ミツパ テ科学22(2):87-92 HoneybeeScience(2001)
養蜂振興か ら展望す る地域開発
ネパ ール ・リミタナ村 における事例 か ら
中村 佳子,中村 純
2001年2-3月 にか けて,筆者 らはICA文 化事業協会 (NGO)か らの委託 を受 け,養蜂関 係の専門家 と してネパ ールで進行中の地域開発 事業の中で養蜂の トレーニ ングおよび事業展開 の コンサル タン ト的な業務 を行 った. 養蜂振興 は低投資かつ参加者 の労働負担,土 地負担 も小 さ く, また結果 も見えやすい. この ため,実際の成功事例が多 いわけではないに も かかわ らず,地域開発事業の中でモデル事業 と して取 り上 げ られることが多い. ネパ ールでは さ らに,全土 に分布す る トウヨウ ミツバチによ る伝統養蜂の普及率が高 いことを背景 に, これ を改善 して利益性を持 たせ る形での養蜂振興事 業が各地で行われて きた. ところが今回 は事情が異な っていた.派遣地 では伝統養蜂が ほとんど見 られず,住民の事業 計画への関心りま高 い ものの,事業 を推進す る上 で重要 な養蜂経験者の存在や,研修時に利用可 能 な既存の蜂群, さ らに今後不可欠 となる資源 (蜜源 ・花粉源)が乏 しいなど,い くつかの条件 が整 っていない状況 にあ った.結果的に研修 を 行 って も参加者がす ぐに ミツバチを飼 うことは 事実上困難 な状況 にあったのである. もっとも,住民の関心が ごく高 いことは,逮 常の養蜂研修 とは異 なる展開を可能 とさせた. つまり,住民が養蜂を将来の選択肢 と して備え るためにどのような条件 を満足 しなければな ら な いか とい うことを理解 しやすか ったので あ る. これ は養蜂環境 の整備 とい う点 に尽 きる が,環境の整備 は,現在村で行われている複数 の事業 とも関わ り,結局,村の発展の方向で何 を取 り入れ るべ きかに関わ って くる. これほと りもなおさず,養蜂 とい う観点か ら,村の将来 を展望す るということにはかな らない. 本稿ではその点 に意味を兄 いだ して,やや特 殊 な事例報告 として今回の活動を紹介 し,地域 開発事業の中で養蜂振興事業が どのよ うに取 り 入れ るべ きかについて提言 を したい.リミタナ村の養蜂
今回派遣 された事業対象地の リミタナ村 (図 1)は,ネパ ール西部,観光地 として著名 なポカ ラか らさ らに西方 のパ ルバ ッ ト郡 の小村 で あ る.現在約360戸,総人 口2000人強 と推定 さ れ,部族的にはネパ ールの代表的部族であるパ ルバ ッ ト・ヒン ドゥ (いわゆるネパ ール語を話 し, また ヒン ドゥ教 に則 ったカース ト制度 を も つ)が 占めている. まず最初 に現地 の養蜂状況の調査 を行 った. リミタナ村では,パルバ ッ ト郡 の山間部の他村 によ く見 られる,部品数 の多 い,精巧 な丸太巣 箱 は見 つか らなか った.放置 された丸太巣箱 (ム レ) はいずれ も巣箱 と しての完成度 は高 く な く,簡素 な ものばか りであった. もちろん ご く少数ではあるが,伝統的な丸太巣箱 による ト ウヨウ ツバチ飼育を している低 カース トの住 図1 森林破壊が進んだ リミタナの丘陵88 民がお り, またヘルスポス トの医師が近代的な 巣箱を含め数群 の ミツバチを飼育中であった. 住民の部族的な問題 (後述)以外に,村の大部 分が開墾 されて,野生群の営巣 に向いた林地が 限 られ,蜂群の飛来が少ないため,伝統養蜂の 普及率が低いと考え られた. 村内ではマツ林地帯を除 くほぼ全域で何 らか の花の上で ミツバチを確認 した.蜜源植物 とし て,住民か ら得 られた情報のほとんどは農作物 であり,実際,ナタネは植栽面積 も大 きくその 位置づけは大 きいと思われた.乾季蜜源 として は, ヒ ヨ ド リ バ ナ の 一 種 Eupatriu glandulosumや キ イチ ゴRubuse
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ipticusへの集中訪花が観察 された.果樹では柑橘類への 訪花が目立 った. しか し,全体 として資源が少 な く,養蜂をする環境 としてよいという印象 は もてなか った. 養 蜂普 及 の適 正 さ 研修 に先立 って行 なわれたい くつかの調査 は,基本的には リミタナ村の養蜂事情を改めて 調査 し, ここで養蜂振興が可能であるのか,辛 業の適性をはかる意味があった.一般的には, 事業 の ターゲ ッ トとなる住民 に参加意志があ り,事業 によって彼 らの生活水準の改善など事 業 目的に適合 した成果が予想 され,かっ事業の 過程 も母体事業のポ リシーに則 って進め られる 場合 には,その事業の遂行が適正であると判断 できる. 今回の リミタナ村の事例では,成果予想の部 分で多 くの問題があった. というのは養蜂研修 の参加者が,す ぐに実地で ミツバチを飼 い始め ることは不可能で,技術 を応用す る機会がな く,また実際に生産物を得 るようにはな らない か らである. これは ミツバチを導入すれば済む 問題ではない. ミツバチの入手が困難なこと, つまり生息密度が低いことは,野生群を扶養す る植物資源 (蜜源 ・花粉源)が不足 していると 言い換えることがで きる. この場合, ミツパテ を導入 して も,資源不足 で養蜂 は成 り立 たな い.そればか りか,現状で細々と営まれている 伝統養蜂にも負の影響が出る可能性が高 い. ICAは,当初,養蜂に関 して専門的なコンサ ルティングを得てお らず,事業計画 にはセイ ヨ ウ ミツバチの導入など, い くつかの不適当な部 分があった. この部分 に修正提言を し,また, 予備調査の結果を伝えた上で技術研修の参加者 の選択を現地 に任せ, さらに将来性を展望する ため,ハチ ミツ以外の生産物の利用,およびそ れに関 して観光地 ポカラを含めたマーケッ トの 調査を事業計画に加えた. 養蜂研修 今回の養蜂研修 は,基本的には動機づけとし て行われ,期間 もわずか
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日間 とごく短期の も のとなった.研修内容 は表1に示 した.内容的 な特徴 として,現状が,必ず しも養蜂に向いて いないことを理解 して もらい,養蜂環境の整備 が重要であることを伝えたこと,生産物利用の 実際を学んで もらった点,スタデ ィツアーで実 際の養蜂家の実状を見学 した点を挙 げられる. ミツバチに関す る知識 も, とりあえずは最低 の範団 (女王蜂の見分 け方や花粉交配への貢献 など)にとどめ,移転 した技術 も,飼養関係で 表 1 研修カリキュラム 日程 研修内容 第 1日 開会式 リミタナの養蜂 養蜂カレンダー 丸太巣箱 第2日 第1日目の復習 近代巣箱 移群法解説 第3日 移群の実際 第4日 ハチミツの採集法 -チミツの利用法 蜂ろうの採集法 蜂ろうの利用法図2 掛け図を用いて移群法を解説 は,伝統養蜂で用い られる丸太巣箱の設置方法 や使 い方,その後蜂群 を移 し生産用巣箱 とする 可動枠式巣箱 (ニュー トン式巣箱)の使 い方 に 限定 した範囲 とした.特 に丸太巣箱か ら可動枠 式巣箱に蜂群を移 し替える 「移群法」を中心に したのは,仮に-か ら始めるとして も,丸太巣 箱のように利便性の高 い伝統巣箱を トラップと して蜂群捕獲用に用い,飛来群が営巣を開始 し た後 に移群を行 うという方法が,養蜂家が蜂群 を得 る上で最 も有効 と考え られるか らである. このため,研修内で も,移群法については図面 や紙片で作 った模型 を用いた説明 (図 2) と, 実際に丸太巣箱内の蜂群を巣箱 に収容 してみせ る実地見学 との両方を行 った (図 3).スタディ ツアーでは,実際に女王蜂を見分 け,また通常 の内検か ら蜂群の分割,採蜜 まで一通 りのこと を見学することができた (図4), また生産物利用に重点を置いたのは,養蜂を 始める上での動機づけとしての意味合いもあっ たが,ハチ ミツだけを生産物 として扱 うケース や,飼育技術の移転が主体で,実際の生産以降 の面倒 は見ない事業が多 いことを受 けての改良 図4 実際に使われている巣箱を見る 図3 実際に丸太巣箱から蜂群を移す の試みで もあった.実用性があってかっ市場性 のある生産物およびその加工技術を普及するこ とは,将来,養蜂がある程度定着 した場合,実 際に現金化するプロセスを構築する上で必要 と なって くる. 実用 という観点では,-チ ミツを家庭常備す ることで,食用の他,薬用 として利用できるよ うになる.外傷用の塗 り薬 などとして, 自家製 のハチ ミツをひとつの選択肢に加えることには 村人 も異存 はない. もうひとつの生産物 は蜂 ろうである.逃去に よって蜂群を失 って も蜂ろうは残 された巣か ら 回収できる.伝統的な巣箱か らの採蜜では必ず 蜂 ろうが副産物 として採集 される.巣枠を利用 して も,遠心分離 による採蜜時に若干の巣が壊 れ る.融か して得 られ るろ うの量 は ごく少量 で, まとまった量にな らなければ使 い道がない と考え られることも多 い. しか し,ネパールで は蜂 ろ う加 工 品普 及 の実例 が あ る (Saville, 1998).蜂ろうは植物油 (入手可能であれば ミ ネラルオイルが最善) と混合 して軟膏 として, - ン ドク リームや リップパームのように使用で 図5 作った煉ろう軟膏を試してみる
90 きる.道具類 はすべて村で入手可能である.研 修の中ではろうの抽出か らできあが った軟膏を 手や唇 に塗 ってみ るところまでを行 った.女性 参加者の多か った今回, この部分 は好評であっ た (図
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今回の研修では内容 とは別 に大 きな特徴があ った.ICAネパ -ルの母体事業 は,基本的に社 会的弱者である下位 カース トの住民や女性 を事 業の主体 として とらえている.実際に伝統的手 法で ミツバチを飼育 しているもの も下位 カース トの者であ った. ほとんどの養蜂振興事業で研 修の参加者 は下位 カース トの伝統養蜂家である ことが多 い. しか し,今回の養蜂研修の参加者 は,実際には大半が上位 カース トで, しか もほ とんどが ミツバチの飼育経験がなか った.現地 では,事前調査の結果を勘案 し,村の将来計画 の中で養蜂を長期的に考 えてい くために,発言 権のある住民 を関与 させてお こうという配慮を したのであろう.賛否 は分かれ るところだが, 即時の実現性 のない状況で は,結果 としては取 りうる最善であったか も知 れない.リミタナ村の将来計画
養蜂研修の参加者 は,基本的に養蜂を始 めた いと考えて参加 した し,研修後,その思 いを強 くしたようであった. しか し,前述のよ うに, 全員が今す ぐミツバチを飼 える状況 にはない. 最大 の問題 は資源不足で あ ると理解 で きた上 で, ミツパ テを飼 うため に何 をす る といいの か, とい う問題 を考えて もらった. 餌資源 とい う観点では,蜜源植物 を増やす こ とが重要である.具体的には果樹栽培,家庭菜 園 (キ ッチ ンガーデ ン)のさ らなる普及, アグ ロフォレス トリーなどの導入 によって,養蜂家 自身が, 自分の蜂群 の周囲 に蜜源を確保す るこ とと, コ ミュニティレベル も導入す る果樹や畑 作物 に蜜源 となるものを選 ぶ こと, アグロフォ レス トリーを コ ミュニティレベルで拡張 し,植 林 などを通 じて森 (コ ミュニティフォレス ト) に蜜源樹 を増やす ことである.森の保護 は,蛋 源確保だけでな く,野生 の ミツバチによ りよい 環境 を与 えることにな り,増 えた ミツバチが村 人の待 ち受 け巣箱 に飛来す る可能性 も高 まる. 一方で, ミツパテによる花粉媒介で作物 の生 産性 は高 まる.果樹栽培 などは現金収入を得 る 上で はすでに村人の選択肢 になっているもので あ り,動機づ けを強化す る結果 にもな った. し か も果樹や野菜, あるいは植林す る樹木が,今 まではとか く単純 に生産性 や導入の容易 さで決 まっていたが,今後 は選定 に当たって,今後 は ミソバチに も役 に立っ ものかどうか,あるいは ミツパテがいると生産性が よりあが るタイプの ものかどうかを検討 してか ら,導入することが で きるだろう (図 6). こう見て くると,養蜂の導入 は森 の再生 を促 し,村 の生活を多方面か らサポー トす る基礎 を 築 くようである.養蜂がで きる環境の整備 は, そのまま潤 いのある生活環境の整備である.森 図6養蜂と他の事業との関係 養蜂振興の結果, ミツバチがもたらすものと (・- ),人為的に選択できる もの (一一一).森の再生はミソバチにとっても村人にとっても重要な課題である.の生 き物である ミツ/ヾチを,養蜂を通 じて生活 に近づけることで,見逃 していた森の機能を再 認識 し,緑豊かな村の将来 を期待できる. 地域 開発事 業 で の養 蜂 振 興 の導入 対象 伝統養蜂を営んでいる村人を対象 に技術向上 を図 るという図式は一般的には受 け入れ られて いる.養蜂経験があると, ミツパテを怖が らな いこと,基本的な取 り扱 いは慣れていること, 害敵 その他必要な知識の一部 は有 していること など,参加者の資質 として充分 といえる. もっ とも,家禽類飼育や養魚などでは, もともとそ の動物を飼育 したことのない村人を対象にする ことも多いので, ミツパテもこの点で未経験で あることが大 きな障害 とは思いに くい (刺害 は 避 けられないのでその部分 には注意が必要 とな る).したが って,低投資であること,土地や時 間の負担がないことなどか ら考えて,低カース トの住民や, さらには女性を参加者 として選ぶ ことも可能である. ヒンドゥクシ ・ヒマラヤ地域一帯での総合的 な調査で,貧困度 と伝統養蜂の分布には統計的 に有意な相関があるという (Ahmad,未発表). 貧 しい地域 ほど,選択肢 の中で ミツバチを選ぶ 頻度が高いということになる. これは地域間で の問題にとどまらず,ある地域,あるコ ミュニ ティ内で も同 じことで,伝統養蜂を営んでいる 人の多 くは一般的に貧 しいグループ (カース ト や所有す る土地の質や面積の問題 として) に属 しているといえる. このため,伝統養蜂家を選 ぶ ことが必然的に貧困対策事業のターゲ ッ トを 選ぶ ことになるケースは多い.ただ,社会的弱 者だけを対象 にする場合,将来的な問題,特 に 村内の多数派である上位 カース トの住民などと の折 り合いをどうつけるかは考慮すべ き点であ ろう.長期的に事業を行 う場合 には,理解を得 るというだけでな く,村の将来計画に関与する 誰かを取 り込んでお くことには意味がある. こ のあたりは母体の地域開発事業がどのようなポ リシーで行われているかに深 く関わ って くる. 91 移転技術 ミツバチの飼養技術,生産物の生産技術が こ れまでの研修での中心移転技術であった. この 部分 はもちろん変わ らない.知識面では ミツバ チの一般的な生態や生理,年間の生活環,病害 虫,花粉媒介 など多 くの面 を研修で盛 り込 め る.特 に年間の生活環や花粉媒介に関 しては, その土地 に応 じた対応が必要 になるだろう. 飼養技術の中で最 も重要 な技術 は,移群法で ある.丸太巣箱を待ち受 け巣箱 (トラップ) と して,林緑地などに設置 し,蜂群の飛来,営巣 級, 自宅周辺の蜂場に移動 して,可動枠式巣箱 に移群 して,生産飼育を開始する. この図式の 養蜂では,丸太巣箱 (もちろんそれ以外の伝統 的な巣箱でよい)か ら近代的な巣箱への移群が 最重要技術である. また, こうした事情か ら, 伝統巣箱の利用管理 について も,ある程度の技 術のアップグレー ドが必要 になる. 生産物の加工技術は,生産物の生産技術以上 のことが扱われてこなか った.ハチ ミツは利用 法 という形で含 まれて もいい し,蜂 ろうについ ては精 ろうか ら先の,製品加工,例えば上述の 軟膏作 りなどを取 り入れてお くべ きであろう. 移転す る技術は,いわゆる養蜂技術に限定 さ れるものではない.巣箱の工作のための木工作 業の研修 は多 くの養蜂振興事業で取 り入れ られ た実績がある (中村, 1987).修得 した木工技 術 は,巣箱作 りだけでな く,家屋や家畜小屋, 納屋の補修などにも応用可能で,参加者の生活 向上の面で も寄与効果の大 きいものである. 短期の養蜂研修の中で取 り入れることは難 し いが,養蜂振興事業 としては,果樹栽培などを 取 り入れることも可能である. これはもちろん 蜜源植物の増産に関わる技術の移転 ということ もできるが,参加者 としては,果樹その ものか らの利益が大 きい場合 もあるだろう.生活水準 を向上 させる上で,同時に複数の選択肢が増え ることになる.ただ,栽培植物の導入 は必ず土 地負担をともなう.小規模なキ ッチンガーデ ン 普及やコ ミュニティフォレス トの植林計画 (蛋 源樹)などを盛 り込む方が,個人の土地負担が 少な く現実的な場合が多 いだろう.
92 図7 マーケット調査で どの商店主もローカルな ハチミツに対する不信感を顕わにした 振興計画 最初 に,対象 となる地域の調査が行われるの は当然であるが,伝統養蜂 はこの点で養蜂振興 に足 る資源があるかどうかのよい判断材料 にな る.伝統養蜂の村内分布,養蜂家数,蜂群数, 巣箱の種類 と数,巣箱の工作精度,採蜜期や採 蜜量,蜜源植物など, どのような情報であれ, 初期の調査では必要である. これは現状把握 し て,問題点を抽出 し,事業の中で改善 目標を設 定す る上で も有用である. 調査 の次 には,い くつかの手法が考 え られ る.モデル農家の選定, あるいはモデル蜂場の 設置など,パイロッ ト的な実例作 りは一つの手 段 となる. これは住民の関心を集めることにも なるし,また技術研修などの際にも利用できる. 巡回方式の技術指導 は,養蜂を広める段階で 意味がある.伝統養蜂の レベルを底上げ し, さ らなる技術向上 に耐えるまで基盤を整備す ると いうやり方である. この場合 は,集中的な技術 研修で,より高度な内容をより多 くの参加者を 対象に指導でき,村 レベルでの養蜂振興 に向 く. 飼育技術の移転は,養蜂専門家によって行わ れるべ きである.例えば 日本か らの専門家の場 合,近代養蜂 の経験で は必ず しも充分 で はな く,少 な くとも移群法 の経験 はあ った方 が よ い.ただ現地の養蜂専門家を利用することも, その後のフォローアップなどを含めて重要であ り,派遣 される技術専門家 は,技術移転 よりも, どの技術を誰が導入すべ きか調整する役割を担 い,母体事業の引 き上げ後 も,養蜂関係で技術 指導ができる組織 との関係を もった方がよい. 生産物の品質管理,加工,販売 という方面で の開発支援 は,ネパ ールでは必ず しも充分に行 われていなかった.事前調査で もマーケ ッ ト調 査などを加えるべきだが,飼養技術が定着 し, 生産性が上がった段階で,品質にこだわった生 産方法や製品加工などを導入する必要がある. こうした養蜂に直接関係 した流れに沿 って, 地域の生活 に関わる, しか も養蜂をいろいろな 形で支える付帯事業の導入 も立案 されるべきで ある. この点で養蜂振興 は地域振興で もある. こうした地域の問題 とは離れるが,中央省庁 や他の養蜂振興事業を推進する団体への働 きか けで,全国的な養蜂生産物の規格策定や普及キ ャンペーンなどを行 う必要 もある. トウヨウミ ツバチのハチ ミツは一般 に水分含量が高めで, 発酵 しやすいなどの欠点がある.またネパ ール に限 らないが低品質の, あるいは明 らかに砂糖 などを混和 した偽和ハチ ミツが横行 している. 市場 に出回 る製品の品質が低いこと,あるいは まがい物が多いことは,-チ ミツその ものの普 及を大 きく妨げる (図 7).このため,品質規格 の策定 と消費促進キ ャンペーンは同時に,かつ 複数の団体が協力 して行わないと効力がない. 普及キ ャンペーンは南米パ ラグアイで青年海外 協力隊員によるラジオ放送を媒体 とした事例が あるが,同様の ものはどの国で も取 り入れ可能 であろう. (〒228-0802 相模原市上鶴間2367-3-402) 引用文献 中村純 .1987.ミツバチ科学 8(3):124-133. Saville,N.M.1998.ミツバチ科学 19(3):121 -128.
KEIKONAKAMURAandJuNNAXAMURA.Beekee p-ing extension in the rural development. HoneybeeScience(2001)22(2):87192.2367131 402,KamltSuruma,Sagami hara,Kanagawa,228 -0802Japan.
Beekeeping extension isnotonly fortrans -ferring beekeeping technology but also for maklng peopletoview thiefownfuture,espe
-ciallythroughtheforestsastheresourceorthe environmentforbeesandvillagers,Toimprove thebeekeeplngenvironmentisjustsameasto improvetheenvironmentforpeople.