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児童・生徒の障害者に対する感情の分析 : 小学生と中学生のテレビ視聴感想文分析を通して

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Academic year: 2021

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(1)Title. 児童・生徒の障害者に対する感情の分析 : 小学生と中学生のテレビ視聴 感想文分析を通して. Author(s). 上谷, 宣正. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 44(1): 121-131. Issue Date. 1993-07. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/5291. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第44巻 第1号 44 1 ion(Sec ionIC)Vol i t ty ofEducat lofHokkaido Univers Jouma ‐ . , No. 平成5年7月 ly Ju ,1993. 児童・生徒の障害者に対する感情の分析 --小学生と中学生のテレビ視聴感想文分 析を通して --. 上. 谷. 官. 正. 1. 問題と目的 0年の間に 0年」は1 99 2年, つまり昨年で終了した. この1 1983年から始まっ た「国連障害者の1 「 1 981年の国際障害者年で掲げられた 完全参加と平等」 というテーマは どれほどかなえられたであ ろうか. 施策としては12月 9 日を 「障害者の日」 と定め, マスコミなどを利用して障害者理解を促 したり, 身体障害者雇用促進法を障害者の雇用の促進等に関する法律と改訂し, より多くの障害者 が社会で働けるようにしたり, グルー プホー ムが制度化され, 脱施設化が指向されたり, 学校教育. においては養護学校幼稚部の教育課程の基準が初めて示され, 障害児教育における早期教育の重要 性が認識されたり, 通級学級の制度化が認められ, 学校教育においても統合・交流教育が推進され た等があるが, はたして障害者が住みよい社会ができあがっ たであろうか. 筆者には10年前と本質 的には何も変わっ ていないように 思わ れ る. ち ょ っ と 自分 の周辺を眺めてみても, 電車, バスは障 害者には利用 できない構造のままだし, 町は構造的にも, 心理的にも障害者排除機構が強固に構築 されている. そのため障害者の10年はさらにあと10年継続されることになっ た. でもこのままい けば後10年経過 してもそれほどノーマリゼーショ ンは進歩するとは考えられない‐同和対策に見ら れるように, ノーマリゼーショ ンを推進するためには, 実際に どんな障害があろうとも障害者を強 引にでも健常者の社会に引き戻す必要がある. 障害者と健常者ができるだけ交流を持ち接触すると いっ た生温い対策ではこれ以上の進歩は期待 できないの である. 筆者はこれま で障害者がノーマライ ズさ れるための条件を, 健常者の面からはマスコミ, 交流教 育の効果, 障害者の面からは障害者自身の備えるべ き能力について分析してきている. これまでに 明らかになっ たことは, 現在の中学生は, ほとん どの者が障害者に対する情報は得ているが, 情報 源は主としてテレビというマスメ ディ アと家庭である. しかも情報は肢体不自由者に限られてる. 交流の効果は担当する教師に大きく依存し, 交流群で教師から得る障害者についての情報は, 交流 に熱心な教師からは80%以上, あまり熱心でない教師からは41%強でしかない‐ 交流の効果が現わ れるのは障害者との実際の接触体験である. 交流群は56%弱の者がこれまで身体や心に障害を持っ た人と話をしたり, 友達になっ た経験を持っ ているが, 非交流群は36%強でしかない. 交流教育は 健常者に障害者の知識は増加させるが, 障害者に対するネガティ ブな感情も増加させる危険性をは らん でいる. 小出 ( 1981 ) の研究でも, 障害者との接触経験が一概に障害者に対する理解推進, 態 度改善に作用するわけではない. 時にはその理解・態度の水準低下も認められる. と同じ結論に達 している. 現在行われている交流教育は再考される必要があることを示唆している. そこで本論文は交流教育を行っ ている中学校の1生徒が書いた感想文 「うちの学校の近くにもそ ういう人たちのいる学校がある. ぼくたちが小学生の頃, うちの学校の学芸会を毎年観にきていた, 121.

(3) . 上 谷 宣 正. ただ観るだけでなく一緒にうたを歌っ た. 僕は1-2年の時は, 何にも 思わないで喋れる生徒とは 喋っ たりして交流を結んだ. 5-6年になるとだんだん馬鹿にするみたいに笑っ たりしていた. 6 年生の学芸会の時一緒に舞台に上がっ て歌を歌っ た. その人達の舞台への上げ下ろしも手伝っ た, だけ ど僕は手伝わなかっ た‐ 中学生になって窓を見下ろすと病院の患者も歩いている. 中学1年の 頃教室の窓からその人たちに呼んだりして振り向いたら隠れるということを一時期 していた. しか しだんだんやめたくなっ たのでやめた‐ 部活で外を走ると, 養護学校にいる1人の少女がリハビリ みたいので2km を1人で歩いている姿をみた.僕はなんだか感動した.またこのテレビを視て最初 笑 っ て しま っ た. しか し 時 間 が た つ に つ れ て テ レ ビ に く ぎづ け に な っ た.」に 書 か れ て い る 1 ー 2 年. 生の頃は特別の差別 意識も持たないで, 素直な気持ちで障害者と交流していたが, 5-6年になる と障害者を意識しかえっ て差別を抱くようになるという所に交流教育の解決の糸口がある のではな いかと考え, 小学校の4年生と5年生およ び6年生, 中学2年生の間に障害者に対する感情あるい は考え方に どのような差異があるのかを明らかにし, より良い交流教育の形成に資することを目的 とする.. 1 1 .実験方法 1. 被験者 被験者者はなるべく 等質になるよう函館市内の新興住宅地の同じ町内にある小学校と中学校各1 校から選んだ. 小学校 叉は4年生から6年生までの全員を被験者にしたが, 中学校は設備および時間 的制約から, クラスに障害者がいなく, クラスの担任が障害者教育に対し特別熱心でもないしこれ といっ た偏見も持っ ていない2クラスを選んだ. なお両校とも特殊学級はないし, 特殊教育諸滞校 との交流教育等も全く行っ ていない. また校区内に障害者の為の施設等は存在していない. 表1 ●に示すように小学4年生は, 4クラスで男子81名, 女子59名, 計1 40である. 5年生は同 じく4クラス で男子7 7名, 女子58名, 計1 35名 である. 6年生は同じく4クラスで男子65名, 女 2名, 計137である. 中学生は2年生で11クラスの中から選んだ2クラスで男子35名, 女子36 子7 名, 計71名 である. 2. 験査年月日 中学2年生:1 991年8月 24 日第2教時 小学4年生:1 992年7月17日第2教時 小学5年生:1 99 2年7月1 6日第2教時 小学6年生:1 99 2年7月1 6日第4教時 表1 被験者の学年別男女別人数 学. 年. 4 年. クラス数 性. 別. 性別 人数 学年 人数 122. 5 年. 4. 6 年. 4. 中 2. 4. 2. 男子 女子 男子 女子 男子 女子 男子 女子 81. 59. 140. 77. 58. 135. 65. 72. 137. 36. 35 71.

(4) . 児童・生徒の障害者に対する感情の分析 3‐ 実験場所. それぞれの学校の教室, 図書館及びネ 児聴覚教室 4‐ 呈示題材. 題材選定理由 提示題材は, 障害の状態が誰にでも分かりやすく, 視聴後障害者イメージになるべくマイナスの 2 1 99 ) と同じも 効果を与えにくい, しかも小・中学生に理解しやすいものを選んだ. これは上谷 ( の であ る‐. 題材 1990 年 12 月 7 日 (金曜日)NHK の午前8時半からの番組おはようジャーナルの 「障害者のため. の絵画教室」 で放映されたものを20分 にまとめて用いた. 内容は次のようなものである.. 兵庫県西宮のある公民館で週2回絵画教室が開かれている. 主催者は障害者と健常者が一緒に絵. ・その絵画教室に通う30歳と35歳の2 を描くことでお互いを認め合う心を育てたいと考えている. 人の障害者が主人公である. 2人共女性で, 重度の言語障害をもっ た, アテトーゼ型脳性マヒ者で ある. 1人は上肢下肢共に障害がある. 座位がとれ, い ざり歩きはできるが, 生活は全介助 である. 普段は車椅子生活をしており, 母親が介助者である. 絵画教室に2 0年通っ て油絵を習っ ている. 父 親は8年前に亡くなり, 亡父が学生時代に描いた仏画に惹かれ, 3年前から本人も仏像を描くよう になっ た. 絵を描くときは絵の具の調合を介助者にしてもらい, 筆につけてもらい, さらに手に握 らせてもらわなければならない. キャン バスを紙めんばかりにして一筆一筆時間を掛て描く. 1枚 の絵を描くのに少なくとも半年はかかる. その絵が初めて売れた. 将来 プロとして絵で生活するこ とは出来ないだろう が, 今は絵を描くことに打ち込ん でいる. これからも今住んでいる自宅で暮ら したいという要望をもっ ており, 介助者である母親と別れた時のために市の施設で訓練も受けてい る.. もう1人は上肢は全く使えないが, 下肢には障害がほとん ど認められない. 3歳頃から足の指に 鉛筆をはさんで絵を描き始めた‐ 絵が大好きである‐ 養護学校を卒業し印刷工場で6ヶ月勤務した が, 頑張りす ぎて体をこわし, 辞めた. それ以降は プロ の画家として生計を立てる決心をした. 絵 のためならなんでもやる気構えである‐ 4人家族で, 家族が忙しい時は皆の夕食を1人で作る.テー ブルの上に腰掛けて足で全てのことをする. 包丁も使う し錬も使う. 火も水も使う. 料理もお花も 字を書くことも大変上手である.2 0歳の時から個展を開き,現在 では絵が売れるようになっ た.1 989. 年には世界身体障害者芸術家協会障害者の奨学金給付生に選ばれたし, 台湾で開かれる芸術展覧回 の日本代表にも選ばれた‐ 生活は有料介護者の助けを借りて自活している. 5‐ 手続き 被験者をそれぞれの学校の図書室及び視聴覚教室に連れて行き,「これから身体が不自由な人ので てくるビデオを見てもらいます. 後でそれについて感想を書いてもらいますのでしっ かり見ていて ください. 視聴時間は約20分です」 と教示して視聴題材を放映した. 視聴を終えた後ただちに B4 の用紙を1枚渡し 「今見たビデオについて感じたこと, 思っ た こ と を, こ の 用 紙 に 自 由 に 書 い て く ださい. できるだけたくさん書いてく ださい. 箇条書きでも構いません‐ 用紙は裏表使っ ても構い ませんし, 必要であればもう1枚別の用紙を差し上げますので, 申し出てください.」と教示して感 想文を書いてもらっ た. 記入時間は約20分 で あ っ た.. 123.

(5) . 上 谷 宣 正. m. 調 査 結 果 1. 文字数および文章数の分析 20分間という極く短い時間内に小学4年生, 5年生, 6年生および中学2年生はどれだけの文章 が書けるか調べるために, 感想文に書かれた文字数および文章数を分析した. 学年毎の文章の 見か け上の稚拙差を取り除く目的で, どの感想文も全て同じ基準で漢字混じり文に変換して比較した. ここで言う文字数とは,この処置を行っ た後の夫々の感想文に書かれた文字の総数のことを言い, 文章数とは, その感想文を意味が異なる毎に区切っ て単文化し, その区切っ た単文の総数のことを . 表2に示すよう に小 学4年生は文字数につ いては1人平均・ 239‐1文字 書いており, 5年 生 は 179‐8文字, 6年生は23 8‐1文字, 中学2年生は230‐4文字で5年生のみ有意に少ないが, あとのグ ルー プは皆2 30文字くらいで, 学年による差異は認められない. 男女別に見てみると, 男子は4年 表2 学年別, 性別文字数および文章数 4. 年. ・ 男. 女. 子-. 子. 全. 体. 文字数. 文華数. 合 計. 17,261. 272. 合 計. 16,217. 236. 合 計. 33,478. 508. 平 均. 215.8. 3‐4. 平 均. 270.3. 3‐9. 平 均. 239‐1. 3.6. 95.2. L5. S D. 114‐8. 1‐7. S. 107‐2. 1.62. 3‐046. 1‐9. S. D T. 5. 年. 男. 女. 子. 文字数. 文章数. 合 計. 11,938. 215. 平 均. 155.0. 2.8. S. 82‐48. 1‐408. 3.607. 3‐607. D T. 6. 年. 男. 文字数. 文章数. 文字数. D. 子. 全. 文章数. 体. 文字数. 文章数. 合 計. 12,328. 197. 合 計. 24,266. 412. 平・ 均. 212‐6. 3.4. 平 均. 179‐8. 3‐I. S. 101‐2. 1.4. S. 95.05. 1‐44. D. 文字数. D. 文章数. 、. 女. 子. 子. 全. 体▼. 文字数. 文章数. 文字数. 文華数. 文字数. 文章数. 合 計. 13,335. 235. 合 計. 19,286. 275. 合 計. 32,621. 510. 平 均. 205‐2. 3‐6. 平 均. 267.9. 3‐8. 平 均. 238.1. 3.7. S. 91.62. 1.8. S. D. 94‐74. 1‐26. D. 98.I. 1.54. 3‐9. 0.769. D T. 中. 2. 男. 女. 子. 文字数. 文章数. 合 計. 7,243. 148. 平 均. 206.9. S. D T. 124. 子. 全. 文字数. 文章数. 合 計. 9,112. 169. 4‐2. 平 均. 253‐1. 4‐8. 136.7. 2.1. S. 118‐6. 1‐62. 1.5. 1‐2. D. S. 体. 文字数. 文章数. 合 計. 16,355. 317. 平 均. 2304. 4.5. 129. 1.8. S. D.

(6) . 児童・生徒の障害者に対する感情の分析 0‐3文 2文字, 中2は206‐9文字. 女子は4年27 生 215.8 文 字, 5年生は1 55文字, 6年生は205‐. ー 6文字, 6年生267 字, 5年生生212‐ ‐9文字, 中2は253‐1文字でT検定を行っ たところ, 中2の み有意差は認められない が, あとの学年はいずれの学年も女子の方が男子より0‐1%水準 で有意に 6 であり, 5年 多い文字数を書いている事が分かる. 文章数についてみると4年生 では1人平均3‐ 生 は 3‐1 であ り, 6年生は3 ‐7であり, 中2は4‐5で分散分析の結果4年生を除いて文章数は学年 6 と共に多くなる傾向が認められる. 男女別 では男子は4年生は3‐4 , , 6年生は3‐ , 5年生は2‐8 8でT検定を行 た結 中2は4 9 5年生は3 4 6年生は3 8 2 女子は4年生は3 で 中2は4 っ ‐, ‐ ‐, ‐, ‐ ,. 果5年生のみ男女間に有意な差が認められる. 以上の結果から2 0分間に感想文に書く文字数は,学年によっ てそれほど大きなの差異は認められ ないが, 男子よりも女子の文字数が有意に多いことが分かる. 文章数では, 4年生を除いて, 学年 が進むにつれ多くなる傾向が認められるが, 性差は認められないということが明らかになっ た. つ まり2 0分間に書く文字の数は年齢が進んでもそんなに大きな変化はしないが,文章の数は多くなっ ていくことが明らかになっ た. 今回のような文章の分析を行うには, 上の学年になるほど文章数が 多くなるので有利だと言えるかもしれない. しかし見方を変えるなら5年生のみが文字数, 文章数 共に突出して少ないという見方も できる. これはこの グループの固有の特性か, 一般的傾向かはさ らなる研究をまたなければはっ きり結論づ+けられないが,もしかりにこれが一般的傾向だとすれば, 4年生から5年生になる時にある種のギャッ プが生じていると言えはしないないだろうか. そこで 次に感想文に書かれた意味内容の面から分析を行い, そう した面を明らかにしていく.. 2. 文章内容の分析 分析方法は前回 (上谷1992 ) と全く同じ方法を用いた. つまり 書かれた感想文を意味内容に従っ て単文に分解 し, 全ての被験者の単文を寄せ集め分類 した. その結果表3に示すようにAか らLま での1 2種類のカテ ゴリーに分類することができた.カテ ゴリーAは主人公が非常に上手な絵を描く とか, 障害にも負 けずにがんばっ ているといっ た主人公の能力やがんばりに対する記述である. カ テ ゴリーBは障害者がこの世の中にこんなにも多くいたのかといっ た障害者の存在についての記述 で. カテ ゴリーCは障害者と実際に出会っ たとか, テレビで見た ことがあるといっ た被験者と障害者の接触経験についての記述で. 表3 カテゴリー分類. あ る‐ カ テ ゴ リ ー D は 介 助 者 は 大 変 だ ろ う と か, 絵 を 教 え て い る. カ テ. ゴ リ. 先 生 がす ば ら し い と か, 親 が よ く や っ て い る と か い っ た 障 害 者 を. A. 介助 したり, 教育したりする人にっての記述である. カテ ゴリー. B B. 障害者の存在. E は 障 害 を 持 っ て い る の でか わ い そ う と か, か わ い そ う と 言 う の. C. 接触経験. D D. 介助. E. かわいそう. F. 障害者差別 障害者差 別. G G. 障害者でなくてよかった 障害者でなくてょか. H. 障害者になったら. I 1. 差別はいけない 差別はぃけない. は障害者差別 ではないかといっ たかわいそうと表現している記述 であ る. カ テ ゴリ ー F は こ れ ま でに 自 分 が 障 害 者 を 差別 し た 経 験 があ る と か, テ レ ビ の 主 人 公 を 見 て 笑 っ て し ま っ た と い っ た 障 害. 者差別 の経験についての記述である. カテ ゴリーGは自分が障害 者でなくて良かっ たとか, 障害者になりたくないといっ た記述で あ る. カ テ ゴ リ ー H は も し 自 分 が 障 害 者 に な っ た ら テ レ ビ の 主 人. 公のように, はたして生きられるだろうかとか, 自分が障害者に )と思うにちがいないといっ た自分が障 なっ たら死んでしまいたじ 害者だっ たらどうなるだろうかと考えた記述である. カテ ゴリー 工は障害者を バカ にするのは人の気持ちを持っ ていないとか, 障. ・. 能力‐がんばっている. J. 障害者理解. K. 社会の役割. L L. 自分の役割 125.

(7) . . 上 谷 宣 正. 害者もなりたくてなっ たのではないので差別してはいけないといっ た障害者差別について反対の意 見の記述である. カテ ゴリーJは身近に障害者がいるので障害者の気持ちは分かりますとか, 障害 者は苦 しいだろうががんばってほしいといっ た障害者に対する理解あるいは反対に理解できないと いう記述である. カテ ゴリーKは障害者を理解するためには障害者と交流する必要があるとか, 会 社がもっ と障害者を雇っ てほしいとかいっ た世間が障害者の為に どうあるべきかを述べた記述 であ る. カテ ゴリーLは障害者の為に募金したいとか, 障害者の為に将・来福祉の仕事につきたいといっ た自分自身が障害者に何をなすべきかを述べた記述である. そこ でこのカテ ゴリーの記述に学年差, 性差が量的に存在するかどうか見るために, 被験者個々 の短文をこのカテ ゴリーに照らし合わせて, 分類できるカテ ゴリーがあればそのカテ ゴリーに1点 を与えるという方法をとっ て 点数化を行っ た. 同一の被験者では同じカテ ゴリーにいくつ分類でき てもそのカテ ゴリーには1点しか与えない方式を取っ た. この様に して 点数化し, グルー プ毎にそ の人数で割り各カテ ゴリーのその グルー プにおける出現頻度を求めたものが表4および図1である. 表4 学年別カテゴリー出現頻度 4 年. 年. 学 A. 能力・がんばっている. 5 年. 6 年. 中 2. 計. 割合. 計. 割合. 計. 割合. 計. 割合. 121. 86‐4. 113. 83.7. 125. 91.2. 65. 91.5. 障害者の存在. 34. 24‐3. 28. 20.7. 27. 19‐7. 15. 2LI. 接触経験. 15. 10‐7. 4. 3‐0. 24. 17‐5. 11. 15‐5. D. 介助. 13. 9‐3. 5. 3‐7. 13. 9.5. 8. 11‐3. E. かわいそう. 61. 43.6. 63. 46.7. 50. 36.5. 20. 28.2. F. 障害者差別. 25. 17.9. 24. 17.8. 40. 29.2. 13. 18.3. G. 障害者でなくてよかった. 27. 19.3. 28. 20.7. 24. 17.5. 6. 8.5. H. 障害者になったら. 41. 29.3. 26. 19.3. 25. 18.2. 17. 23.9. 差別はいけない. 11. 7‐9. 9. 6.7. 24. 17.5. 13. J. 障害者理解. 68. 48‐6. 25. 18.5. 91. 66‐4. 48. 67.6. K. 社会の役割. 3. 2‐1. 3. 2‐2. 12. 8‐8. 13-. 18‐3. L. 自分の役割. 19. 13.6. 15. ILI. 30. 21‐9. 22. 31‐O. T f. ▲. B C. ^ U ^ U ^ U 7′ ′ n v r ). 114年. nv ・ ^ U ^ U ^ = v ^ = ) △1 へ j つ一 1▲. □5年 園6年 圏 中2. E. F. G. H. I. J. K. 図1 学年別カテゴリー出現頻度 126. L. ‐. 18.3.

(8) . 児童・生徒の障害者に対する感情の分析 カテ ゴリーAは4年生は86‐4%が記述し, 5 年 生 は 83‐7%, 6 年 生 は 91‐2%, 中 2 は 91‐5% と どの群もほとん ど全ての者が記述しているこ とが分かる‐ 群間に差は認められない. カテ ゴリーB は4年生は24‐3%, 5年生は20‐7%, 6年生は19 ‐1%でこの群も群間に差は認め ‐7%, 中2は21 ら れ な い. カ テ ゴ リ ー C は 4 年 生 は 10‐7%, 5 年 生 は 3‐0%, 6 年 生 は 17‐5%, 中 2 は 15‐5% で 5. 年生が極端に低い出現頻度を示すが, 学年間に規則的な差異は認められない‐ 以上の3つのカテ ゴ リーは状況的記述とでも言えるもので,,被験者の心理的なあるいは感情的な側面はほとん ど問題に していないので, ここではこれ以上の分析の対象にはしない. カテ ゴリーDは4年生は9 ‐3%, 5年 生 は 3‐7%, 6年生は9 3%でこのカテ ゴリーも5年生が極端に 低いが, 4年生の .5%, 中2は11‐. データを除いてみてみると, 5年生, 6年生およ び中2の間で学年が進行するにつれて 高くなる傾 向が認められる‐ 資料としては出していないが, 前回の調査結果ではこのカテ ゴリーは女子に突出 して多いカテ ゴリr であっ たが, そのような傾向は今回は認められなかっ た. カテ ゴリーEは4年 生 は 43‐6%, 5 年 生 は 46‐7%, 6年生は3 2%で学年進行と共に減少の傾向が認 6‐5%, 中2は28‐ 9‐ 2%, 中2は1 8‐3%で め ら れる. カ テ ゴリ ー F は 4 年 生 は 17‐9%, 5 年 生 は 17‐8%, 6年生は2. 9‐3%, 5年生は 6年生が多いが学年間に一定- の傾向は認められない‐ カテ ゴリーGは4年生は1 20‐7%, 6年生は1 7‐5%, 中2は8 ‐5%で学年進行と共に減少の傾向が認められる‐ カテ ゴリーH は 4 年 生 は 29‐3%, 5年生は1 9 ‐3%, 6年生は18‐2%, 中2は23.9% で4年生と中2が高く, 5. 年生と6年生が低いが学年間に 一定の傾向は認められない‐カテ ゴリー1は4年生は7 ‐9%,5年生 は6.7%, 6年生は17 ‐5%, 中2は18‐3% で4年生と5年生が低く, 6年生と中2が高い. カテ ゴ リ ー J は 4 年 生 は 48‐6%, 5 年 生 は 18‐5%, 6 年 生 は 66‐4%, 中 2 は 67‐6% で カ テ ゴ リ ー 1 と 同. じく4年生と5年生が低く, 6年生と中2が高い. カテ ゴリーKは4年生は2‐1%, 5年生は2 ‐2%, ゴ 6年生は8‐ 8%, 中2は18 ‐3%で学年進行と共に増加する傾向が認められる‐ カテ リーLは4年 生 は 13 2‐0%, 中2は31‐0%で4年生を除くと学年進行に従っ - .6%, 5 年 生 は 11‐1%, 6年生は2. て増加する傾向が認められる. 以上の結果からカテ ゴリーEとGは学年進行と共に減少の傾向が認められ, カテ ゴリー1, j, Kおよ びLは学年進行に従っ て増加する傾向が認められる. つまりかわいそうとか障害者にならな くてよかっ たとか言う障害者差別的感情表現は学年と共に減少の傾向を示し, 障害者差別 をしては いけないとか障害者理解とか障害者に対して社会や自分は どうあるべ きかといっ た障害者に対する ポジティ ブな表現が増加 していることを示していることが分かる. しかしこの結果からただちに年 齢が増加するにつれて障害者意識はだんだん良くなるという結論は引き出せない. 少なくとも障害 者差別に対する意識は増加するということだけは言えるが. そこ で次に以上の量的分析 で学年進行と共に 一定の傾 向が見られるカテ ゴリーE, Gとカテ ゴ リー1, j, Kおよ びLに焦点を当てて内容の質的分析を行う. カ テ ゴ リ ー E, 「か わ い そ う」と い う 言 葉 は 4 年 生 で は, 『足 を 使 っ て 描 く の が と て も か わ い そ う』 ,. という表現にみられるように全員, 憐れみを表現し差別 性が含まれていることをほとん ど意識しな い で用 い て い る. 5 年 生 に な る と, 『笑 っ て い た け れ ど だ ん だ ん か わ い そ う に な っ て き た』 , あるい. は, 『足なんか使っ て汚いと思っ た. でもかわいそう だなあ』, という表現に見られるように差別よ りは上位にランクされる使い方が現われる. さらに,『体が不自由だからといっ て一所懸命生きてい る人に向かっ てかわいそうな どと思っ ていたらむしろ私なら腹が立ちます. かわいそう だと思うと いうことは, 私達とは違うと差別 しているように思えるからです. だから私はかわいそう だなんて 思いません.』 , という文章のようにかわいそうという言葉は差別用語であるとはっ きりと認識した 表現も でてくる.6年生では障害者から見ると,『哀れな目をされたりかわいそうなどといわれたら, 127.

(9) . 上 谷 宣 正 シ ョ ッ ク だと 思います. いくら自分 が障害者だと分かっ ていても普通の人と同じくらいがんばり努. 力しているのだから, 反対に褒めてあげるべきだと 思います.』 , という表現に見られるように障害 者の側に立っ た考えができるようになっ ている. 中2では 『かわいそうと見る人がいるけれど, そ れよりもその人方が不便なことをやっ てあげたり, 教えてあげたり, 話相手になっ たりして, お互 いの心が通じ会うことが大切だと思う』 ,という表現に見られるように障害者には頭で考えるよりは 行動が大切だということが理解できてきていることが伺える表現がでてきている. こう してみると ′に思われる. 4年生と5年生の間にかわいそうという言葉の認識に大きなギャッ プが存在するよう 4年生まではただ単に障害者は哀れなかわいそうな存在だから, 障害者と実際に接してもあまり身 構えたりしないが, 5年生以上になるとかわいそうという言葉には差別性が含まれていることが意 識化され, それが実際の障害者に対する感情と葛藤するためかえっ て障害者と出会うと身構えてし まうの ではないだろうか. ただしこれも女子についてのみ言えることで男子はこう した変化は認め ら れ な い.. 『 カテ ゴリーG, 障害者でなくてよかっ たは, 4年生は 『目分は障害者になりたくない』 , 自分は 障害者にならなくてよかっ た』 という表現に見られるように自分 の こ と の み に 目 が 向 い て い る が, 『 5年生以上になると, 『僕は健康で幸せだけれど』 , とか 障害者に比べ幸せ』 , という表現に見られ 『 『 るように障害者を意識した表現をするようになり, 自由に身体が動かせるのは嬉しい』 , 障害をも 『 た な い 人 は 幸 せ』, 『僕 達 は 自 由』 うに一般論 , 自分 達は五体満足で幸せ』 , という表現に見られるよ、. として表現できるようになる. ここでもやはり4年生と5年生の間にギャッ プが存在することが伺 え る.. 次に4年生, 5年生, 6年生および中2と学年が進行するにつれて増加していくカテ ゴリーにつ いて分析していく. カテ ゴリー1, 差別はいけないは, 4年生では, だから今度から絶対身体障害者をバカにしない 「もう僕はそんな ようにします. こういう人達のことも考えて笑っ たりしないようにしたいです. 『 人に悪ロは言わない」 と思っ た. これから身体障害者を見ても普樋1の顔でいたいと 思い ま す.』 と い う表現に見られるように, やはり自分はこうこう したいという自分を中心とした表現形のみをとっ ている. これが5年生になると, 町中では偏見の目で見ている‐ 障害者は偏見の目で見られている. 障害者に対ししらん顔をするのは悪い. というように一般論で論じ始め, 6年生になると, 『小さい 頃いじめられただろう. 人間どう して平等でないのか. 笑っ たりした自分がはずかしくなってきま した. 障害者を白眼視するのはかわいそう.』 , という表現に見られるように障害者の立場に立っ た り, 自分 を反省 したりできるようになる. さらに中2になると,『身体障害者をバカにしてはいけな い, 差別された時のことを考えてほしい. 周りの人は障害者をどう見ているだろう, 差別 している.』 という表現に現われているようにその傾向がさらにはっ きりしてくる. 『 カテ ゴリーJ, 障害者理解は, 4年生では,『障害者でも色々 できる』 , 障害者は自分 が障害をもっ 『 『 て嫌だろう』 , 障害者の苦労が分からなかっ た』 , 身体障害という病気はこわいなあと心の中で 思っ 『なぜ障害者は生まれるか』 『自分も障害者になる可能性がある』 『障害者も普通の人と同じ た』 , , , 『障害者にも悩みがある』 『世の中から障害者がいなくなるとよい』 『障害者を理 に生きている』 , , , 『 解する人が必要』 , 障害者についてあまり考えたことはない』 , というようにプリミティ ブな記述が ほとん どである. 5年生では,『障害者は絵だけしかできないのか. 障害者も自由に動きたいにちが 『 『 いない』 , 一度障害者を経験してみたい』 , 障害者も正常な人に生まれてきたかっ たにちがいない』 , 『障害者も人生を楽しんでいる 両親に感謝しているに違いない』 『障害者も認められたいと限って . , 『 いる』 , 障害者も普通の人と同じことができる, 早く良く なってほしい. 障害者はなりたくてなっ 128.

(10) . 児童・生徒の障害者に対する感情の分析 たのではない』 , というように障害者の気持ちに踏み込ん で4年生より広い視野から記述している. 『 『 『 6年生は, 障害者にと っ て美術は大切』 , 同じ人 , 自分が骨折した時障害者の不自由さを知 っ た』 間なのに どうして障害者に生まれるのか. そうなりたくてなっ ているわけないんだから皆で何とか 『 『 してあげればいいと 思いました.』 , 障害者は生まれ変わっ , 障害者も普通の人と同じになりたい』 『 『 たとき五体満足でいてほしい』 , 障害者も人間. 障害者は毎日どんな 思い で 暮 ら して い る か.』, 普 『 通の人と平等に見たいかわいそうとか哀れとかいっ たら失礼』 , なぜ今まで体の不自由な人々のこ 『 『 とをよく考えていなかっ たのだろう』 , 障害者の , 障害者は障害がなかっ たらどんなに嬉しいか』 生まれるのは運』 ,というように障害者問題を自分と関連させて考えることができるようになっ てお り, 中2は, 『このテレビを視て改まっ て, 今ま で心で身体障害者に対する態度や自分の考えが違っ 『 『 てきたと 思います』 , 今僕達は自分達を見つめ直さなければな , 普通の人に負けまいとしている』 『 『 らないと 思う』 , 私は1度も , これから私達は障害者について考えなきゃ いけないと 思いました』 その子に手を貸してあげることはできませ んでした. なぜなのかは分からないのです. 勝手に忘れ 『 ているのかも知れません.』 , 特技の無い障害者は どう しているのか. 同じ人間でどう して障害者が 『 生まれるか』 ず面 でしか自立できない. がんばっ て普通の人のようになってほしい』 , , 障害者は芸術 『普通人に負けまい 『障害者は勝手になっ てしまう』 『身体障害者について深く考えたことはない』 , , としている』 , というようにさらに自分 の内面に迫っ た記述をするようになっ ている. カテ ゴリーK, 障害者に対する社会の役割については, 4年生は 『障害者には手助けする会が必 『 『 要』 , いろいろな障害者のことを多くの , みんなが健康 で, 一緒に遊べればいいなと思いました』 『 人に知っ てもらいたいです』 , 今の函館は, 障害を持っ た人に車椅子で乗れる バスも, 電車も, そ してトイレその他, いろいろ作っ ていません. そんなことを今の科学をどん どん発達させて, 二十 一世紀に向けてやっ ていっ たらどんなに将来の函館にいる障害者が喜んで利用してくれるか分かり ません. そんな人の為の物を作っ てあげたらいいと思います.』 , というようにあまり具体的な記述 『 にはなっ ていない. 5年生では, こういう人達のために協力をしてやらなければならないと思いま す. 自分たちが不自由になっ たら, 誰かがついていてくれなければ, やりたいことも, やりだせな いから, 気味が悪くても, 優しく協力してやらなければならないと思います. いろんな所の会社, 金持ちの会社 が寄付すればいいのに.』 , というように少しではある が具体性が表現さ れるように なっ ている. 6年生は, 『身体障害者のために, もう少し行事や, 試みなどをたくさんやっ て, 身体 障害者の人にもリラ ッ クスしてもらいたいと思います‐ 身体障害者だけの絵の大会だけでなく普通 『 の人と一緒にやっ たほうがいいと思いました.』 , そうゆう病気を治す何かを作ればいいなあと思い 「 『 ます』 , テレビにもあっ た 親子の絵描き大会J のように, 障害の人と私達と触れ合っ て分かり合 えればいいと思う. 障害者とそう でない人とが一緒になっ て絵を描いて交流を深めるのはいいこと だと私は思います. 30人の人達だけ でやる絵を描く人達も, その会をやめてほしくありません. そ こは, 普樋1の人と, 障害を持っ ている人が触れ合う, 大切な場所だと 思う か ら で す‐』- 中 2 では, 『障害をもっ た人を大切にすることが 日本は障害をもっているからといっ て差別 しないことが日本 , 『 を明るくすることだと 思います』 , 身体が不自由な人のための高校や小中学生の学校を作っ て欲し 『 いです』 , 企業も障害を持つけれど実力がある人達をどん どん伸ばしていっ たらいいと思う. もっ 『 とそういう 人が社会にでても安心できるような世の中になればいいと 思う』 , 私は口で身体障害者 の人が困っ ていたら助けるという 人はたくさんいるけれど, それを本当にしている人はその何分の 『 一 しかいないと 思います』 , 障害者だっ て パソコンや色々機械をいじれるんだから, 普通の会社で 『 も働けると思っ た』 , 世界中にはまだ身体に自由のない人が大勢いるでしょう. その人達のために ももっ とたくさん学校を開いて欲しいです.』 ,というように考えている対策に具体性がさらに増し, 129.

(11) . 上 谷 宣 正. 健常者との交流の必要性を主張するようになっ てく -る. 『 ゴ カテ リーLは, 4年生 では, 今までは, お年よりや体が不自由な人な どに席などを譲っ てあげ 『 なかっ たけど, 今度からはバスなどでは積極的に席をゆずっ てあげようと思います. 』 、 , ぼくは不自 『 「 由な人に寄付をしたいと 思いました』 ・幸せを半分分けてあ , このビデオを見て, かわいそうだな, げた い … …」と 思 い ま し た.』, 『住所が分かれば手紙を届けてあげたいと思いました』 『できれば夢 , 『もし不自由な人が転んだら 絶対助け みたいな話だけれど’ 魔法を使っ て助けてあげたいです.』 , , ようと 思います.』,『もしも僕が治せるのであれば, その人たちを自由な体へと導きたいと 思っ て い 『 『 ます』 , 僕だっ たら自由を少しあげたいくらい です』 , 私は大きくなっ たら学校の先生にもなりた いけ ど, 体の不自由な人のためにも働きたい です. 体の不自由な人を励ましてあげたいという気持 『 ちでいっ ぱいになりました』 , これからも, バスとか電車とか で, 障害者や年寄りを見たら, 手を 貸してあげたい です.』 , という表現に見られるように, 障害者や年寄りに席を譲るとか, 寄付をし たいとか, 住所が分かれば手紙を届けるとか全て自己中心的で障害者に対する配慮がなされていな い. 対策も幼稚である. 5年生では, 『何か障害者の為に行動したい(こういう人が近くにいたら相 『 手をしてあげようと思いました.)』 , 私は, 少しでも身体障害者, 体の不自由な人に役立ちたいと 『 『 思います.』 , これからは体の不自由な人のことを考えていこう と 思いました』 , 将来こういう身体 『 障害者をお世話するボランティ ア活動をやりたいと 思います』 , 今度ああいう人がいたら, わたし 『私達もこういう障害者の人達と一緒に生きたいと私は 思い ま す』 は声を掛てみようと 思います』 , , と障害者に対し自己中心的, 直接行動的表現は影を薄めボランティ ア活動をしたいとか, 障害者と 一緒に生きたいといっ た相手の存在を意識した表現になっ ている. 6年生では 『そんな人達のため に, 僕達は何かしてやれないのだろうか.』 ,『僕の場合少しでもいいからこのような障害を持つ人に 『私の親戚 でも体の不自由な人がいるの で遊びにいっ たら少しでも面倒を見 力を分けてやりたい』 , 『 てあげたいなと思います』 , 障害者の人達に比べて, 私達はこんな健康な自由な体を持っ ているか 『 ら, 障害者の人達にはできるだけやれることは, やっ てあげたいと思います』 , 協力 できることが 『 『 あれば協力したいです』 , もしそういう 人な どを見た時は, ぜひ手を貸 してあげた いです』 , そし 『 「 て, 喜ん でもらうために何かしてあげたいです』 , 少しでも 力」 を身体障害者にあげたい気持ち です』 , と協力 できることがあれば協力したい, 少しでも力を貸してやりたいという表現に見ら れる ように, 自分の力量および相手の存在を強く意識している. 中2では, 『この人達を見てもバカにせ ず助けていくのが僕達にとっ てこの人達に対する一番良いことではないか. そんな人達が困っ てい 『 る時にはやはり僕達が助けなければならない』 , 僕も今度から障害者について色々考えてみたいと 『 『 思っ ている』 , 今僕達は自分達を見つめ直さなければならないと 思う』 , その人方が不便なことを やっ てあげたり, 教えてあげたり, 話相手になっ たりして, お互いの心が通じ合うことが大切だと 『 『 思う』 , 私ももっ とこういう人達が生活しやすい環境を作っ てあげないとだめだと思う』 , 困っ て 『 いたら助けてあげようと 思う』 , もっ と障害者が普通の人間と同じくらいの生活が できるよう施設 『 を考えたり, 助けたりする気持ちを持っ ていきたいです』 , これからはもう少しこういう人を理解 『 してあげたいと思う』 , その人達のためにももっ と自由な環境を作っ てあげたい・ そんなふうに 思 います.』 , というように考え方も成長しており, 対策も具体的である. 以上の結果から内容の量的分析 で明らかになっ た4年生とそれ以降の学年の間のギャッ プがます ますはっ きりした. 4年生は障害者に対する考え方が幼稚 で, 自分の極近くのことしか考えられな く, 障害者対策も具体性に欠ける. それに比べ6年生以上は障害者を考える場合, 障害者の身になっ て, 感情面にまで踏み込んだ考え方が できるようになっ ていることが明らかになっ た.. 130.

(12) . 児童・生徒の障害者に対する感情の分析. V. お わ り に 本研究は小学4年生, 5年生, 6年生および中学2年生の障害者ビデオ視聴感想文を分析するこ とによっ て, 障害者に対する考え方見方が年齢と共に どのように変化していくかを明らかにし, 交 流教育の新しい在り方を模索することが目的である. この調査の結果明らかになっ たことは次のこ とである. ( 1 ) 小学4年生は20分 という時間に書く ビデオ視聴感想文の文字数は, 5年生, 6年生あるいは 中学2年生と同じで, 約230文字である. しかしその文に含まれる意味内容は貧弱である. ( 2 ) 小学4年生は感想文の中で, 障害者はかわいそうとか, 障害者は怖いとか, 変な人だとかい う言葉を5年生やそれ以上の学年の者と比べると多くの者が使っ ている. しかしこれらの言葉 に障害者差別 の意味が込められていることをほとん ど意識していないで使っ ている. ( 3 ) 小学4年生はまた障害者差別 がいけないとか, 障害者に対し社会や自分 は何をすればいいか 書いている者が非常に少ない. 書いている文章も自己中心的で, 相手のことを 思い や る こ と が 云 まし・.. 以上のように小学4年生は今回のようなテレビ視聴感想文を書かせた場合, それ以上の学年の者 と同じ文字数を書くことができるが, 内容は貧弱で交流教育の影響とか障害者との接触体験の影響 といっ た実験の被験者としては不適当ではないかと 思われる. また4年生までは障害者に対しかわ いそうとか, 怖いとか, 汚いといっ た言葉をそれ以降の年齢のものより多くの者が用いるが, その 言葉に障害者に対する差別性が含まれていることをあまり意識していないよう である‐ 5年生にな ると差別意識が発達しそういっ た言葉の使用頻度が少なくなる‐. 咽. 参 考 文 献 1) 安藤隆男, 平山諭. 19 87:統合教育に対する教師の意識, 特殊教育学研究, 24 4 0一17 ) ,( ,1 2) 入枝 俗, 1 98 0:障害児に対する地域住民のイメージについて, 北海道教育大学紀要, 第1部C, 第30巻, 第2 号, 341一349. 3) 上谷宣正,1 99 2二中学生の障害者との接触度実態調査--交流群と非交流群の比較を通して -- 3 , 人文論究, 第5 号, 7‐107. 9 4) 上谷宣正,19 2:中学生の障害者意識の分析-- 交流群と非交流群のテレビ視聴感想文を通して--ゴヒ海道教育 大学紀要, 第1部C, 第43巻, 第1号, 1 93一20 8 5) 小出 進, 19 81:精神薄弱社に対する社会意識, 教育心理学年報, 21 33一144 ,1 6) 清水貞夫, 19 8 5:精神薄弱社に対する意識や態度の研究, 特殊教育学研究, 22 4 8一6 ) 1 ,{ ,5 7) 中村 勝, 197 0:精神薄弱者についての社会的観念に関する因子分析的研究, 青森短大紀要, 7 , 13-24 8) 中村 勝, 197 6:精神薄弱者に対する態度の因子分析, 愛媛大学障害児研究室紀要, 1 1 1 3 一 1 36 , 9) 日本精神薄弱者福祉連盟編, 19 91:精神薄弱者問題白書199 1・9 2年版, 日本文化科学社 1 ) 山口洋史, 19 0 69:中学生の 「精神薄弱児に対する態度」 の-考察, 部強だ医学社会学論叢, 3 5-6 5 ,5 ) 銭本三千年, 1 1 1 977:視覚障害別冊特集号, アメリカの挑戦--差別なき社会を目ざして --, 日本盲人福祉研究. 会. 〈付記〉 本研究を行うにあたり, 函館市本通中学校および函館市立本通小学校の先生方には大変お世話になりました. ここ に厚く感謝の意を表します-. 131.

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参照

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