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二枚介産殻の化学成分と結晶方位について

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Academic year: 2021

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(1)Title. 二枚介産殻の化学成分と結晶方位について. Author(s). 外崎, 与之; 沢村, 浩光. Citation. 北海道学芸大学紀要. 第二部. A, 数学・物理学・化学・工学編, 15(1) : 44-50. Issue Date. 1964-07. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/5693. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 北海道学芸大学紀要 (第2部A). 第15巻 第i号. 9年7月 昭和3. 二枚介産殻の化学成分と結晶方位について (D. 沢. 村. 浩. 光. 北海道学芸大学函館分校化学教室 崎. 外. 与. 之. 北海道学芸大学函館分校地学教室 A Note on the ChemicaI Compos ientat t ・ ・on and Crystal or Ion in some She l l sf rom a pelecypoda. の. Hi tsu SAWAMURA romi iver i ido Gakuge i Un (Depar tmen tof Chemi t ) ty s ry s e , Hokka , Hakodat Yono TONOSAK1 iences l d{ (Depar ido Gakuge i Un iver i l tmentof Ear th Sc ty ) e a s at , Hako( , Ho. 軟体動物産貝殻はそのほとんどが組成的には炭酸カルシウム (CaC03 ) か らなることは一般に周 知するところであろう. そ してこの化学成分は産業上利用されることか らも, この点に関する限り. においては疑問の余地がないようにみうけ られる. ところが貝殻を実 際に構成する物質は, 巨視的. i に は 炭 酸 塩鉱 物, とく に そ の 大 部 分 が ホ ウ カイ 石 結 晶 (Cal tecryst c al s) に 相 当す る に も か か わ ら. ず, 当結晶の構造や光学的性質などの研究はこれまで等閑に付されてきた嫌がすく なくない, この ことは, 殻中におけるホウカイ 石の結晶配列が, ある程度は貝そのものの成長因子と関連するうえ. か らも遺憾なことといわなければな らない.. 筆者 らは上述の観点にもとづき, 貝殻の化学成分, ホウカイ 石結晶のX線回折及びその結晶方位 1 ) などについて調査を行なったので, 本報告では以下その概要について述 べることにした( ,. 試. 料. 試料は函館市近郊七重浜か ら採取 した二枚介貝殻を実験に供した. 貝類図鑑 (吉良, 196 ) に照 1 S CHRENCK G 会すると, 本試料はウバ ガイ S髭 躍 如 賜cルα霧“e“sg ゾタ ガイ マキ ) とエ あり夕 s( ” e“s , SOW ERBY s soe”s海 ( ) に相当することになる (第1図1・2及び第2図1・2参照) yg . 貝殻試料を ines)と放 hl 計測 した結果は第1表に示 してある. なお得 られた試料のなかか らは, 成長線(Growt. 射条 (Radial costa). との構造 が明確 に. あらわれるもの, また比較的に厚い殻を 有する個体を採用するように した. 以下- に殻の外形的な特徴をかんたんに記載す る.. 第1表 観察個体の計測値 (単位伽). ゥ キゾ. ー殻長(L) i殻高(めー L/司 殻 幅1殻 厚 9R I R 1 , RI “ 1 《 ‐,. ミ ガ ィ1. マキガa. i ;! i i16 ;} ; も う 11. 1 ( ) 化学成分及びX線回折の資料は本報告uとして別の機会に発表することにする, (44).

(3) . 沢. 村. 浩. 光. 外. 11! 2. -- 」 ~ … 珊琴. 附. 与. 之. …. . . . l r l ・ 1. 1樽翼澱な;潔乾薄 ,緋 扇ぎ6. . 第1 図 ウ バ ガイ SPZ た破れ釧 路 ( SCHRENCK)とその偏光顕微鏡写真 (顕微鏡写真は直 S彰αs α c 交ニコル, 倍率200倍にて撮影) 1 )と殻内 ( 2 ) とを示している, .2:ウバ ガイにおける殻表( ,1 3 ,4:殻表の成長線方向に直角な薄片試料(本文中ではV薄片と称している) ,6:成長線の方 .5 向に平行な薄片試料 (P薄片) ,. SPお“/ ” 剛 勇のばれ?郡鳶 (SCHRENCK : 殻 大, 質 や や 厚く 殻 表 は 前 方 に 偏 す る. 殻 の ふく らみを土. 強い, 殻内面は光沢質, 乳白色をおびる. 殻表にはときに黒色もしくは黒褐色の殻皮を被り, 明瞭 な成長線とそれに伴なう摺がある (第1図1・2参照) . SOWrERBY): 小 型 な 殻 を 有 し 左 右 両 殻 は ほ と ん ど等 殻 Gあc s yg s s s( y粥好g ,彩mj , 殻は帯褐色~. 黄褐色厚質で円形にちかい外形を呈する. 殻のふく らみは弱く, その内面は淡黄色・乳白色の色調, をおびる, 殻表には顕著な放射条と成長線とが認め られ, これ らはやや明瞭な布目状構造をしめ し て い る (第 2 図 1・2 参 照).. 試. 料. の. 処. 理. 実験試料は光学顕微鏡による観察, X線回折及び化学分析などの作業を行なった. X線回折と化 学分析との試料は貝殻殻面上の着色皮殻を削除 し, その粒度 300 mesh 以下の粉末にしたものを用. し・た.. 光学顕微鏡による観察には試料の定方向薄片を検鏡した, 方向薄片の作製には第3図に示してあ.

(4) . . 二枚介産殻の化学成分と結晶方位について. M 「÷ -- . T回 三 歳き. 謬る寄 書 , ・ .. 1). ◎÷◎ ヤ. ー. . . 寒 壕 \ 、 . . ′ Z SO帆7ERBY)数個とその偏光顕微鏡写真(顕微鏡写 sy 第2図 エ ゾタマキガイ G抄cyク粥γ s s( e s o貌s 1 2 )と殻内「 )とを示し 真は直交ニコル, 倍率20 0倍にて撮影) .2:エ ゾタマキガイにおける殻表( ,1 ている. 3:殻表の成長線方向に直角な薄片試料(本文中ではV薄片と称している) , 4:おなじく成長 線の方向に平行な薄片試料 (P薄片) ,. る よ う に, 成 長 線 を 基 準 に し, そ の 方 向 に. 平行 (この種の薄片を 以下単にP薄片とい う) と直角 (同じくV薄片という) に 切断 した もの を用 い た. した が っ て, そ の 方 位. が正確であるときには, P薄片下では 放射 条に, V薄片下 では成長線にそれぞれ垂直. ; しを z′=くやく Y‐ . ,. な面が生ずるはずである. 他に殻面を二平行 (第3回のPVを含む平面)な薄片をも数枚 作製した. 薄片の作製(試料の封入)にあた. 第3図 殻試料の薄片方向をしめす模式図. っ て は, 試 料を ア ル コ ー ル で充 分 に 洗 浄 し,. かつ, 試料の熱処理にもとづく 結晶の変質を 最小限にとどめる 配慮をは らったの. 試料の封入剤に は, それとホウカイ石結晶との屈折率の差が大きく あ らわれるものほど, 結晶の構造が明確に観察 される利点があるか ら, その接着には. 52 on20しC) を 使用 し た 検 鏡 に 供 Canad止bal sa ・n (nD キ1 . .. 5cm), そ の 厚 さ は 0 02 mm か ら した試料の標本面積は 2cm×lcm (P 及 び V 薄 片 では lcm×0 . . 8 ) ○. 03 mm の 範 囲 内 に あ る( . l idegl (2) S1 sam を その 状 態 に しば らく 放 置 し, 温 度 に よる 影響 があ らわれ s 上 に あ る程度 加 熱 Lた Canadaba as l ぬ と 思 え たと きに試 料 を 接 着 さ せ た. した が っ て, cover ‐g s に よ っ て試 料 を封 ず る 際 に は, Xyl as ene で溶解 l し た Canada ‐ba sam を 用 い, そ の 固 定 は Para伍ne に よ っ た. ion の値から推定L た. く3 ) Berek Compensator の 測 定 に も と ず く retardat (46).

(5) . 沢. 村. 浩. 実. 光. クト ! 崎. 験. 方. 与. 之. 法. 検鏡:実験試料は構成物質がホウカイ石結晶に相当するの で, こ の 光 学 観 察 に は 偏 光 顕 微 鏡 境 (Nikon POH) を使用 した, 観察される結晶は微細であったか ら, その検鏡時には解像力がたか い 光 学 レ ン ズを 高 倍 率 (600倍 ~400倍) に 組 み あわ せ, 単 ニコ ル・ 直 交 ニ コ ル 下 にて 光 学 性 を 観 測 し. た. なおホウカイ 石結晶における光学方向の解析には, 顕微鏡載物台に universalstage (四軸 式) ide を装置し, 薄片を任意の方向に回転して 殻 中 の結晶方位を検討 した. 薄片以外の観察には, sl 0 lycel ine (nD キ1 l(nD キ1 ‐ 503on20 C) を 適 量 ) もしくは Cederwood oi glass 上に G .475 on 2 C , 滴下し, その浸液中にホウカイ 石結晶のへき開片を載せて検鏡した. 屈折率の測定:ホウカイ石結晶における主屈折率( e ,の)の測定には,試料を乳鉢中で適度にく だ. i き,得 られ た へ き 開 片 を 浸 液 法(lmmers on method)に よ っ て 決 定 した.浸 液は のMonobromonapht ‐. halene(nD キ1 662 on 2 00C) に Kerrosine(nD キ1.448 on 200C) を 添加 し 0 005間 隔 の 混 合 液 数 . , .. oC 前後) に保ち かつ f 17 種を作製しそれに使用 した. 屈折率測定時の実験室温度はほぼ恒温 ( , ,吏 fractometer に よ っ て 補 正 した A b b r e 用浸液の屈折率値は測定 ごとに e . . 実. 験. 結. 果. 実験に供した二種類の殻試料は, その厚さが 3 mm か ら 5 mm, と き に 最 大 7 mm を有する. 5mm~1 o mm 前 後の 白 色 部 と 淡 灰 色 も し ′ ま 注意を要する点も . , , これ らの殻はそのいずれもが脈幅 0. くは淡褐色をおびる数枚の薄層が一種の層状構造をな していることであろう. 殻試料によっては, この層状構造におけるそれぞれの薄層が色調, 結晶度及び結晶粒度などに若干の差を生ずることが ある. 殻はすべてホウカイ石結晶か ら構成されるので, 試料別の各 薄片にみ られる結晶の方 位 ( 不善 造) の特徴をふれるまえに, その結晶の光学的性質について記述 しておこう, (1) ホウカイ 石結晶の光学的性質. 殻を構成するホウカイ石結晶は, 単ニコル下では, その色調がほとんど無色, ときに, わずか に 緑色をおびることがある, 顕微鏡載物台を回転すると, 結晶体, とくにその周縁 に は 複 屈 折 現 象. 4 ) ( e-①) に 基 づく ホ ウ カイ 石 結 晶 特 有 の チ リメ ン状 構 造 を 呈す る( .. 結晶個体はその形態がほとんど不定形,ときに, せんい状結晶の集合よりなる. 光軸(結晶軸c に 相当する)に平行もしくは垂直な結晶個体ではつねに直消光,前者は一般に赤・青の高次の干渉色 を 呈し, 伸長方向の光学性負 (X′ ) なるのにたいし, 後者では灰色~黄色の干渉色をな し 伸長方向 , ′ の光学性正 (Z) を示している. ヘき開やや明瞭, 双晶構造 は認め られない 主屈折率 8D =1.486, .. 658 172 のD =1 , , , 複 屈 折 率 8D-のD =(-)0 . 以 下 に 実 験 試 料 二 種 の 各 薄 片 に み られる 顕 微 鏡 観 察 に つ い て 述 べ る,. (2) Spi s肌α 8αcれ餌効e“81 8(SCHRENCK) 産 談 中 の結 晶 方 位. v蓉片:成長線に垂直な断面であるか ら, その構造は第4図にしめ しているように殻表の摺とも ほぼ垂直な関係を生ずることになる, 第4図の摺と摺 との幅約 lcm 範囲は不透 明 質 な 乳 白 色 層 ‐. (図 の A) か らな る の に た い し, 他 方 糟 に 相 当 す る lmm~2mm 幅の部分 (図のB) では光沢が , -. つよく, かつ, 透明度のたかい離郷質白色層 (図ではその部分を黒色にぬりつぶしてある) か らな ) 観察されたV 薄片面は 第4図か らも伺われるように 班郡質白色 5 る( 層は貝殻殻面上の鶴 (殻 , , ,. 4 ( ) 薄 片 を ュ ニ バ ー サ ル・ ステー ジに か け て回 転軸 を 操 作す る と き に は その 構造 が なお一 層 よく あ らわ れ る よ う , に なる.. ( 5 ) 貝殻個体によっては, 上述の乳白色層・班郷質白色層とも その結晶度,光沢度・透明度及び粒度などの諸,性 , 質に .は 若 干 の 差 異 が あ らわれ て い る,. (47つ.

(6) . 二枚介産殻の化学成分と結晶方位について (1). 表のく ぼみ) の位置を 極とし, 不透明質乳白色層. 中に角10度 (最大値) 以内のゆるい傾斜をもって 6 )を 有 す る した が っ て 貝 殻 殻 内 の い り こ む 構 造( .. 光沢面は, この離郷質白色層周縁部の表面に相当 7 ) つ ぎに そ れ ぞ れ す る こ と に な る わ け で あ る( , .. 第4図 殻試料のV薄片面 (図はV薄片に相当する 殻断面を複写した写真資料からスヶッチしたもので ある) . A:不透明質乳白色層, B ,:班郡質白色層, 矢印は 摺方向をしめしている. のV試料薄片を検鏡したところ, 殻層中における 摺方向と成長線の方位, およびそれに伴なわれる 結晶の配列などを観察するこ とができる. すなわ ち殻層中の摺方向と成長線方位とはほとんど直角 に 交 叉 して い る た め, 成 長 線 に 伴 な わ れ る ホ ウ カ. イ石結晶の長軸配 列は摺方向にたい し直交するこ とをその特徴的な構造と して指摘できる (第 5図参照) , この事実は,摺方向が湾曲したと き に も, 成 長 線 に 伴 な わ れ る ホ ウ カイ 石 結 晶. はそれに 対応して直交する関係か らも明瞭で あ ろ う(第 5 図 2 参 照) . こ の 観 察は ホ ウ カイ. 石結晶の光軸が貝殻殻面, とくにその内殻面 上にほぼ垂直に直立する状態にあることをぅ らが き す る 上 か らも 重 要 で あ る. ま た, 殻 層 のなか でもそれ ぞれの 薄層 によっては ホウカ イ 石の 結 晶 度 をし・く らか 異 に し, そ の 差 異 の. 極端な場合がさきの堪郡質白色層と不 透明質. ’ ん r ◆ お ′ ・ ; ▲◆ ~. 白 色層 と に あ らわ れ て い る. す な わ ち砧 郡 質. 白 色層 の 薄 片 では, 第 1 図 3・4 に み られる よ. うに, その全体が極めて明瞭な縞状組織をし 馨. ,ぞ. 篭 嚢 窯. め し, こ の 縞 (脈 と い っ て も よ い) を 構 成 す. る ホ ウ カイ 石 の 結 晶 度 も た か いこ と が そ の 1 特 徴に な っ て いる. と こ ろ が 不 透 明 質 乳 白 色 層 では, そ の 鉱 物 の 結 晶 度 が 概 して ひく い か ら,高 倍 率 下 の 検 鏡 に おし・て も結 晶 の 外 形(輪. 郭) を識別しがたいことが 少なくなく (まれ に 非 晶 質 の こ と も あ る) , か つ そ の 組 織 に おい. ても, 微弱な縞状を認めうる部分もあるもの の, 全 体 と して は む しろ 結 晶 の 配 列 が 不 規 則. 第 5図. ウ バ ガイ SZ′;〆” 鑓 ”昭どれの7ば. 7(SCHRENCK) に. し・ずれも直交ニコル) おけるV薄片の顕微鏡写真( .図はとく に殻層中の摺方向と成長線との関係をLめしている.楢方向 は写真1・2ではそのほぼ上下方向にあらわれ, また成長線 摺方向がほぼ平行 はその構造に直角方向にみられる. (の:摺方向がほぼ平行 ) 2 配列 し,それと直交して成長線がみられる, 倍率50倍, ( 3 ):班郡質 :摺方向がいくらか響曲している. 倍率50倍,( 白色層 (写真上方, 縞状組織) と不透明質乳白色層 (写真下 方, 不規則形結晶の集合)との関係. 両層の境界面が摺方向 00倍 に相当する, 倍率1. な場合が 多く, ときには 波形状に摺曲する,. 以下この構造方向を殻層中の招方向と称するこ. と に した い. 第 4 図 で は その 方向 に 矢 印 を 付 し て あ る,. ア ) 内殻面はほとんど職榔質白色層から構成されて い るの で ある が, と き に は 内殻 表 面 に よわ い お ・位置 に す じ条 に 数 ぅ と つ か 生 じ, そ の く ぼ みの z ‘ “ 条 の 不 透 明 質 乳 白 色層(黄 色味をお びる,幅2” z m ) が あ らわ れ る こ と も ある. か ら 4#.

(7) . れ. 村. 浩. 外. 光. ‘ 崎. 与. 之. うねりの構造を認めることもある. 以下に結晶度が比較的に高い部分の観察について記載 しよう. 班郷質白色層:本層は第5図にみ られるように, ホウカイ 石結晶による典型的な縞状組織の部分. 06 mm 範囲 の も の ま であ っ て, そ れ ら 02 mm 程 度 の も の か ら 0 に相当する. この縞状脈の幅は 0 , . の 幅 は, と き に 同 一 薄 片 に お い て も 必 ず しも 一 定 して は い な い. ホ ウ カイ 石 結 晶 は そ の 長 軸 方 向. (結晶軸cに平行)が観察される縞状脈の壁面にたいし, ほとんど平行的に配列するものと, この方 向にほぼ直交する場合とがあり, これ らは交互に織りあって一種の層 状組織を強調していることに. なるわけである. この両層の なかで注意を要することは, 前者に相当する脈中の結晶は, その光学 ′ ) の方位が比較的に同一の傾向を有するのにたい し, 後者の結晶では, その 光学性質 方向 (X′・Z の 不 同 性 が み られ, 結 晶 の 配 列 は 不 規 則 に な っ て い る こ と が 1 つの 特 徴 と 思 わ れ る. な お, ホ ウ カ. イ石結晶の長軸が縞状方向 (層状方向) に平行する脈層においても, それを仔細にみると若干のち ′ がいが生じている, すなわち, 鉱物の結晶長軸が脈方向に 平行し, 直消光(伸長性 Z) を しめ す も. の と, そ の 結 晶 長 軸 が 脈 方 向 に いく らか 斜 交 し, 斜 消 光 を しめず もの と が あ る が, こ れ らの 間 の く わ しい 関 係は 現 在 の と こ ろ 不 明 に な っ て い る ◎, 不透明質乳白色層:第5図の 2・3 は 本層 中 に お ける 結 晶 度 の 比 較 的 に 高 い 部 分 を し め して い る,. ホ ウ カィ 石 結 晶 は 概 して 交 叉 状 に 織 り あ っ て 組 織 を つ く っ て いる が、 }法王郎質 白 色層 の そ れ にく らべ て,そ の 配 列が 不 規 則 に な っ て い る 場 合 が 多い. ま た, おの お の の 結 晶 粒 度 に つ い て み て も, こ の な. 0 2mm 前後) に成長するものなどがあって, かには識別しがたい程度に微粒な個体か ら粗粒結晶 ( . そ れ らに は ある 特 定 の 規 則 性 は 認 め が た い よ う であ る, 第 5 図 3 は ホ ウ カイ 右 結 晶 が 粗 粒 化 した そ の 極端 な 例を し め して い る.. 畢質白色層と不 透明質乳白色 P薄片:本試料の断面 が良好であるときには, その観察面には, 継母 層とはそれぞれ互層状にあ らわれることになる. また, このP薄片は二枚介における成長度の垂直 変化を表示することになるか ら, 対応する薄層およ びそれを構成する結晶粒の 変化が最も鋭敏に観 察されるはずである. 事実, 殻層とくに不透明質乳白色層ではこの 傾向が顕著に認め られるが, 第 1図の5・6は同一P薄片中の層における組織や 結晶粒の 差異をしめしている, またV薄片で観察 2 mm 前後) は,その長軸 (高次の干渉色 さ れ た と 同 じよ う に, 粗 粒 化 し た ホ ウ カイ 石 結 晶 (粒 径 0 .. と著しい複屈折をしめすことか ら結晶軸cに 平行する断面と考えてよい) を殻表面上の 成長線の方 向にたいし直交させている. したがって, ホウカイ 石結晶の光軸は殻表面に 垂直な関係に, すなわ ち, そ れ に ほ ぼ 直 立 す る こ と に なる わ け で ある.. 殻表面に平行 ( / /PV) な薄片:ホウ カイ石結晶は 普通は結晶軸cに 平行もしくはそれに近い断 面を単ニコルで検鏡するときには, 当鉱物特有の高い複屈折に基づき, 結晶のへき開, とくにその 輪 郭の あ らわ れ か た が 方 向 に よ って は い ち じる しく ち が っ て み える. と こ ろ が 本試 料 の 薄 片 を 観 察 する と, 結 晶 体 に は 上 述 の 複 屈 折 現 象 は 認 め が たく, か つ, 個 々の ホ ウ カイ 石 結 晶 に 関 して も, V. 薄片・P薄片に観察された場合にく らべて, その干渉色が低くなっている. この事実は 先にもふれ ておいたように, 本試料の薄片 では, ホウカイ 石結晶の光軸方向 (結晶軸c方向) が殻面にほ ぼ直 交 して い る の で あ る か ら, そ の 軸 方 向 に 垂 直 な 面 を 観 察 す る こ とに 原 因 して い る こ と に な る わ け で ある.. 薄片の組織は第6 図にあげてある ように, 微粒な ホ ウ カイ 石 結 晶 は 不 規 則 形 の 鱗片状 (粒径 04 mm 程度) をなし 0l mm 程 度) な い しは 柱 状 (長 径 0 0 , ,それ らは成長線方向にほぼ平行に配列 , して い る. こ れ らの 組 織 を こ ま かく みる と, 光 学 方 向 が ちが っ た 結 晶 個 体は 相 互 に 織 り あ っ て い て. 8 ( ) お な じ薄 片の な か でも, 上 述の ち が いを あ ら わ す 場 合 も あ るか ら, そ の 現 象 が 光学 方 向の 差 異 を どの 程 度 に 表 示す る もの か は 個々 に つ い て 検 鏡 L な けれ ば 明 確に は 述 べ られ ない で あろ う.. (49).

(8) . 二枚介産穀の化学成分と結晶方位について (1). 一種の層状構造をつくっていることがわかる, この種の 層状構造は 同一薄片中においても 粗粒になったり, ある ′ い は 細 粒 とな り と き に は l mm 幅に光学方向 (X′ ・Z ) ,. がちがってあ らわれる場合も観察することができる. そ して こ れ らの 変 化の な か で も, とく に 著 しい 点 は, 組 織. そのものが層状をしめさず, 部分的には 微粒状結晶 (粒 )か らな る た め に そ の 組 織 が モ ザ イ 9 0l mm 以 下)( 径0 . ,. ク 状 を あ らわ す こ と が あ る. こ れ らの 組 織 の ち がし・は, SCH‐ 第6図 ウバ ガイ S ZZ賜お 5 β疏通 膨れsな( RENCK)における殻面に平行な薄片(″PV)の 同一平面 (殻面) 内における 相の変化と理解するには若 00 顕微鏡写真 (直交ニコル, 倍率1 ) , 干の疑義があるか ら このことはいずれ別の 機会にふれ. ,. る 予 定 で あ る.. あとがき. 本報告では二枚介産殻にみ られるホウカイ 石結晶の光学方向に関する調査結果をかん. たんに記述 してきた, 顕微鏡観察の筆者 らの試みは, 殻面にたいする結晶の配列, とくに貝殻中に お け る ホ ウ カイ 石 結 晶 の 光軸 の 位 置 と, そ の 分 散 程 度 と を 明 らか に す る こ と に あ っ た が, こ の 点 の. 吟味は本文では不充分に終った. なお二枚介産殻は, さきにもふれてあるように, その構造 が数層 の薄層か らなるため, この種の問題解析には殻中の層と薄片中の観察面との関連等を考慮して作業. をすすめる必要が生 じよう. また殻の層状構造は, 一般的にいって, 二枚介の成長過程を表示する ものと思われるので, この層中の結晶配列ないし層そのものにおける結晶度の差異はこの 種の観点. か ら重視されてよいはずである.. つ ぎに筆者 らは殻試料の化学分析及びX線回折に関する実験の1部はすでに完了しているか ら, ここでとくに付記 しておきたい点は, この結果はいずれ本報告Hとして公表の予定である. ただ,. M 殻の化学組 成が CaC03以外に, 極く微量なが らも, Fe , g , Mnその他の 金属元 素が検出される ことである. これ らの 金属元素の出現には, 二枚介の種類も しくはその成長時のちがいに基 づく変. 異 が 期 待 で き, 事 実, こ の 点 が 化 石 種 分 類 の 1 基 準 に な り う る こ と を 強 調 す る 研 究 (B1ackmon ,P. D. and Todd . R.1959) も あ る. 以 上 表 題 下 に お け る こ ん ごの 問 題 点 を 指 摘 し本 報 告 の 結 語 に か え る こ と に した い.. 終りに臨み, 本文作製に貴重な御教示を寄せ られた北海道 大学水産 学部川原鳳策博士並びに本学 函館分校坂上澄夫博士に謝意を表する次第である. 文. 献. logy ofsome Foramin fe l l i i i6cat ion and 1) B1 raasre at edtothe rc as s ackmon ,R.: Minera , P. D.and Todd l of pa l Ecology 1959 ) eont ol ogy .1-15 , ,33( ,1 ,pp . Journa , VO1 , No. 1 961 2 39 ) 2) 吉良哲明:原色日本貝類図鑑 (増補改訂版) . .1- , 保育社 ( , pp 282 1 94 4 ) 3) 鹿間時夫:日本化石図譜, 日本贋物趣味の会 ( , , pp ,1‐. ( 9 ) 光 軸 の 方 位 関 係 を シ ュ ミ ッ ド氏 網 に 投 影 して, その 間の 傾 向 を あ らわ す こ と に 努 め たの で あ る が, 結 晶 が 微 粒 で あ っ た た め, この 試 みは 今 回 は 不 成 功 に終 っ た,. (50).

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