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咬合維持によるアルツハイマー病予防効果についての基礎研究-唾液中NGF(神経成長因子)との関係について-

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Academic year: 2021

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54 −  − 神戸常盤大学紀要  第 5 号 2012 55 −  − 【目 的】日本をはじめ先進国はかつて経験したことの無い高齢化社会に向かっている。高齢になるに従い認 知症発症率は高くなっており、医療や介護、そして医療財政上でその治療あるいは予防は重要なテーマとなっ ている。  アルツハイマー病(AD)の発症にはβアミロイド蛋白の沈着が深く関わっていることが報告されているが その発症メカニズムは十分理解されておらず、また必ずしも家族性に発症しないことから環境因子が深く関 わっていると考えられている。以前より歯牙の早期損失はアルツハイマー病発症のリスクであることが種々の 統計調査で報告されてきているが、そのメカニズムはいまだ十分に解明されてない。

 近年、脳内における NGF(Nerve growth factor: 神経成長因子)が AD の発症に関わっていることが報告 され、鼻腔内投与などさまざまな投与法が検討されている。NGF はもともとラットの顎下(唾液)腺で高濃 度に分泌されていることが発見され、人体においても血清中濃度の数10倍の高濃度でNGFが唾液中に分泌さ れることが報告されている。  今回、唾液中への NGF 濃度と AD の関係について調査し、歯の喪失による AD リスクのメカニズムの解 明と唾液中 NGF 分泌能の維持が AD を予防する可能性について検討する。 【対象と方法】医療施設に入院中もしくは外来通院中の高齢者21名(68 ∼ 89歳・平均77.07±5.08歳)の唾液 を回収し、ELISA 法で唾液中 NGF 濃度を測定した。変数項目は年齢、残存歯数、MMSE としそれぞれの相 関係数を求めた。Pearson の相関係数、SPSS 統計ソフトを用いて有意差の検定を行った。 【結 果】  1.認知症患者(MMSE26点以下)において、唾液中 NGF 濃度と MMSE の得点に相関が認められた (相関係数0.657 有意確率0.039)。  2.すべての患者に以下の傾向が認められた。   1)唾液中 NGF と年齢には負の相関   2)唾液中 NGF と残存歯数には正の相関   3)残存歯数と MMSE の得点には正の相関 【考 察】  動物やヒトでは機能的残存歯数、咀嚼回数、咀嚼面積、咬合力などの減少が記憶学習能力の低下を引き起こ す可能性について報告されているが、これには血清中 NGF、唾液中 NGF の低下が関与していると考えられ る。咀嚼によって自律神経が賦活され、唾液流出が増加することで NGF 濃度が維持され、認知症の進行を抑 制する可能性が考えられる。

咬合維持によるアルツハイマー病予防効果についての基礎研究

-唾液中NGF(神経成長因子)との関係について-

足立 了平 

米田  修 

内橋 康行 

野村 慶雄 

参照

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