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第8回横幹連合コンファレンス開催報告

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Academic year: 2021

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(1)トピック/Topic. 第 8 回横幹連合コンファレンス開催報告 田中 覚∗1 · 杉本 謙二∗2 · 安藤 英由樹∗3 · 長谷川 恭子∗4. 2017 年 12 月 2 日 (土),3 日 (日) の 2 日間,立命館大 学朱雀キャンパス (京都府京都市) において,第 8 回横 幹連合コンファレンスを開催しました (Fig. 1, http: //www.trafst.jp/conf2017/).2015 年開催の第 6 回までは横幹連合総合シンポジウムとの隔年開催でし たが,昨年の第 7 回(於・慶応大学日吉キャンパス)か らは,コンファレンスを毎年開催することになっていま す.横幹連合コンファレンスは,横断型基幹科学技術の 発展と振興を目指して活動している文理にまたがる会員 学会が,その学問領域での現実的課題と知識を共有化・ 普遍化する場であると同時に,約 40 の会員学会間や文 理の研究者の良き交流の場となっています. 今年の横幹連合コンファレンスでは,オーガナイズ ド・セッションが 26 件,一般セッションが 2 件実施され ました(オーガナイズド・セッションのリストは Fig. 2 参照).口頭発表は 113 件,ポスター発表は 30 件でした. 横幹連合コンファレンスの講演時間は 25 分と長めであ るため,余裕を持って研究討論ができます.また,参加 者数も多く,200 個用意したプロシーディングズ(USB メモリ)が足りなくなるほどの盛況ぶりでした. さて,今回の横幹連合コンファレンスは京都での開催 でした.京都は日本文化発祥の地の一つであり,長く日 本の知の中心でもありました.様々な学術分野の知の統 合や文理融合を目指す横幹連合が主催するコンファレン スにふさわしい開催地です.それを受けて,今年の大会 テーマは, 〈社会の発展と文化の深化をもたらす知の統 合へ向けて 〉としました.文化の発展・深化が人々の社 会生活に喜びと潤いをもたらす,そのような社会システ ムを作り上げるために,今回のコンファレンスが少しで も貢献することを祈って設定したテーマです. 2016 年 1 月 22 日に閣議決定された「第 5 期科学技術 基本計画」では, 「必要なもの・サービスを,必要な人に, 必要な時に,必要なだけ提供し,社会の様々なニーズに きめ細かに対応でき,あらゆる人が質の高いサービスを ∗1 第 ∗2 ∗3 ∗4. 74. 受けられ,年齢,性別,地域,言語といった様々な違いを 乗り越え,活き活きと快適に暮らすことのできる社会」 を「超スマート社会」と呼び,その実現を目標に掲げる とともに,第 4 次産業革命ともいわれる Industry4.0 を 超える概念として,狩猟社会,農耕社会,工業社会,情 報社会に続く「Society5.0」を謳っています. しかしな がら,この定義では,社会の本質ともいえる人々のつな. 8 回横幹連合コンファレンス実行委員長・立命館大学 同 プログラム委員長・奈良先端科学技術大学院大学 同 ポスターセッションチェア・大阪大学 同 実行副委員長・立命館大学. Received: 20 January 20, Accepted: 21 January 2018.. Fig. 1: コンファレンスポスター. がりや人々の関係性,社会と文化の関わりについては, ほとんど言及されていません.それゆえに,この横幹コ ンファレンスでは,システム科学を中心とした文理をま たいだ活動により,横幹連合の中期計画にある「コトつ. 横幹 第 12 巻 第 1 号.

(2) Report of the 8th TRAFST Conference. Fig. 2: オーガナイズド・セッション一覧. くりの社会実装」を実現することで,Society5.0 をもた. うな理念を「知の統合」という言葉で世界に先駆けて打. らすことに貢献できる場にしたいと考えました.. ち出し,日本学術会議における 10 数年来の議論をリー. 上記の大会テーマや基本方針を受けて,今年の横幹. ドしてきました.今般,日本学術会議は, 「知の統合」の. 連合コンファレンスでは,いくつかの企画を立ち上げま. 推進に必要な, 「知の統合」を担う人材の育成とその評価. した.. の仕組み,さらに教育・研究・イノベーションの三位一. まず,プレナリーパネル討論「社会的課題解決に向き. 体の推進体制について報告書をまとめ,公表しました.. 合う学術の新しい潮流∼「知の統合」の人材育成と推進. 本パネル討論ではその報告を中心に,わが国のイノベー. への期待∼」(司会:中央大学研究開発機構教授・日本. ションを牽引しグローバル社会で競争力のある社会を築. 学術会議連携会員 原辰次氏)です.現代社会を取り巻. く新しい学術の在り方について議論しました.パネリス. く様々な社会的課題の解決には異分野の「知」を統合す. トとしては,大学,研究助成機関,そして産業界を代表. ることが不可欠です. また,その統合を促進するメタ. する方々,加えて大学の若手研究者にも加わっていただ. レベルでの「知」も必要となります. 横幹連合はそのよ. き,それぞれの立場から知の統合人材の育成について議. Oukan Vol.12, No.1. 75.

(3) Tanaka, S., et al... 論していただきました.パネリストは以下の方々です: •. 科学技術振興機構副理事,日本学術会議副会長 渡 辺美代子氏. •. (株) 日立製作所研究開発グループ技術戦略室長 赤 津雅晴氏. •. 東京大学 数理・情報教育研究センター特任教授,明 治大学 MIMS 所員 北川源四郎氏. •. 情報・システム研究機構監事,横幹連合会長,日本 学術会議連携会員 鈴木久敏氏. •. 慶応大学理工学部物理情報工学科助教 堀豊氏. •. 大阪大学大学院博士後期課程「超域イノベーション 博士課程プログラム」履修生 澤井伽奈氏. Fig. 3: 特別講演(華道「未生流笹岡」家元の笹岡隆甫氏). いずれのパネリストからも,知の統合人材の育成が重要 であることが表明されました.また,若手研究者からは, 知の統合領域での活動は刺激的だが,専門領域での研究 活動に負荷がアドオンされるだけで,指導教員によって は研究活動として評価してくれないなどの悩みも紹介さ れました.若手研究者がその能力を最大限に発揮でき, 気持ちよく研究できる「場」の構築が喫緊の重要課題で あることが再認識されました. 次に,特別講演です.今年のコンファレンスでは,前 述の大会テーマに基づき,第一線で活躍されている京都 の文化人を講師としてお呼びしました.華道「未生流笹 岡」家元の笹岡隆甫氏です.演題は「いけばな∼2020 年 それ以降に向けて∼」です(Fig. 3).笹岡氏は,京都 大学工学部建築学科を卒業されてから未生流笹岡の三代 目家元となられました.つまり,理系と文系の両方に通 Fig. 4: ポスターセッション. じている希有な文化人です.氏によれば,いけばなとい う文化には厳格な理論があり,その理論を応用するとい う意味では理系的な分野とも言えるが,それだけではな く,人の感性や社会の要求という文系的な素養も必要と なるそうです.いけばなは,まさに,文理融合を実践す る文化の場と言えそうです.笹岡氏の様々なチャレンジ, 例えば,産業界の新製品の展示や TV 番組での現代的な ライティングと融和させたいけばななどのお話は,非常 に刺激的でした.伝統とは革新の連続であり,それを忘 れては真の文理融合はあり得ないのだということが良く 分かる特別講演でした. また,今年度の新しい試みとして,横の幹をより太 くすることを念頭に,様々なオーガナイズド・セッショ ンでの議論事項を俯瞰的に一望できること,そして,学 生などの若い世代の参加を促すことを目的として,ポス ター発表のインタラクティブ・セッションを行いました (Fig. 4).30 件の発表が集まり,そのうち学生の発表は. 21 件でした.この 21 件に対して横幹連合理事による投 票を行い,2 件のベストポスター賞が選ばれ,横幹連合 の鈴木会長より賞状が授与されました.インタラクティ. 76. ブ・セッションは懇親会の直前に,懇親会と同じ会場で 実施され,賞状の授与は懇親会のイベントのひとつとし て行われました.懇親会の最中でもポスターを肴に議論 される様子が多数見られ,その意味でも,この新企画は 非常に盛り上がりました.成功だったと思います. 懇親会の中締めの前には,恒例により,次回第 9 回コ ンファレンスについて,実行委員長の椿美智子先生より, 会場となる電気通信大学 (東京都調布市) をご紹介いた だき,開催日時が 2018 年 10 月 6 日 (土),7 日 (日) とな ることがアナウンスされました.2018 年に 100 周年を 迎える電気通信大学で行われる第 9 回横幹連合コンファ レンスに,どうぞお越し下さい.新宿,渋谷からも近い 交通の便が良い会場です. 最後に,コンファレンスにご参加いただき,討論を盛 り上げていただいた皆様に,実行委員会・プログラム委 員会一同より,深く御礼申し上げます.ありがとうござ いました.. 横幹 第 12 巻 第 1 号.

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Fig. 1: コンファレンスポスター 受けられ,年齢,性別,地域,言語といった様々な違いを 乗り越え,活き活きと快適に暮らすことのできる社会」 を「超スマート社会」と呼び,その実現を目標に掲げる とともに,第 4 次産業革命ともいわれる Industry4.0 を 超える概念として,狩猟社会,農耕社会,工業社会,情 報社会に続く「Society5.0」を謳っています. しかしな がら,この定義では,社会の本質ともいえる人々のつな がりや人々の関係性,社会と文化の関わりについては, ほとんど言及されていませ

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