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発達障害児における報告内容選択行動の獲得が家庭場面の報告言語行動に及ぼす効果

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(1)発達障害児における報告内容選択行動の獲得が家庭場面の報告言語行動に及ぼす効果 障害児教育専攻 木村 恵津子 1問題と目的. 発達障害児に対する報告言語行動の形成に関. 親に日常生活場面における会話録音の依頼を行. する先行研究において、情報刺激(=報告内容)が. った。そして、録音された会話の中で学校での出. 決められた状況で、聞き手を選択して報告言語行. 来事について取り上げている場面について分析. 動を指導した研究はみられる(松岡・澤村・小林,. を行った。. 1997;井上,2000)ものの、聞き手が決められた状. ②ベースライン(出来事4条件16課題). 況で、報告内容を選択して報告言語行動を指導し. 報告内容選択課題が書かれたプリント(「お母. たものはみられない。そこで、本研究では、学校. さんが、『Yちゃん、今日学校どうだった?』と. で起こり得る出来事のうち母親が知りたいと思. たずねてきました。Yちゃんが学校であった出来. う出来事を選択する行動を形成し、さらに形成さ. 事は、…。Yちゃんは、どの出来事をお母さんに. れた報告内容選択行動が、報告言語行動として日. 伝えますか?カッコの中に、答えを書いてくださ. 常生活場面に般化可能か検討することを目的と. い。」)を提示し、空欄に答えの番号を記入して. する。加えて、訓練後の母親の聞き取りから、対. もらった。. 象児の報告言語行動が日常生活場面における母. ③出来事・理由選択訓練(出来事4条件4課題). 親との会話に及ぼす影響について考察する。. 内出来事が書かれたカ」ド4枚を提示し、「お母. 皿方法. さんが知りたいと思う出来事はどれだと思いま. (1)対象児. すか?カードを読んで、答えを選んで下さい。」. 対象児は、13歳6ヶ月(訓練開始時)の自閉的・. と教示し、選択してもらった。次に、理由が書か. 傾向を有する女児(Yちゃん)1名である。生活年. れたカード4枚を提示し、「どうしてお母さんは. 齢12歳10ヶ月時の精神年齢は9歳1ヶ月(日本. その出来事を知りたいのだと思いますか?カー. 版WISC一皿)であった(VIQ62、 PIQ86、 FIQ71)。. ドを読んで、答えを選んで下さい。」と教示し、. (2)刺激材料. 選択してもらった。. 本研究では、条件(1)Yちゃんの体調について. ④プローブ(出来事4条件16課題). の出来事、条件(2)Yちゃんが困ると思う出来事、. 条件(3)Yちゃんの学校における明日の予定、条件. ベースラインと同じ。. ⑤般化プローブ1(出来事4条件8課題). (4)Yちゃんが先生と行事について話した出来事、. ベースラインと同じ。ただし、正答に共通する. の4条件をお母さんが知りたいと思う出来事とし. 語句を手がかりとして選択しているか否かを確. た。. かめるために、新たに作成された課題を用いた。. (3)訓練手続き. ⑥般化プローブ2(出来事6条件12課題). ①実態調査(日常生活場面). ベースラインと同じ。ただし、一日にお母さん. 「対象児と母親の日常生活場面において行われ. が知りたいと思う出来事が複数あることを想定. る自然な会話について調査したい」と対象児の母. して、8肢選択2正答の報告内容選択課題を行っ.

(2) た。. ⑦日常生活場面テスト1 対象児が学校から帰宅した後、母親に「Yちゃ ん、今日学校どうだった?」とたずねてもらい、. 対象児の報告内容をカセットテープに録音して もらった。. ⑧日常生活場面テスト2 日常生活場面テスト1と同じ。ただし、学校外 での出来事(トライやるウィーク:兵庫県下の公 立中学校で行われる職業体験実習。各生徒が希望. ブロック目10096、4ブロック目100%。 ⑤般化プローブ1. 1ブロック目100%、2ブロック目100%。 ⑥般化プローブ2 1ブロック目100%、2ブロック目100%。 ⑦日常生活場面テスト1 条件(2)と条件(3)については報告言語行動に 般化した。. ⑧日常生活場面テスト2 条件(Dは、側にいた訓練者に報告できたが、. する職場で1週間実習を積む。対象児の実習先は. 実習先から帰宅して母親に報告することはでき. 0屋さん)を評価対象とし、お母さんが知りたい. なかった。. と思う出来事4条件のうち条件(Dと条件(2)に焦. ⑨維持(日常生活場面テスト). 点を絞って報告できるか否かを測定した。 ⑨維持(日常生活場面). 日常生活場面テスト1と同じ。. 条件(2)と条件(3)の報告は見られた。. 1V考察. 本研究の結果から、報告を行わない発達障害児. 皿結果. に対して報告できるようになるためには、情報刺. ①実態調査(日常生活場面). 激の統制機能の観点から「何を報告すれば良いの. 対象児が自発的に母親に報告することはなく、. か」という報告内容選択行動の形成を図ることの. 母親から学校での出来事について質問されて、対. 重要性が示唆された。また、対象児が、お母さん. 象児が応答するというパターンばかりであった。. が知りたいと思っている出来事が弁別できたこ. また、母親も知りたい出来事について、対象児が. とで、母子の会話において訓練前には見られなか. 弁別できるように具体的に質問を提示している. った母親への話題提供が多く行われるようにな. わけではなかった。. った。今後の課題としては、日常生活場面の様々. ②ベースライン. な文脈で報告を行うことによって随伴する話し. 報告内容選択課題の正答率(以後、省略)は、1. 手と聞き手の強化価値の分析を詳細に行う必要. ブロック目5096、2ブロック目50%、3ブロック. 性が示唆された。さらに、報告言語行動の形成可. 目5096、4ブロック目2596(1ブロック目が訓練. 能性を高めるために、日常生活場面における具体. 用課題)。. 的な文脈の中で、どのような言語刺激を表出すれ. ③出来事・理由選択訓練. ば話し手の強化価値が高くなるのかについても. 1ブロック目50%、2ブロック目100%、3ブ. 検討していく必要性がある。. ロック目10096。. ④プローブ. 1ブロック目100%、2ブロック目10096、3. 主任指導教官 藤田継道 指導教官 藤田継道.

(3) 発達障害児における報告内容選択行動の獲得が 家庭場面の報告言語行動に及ぼす効果. 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 障害児教育専攻 MOOO85B 木村恵津:子.

(4) 一目次一 1問題と目的… 一一一一一・・・・・… 一一・・… 1. H方法・一一一一一・・一・・・・・…一一…・・・…6 1.訓練場所・一一一一一・・一一一・・一一・・… 7. 2.対象児… 一一一一一一一・・・… 一一一… 7 3.刺激材料・一一一一・… 一・・一・・一・・一一・8 4.ターゲット行動・一一一・・一一・・一・・・・… 18 5.実験デザイン・一一・・・・・・・・・・・・・…一一・18. 6.訓練期間・一・・一一一・・一・・一・… 一・・一・18 7.訓練手続き・一・… 一一一・・一・・・・・・・・… 18. 8.報告内容選択行動の正答率の算出方法・… 23 1H結果・一一・・一一一一一一・… 一一・・・・・・… 24. 1V考察・一一一・…一・・一…… …・一・・一… 33 V要約・一一一一・・一一一一・… 一・・・・・… 一・41. 引用文献 謝辞.

(5) 1問題と目的. 1.

(6) 発達障害児を対象とした言語訓練において、応用行動分析学が果たし てきた固有な貢献とは、言語行動に対してあくまでもその社会的機能を 重視したという点にある(望,月,1997)。. 応用行動分析学では言語を言語行動として捉え、行動随伴性の観点か ら言語の分析を行う(佐藤200D。つまり、単なる言語反応型(トポグラ フィー)に惑わされることなく個々の行動随伴性の中でその言語行動の 持つ「機能」を分析していく(井上,200Dのである。したがって、応用行. 動分析学からのアプローチにおける発達障害児の言語訓練は、様々な文 脈において言語行動が機能的に用いられることを目指して行われてきた のである。. Winokur(1976)によると、Skmner(1957)は、言語行動を、ある個体の. 属する言語共同体の成員によって強化されることにより、形成・変容・維. 持されるオペラント行動と定義した。そして、言語行動を行動随伴性に 基づいて大きく要求言語行動(マンド)と報告言語行動(タクト)に分類し た。. 要求言語行動とは、特定の確立操作が主要な制御変数でその確立操作 に対応した強化により形成・維持されている言語行動のことである。一 方、報告言語行動とは、物や出来事、あるいはその特徴が弁別刺激で般 性強化(承認、賞賛、お礼等)により形成・維持され、弁別刺激と反応と の間に1対1対応のない言語行動のことである(杉山・島宗・佐藤・マロッ ト・M.E.マロット」998)。. これまで、発達障害児に対する言語訓練において、要求言語行動の訓 練は発達障害児の要求の実現確立を高めるという観点から、多く取り上 げられてきた(Sosne,Handleman and Harris,1979;藤i原,1985;加藤,19 88;Yamamoto&Moch i zuki,1988;貯金,1992,1997,1999;松岡・野呂・. 2.

(7) 小林,1996)。一方で、報告言語行動も要求言語行動と同様に発達障害児 にとって重要であるにも関わらず、報告言語行動に関する研究は少ない。. なぜならば、報告言語行動は要求言語行動と比較して制御変数が複雑で あるため、発達障害児に対して報告言語行動を形成させ、維持させるこ とは難しいからである。したがって、報告言語行動を制御する変数につ. いて詳細に分析し、発達障害児に対する報告言語行動の形成に関する研 究を発展させていく必要がある。. 現在までの発達障害児の報告言語行動の形成に関ずる研究において、 井上(2001)は、報告言語行動を制御する主な弁別刺激として①物や出来 事などの情報刺激と、②聞き手(audience)の存在を挙げている。. ①物や出来事などの情報刺激の制御について取り上げた研究として は、山本(1997)\坪網・山本(1991)が挙げられる。山本(1997)は、報告 言語行動における情報刺激が、(1)事物の存在、(2)他者が行った行為、(3). 自己行為へと刺激性制御が移行していくことを明らかにしている。さら に、刎田・山本(1991)は、発達障害児を対象に、情報刺激として自己活 動にともなう私的出来事(楽しかった、びっくりした)についても条件性 弁別訓練によって報告可能になったことを示した。 次に、②聞き手(audience)の制御について取り上げた研究としては、 松岡・澤村・小林(1997)、井上(2000)が挙げられる。松岡ら(1997)は、. 自閉症児1名を対象に、終助詞付きの報告言語行動の形成を試みている。 聞き手の「報告内容の既知/未知」に応じて、終助詞「∼ね(聞き手の報 告内容既知が前提となる情報共有機能)」 「∼よ(聞き手の報告内容未. 知が前提となる情報提供機能)」を付加した報告言語行動が条件性弁別 訓練によって形成された。さらに、訓練室で形成された終助詞付き報告 言語行動が、家庭場面においても観察されたと報告している。また、井. 3.

(8) 上(2000)は、自閉症児1名を対象に、聞き手の「報告内容の既知/未知」. の条件性弁別訓練を行うことで、2名の聞き手のうち活動内容を知らな い聞ぎ手を選択して、報告できるようになったことを明らかにしている。 このように先行研究では、情報刺激(=報告内容)が決められた状況で、. 聞き手を選択して報告言語行動を指導した研究はみられるものの、特定 の聞き手が決められた状況で、情報刺激(=報告内容)を選択して報告言語. 行動を指導した研究はみられない。この点について、山本G997)は、琴 平き手が特定の報告言語行動に対する弁別刺激として機能化すると同時 に、聞き手の反応がその報告言語行動についての特定的な社会的強化と. なる場面のもとで、報告言語行動が確立されるかについての研究の必要 性を述べている。日常生活場面では、特定の聞き手に特定の内容を報告 しなければならないという状況は多く存在する。例えば、学校からの連. 絡事項が通常と異なる場合、学齢期の子どもであればおそらく家族の人 にその内容を報告するであろう。この行動は、特定の内容(=学校からの 通常と異なる連絡事項)と特定の聞き手(=家族の人)が弁別刺激となり、. 特定的な社会的強化によって形成され、維持されている。特定の内容は、. 特定の聞き手にとって価値の高い情報である。言い換えれば、特定の内 容とは、特定の聞き手が聞きたい情報である。そのため、特定の聞き手 は話し手に特定的な社会的強化を与える。したがって、特定の報告言語 行動が特定的な社会的強化によって形成され、維持されるためには、聞 き手の制御だけではなく、情報刺激である報告内容の統制機能(何を報告 すれば良いのか)についても検討していく必要がある。. 本研究の対象児は、学校での出来事を自ら母親に報告することがない ため、母親が連絡帳や学校から配布されたプリント類をもとに、学校の 情報を収集しているとのことであった。また、時間割の予定変更を母親 4.

(9) に報告しなかったため、母親が仕事先から帰宅し、学校にいると思って. いた対象児が既に家に帰っていたため驚いたというエピソードも母親か らの聞き取りで明らかにされた。さらに、予備調査として行った家族間. の会話録音テープからも、対象児が学校で履いている上履きの片方が破 れていたことを、母親が学校に迎えに行った時に気がっき、新しい上履 きを買いに行ったというエピソードが明らかにされた。もし母親が気づ かなければ、対象児は破れた上履きを履きつづけていた可能性がある。. このエピソードからも、母親が要求している情報を、対象児が弁別し報. 告できるようになることは、母親の要求を満たすだけではなく、対象児 への適切な支援ができることにもつながる。発達障害児を含め学齢期の 子どもにとって、身近な人(例えば、家族の人)に報告できるようになる. ことは、連絡・危険やトラブルの回避といった生活の質を向上させるこ とにもつながる。同時に、学齢期の子どもをもつ家族にとっても、子ど もの報告から情報を得られることによって、精神的な負担が軽減される 場合も少なくない。. そこで、本研究では、学校で起こりうる出来事のうち母親が知りたい と思う出来事を弁別し選択する行動を形成し、さらに形成された報告内. 容選択行動が、報告言語行動として日常生活場面に般化可能か否かを検 討することを目的とする。なお、本研究の対象児は、学校以外に家族の 人が知らない生活範囲は非常に限られている。さらに、母親のニーズと して学校での出来事を話してほしいということも挙げられていた。した がって、報告必要性が高い活動場所として学校を設定した。. 加えて、訓練後の母親の聞き取りから、対象児の報告言語行動が日常 場面における母親との会話に及ぼす影響について考察する。. 5.

(10) H方法. 6.

(11) 1.訓練場所. 訓練はH大学の発達心理臨床研究センターにおいて行った。. 2.対象児. 対象児は、公立中学校情緒障害児学級第2学年に在籍している13歳 6ヶ,月(訓練開始時)の自閉的傾向を有する女児(Yちゃん)である。3歳の. 時に児童相談所で自閉的傾向があるかもしれないと言われる。12歳10ヶ .平時のCARS:小児自閉症評定尺度(Schopler,Reicher and Renner,19. 86)の評定結果から、自閉症ではない(28点)と判定された。しかし、犬. の鳴き声、人の咳や工事音に対して過敏に反応する等のこだわりが見ら. れたり、ある特定の言葉を文脈とは関係なく用いたりするといった自閉 症が示すいくつかの行動特徴を有している。. 生活年齢12歳10ヶ月時の精神年齢は9歳1ヶ月(日本版Wlsc−m)で あった(VIQ62、 PIQ86、 FIQ71)。質問に対する応答はある程度可能である. ものの、2語文程度の発語に留まっている。また、文脈に関係なく自分 の好きなことを一方的に話すことがあるため、会話の話題が限定され、. 会話が続かない。さらに、自分の興味・関心以外の話題については、自 分から他者に話しかけることはほとんどなかった。訓練前の母親の聞き 取りから、家では学校の出来事を含め、母親が知らない出来事について 話そうとしないことが明らかにされた。そのため、母親も学校の出来事 を積極的に聞くことをしていないということも明らかになった。一方で、. 対象児と訓練者で交わされていた交換日記の中では、その日学校で起 こった出来事のうちで主な出来事や対象児自身に興味のある出来事が記 述されていた。. また、学校での集団場面においては、自ら参加することはなく一人で. 7.

(12) 過ごすことが多かった。また、休み時間においても、親学級のクラスメ. イトと関わることはほとんど無く、本を読んだり、外に出て独り遊びを して過ごしたりしていることが多かった。. 3.刺激材料 本研究では、条件(1)Yちゃんの体調についての出来事、条件(2)Yちゃ. んが困ると思う出来事、条件(3)Yちゃんの学校における明日の予定、条 件(4)Yちゃんが先生と行事について話した出来事、の4条件をお母さんが. 知りたいと思う出来事とした。これらは、母親の聞き取りをもとに選定 した。4条件を選定した理由を以下に述べる。条件(DYちゃんの体調につ. いての出来事は、対象児は体があまり丈夫ではないため、母親が対象児 の体調について把握できることで安心するからである。条件(2)Yちゃん. が困ると思う出来事は、対象児に対して母親が適切な社会的支援を行う ことができるためである。条件(3)Yちゃんの学校における明日の予定は、. 母親が仕事をしているため、対象児の学校の明日の予定について把握し ておくことで、対象児の予定に合わせて母親が行動をとれるからである。 条件(4)Yちゃんが先生と行事について話した出来事は、連絡帳や学校か. ら渡されるプリント類から得られる情報だけでは不十分野場合もあり、 母親が行事に備えて、出来るだけ多くの情報を得たいからである。. また、お母さんが知りたいと思う出来事4条件の各出来事刺激につい ては、訓練者が対象児の通う学校へ観察に行った時に見られた出来事や、. 家庭での会話録音テープ、Yちゃんとの交換日記・電子メールのやりとり からの情報に基づいて作成した。さらに、全ての出来事刺激の妥当性は、. 対象児の母親に確認してもらった。ベースライン、出来事・理由選択訓 練、プローブで用いられた出来事刺激の一覧をTable 1−1∼Tabie 1−4に. 8.

(13) 示した。また、出来事・理由選択訓練以外のフェイズで用いた課題プリ ントは臼g.1に示した。. お母さんがrYちゃん、今臼学校どうだった?」と、たずねてきました。 今賃、Yちゃんが学校であった出来事は、 ①お弁当の時間に、友達がウインナーをおとした。 ②体育でプールに入った。 ③お昼休みに、大きな木の下で休んでいた。 ④数学の時間に、少し頭がいたくなって、保健室に行った。. Yちゃんは、どの出来事をお母さんに伝えますか? カッコの中に、答えを書いてください。 ). (. 臼g.1 報告内容選択課題一例(刺激わ. Table l擁 条件茎の出来事一覧(ベースライン・訓練・プローブ用). (1)Yちゃんの体調についての出来事 刺激1 ①お弁当の時間に、友達がウインナーをおとした。 ②体育でプールに入った。 ③お昼休みに、大きな木の下で休んでいた。 ④数学φ門閥に.少し二二嬉疹ぐなづて認保傭室に行った。. 刺激2 ②休み時間に、手を洗った。 ③お弁当の時間に、友達が卵焼きを落とした。 ④国語の時間に、書き取りをした。. 刺激3 ①お昼休みに、手を洗った。 ③中庭のそうじをした。 ④数学の時間は自習だった。. 刺激4 ①体育館で朝礼があった。 ②休み時間に大きな木の下で休んでいた。. ④リコーダーをきれいにあらった。 注)網掛けが正答。. 9.

(14) Table 1−2 条件2の出来事一覧(ベースライン・訓練・プローブ用). (2)Yちゃんが困ると思う出来事 刺激5 ①国語の時間に、羅宇の練習をした。 ②衛育φ時間に3耀操賑がやぶれた。 ③休み時間に、運動場に行った。 ④校長先生に会った。. 刺激6 ①体育の時間に、友達が遅れて体育館にはいってきた。 ②自習の時間に、本を読んでいた。 ⑧う;わ麟轡φ芳蓬蕃やぶれ牝。. ④休み時間に、体操服に着がえた。. 刺激7. ①制無のス:か嗣ドのすそが、ほつれた。 ②ろうかで、保健室の先生にあった。 ③国語の時間は、自習だった。 ④K先生は出張だった。 刺激8 ①Fくんが休みだった。 ②休み時間に運動場でありをみていた。 ③運動場で朝礼があった。. ④体育館シュ糖ズの先に大きなあながあいていた。 注)網掛けが正答。. Tab}eト3 条件3の出来事一覧(ベースライン・訓練・プローブ用). (3)Yちゃんの学校における明露の予定. 刺激9 ①朝、部活の練習をしている人を見た。 ②美術の時間に、版画をした。 ③数学の時間に、計算機をつかった。 ④総論め時に∼∫瞬臼は、授業参観です・」と言われた。/. 刺激組 ①お昼休みに、外へ出て過ごした。 ②国語の時間に、パソコンを使った。 醜磯回短窪屡嶽纏短纏φ擁麟離嬉i難影鐙縛当舞いらな疑}よノンと言われだ、 ④体育の時間に、バスケットボールをした。 刺激11 0:∫隷験傷週澗前なので、崩肩の羅毒嚢媛轡>しと君われた∴ ②数学の時間に、計算プリントをした。 ③お弁当の時間に、手を洗った。 ④そうじをした。 刺激壌2. ①国語の時間に、漢宇プリントをした。. O陀噸1繭軽質づだちく嘘癌鉾:晦嬉欝繁轟延期魂る疏と鞍わ脚惣㌘ ③お弁当に卵焼きがはいっていた。 ④体育の時間に、Y先生と走った。 注)網掛けが正答。 10.

(15) Table 1−4 条件4の出来事一覧(ベースライン・訓練:・プローブ用). (4)Yちゃんが先生と行事について話した出来事 刺激招 ①運動場で遊んだ。. ③Y先生が髪の毛を切っていた。 ④休み時間に、窓から外をながめていた。. 刺激14 ①体育の時間に、たくさん走った。 ③閉さんが休みだった。 ④体育の時問の前に、体操服に着替えた。. 刺激総 ①消しゴムを持ってくるのを忘れていた。 ②め匁奪乏墨夢イやるジウイ藁:クのごとにつ野て話をした。1. ③家庭科の時間に、さいほうをした。 ④休み時間に、運動場で遊んでいる人を見ていた。. 刺激16. ⑦¥洗蛋1ξ鯛貸の高曇実習のことについて話をした。 ②F君がかぜをひいていた。 ③部活があるので美術室に行った。 ④休み時間に、友達が外で遊んでいた。 注)網掛けが正答。. 出来事・理由選択訓練で用いられた理由刺激は、Tab掩2に示す通り である。出来事・理由選択訓練では出来事カード・理由カードとして用い. た。出来事・理由選択訓練でカードを用いて課題を提示した理由は、お 母さんが知りたいと思う出来事とその理由の対応が視覚的に分かりやす く並べることができるためである。理由(どうしてお母さんはその出来事. を知りたいと思うか)の妥当性についても、対象児の母親に確認しても らった。. 11.

(16) Table 2理由カードー覧 カード1 条件1(刺激1). お母さんはYちゃんの体調が心配だから。. カード2 条件2(刺激5). お母さんはやぶれた体操服のままだと次に体操服を着るときにYちゃんが 困ると思うから。. カード3 条件3(刺激9). お母さんはYち・やんの明日の予定を知らないままでいるのは、Yちゃんが何 をしているのか分からず心配だから。. カード4 条件4(刺激13). お母さんはYちゃんの学校での行事の内容をできるだけくわしく知りたい から。. 般化プローブ1で用いられた出来事刺激は、Tabie 4−1∼Table 4−2に示. す通りである。ベースライン、出来事・理由選択訓練、プローブで用い た出来事刺激では、正答に共通する語句(Table 3)を手がかりとして選択. した可能性があるため、般化プローブ1では手がかりをなくした出来事刺 激を用いた。. 12.

(17) Table 3 条件別刺激手がかり 条件遷. Yちゃんの体調についての出来事 ∼、保健室に行った。∼、保健室で休んでいた。 条件2 Yちゃんが困ると思う出来事 衣類(体操服、うわばき、制服のスカート、体育館シューズ) 条件3 Yちゃんの学校における明日の予定 ∼先生に…と言われた。 条件4 Yちゃんが先生と行事について話した出来事 ∼先生と…のことについて話をした。. Table 4−1 条件1・2の出来事一覧(般化プローブ1用). (1)Yちゃんの体調についての出来事 刺激葉. ①そうじをするために、保健室に行った。 ②頭がいたくなったので∴保健室に宥った。. ③なんとなく保健室に行った。 ④先生に会うために、保健室に行った。 刺激2 ①すずしいのでK先生が保健室で休んでいた。 ②体育の先生が保健室で休んでいた。. ④Y先生がお茶を飲んで保健室で休んでいた。. (2)Yちゃんが癒ると思う出来事 刺激3 ①9組で体操服に着替えた。 ②汗をかいたから、体操服に着替えた。 ④体育館シューズをふくろに入れた。 刺激4 ①走っていたらうわばきがぬげた。 ②外で遊んでいたら、制服のスカートが少しよごれた。 ③体操服をきれいにたたんだ。. 注)網掛けが正答。 13.

(18) τable 4−2 条件3・4の出来事一覧(般化プローブ1用). (3)Yちゃんの学校における明日の予定 刺激5. ②K先生に「おはよう」と言われた。 ③Y先生に「Yちゃん、早く帰る用意をして」と書われた。 ④Y先生に「花を植えようね」と書われた。 刺激:6. ①Y先生に「さおりをしてもいいよ」ζ言わ麹た。. ③薮先生にWちゃん、9組の終会に行っておいで」と書われた。 ④K先生に「ぞうさんしぼってあげようか」と言われた。 (4)yちゃんが先生と行事について回した出来事. 刺激7 ①Y先生と天気のことについて話をした。 ②K先生とテレビ番組のことについて話をした。 ③K先生とお弁当のことについて話をした。 ⑲覧先生と音楽会のことについて話を滋二だ∴ 刺激:8. ①Y先生と昨年行った遠足のことについて話をした。 ②K先生と天気のことについて話をした。 ③K発生とトライやる.ウィ轡クで毎舞拷う笈焼く物について話をした。 ④Y先生と8組の調理実習のことについて話をした。 注)網掛けが正答。. 般化プローブ2で用いられた出来事刺激:はJable 5−1∼Tabie 5−6に示. す通りである。般化プローブ2では、一霞にお母さんが知りたいと思う出 来事が複数あることを想定して、8肢選択2正答の出来事刺激を用いた。 出来事4条件G、2、3、4)から2条件ずつ組み合わせた6条件G−2」一3」一4、 2一一3、2−4、3−4)の計稔種類を用いた。. {4.

(19) Table 5−1 条件1−2の出来事一覧(般化プローブ2用) 刺激嘔. ①お弁当の時間に、友達がウインナーをおとした。 ②体育でプールに入った。 ③お昼休みに、大きな木の下で休んでいた。. ⑥ろうかで、保健室の先生にあった。 ⑦国語の時聞は、自習だった。 ⑧K先生は出張だった。 刺激2 ①体育館で朝礼があった。 ②休み時間に、大きな木の下で休んでいた。. ③国語の時間におなかが墾たくな室てぐ保健室で休んでいた∴ ④リコーダーをきれいにあらった。 ⑤国語の時間に、漢宇の練習をした。 ⑥体育の時線ζ窺、:体操腺がやぶれ払. ⑦休み時間に、運動場に行った。 ⑧校長先生に会った。 注〉網掛けが正答。. τable 5−2 条件1−3の出来事一覧(般化プローブ2用). 刺激3 ①お昼休みに手を洗った。 ⑳体量の時間に嫉がをレて壕.保健室に行った。 ③中庭のそうじをした。 ④数学の時問は自習だった。 ⑤国語の時間に、漢字プリントをした。. ⑦お弁当に卵焼きがはいっていた。 ⑧体育の時間に、Y先生と走った。. 刺激4 ②休み時間に、手を洗った。 ③お弁当の時間に、友達が卵焼きを落とした。 ④国語の時間に、書き取りをした。 ⑤朝、部活の練習をしている人を見た。 ⑥美術の時間に、版画をした。 ⑦数学の時間に、計算機をつかった。. 注)網掛けが正答。 15.

(20) Table 5−3 条件1−4の出来事一覧(般化プローブ2用). 刺激5 ②休み時問に、手を洗った。 ③お弁当の時間に、友達が卵焼きを落とした。 ④国語の時間に、書き取りをした。 ⑤体育の時問に、たくさん走った。 ⑦醗さんが休みだった。 ⑧体育の時間の前に、体操服に着替えた。. 刺激6 ①お昼休みに手を洗った。 ②無毒の時間、・に1けがをレて、保健室に行った、. ③中庭のそうじをした。 ④数学の時間は自習だった。 ⑤運動場で遊んだ。 ⑥Y朱生ど蕪雑φζと∴について話をしたる, ⑦Y先生が髪の毛を切っていた。 ⑧休み時間に、窓から外をながめていた。 注)網掛けが正答。. τabla 5−4 条件2−3の出来事一覧(般化プローブ2用) 刺激:7. ①国語の時間に、鮮血の練習をした。 ③休み時間に、運動場に行った。 ④校長先生に会った。 ⑥数学の時間に、計算プリントをした。 ⑦お弁当の時間に、手を洗った。 ⑧そうじをした。. 刺激8 ①体育の時間に、友達が遅れて体育館にはいってきた。 ②自習の時間に、本を読んでいた。 ④休み時間に、体操服に着替えた。 ⑤消しゴムを持ってくるのを忘れていた。 ⑦家庭科の時間に、さいほうをした。 ⑧休み時間に、運動場で遊んでいる人を見ていた。 注)網掛けが正答。 16.

(21) Table 5−5 条件2−4の出来事一覧(般化プローブ2用). 刺激9 ①体育の時間に、友達が遅れて体育館にはいってきた。 ②自習の時間に、本を読んでいた。 ④休み時間に、体操服に着がえた。 ⑤運動場で遊んだ。. 血二 ⑦Y先生が髪の毛を切っていた。 ⑧休み時問に、窓から外をながめていた。 刺激肇0. ①朝、部活の練習をしている人を見た。 ②美術の時間に、版画をした。 ③数学の時間に、計算機をつかった。 一パ 、∫萌ヨは、授業参観です」1ど言わ塵た。〆. ⑤体育の難問に、たくさん走った。 劔ぐ先生ど修学旅行のこと1こついて話をした , ⑦麟さんが休みだった。 ⑧体育の時間の前に、体操服に着替えた。 注)網掛けが正答。. τable 5−6 条件3−4の出来事一覧(般化プローブ2用). 刺激翻 ①お昼休みに、外へ出て過ごした。 ②国語の時間に、パソコンを使った。 ④体育の時間に、バスケットボールをした。. ⑥F君がかぜをひいていた。 ⑦部活があるので美術室に行った。 ⑧休み時間に、友達が外で遊んでいた。 刺激{2. ①朝、部活の練習をしている人を見た。 ②美術の時間に、版画をした。 ③数学の時間に、計算機を使った。 ⑤体育の時間に、たくさん走った。 ⑦醗さんが休みだった。 ⑧体育の時間の前に、体操服に着替えた。 注)網掛けが正答。 凄7.

(22) 4.ターゲット行動. 「お母さんが『Yちゃん、今日学校どうだった?』と、たずねてきま した。」という弁別刺激に対して、お母さんが知りたいと思う出来事を 選択できることとした。. 5.実験デザイン. 本研究における訓練構成は、 「実態調査(日常生活場面)」 「ベース. ライン」「出来事・理由選択訓練」「プローブ」「般化プローブ1」「般 化プローブ2」 「日常生活場面テスト1」 「日常生活場面テスト2」 「維 持(日常生活場面)」とした。. 6.訓練:期間、セッション・ブロック数. 訓練は200X年8,月∼200X年12月まで実施された。週1∼2回1セッ ション行い、1セッションに1∼2ブロック実施した。セッションとは、 対象児が訓練場所に来た回数であり、ブロックとは1セッションに行っ. た訓練回数である。1ブロックの実施時間は、約20分程度であった。1 セッションの問には、他の学習課題(お料理スキルや他者への援助行動の 形成等)も行っていた。. 7、訓練手続き (1)実態調査(日常生活場面). 「対象児と母親の日常生活場面において行われる自然な会話について 調査したい」と対象児の母親に日常生活場面における会話録音の依頼を. 行った。1日平均10分間、会話が録音されていた。そして、録音された 会話の中で学校での出来事について取り上げている場面について分析を. 18.

(23) 行った。したがって、分析対象となった日は、6日間録音された中の4 日間であった。. (2)ベースライン. 「お母さんが『Yちゃん、今日学校どうだった?』と、たずねてきま. した。」という文脈において、Yちゃんの学校で起こりうる出来事4つ (お母さんが知りたいと思う出来事1っを含む)の中で、どの出来事を 選択するかをベースラインとして測定した。. ベースラインでは、お母さんが知りたいと思う出来事4条件(DYちゃ んの体調についての出来事(刺激1∼4)、(2)Yちゃんが困った出来事(刺 激5∼8)、(3)Yちゃんの学校における明日の予定(刺激9∼12)、(4)Yちゃ. んが先生と行事について話した出来事(刺激13∼16)の計16種類全てを 用いた。. 報告内容選択課題が書かれたプリント(Fig.1)を提示し、「これを読ん. で質問に答えてください。」と教示し、全文を音読してもらい、空欄に 答えの番号を記入してもらった。対象児の回答に対しては、正誤のフィー. ドバックは行わないこととした。1ブロックは、出来事4条件から各1 試行で計4試行行った。刺激の提示順序は、ブロック毎にカウンターバ ランスを行った。. (3)出来事・理由選択訓練. 本研究における報告内容選択課題(16刺激)が各4肢選択のため、正答. を覚えてしまう可能性があるので、出来事・理由選択訓練では、出来事 4条件から1つずつ計4種類(刺激1、5、9、13)を用いた。1ブロックは、. 出来事4条件から各1試行で計4試行行った。出来事が書かれたカード 19.

(24) 4枚を提示し、 「お母さんが知りたいと思う出来事はどれだと思います か?カードを読んで、答えを選んで下さい。」と教示し、対象児が全カー. ドを音読し、答えを指さしで選択することを正反応とした。正反応の場 合は、 「そうだね。」等の言語賞賛を行った。誤反応の場合は、 「ちが. うよ。お母さんが知りたいと思う出来事はこれだよ。」と修正を行った。. 対象児が理由カードを選択する際に、お母さんが知りたいと思う出来事 カードを見ながら、理由カードを選択できるように正答カードは訓練者 によって、 「お母さんが知りたいと思う出来事」と書かれたカードの下 に置かれた。. 次に、理由が書かれたカード4枚を提示し、「どうしてお母さんはそ の出来事を知りたいのだと思いますか?カードを読んで、答えを選んで 下さい。」と教示し、対象児が全カードを音読し、答えを指さしで選択 することを正反応とした。正反応の場合は、 「そうだね。」等の言語賞 賛を行った。誤反応の場合は、「ちがうよ。お母さんは∼(理由)だから、. …(出来事)が知りたいんだよ。」と修正を行った。対象児に、お母さん. が知りたいと思う出来事とその理由の対応について視覚フィードバック (臼g.2)を与えるために、正答カードは、「理由」と書かれたカードの下. に訓練者によって置かれた。その後、訓練者が、お母さんが知りたいと 思う出来事カードと理由カードを指さしながら「お母さんは、∼(理由) だから、…(出来事)が知りたいんだよ。」と音声・視覚フィードバック. を与えた。達成基準は出来事・理由共に2ブロック連続して正答するこ ととした。刺激の提示順序は、ブロック毎にカウンターバランスを行っ た。. 20.

(25) お母さんが知りたいと思う出来事 数学の時間に、少し頭がいたくなって、保健室に行った。 理由. お母さんはYちゃんの体調が心配だから。 Fig.2 視覚フィードバック(刺激1). (4)プローブ. ベースラインと同じ手続きで行った。. (5)般化プローブ1. 般化プローブ1では、正答に共通する語句を手がかりとして選択して. いるか否かを確かめるために、新たに作成された出来事4条件計8種類 を用いた。ベースラインと同じ手続きで行った。1プロソクは出来事4 条件から各1試行で計4試行行った。. (6)般化プローブ2. 般化プローブ2では、一日にお母さんが知りたいと思う出来事が複数 あることを想定して、8肢選択2正答の報告内容選択課題を行った。出 来事4条件から2条件ずつ組み合わせた6条件(1−2、1−3、茎一4、2−3、2. −4、3−4)の計12種類を用いた。ベースラインと同じ手続きで行った。. ただし、教示については「これを読んで質問に答えてください。いくつ. 選んでもいいです。」と手がかりを与えた。1ブロックは、出来事6条 件から各1試行で計6試行行った。 21.

(26) (7)日常生活場面テスト1. 対象児が学校から帰宅した後、母親に「Yちゃん、今日学校どうだっ た?」とたずねてもらい、対象児の報告内容をカセットテープに録音し てもらった。なお評価対象となった2日間の学校での出来事については、 対象児が実際に起こった出来事を報告しているかどうかを確かめるため、. 訓練者が対象児の学校で朝会から終会が終わるまで観察を行い、記録を 取った(Tabie 6)。観察期間は、対象児の学校行事の一環として行われ ているオープンスクール(毎月1日∼7日)を利用した。. (8)日常生活場面テスト2. 日常生活場面テスト2は、日常生活場面テスト1から1ヶ月後に行っ た。学校外での出来事(トライやるウィーク:兵庫県下の公立中学校で行. われる職業体験実習。各生徒が希望する職場で1週間実習を積む。対象 児の実習先は○屋さん)を評価対象とし、お母さんが知りたいと思う出 来事4条件のうち条件(1)Yちゃんの体調についての出来事、条件(2)Y ちゃんが困ると思う出来事に焦点を絞って報告できるか否かを測定した。. なぜなら、他の条件(Yちゃんの学校における明目の予定、Yちゃんが先 生と行事について話した出来事)は、学校で起きる固有の出来事である からである。. 対象児が実習先から帰宅した後、母親に「Yちゃん、今日どうだった?」. とたずねてもらい、対象児の報告内容をカセットテープに録音しても らった。なお評価対象となった3目間については、対象児が実際に起こっ. た出来事を報告しているかどうかを確かめるため、訓練者が対象児の実. 習先である○屋さんで9時から15時まで1日の実習が終わるまで観察を 行った。実習先では、訓練者は対象児のサポート役として付き添ってい. 22.

(27) た。そのため、実習先で起こった出来事を詳細に記録出来なかった。ま. た実習先のプライバシーの保護のため、あえて実習先での出来事を記載 することは避けた。. (9)維持(日常生活場面). 日常生活場面テスト1から2ヶ月後に、日常生活場面テスト1と同じ 手続きで行った。ただし、評価対象となったのは1日間であった。. 8.報告内容選択行動の正答率の算出. 本研究の訓練室で行われたフェイズ(「ベースライン」咄来事・理由 選択訓練」「プローブ」「般化プローブ1」「般化プローブ2」)の報告内容. 選択行動の正答率は以下のような式で算出された。. 正答率(%)=Gブロックの正答試行数/1ブFックの全試行数)×100. 23.

(28) IV結果. 24.

(29) ターゲット行動の推移 日g,3に結果を示した。グラフの縦軸は報告内容選択課題の正答率、 横軸はブロック数を示している。 ベースライン. (%). 訓練. プローブ. 般化プローブ1 般化プローブ2. 100. 80 難・・. H40 20. 0. 1234. 567 ブロック. 891011 1213 1415. Fig.3 報告内容選択課題の正答率の推移. (1)実態調査(日常生活場面). 対象児と母親の家庭場面において行われる会話の中では、学校があっ た日は必ず学校で起きた出来事についての話題が取り上げられていた。 しかし、対象児が自発的に母親に報告することはなく、母親から学校で の出来事について質問されて、対象児が応答するというパターンばかり であった。また、母親も知りたい出来事について、対象児が弁別できる. ように具体的に質問を提示しているわけではなかった。そのため、対象 児に対する質問が多くなっていた。その会話を、Fig.4−1∼4−4に示す。. これらの結果から、対象児の自発的な報告が生起するためには、母親 が知りたい出来事を明確にし、対象児が母親が知りたい出来事を弁別で きるようになることが考えられる。. 25.

(30) 2001年4,月○目 *mは母親、cは対象児。 m:今日は、学校で何しましたか? c:今日は学校で…。 m:あったことゆうて。 c:対面式。. m:対面式ってどんなことですか? c:一年生を見ること。 m:それから? c :え.?. Fig.4−1 日常生活場面における対象児と母親の会話(学校の出来事について). 2001年4,月○+2日 *mは母親、cは対象児。 m:今日は学校で何してた? c:今日は学校でな。 m:他の子は何してた? c:他の子はあの、どこのほかのこ? m:4組(親学級)。 c:テスト受けてた5時間。 m:ねえ、なんか進級テストかなんかやろ。そのあいだYは何をしてたん? おしえて。. c:9組(情緒障害児学級)にいました。 Fig.4−2 邑久生活場面における対象児と母親の会話(学校の出来事について). 2001年5,月○日 *mは母親、cは対象児。 m:今日は学校でどんなことがあった?なにかあった? c:うん、あったよ。 m:今日はやかったでしょ。 c:うん。. m:どうして? c:学校でな、あの、先生らで会議があってな、あの、短縮になったんや。 m:短縮ってどういう意味? c:みじかく、ちぢめる。 m:そうや、漢字よう知ってる。 Fig.4−3 日常生活場面における対象児と母親の会話(学校の出来事について). 26.

(31) 2001年5,月○+4日 *mは母親、fは父親、 cは対象児。 m:今日帰りはやかったやん。 c:うん。. m:なんで? c:あの、テスト前で部活中止だったから。 m:うん。テストはいっからなん? c:う一ん、月曜から。. m:いつまで? c:火曜まで。. m:ふ一ん、2日間なんやね。 c:うん。. f:中間はいっから?. m:中間は2日やな。期末は? c:3日、わからん。 f:うん。. m:3日かな…。で、Yちゃんは受けるのね。 c:うん、多分。. Fig.4−4 日常生活場面における対象児と両親の会話(学校の出来事について). (2)ベースライン. ベースラインでは、報告内容選択課題の正答率は1ブロック目50%、. 2ブロック目50%、3ブロック目50%、4ブロック目25%であった(1ブ ロック目が訓練用課題)。条件別正答率は、条件(DYちゃんの体調につ いての出来事が50%、条件(2)Yちゃんが困ると思う出来事が25%、条 件(3)Yちゃんの学校における明日の予定が75%、条件(4)Yちゃんが先 生と行事について話した出来事が25%であった(下able 8)。この結果か. ら、対象児は条件(3)Yちゃんの学校における明日の予定については、お. 母さんに伝えなければならない出来事として弁別出来ていた可能性が考 えられる。しかし、出来事・理由選択訓練の1ブロック目で、条件(3) について誤答を示したので、その可能性は低い。. 27.

(32) Table 8 ベースライン条件別結果 条件. 刺激. 1. 正誤 ×. 2 3 4 5 6. ○ ○. 2. 1. 9. 10 11. 12 13 14 15 16. 4. 体育でプールに入った。. 体育館で朝礼があった。. ×. ○. 休み時間に、体操服に着替えた。 K先生は出張だった。 休み時間に、運動場でありを見ていた。 数学の時間に、計算機を使った。. ×. 7 8. 3. 対象児が選択した出来事. × × ×. O O O O. Mさんが休みだった。 家庭科の時間に、さいほうをした。 F君がかぜをひいていた。. × ×. ×. (3)出来事・理由選択訓練. 出来事・理由選択訓練では、報告内容選択課題の正答率は1ブロック. 目50%、2ブロック目100%、3ブロック目100%であった。1ブロック 目で誤答を示した条件は、条件(3)Yちゃんの学校における明日の予定と 条件(4)Yちゃんが先生と行事について話した出来事であった(Table 9)。. Table 9 出来事・理由選択訓練結果 試行. 条件. 正誤 出来事. 1. 1. ○. 2 3. 3 2. ○. 4. 4 2 4. 5 6 7 8 9. 1. 3 2. 10. 4. 12. 1. 11. 3. ×. ×. ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○. 誤答. 理由 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○. 美術の時間に、版画をした。. Y先生が髪の毛を切っていた。. 28.

(33) (4)プローブ. プローブでは、報告内容選択課題の正答率は1ブロック目100%、2 ブロック目100%、3ブロック目100%、4ブロック目100%であった。. (5)般化プローブ1. 般化プローブ1では、報告内容選択課題の正答率は1ブロック目100%、 2ブロック目100%であった。. (6)般化プローブ2. 般化プローブ2では、報告内容選択課題の正答率は1プロソク目100%、 2ブロック目100%であった。対象児の解答選択中の様子として、課題文 全てを音読し終わった後、選択肢を上から順に見ながら、正答と思われ る選択肢が見つかった場合、左手の指でその選択肢を押さえ、再び正答 と思われる選択肢が見つかった場合も同様にあいた指でその選択肢を押 さえてから、課題プリントに正答と思われる番号2つを記入していた。. (7)日常生活場面テスト1. 対象児が1日目に行った報告内容は、明日とあさってが短縮授業であ るということだった。その他に母親に促されて報告した内容は、美術部. の集金440円を忘れていたということだった。これらは、それぞれ条件 (3)Yちゃんの学校における明日の予定、条件(2)Yちゃんが困ると思う 出来事にあてはまる。. 対象児が2日目に行った報告内容は、4組(親学級)の時間割変更があ り、そのため忘れ物をして9組(情緒障害児学級)に借りに行ったこと だった。これは、条件(2)Yちゃんが困ると思う出来事にあてはまる。こ. 29.

(34) れらの結果から、条件(2)Yちゃんが困ると思う出来事、条件(3)Yちゃん. の学校における明日の予定、については報告言語行動に般化したと言え る。 しかし、条件(DYちゃんの体調についての出来事、条件(4)Yちゃ. んが先生と行事について話した出来事の2条件については、訓練者が観 察に行った2配問に生起しなかったため、報告言語行動に般化したかど うかについては確認することが出来なかった*。. Tab136 学校での出来事 ①1鷺目 時間割 朝会. 活動場所. 4組. 出来事(連絡事項). プリントをもらう。(5時問目に壮行会がある。放課 後、代議委員会がある.). 准社会. 4組. 2体育. 体育館. 3家庭 4数学. 9組 9組. 昼休み. 中庭. Yちゃんは、資料集を見ている。 準備体操・倒立・壁倒立・倒立前転をする。Yちゃ んは倒立前転ができず、すねる。 yちゃんは、刺繍をする。 Yちゃんは、2桁のかけ算の計算プリントをする。 Y先生とクラスメイトの欠席の話をする。. 4組でお弁当を食べる。Yちゃんは、プールの柵に のぼったりして、華人で遊ぶ。. 5壮行会. 体育館. 全校集会. Yちゃんは、あぐらをかいて座っていたので、代議 委員の人に注意される。(明日から、服装点検が始 まる.>. 清掃. 廊下. Yちゃんはぞうきんがけをする。K先生にぞうきん をしぼってもらう。. 終会. 9組. Yちゃんは連絡ノートに閣日、あさっての時間割を. 注)網掛けが報告しなければならない出来:事。下線は対象児が報告した出来:事。. 3(》.

(35) ②2日目 時間割. 活動場所. 出来事(連絡事項). 全校朝会 運動場. 離任式。(5時間目が終わったら、すぐに終会。来週 火曜日から挨拶運動。). 1美術. 美術室. ラスメイトは石の彫刻を始めるが、Yちゃんはなか なか作業に取り組めない。. 2体育. 運動場. 3社会 4音楽. 9組. 昼休み. 中庭. 音楽室. Yちゃんは、F君と運動場を5周走る。その後、Yちゃ んはF君とキャッチボールをする。 Yちゃんは白地図帳の色塗りをする。 合唱コンクールの練習。課題曲「道」。自由曲「心 の瞳」。Yちゃんのパートはアルト。 4組でお弁当を食べる。Yちゃんはプールのところ で遊ぶ。. 5生産. 9組. 終会. Yちゃんは、Y先生と葉ぼたんをプランターに植え る。9組に戻った後は、さおりを織る。 Yちゃんは連絡ノートに明日の時間割を書く。. 注)網掛けが報告しなければならない出来事。下線は対象児が報告した出来事。. (8)日常生活場面テスト2. 日常生活場面テスト2では、条件(DYちゃんの体調についての出来事 の報告は行わなかった。観察3揖目、Yちゃんのそばにいた訓練者に「し んどい」と報告していたものの、実習先から帰宅して母親には報告を行 わなかった。そして、条件(2)Yちゃんが困ると思う出来事については、. 実際に生起しなかったため、般化したかどうかについては確認すること が出来なかった*。. (9)維持(日常生活場面). 対象児が行った報告内容は、工事音が気になったということと、明日. 以降、工事音が聞こえなくなるまで、学校を休みたいということであっ た。これは、条件(2)Yちゃんが困ると思う出来事と条件(3)Yちゃんの学. 校における明日の予定にあてはまる。対象児は、工事音に対して強いこ 31.

(36) だわりがある。したがって、こだわりから母親に報告した可能性も考え られる。そして、条件(DYちゃんの体調についての出来事と、条件(4)Y. ちゃんが先生と行事について話した出来事は、実際に生起しなかったた め、般化したかどうかについては確認することが出来なかった*。. Table 7 学校での出来事 時間割 朝会. 活動場所. 9組. {社会. 4組. 2音楽. 音楽室. 出来事(連絡事項). 運動場で工事をしており、Yちゃんがその音が気に なるため、今霞一日どこで過ごすかをY先生と話す。 Yちゃんは、資料集を見て過ごす。 8組(知的障害児学級)と合同。合唱σふるさと」「い つも何度でも」)ハンドベル(「ふるさと」Yちゃん はファ・ソの担当). 3理科 4国語 昼休み. 5美術 6数学. 4組 視聴覚室 美術室. 美術室. 4組. 期末テストの返却。Yちゃんは手遊びをして過ごす。 Yちゃんは手遊びをして過ごす。. 4組でお弁当を食べる。Yちゃんは、トンカチとド ライバーを持って美術の先生を呼びに職員室へ行 く。その後、美術室で動物図鑑をみて過ごす。 Yちゃんは、F君と石の彫刻の作業を行う。 期末テストの返却。テストの解説。Yちゃんは計算 プリントをする。. 清掃 終会. 4組の教室. Yちゃんは、掃除をせずにY先生から注意をされる。. 4組. 注)網掛けが報告しなければならない出来事。下線は対象児が報告した出来事。. *日常生活場面テスト1・2、維持(日常生活場面)において、条件(1)∼(4). のいずれかの出来事が実際に生起しなかったために、報告内容選択行動 が報告言語行動に般化したか確認することが出来なかった。これは、予. 備調査の段階で4条件全てが、どの程度の頻度で実際に生起するのか把 握することが出来なかったこと、観察期間が限られていたために生じた ことである。今後は、この点も含めて訓練デザインを組み立てる必要が ある。. 32.

(37) V考察. 33.

(38) 本研究では、自閉的傾向を示す発達障害児を対象とし、特定の他者に 対する報告内容の選択行動の形成を試みた。その結果、対象児は特定の 他者(母親)に報告する特定の情報(学校で起こりうる出来事のうち母親 が知りたいと思う出来事)を弁別し、選択することが可能となった。. さらに、形成された報告内容選択行動が、報告言語行動として日常生 活場面に般化可能か否か検討を行った。その結果、報告内容選択行動が 形成されたことによって、日常生活場面において報告言語行動が見られ るようになった。以下、これらの結果について検討を行った。加えて、. 訓練後の母親の聞き取りから、対象児の報告言語行動が日常生活場面に おける母親との会話に及ぼす影響についても検討を行った。. 報告内容選択行動の形成について. 出来事・理由選択訓練では、お母さんが知りたいと思う出来事4条件 と理由(どうしてお母さんがその出来事を知りたいと思っているのか)を フィードバックして情報(お母さんが知りたいと思っている出来事)を教. えることによって、複数の選択肢(4肢)から正答を選択できるように なった。よって、出来事・理由選択訓練で用いられていない報告内容選 択課題でもお母さんが知りたいと思う出来事を選択できるか否かを調べ るために、プローブを行った。その結果、プローブでは、1ブロック目. から報告内容選択課題の正答率が100%に達し、報告内容選択行動が未 訓練の報告内容選択課題について刺激般化したことが明らかになった。 .そして、未訓練の報告内容選択課題であっても全て正答できたことか. ら、般化プローブ1において、共通の語句を弁別刺激として、お母さん が知りたいと思う出来事を選択しているのか否かを調べた。その結果、. 共通の語句を弁別刺激としてお母さんが知りたいと思う出来事を選択し. 34.

(39) ているのではないことが明らかにされた。また、お母さんが知りたいと. 思う出来事2条件が組み合わされた8肢選択課題を用いた般化プローブ 2においても、報告内容選択行動の刺激般化が見られた。このように、 報告内容選択行動において刺激般化が促進されたのは、十分な事例(本研 究では、計36刺激を用いた)を教えたことによる(Stokes&Baer,1977). ものと思われる。加えて、お母さんが知りたいと思う出来事4条件が全 て同じ刺激クラスであった可能性も考えられる。. 出来事・理由選択訓練で、お母さんが知りたいと思う出来事の選択訓. 練を行うことで、プローブ・般化プローブ1・般化プローブ2で、母親 に「Yちゃん、今日学校どうだった?」とたずねられる文脈においても、. お母さんが知りたいと思う出来事が選択可能になることが明らかにされ た。このことから、お母さんが知りたいと思う出来事が、お母さんから 「Yちゃん、今日学校どうだった?」とたずねられる文脈における弁別 刺激として機能していると示唆される。したがって、訓練前に対象児が. 学校での出来事について報告しない理由の1つとして、母親に何を報告 すれば良いのかを対象児は知らなかった可能性が考えられる。. 報告内容選択行動訓練では、出来事刺激のみを弁別刺激として訓練す るのではなく、なぜ母親がその出来事を知りたいのかという理由を出来 事刺激と対応させて弁別できるように訓練を行った。しかし、その結果 報告内容選択のトレーニングと理由選択のトレーニング効果が混同し、 どちらが報告内容選択行動に有効であったか示すことができなかった。 したがって、今後の課題として報告言語行動の形成において聞き手(=. 他者)が知りたいと思っている内容を弁別できることによって報告言語 行動が促進されるか否かについての検討を行う必要性がある。つまり、 他者の心的状態を推論する心の理論(theory of mmd)の獲得が報告言語. 35.

(40) 行動にどのような影響を及ぼすかが明らかにされていくと考える。. 報告内容選択行動の獲得が報告言語行動に及ぼした影響について 日常生活場面テスト1では、訓練によって獲i得された報告内容選択行 動が家庭場面の報告言語行動に般化したことが示された。ただし、般化 したと確認できた報告内容は、条件(2)Yちゃんが困ると思う出来事、条. 件(3)Yちゃんの学校における明目の予定であった。この2っの条件が家. 庭場面の報告言語行動に般化した理由としては、母親の質問を弁別刺激 とし、出来事を選択する行動自体が形成され、般化した可能性がある。. 対象児はその日あった主な出来事などを日記に書くことができていた。. よって、過去となった出来事を表出できるので、母親に質問された時 点で選択肢としての出来事を想起する事はできていたと考えられる。ゆ えに、訓練以前は質問された際に、その選択肢を比較し選択するという. 行動ができなかっただけかもしれない。本研究のように報告言語行動の 情報刺激は、過去の事象について記述する場合が多い。この場合、情報 刺激と聞き手に時間的・空間的な差異が生じる。そのため、報告言語行 動の直接の弁別刺激となるのは聞き手であり、聞き手が過去のさまざま な事象のうち、どの情報を欲しているかを対象児が弁別できることは重 要である。本研究においては、訓練室場面において、目の前の情報刺激 の選択肢を選択する訓練を行っているが、それが、過去における情報刺 激の選択行動の形成にも影響を及ぼし、家庭場面における報告言語行動 の産出可能性を高めたのではないかと考えられる。. また、日常生活場面テスト終了後の母親の聞き取りから、母親がたず ねる前に対象児から報告を行ったというエピソードも明らかにされた。. 報告言語行動の自発は、質問を聞いて報告する出来事を選択するという. 36.

(41) 行動が、実際に出来事が生起した時点で、母親に報告することを決定す るといった行動にも拡大していったと考えられる。. 過去の出来事を表出するスキルのない発達障害児を対象とする場合に は、その場で出来事を書き留めておき、質問の際にそれを見ながら応答. するといったスキルの形成を行うなどして、本研究のトレーニングを 補っていく必要性があるだろう。. 第3に、Stokes&Baer(1977)が指摘しているように場面間(訓練室 と家庭場面)に共通の刺激(「お母さんが『Yちゃん、今日学校どうだっ た?』とたずねてきました。」や、学校で実際に起こりうる出来事)を設 定したことにより、反応般化が容易になったと考えられる。 以上のように、条件(2)Yちゃんが困ると思う出来事、条件(3)Yちゃん. の学校における明日の予定、の2条件が般化した一方で、条件(1)Yちゃ. んの体調に関する出来事は日常生活場面テスト1において般化が見られ なかった。. 日常生活場面テスト2では、トライやるウイーク最終日(観察3日目) に、対象児は作業の休憩中に側にいた訓練者に「しんどい」と報告して いた。しかし、帰宅してから母親にはそのことについて報告しなかった。. これは、「しんどい」という報告言語行動が他とは少し異なる機能を持っ ているからではないかと考えられる。 「しんどい」という報告言語行動. の強化は、現在のしんどい状態から楽な状態に回避できるように周囲の 人が配慮してくれることである。したがって、 「しんどい」という報告. 言語行動は、自己の私的出来事を報告したものであるが、同時に要求言 語行動としての機能も併せ持つ。もし、帰宅して体調が変化してしんど くない場合には、帰宅して母親に「しんどかった」と報告することによ り対象児が得られる強化価値は既にないと考えられる。また、帰宅して. 37.

(42) どい状態が続いていたとしても母が解消してくれない、または、しんど くて報告行動自体が煩わしければ、報告することによって対象児が得ら れる強化価値はないと考えられる。報告しなかったという結果からは、 このいずれかの要因が考えられる。よって、対象児は「しんどい」とい う言語行動を要求言語行動として表出していた可能性が高く、母に報告 する必要性が低かった可能性が考えられる。 これに対しては、 「しんどかった」という言語だけでなく、 「しんど. かったけど、がんばったのよ」という言語を補って報告言語行動を獲得 できるよう訓練し、母親から「それはえらかったね」という言語賞賛を 得られるようにすることで般化が可能になるのではないかと考えられる。. このように、対象児が報告言語行動から得られる強化についても制御可 能な変数(この場合、「しんどかったけど、がんばったのよ」という言語 刺激)を操作していくことで、この種の報告言語行動が母親に対して産出. され、維持されやすくなるものと考えられる。この点について、刎田・ 山本(1991)も、どのような言語反応が環境から強化を受けやすいか、ど. のような言語反応が環境条件を変えうるか、といった環境と個体の双方 向の視点からの分析が必要になることを示唆しており、今後の課題とし て取り上げていく必要性がある。. 報告言語行動が日常生活場面における対象児と母親との会話に及ぼす 影響について 日常生活場面テスト終了後の母親の聞き取りから、母親がrYちゃん、. 今日学校どうだった?」とたずねる前に、対象児が帰宅してすぐに母親 に明日の学校の予定について自発的に報告を行ったということが、明ら かになった。このことから対象児が、母親が知りたいと思っている出来. 38.

(43) 事を弁別でき、その出来事を報告できたことで、訓練前には見られなかっ. た母親への会話の話題提供が行われるようになったことが示唆される。. さらに、本研究終了後、母親から、毎日学校であった出来事を報告し てくれる対象児を見て「Yちゃんは、報告に限らず話そうとしないこと が当たり前だと思っていた。だから、私(=母親)も聞こうとしていなかっ. たのだと思う。そして、Yちゃんが話してくれることをじっくりと待っ て、聞けるようになった。」という報告をうけた。このことから、本研 究で設定した母親の質問行動が対象児の報告言語行動の自発頻度を高め たと考えられる。さらに、それによって母親が対象児の報告を「じっく り待って聞く」というような態度が形成され、対象児の報告言語行動を 強化するようになったと考えられる。. 以上のように、本研究では、特に般化を訓練したわけではないが般化 の測定を行う際の母親への協力依頼が、対象児の報告言語行動の自発を 高める環境設定となっていたといえる。このような、報告言語行動の形 成に加えて周囲の人の協力を得て、報告言語行動の強化随伴性を変化さ せていくというアプローチは、目常生活場面における般化と維持に有効 的な影響をもたらすのではないかと考えられる。. 今後の課題 報告言語行動における強化価値についてSkinner(1957)は、うける強. 化は聞き手の方が話し手よりも大きいと述べている。しかし、日常生活 における様々な文脈の中では、話し手(=子ども)の報告から得られた情 報をもとに、聞き手(=家族の人)が話し手に支援を行うことが可能にな る(例えば、危険の回避、連絡等)。このことからも、報告を行うことに. よって随伴していく行動の連鎖を分析していくことで、話し手よりも聞. 39.

(44) き手がうける強化が大きいとは限らないことが明らかである。例えば、 本研究の対象児のエピソードに基づいて考えると、「学校のスリッパがや ぶれた」という報告言語行動に随伴する強化は、聞き手である母親からの. 「新しいスリッパ買いに行こうね」や実際に母親が新しいスリッパを購. 入してくれること等が考えられる。この報告言語行動は、聞き手にとっ ても話し手にとっても強化価値が高い。しかし、 「学校のスリッパがや. ぶれた」という報告言語行動が過去の強化歴の中で形成されていない場 合に、ルール(行動随伴性を記述したタクトが生み出す言語刺激)によっ. て報告言語行動の弁別刺激と強化刺激を発達障害児に指導していくこと で、報告言語行動の形成を促進していくことができるだろう。. したがって、今後の課題としては、報告を行うことによって誰が最も 強化を得られるのか、つまり話し手が得られる強化の価値と、聞き手が 得られる強化の価値を行動随伴性の観点から詳細に分析し、日常生活場 面における具体的な文脈の中で報告言語行動を形成していくことが重要 となる。そして、報告言語行動が発展していくためには、聞き手が知り. たいと思う出来事だけではなく、聞き手にとって強化価値の高い出来事 (例えば、楽しい出来事やうれしい出来事等)を弁別し、選択できる行動. を形成していく必要があるだろう。つまり、聞き手の心的状態を推測す るという心の理論の獲得が、報告言語行動の形成においてどのような影 響を及ぼすかについても検討がなされなければならないだろう。. さらに、報告言語行動の形成可能性を高めるために、日常生活場面に おける具体的な文脈の中で、報告内容の選択と同時に、どのような言語 刺激(聞き手にどのように報告内容を伝えるか)を表出すれば話し手の強. 化価値が高くなるのかについても検討していく必要性がある。. 40.

(45) V要約. 41.

参照

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