• 検索結果がありません。

奈良県小学校社会科診断テストにおけるテスト問題開発に関する史的研究 : 地理的領域における方法知(読図能力)の分析を中心として

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "奈良県小学校社会科診断テストにおけるテスト問題開発に関する史的研究 : 地理的領域における方法知(読図能力)の分析を中心として"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)Title. 奈良県小学校社会科診断テストにおけるテスト問題開発に関する史的研 究 : 地理的領域における方法知(読図能力)の分析を中心として. Author(s). 坂井, 誠亮. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 62(2): 227-237. Issue Date. 2012-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2839. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第62巻 第2号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.62,No.2. 平成凶年2月 February,2012. 奈良県小学校社会科診断テストにおけるテスト問題開発に関する史的研究. 一地理的領域における方法知(読図能力)の分析を中心として−. 坂 井 誠 亮 北海道教育大学教育学部旭川枚社会科教育学研究室. AHistoricalStudyoftheTestDevelopmentintheNaraElementary SchooISocialStudiesDiagnosisTest −FocuslngOnAnalyzingKnowledgeforMethed’AbilitytoreadaMap’inaGeographicalDomain−. SAKAI Seisuke. DepartmentofSocial−StudiesEducation,AsahikawaCampus,HokkaidoUniversityofEducation. 概 要 奈良県小学校社会科診断テストは,1961年に第1回が実施され,昨年度(2010年度)で第50回を迎えた。 この半世紀の長きにわたって,小学校の評価テスト問題を開発し,テスト結果をもとに分析を加え,次年度 のテスト問題開発のみならず,授業改善の提案を行ってきたことに対する意義は大きい。 そこで,本研究では,奈良県小学校社会科診断テストの地理的領域で,特に,奈良県小学校教科等研究会 社会科部会が重視して問題開発してきた方法知(読図能力)のテスト問題に絞り,各時代を象徴したどのよ うなテスト問題が開発されたのか,また,時代と共に,テスト問題がどのように変遷してきたのかについて 明らかにした。. Ⅰ.はじめに 本研究の目的は,奈良県小学校社会科診断テス. すなわち,奈良県小学校社会科診断テストは, 2010年度で第50回目を迎えたが,この半世紀の間,. ペーパーテストの開発研究とテスト結果の綿密な. ト1)におけるテスト問題開発の変遷過程について. 分析をもとにした授業改善の提案を行ってきたの. 史的に研究する一環として,特に地理的領域の方. である。このことについて,寺尾健夫氏は「この. 法知(読図能力)のテスト問題の特質を明らかに. 研究がここまで長期にわたり,しかも評価研究部. したものである。. を中心とした綿密な研究体制のもとで,明確な評. まず奈良県小学校社会科診断テストを史的に研 究する意義は,以下の通りである。. 価方略のあるテストを通して評価のあり方と授業 改善との連携を継続的に追究し,大きな成果を上. 227.

(3) 坂 井 誠 亮. げているものとして他に例を見ないものとなって. うなテスト問題が開発されたのか,また,時代と. いる2)。」と,その意義を評価しているからである。. 共に,テスト問題がどのように変遷したのかにつ. ところで,これまでの小学校社会科テスト問題. いて明らかにしていく。. についての先行研究としては,社会科の初志をつ らぬく会,寺尾健夫氏,北俊夫氏などの研究があ る。まず,社会科の初志をつらぬく会は,会の基. Ⅱ.分析視点. 軸概念である「思考体制」の変容をペーパーテス. 奈良県小学校社会科診断テストの地理的領域の. トで分析しようとした。そして社会科のペーパー. 方法知の特質を明らかにするために,イギリスの. テストの備えるべき原則を示しが)。次に,寺尾. 『ナショナル・カリキュラム・地理(2000)』を. 健夫氏は,市販のテスト問題を分析することによ. もとに分析視点を作成する。それは,『ナショナ. り,テスト問題がどのような過程で作成されたの. ル・カリキュラム・地理(2000)』が,「内容知お. か,また,その間題を児童に解答させ,解く際の. よび方法知を詳細に洗い出し,初等・中等学校に. 思考過程を面接調査することにより,児童にとっ. 体系的に配列して示した典型例9)」であるという. て適切な思考が可能であるテスト問題の特徴を明. 理由からである。. らかにした4)。また,北俊夫氏は,社会科の観点 毎に評価テスト問題例を示し,それぞれのテスト. なお,『ナショナル・カリキュラム・地理 (2000)』は,「地理的探究と技能」,「場所に関す. 問題作成上の留意点を示しが)。これらの研究に. る知識と理解」,「パターンと変化過程に関する知. より,適切なテスト問題を作成するための理論を. 識と理解」,「環境の変化や持続的発展に関する知. 示したことは意義深い。しかし,長年にわたって. 識と理解」といった4つの地理的アスペクトで構. 実践されたテスト問題を史的に分析することによ. 成されている。そのうち,方法知に関するアスペ. り,テスト問題開発の変遷過程を明らかにした研. クトは,「地理的探究と地理的技能」である。そ. 究は管見の限り見あたらない。. してKSlからKS310)に示されている方法知を. さらに,研究対象である奈良県小学校社会科診. もとに分析フレームワークを作成した11)。その. 断テストに関する先行研究としては,奈良県小学. 項目として,まず地理的探究は,「地理的な質問. 校教科等研究会社会科部会(以降,奈良県小社研. をする」,「調査の手順を提案する」,「証拠を集め. と表記する)が編纂した『奈良の社会科6)』と『続. て記録する」,「証拠を分析,評価し,結論を出し. 奈良の社会科7)』がある。しかし,これらは奈良. 理由付けをする」,「適切な方法で伝達する」の5. 県小学校社会科診断テストの実施の経緯や変遷過. 項目とする。. 程のエピソード,及び具体的なテスト問題の紹介. また,地理的技能としては,「地理的用語の活. をしているが,その内容知や方法知に関する構造. 用」,「フィールドワークの技能」,「地図(地球儀). や系統について分析し論じられたものではない。. の利用」,「地図の作成」,「二次的情報資料(写真・. また,筆者は,これまでに,拙稿「奈良県小学校. 図・グラフ等)の活用」とし,「地図の利用」に. 社会科におけるテスト問題開発に関する検討一第. ついては,より詳細に「地図記号の読み取りや記. 1回奈良県小学校社会科診断テストを中心とし. 述」,「方位の理解」,「縮尺の理解と活用」,「等高. て−8)」において,第1回奈良県小学校社会科診. 線の理解と活用」に細分し,9項目とする。. 断テストが実施された経緯や作間領域,及び内容 知や方法知の構造について明らかにしてきた。 そこで,さらに本研究では,奈良県小学校社会 科診断テストの地理的領域の方法知(読図能力). のテスト問題について,各時代を象徴したどのよ. 228. Ⅱ.地理的領域における方法知の分析 1.方法知の年度別構造分析. 以上の分析視点をもとに,第1回(1961年)か.

(4) 奈良県小学校社会科診断テストにおけるテスト問題開発に関する史的研究. 表1 奈良県小学校社会科診断テストの方法知の年度別構造分析表. ら第50回(2010年)までの分析. 方 法 知(%). 地 理 間. 地理的技能. 地理的探究 容 理 査 拠 拠 切 尤 質 間 順 提 理 由 案. 付. 線 図 作 成 申 グ ラ. ワ ク. け. 用. 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 5 0 0 0 5 5 5 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 7 10 10 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0. 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0. 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 4 3 3 3 0 0 2. 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0. 0 0 0 4 0 0 2 8 3 6 3 3 2 2 0 0 0 6 6 5 8. を出したものである。また,表. フ. 1から,以下の3点が明らかに なった。. 1962 0 0 0 0 0 2 0 30 7 11 2 3 24 0 105 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 0 0 5 5 5 3 3 6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0. それぞれの項目の問題数の割合. 活 用. 1961 0 0 0 0 0 14 0 38 9 8 3 5 15 0 127 1963 1964 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010. これは,全ての地理的領域の問 題数(2584間)をもとにして,. 理 イ 図 嬰 位 尺 闘 真 図 数 的. 用. 結果を示したのが表1である。. 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0. 68 19 13 6 6 0 53 57 14 17 5 8 11 0 63 50 13 19 9 17 0 78 45 12 16 4 5 23 0 75 35 7 11 3 3 25 0 97 49 13 13 4 4 21 0 85 41 9 17 2 2 15 1 82 32 9 4 20 0 75 44 8 8 1 3 44 0 72 26 6 18 2 3 35 0 66 34 8 12 3 2 36 0 59 29 3 12 2 5 25 0 59 40 4 15 2 4 21 0 53 45 5 14 2 2 25 0 56 42 5 10 2 2 22 3 60 47 7 15 2 2 19 2 59 40 7 14 2 2 29 0 58 33 6 12 4 2 27 0 52 22 2 14 4 8 18 0 49 25 4 15 4 5 25 0 55 35 4 15 6 6 15 0 48 2 24 2 4 5 20 0 55 9 2 22 2 11 4 6 19 0 54 8 2 19 4 10 6 8 13 0 52 2 4 12 8 12 6 6 8 2 50 2 2 18 8 12 6 8 10 0 50 2 2 17 8 13 6 10 15 0 48 3 0 18 10 15 5 10 13 0 39 3 0 6 8 14 6 17 0 36 0 0 14 8 14 6 8 25 0 36 0 0 16 9 16 6 9 19 0 32 0 0 12 9 15 6 9 15 0 34 0 0 22 12 10 5 7 17 0 41 5 3 0 0 0 20 13 10 5 5 25 0 40 13 0 0 0 0 15 8 10 5 5 26 0 39 6 6 0 3 0 18 9 12 9 0 24 0 34 0 3 0 0 0 18 9 9 9 3 21 0 34 0 6 0 0 0 24 6 9 9 3 9 0 34 0 6 0 3 0 21 9 9 6 3 15 0 34 0 7 0 0 0 32 14 11 4 0 21 0 28 0 8 0 0 0 36 16 12 4 0 24 0 25 0 8 0 0 0 36 16 12 4 0 24 0 25 0 8 0 0 0 36 16 12 4 0 16 0 25 0 4 0 0 0 29 18 11 4 0 18 0 28 0 4 0 0 0 25 18 4 0 14 0 28 3 0 0 0 0 24 6 12 6 3 30 0 33 3 0 0 0 0 27 6 13 6 3 24 0 32 3 0 0 0 0 27 6 13 6 3 0 0 32. すなわち,まず第1に,奈良 県小学校社会科診断テストで は,地理的探究に関する問題は, ほとんど出題されてこなかった のである。若干,「調査の手順. を碇案する」問題としては,第 12回(1972年)の3年生で「こ のごろやさいやくだものを作る. 農家が増えてきましたが,その わけの調べ方でよいものを選択 しなさい。」や,「証拠を分析,. 評価し,結論を出し理由付けを する」問題としては,第38回 (1998年)の5年生で「資料を. 見て,気づいたことをノートに まとめました。どの資料を見て かいたものか,その根拠となる 資料を選択しなさい。」といっ た問題が出題されているのみで. ある。第2に,地理的技能に関 しては,「地図(地球儀)の利用」 (以下,読図能力と表現する) に関する問題の出題率が高く, 平均で32%も出題されていたの. である。しかも,第1回から第 50回まで毎年出題され続けてい るのである。このことから,奈. 良県小社研が,特に読図能力を 重視して問題作成をしてきたこ とが明らかになった。. 平均 0 1 0 1 0 3 0 32 9 13 4 4 21 0 2584 (筆者作成 2011年). 229.

(5) 坂 井 誠 亮. 表2 読図能力のテスト問題出題年表. 2.読図能力のテスト問題の年度別変遷. 以上の結果を踏まえ,ここでは読図能力のテス ト問題に絞り,年度別変遷過程を明らかにしてみ る。. 学年 ロ. 2. 内 絵 校 絵 絵 地 地 地 地 地 地 地 の ∠ゝ /t仁 の. 用 仁コ ち▲ 仁コ ち▲ 仁コ ち▲ 匹 仁コ ち▲. 長兄 地 長兄 仕 み 図 み 事. るテスト問題の出題年度を整理して表したもので. 取 の 取 り 読 み 取 り. ある。ここから,以下の3点が明らかになった。. すなわち,まず第1に,低学年では,生活科の. る。第2に,中学年では,地図記号・方位・縮尺・. 等高線の問題が,全ての年度で出題されているこ とである。第3に,5年生では,地図帳活用の問 題といったように授業に活かせる工夫された問題 が開発されてきたことである。. Ⅳ.具体的なテスト問題分析と考察 以上の分析結果をもとに,ここでは,具体的な. テスト問題をもとに,各時代を象徴したテスト問 題にはどのような特徴があるのか。また,時代と. 共にテスト問題がどのように変遷したのかについ て明らかにしていく。. 1.絵地図の読み取りの問題. 国1は,第5回(1965年)の1年生で出題され た絵地図の読み取りの問題である。まず①と②は, 「∼の前」や「∼のよこ」という位置や方向を表. 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990. 1. 尺 筆 尚. 線. 2 3 1 1 1. 1 1 1. 1 1. 方 方 方 用 方 位 界 縮 地. 尚 線. 1. 2 1. 世 位 位 位 縮 縮 縮 尺. 筆. 新設により,出題が打ち切られる1989年までの28. 絵地図の問題が出題されていたということであ. 6. 東 地 舎 地 地 凶 凶 凶 凶 凶 凶 球 脊 図 の 図 図 活 記 記 記 曝 記 儀. 表2は,過去50年間中,5回以上出題されてい. 年間,毎年,地図の読み取りや活用の基礎となる. 3 4 5. 1. 1 1. 1 1 1 1 1 1. 1. 1 1. 1 1 1. 1. 2 2 1. 1. 1. 1. 1. 1. 1. 1. 1. 1. 1. 1. 1 1 1 1 1. 1 1 1 1 1 1. 2 1 2 1 1 1. 1 1 1 1 1 1. 1 1 1 1 1 1 1 1 1. 1. 1. 1. 1 1 1 1. 1. 1. 1 1 1 1. す言葉の理解を問う問題である。次に③は土地の 様子を絵から読み取る問題であり,よしこさんの 家のまわりに描かれた田畑を表す絵は地図記号に. 1 1 1 1. 1. 1. つながるものである。そして,④は,地図から道 の大きさを読み取る問題である。さらに⑤は,地. 図上の道の太さや様子から,車がよく通る道はど の道であるのかについて思考させる問題である。. 1 1 1 1 1 1. 1. 1. 1. この間題を解答するには,大きい真っ直ぐの道は, 自動車にとって通りやすい道であるという認識を. 1 1 1 1. 1. 1. 経験的に知っていることが必要である。. 以上のように,図1の問題は,方位,地図記号. 230. (筆者作成 2011年).

(6) 奈良県小学校社会科診断テストにおけるテスト問題開発に関する史的研究. といった読図能力の基礎的な要素を問う問題と,. つぎの えちずをみて といに こたえなさい。. 事実をもとに思考するといった,1年生という学 年にしては,比較的高次な読図能力の問題が作成 されていたことが明らかになった。. つぎの えちずを みて それぞれの ぶんのな かで よいもの 一つに○を つけなさい。. ①あきらさんの いえの まえには 1()こうばが あります。 2()がっこうが あります。 3()ひのみやぐらが あります。 ②としおさんが がっこうへ いくとき とおるみちの よこには,. 1()ひのみやぐらが あります。 2()こうばが あります。 3()ゆうびんきょくが あります。 ⑨よしこさんの いえの まわりには 1()おみせが たくさんあります。 2()おうちが たくさんあります。 3()たんぽが たくさんあります。 ④よしこさんの いえの まえのみちは 1()まっすぐで すこし せまい みちです( 2()せまくて まがった みちです。 3()ひろくて まっすぐな みちです ⑤いちばん くるまの おおく とおるのは 1()㊨の みち です。 2()㊤の みち です。 3()(身の みち です。. つぎの 中から 正しいものを 一つずつえらんで ()に○をつけなさい。 ①きしゃはいま ァ()ひがし,イ()みなみ, ウ()にし にむいてはしっています。 ②おおかわは ァ()きたからみなみへ, イ()みなみからきたへ, ウ()ひがしからにしへながれています。 ③まちこさんの いえから きたへ いき 四つかどを ひがしに まがり つぎの三つかどを きたへ まがっていくと ァ()みのるくん, イ()さとしくん, ウ()ひでこさんのいえにつきます。 ④おみせのおおいのは ァ()ゆうびんきょくのとおり, イ()えきまえのとおり, ウ()おおかわのちかく,です。 ⑤・の しるしは ( )です。. 図2 絵地図の読み取り(2年生) (奈良県小学叔教科等研究会社会科部会『奈良県社会科診断. テスト報告』1965,p.20.). と東を示した上で,4方位を問う問題である。ま た,②は絵地図に示された川の幅や山地から流れ ているという事実をもとに,川が流れる方位を求 める問題である。次に,③は,指示文に従って地. 区= 絵地図の読み取り(1年生). 図上の道を進み,たどり着いた所を答える地図活. (奈良県小学校教科等研究会社会科部会『奈良県社会科診断. テスト報告』1965,p.6.). 用能力を問う問題である。ここでは,四つ角や三. つ角という用語と地図上の4方位を理解した上 次に図2は,図1と同じく第5回(1965年)に. で,地図を活用する能力が要求される。さらに④. 出題された2年生の絵地図の読み取りのテスト問. は,お店が多いのはどの地域かという建物の分布. 題である。. 状況を読み取る問題である。最後に,⑤では,地. 図1に比べて絵地図の記述内容は,複雑な構成 になっている。まず,①と②は,予め絵地図に北. 図記号を問う問題も出題されている。. 以上のように,2年生では,1年生の問題をさ. 231.

(7) 坂 井 誠 亮. らに発展させ,四方位や地図記号の問題,建物の. 分布状況を読み取る問題,及び指示に従って道を. つぎの地図を見て,〔あ〕〔い〕〔う〕の それぞ れの文の中から,正しいものを一つえらんで,その ばんごうを□にかきなさい。. 進めていくような地図活用の問題が出題されてい たことが明らかになった。 これらのテスト問題の作成に関わった西川芳徳 氏は,「地図を読む力は,地理では最も大切にさ れる能力です。でも,その力をつけるためには,. 行き当たりばったりではあきません。低学年では 遊びながら絵地図で,中学年では地図記号や縮尺 等,本物の地図の基礎を,高学年ではグラフ等に 絡めて総合的に地図を読んでいくというように,. 系統性を大切にしました12)。」と述べているよう に,当時,系統性重視の観点から,低学年の絵地 図の読み取りにおいても,方位や地図記号といっ た読図能力の基礎となる問題が出題されていたの である。. 〔あ〕やくぼの西の方がくに(①けいさつ,②しろ山, ③えき,④学枚)があります。 [二] 〔い〕まる山の ちょう上から((力北西,②東,(丑南東, ④北東)の方を見ると,町のむこうに工場がかたまっ て見えます。 [二] 〔う〕町の南には,川が(①東から西へ,②西から東へ, 南から北へ,北から南へ)ながれています。 [二]. 〔え〕上の地図で,地図記号のぬけているところがありま す。次の文をよんで,せんのひいてあるものは,地図 中のア,イ,ウ,エ,オ,カのどこにかきいれるとよ いか,答えのらんの□に,それぞれの場所と地図記号 をかきなさい。 ・あたご山のふもとに じんじゃが あります。そのへ んから山の南がわにかけては,ももなどのくだもの畑 になっていまう. 2.中学年における読図問題の変遷. 表2から,3年生と4年生では,全ての年度で. 学聴から東へ行き,はじめの四つかどを 北へまがる と道の東がわにお寺があります。. 読図能力の問題が出題されていることが明らかに なった。すなわち,3年生と4年生においては, 読図能力の問題が50年間出題され続けたのであ. 図3 地図記号・方位・縮尺・等高線①(3年生). る。そこで,この間に,読図能力を問う問題が,. (奈良県小学枚教科等研究会社会科部会『奈良県社会科診断. テスト報告』1970,p.36.). どのように変化したのかということについて明ら. かにするために,第10回(1970年)と第40回(ZOOO. 絵地図から本格的な地図に変え,より発展させた. 年)のテスト問題を比較することにより検討して. 問題が出題されていることが明らかになった。. いく。. 図3は,第10回(1970年)に出題された3年生 の読図能力を問う問題である。まず,〔あ〕,〔い〕. 次に,図4は,図3から30年後の第40回(2000 年)に,3年生で出題された問題である。. ここでは,けんじさんの学級が学校のまわりを. の問題は,方位を問う問題である。しかも,〔い〕. 探検し,それをもとに地図をつくり,その地図を. は八方位を問う問題が3年生で出題されていたの. もとに町の特徴について話し合うというストー. である。次に〔う〕は,等高線や川幅の広さから,. リー性を持たせた問題になっている。. 川の流れる方向を問う問題である。これは,図2 (2年生)の②の問題を発展させた問題であると いえよう。さらに〔え〕の問題は,指示文にそっ. まず,〔あ〕の問題は,4方位を理解している かどうかを問う問題である。続いて,〔い〕の1は, 「∼の前」といった方向を示す言葉を理解してい. て地図上の道を進んでいき,そこに該当する地図. るのかを問う問題である。これは,図1の①(1. 記号を書き入れる図2の③の問題を発展させた地. 年生)の問題「あきらさんの家の前には工場があ. 図活用の問題である。. る」と同レベルの問題であり,図1の①の問題と. 以上のように,ここでは方位,地図記号,地図 活用の問題が出題されており,図2で取りあげた. 232. の違いは,警察署の地図記号を理解しているのか という点のみであるといえる。さらに,2は地図.

(8) 奈良県小学校社会科診断テストにおけるテスト問題開発に関する史的研究. けんじさんたちは,学校のまわりをたんけんし て,地図を作っています。つぎの〔あ〕・〔い〕. の問いに答えましょう。 〔あ〕学校から出発し,たんけんコースを歩いていると,. 公民館の前をとおりました。学校から公民館までの道 を正しくせつめいしている人をえらんで,その名前を. □に書きましょう。. 場所の様子や特徴を読み取ったり,指示文に従っ て地図上の道をたどりながら目的地を見つけると いった応用的な地図活用の問題は出題されていな い。. 以上のように,第40回(2000年)のテスト問題 は,展開にストーリー性を持たせることにより,. 児童が実際の授業の文脈にそって解答していく工 夫がなされているが,方位を問う問題は,第10回 (1970年)の八方位から四方位になっていたり,. 地図上の事実から実際の様子を思考,活用させる ような問題が削除されたのである。つまり,難易 かおり…学校の前の道を北に行って,つぎのかどを束へ まがります。 たけし…学校の前の道を北に行って,つぎのかどを西へ まがります。 けい子…学校の前の道を南に行って,つぎのかどを西へ まがります。 [二]. 度という点では,30年前の問題よりも,著しく低 下しているといえよう。. 下の地図を見て,〔あ〕∼〔え〕の問いに答えなさい。. 〔い〕けんじさんたちは,学彼の南の方もたんけんして, 地図記号をつかいながら,つぎのような地図に作りな おしました。. 1けいさつしょが,どこにあるか地図で調べています。 つぎの①∼(身の中から正しいものを一つえらんで,そ の番号を□に書きましょう。. 〔あ〕駅から寺は,どの方位にありますか。□に書きな さい。 [二] 〔い〕役場から病院まで,およそ何百メートルあります か。□の中にかきなさい。 [二]. (丑駅の前にあります。 (丑学彼の前にあります。. ③古池の前にあります。 [二] 2地図を見て,正しい意見を言っている人を一人えらん で,その名前を□に書きましょう。 かおり…国道にそって,じゆうたくがつづいています。 たけし…学彼のまわりに畑が広がっています。 けい子…川にそって,田が多くあつまっています。. 〔う〕A山に登る山道と,B山に登る山道とを比べると, どちらの山へ登る道ほどゆるやかでしょうか。また, それは,山への登り道と,地図の何を見て,そのよう に考えましたか。答えをそれぞれの□に書きましょう。 [二]. 〔え〕上の地図には,茶畑があります。そ・れをあらわす 記号を見つけて,□の中にかきなさい。 [二]. [二]. 図4 地図記号・方位・縮尺・等高線②(3年生) (奈良県小学校教科等研究会社会科部会『奈良県社会科診断. テスト報告』2000,pp.8−9.). に示された場所の様子を説明する問題である。こ れも図1の③(1年生)の問題「よしこさんの家 のまわりはたんぼである」と同レベルの問題であ. 図5 地図記号・方位・縮尺・等高線③(4年生) (奈良県小学校教科等研究会社会科部会『奈良県社会科診断. テスト報告』1970,pp.52−53.). さらに,図5は,図3と同じ第10回(1970年) に4年生で出題された問題である。. まず〔あ〕の問題は,八方位を問う問題である. るといえる。しかも,図4では図3のように,道. が,駅や寺の地図記号を知っていることが前提と. の広さや川幅をもとに思考することにより,その. なる。次に,〔い〕の問題は,縮尺を使って役場. 233.

(9) 坂 井 誠 亮. から病院までの距離を求める問題である。ここで. れを指導に活かしてもらえるようなテスト作りを. も,役場や病院の地図記号の知識が必要である。. めざしました13)。」と述べている。. さらに,〔う〕の問題は,等高線の幅から土地の 横急を求める問題である。最後に,〔え〕の問題. また図6では,読図能力に加えて,地図帳を活 用する能力を問う問題も出題されている。. は茶畑の記号を地図から選び記述させる問題であ る。 以上のように,ここでは,地図記号,八方位,. 縮尺,等高線の利用といった読図に必要な要素を. ゆみ子さんたちは,遠足で,花田山に登りました。 ゆみ子さんたちが作った町の地図を見て,下の〔あ〕 ∼〔お〕の問いに答えましょう。. 網羅的に問う問題が出題されているのである。. そして,図6は,図5から30年後,図4と同じ く第40回(2000年)に4年生で出題された問題で ある。. まず〔あ〕の問題は,学校から病院までの距離 を縮尺を使って求める問題である。ここでは,問. 題文中に病院甲の地図記号が示されていたり, 答えを選択肢の中から選ばせたりといったよう に,図5の〔い〕の問題に比べて難易度を下げる 為の働きかけがなされている。また,〔い〕は,. 等高線の幅から土地の媛急を求める問題であり, 〔う〕は,八方位を問う問題である。しかも,こ. こでも,建物の地図記号が選択肢により予め示さ れているのである。さらに,〔え〕の問題は,図. 5の〔え〕と同様に,該当する地図記号を地図か ら見つけて記述する問題が出題されている。最後 に,〔お〕は,地図帳を活用して,奈良県にある. 〔あ〕学校を出発して,花田山のふもとにある病院固ま で,およそ何メートルあるか調べました。次の①∼③ の中から正しいものを一つえらんで,その番号を□に. 書きましょう。 ①およそ500メートル ②およそ1000メートル ③およそ1500メートル. きましょう。 ① ㊦−④が,一番急である。 ② ④−㊥が,一番急である。 ③ ㊥−㊤が,一番急である。. 八方位,縮尺,等高線の利用といった読図能力に. 不可欠な要素を網羅的に出題しているのである。 しかし,図6は所々問題の難易度を下げるような. [二]. 〔う〕花田山の山頂から南東の方角に大きな建物が見え ました。その建物は何でしょうか。次の(お∼③の中か ら正しいものを一つえらんで,その番号を□に書きま. しょう。. ①卍 ②R ③♯[]. 山を調べさせる問題である。 以上のように,図6は,図5と同様に地図記号,. [二]. 〔い〕花田山の山頂まで登ります。一番急な坂道は,次 の①∼③のどの部分でしょうか。等高線のはばをよく 見て,正しいものを一つえらんで,その番号を□に書. 〔え〕花田山からおりる時,ぶどう畑が見えました。ぶ どう畑を表す地図記号を上の地図の中からさがして,. 右の□の中に書きましょう。. [二]. 〔お〕ゆみ子さんは,奈良県にどんな山があるかなと思 いました。地図帳の何ページを見れば調べることがで. きますか。地図帳で調べ,何ページを見たらよいか書. きましょう。. [二]. 働きかけがなされていたのである。 これについては,当時,奈良県小社研の評価研. 究部部長であった秋元直樹氏は,「年々読図能力. 図6 地図記号・方位・縮尺・等高線④(4年生) (奈良県小学枚教科等研究会社会科部会『奈良県社会科診断. テスト報告』2000,p.22.). を問う問題の正答率が落ちてきたので,それはど こに原因があるのかを明らかにすることが必要で. 3.地図帳活用のテスト問題. した。図5の〔あ〕のように方位を問う場合,お. 奈良県小社研が,地図帳活用のテスト問題開発. 寺の地図記号が分からなければ,方位を答えるこ. を行った理由は,1990年代後半,当時,文部省教. とができません。だから,どこで子どもがつまず. 科調査官であった北俊夫氏が「社会科学習におい. いているのかが曖昧になります。とにかく,子ど. て地図のはたす役割の大きさは言うまでもないこ. ものつまずきを担任の先生に分かってもらえ,そ. とであるが,トピック的な学習にならないために. 234.

(10) 奈良県小学校社会科診断テストにおけるテスト問題開発に関する史的研究. も,もっと地図を活用できないか。さらに,テス. を地図帳から見つける問題である。次に2の問題. トの時間にどんな資料を持ち込んでもかまわない. は,奈良市から十日町市までの八方位を求める問. ような問題はつくれないか14)。」といった助言を. 題である。さらに3は,地図帳の縮尺を使って奈. 行ったことよる。このようなテスト問題は,1998. 良市から十日町市までの距離を測る問題である。. 年に始められてから,2010年までの13年間出題さ. そして〔い〕の1は地図帳から新潟県の地形の様. れ続けており,今日において,重要な方法知のテ. 子を,2は交通の様子を読み取る問題である。. 以上のように,ここでは図6の4年生のテスト. スト問題として位置付いているのである。. 問題と同様に,八方位や縮尺を使っての距離,及 奈良市に住んでいるけんじさんは,今年の冬休み に十日町市(新潟県)に住んでいるおばあさんの家 に行く予定です。そこで,けんじさんは地図帳を見 て新潟県について調べています。あなたも地図帳を 見て,次の〔あ〕・〔い〕の問いについて,いっしょ. に調べましょう。 〔あ〕地図帳の8・9ページを開いて調べましょう。 1けんじさんは,十日町市をさがしています。十日町市 はどこにあるのでしょうか,地図帳の上や下に善かれ ている㊦④㊥…と,右や左に善かれている(丑②③…を 使って十日町市の位置をあらわし,それを(例)のよ. うな書き方で□に書きましょう。 (例)[亘亘]. び地図の読み取りといったような問題が出題され ている。しかも,新潟県のおばあさんの家に行く. という文脈のもと,実際に地図帳を活用して調査 をするといったストーリー性を持つテスト問題が 作成されている。. そもそも,奈良県小学校社会科診断テストにス トーリー性を持たせた問題を作成するように示唆 を与えたのは寺尾健夫氏である。寺尾氏は,テス. [二]. 2奈良市から見て,十日町市はどの方位にあるでしょう か。その方位(八方位)を□に書きましょう。 [二 ]. 3けんじさんは,地図帳で奈良市から,十日町市までの きょりをはかっています。8ページにかいてある縮尺. に注意して,次の①∼(身の中から正しいものを一つえ らんで,その番号を□に書きましょう。. ト問題にストーリー性を持たせることの意義とし て,以下の2点を挙げている。 「ひとつは,能力が自然なかたちで発揮できる. 適切な場面を与えてやることで,児童はもってい る能力を十分に発揮できるという心理的特性(適. (丑およそ190km. ②およそ380km. ③およそ570km [二] 〔い〕地図帳の10・11ページを開いて調べましょう。 1けんじさんは,地図を見て新潟県の位置について気づ. いたことをノートにまとめようとしています。次の① ∼③の中から地形を正しく読みとっているものを一つ. えらんで,その番号を□に書きましょう。 (丑新潟県を流れる阿賀野川と信濃川は,太平洋にそそ いでいる。. (丑新潟県の海ぞいに広がる越後平野は,山形県にまで. 広がっている。 ③新潟県の南部の山地には,2000mをこえる高い山が ある。 [二]. 2けんじさんは,地図を見て新潟県の交通のようすを調 べています。次の①∼(身の中から地図を正しく読み とっているものを一つえらんで,その番号を□に書き ましょう。 (丑新潟県には,束海道・山陽新幹線が通っている。 (丑新潟県には,北陸自動車道が通っている。. 正処遇交互作用)を生かしていることである。授 業で問題解決的な場面を設け,そのような能力の 育成をめざして指導しているのであれば,評価の 場面でもできるだけ授業と似た場面を設定して能 力を発現させるのがフェアーである。(略)もう. ひとつは,学習について児童がメタ認知するのを 促進する意義である。(略)児童が4つの評価観 点で表された学力や問題解決的な能力が評価され ていることを自覚すれば,日常の社会科授業での 目標意識はもっと高まり,主体的,意欲的な学習 が成立してこよう15)。」. 秋元氏は,このような場面設定による能力の発. (丑新潟県には,空港がない。 [二]. 図7 地図帳活用(5年生). 現とメタ認知の促進といった児童への影響に加 え,社会科の授業設計への示唆といった教師への. (奈良県小学校教科等研究会社会科部会『奈良県社会科診断. テスト報告』2000,p.36.). 影響を意図してストーリー性を持つテスト問題開 発を行ったのである。すなわち秋元氏は「テスト. 図7では,大間全てが地図帳活用の問題で構成 されている。. まず〔あ〕の1の問題は,十日町市という地名. は,単なる知識の再生ではいけない。ストーリー 性を持ったテストを受けることにより,子どもが,. いかにも楽しい授業を受けているように感じさせ. 235.

(11) 坂 井 誠 亮. るようなテスト開発を心がけました。そして,そ 〔註〕. のことによりテスト問題づくりと授業づくりがつ. ながってくるのです16)。」と述べている。 すなわち,ストーリー性を持たせたテスト問題 開発の過程は,授業設計の過程と共通するもので. 1)本研究の第一次資料である『奈良県小学校社会科診 断テスト』は,昭和36年(1961年)に実施され,今年 度(2011年度)で51回目をむかえる奈良県全域の児童. を対象とした社会科学カテストである。. あり,質の高いテスト問題を開発することにより,. 2)寺尾健夫「/ト学校社会科の評価テストの作り方と奈. 奈良県社会科の授業改善をしていたのである。. 良県小社研の診断テスト一基礎・基本の学力の向上と 授業の改善に向けて−」奈良県′ト学校教科等研究会社. 会科部会編『奈良県社会科診断テスト研究報告紀要』. Ⅴ.おわりに. 第44号,2005年,p.1. 3)社会科の初志をつらぬく会編『評価を生かす社会科. 以上,奈良県小学校社会科診断テストにおける 地理的領域における方法知の特質を明らかにする ために,方法知の構成分析や,出題年度数の分析,. 及びそこから見えてきた結果を示す具体的なテス ト問題の考察を行ってきた。その結果,奈良県小. 学校社会科診断テストの地理的領域の方法知の特 質が一定程度明らかになったといえよう。 すなわち,まず読図能力を問う問題は,奈良県. 小学校社会科診断テストの地理的領域の問題の中 で,33%と最も多く出題されていたのである。こ のことから,奈良県小社研では,読図能力を重視 していたことが明らかになった。. さらに,低・中・高学年の具体的な読図能力の 問題を検討した。その結果,以下の3点が明らか になった。. すなわち,まず第1に,生活科が導入されるま で,低学年では毎年絵地図の読み取りや活用の問 題が出題され,絵地図ではあるが,読図能力の基 礎になるような方位,地図記号,事実判断や思考. といった問題が出題されていたということであ. 指導』明治図書,1976年.及び,伊東亮三,池野範男「社 会科テストの教授学的研究(Ⅰ)−テスト問題作成の. 基本モデルー」日本教科数青学会『日本教科数青学会誌』 第11巻第3号,1986年,p.10. 4)寺尾健夫「/ト学校社会科歴史テストの分析一総合テ スト問題作成過程の再構成−」社会系教科数青学会『社. 会系教科数青学研究』第2号,1990年,pp.59−66.及 び寺尾偉大「/ト学校社会科歴史テストにおける解答方 法の特性一多肢選択問題解答過程の分析を通して−」 全国社会科教育学会『社会科研究』第39冒▲,1991年, pp.5669. 5)北俊夫『社会科の思考を鍛える新テストー自作のヒ ントー』明治図書,2004年. 6)奈良県小学校教科等研究会社会科部会『奈良の社会. 科』1975年,pp.310−317. 7)奈良県小学校教科等研究会社会科部会『続奈良の社. 会科』2007年,pp.267−285. 8)拙稿「奈良県小学校社会科におけるテスト問題開発 に関する検討一第1回奈良県小学校社会科診断テスト を中心として−」社会系教科数青学会『社会系教科数. 青学研究』第20号,2009年,pp.101−110. 9)岩田一彦『社会科固有の授業理論・30の提言一総合 的学習との関係を明確にする視点−』明治図書,2001年, p.40.. 10)KSはKeyStageの略である。イギT)スは義務教育. る。第2に,中学年では,特に,読図の問題が重. 年齢の児童・生徒を4つの学年集団に分けている。. 視され,3年生4年生で毎年出題されており,し. KSlは5∼7才,KS2は8∼11才,KS3は11才∼14才. かも,1970年と2000年のどちらにおいても地図記. である。 11)馬場勝『イギT)ス初等地理の内容構成−Ascheme. 号,八方位,縮尺,等高線の利用といった読図に. ofworkforKeyStagesland2,Geography(England). 必要な能力を網羅的に問う問題が出題されてい. の検討をとおして−』兵庫教育大学大学院学位論文,. る。しかし,2000年の問題は,1970年に比べてか なり難易度を下げて作成していることが明らかに. 2002年,pp.19−30.をもとに作成した。 12)平成20年7月31日,西川芳徳氏宅において,筆者が インタビューを行う。なお,西川氏は,奈良県を代表. なった。第3に,高学年では,地図帳を活用した. する初期社会科プランである「桜井プラン」の作成に. テスト問題が工夫されていたことが明らかになっ. 携わり,奈良県小学校教科等研究会社会科部会におい. た。. て,研究部長として奈良県の社会科をリードした。後. 236.

(12) 奈良県小学校社会科診断テストにおけるテスト問題開発に関する史的研究. に桜井中学の校長を務める。 13)平成21年1月23日,ココス橿原店において,筆者が インタビューを行う。 14)前掲著7),p.284. 15)寺尾健夫「/ト学校社会科評価テストの作り方と奈良. 県小社研の診断テスト一基礎・基本の学力の向上と授 業の改善に向けて」奈良県小学校教科等研究会社会科 部会『奈良県社会科診断テスト一指導と評価の一体化 を目指して』2005年,p.8. 16)13)の日時の筆者によるインタビューによる。. (旭川校准教授). 237.

(13)

参照

関連したドキュメント

ロボットは「心」を持つことができるのか 、 という問いに対する柴 しば 田 た 先生の考え方を

睡眠を十分とらないと身体にこたえる 社会的な人とのつき合いは大切にしている

問についてだが︑この間いに直接に答える前に確認しなけれ

関係委員会のお力で次第に盛り上がりを見せ ているが,その時だけのお祭りで終わらせて

このように資本主義経済における競争の作用を二つに分けたうえで, 『資本

式目おいて「清十即ついぜん」は伝統的な流れの中にあり、その ㈲

絡み目を平面に射影し,線が交差しているところに上下 の情報をつけたものを絡み目の 図式 という..

(1)  研究課題に関して、 資料を収集し、 実験、 測定、 調査、 実践を行い、 分析する能力を身につけて いる.