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専門職業家組織 : 新しい組織類型を求めて

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長 野大学 紀要 第15巻 第1号 45-68頁 1993

専 門職業家組織

― 新 し い 組 織 類 型 を 求 め て ―

Professional Organization

― T o w a r d s t h e n e w c o n f i g u r a t i o n o f o r g a n i z a t i o n ―

昌 敬

Masataka Karasawa

1. は じめ に 輝か しい

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世 紀 を迎 えるにあた り、 日本が通 り 抜けなければな らない最大の課題は、 リス トラク チ ャ ])ングとダウンサ イジングである。 リス トラ クチ ャ リングとは構造的変化に伴 って発生す る新 しい社会的要請 に向けて資源の組み合 わせ をダイ ナ ミックに変 え、強化すべ き点は強化 し、補充す べ き点は補充 してい くこ とであ る。ダウンサ イジ ングとは リス トラクチ ャ リングに含 まれ る概念で あ るが、資源の組み変 えに合 わせ て、組織 を見直 し、組織 を効率化す るこ とと人材の活性化 をはか るこ とである。 ダウンサ イジングとい う概念の本 質は、け っ して単純 な人月削減 、経費の節減では な く、簡素 な仕組の中で、よ り現場に近 い ところ で能 力のある人 を中心 に、迅速 な行動 が とれ るよ うな組織の追求 である。 この リス トラクチ ャ リン グとダウンサ イジングとい う新 しい時代の流れの 中で、既存の組織類型 を超 えた新 しい組織頬型が 求め られ るよ うになって来てい る。 今 まで、企業 は、安 定 した環境 においては機能 部 門別組織 、変化の激 しい多角的状況 に対 しては 事業部制組織 を採用 し活動 の統一性 と業績 を達 成 して来た。 しか しなが ら、次か ら次へ と発生 して いる構造 的変化 に対応 し、ダイナ ミックを リス ト ラクチ ャ リングが始 まろ うとしている現在 、この ような従来の,阻織類型だけでは対応で きな くな っ て きている。新 しい社会的要請 に応える リス トラ クチ ャ リングを成功 させ るには、創造性 を高め、 . 頭脳の価値 を高 め、人々のや る気 を高め、イノベ ー シ ョンを進め る新 しい組織類型が必要であ る。 現在 、新 しい時代に適合す るもの として、次の 組織類型が考 えられ る。 (丑企業家的組織 (勤小規模事業単位 ③ ネ ッ トワー ク組織 ④革新的組織 G)専 門職業家組織 これ らの組織が新 しい時代の要請 に応 える もの として注 目されつつ あるが 、そのすべてが全 く新 しい概 念ではない。それ らの組織の一部 は不完全 な形ではあるが限 られた分野で存在 していた。今 までは、その分野の個別性 、特殊性 のゆ えに取 り 上 げ られなか ったに過 ぎない。企業家的組織 と小 規模事業単位 はす でに実態 として存在 していた。 特に、企業家的組織は幅広 く存在 して いたが 、 企業進化 の過程の過渡的形態 としてほ とん ど分析 の対象 として取 り上 げ られ るこ とがなか った。 ま た革新 的組織 、専 門職業家組織 も、研究 者 、専 門 職業家 を中心 に古 くか ら成立 していたが 、専 門職 業家 といった極めて限 られた人にのみあては まる 特殊 な組織類型 と考 え られていた。それ らの組織 類型や その特性が時代の変化 とともに脚光 を浴 び るようになって きたのである。 現在進行 している リス トラクチ ャ リン グとダウ ンサ イジン グにおいて企業が最初 に求め られ るの は、経営計画の内容 、事業 内容 とは無関係 に漠然 と優秀 な人材 を採用 し、それ を能 力 ・通 性 とは無 関係に量 を基準に既存の組織構造 に配置 し、事業 活動 に取 り組んでい くといった姿勢の変 更 であ る。 変化の激 しい、将来の不透 明な時代 にお いては こ の ような姿勢 では もはや対応で きない。 この よう な姿勢 を取 り続けている といずれ需要構造 の変化 - 4 5

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長野大学紀要 策15巻 第1号 1993 か ら取 り残 され、縮小均衡 といった負のスパイラ ルに陥 って しまう。現 在ネガテ ィブな人員削減 を 中心 としたダウンサ イジングを行 っている企業の ほ とん どが この誤 りを侵 している。 しか しなが ら、 こういった厳 しい状 況が続 く中で企業はようや く こういった消極的な姿勢では対応できないこと、 社会的要請、需要構造 の変化に応 じて必要 な専 門 能力 を持 った人を中心 にフォー メー シ ョンを組ん で積極的に対応 していかなければな らないことを 認識す るようになって来た。こういった状況の も と、一般の企業 も専 門家 を中心に事業 と組織 を再 編す る方向性 を模索 し始めたのである。 現在、専門家 を中心 に編成されている組織には 専 門職業家組織 と革新 的組織があるが、本稿では、 専 門職業家組織に焦点 をあてその本質 を明 らかに し、企業の新 しい時代への対応にひとつの方向性 を示そ うとす るものである。 2.専 門職 業 家組 織 の成立 専門職業家組織は、専門職業家 を中心に高度 な 技能 を必要 とす る複雑 な仕事 を、高度に標準化 さ れた知識 ・技能 を通 して安定的に行 う組織である。 専門職業家的組織が成立す ることによ り、限られ た人 しか受けることが できなか った高度 な専門サ ー ビス を、沢山の人々が安定的に受けることがで きるようになった。かつては多 くの専門サー ビス は個人の専門職業家 に よって提供 されていた。体 系的知識 と職業倫理 を保持 していた専門職業家く1)、 医者 ・弁護士 ・会計士 は、個人事務所 を開設 し、 その知識 ・能力 を最大 限発揮 し、依頼人に対 して 質の高いサー ビスを提供 していた。体系的知識 ・ 深い専 門知識 を持 った専門職業家が高度な使命感 に支 えられ、科学の原理にのっとり、自律的に専 門サー ビスに従事 していたので、そのサー ビスの 質は、当時か ら極め て高いものであった。 しか し なが ら、個 人を中心 とした展開のため、その提供 され るサー ビスの量が限 られてお り、限 られた地 域の限 られた人々 しか その質の高いサー ビスを受 けることができなか った。 この専 門職業家が経 済規模の拡大、社会構造の 多様化、複雑化にあわせ て、社会的使命の よ り良 い達成、個 人 目的の よ り良い達成 を求めて、組織 を形成す るようになった。協働 して仕事 の効率 を あげるため 、高額な設備 を共同利用す るため、分 野の違 う専 門を結合す るため、 よ り質の高い仕事 をす るため、多様な専門サー ビスを提供す るため といった依頼人の便宜 をはか るため。 また 自分の 専門性 を高め るため、仕事の安定化 をはか るため といった専 門職業家の利益 をはか るために協働す るようになった。 これに よ り沢山の人が質の高い サー ビスを受けるこ とがで きるようになるととも に、専 門職業家の能力 も著 しく向上 したのである。 専 門職業家は当初 、設備利用、経費の共通化、情 報交換 といったメ リッ トを球めて集団化 したが、 この段階では協働作業は少 く、単独で個 々の 目的 の実現 を目指 していた。弁護士 、公認会計士の共 同事務所な どがこの形態である。これが社会的要 請の高度化に伴 い、特定 目的を達成す るために協 働す る形態へ と進んで行 ったのである。 組織化 、共同体化には二つの形態がある。ひ と つは、専 門サー ビスの効率 と質の向上 を求めて同 じ専門内容の専 門家が組織 を形成す る場合である。 もうひ とつは、専門分化の進展に伴い、専門内容 が異なる専 門家が組織 を形成す る場合である。前 者のケース としては 日本の監査法人があげられ る。 監査法人には同 じ専 門内容の公認会計士が集 って 連合体 を形成 し、監査の効率 と質 を高めている。 経験 ・能力の違 いに応 じて仕事 を分担す るこ と、 補助者、スタッフ ・サー ビスを共同利用す ること により仕事 の効率 は高 まる。 また質の高い専 門家 同志の相互啓発、若手に対す る

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、審理 を中心 とした仕事 の相互チェックに よ り仕事の質 も高 ま る。昭和

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年に 日本に監査法人の制度が導入 され て以来26年になるが、その間監査の質は著 しく向 上 したのである。米国の公認会計士の集団である ビック・アカウンテ ィング・ファームにおいては 日 本の場合 と事情は若干異なる。監査の分野に とど まらず、マネジメン ト・コンサルティング・サー ビ ス、税務 、人材斡旋 、弁護士業務 、合併 ・買収の 斡旋、保険数理士業務等多様 なサー ビスを提供 し てお り(2)後者のケースに近 い形態である。 後者のケース としては総合病院、大学、ロー ・ ファームがあげ られる。総合病院は最 も専 門分化 の進んだ専 門職業家的組織である。医療の分野は、 最 も専門分化が進んでお り、内科 ・精神科 ・神経 科 ・消化器科 ・循還器科 ・小児科 ・外科等19科 目(3)

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6-唐 沢 昌敬 専 門職 業家粗放 が確立 してい る。総合病 院においては、 この よう な分 野 として一般 に確立 した異な る専 門内容 の専 門家が集 って連合体 を形成 し、患者の多様 なニー ズに応 えるよ うに している。各分野の専 門家が、 自分 の専 門分野 の診療 に専念す るだけではな く手 術等のテーマ ご とに必要 に応 じて協働 し、高度 な サー ビス を提供 している。 これによ り患者はその 病気 の種類、病状 に よ り複数 の病 院 を転 々 とす る こ とな く、一 ヶ所 で体 系的な治療 を受 け るこ とが できるのであ る。 大学においては、異なる学問分野の専 門家が集 って連合体 を形成 してい る。学生 は、法学 、経済 学 、経営学、社会学 、文学 といった主要 な学問分 野 ご とに、体系的に高等教育 を受け るこ とが でき る。 これに よ り、私塾 に通 った り、独学で研究す るよ りも、 よ り効率 的に知識 を獲得す るこ とにな る。 ア メ リカにおけ る弁護士の集団、ロー ・ファー ムにおいて同様の専 門分化が見 られ る。 日本にお いて民法 、刑 法 、渉外 と若干の専 門分化が進んで いるが ロー ・ファームにおいては法領域 ごとに、 さらに依 碩人が求め る業務 ごとに細か く専 門分野 が分 れている。それに よ り高度 に専 門化 した依頼 人のニー ズに応 えてい るのであ る。 現 在、専 門職業家の多 くが、社会的使命の よ り 良 い達成 、個 人 目的の よ り良 い達成 を求めて、専 門職 業家組織 に参加 し、質の高 いサー ビスを提供 している。 この ような専 門職業家組織の最 も重要 な特色は、 連合体 を形成 して も、その主役 はあ くまで も一定 の資格要件 を備 えた訓練 された専 門職業家 とい う 個 人であ り、個 人の連合体 、 自営業者の連合体 の ような性格 を持つ点である。専 門職業家組織にお いては、体 系的知識 と深い専 門知識 を持 った専 門 職業家が広範囲な責任 と権限 を与 え られ、高 い使 命感 に支 え られ、現場 に密着 し、 自律的に仕事 を しているのであ る。そこでは、専 門職業家は、社 会 的要請や依頼人のニー ズに最 も適切 にこたえら れ るように意識 を集 中 し努力 してい るのである。 したが って、それは、 トソ7〇・マネジメン トの管 理や職務の体系 を中心 とした整合性 ある組織 とは 異な るのである。 この組織 を整合性 あ るもの としている もののひ

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とつが使命 である。組織には特定の 目的 ・使命が 存在す るが 、専 門職業家組織の使命は明確 である。 公認会計士 の最 も重要 な使命は、財務諸表 の適正 表示 に対す る意思表明である。弁護士 の使命は、 現行 の法秩序の中で社会正義 の実現 をはか るこ と である。教師の使命は知識の解 明 と新 しい知 識の 発見である。 これ らの専 門職 業家の使命は、数世 紀に及ぶ個 人の専 門職業家の実績の積み重 ね を通 して明確に され、広 く一般 に認め られた ものであ る。 これ らの使命は、専 門サー ビス をよ り良 く達 成す るため に連合体が形成 されて も変わ る もので はない。個 人で活動 して も、組織に参加 して も、 その使 命に変わ りはない。個 人の専 門職業家の使 命が引 き続 き、その専門職業家組織の明確 な使命 として引 き継がれている。 したが って、専 門職業家組織 は、明確 な使命 を 枠組 とし、その中で 自律 的な活動が行 われ る、独 立性 の高い個 人の連合体 である と言える。 この点、 経営管理者、中間管理職 、一般職 員 とい ったレベ ルに応 えて、 目的 を達成す るために必要 な役割 を きっち りと定め 、計画 と統制 を中心 に運営 されて い る現代の企業組織 とは異なるのである。 明 確 な 使 命 (共通に認識された使命) 専門職業家

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使命 を実現する個人の連合体 この専 門職業家組織は、専 門サー ビスの量 と質 を高め 、沢 山の人に安定的に専 門サー ビス を提供 す るこ とをね らい としているが 、それ を支 えてい るのが 、高度に標準化 された知識 ・技能 の集合 と いった側面 である。専 門職業家組織 には 、当該組 織の外部 で長 い年 月をかけた研究 と実践 を通 して 作成 され、時代 の変化 、新 しい技術の開 発 に伴 っ ー 47

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-48 長野大学紀要 第15巻 第1号 1993 て更新 されている高度に標準化 された知識 ・技能 が集積 している。専 門職業家は、この高度 に標準 化 され た知 識 ・技能 を状況に応 じて通用 し、必要 な判断 を加 え、 自由に活動 しなが らその使命 を安 定 的に果 している。 専 門職 業家の素質 ・能 力 ・経験には差があるが 、 この高度に標準化 された知識 ・技能 の存在に よ り、 依頼人は常 に一定水準以上のサー ビス を受け るこ とがで きる。風邪 をひいた患者は、 どこの病 院に 行 って も、熟練に よる若干 の判断の差 はあるが、 風邪 の基本的治療 を受 け るこ とが で きる。 また、 中小企業の経営者は どこの会計事務所に行 って も 決算手続 を依頼 し、税務 申告書 を作成 して もらう こ とが で きる。 構造的変化に伴 い、多様化 、細分化、専 門化が よ り一層進展 し、高度 な専 門サー ビスに対す る需 要が ます ます高 まっている。新 たな専 門サー ビス を必要 とす る分野が次か ら次へ と生 まれて来てい るのであるが、社会が進歩、発展す るためには、 新 たに生 まれて くるこの高度 な専 門サー ビスの需 要 に、過不 足な く、安定的に応えていかなければ な らないのである。新 しい社会状況が生み 出す未 知 の分野 で、新 しい概念の創造 、問題の解決等の 革新 を進 め るには、革新的組織 、ネ ッ トワー ク組 織が ふ さわ しいが 、ある程度社会的要請の内容が 特定 した分野で一般 に確立 した高度 な知識 ・技能 を安 定 的に通用す るには専 門職業家組織がふ さわ しい 。 この専 門職業家組織 を確立す るこ とに よ り、 新 たに生 まれた専 門分野で高度 な専 門サー ビス を 安定的に、大量に供給す るこ とが で きるのである。 現在 、専 門職業家組織は専 門職業家 とい う限 られ た職 業分野に見 られ る組織 であるが、社 会の高度 化 に伴 い、専 門職業化組織 、専 門職業家 的組織運 営 は社会 の様々な分野で定着 してい くもの と予想 され る。 3.専 門職 業化 組 織 の 本 質

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)分化 (部門化 ) 専 門職業家組織においては、個 人 もしくは複数 の専 門化が高度 に標準化 された知識 ・技能 を通用 し、特定分野の依頼人の要請に 自己完結的に こた えているので、その組織構造 は、高度に標準化 さ れた知識 ・技能 を通用 で きる専 門家 を基本単位 と す る。病 院では医師が 、大学 では教員が 、監査法 人では公認会計士が原則的に基 本単位 である。専 門職業家的組織においては、原則的に個 人が組織 の基本単位 であるが 、複数の専 門家がチーム を編 成 してサー ビス を提供す る場合 、このチームが基 本単位 とな る。重要 な手術が行 われ る場合 、複数 の医師がチーム を編成す る。延 日数

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日に及ぶ 大企業の監査が行 われ る場合 、複数 の公認会計士 がチーム を編成す る。 この場合 、 グループご とに 統合マネジャーが置かれ、基本単位 の調整が行 わ れ、基本単位 内の活動 の統一 性が保 たれ る. この 統合マ ネジャーは専任の管理者 ではな く、パ- ト タイム ・マネ ジャー であ り、現場の作業に従事 し なが らグループ内の管理 ・調整、他のグループ との 調整 を行 っている。 監査法人においては、公認会計士 は同時に複数 の グループに所属 し、同時並行 的に業務 を遂行す る。 したが って公認会計士 は複数 の統合マネジャ ーの もとで仕事 をす るこ とにな る。そ して、統合 マ ネジャー と公認会計士 との組み合 わせ は固定 的 ではな く、依頼人の増減 、依頼 人のニー ズの変化 、 公認会計士 の希望等によ り変 わ る。 また、同様に 統合マネ ジャーは複数 のプロジェク トに同時並行 的に従事 してお り、その関係 は 多重 的になってい る。 統合マネジャーA 統合マネジャーB 公認会計士C 公認会計士D 専 門職業家的組織においては、その仕事 の遂行 に必要 な高度 な知識 ・経験 ・適正能力 を持 った専 門職 業家が現場 に密着 して独 自に依頼人のニー ズ をつかみ 、高度に標準化 された知識 ・技能 を用い、 必要 な判断 を加 え、依頼人の満 足 を高め るサ- ど ス を提供す る とい う自律性 、 自己完結性の高 い仕 事 をしている。 また他部 門 と調整が必要 な仕事 を 除 き、仕事 の進め方 、結果の評価 は依頼人か ら特 -4

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8-唐 沢 昌敬 専門職業家組織 図- 1 個人単位で依頼人にサービス提供する専門職業家組織 図- 2 グループ単位で依簸人にサービス提供する専門聡美家組織 別 の クレー ムが ない限 り、その専 門職 業家 に まか されてお り、上 司の直接 統制 は限 られてい る。 し たが って 、組織 は、① 組織 メンバーの質が高 く良 く訓練 されていればい るほ ど ② 仕事 の内容が標 準化 され ていればい るほ ど ③ 権 限委譲が進 んで いればいるほ ど管理の幅は広が る とい う原則通 り(4) 図

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、図

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の よ うに 、中間層の少 い平 たい構 造 にな るのである。 2)権 限 49 専 門職業家組織 は、機能 的権 限 を中心 に分権化 が高度 に進 んだ組織 であ る。伝 統的組織 において は、権 限の源泉 を上位 の職 位 に求め 、究 極 的権 限 はすべ て ト ノブに集 中 し、権 限は上位 の職 位か ら 下位 の職位 に与 え られ る もの であ った。 この権 限 は、上 司か ら部下-委譲 され 、全体 として切 れ 目 のない ラインを形成 してい る。 この権 限 の階層関 係 の もとで、上位 の権 限 を受 け入れ 、与 え られ た 範 囲内で権 限 を行使 し活動 す るこ とに よ り、活動 -4

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9-50 長野大学紀要 第15巻 第1号 1993 の統一性 が保 たれ る。 しか しなが ら、専 門職業家組織においては状 況 、 は若干 異なる。上位の職位 を源泉 とす る権限は弱 く、知 識 ・経験 ・適正能 力 を源泉 とす る権限、機 能的権限が優勢 となる。 この機能的権限 を最初 に 指摘 したのが メア リー ・パー カー ・フォレッ トであ る。 フォレッ トは権限について次の ように述べ て いる。『権限が知識 と経験 とに伴 うべ きであるこ と、 そ して また知識 と経験 とが ラインの上部 にあろ う と、下部 にあろ うと、それには関係 な く服従はこ の知識 と経験に対 して行われ るべ きである。』(5)。 す なわち、その状 況について十分 な知識 と経験の ある人が 、職位に関係 な く権 限を持 ち、他 人に指 示 を与 え、問題の解決 にあたるこ とが で きる とい う機能的権限の存在 を明 らかに したのであ る。 こ こにい う機能 とは、 目的 を実現す るために必要 な 活動 であ り、機能的権限 とは受容の源泉 を、その 活動 を果すのに最 もふ さわ しい知識 ・情報 ・適正 能力に求め るこ とであ る。 事業部制組織においては、あ くまで も上位の職 位 を源泉 とす る権限が包括的に委譲 され る。 これ に対 して専 門職業家組織においては、上位の職位 を源泉 とす る権限の影響力は弱 く、その問題解決 に必要 な知識 ・経験 ・適正能力 を持 っている人に、 広範な権 限が 自然に発生す るのである。 この機能的権 限 をもとに、独立性 、 自立性 の高 い専 門職業家が、使命の達成に向けて、みずか ら の判断で 自由に仕事 を進めている。但 し専 門職 業 家の仕事 は、無制 限に 自由なわ けではない。専 門 職 業家組織 ごとに、何 らかの活動 の枠組が存在す る。基本的使命 といった枠組のみな らず、現在の 社会的要請に よ り良 くこたえるために明 らかに さ れた方針、依頼者のサー ビスの質 と量に対す る意 志表示 である契約金額 な どが活動 の大枠 となる。 また内部的には、他部 門 と資源 を共有す る場合 、 調整活動が必要 であ り、そこで合意 した事項 も守 るべ き活動 の枠組 とな るのである。 専 門職業家組織に、あ らか じめ合意 された方針 があればそれに従 わなければな らない。環境問題 を優先す る、情報処理 の技能 を活用す る、機器 を 積極的に利用す る、地域社会-のサー ビス を優先 す るな ど、その使命の よ り良 い達成、新 しい社会 的要請-弾力的にこたえるため 、専 門職 業家の活 動 を方向づ け る基本方針がある場合 、その方針に 沿 った活動 が行われ る。 あ らか じめ、仕事の量が金額表示 で きる場合 は、 この金額が 、仕事 の大枠 となる。本 人が依頼人の 状 況 とニー ズを理解 し、それ を満 たす専 門サー ビ スの内容 を判断 し、依頼 人 と合意 の もとで契約金 額 を決めた場合 、その金筋は、 自分の仕事 の質 と 範囲 を管理す る有力なよ りどころ となる。上 司等 別 の部 門で契約金額が決 まる場合 、依頼人のみな らず上 司 との調整 も必要 となる。 この場合 、依頼 人の要請 を満たす ため無制 限に依 頼 人にサー ビス を提供す るこ とはで きない。提示 された金額の枠 の中で、重要性 、優先順位 を考慮 して提供す るサ ー ビスの内容 を決めていか なければな らない。こ の金額はあ くまで も目安 であるが 、金額は、依頼 人が求めているサー ビスの範囲 を決定す る有力な 手掛か りとなる。専 門職 業家 は依 頼人の表面的ニ ー ズ、問題の性格のみな らず契約金額 も参考に し て求め られている仕事 の範囲 と量 を適切 に決定す るこ とが で きる。金額 とい う枠が存在す るこ とに よ り、依頼 人のニー ズに対 して真 に過不 足のない サー ビス を提供す るこ とが できるようになる。 ま た、ある程度 、プロジェク トの採算 を達成す るこ とに よ り、仕事の効率 を維持す るこ とがで きるの である。 他部 門 と仕事 の調整 をす る必要 がある場合 、他 部 門 との合意事項が仕事 を進め るにあたっての枠 組 となる。専 門職 業家の活動 は原則的に 自由であ るが、共有資源 を利用す る場合は 、全 く自由に好 きな時に好 きなだけ利用 で きるわけではな く、い つ 、 どれだけ利用す るか につ いて他部 門 との調整 が必要 である。サー ビス ・スタッフ を利用す る場 合 、専 門職業家の間で協議す る とともに管理機構 の管理者 とも協議す るこ とが必要 である。 ここで 得 られた合意事項 に もとづ き、サー ビス ・スタ ッ フを利用す る量 と時期が決定 され る。専 門職業家 はサー ビス ・スタ ッフを好 きな時に、好 きなだけ 自由に使 えるわけではない。 また複数 の専 門職業 家がチーム を編成 して仕事 を進め る場合 、構成 メ ンバー を全 く自由に決定 で きるわけではない。統 合マネジャー 、管理者が集 ま り、 どの専 門職業家 が どのプロジェ ク トに従事す るか 、 日数 と日程が 協議 され る。専 門職 業家組織にお いては、本人の - 50

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-唐 沢 昌敬 専 門職 業家 組 織 希望 が強 く反映 され るが原則的にこの協議 に よ り、 専 門職業家が従事す るプロジェク トと日数が決 ま る。その合意事項 をもとに、 どのプロジェク トが 誰 によって、いつか ら、何 日かけて実施 され ると い う大枠が決定 され るこ とにな る。 この ように、大枠が存在 し、若干の調 整は必要 であるが 、それ以外につ いては、機能的権限 をも とに、基本的にみずか らの判断で 自由に仕事 を進 め るこ とがで きる。これに よ り依 頼人に対 して、 最 もふ さわ しい専 門サー ビス を提供す るこ とがで きるのである。 専 門職業家 の 自由裁量が最 も発揮 で きる分野が、 具 体的仕事の方法 とスケジュールの決定 である。 一般 の企業組織 においては仕事 の計画は上位の部 門で作成 され 、現場はそれに従 って仕事 を進め るo また、仕事が うま くいっているか どうかの統制 を 受 け る。 これに対 して専 門職業家組織においては、 仕事 の方法、仕事 の手順 とスケ ジュールは専 門職 業家 自身が 自由に決定す る。依頼 人の満足 を高め るように 、高度 に標準化 された知識 ・技能 の適用 の範囲 と手順が決め られ る。 また、仕事 の効率 と 質が維持 され るように現実 の作業 の内容が決め ら れ る。 この専 門職業家 自身が作成 した計画に もと づ き進度管理 を行 っている。現実の作業 をまとめ た り、みずか ら仕事 の進み具合 をチェ ックし、必 要 な調 整活動 を行 っている。 また、通 常上 司が行 う統制 活動 も専 門職業家 自身が行 って いや.仕事 の結果 を検討 し、問題点 を明 らか に し、 原因 を追 求 し、対応策 をたて次の仕事 をよ り良 くす るため に生かす とい う一連 の統制 活動が 、上司か ら指示 され るのではな く、仕事 に携 わっている専 門職業 家 に よって 自発的に行 われ る。 このような形で、 現場作業 におけ る計画か ら統制 という一連 のマネ ジメン ト ・サ イクルは、機能的権限に もとづ き、 現場 の仕事 に携 わってい る専 門職業家の手の内で、 自己完結的に行 われ るこ とになる。 機能 的権限行使の最高 の形態が 、 自分 の活動分 野 を自分 で決定す るこ とである。専 門職業家組織 においては、専 門職業家 が知 識 ・経験 ・適正能力 に もとづ き自分が活動 す る分野 を自由に決定す る 権 限が存在 している。専 門職業家 は、原則的に、 自分 の知識 ・経験 ・適正能力に もとづ き、 どの よ うな分野で どの ようなサー ビスを提供す るか 、 ど 51 の ような特定サー ビスを誰に対 して提供す るか決 定 で きる。 この専 門職業家の活動分野の選択が、 本 人の知識 ・経験 ・適正能力 と実績に もとづ いて い る限 り、その選択 につ いて仲 間か ら異議が 出る 可能性 はほ とん どない。 会計事務所においては、監査 に従事す るか 、経 営管理 の コンサ ルテ ィングに従事す るか 、情報 シ ステムの コンサルテ ィングに従事す るか、教育に 従事す るか 、税理士業務 に従事す るか 、国際税務 に従事す るか. また、 どこで どの ようなサー ビス を提供す るかは、特別 な場合 を除 き、知識 ・経験 ・ 適正能 力に応 じて 自由に決定 で きる。大学 におい ては、 どの科 目をどの ように教 えるか、何 をどの ように調査研究す るか は研究業績 、過去の実績 、 経験等によ り原則的に教員が 自由に決定 で きる。 この決定が 、研究業績 、過去 の実績、経験 と照 ら し合 わせ て妥 当である場合 、 自然に同僚の認可が 得 られ るこ とになる。大学 においては、この決定 に よ り、学部、学科 によって明 らかにされた製品 一市場分野の範囲内で、個 々の部 門別事業戦略の 内容が具体化 されてい くのである。 この ような機能 的権 限に もとづ いて活動す るこ とに よ り、依碩人の満足 を最大 にす るこ とが で き る。依 税人のニー ズをどうとらえるかが専 門職業 家の仕事の結果 を左右す るが 、機能的権 限に もと づ く独立性 、 自律性のゆえ、専 門職 業家は上 司よ りも依 頼人に 目を向け、常 に依頼人に密着 し依頼 人のニー ズを正 し くとらえるこ とができる。 またみずか ら選択 した 自分 の通性 にあった分野 であ るので仕事 に対す る熱意 、依頼 人に対す るサ ー ビス精神 は高 く、常 に依板 人に密着 し、最高の 注意力 を発揮 して仕事 をしている。 したが って専 門職 業家組織においては組織の論理 ではな く、依 頼人のニー ズに もとづ き、提供 され る専 門サー ビ スの質 、提供 され る専 門サー ビスの範囲 を適切 に 決定す ることがで きる。戦略情報 システムの作成 を依頼 された場合、理想的なシステム を提供す る のではな く、複雑 なシステムが必要か、簡易なシ ステムで足 りるか、依頼人の状況に応 じて判断 し、 必要 に して十分なシステム を提供 してい る。高度 な専 門サー ビスは高価 であ るので、そのサー ビス を過不 足な く提供す るこ とも依 頼人の満 足 を高め る重要 な要素であ るが 、この判断は問題解決に必 - 5 1

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-52 長野大学紀要 第15巻 第1号 1993 要 な権限 を有 し、現場 に密着 している独立性 、 自 律性 の高 い専 門職 業家に よっては じめてなされ る のである。

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)専 門職業家の仕事 を支援す る管理機構の存在 専 門職 業家組織 においては、専 門職業家 の連合 体 とは別 に、専 門職業家の仕事 を側面か ら支援す る専 門職業家以外の職 員か ら構成 され る管理機構 が存在す る。 管理機構は専 門職 業家組織の 目的活動 の前面に 立つ こ とはな く、専 門職 業家の仕事 を補佐 した り、 組織運営上 、 日常 的に発生す る業務 を分担す るこ とに もっぱ らその力が向け られ る。専 門職 業家の コス トは一般 的に高いので、専門職業家以 外のス タッフが専 門職 業家 ではな くて もで きる仕事 、専 門職 業家 の仕事 の補佐や 日常的な管理業務 に携 わ っている。 財務 ・経理 ・庶務 ・清掃 ・警備 ・食堂 ・設備管 理 ・会館運営 ・広報 ・出版 ・人事 ・研修 ・図書館 の管理 ・コンピュー ターの管理等の 日常 的な管理 業務は管理機構が分担す る。 また、資料の整理 、 記録 ・集計 ・分類 ・実験 の補助等の専 門職 業家の 活動 の効率 をあげ るための補助活動 も管理機構 に よって行 われている。 これ らの分野におけ る管理 的意思決定 、業務執行 は原 則的にすべ て管理機構 にゆだね られ るこ とになる。 これによ り、組織は 目的の実現 に向けて希少資源 を有効 に活用す るこ とがで きるのであ る。 専 門職 業家組織 の管理機構の業務 の大 きな特色 は、計画 と統制 とい う業務 の重要性が低 い とい う 点である。専 門職 業家は顧客のニー ズに合 わせ 、 みずか らの仕事 を計画化 し、進度管理 を行 い、結果 の評価 をしてい るのである。外部 の計画 を受 け入 れた り、外部の指示 を受 けた り、外部か ら進度のチ ェ ックを受 け るこ とはない。したが って、専門職業 家組織の管理機構には専 門職業家の仕事 を計画 し た り、統制 した りす る機能はほ とん ど存在 しない。 管理機構が存在す るこ とに よ り専 門職業家は、 管理業務か ら解放 され、本来の 目的活動 に専念で きるよ うになるが 、専 門職業家は 、管理業務 をす べて管理機構にゆだねて しまうわけではない。広 報 、人事 (採用 ・昇進 )、研修 、予算 といった専 門 職業家の利害に関す る管理業務 につ いては、管理 機構が資料の収集 ・整理 、業務 の執行 を行 うが 、 その内客 の審議 ・決定は、専 門職 業家 を中心 に編 成 された委員会 で集合的になされ る。専 門職業家 もしくは職 員の採用 は、本人の仕事 の質 と効率 、 目的活動 の よ り良い達成、全体 の運営 、組織の採 算性 、組織 内競争等様々な利害が複雑 にか らみ合 ってい る。教育の内容につ いて も、個 々の専 門家 の専 門分野、能 力、経験、興味に よって異なる。 したが って これ らの分野においては専 門職業家 を 中心 とした十分 な審議が必要 なのである。 また、専 門職 業家の利害に直接影響のない管理 業務 につ いて も、専 門職業家 と事務職 員か らなる 委員会が設置 され、管理業務への専 門職業家の意 向の反映 、全体業務 との調 整が行 われ る。これ ら の委員会 活動 を通 して、専 門職業家の意識か ら遠 ざか って しまいが ちな個 々の管理 業務-の興 味 を 維持 し、理解 を深め るこ ともで きるのである。 この管理機構 では、個 々の事務職 員の役割 、な すべ き仕事 は明確 である。組織 を維持す るために どの ような管理業務 を行 うべ きであるか 、専 門職 業家の仕事 の質 を高め効率 をあげ るために どの よ うな支援 活動 を行 うべ きかであるか といった内容 の もので、活動 内容 と求め られ る成果は特定 して いる。長 い歴史の積み重 ねの中でそれ ぞれの専 門 職業家組織 におけ る管理業務 も能率 の観点か ら分 業化 し専 門分化 している。 したが って、管理機構 に最 もふ さわ しい組織構造は、業務活動 ごとに仕 事 を分類 しまとめた機能部 門別組織構造 であ る。 この管理機構 においては高度 な判断 を馬区使 した 質の高い仕事 をす るよ りも、一定の水準の仕事 を 安定的に処理す るこ とが求め られ る。安定 したコ ンピュー タ ・サー ビスの提供 、必要な資料の タイ ム リーな提供 、設備の維持 、安全管理 な どのサー ビスが 日々求め られ る。 この ような業務 を安定的 に行 うには、仕事 の内容 、手順 の相 当部分 をあ ら か じめ標準化 してお くこ とが必要 であ る。仕事 の 内容 を分析 し、関連す る仕事 を分類 し、仕事 のつ なが りを明 らか に し、システム化 を進め、規則 を 制定 し、マ ニ ュアル を整備す るこ とである。 また、 類似の仕事 を大量 に処理す るには、上か らの計画 、 指示 に よ り活動 の統一性 を保つ こ とも必要 である。 標準化が進 んだ仕事 を上位の権限 を源泉 とした明 確 な責任 と権 限の体系の もとで実施す るこ とによ り、仕事の効率 は よ り一層高 まるのである.したが 1

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52-唐 沢 昌敬 専 門職業家組織 って、管理機構 には、上位 に権 限が集中 した中央 集権的組織が好 ましい。 この ような業務 の本質か ら管理機構においては、 図

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の ような、経営管理者-事務局長一部長一 課長-一般職 員 といったオー ソ ドックスな一元的 な流れが形成 され、中央集権的機能部門別組織が 形成 され る。 この ように専 門職業家的組織には

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つの性格 の異なる組織構造が並存 している。専 門職業家は、 個 人 もし くは複数 の専 門職業家 を基本 単位に連合 体 を形成 し、 自律 的に 目的活動 を遂行 している。 これに対 して事務職員は、伝統的な組 織構造 、中 央集権的機能部 門別組織構造に所属 し、 管理業務 区l-4 53 と支援 活動 を行 っている。 したが って専 門職業家 組織は、図

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にみ られ るように、 自律性 ある個 人の連合体 と中央集権的機能部 門別組織 の複合体 となる。

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)高度に標準化 された知 識 ・技能 専 門職業家組織は、高度に技術的な仕 事 を安定 的に遂行す るが 、その擬動 力 となってい るのが高 度に標準化 された知識 ・技能 である。一般 的に高 度なサー ビスは、素質のあ る人が努力 し、知識 を 増や し、技能 を磨 くこ とに よ り提供 され る。 した が って 、サー ビスの質は個 人の能力に依 存 し、誰 に頼むかに よって結果は著 し く異なる。デザ イン・ 映像 の制作 ・演劇 ・設計 ・- イテ クの研 究 な どの

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長野大学 紀要 第15巻 第1号 1993 分野では この傾向が強 く、依頼者は求め る質のサ ー ビスが得 られ るか ど うか常に不安定な状況に置 かれてい るのである。 これに対 して専 門職業家組 織か らは高度 な専門サ ー ビス を安定的に受 け るこ とが できる。 これを支 えてい るのが高度に標準化 された知 識 ・技能 であ る。専 門職業家の用 いる知 識 ・技能 は高度 であ るが 、それ らの多 くは一般 の イメー ジに反 してか な り標準化 されている。専 門 職業家が社会のニー ズに合わせ て質の高 い専 門サ ー ビス を沢山の依頼者 に提供 し、社会の期待に応 えて きた とい う長い実 践 の歴史の中で必要 な知識 概念 、技能 を整備 し、広 く一般 に認め られた知識 ・ 技能 として確立 して来 たのである。専 門職業家は、 専 門職業家の団体、大学 の研究室 、共同作業 、現 場訓練 を通 して、それ ぞれの知識 ・経験 を持 ち寄 り、高度 な知識の共通部 分 を明 らかに し、知 識 を 整理す る とともに新 た な知識 ・技能 を開発 し、知 識 ・技能 の体系の整備 に努めて来たO 現在、 この高度に標 準化 された知識 ・技能の基 礎 的部分の教育 は大学 及 び大学院で行われている。 専 門職業家 と大学の協 同作業の結果 、専 門職業 で 用い られ る知 識は大学 の学問分野 として も確立 し てお り、その基礎知 識 の 多 くは大学 で習得で きる。 それ ぞれの専 門職業 で必要 な医学 、法学、会計学 、 経営学 な どは広 く大学教育に取 り入れ られている。 専 門職業家 を目指す 人は 、まず大学 でその専 門職 に参加す るにあた り必要 な基礎 的な知識概念、基 礎的な技能 を学ぶ こ とが できる。 そ して大学 で基 礎知識 を身につけ、一 定 の資格試験 を通 った人が 、 専 門職業家の団体が提供 す る継続職業教育 、現場 教育 を受 け、専 門職 業家 として必要 な高度に標準 化 された知識 ・技能 を身 につけてい くこ とにな る。 公認会計士が監査 を進 め るにあた り必要 な基礎 的な知識 ・技能は監査論 、会計学 、商法 、証券取 引法、経営学 といった広 く一般 に認め られた学問 分野 として確立 してい る。また、実践上の知 識 ・ 技能 は、監査論 、会計学 、商法 、情報科学等 を基 礎 に、監査手続、監査実 施マニ ュアル、取 り扱 い 要領 として標準化 されて いる。 これ らの監査手続 等は、公認会計士事務 所 、大学 、公認会計士協会 の研究 と実践の積み重 ね の もとに作成 された もの で、実践の手 引 きとして公認会計士のあいだであ まね く用 い られてい る。 これ らの高度に標準化 された知 識 ・技能は一定 の資格要件の もとで訓練 を受 けた公認会計士 であ れば誰 で も適用で きる ものであ り、これ らを状況 に応 じて選択通用 し、定め られた 日数 内で監査業 務 を行 い、新 しい事実 に判断 を加 え、生産物F=る 監査報告書 を安定的に作成 してい るのである。 公認会計士の知識 ・技能の分野 においてはさら に、標準化が困難である と思 われていたマ ネジメ ン ト ・コンサルテ ィングの分野の知識 ・技能の標 準化 も進 んでいる。1976年、AICPAか らMASBO

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が発表 され、公認会計士 のマ ネジメン ト コン サ ルテ ィングに用い られ る知識概 念一覧表が明 ら かに された(6)O一般的知 識、組織機能 と技術分野 の知識、産業 とパブ リック ・セ クターの知識 とい った大分類の もとに、詳細な知 識の内容が明 らか になった。それ以降AICPAを中心に研究が進み、 標準化が 困難であった公認会計士のマネジメン ト コンサルテ ィングの高度 な知識 ・技能 の相 当部分 が広 く一般 に認め られた知識概念 として確立 し、 沢山の人が体系的に習得す るこ とが できるように なった。 大学 において も、その学者 の専 門分野の知識概 念 と理論 は標準化 してい る。それ ぞれの学 問分野 ごとに、沢山の学者の事実の観察 ・経験 ・思考 ・ 議論 を通 してまとめ られた、一般 に認め られた確 立 した理論がある。経営計画の立案 、予算管理 、 原価計算 といったテーマ ごとにすべ ての学者に共 通 に認識 された理論が存在す る。学者は、この高 度に標準化 された知 識概 念 と理論 をもとに、それ に 自分の解釈 を加 え、教育 ・研究 といった高度 に 知 的な仕事 を安定的 、継続的に行 っている。 こ.の高度 に標準化 され た知 識 ・技能 を共通の基 本ベー スに して、体系的知識 と職 業倫理 を備 えた 専 門職業家は、直面す る部分環境 に対 して高度 な 判断 を行 い、基本的使命 を安 定的 に果 しているの である。 4.専 門職 業 家組 織 に お け る統 合 伝統的 な企業組織においては、 トップを中心 と した権限の階層構造が確立 してお り、この階層構 造 を通 して活動 の統一 性が維持 され るO下位者が 権 限の階層関係の もとで上位 の権 限 を受 け入れ、 与 えられた範囲内で権 限 を行使す るこ とに よ り、 -

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54-唐 沢 昌敬 専 門職 業家 組臨 指示 ・命令 と報告 の一元的流れが形成 され 、秩序だ った活動 が可能 となる。 また権限の階層化 と併せ て、伝統 的な企業組織においては、仕事 の内容の 明確化 と作業手順 ・作業方法の標準化 と規則化が 進 んでいる。歴 史のあ る企業 では職務 明細書、作 業マニュアル等が幅広 く整備 されている。従業員 が これ らの標準化 された作業手順 ・作業方法に従 うこ とに よ り活動 の統一 性は よ り一層高 まるので ある。 ト ノブは この ような状況の中で、売上 、利 益 、利益率 とい った業績管理会計か ら得 られた標 準化 されたアウ トプ ッ トを駆使 し、直接統制 を行 い、 目的活動 の統一 性を確保 し、全体の業績 を達 成 してい る。 しか しなが ら、専 門職 業家組織 においては、こ の よ うな直接統制 を中心 に活動の統一性 を求め る こ とは困杜であ る。前述の通 り、専 門職業家組織 においては、上位の職位 を源泉 とす る権 限は弱 く、 知 識 ・経験 ・適正能力 を源泉 とす る機能的権限が 優勢 であ る。権 限は、それ ぞれ問題解決に必要 な 知 識 ・経験 ・適正能力のある人に帰属 し、組織全 体 に幅広 く分散 し、それ をたばね る力は弱い。専 門職業家 は、この機能的権限に もとづ き、仕事の 分野 、サー ビスの質、仕事 の方法 ・手順 を自分の 考 えで自由に決定 し、仕事 を進め ている。上位の 職 位の人間 といえ ども、その権限 を侵す ことはで きない。 したが って、経営管理者が、中央集権的 権 限 を行使 し、専 門職業家の活動 を直接統制す る こ とは本質的に困艶 である。 専 門職 業家組織 においては、指示 ・命令のみな らず報告 の一元的な流れ も形成 されていないので、 現場情報 ・部分環境に関す る情報が トン70に集 っ て こない。現場情報 ・部分環境に関す る情報は、 知 識 ・経験 ・適正能力のあ る人に直接的に集 って くるこ とにな る。支援 スタ ッフを通 して収集 ・分 類 された情報 も、知識 ・経験 ・適正能 力のある人 に直接提供 され る。問題解決に必要 な情報はほ と ん ど現場 に集 中す るこ とになる。 トノブには仕事 を指示 した り、仕事 を評価 した り、仕事 を調整す るために必要 な情報はほ とん ど集 まらない。 した が って、現場情報が不 足 している とい う面か らも ト ノブは直接統制 を行 うこ とが 困難なのである。 この他 、伝統的な企業組織 では標準化 された成 果 を測定 し、業績 を評価 し、それ をよ りどころに 55 統制活動 を行 っている。 しか しなが ら専 門職 業家 組織においては、伝統的な企業組織の ように、直 接 統制 を支 える売上 ・利益 ・利益率 ・原価率 ・生 産 量 ・歩留 り ・作業時間 といった結果 を特定 した 標準化 されたアウ ト ・プ ッ トを見出す こ とが 困難 である。 医者は患者の治療 を行 うが 、その成果は何 人治 療 して、何 人完治 したか とい う数字 で評価す るこ とはで きない。 1日何 人治療す るか 、その結果何 人完治 したかは、患者 の個 々の病状 、個 人の生命 力に依 存 してお り、数字 に よ り客観的に把握す る こ とはできないのが普通である。 公認会計士 の仕事 も、短文 式報告 書 を何通作成 したか によって単純に評価す るこ とはで きない。 監査報告書 を作成す るには、複数 の公認会計士が 延べ 日数300日以上かけて、知 識 ・経験 ・適正能力 を駆使 して、高度な判断 を積 み重ねた結果 であ り、 短文式報告書には、財務諸表の適正表示 に対す る 最 終意見が記載 されているに過 ぎない。 また学者の研究業績 、学生 の教育 も論文 の数 、 教 えた学生 の数 で評価す るこ とはで きない。あな たは1年間に論文 を何本書 きなさい、学生 を何 人 教 えな さい といって統制 を行 お うとして も何 ら好 ま しい結果 を生 む もの ではない。 また論文の内容 に踏み込んで評価 しようとして も、それ ぞれの学 問分野別 に異なる高度に標準化 され た知 識 ・技能 に もとづいて研究活動が行 われてい るので、多大 な困難 を伴 う作業である。 この ように専 門職業家の仕事 の成果 を、標準化 されたアウ ト・プ ッ トで把握す るこ とは 困難 であ る。数値に よって把握 された結果は、専 門職 業家 の活動 の本質 とは関係 しないこ とが 多い。 専 門職業家の仕事 は複雑 であ り、高度 な知 識 ・ 技能 を複雑 な状況に通用 し、 ぎ りぎ りの判 断 を行 使す ることに よ りなされ る ものであ る。専 門職業 家が最高に機能す る部分は まさに各種能 力が総合 化 された ものであ り、その成果 は定量的 な ものか ら定性 的な もの まで多岐にわた るものであ る。そ の仕事 を少数 の客観化 された基準で表現す るこ と はで きない。 したが って数字等の標準化 されたア ウ ト・プ ッ トにより、専 門職業化 の活動 を直接統制 す るこ とはできないのであ る。 現代 の企業では トソプの直接統制 と併せ て参加 ー

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55-56 長野大学 紀要 第15巻 第1号 1993 に よる統合が行 われている。参加 とは、従業員が 決定できる分野 を確保す るこ と、知識 ・経験 ・適 正能力に応 じて上位の決定に加 わ ること、状況の 理解 ・問題点の把握 ・問題の解決 ・成果の把握 に 必要な知 識 ・情報が必要 に応 じて入手で きるこ と、 相互理解 を深め る機会 を確保す るこ とである。戦 略経営の体系の整備 されている企業においては、 この参加 を通 して、 自分 の仕事 と、 目的 を実現す るための実行手段 である部門別戦略 、さらに全体 の経営戦略の階層 との関係 、 目的 との関連 を理解 す るようになる。 また、 自分の仕事 と関連 してい る部 門環境の理解のみな らず全体環境の理解 も深 まる。 これに よ り、個 々の活動が経営理 念、経営 方針、 目標 、経営戦略 、部門別戦略 を中心 とした 論理的 な活動の体系に組み込 まれ、 自然に統合 、 活動の統一性 を もた らす好 ましい協働状態(7)-向 ってい くこ とになる。 専 門職 業家組織において も高度 な参加が行 われ ている。第1に、知識 ・経験 ・適正能力に応 じて 問題解決に必要 な権限、機能的権 限が幅広 く与 え られてい る。 この機能的権限に もとづ き、専 門職 業家は、依頼人の満足 を最大にす るように、提供 さ れ る専 門サー ビスの質 と提供 され る専門サー ビス の範囲 を自由に決定 している。 また、具体的な仕 事 の方法 、手順 、スケジュールにつ いて も上か ら の指示はほ とん どな く、専 門職業家 自身が作成 し、 活動 の効率 と質 を維持 している。第

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に、専 門職 業家は どの分野 で どの よ うな専 門サー ビス を誰に 対 して提供す るか といった 自分の仕事 の分野 を自 分で決定 している。 これは参加 の最高の形態であ る。企業組織においては、この どの仕事 に従事す るかは、本人の希望 を尊重 してはいるが 、その決 定権の多 くは トノブに留保 されている。人事 は ト ップの統制力の有力な要素 となっている。 この組 織運営上最 も重要 な要素 であるどの仕事 に従事す るか とい う基本的決定権の相 当部分が、専 門職業 家組織においては、専 門職業家 の手の内にある。 自分の専 門能力 ・経験 ・通性 ・関心 をもとに、み ずか ら従事す る仕事 を決定 している。 また、決定 に対 して大 きな影響力 を発揮 している。 第3に問 題解決に必要 な知 識 ・情報は、その情報 を必要 と す る人に直接与 え られている。伝統的な企業組織 では、情報は トノブに- 担集め られ、 ト ン70か ら 必要 な部 門へ提供 されている。 これに対 して専 門 職業家組織 においては、現場情報 、部 門環境 に対 す る情報 は、その情報 を必要 としてい る人に、問 題解決 に取 り組んでいる人に直接与 え られている。 この よ うに専 門職業家 組織にお いて、原則的に 高度 な参加 が幅広 く行 われている。 しか しなが ら 一般 の企業 と異な り、専 門職業家 組織 においては 参加 は必ず しも統合へ は向か わないこ とが 多い。 参加 が統合 につ なが るには、戦略経営 の体 系の存 在が必要 である。参加 を通 して、自分の仕事 と全体 の仕事 との関連性 、 自分の仕事 と他部 門の仕事 と の関連性が 明 らかにな り、少 しずつ戦略経営 の体 系の理解が深 ま り、個々の活動が統一 性のあ る論 理的活動 の体系に組み込 まれてい くのである。 し か しなが ら専 門職業家組織 においては、この よう な論理 的な戦 略経営の体系はあま り整備 されてい ない。専 門職 業家組織においては 、大枠 としての 基本的使命 は存在す るが、その基本的使命 をよ り 詳細 に展開 した方針、 目的 を達成す るために何 を なすべ きか を明 らか に した全体戦略、各部 門 ごと に具 体的に何 をなすべ きか を明 らかに した部 門別 実行戦略 な どほ とん ど存在 していない。 また、作 成 していて もそれ らは きわめて断片的な ものであ り相互 に密接 に開通 した論理 的な システム を形作 ってはいないのが、現状 である。 したが って現在 の仕組みの もとでは どんなに参加 の質 を高めて も、 それは全 体 の活動 の統一性 をもた らす好 ましい協 働状態へ は向かわないのである。 現在、専 門職業家には、広範な権限 と十分 な現 場情報 ・部分環境に関す る情報が与 え られている。 それに もとづ き専 門職業家は、依 頼人のニー ズに 最 も適切 に こたえるように、現場 に密着 し、 自己 完結的に仕事 をしている。専 門職 業家 の 自己完結 性 は高いので、全体 を意識 しな くて も、他部 門で どの ような仕事が行 われてい るか を意識 しな くて も、依頼 人に さえ 目を向けていれ ば基本的使命 を 十分果す こ とが で きるのである。 自分 の仕事 、部 の仕事 に埋 没 して も、何 ら問題は発生 しない。 し たが って、専 門職業家の意識は部分環境に集 中 し、 全体環境 の理解へ向か うこ とはほ とん どない。 こ の面か らも、個 々の専 門職業家の活動 を全体状況 を中心 に統一性 ある ものにす るこ とは困難 である。 同様に、専 門職 業家の意識は、全体環境 のみな ー5

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6-唐沢 昌敬 専 門職 業家 組織 らず他部 門の仕事 の理解 に進 む こ ともまれであ る。 仕事 の 自己完結性 が高 いので、他部 門の協力 をあ おいだ り、他部 門の仕事 の補助 をす ることは少 い。 また、資源配分等 で他部 門 と調 整が必要 な事態 も 限 られている。本質的に専 門職業家同志 で相互理 解 を進め る機会 は大変 少いのである。 したが って 意識 の面で も、全員が一体感 を持 って協働 してい く状 況 を作 るこ とは困難 であ る。 それでは専 門職 業家組織においては、 どの よ う に して活動 の統一性 を保 っているのであろ うか。 前述 の通 り、専 門職業家組織 には明確 な基本的使 命が存在 し、個 々の専 門職業家が最終的に果すべ き使命 を明 らか に している。専 門職業家は、この 基本 的使命の実現 を目指 して 、知 識 ・経験 ・適正 能力 を駆使 して、 自律的に活動 している。専 門職 業家 は、 自由に活動 しているが個 々の活動 は、最 終的には、 この大枠 、基本的使命の実現 に集約 さ れ る。 したが って専 門職業家 の活動 は、最終的に 何 を目指すか とい う点ではひ とつの方向に しぼ ら れ るこ とにな る。 しか しなが らどの分野 で、誰に対 して、 どの よ うな専 門サー ビス を提供す るか といった具体 的な 活動 内容の決定 は 自由である。部 門別実行戟略 に あた る部 門は上 司や他部門 を意識せ ずに決定す る こ とができる。基本的使命は、大枠 としては機能 す るが個 々の具体 的活動 を統一性 ある もの とす る よ りどころ としては機能 しないのである。 専 門職業家組織において、個 々の具体的な活動 の整合性 を維持す るよ りどころ となるのは高度 に 標準化 され た知識 ・技能 である。専 門職業家 は高 度 に標準化 された知識 ・技能 を状 況に応 じて通用 し、そこに高度 な判断 を加 えて、その役割 を果 し ている。高度 な判断の部分は専 門職業家の能 力 ・ 経験 ・個性 に よって異なるが 、仕事 の進め方、問 題点の発見 、対応策の作成等の基礎 的作業には類 似性が見 られ る。作業 とい う観点か らは標準化 さ れた知識 ・技能 をほぼ同一の方法で適用 しているo 同一 条件の もとでは、誰がや って も、基礎 的部分 につ いては 、それほ ど差が ない。課題 ごとに、 ど の程度の範囲の知識 ・技能 を用 いるか 、 どの程度 の質 まで追求す るか 、どのような手順 でその知識・ 技能 を用い るか についてはほ とん ど同 じである。 したが って各 自の判断で勝手に行 われているよう 57 に見える専 門職業家 の活動 も、高度 な知 識 ・技能 の適用 を中心 に、ひ とつ の秩序 を形成 している。 監査法 人においては監査論 、会計学 、監査手続、 監査マニ ュアル を通 して、基本 的部分ではほ とん ど同 じ内容 と質の仕事が繰 り返 されてい る。それ に よ り、監査法 人 としての活動 の整合性 と仕事 の 質が維持 されている。大学 においては、各教員が 、 その学問分野 で、大学教育 としてふ さわ しいレベ ル であ る と認識 された、高度に標準化 された知 識 を適用す るこ とに よ り、大学全体 としての整合性 と教育 ・研究の質が保 たれ る。 この他 、一般 の企業組織 と同 じように長 い歴史 を積み重ねた組織 においては、仕事 の進 め方 、守 るべ き仕事 の質につ いて成文化 されてはいないが 若干 の合意事項が 自然に成立 している。 自由に、 好 き勝手に行動 してい るよ うであるが

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年 間 どれ だけの量の仕事 をこなすか 、何時間働 くか、 どの 程度 の集 中力 を発揮す るか 、最終的に達 成すべ き 仕事 の質につ いては仲 間 との間で了解 された水準 があ り、特別 な強制が な くて も守 られている。 ま た、昇進 の基準 、報酬 の体系につ いて も形式的な 基準 に表現 されない部分 で、何 らかの合意事項が 成立 している。歴史の古 い専 門職業家組織におい ては上位か らの統制 、明文化 された規 則がな くて も常識的な行動 、選択が行 われている。本来それ らの内容 につ いては厳密に追求すべ きであるが 、 それ らの内容が具体的に明文化 されていな くて も、 慣習や合意事項は沢山の人々か ら支持 され守 られ ている。 この ように、専 門職業家組織 においては、一般 企業 に見 られ るような直接統制 に よる強 力な活動 の統一 性や論理的 システム を通 した 自律 的な統合 は困難であるが 、基本的使命、高度に標 準化 され た知 識 ・技能 ・慣 習を通 して形成 され た合意事 項 を中心 にゆるやかな統合状態が存在 して いるの で ある。 5.専 門職 業 家組 織 に お け る経 営 管 理 者 専 門職 業家組織においては、専 門職 業 家の中か ら昇進 した人、 もしくは選 ばれた人が経営管理者 とな るのが一般 的である。経営の専 門家 等、専 門 職業家以外の人が招かれて経営管理者 に なるこ と は まれである。専 門職業家 の中か ら民主 的手続 を - 5 7 一

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58 長野大学 紀要 第15巻 第1号 1993 経て経営管理者が選 ばれ る。 日本の監査法人、米 国公認会計士事務所 、ロー ・ファームの ように、 パー トナー シップ もしくはパー トナー シ ップに準 じた形 で運営 されてい る専 門職業家組織において は、パー トの中か ら経営 執行社員が選任 され、最 高責任者は経営執行社員の互選 で選任 され る。大 学の学長、学部長 は教授 もしくは教員全員の投票 で選任 され る。最高責任者のポス トが競争的でな ければ この ように して選 ばれた最高責任者は、 う ま く仕事 を進め専 門職業家の利益 をそこなわない 限 り再選 され比較的長期間その ポス トにつ くこ と になる。 専 門職業家組織の最高責任者には、管理 的な仕 事 に対 して労 をい とわない人 もし くは専 門性が高 く専 門家か ら尊敬 され る人が選ばれ る傾向がある。 必ず しも経営管理者 としての能力 を備 えている人 が選 ばれるわけではない。将来 を洞察す る力があ るか 、全体状況 をバ ランス よ く理解す る力があ る か 、人々 を動機づ け る リー ダー シ ップがあるか と いった経営管理者に必要 な能 力基準に よって選 ば れてい るわけではない。その専門職 業の遂行 にお いては、知 識 ・経験 ・適正能力が強 く求め られ る が、専 門職業家組織の経営管理 においては、経営 管理 に関す る知識 ・経験 ・適正能 力は問われ るこ とは少い。それだけ、一般企業 とくらべ て専 門職 業家の経営管理 に対す る意識は相対的に低 いので あるO 専 門職業家組織においては、業務執行 の最高責 任者 として専務社員、CEO、病院長 、学長 ・学部 長 、理事長な どが選任 され、専 門職業家組織の専 門サー ビス提供 に関す る業務執行 を行 うとともに 監査法人 管理機構の業務 を統括 している。一般 の専 門職業 家組織 にお いては専 門職業家の最高責任者が専 門 サー ビスの提供 と管理機構の双方 を統括 し、業務 執行 を行 っているが 、大学 にお いては事情が若干 異なる。理事長が経営 を担当 し、管理機構 を統括 し、学長が教育 ・研究 を統括 し、経営管理 の機構 の トノブ と教育 ・研究の機構 の トノブが分れてい る。この大学におけ る経営 の最高責任者には、外部 か ら専 門職 業家以外の人材が選 ばれ るこ とが 多い。 この最高責任者 を中心に若干 の経営管理者が ト ップ ・マネ ジメン トを形成 している。総合病 院に おいては病 院長 、各専 門部長が 、監査法人におい ては専務社 月、常務社員(本部長 )、経営 執行社員 が 、米 国公認会計士事務所においてはCEO、EO が、大学においては、管理機構 では理事長 ・専務 理事 ・担 当常務理事が、教育 ・研究の分野では学 長 ・学部長が トン7〇・マネジメン トを形成す るこ とにな る。 これ らの業務執行の最高責任者 を中心 とした ト ップ ・マネ ジメン トに業務執行 の権 限がすべ て集 中す るわけ ではない。実質的に経営管理 に従事 し てい る複数 の専 門職業家に よる審議機関が存在 し、 その審議機 関の審議 、決定 に もとづ き、業務執行 を行 ってい る。監査法人においては理事社員会 の 審議 ・決定事項に もとづ き、専務社員が本部長 、 事務局長 とともに業務執行 を行 っている。米国公 認会計士事務所 では、内容 に応 じて評議 員会 、経 営委員会の審議 ・決定事項に もとづ きCEOがEO、 FEOとともに業務執行 を行 っている。大学におい ては、 経営管理 に関す る事項 は理事会 の決議 の も とに理事長 ・専務理事 ・常務理事 が業務執行 を行 米国公認会計士事務所 15

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8-唐 沢 昌敬 専 門職 業 家 組級 い 、 教育・研究に関する事項は 、 教授会の決議の もと学長・学部長が統括している。 一般的に、 専門職業家組織においては 、 次のよ うな内容の事項については審議機関の審議・決定 が必要であり 、 トyプ・マネジメントはその決定 に従っ「て業務を執行している。

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全体の事業計画と予算 (2) 委員会の設置及び改廃に関する事項 (3) 委員及び委員長並びに副委員長の任免に関す る事項 (4) 重要な人事

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教育 (6) 重要な契約 (7)重要な財産の購入と処分

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重要な借入 (9) 決算の確定 (10)利益の分配 全体の事業計画と予算 、 重要な人事 、 教育につ いては 、 審議機関で審議する前に 、 委員会で十分 な検討が行われ 、 ほぼ案が確定した段階で審議機 関に提出されるのが一般的である。 上記決定事項のうち委員会の設置・改廃 、 委員 及び委月長並びに副委員長の決定に関する事項は 重要である 。 どの事項を取り扱う委員会を設置す るかを決めることにより 、 仲間の専門職業家の意 見を取り入れる分野を限定することができる 。 ま た 、委員・委員長・副委員長の人選によっては、 その協議内容に影響を与えることができる 。 委員 会及び委員に関する事項を操作することにより 、 トノブ・マネジメントの意向に沿った運営をする ことができる 。 専門職業家の利害が関連し広く専 59 門職 業家の意向 を反映 しなければな らない。全体 の事業計画 ・予算編成 を中心 とした重要 な業務的 意思志決定 、専 門職業家の雇用 と昇進 、教育 の内 容、部門の改廃 といった管理 的意思決定が トップ・ マネジメン ト中心に独断的に行 われ る可能性があ る。特 に トップ ・マネ ジメン トと審議機関が一体 化 している場合 、その危険性が高い。 専 門職業家組織においては経営管理者 に、業務 的意思決定 をは じめ として業務執行 に関す る権 限 は幅広 く与 え られ るが 、それ以外の権限につ いて は誰 にその権限が与 えられてい るか明確 に されて いない。理 念 ・方針の変更 、長期 目標の決定 、長 期計画 の立案 ・決定 、専門職業家の仕事 の分野の 変更 を伴 う事業戦略の立案 ・決定 、組織構造の変 更、要員計画 と投資計画 を中心 とした構造計画 と いった、一般 の企業組織では トノ70・マ ネ ジメン トの重要 な権 限である戦略対応に関す る権 限が ど こに所属す るか 明確 に定め られていない。 これは、 専 門職 業家組織が安定的環境 を前提 としてお り大 きな変化へ の対応 を考 えていない とい うこ とと、 戟略的変化 は専 門職業家の担当分野 、待遇等 とい った重要 な利害に影響 を与 えるこ とにな るためで ある。 したが って、このよ うな権限 を経営管理者 が安 易に行使 しないように、その よ うな権 限があ るともない とも定めていないのである。

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.専 門職 業 家 組 織 にお け る戦 略対 応 一般 の企業組織においては、中央集権 的機能部 門別組織 であろうと、分権化が進んだ事 業部制組 織や小規模事業単位 であろ うと トノブ ・マ ネジメ ン トを中心 に戦略立案が行 われている。 トップ ・ - 5 9

参照

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