鉄に関する連想語のつながりを含む 連想系列を書きだしていると、単元末テストにおいて、塩酸による鉄の変化に関する問題に正答を答 える可能性が高いことが分かる。しかし、IM上に鍵となる連想語とそのつながりを含む連想系列を 書き出していなくても、12人中8人は単元末テストにおいて正答を答えている。当該の学習内容を理 解していなかったからIM上に書き出せなかったのか。あるいは、たまたま書きだしていなかったか を今後は、個別に調査する必要がある。. おわりに. 筆者らは、IMを利用して学習をふりかえるような授業実践を小学校理科第6学年「水溶液の性質」 単元において行った。その結果、IMを利用して学習のふりかえりを行うと、単元学習に関連した連 想語とそれらを多く含む連想系列で構成されたIMを、単元学習の適切な時期に学習者は作成するこ とが明らかになった。加えて、IM上に塩酸による鉄の変化に関する用語と塩酸を関連づけた連想系 列を書き出していると、単元末テストにおいて、塩酸による鉄の変化に関する問題に正答を答える可 能性が高いことも明らかになった。. これらのことから、IMを利用した学習のふりかえりは、同単元における水溶液による金属の変化 に関する学習に有効性が見られる可能性が示唆されたといえる。. ここで、IMを利用した自己学習のふりかえりの有効性が「可能性がある」に留まったかを考察し たい。IM上に鍵となる連想語とそのつながりを含む連想系列を書き出していない場合でも、単元末 テストにおいては正答を答えている場合が少なからず見られた。このことについて、当該の学習内容 を理解していなかったからIM上に書き出せなかったのか。あるいは、たまたま書きだしていなかっ たかが調査できていなかったためである。今後の授業実践においては、この点を明らかにし、IMを 利用した学習のふりかえりの有効性についてさらに詳細に検討を加えたい。. 加えて、本研究では、学習者自らが単元の学習内容をIMを利用してふりかえる活動だけを行って いる。次回の授業実践では、学習者が作成したIMとIMを比較して書いた文章の授業中における学 習者による発表と共有や、それに対して教師がコメントを加える。そうすると、学習者同士、教師と 学習者との協働的な学びの中での学習支援が期待できると考える。 註 1)実験群と統制群は、他の単元における単元末テストを用いた分散分析(F=1.2)によって等質であることが確か められている。 2)学習者が作成したIMの分析は、相野他(2000)及び、三宅(1987)に基づいて行った。 3)概念地図法による福岡ら(1992b)による先行研究では、ペーパーテスト問題は、文部省が全国的な調査におい て出題した問題を利用している。本研究では、F/ト学校が採択する教科書に準拠させて作成された市販の業者テ ストを用いた。. 4)分析には統計パッケージPASWStatistics18を用いた。以後の分析も同様である。なお、多重比較はBonferroni の方法によって行った。. 5)テスト1は仝21問、テスト2は仝18問である。配点は正答1点、誤答0点である。. 73.

(11) 廣島 亨・相野 彰秀・森 健一郎 付 記. 本研究は、2011年3月に行われたMOB発表会において得られた示唆をもとに研究を深め、2013年 11月に行われた日本教科数青学会第39回全国大会において口頭発表を行い、さらに研究を深めたもの である。本研究の一部は、平成22∼24年度科学研究費補助金(基盤研究(C)、課題番号22530939、研究 代表者相野彰秀)の資金援助によって行われている。. 参考文献 相野彰秀他(2000)「エネルギー・環境教育的アプローチを導入した高等学校化学に関する実践的研究」,『科学教育 研究』,24(1),pp.40−48. 相野彰秀(2008)「いろいろなエネルギーを実感をもって理解させる小学校エネルギー教育力リキュラムの開発」,『エ ネルギー環境教育研究』,2(2),pp.5−13. 相野彰秀,森健一郎(2009)「いろいろなエネルギーを実感をもって理解させる中学校理科実験教材の開発」,『エネ ルギー・環境教育研究』,3(2),pp.11−18. 相野彰秀,森健一郎(2010)「イメージマップを知識獲得を促進するための学習支援ツールとして利用する試み」,『北 海道教育大学紀要』,60(2),pp.109−124. 舘英樹,相野彰秀,佐藤末葉,三宅正太郎(2011)「イメージマップを知識獲得を促進するための学習支援ツールと して利用する試み(3)」,『北海道教育大学紀要』,62(1),pp.39−48. 川喜田二郎(1967)『発想法』,中央公論社. 塚田春彦(2001)『語彙力と読書』,p.152,東洋館出版社. 水越敏行他(1980)「映像視聴能力の形成と評価に関する実証的研究」,『放送教育研究』,10,pp.1−20. 福岡敏行,広瀬聡子(1989)「CONCEPTMAPによる概念の分析(I)」,『横浜国立大学教育実践研究指導センター. 紀要』,5,pp.81−91. 福岡敏行,広瀬聡子(1990)「概念地図(CONCEPTMAP)による概念の分析(II)」,『横浜国立大学教育実践研究 指導センター紀要』,6,pp.49−66. 福岡敏行,岩井徳二(1991a)「概念地図(コンセプトマップ)による概念の分析(Ⅲ)」,『横浜国立大学教育実践研 究指導センター紀要』,7,pp.35−56. 福岡敏行,笠井恵(1991b)「理科学習における概念地図作り(CONCEPT MAPPING)の有効性に関する一考察」,『日 本理科教育学会研究紀要』,32(1),pp.6775. 福岡敏行,笠井恵(1992a)「観察・実験に導入する概念地図作り(CONCEPT MAPPING)の有効性に関する一考察」, 『日本理科教育学会研究紀要』,32(3),pp.81−89.. 福岡敏行,植田千賀子(1992b)「概念地図作り(CONCEPTMAPPING)の有効性に関する一考察」,『日本理科教育 学会研究紀要』,33(2),pp.1−8. 掘哲夫他訳(1990)『子ども達はいかに学習し教師はいかに教えるか』,. 74. 東洋館出版社..

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参照

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