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肺癌術後に気管癌を発症した一症例 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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肺癌術後に気管癌を発症した一症例

山梨厚生病院 心臓血管呼吸器外科 同呼吸器内科, 同病理検査室 松原寛知 有泉憲史 橋本良一 成宮賢行 平島奈緒子 武藤ひろ美       要旨  症例は68歳男性.Stage I A肺扁平上皮癌に対する右下葉切除の約3年 半経過後気管腫瘍を発症,放射線照射を施行し奏効した.両者とも組織 型はModerately differentiated squamous cel1 carcinomaであった。気管腫瘍 が重複癌か転移性かの決定的根拠はなかったが,気管腫瘍を2ヶ所に 認めたことから転移性気管癌が強く疑われた. Key words:気管癌、肺癌、重複癌、気管転移        はじめに  肺癌術後に気管癌を認めた報告は比較的少なく,それが原発性か転 移性のものかが議論のされるところである。今回我々は肺癌術後約3 年半経過後に気管癌を認め放射線照射を行った一症例を経験したので 報告する。       症例 症例:68歳,男性. 主訴:咳噸. 既往歴:解離性大動脈瘤(DeBakey皿b);平成7年10月より経過観察. 異型狭心症による心室細動;平成8年1月から内服治療中. 喫煙歴:20本/日,40年間 B.1.=800

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平成13年4月1日

   現病歴:平成9年1月22日右肺下葉扁平上皮癌に対して右下葉切除

   術および縦隔リンパ節郭清術(R2a)を施行した.p−−TINOMO, stage I A.    その後外来にて経過観察中平成12年6月頃上記主訴出現した.胸部CT    にて気管に腫瘍を認めたため,精査となる.    理学的所見:身長150cm,体重57kg.頚部リンパ節触知せず. 前    胸部で軽度狭窄音を聴取した. その他に異常所見を認めなかった.    検査所見:検血,生化学検査では特に異常を認めなかった.    肺癌発見時胸部レントゲン写真では,矢印の部位に淡い腫瘤像を認め    (図1左),その時の胸部CTの肺野条件では矢印の部位に18×13㎜    nodular lesionを認めた(図1右上).同部位の造影CTでは軽度造影    される腫瘤像を認めた(図1右下).    気管支鏡にてsquamous cell carcinomaと診断,平成9年1月22日    右下葉切除術および縦隔リンパ節郭清術(R2a)を施行した.    肺癌の病理所見:ルーペ像で内腔ヘポリープ状に突出した腫瘍を認め

   た(図2左).H. E.染色の50倍像では,組織型はModerately

   differentiated squamous cell carcinomaで,明らかな脈管への浸潤    をみとめず,胸膜への浸潤もなかった(図2右),郭清したリンパ節    にも転移を認めず、P−TINOMO,でstage I Aであった.    今回来院時胸部レントゲン写真:気管内に腫瘤像を認め,右上肺野を    中心とする閉塞性肺炎像を認めた(図3左).    胸部CT:気管内腔へのみ突出する25×10㎜の腫瘤を認め,全体的に軽    度造影されていた(図3右).    ,気管支鏡検査(7月6日):腫瘍は膜様部から発生して気管内腔を狭窄    していて,大きさは約25㎜径であった(図4左).

   TBLBの病理所見:H. E.染色50倍像で,組織型はModerately

   differentiated squamous cell carcinomaで前回肺原発巣よりも細胞    異型が軽いがほぼ同組織と考えられた(図4右).

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臨床経過:右下葉切除術兼縦隔リンパ節廓清術の後であること,解離 性大動脈瘤および異型狭心症による致死1生不整脈の既往があることな どから,気管切除術の危険性は高いと思われた.また,肺癌の気管転 移の可能性も高いことを考慮し,レーザー照射目的に7月12日山梨医 大第二内科へ転院した.しかし、レーザー照射無効で7月13日一一8月 8日放射線科にて54Gyの照射を行った。8月2日の照射中の気管支鏡 検査の所見では矢印の部位に2ケ所腫瘍を認めていた(図5左).9月 20日照射後の気管支鏡検査の所見では腫瘍は矢印の部位においてほぼ 消失していた(図5右).その後も12月に気管支鏡施行し,CRである ことを確認した.       考察  原発性気管癌の頻度は森田の報告1)2)では肺癌400例に対して気管癌 1例と稀であり,肺癌と気管癌との重複癌は気管癌128例中3例と極め て稀と言える.また,悪性腫瘍の気管,気管支への転移頻度は2%で, 腎癌,乳癌,大腸癌等が多いという報告があり3),肺癌の気管転移も比 較的稀である.本症例において気管癌が肺癌からの転移であるか重複 癌であるかの判断が問題となった.二つの組織型が異なれば明らか であるが,組織型が類似している場合文献的に重複癌と判断した根拠 として星ら4)は肺癌が先行病変で術後局所再発がなく,肺癌の好発部 位に転移がなく,気管への血行性転移は稀であることを挙げ,藤村ら 5)は先行肺癌がpNOでありリンパ管を通しての進展は考えられないこ .とを挙げている.また木代ら6)は肺癌に血管侵襲を認めず血行散布も 考えにくく,他の転移好発部位に転移のない肺癌が,気管にのみ転移 することは確率的に低いことから重複癌としている,一方転移性とす る理由としては,林ら7),山村ら8)は両癌の組織型が類似していること, 第一癌発生時に肺内またはリンパ節に転移が認められていることなど

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平成13年4月1日 を挙げている.三浦ら9)は本症例と同じように気管内腫瘍が多発してい ることを挙げている.これらの文献的考察によっても我々の症例が重 複癌か転移癌かを確定することは出来ないが,気管内の離れた2ヶ所 に腫瘍が存在していたことからは転移性が強く疑われ,経気道的転移 も考慮すべきだと考える.       まとめ 1)  StageIA肺扁平上皮癌に対する右下葉切除後に気管腫瘍を発  症し,既往症等により外科的切除が危険と考え,放射線照射を施行   し,奏効した一症例を経験した. 2)  重複癌か転移性気管癌かを確定することはできなかったが,  転移性が強く疑われた.

参考文献

1)森田豊彦:肺癌症例と比較した気管癌および気管分岐部癌の頻度と 特徴(前編:頻度,他).呼吸1989;8:1104 2)森田豊彦:肺癌症例と比較した気管癌および気管分岐部癌の頻度と 特徴(後編:重複癌,他).呼吸1989;8:1206 3)William AB, James BD, Mark:Metastatic malignancies from distant sites to the tracheobronchial tree. J Thorac Cardiovasc Surg l 980;79:499 4)星 永進,小林 稔,西村和典,他:肺癌と気管癌が異時性に発生 した重複癌の1症例.胸部外科1989;42:1050 5)藤村重文,赤荻栄一,近藤 丘,他:1期肺癌に対する左下葉 Sleeve Lobectomy術後の気管内再発の1例.肺癌1984;24:79 6)木代 泉,森 清志,須賀由香里,他:気管と右肺下葉の同時性重 複癌の1手術例.日胸疾会誌1996;34:216 .7)林 嘉光,松浦 徹加藤政仁,他:気管,気管支内転移をきたし た末梢肺腺癌の1例.気管支学1989;11:164 8)山村淳平,和久宗明,小山 明.:気管転移をきたした肺小細胞癌の 1例.気管支学1987;9:72 9)三浦 隆,田中康一,中城正夫,他:肺癌術後に気管転移を認めた 3症例.気管支学1997;19:422

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図1

∨ ぷ.

撫一〆灘

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[パ素⑫齢

ルーペ像       HE×50  Moderately differentiated squamous cell carcinoma         P−TlNOMO, stage I A

図2

(6)

平成]3年4H1日 こ 数「へ∨魚、 諮ノ肖「

裟  灘    ぷ命

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図3

 肖糖ヒnl/ ぷゴ @㍗ HE,×50 Moderately differentiated squamous       cell carcinoma

図4

(7)

8/2照射途中 9/20照射終了後

参照

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