アラスカにおける特殊サービスの統合 : 生徒のニーズにバランスよく応じるために
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(2) Nq49.. 1995.3. アラスカにおける特殊サービスの統合. 一生徒のニーズにバランスよく応じるために−. BarbaraPineault&NicholasStayrook(著) フェアバンクス・ノース・スター学区プログラム計画・評価部. 三浦 哲(訳). 謝. は しがき このレポートは,特殊サービスの提供に関する改. 辞. この研究にご協力を頂いた教師の方々や校長先. 善計画の実施状況について検討を加えたものであ. 生,ご両親,プログラムの辛任者と捜当者,そして. る。1988年度に提案された学区の目標は教育委月会. 特殊サービスの統合に関する情報提供に時間をさい. で採択されず,教育長が提示した目標を用いて立案. て下さった多くの方々に感謝致します。. された。その目標の一つに,特殊サービス・プログ ラムの提供に関する検討が含まれていた。目標の意. 目 次. 図は,特に教皇から引き抜かれて(pulトout),一つ もしくは複数の特殊サービスを受けている子どもの. はしがき. 特殊サービスの調整状況を検声寸することであった。. 謝辞. その後この目標は,特殊プログラムを普通学級に統. 目次. 合する方向へ変更され,正式に教育委員会で採択さ. 行政的な要約. れた。 この研究では,過去5年間に観察された特殊サー はじめに. ビスの変化の過程が検討されている。このアプロー. 第Ⅰ節:特殊サービスの統合という目標の背景. チの有効性に関する意見や情報も幾つか紹介きれて いるが,本報告の主な目的は,成功した点と失敗し. 処遇生徒数とサービスの重複. た点を検討し,改善を促すことにある。従って,生. 統合の意味とは何か. 徒の能力向上のために提供されている特殊サービ. なぜ特殊教育を統合するのか(法律を参照して). ス・プログラムの有効性を評価することが研究の目. 目標達成のための段階. 的ではない。. 方法論. ここでは統合の意図の背景にある情報や,我々の 学区で提供されでいる特殊サービスの種類,そして. 第ⅠⅠ節:特殊サービスの統合に関する校長の見解. 統合の最終目標に向けての各段階などが述べられて いる。本研究では,面談,特定の学校における事例. 第HI節:特殊教育の対象生徒に対するサービスの統. 研究,質問紙などを主な情報源として,広く情報収. 合. 集を行った。ここで述べられている結論や提案は,. 学習障害児. 情報提供者の指摘に基づいており,学区や特殊サー. コミュニケーション障害児. ビス部の見解を必ずしも代表しているわけではな. 英才児. い。. 情緒障害児 集中リソース. その他の特殊教育プログラム −111−.
(3) 三浦. 哲. って,引き抜きプログラムの数を減らすことが二次 第ⅠⅤ節:特殊プログラムの生徒に対するサービスの. 的な目標とされた。. 統合. 「統合」という用語が教育委具合の目標に用いら. 第Ⅰ章一読み. れた時,その意味に混乱が生じた。すなわち一方で. 第Ⅰ章一移住者 アラスカ先住民族. ただ単に特殊サービスが断片化したり重複した. 二か国語/二重文化. もし〈は生徒がいたずらに教室を出入りするこ. 特殊プログラム職具に対する調査結果. とのないように,特殊サービスの提供を調整するこ. 特殊プログラムによるサービスの統合の改善. とだと解釈された。また一方で特殊教育に関わる職 貞は,引き抜きプログラムではなく普通学級の中で 特殊サービスを提供することを意味する特殊な用語. 第Ⅴ節:統合に関する親の意見. として「統合」という言葉を用いた。特殊教育部は 「統合」という用語を(特殊教育の担当職貝が定義. 第ⅤⅠ節:結果に関する考察. 特殊サービスの統合による意図された結果と意. したように),適切に調整されたサービスを子どもに. 図されなかった結果. 提供するためのモデルとして用いるよう促した。 統合の過程では,特別なニーズを持つ生徒に対す. 第Ⅵ1節:主な知見と勧告. る教育方法に変化が生じた。すなわち「引き抜き」 モデルから,普通学級の中でサービスを受ける統合. 引用文献と参考文献. モデルへの変化である。我々は,本研究の過程で収 資 料. 集した情報を活用し,学区の職月が感じた統合モデ. 資料A一特殊プログラム職員の回答結果の表. ルの長所と短所を抽出した。それらの情報から,統. 資料B−6校の事例研究の要約. 合を成功させるために重要な要因や,統合モデルか. 資料C−サービスを提供するための統合モデルの実. ら最大の利益を得ることができる生徒の一般的な指. 施に関する図式と,長期的な計画立案に関. 針を得ることができた。また我々の研究から,特別. する方針書. な生徒の処遇に閲し責任のある決断をするために. 資料D一校長への質問紙に対する逐語的回答. は,選択肢としてありとあらゆる教育場面が必要不. 資料E一特殊プログラム担当職月の逐語的回答. 可欠であることも示された。我々は以下に示す重要. 資料F一全ての生徒を普通教育の環境に包含するた. な要因の有無によって,統合が個々の教室や個々の. めの進捗状況と提案についての報告からの. 70ログラム,そして個々人に対して異なる影響を及. 行政的な要約. ぼすことを見いだした。. 行政的な要約. 統合の成否を撞る重要な要因。 1)特別なニーズを持つ生徒を統合することに対す. この研究は,特別なニーズを持つ生徒に対する特 殊サービスが,普通学級の中にどの程度統合されて. る(普通学級)担任の意欲。 2)計画のための十分な時間と,普通学級担任と特. いるのかを検討するために,1992年度の下四半期に 実施された。教育長は1988年度に,特殊サービスの. 殊サービス提供者との綿密な打ち合わせ。. 提供状況を検討するための目標を提案し,学区がそ. 3)各校の指導職貞の異動が少ないこと。. の目標を達成するための5カ年計画を立案した。こ. 4)教室の生徒数が少ないこと。. の5年間に強調された点は,統合されたサービスを. 5)職員の個性。. 生徒に一貫して提供するためのモデルを開発するこ. 6)校内の良好な協力関係。. とであった。そして特殊サービスのための職月が普 通学級の担任と文字通り一緒に仕事をすることによ ー112−.
(4) Nα49.. アラスカにおける特殊サービスの統合. 1995.3. るための方法を見いだすこと。. 本研究の主な知見は以下の通りである。 学区内の各校ごとに,統合のレベルは異なっていた。. 特に集中的な援助の必要な生徒など,特別なニー ズを持つ生徒については,特殊サービス職属の配置. 校長は,大部分の子どもを統合するという観念や,. 状況を見直すこと。. 教職月による校内の改革に対し,概して支持的であ る。. 引き抜きモデルに関する捷案。. ある生徒達にとっては,統合モデルの方が有益であ. 引き抜きモデルの活用が,生徒に特定のサービス を提供する最も適切な方法となる場合がある。すな. る。. わち英才プログラム,第Ⅰ章の読みの指導プログラ サービス提供モデルの多くは有能な職月によって推. ム,そしてニカ国語/二重文化プログラムなどは,. 進されており,統合モデルを信頼する教職眉がどれ. 引き抜きプログラムからより多くの有効なサービス. だけいるのかということには余り左右されない。. を得ることができると思われる。情緒障害児は,そ の障害の重症度によって普通学級の大きな妨害要因. 統合が成功するために必要不可欠な要素は,全ての. となり得るため,子どもにとって普通学級と引き抜. 学級担任と特殊プログラム職月に対する研修であ. きプログラムのいずれが最良かを個々に判断すべき. る。. である。この種のプログラムや生徒についての提案 は以下の通りである。. 統合の有効性は,生徒の人数,生徒の種類,そして 生徒のニーズによって左右される。. 引き抜きモデルで特殊サービスを提供する際に生 じる問題を見いだし,その間題に対処すること。そ. 統合が成功するか否かは,上記の各要素の共存にか. の際,校内に引き抜きプログラムを存続きせること。. かっている。. 要 統合モデルの継続に関する捷案。. 約. 特殊サービスを生徒に提供する際,学区はバラン. 普通学級の中で生徒にサービスを提供するか,そ. スを保つよう努力すべきである。引き抜きプログラ. れとも引き抜きプログラムで提供するかの決定は,. ムを活用するか,普通学級にサービスを統合するか. 生徒個々のニーズと,各校のプログラムの有効性に. は,生徒のニーズに基づいて判断すべきである。引. 基づいてなされるべきである。. き抜きプログラムを少なくしたりなくそうとする学 区の目標は,特定の生徒や特定の特殊プログラムに. 普通学級での統合は,生徒に特殊サービスを提供. 閲し,再検討すべきである。学区は特別なニーズを. するための一つの方法にすぎず,全ての生徒に対し. 持つ生徒を普通学級に統合するよう担任に命じるべ. て特殊サービスを統合するよう命じているわけでは. きではなく,親や教師,担当貴佳肴との話し合いを. ないということを,学区の全職員に明示すること。. 通して,子どもに最良の道はどちらなのかという点 から判断すべきである。. 普通学級で特殊サービス職眉をいかにして活用す るか,そして特殊サービスと普通学級での教育をい. 特殊サービスの統合. かにして調整するのかという点について,普通学級. 一生彼のニーズにバランスよく応じるために−. の担任に研修を行うこと。 はじめに. 生徒により良いサービスを提供するために,学級 担任と特殊プログラム職員が話し合い,計画を立て. この研究では,特殊サービスの提供方法を改善す −113−.
(5) 三浦. るための計画について検討を加えている。5年前の. 哲. 移住者)では,「できる限り統制のない環境」は必要. 1988年度に,「特殊サービス・プログラムの提供」と. とされておらず,最初から引き抜きプログラムでサ. 題する学区の目標が提案きれた。それは特殊サービ. ービスが提供されてきた。引き抜きプログラムでは. スを受ける多くの生徒達が,教室と引き抜きプログ. な〈普通学級におけるサービスの提供を強調するこ. ラムの間を頻繁に往復した結果,相互のサービスが. とによって,教育委員会の最終目標を達成しようと. 悪影響を及ぼし合うようになったためである。生徒. する決定は,特殊プログラムの提供方法に大きな変. は多種多様な特殊サービス・プログラムに参加して. 化をもたらした。「できる限り統制のない環境」が要. いたが,それらのサービスは互いに調整されていな. 請されていたため,特殊教育は既に可能な限り普通. かった。生徒ほ教室から引き抜かれており,時には. 学級でサービスを提供する方向に動いていた。その. それが1日に2∼3回にも及んでいた。しかも学級. ため,この提供モデルに別の特殊プログラムを追加. 担任は特殊サービスの提供者が生徒に何をしている. することによって,教育委員会の目標の意図に合致. のかほとんど知らなかった。. するように思われた。. 1988年度の目標は教育委月食に正式には採択され. 生徒に対する普通学級内での特殊サービスの提供. なかったが,次の年に「特殊サービスの統合」へと. は,学級担任の指示の元になされると思われた。普. 変更され,教育委月会で採択された。この新たな目. 通学級の担任は各生徒が受けるサービスをチェック. 標は,特別なニーズを持つ生徒を普通学級に「統合. することができ,そのサービスが断片的になったり. する」という点が強調されていた。しかし「統合」. 重複したり,子どものニーズに合わないことがない. という用語の使用には混乱が生じた。特殊教育に関. ように確認できると考えられた。. わる職月は,「できる限り統制のない環境」で特殊教. 我々が知る限り,特殊サービスの提供方法を公式. 育を生徒に提供するという意味でこの用語を使用し. にチェックするシステムは開発されなかった。引き. た。また他の人は,生徒に対するサービスの調整過. 抜きモデルによって生じた問題が,学区レベルで集. 程に対してこの用語を用いた。さらにこの用語は,. 計されたり処理されたことはなかった。事実,第Ⅰ. より有効性の高い特殊サービスを提供するための処. 章プログラムの場合,引き抜きによるサービスの提. 遇方法にも用いられた。もしも教育委見合の主な目. 供方法は大変うまくいった(学区は第Ⅰ章プログラ. 的が,特殊サービスの提供における問題点の改善に. ムを典型的な成功例だと認識している)。統合モデル. あるとすれば,特殊教育の関係者が定義した「統合」. の実行を決意したと同時に,引き抜きプログラムを. はその目的を達成するための一つの方法となる。し. 縮小もしくは排除する努力がなきれたが,その欠点. かし特殊教育の関係者が定義した統合は,特殊サー. を見いだしたり問題を改善する方向には進まなかっ. ビスを調整する唯一の方法ではない。. た。. 次年度以降,統合を拡大するという目標には,特. プログラム計画・評価部は1992年度の下四半期に,. 殊サービス職月が学級担任と文字通り一緒に仕事を. 特別なニーズを持つ生徒に対する特殊サービスがど. することにより,引き抜きプログラムを減らすとい. の程度統合されているのかを検討するために,この. う二次的な目標が含まれていた(1990年2月6日採. 研究を始めた。教育委月会の目標を評価するという. 択)。公法94−142により,特殊教育のプログラムを. 試みは,統合の進行状況に関心を示す様々な人達か. 作成する場合,適切でできる限り統制のない環境で. らの要請に応えて実施され,学区は5カ年計画のま. 教育サービスを提供する必要が生じた(Lerner,. とめとして研究を実施した。. 1989)。この公法では,生徒を個々に評価し,最小限. この5年間の始めに強調された点は,特定の生徒. の統制とは何かを個々に決定すべきであるとされて. に対して一貫性の高いサービスを提供するためのモ. いるため,特殊教育の対象生徒を全て普通学級に入. デルを開発することであり,同時に特殊サービスに. れる必要はない。またこの法律は,特別な生徒に対. 関わる職眉が学級担任と一緒に働くことにより,引. して完全に連続的な措置がなされるよう求めてい. き抜きプログラムの数を減らすことも全般的な目標. る。. とされた。目的の意図に従って,適切に調整された. その他の特殊サービス・プログラム(アラスカ先. 一貫性の高いサービスを提供することにより,学区. 住民族教育,ニカ国語/二重文化,第Ⅰ章,第Ⅰ章一. のリソース教室をより有効に活用したり,凝集性の ー114−.
(6) 恥49.. アラスカにおける特殊サービスの統合. 1995.3. 高い特殊教育プログラムが可能になると考えられ. ている。プログラムの♯住着や学級担任,専門家,. た。. 援助職月,校長,そして親との長時間にわたる面映. この研究により,統合は複雑な問賜をはらんでい. を通して収集された情報は,慄重に集計され分析さ. ること,そしてこのモデルがうまく機能するために. れた。そして特別なニーズを持つ子どもへのサービ. 必要な多くの鍵となる変数が見いだきれた。我々は. スの統合に関連する知見と提案が示されている。. 一つもしくは複数の重要な変数の有如こより,統合. このレポートの次の節では,教育委員会の最終目. が個々の教皇や個々のプログラム,そして個々人に. 標が形成された背景と,「統合」という用語が様々に. 対して異なる影響を及ばすことを学んだ。統合の結. 用いられたことについて概観している。また,生徒. 果として生じた変化は各教室の環境によって異な. に提供されたサービスの重複状況に関する考察と,. り,それは担任,学級の生徒の特性,指導スタイル,. データ収集の方法論についても述べられている。. そして学級にサービスを統合しようとした教育者の 人格特性などによって左右された。 第Ⅰ節. 学区は,あらゆる変化が一つのプロセスであるの と同様に,統合もーつのプロセスとして提案した。. 特殊サービスの統合という目標の背景. このプロセスを通して,ある目的は達成されたが他 の目的は達成されなかった。その多くは職眉の異動. この節ではまず最初に,特殊サービスの重複状況. や担当生徒数の過多など,具体的な理由によるもの. について考察する。この間膚は,特殊サービスの捷. であった。学区全体で教育プログラムやプログラム. 供方法を検討する本来的な理由の一つであった。多. の提供方法を変更すれば,教育課程や革新的な指導. 様なサービスを受けている生徒のためにサービスを. 法もしくはサービス提供モデルの中に,意図した成. 調整するということは,一貫性と有効性を確保する. 果と意図しなかった結果が生じる。統合の場合,最. ために重要である。またこの節では,「統合」という. 終目的に向けて注月すべき進歩が認められたが,こ. 用語が特殊教育の領域や,特殊教育サービスの提供. の進歩は必ずしも円滑で一貫しており,全てのケー. を管理する法律の中でどの様に用いられているのか. スに適切に行われたわけではない。. を概観する。次に,さらなる統合へ向けての目標を. より多くのサービスを普通学級で提供しようとす. 実行する上で,幾つかの段階について懐古的に述べ. る試みは,第Ⅰ章,2カ国語/二重文化,そしてア. る。そして最後に,本研究の方法論について記述す. ラスカ先住民族教育プログラムにおいてもなきれ. る。. た。もし担任が統合サービスを選択した場合,担任 はプログラムの担当職員に授業計画を示し,それに. 処遇生徒数とサービスの壬複. 関する説明を行い,生徒が受ける全ての指導を調整 しなければならない。サービスの重複を防ぐため,. 表1は特殊教育プログラムに参加している生徒数. 特殊プログラムの職眉間でプログラムの調整を行う. を示しており,過去5年間に32%も増加したが,我々. 場合があるが,特殊プログラムの職月は学校から学. の学区全体の生徒数の増加は13.4%にすぎなかっ. 校へ即座に移動してしまったり,スケジュールが余. た。この数字の中には,連邦政府の障害カテゴリー. りにも複雑なため,打ち合わせができないことが多. に合致し,サービスを受ける資格を持つ生徒だけが. い。学習障害や言語障害,英才教育,情緒障害,聴. 含まれている。そのため胎児性アルコール症候群. 覚障害,集中リソース,そしてその他のリソース・. (FAS/FAE)や注意欠陥障害(ADD),多動,行動. プログラムを受けている特殊教育対象の生徒にもサ. 障害などの原因で学習に間馬が生じた生徒は含まれ. ービスの統合が行われている。. ていない。また特殊教育サービスを受ける資格のあ. このレポートでは,5年間に我々の学区内で行わ. る生徒に加えて,多くの生徒が第Ⅰ章,ニカ国語/. れた統合の程度に関する報告に加えて,特別なニー. 二重文化,アラスカ先住民族教育,移住者教育など,. ズを持つ生徒の他の処遇方法や用語の定義など,背. 我々の学区独自の特殊プログラムを受けている。表. 景となる情報も提供されている。またデータ収集の. 2は,ここで述べた4つの特殊プログラムと他のプ. 様々な段階で用いられた研究方法についても解説し. ログラムの生徒数を示している。この表には,複数 −115−.
(7) 三浦 哲. のプログラムを受けることを認定された生徒の,. 1992年度の重複状況が示されている。. 表1過去5年間の特殊教育対■生徒数 障 害 状 況. 1991年度. 1990年度. 1989年度. 1988年度. 1992年皮. 精 神 遅 滞. 58. 55. 62. 60. 72. 学 習 障 害. 996. 1002. 1039. 1210. 1220. 情 緒 障 害. 98. 92. 79. 100. 107. 肢 体 不 自 由. 12. 11. 11. 6. 5. 445. 526. 510. 607. 618. 3. 2. 1. 3. 4. 14. 13. 13. 13. 14. 聴 覚 障 害. 9. 13. 12. 15. 17. 重 複 障 害. 50. 71. 81. 122. 102. 無回答. 17. 28. 59. 60. 558. 565. 577. 712. 742. 無回答. 無回答. 無回答. 1. 3. 閉. 無回答. 無回答. 無回答. 計. 2243. 2367. 2413. +6%. +8%. コミュニケーション障害 視 覚 障 害. 病. 虚 弱. 発 達 遅 滞. 才. 英 頭 部 外 傷 自. 合. 1988年度に対する増加率. 2. 2909. 2966. +30%. 十32%. この数値は年度末にアラスカ州教育庁の特殊教育報告に提示されたものである。. 表2 重複して指導を受けた生徒数(1992年度) 先住民族. 699. 先 住 民 族. ニ カ 国 ぎ吾 第. Ⅰ. ニカ国語. 住. 者. 障. 害. 児. 英. 才. 児. 移住者. 障害児. 英才児. 76. 59. 31. 179. 9. 463. 27. 8. 99. 0. 13. 124. 0. 148. 28. 5. 2218. 0. 章. 移. 第Ⅰ章. 667. 726. 出典:プログラム計画・評価部(1993年9月). 注:対角線の数値は我々の公立学校で特殊プログラムのサービスを受けている稔生徒数(国際通信学枚とFYFは除 く). 様々な特殊プログラム・サービスの断片化や重複. を受けている。表2の中で重複しない生徒の実数は. に関する問題は,生徒数に影響するという点で重要. 4339名であり,1992年度の総生徒数15629名の28%に. である。教育委見合が特殊サービスの供給状況を検. 相当する。生徒に対するプログラムの重複を減らし,. 討しようとした一つの理由は,様々なプログラムの. 教育の断片化の問題に対応するためには,サービス. 職月が普通学級と無関係に機能していたからであ. の調整が明らかに必要である。. る。サービスの統合において重要な要素の一つは, 特殊プログラムの目的を達成するために計画された. 統合の意味とは何か. 特殊教育と,普通学級での指導の調整を促すことで. 統合を定義する唯一の方法はなく,様々に解釈さ. ある。. れたり用いられたりしたため,明確な定義もない。. 表2に示した通り,多くの生徒は複数のサービス −116−.
(8) アラスカにおける特殊サービスの統合. Nα49.. この用語は人によって別の事柄を意味し,用語が使. 特殊プログラムは,物理的には特殊教育語学校では. 用される文脈によっても意味が違う。例えば教師が. なく普通学校の中に位置している。しかし我々の学. 教育課程間の統合について話している時にほ,同一. 区での統合は,校舎の中に特殊プログラムを設置す. の主題を用いて主要な領域を教えるという意味であ. る以上のことを意味している。つまり特別なニーズ. る。また別の場合には,人種差別を調停しようとす. を持つ生徒に捜供されるサービスを普通学級に移す. る努力が思い浮かぶ。統合とは,多くの部分を全体. という意味である。. に調和もしくは一体化させる,あるいは集積回路の. サービスの統合は一つの連続体として生じてお. ように相互に連結させるという意味である。また統. り,多様な活動を「統合」とみなすことができる。. 合は特殊教育の領域で頻繁に使用される用語であ. この用語が誤った解釈をもたらしたため,統合の概. り,リソース教皇や特殊学級ではなく,普通学級で. 念が混乱した。例えば専門家が3名の学習障害児の. 生徒にサービスを提供することを意味する。. ために教室を訪れて教室の中を歩き回り,別の生徒. 統合という用語が生徒へのサービスの調整に用い. 1995.3. の日記学習を援助した場合,それは普通学級への物. られたり,特殊教育に独特な「できる限り統制のな. 理的な「統合」である。しかし対象となる生徒に「統. い環境」の問題に用いられたりしたため,統合の意. ■合きれた」サービスを直接提供しているわけではな. 味にはかなりの混乱が認められた。また統合の実施. い。そこで再び「統合とは何か?」という疑問が生. 方法や,生徒のニーズを有効に満たすためのモデル. じる。もしも教皇の生徒を読みのできる子どもと第. の活用方法などにも混乱が生じた。. Ⅰ章の子どもに分け,読み障害の援助者が自分の生 徒と他の成耕の低い生徒もしくは「グレイ領域」の. 特殊劇青における統合の意味。特殊教育の領域で. 生徒を自分のグループに引き抜いたとしたら,この. の統合とは,子どもの教育を,子どもの個別的なニ. 場合の「統合」は教室内での引き抜きプログラムと. ーズに基づいて,できる限り普通教育を受けている. いうことになる。この方法ではグレイ領域の子ども. 同級生のそばで行うことを意味する。この用語は20. はより多くの注目を得られる上に,全ての生徒にと. 年前に多用された「メインストリーミング」から発. って生徒と教師の比率が即座に低下する。一方この. 展した。メインストリーミ. 方法の問題点は,指導グループが二つに分かれるこ. ングの典型的な定義は,. とで教室が騒がしくなり,他のグループの活動のた. 「子どもの問題が普通学級のプログラムに適応でき ないほど重篤な場合は別として,学習上,行動上,. めに注意の集中を妨げられる生徒が出てくる可能性. 身体上の問題を持つ子どもを曹通教育の場面やプロ. があるということである。ある教育者達は,生徒を. グラムに統合すること」である(Cartwright,1985)。. 別の静かな部屋に連れ出さずに,教室内で引き抜く. 1970年代と1980年代のメインストリーミ. ングの動. 方法には有効性がないと主張している。従ってこの. きは,特殊教育の対象となる生徒が普通学級から分. 間題は統合の実施レベルに関する見解ではなく,そ. 離されていた状況を大きく改善した。我々の学区の. の有効性についての意見ということになる。. 旧Birch小学校は,1965年から1986年の間,専ら障. 今日,特殊教育関係の論文に多用されつつある新. 害児のための学校として運営されていた。その後,. たな用語に「インクル岬ジョン」がある。「特殊サー. Birch小学校の特殊プログラムは,様々な障害をも. ビスの有効な管理(1993年6月)」の最新版に,イン. つ子ども達と共に学区内の他の学校に移された。現. クルージョンについて「学校生括の全ての面で,障. 在,我々の学区の学枚にほ,学区全体を対象とする. 害児を健常児の中に含めること」と記載されている。. ものに限っても38の特殊教育プログラムがある。. インクルージョンに関する法律上の厳密な定義はな. 1992年度の特殊教育プログラムの配置状況を表3に. い。この用語が最もよく使われるのは,集中的なプ. 示す。これらの学区単位のプログラムに加えて,学. ログラムもしくは個別プログラムが必要だと認定さ. 習障害児や英才児,コミュニケーション障害児(音. れた障害児の処遇場所について述べられる場合であ. 声・言語)のためのプログラムが学校単位で用意さ. るが,リソース対象の生徒にも適用されることがあ. れている。また第Ⅰ章,アラスカ先住民族教育,ニ. る。完全なインクル岬ジョン・モデルでは,1日中. カ国語/二重文化,そして第Ⅰ章一移住者プログラ. もしくは大部分の時間,全ての障害児を普通学級に. ムなどを用意している学校もある。今日では我々の. 移すことを提唱している。これは特別なニーズを持 −117一.
(9) 三浦 哲 喪3 学区■世の櫓殊教礪プログラム(1992年虔) 特殊プログラム名. 小学校. 集中リソース(高学年) プレスクール貫き吾 プレスクール発達遅滞. BadgerRoad. 3. プレスクール音譜、プレスクール聴覚雁書 聴覚障害児の逆メインストリーム. Bamette. プログラム数. 4. 情緒障害(低学年). Chena. プレスクール発達遅滞. 1. 集中リソース(低学年)2学級. Joy. 重度/最重度集中リソース. 3. 集中リソース(高学年). Ladd. プレスクール発達遅滞. 3. 情緒障書(小学生). NorthPoleElem. プレスクール言語. 1. プレスクール言語. PearlCreek. 2. 情緒障害(高学年). 重度/最重度集中リソース. 集中リソース(低学年)2学級 学習障害児のための個別プログラム. TicasukBrown. 4. (米国赤十字社). 幼稚園児から3年生の統合. UniversityPark. プレスクール発達遅滞. Weller. 情緒障害(高学年). Woodriver. 情緒障害(低学年). 2. 中学・高校. BenEielson. 情緒障害. HIREプログラム. Hutchison. 2. 情緒障害. Lathrop NorthPoleHigh. 1. 情緒障害. 集中リソース 集中リソース. NorthPoleMiddle. 情緒障害2学級. 4. (米国赤十字社). Ryan Tanana WestValley. 情緒障害 集中リソース 2. 情緒障害 集中リソース. 2. 情緒障害. つ子どもの主要な場を独立した特殊学級とし,1日. 語によって表そうとしている事柄を正確に解釈しよ. に1−2時間(音楽や体育など)だけ「メインスト. うとする試みが非常に困難であることを忘れてはな. リーミング」する概念とは異なっている。しかしこ. らない。本研究の結果を読み取る際,サービスの「統. の間鴬をさらに混乱させる要因がある。すなわち生. 合」という用語の意味を区別すること,そして特別. 徒が自らの目標に到達したために特殊プログラムを. な学習者に対するサービスの提供にこの用語が用い. 修了し,普通学級に戻る場合にもインクルージョン. られた場合,その用いられ方に注意する必要がある。. が用いられるのである。これらのメインストリーミ ングと統合,そしてインクルージョンという用語は, 教育者によって同意語として用いられることが多 く,別個の定義を与えることや,ある人が特定の用 ー118−.
(10) N仏49.. アラスカにおける特殊サービスの統合. 1995.3. は,特殊教育の必要性ほ認定きれないが,より多く. なぜ特殊教育あ統合するのか(法律を参照して). の努力や別の方略を用いなければニーズを満たすこ. 特殊劇1と法律。公立学校の生徒に対する特殊教. とができないような生徒のニーズに合うように,教. 育の挽供に生じた大部分の変化ほ,公法94−142,す. 材や指導方法を工夫することを意味する場合が多. なわち1975年の全辞書児教育法によるものである。. い。504項は公法94−142と同様に,これらの生徒が. この法律は長年の訴訟と立法の未に完成し,1990年. 適切な公教育を受けることを求めている。. に「陣音児と教育法(公法101−476)」として採択き. この法律では教育との関連で,504項が「全ての障 害を持つ生徒,すなわち主要な生活活動がかなりの. れた。. 公法94−142では,特殊教育に関するニーズが完全. 程度制限されるような身体的,精神的障害を持つ生. に満たされているとは言えない子どもが,合衆国全. 徒を守る」ことになっており,その生活活動には学. 体で800万人もいるときれている。特にその半数は適. 習も含まれる(第504項ハンドブック,1990)。フェ. 切な教育サービスを受けておらず,100万人もの子ど. アバンクス学区では就業機会均等部を通して,特殊. もが公立学校組織から完全に排除きれていると述べ. 教育を受ける資格の有無に関わらず全ての生徒を教. ている。この法律は,これらの状況を是正する千住. 育する法的兼任を持つ普通教育担当教師のために,. を州と地方の教育機朋に委ねた。きらにこの法律で. ハンドブックを作成した。注意欠陥障害(ADD)や. は,公立学校に在籍する特別なニーズを持つ多くの. 胎児性アルコール症候群(FAS)の生徒などがその. 子ども達に対する教育は,そのニーズの存在すら認. 一例である。 1992年度に,普通学級の中で障害児のニーズを満. 識きれておらず,成果を収めてはいないとしている。 この法律は,州が適切なリソースを活用し,教師に. たす必要のある全ての学校の教師に対して,資料が. 対する研修を進め,この状況を改善するための優れ. 配布された。その中には学習様式に関する考察と,. た診断手続きと指導方法を用いることを示唆してい. 生徒を普通学級に適応させるための方法の概略が含. る(Cartwright,1985)。. まれていた。この種の情報が捷供された目的は,広. 公法94−142は,全ての障害児が自由で適切な教育. 範周な教育上のニーズを持つ子どもの教育や処遇方. を受けることができ,子どもと親の権利を守ること. 法に関する示唆を,学級担任に与えることにより,. を目的としている。そして生徒ができる限り統制の. 普通学級の中で生徒達がうまくやっていけるように. ない適切な環境で処遇されるよう求めている。「でき. するためである。なぜなら統合が開始されたことに. る限り統制のない適切な環境」という問題は密度の. より,教師が,従来とは異なる教育方法や教材を生. 濃い議論に発展し,普通学級にサービスを統合し,. 徒のニーズに合わせて活用しなければならなくなっ. 特別なニーズを持つ生徒を普通児と一緒に教育する. たためである。. という最近の流れに応用可能であるとの結論を得. 普通教育主導(REl,TheReguJarEducationJnitia・. た。. tive)。公法94−142(特別なニーズを持つ生徒を普通. 貴近,二つの全国レベルの出来事があり,学区は 特別なニーズを持つ生徒に対するサービスのあり方. 教育学校に移す)が通過してから約10年後,特別な. を見直し,子どものニーズを普通教育場面で満たす. ニーズを持つ子どもに関する別の動きが始まった。. ための方法を立案しなければならなくなった。以下. それは普通教育主導(REI)であった。1986年11月に,. ではリハビリテーション法(1973)の504項と普通教. 当時は合衆国文部省の特殊教育とリハビリテーショ. 育主導(1986)について価単に述べる。. ン・サービス局の秘書補であったMadeleine Will. リハビl)テーション法の504項は,障害児者に等し. によって報告書が捷出きれた。報告脊の題名は「学. い機会を保証するためのものである。法律の提案者. 習に問題を持つ生徒の教育−その手任の分担につい. は504項を強調し,教育場面における障害児の条項を. て−」であり,学習に問題を持つ生徒の教育を,我. 含めた。このことはサービスの統合に関する我々の. が国の学校がいかにして改善するかという点に力点. 研究にとって重要である。なぜなら504項において,. が置かれていた。ここでいう学習の間篤とは,以下. 普通プログラムの中で普通教育課程を用いて生徒を. のようにREIで定義されている。 「学習問題という用語は,学習に困難を示す. 教育する責任が再確認きれているからである。これ −119−.
(11) 三浦. 哲. る。事実,軽度の肢体不自由児をできる限り普通児. 子どもを示す際に広く用いられている。その 中には学習が遅い子ども,行動障害,教育上. と一緒に教育した方が,学業や社会性,そして心理. 不利な子ども,軽度の特異的学習障害を有す. 的な面で有効だとする知見がある。しかし軽度の知. る子ども,情緒障害,そしておそらくもっと. 能障害児や学習に特別な問題を持つ他の生徒に対し. 重度な障害児が含まれている。著者の意図は,. て,このような成功を無条件に保証することはでき. 本報告に述べられている情報が,この間題を. ない。 他の生徒による非難や,それが自尊心に及ばす影. 考察する際の基礎になること,そしてその情 報は徹底的な研究の結果に基づくのではな. 響などについても,学習に問題を持つ子どもを孤立. く,親や専門家の考えの集大成だという点に. させる一つの要素として考えられる。またREIは,. ある。」(Will,1986)。. 生徒のニーズに応じる際,非難を低減させる基準と なる「できる限り統制のない適切な環境で」,特別な ニーズを持つ生徒を処遇するとした法文を再度確認. この報告は,特別なニーズを持つ子ども達を援助 するための特殊教育プログラムの進歩を認めてい. している。REIによると,生徒の中には「引き抜き. る。また学習に問題を持つ生徒の中退率の高さを指. アプローチ」が適切だと思われる場合もあるとされ. 摘し,中・高校生に対する援助的指導の必要性が益々. ている。しかし他の生徒は,適切な教材の適用と従. 増大している点を見いだしている。そして特殊プロ. 来とは異なる指導方法により,普通学級で目的を達. グラムを見直し,教育の改善方法を発見する努力を. 成することが可能である。. すべきだとしている。さらに5年前に,特別なニー. 哲学の変更。「適切で,できる限り統制のない環境. (LRE,1eastrestrictive environment)」という概. ズを持つ生徒へのサービスの組合が特殊サービス部 の関心を集めたが,当時の学区が認識していたよう. 念は,有能でまじめな教育者の間で最も解釈が一致. に,特別なプログラムの作成により,当初は意図し. しない哲学だと思われる。このLREは,我々が落居. なかった効果が生じるという問題にも言及してい. にする生徒によって意味が異なる。例えば集中リソ. る。ただしREIには,統合アプローチから最大の利. ースの子どもにとってできる限り統制のない環境と. 益を得る生徒の特性に関する指針は示されていな. は,一般に普通教育を受けている子どもと相互に交. い。. 渉する機会を提供することを意味しており,しかも. この報告の中心的課題の一つは,生徒が特別な援. 学業上の利益よりも社会的な効果を指すことが多. 助を得るために必要とされる資格についてである。. い。普通教育を受けている生徒は,他者をあるがま. Wi11は,「個々の生徒の学習ニーズの評価や,生徒の. まに受け入れる術を身につける。彼らは忍耐を学び,. ニーズに合った特別なプログラムの作成に十分な注. 自分とは異なるというだけの理由で,自分達の仲間. 意が払われていない」と述べている。我々の学区で. になれないわけではないと認識するようになる。普. は,専門家が生徒のニーズに合わせてプログラムを. 通学級の子どもは適切な行動モデルとしての役割を. 作成しようとしているが,自分以外のプログラムや. 担い,特殊教育を受ける子ども達に新たな事柄に挑. 他の教育場面には適用されていない。例えばリソー. 戦するための刺激を提供してくれるため,集中リソ. ス教室で獲得されたスキルが,普通学級の成績に常. ースの子どもは普通学級の子どもから多〈を学ぶこ. に反映しているわけではない。また生徒がリソース. とになる。このシナリオによると,できる限り統制. 教室で特別な指導を受ける際,普通学級で学習され. のない環境とは,独立した特殊学級における特殊教. た概念が必ずしも強化されているわけではなく,こ. 育プログラムを厳格に継続するのではなく,特別な. のことが凝集性が高く断片化されないプログラムを. 生徒に対し,普通学級で少なくとも1日のうちの何. 提供しようとする際の問題となっている。. 時聞か相互交渉を体験する機会を保証するという意. Willの論文で述べられているように,問題は. 味である。. 「我々が特殊プログラムから学んだ事柄を普通学級. その他にも生徒やサービスを統合するための多く. にも伝えること」である。それにより,結果的に普. の方法がある。事実,連続的な可能性が存在してお. 通教育と特殊プログラムの協力関係を生み,生徒に. り,その中には逆メインストリーミングも含まれる。. サービスを提供する方法の範囲を拡大することにな. すなわち特別なニーズを持つ子どもを普通学級に統 ー120一.
(12) アラスカにおける特殊サービスの統合. Nα49.. 合するのではなく,普通児を特殊プログラムに移す. 1995.3. ている。以下に示す用紙は,各校の「子ども評価テ. のである。教育委月会は,特殊教育の対象生徒の処. ィーム」が,特殊教育サービスを認定された生徒に. 遇場所を決定するための適切なメカニズムを用意し. ついて個々に記載するものである。. フェアバンクス・ノース・スター地区教育委員会. 個別教育プログラム P−3C 日付:. 生徒:. 処遇場所の認定. 処遇に関する以下の選択肢は、この生徒のニーズを満たすためにできる限り統制されない環境に処遇するために考. えられている。最小限の統制よりも制限が多い環境しかみあたらない場合には、必ずしも認定する必要はない。ま た選択肢として複数の処遇場所を推薦してもよい。 認. 処 遇 場 所. 定. 普通学級に処遇。 ロできる限り統制のない環境 ただし援助サービスを加える ロ不適切、理由は以下の通り (例えば相談など)。 □生徒の行動 口数育諷程が不適切 ロスキルが不十分 ロ個別指導が必要 □その他: 普通学級に処遇。 口できる限り統制のない環境 ただし学級内で特殊教育サー 口不適切、理由は以下の通り □生徒の行動 口数育課程が不適切 ロスキルが不十分 ビスを直接提供する。 □個別指導が必要 ロその他: 普通学級に処遇。 □できる限り統制のない環境 ただし引き抜きによる特殊教 □不適切、理由は以下の通り □生徒の行動 口数育課程が不適切 ロスキルが不十分 育を行う。 □個別指導が必要 □その他: 普通学級に処遇。 ロできる限り統制のない環境 ただし特殊学級の援助を受け ロ不適切、理由は以下の通り □生徒の行動 口数育課程が不適切 ロスキルが不十分 る。 D個別指導が必要 ロその他: 終日特殊学級。. □できる限り統制のない環境 口不適切、理由は以下の通り 口数育課程が不適切 ロスキルが不十分 口個別指導が必要 口その他:. 口生徒の行動. 家庭や病室への訪問教育。. □できる限り統制のない環境 □不適切、理由は以下の通り 口数育課程が不適切 ロスキルが不十分 □個別指導が必要 □その他:. □生徒の行動. 施設内でのサービス。. □できる限り統制のない環境 ロ不適切、理由は以下の通り 口数育課程が不適切 ロスキルが不十分 □個別指導が必要 □その他:. □生徒の行動. コピー. 白一認定ファイル 黄色一両親 ピンク一作業ファイル. ると特殊プログラムから「追い出す」ことである。. 「できる限り統制のない適切な環境」の概念は, 学習障害児などの「リソース」プログラムの場合に. この場合のできる限り統制のない物理的環境とは普. は,より不明確になる。多くの学習障害児の目標は,. 通学級のことであろう。しかし我々の学区の教師や. ある意味では普通教育プログラムでもやっていける. 専門家,そして特殊プログラムの担当職月から収集. ようになるために指導を行うことであり,言い換え. したデータによると,特別な生徒の短期的・長期的 ー121−.
(13) 三浦. 哲. 教育目標を達成するためには,普通学級が最も「適. 年度),学区は学区内の統合の進行状況を調査し,生. 切」な場だとは必ずしも言えないと思われている。. 徒を普通教育の環境に包める方法を提案するため に,バージニア州レストンの「教育方針とプログラ ムの解決」という名前のグループと契約を交わした。. 目♯達成のための段階. 生徒へのサービスの統合を開始するという目標. このグループは連邦政府や州,そして地方の教育機. は,新たに採択きれた国語教育課程の実施状況と密. 関を援助し,全ての生徒が一緒に教育を受けられる. 接に結びついていた。この教育課程は生徒を普通教. プログラムを提供してきた経験を持っていた。彼ら. 育場面にとどまることを可能にする手段となり得る. の報告の中心は,特殊教育を受けている生徒を統合. と考えられた。特別なサービスを必要とする多くの. するための活動についてであり,他の特別なプログ. 生徒の中心的課題が,言語の獲得やスキルの発達に. ラムに参加している生徒については余り検討されな. ある点を考慮すると,この事の重要性が理解できる. かった。. 1989年の4月に実地視察が行われた。研究者が教. であろう(特殊サービス年報,1989年5月)。ニカ国 語/二重文化やアラスカ先住民族教育,第Ⅰ章,そ. 室を観察し,教師と面談し,教育委兵舎の記銀を調. して特殊教育などのサービスを一つもしくはそれ以. 査・分析した。1989年6月には,統合された教育プ. 上認定された生徒について,彼らに対するサービス. ログラムの全側面とその実施に対し,親と職月が強. を調整することにより,プログラム全体としての有. く支持していることが分かった。また優れたプログ. 効性を改善できると確信された。. ラムを提供するための革新的かつ肯定的な努力の結. 新たな職種が開発され,第Ⅰ章では読みの援助職. 果,各校に特有の選択肢が生み出され,その利益が. 月,アラスカ先住民族教育では仲介者,そしてニカ. 詳しく述べられた。さらに生徒をできる限り続制の. 国語/二重文化では普通学級で生徒の言語に関する. ない環境に統合することを推進するための方略とア. ニーズに応じる個人指導教師などが新たに加えられ. プローチについて,8つの提案がなされた。報告書. た。また特殊教育を担当する教師も彼らのサービス. の要約は以下の通りである。. を普通学級に統合するための研修を受けた。さらに 校長と特殊サービスの責任者との間で討論が行われ. 学区に対する1989年の提案。各地域の主導的. た。そこでは普通学級に対して別々にサービスを提. 見解が指導者の希望する方向とまさに一致す. 供するのではなく,普通学級の教材や教育課程と密. るように,学区レベルで全側面について明確. 接に関連するようにサービスを調整して提供すると. な説明を行うこと。少数の学校と職月ティー. いう,教育方法の変更についての問題にも触れられ. ムを選択し,立案と調査を協力して行うこと。. た。. 学区は内外の専門的意見に耳を傾け,各校の. 1988年度の始めに,特殊サービスを統合するため. ニーズに合わせて教材を作り直すこと。そし. の重要な出来事があった。それは特別なニーズを持. て学区は「統合された状況」に関与し,優れ. つ生徒を普通学級で指導するための計画を,学校単. た統合実践を賞賛し,不公平な事例には正面. 位で立案できるようになったことである。また同時. から対峠することによって,望ましい行動モ. に地域に基づく管理についても検討され,校長は校. デルを示すこと。学区は必要不可欠な活動の. 内の教育に関する指導者とみなされ,またそうなる. 一部として研修会を開催すること。. ことを期待された。従って学校は,生徒や職員の特 性に最適な統合計画を立案できる柔軟性を与えられ. この研究は,学区が学校に対して改革と創造性を適. たのである。生徒へのサービスをさらに統合するた. 切にゆだねており,統合に向けての「非指示的な発. めの予備的なプロジェクトが開始された。1988年度. 表」によって不安が健全なレベルに抑えられたこと. の特殊サービス年報から抜粋した資料Cの図式が,. を指摘している。また助言者らによると,もしも学. 統合の目標の複雑きを示している。. 区がアプローチの選択や統合に関する主導権の制度. 当時の議論の中心は,「統合」の意味と,統合を通. 化に組織的に対処しなかったとしたら,「興奮が欲求. して学校間眉がプログラムの目標に到達するための. 不満に変わり,そのエネルギーは無関心へと変容し. 様々な方法についてであった。これと同じ年(1988. た」と思われる。当時,学区の管理者に対して行な −122−.
(14) アラスカにおける特殊サービスの統合. N仏49.. われた最も重要な指導は,優れた統合実践の実現を. が行われ,専門家と担任はサービスの提供方法に関. 阻む壁を確実に取り除き,職眉の関心を維持すると. する実験を開始した。特殊教育担当教則ま普通学級. いう点にあった(RostetterandHunter,1989)。. の担任との関係の確立や,統合に対する担任の態度 や率直な気持ちの評価を,ゆっくりとしたペースで. 全ての生徒を普通教育場面に包含するための前進. 始めた。. と捷案に関する報告の要約を資料Fに示した。. 1990年度には5校が研究校に指定され,統合と協 力に関する研修が実施された。この5校の普通学級. 5カ年計画の最後の2年間に,統合に向けての進. と特殊教育の職月は,アラスカ州外から招かれた専. 歩が認められたが,それと同時にモデルについての. 門家によって,統合モデルに関する特別な研修を受. 関心も表明きれた。1990年3月付けの「実践と課題」. けた。1990年度の始めに学校が選定され,校長の同. の第1巻第14号に,統合への目標に関する学区の記. 意が得られた。. 事が掲載された。その速報記事には以下のように述 べられていた。. 学区に生じたその他の変化。統合が学区の主要な 目標に向かって動き始めた年,別の変化が生じた。. このプログラム(特殊サービスの統合)は,. 新たに採択きれた「ホール・ランゲージ(whole. 生徒が「引き抜き」プログラムのために教室. language)」の教育課程が我々の教職見に大きな課. の外にいる時間が長すぎるという親と教師の. 題となった。大部分の教師は,スキルを基礎とした,. 声に答えるために立案きれた。また子どもが. 読みを指導するための高度に構造化きれたアプロー. 引き抜きプログラムで受けるサービスが重複. チから,読むことと書くこと,そして話すことと聞. したり連携がなかったり,孤立していたり,. くことを統合した国語科を教えるための,より主塔. 矛盾していることが多いこと,そして複数の. 中心的なアブロ椚チに方向を変更した。1989年度に. 異なるプログラムを受けている生徒が多すぎ. 教師から収集した情報によると,多くの時間が主題. るとともに,それらのプログラムが互いに,. の単位の作成と展開,教材の収集,そして新たな授. そして学級担任と無関係に実施されていると. 業計画と活動の準備に費やきれた。この変化は,学. 多くの人が考えていた。例えば一人の生徒が. 区の多くの小学校に多大なる衝撃を与えた。なぜな. リソースや話し言葉,第Ⅰ章,アラスカ先住. ら,教師がそれまで行ってきた読みと言語の教育方. 民族教育,そしてニカ国語などの特殊学級に. 法が,新たな教育課程と大きく異なっていたからで. 引き抜かれるのは珍しいことではなく,多く. ある。そして大部分の教育課程が普通学級の全生徒. の教師が「両開きドア」と呼ぶ状況を作って. に影響を及ばした。そのため同時に生じた二つの変. いる。このことは,普通学級の中で子どもの. 化の中で,特別なニーズを持つ生徒に対するサービ. 特別なニーズを満たすことにより,最適な処. スの統合の方が緊急性が低いと考えられた。地域に. 遇が可能だという事実が確認されつつある現. 基づく管理方法により,校内の教育課程とプログラ. 状と矛盾している。一人の教師は「教室の生. ムの実施に賓任を持つ校長の責務が増大した(中央. 徒が算数を勉強している時に,我々が一人の. の管理局からの要請の方が少なかった)。/ト学校で. 子どもを教室から引き抜いた場合,彼がどう. は,生徒(多くは「グレイ領域」)に対応でき,新し. やって足し算の方法を知るのか心配だ」と述. い国吉吾プログラムの開発と実施を援助できるリソー. ノヾている。. ス教室の読みの専門家がいなくなってしまった。特 殊サービス・プログラムの統合と国語とを連携きせ. 特殊サービス職眉(教室の中で対象児にサービス. ることにより,幾つかの改革がなきれた。しかし全. を提供する職眉)と特殊教育担当教翰を対象とした. 般的には,教職月は新たな国語の教育課程の授業計. 現職研修が実施された。学区が選別した特殊プログ. 画を工夫・発展きせるだけでなく,特別なニーズを. ラム職月は5年間の研修を受け,彼らの学校で「統. 持つ生徒のための教育課程に適応させるという仕事. 合」の リーダーとなるよう求められた。5カ年計画. にも没頭しなければならず,この変化に大きな打撃. の3年目までに.大部分の学校で統合に向けた実践. を受けた。また普通学級の担任と特殊教育担当教具 −123−. 1995.3.
(15) 三浦. の関係が発展することにより,二つの大きな変化に. 哲 されている。. 専門家による生徒の集計。統合されたサービスの. 対する適切な対応が促きれると期待された。しかし 学区全体に普及できるような「最高の実践」,すなわ. 提供モデルの実施状況について結論を述べる前に,. ち成功例は実際には非常にわずかであった。. 我々は生徒に対するサービスの統合が実際にどの程 度行われているのかを知る必要があった。1993年4. 学齢期の子ども集団の変化。教育課程と管理の変. 月に特殊教育サービスを提供している各校の有資格. 化に加え,「普通教育」を受ける生徒自身にも顕著な. 職月に連絡を取り,彼らが統合場面で指導している. 変化が生じた。教室内で担任が指導している「援助. 生徒数に関する情報提供を依頼した。専門家達は「あ. を要する」生徒は毎年増加している。これらの生徒. なたが指導している全ての生徒のうち,引き抜き場. の多くは,特殊プログラムによるサービスの必要性. 面(教室を離れて別の場面で特殊教育を受けている. を認定されてはいないが,教師が彼らの学業面や社. 生徒),部分的な統合場面(幾つかのサービスは引き. 会性,そして情緒的なニーズに対処するために,過. 抜き場面で,その他は普通学級で),完全統合場面(普. 大な時間を費やす必要が生じている。そして生徒の. 通学級で専門家の援助を受けており,サービスのた. 変化に伴い,教育という仕事をするためには,生徒. めに教室から引き抜かれない)の生徒は何名ですか」. のニーズに応じる新たな方略と方法を身につける必. と質問された。このデータは,統合の実施状況の評. 要が生じる。「特別なニーズを持つ」と認定された生. 価に必要なベースラインとなると同時に,実地視察. 徒数の増加と共に,「普通の」生徒の変化による影響. の対象校を選択する際にも活用された。. は,公立学校が対応しなければならない学齢期の子. 特殊プログラム職員を対象とした調査。第Ⅰ章,. どもの変化が反映した結果である(教育日報,1991)。. ニカ国語/二重文化,そしてアラスカ先住民族教育 に関わる職月が,統合サービスの実施状況に関する 調査の対象となった。調査用紙は1992年度の春の会. 方法論. 議で配布された。このグループを対象とした目的は,. 本研究には幾つかの主要な要素がある。そして校. サービスが教室場面に移行した結果,その役割が変. 長,教師,専門家,特殊プログラムの責任者,職月,. 化した(最も)専門分化された職月の目を通して,. 親などの異なる見方から,このプロジェクトの全体. 統合モデルの長所と短所を見いだすことであった。. 像に迫ることを目指して計画された。特別なニーズ. ここではそれぞれのプログラムにおいて,サービス. を持つ生徒の統合に関する文献研究が実施された。. の改善方法に対する態度,取り組み,提案などが調. 多くの論文が検討の対象となり,サービス供給モデ. 査きれた。. ル,生徒の成果と成績に対する統合の影響,普通教. 校長の意見。全ての校長が特殊サービスの統合に. 育主導に関する教師の反応,統合に対する親の反応,. 関する質問紙に回答した。校長は,各校に設置され. グループの一月としての障害児に関する生徒の作. ている学校単位および学区単位の特殊プログラムに. 文,共同研究,協力,そして我々の研究に適用され. 応じた質問紙を受け取った。校長による質問紙の結. る法律と用語の定義など,多くの情報が得られた。. 果も,6つの対象校の選定に活用された。. 指導援助室に保管されている統合に関する学区のフ. 6つの「事例研究」校。事例研究校を選定する際,. ァイルも調査の対象とされた。教育課程主に保管さ. 以下の3つの基準を用いた。すなわち完全統合と部. れていた過去5年間のファイルの中から,職員に執. 分統合で指導されている生徒の人数,校内の学区単. 筆の機会が与えられている出版物も調査された。. 位のプログラム数,そして校長からの質問紙の内容. 調査用紙の開発。統合に関する主な問題のリスト. である。事例研究校のうち3校は,特別なニーズを. が作成され,本研究の対象となる各群に適用された。. 持つ生徒の半数近くを,いずれかの種類の統合場面. 統合に関する主要な問題についての調査用紙が作成. で指導していると報告した。他の3校は,相対的に. された。最初に校長用の用紙が作成され,次いで70. 少数の生徒しか統合していなかった。. ログラムに関わる職長用,教師用,専門家用,そし. 6校62名の職具に対し,10分から1時間以上に及. て親用の用紙が順次作成された。本研究で用いられ. ぶ面談が行われた。統合の成功の鍵となる要因が,. た全ての調査用紙は,プログラム計画評価室に保管. 事例研究校や特殊プログラム,そして回答者の間で −124−.
(16) Nα49.. アラスカにおける特殊サービスの統合. 1995.3. 一致していることを検証するため,「三角測量術」と. プログラムにおいて,生徒に対する統合がどの程度. 呼ばれる方法を用いた(重要な問題に関する情報を. 実施されたのかという点に関する数量的なデータ. 多様な情報源から得ることができる)。この方法で. は,棒グラフで示した。そして事実に関する客観的. は,回答者が先行研究による知見を確認したり,自. な質問の結果については,できる限り表の形式で示. 分の学校での統合について正確な感想を持てるよう. している。数量データの分析には統計プログラムを. に情報提供の機会が与えられるため,特に面接法で. 使用し,頻度の分布や平均値の算出,そしてカイ自. 収集きれた情報の信頼性と妥当性が向上する。この. 乗検定を行った。. 方法により,全般的な事実関係が明らかとなり,特. 以下の考察では,我々の学区における統合の状況. 定の学校やプログラム,教師,そして子どもに特有. について,著者が見いだした主要な問題をまとめて. な状況に基づいて不正確な結論を導くことな〈,学. いるが,本研究で示された問題を全て包括している. 区レベルでの考察が可能となった。回答者にはでき. わけではない。特定の学校やプログラム,教師,そ. る限り全ての質問に答えるよう求めた。. して生徒だけに極めて特有であり,学区が対応すべ. 事例研究校の6校は職員,生徒の人口統計学的特. き全般的問題を代表していない状況をいちいち取り. 徴,指導者の力量,そして風土などが大きく異なっ. 上げることは,本研究の意図するところではない。. ていたが,このモデルの長所や短所,統合の成功に. むしろここに提供きれている情報は,校長に対する. 対して促進的及び妨害的に作用した要因など,統合. 質問紙や実地視察時の面談,特殊プログラム職眉に. に関する類似した問題が提起された。ただし読者は. 対する調査,教室での観察,そして専門家から収集 されたベースラインとなるデータなどによる主要な. 「事例研究」の限界を忘れてはならない。学区全体 に一般化できる知見もあれば,一般化できない知見. 知見の合成である。. もある。 著者らは各校の専門家の大部分もしくは全月と, 第ⅠⅠ節. 1学年につき最低1名の学級担任と面談した。生徒 が特殊学級や集中リソース・プログラムに在籍する. 特殊サービスの統合に関する校長の見解. 学校の場合は,学級の補助教翰や図書館の助手,音 楽や体育の教師ともできる限り面談を行った。さら. 統合について校長は何を述べているか一質問紙に対. に学校カウンセラー2名,ニカ国語のための職月2. する回答. 名,個人指導教師1名,そして養祖父との面談も行. 学区の全ての小学校と中・高等学校の校長が,一. った。事例研究校に関する簡単な説明を資料Bに示. 般的な統合に関する考え方と,自分の学校に設置さ. した。. れている特殊プログラムの統合に関する膨大な調査. 親の意見。様々な特殊プログラムを受けている生. に協力して〈れた。校長は,各校に設置されている. 徒の親と会い,統合に関する一般的な状況と自分の. 特殊プログラムの統合に関する質問紙を受け取っ. 子どもの処遇や進歩について,多くの質問に答える. た。. 機会を捷供した。1993年8月に,合計71名の親と電. 特殊プログラム職員と特殊教育の職月からデータ. 話による簡潔な面接を実施した。親の氏名について. が収集され,完全統合,部分統合,そして完全な引. は,事例研究校6校を実地視察した際,普通学級の. き抜き場面でサービスを提供されている生徒の実数. 担任と特殊教育担当教師から情報提供を受けた。ま. が集計された。この「ベースライン」もしくは「国. た校長からも面談できる親の氏名を聞いた。. 勢調査」的なデータは,特別なニーズを持つ生徒が 様々な学校やプログラムで受けているサービスが,. データの分析。. どの程度統合されているのかを評価するために必要. 研究の過程で収集されたデータの大部分は質的な. とされた。その結果,統合の程度に関する校長の見. 性質を帯びており,特殊サービスの統合に関する自. 解は,実際に統合されている生徒数と時には大きく. 由記述形式の一連の質問に対する多くの人々の意見. 異なっていた。その一つの理由として,統合の実施. に基づいている。研究結果をより明確に伝えるため. 状況が連続的であるということが考えられる。例え. に,できる限り内容に関わる分析を行った。様々な. ばある学校では,専門家が1日に1時間だけ教室に ー125−.
(17) 三浦. 哲. 記載しなかった校長も認められた。. 釆ている。しかし他の学校では,予め教育課程の調. 特殊サービスの統合に関する校内の全般的な支持. 整がなされ,補助教翰が教室にいる。また専門家が 能力差のある生徒の小集団を編成し,個々の生徒の. の状況を,1点(最低)から10点(最高)の尺度で. ニーズに基づいて指導の内容や目標を改善しながら. 校長に評定してもらった。小学校の校長の回答では,. 授業を行っている。校長が,様々な特殊プログラム. 最低が2点で最高が10点,平均は6点前後であり,. を受けている生徒のための統合のレベルや有効性に. 中・高等学校の校長よりも多少高かった(0−8点. 関する質問に答える場合,これらの多様な定義を考. で平均4.75点)。中・高校生の採点の問題が頻繁に述. 慮したのかどうか不明である。. べられており,学習障害の生徒を統合している中・ 高等学校の教師の視点で検討する必要性が示され. 校長は統合に関する全般的な間者(一緒に計画を 立てる時間の必要性など)に関する情報だけでなく,. た。これらの評定結果をより詳細に検討し,職員に. あるプログラムを他のプログラムから際だたせるよ. よる援助のレベルが低いとされた学枚では,リソー. うな情報や,異なるニーズを持つ生徒へのサービス. スの訓練やモデリング,教材準備の領域などで職眉. を統合することの問題点などに関する情報も提供し. のニーズを満たすための計画を立てるべきである。. てくれた。. 校長の評定とコメントを資料Dに示す。 質問4は,「もしも学区が特別なニーズを持つ生徒. 半間に対する回答。校長に対する調査の第1部は,. や特殊プログラムの生徒を普通学級に統合するとい. 「校内での指導を組織・管理する校長として,特殊 サービスの統合はいかなる意味を持ちますか」とい. う目標を立てなかったとしたら,あなたは統合を実. う質問から始まっている。この質問の意図は,校長. 施しましたか」との質問であった。これは,学校管. が統合の概念の意味をどの様に感じているのか,そ. 理者の哲学的なスタンスや,特別なニーズを持つ生. して自分の学校で統合モデルを実施する場合の自分. 徒の統合に対する支持の程度を最も良く把握できる. の役割をどの様に考えているのかを見いだすことで. 質問である。5年間にわたる統合場面の導入や実験. あった。非骨に多様な回答が寄せられたが,生徒に. を経験した現在,校長は統合モデルの長所や短所に. 対するサービスをできる限り普通学級で提供すると. 関する考えを持っており,「それは良さそうな考え. いう全般的な概念から逸脱した回答は一つもなかっ. だ」というような態度では済まされない時期に釆て. た。中・高等学校のある校長は,「特殊サービスを統. いる。半数以上の校長が,学区が目標を設定しても. 合する意味は,特別なニーズを持つ生徒に対して,. しな〈ても,自分はサービスの統合を始めていたと. できる限り統制のない環境で,生徒のIEP(個別教. 答えた。しかしどの程度サービスを統合できるのか. 育プログラム)の目的を達成するために,普通教育. という点については,校内に集中リソース・プログ. の担任と特殊教育の教師が協力して指導を行うこと. ラムを持つ′ト学校の校長の回答に要約されるよう. だ」と答えた。この記述や他の大部分の回答では,. に,特定の要因に左右される。. 特殊教育プログラム(英オ児プログラムを除く)を 受けている生徒に対するサービスの統合について述. 「できる限り100%に近く,そして職眉が許す. べられており,ニカ国語や第Ⅰ章などの特殊プログ. 限り統合すべきだと思うが,それは生徒と教. ラムの生徒にまでこの定義を拡大した回答は少なか. 師の人数比(PTR)や計画立案のための時間,. った。特殊プログラムの領域や特殊教育の領域の生. そして子どものニーズによって異なる。全て. 徒に関する統合の問題については,本報告の後半で. の生徒が100%の時間統合できるわけではな. 検討する。質問紙に対する校長の逐語的な回答を資. いが,全ての子どもが多かれ少なかれ統合き. 料Dに示す。. れるべきである。」. 質問2では,過去3年間に学校単位で実施した, 特別なニーズを持つ生徒の統合に関する現職研修の. 学習障害と言語障害の生徒について,ある校. 一覧を作成してもらった。研修の主席は,行動の制. 長は次のように記述している。. 御,教育課程の改訂,英才児の指導法,嬰児に関す る認識など,様々であった。特別な学習者の処遇に. 「全ての時間を統合できる子どももいるが,. 関連する研修を8件もあげた校長もいたが,一つも. 大部分の子どもは部分的な統合であり,全く ー126−.
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