146
〔資 、料 〕
金 融 制 度 と金 融 政 策 に つ い て の 一 考 察
一 ア メ リ カ ,イ ギ リス,西 ドイ ツ を 中 心 と し て 一.有
馬
敏 ・
則
1 は じ め に 欧 米 先 進 諸 国 の金 融 政 策 は1970年 代 に な り,政 策 変 数 と して金 利 を外 生 的に 与 え るや り 方 か ら,マ ネ ー ・サ プ ライ を政 策 変 数 と して外 生 的 に 与 え,金 利 は 自由 化 して 内 生 化 す る 方 向 に転 換 し よ う とし てい る。 また 石 油 シ ョックを 契 機 と した世 界 経 済 の 構造 変 化 に と も な い,経 済 問 題 の深 刻 化 や 金 融 構造 の変 容 が 促進 され た 。 そ れ らを 背 景 と して各 国 政 府 や 監 督 当 局 は,こ の 情 勢 に対 応 す る必 要 に迫 られ,金 融 制 度 改 革 の動 きに 着 手 した。 本稿 に おい て}さ,こ の よ うな 金融 構 造 の 変 化,金 融 制 度 改革 の動 き と金 融政 策 運 営 の 転 換 につ い て,ア メ リカ,イ ギ リス,西 ドイ ツを 中心 に考 察 し,金 融 政 策 の 国際 的 波 及 と相 互 依存 関係 に つ い て の検 討 は 別 稿 に譲 る こ とにす る。 it ア メ リカ の金 融 制 度 1 金 融 機 構 ア メ リカ の金 融 機 構 は図1の よ うに表 す こ とが で き る。 す な わ ち 中央 銀 行 と して の連 邦 準 備 制 度,商 業 銀 行 を 中 心 とす る 民間 金 融 機 関,政 府 系特 殊 金 融 機 関 が 相 互 に か らみ あ い,大 規 模 で変 化 に富 んだ 長 短 金融 市場 と資 本 市 場 が形 成 され て い る。 まず 連 邦準 備 制 度 に つ い て概 観 す るこ と に し よ う。 そ の沿 革 は1913年12月 に 制 定公 布 さ れ た 「連 邦準 備 法(Federal Reserve Act)」 カミ中 央 銀 行制 度 と して,連 邦準 備 銀 行,連 邦 ラ 準 備 制 度理 事 会,連 邦 公開 市 場 委 員 会,連 邦 諮 問 会 を創 設 した こ とに は じま る。 そ して連1)B.H. Beckhart, Federal Reserve System,'New York,1972.(邦 訳,矢 尾 次 郎 監 訳r米 岡 連 邦 準 備 制 度 』 東 洋 経 済 新 報 社,1978年)
勤 胸騒 超 姻 Q 絞 笥 \ 一 区 〔資 料〕 金融 制 度 と金融 政策 に つ い て の一 考 察 "芯 鯉 ε曝 "翼 坦 蝉露 盤匝頭く噸 に 型録昏 寂鯉 暇暇 に 鹸 歌囁に 嬢 碧 輕齪霞 岳 ぐ樹 綴喰 鯛無 ・H禦囁‡ ト ロー 貸 一 躍 鞭 ト ヤ ーm一 一 §…巧く囁羅 ≡ 卜 、験 話 (〉く) 経 町瞬 ・く躍 ( O D エ )卸 鰍 毬 梓 轟 ・ ㌍ 週 (』zΣ く} 蝦 無 駿 颯 《胴{肇 」.=く 剣 繋 想{叩曝 (りz2く) 督 逢 翼 瑠 朔{壁 貸 へ 《 岨一 卜 ト や 十.A× ・ ト ト,v」 "川 一 ・ト 帰 ト ミ ・ 燗 姻 壇畑 く暉 琶整 韻ゆ 喧 型録 鯉旺 硬ぐo 督喪 蒙…田枳 "鞍 ・ 邸 肇 留置 鯉旺 異く= 畷に 醐蹄 く罠 遡無 想抑 舞に 〈脚(』 の日 一Q) 蝦緊畿 糖甑‡ 廷軽 く曜(』o-O) 遡新…照←肇 鰹 麟 賠(』 工 日 ロコ) 蝦 垢…坦 岬 瓢 ‡ 歯撫掴 ‡駆 くロ 「 一 一 願一 一 一 ロ ー 一 一 一'一 1 1 匿 l l 一 ( 国 匡 ﹄ ) 姻 ( り く ﹄ ) 朝 湿 紀 轍 翻 ︹ 国 ㏄ ﹄ ) 籔 堰 紺 無 一1 -l I 冒 1 ー ー 縣學 転葭 鰹 曝醒 総 員 頸 導 畷 糊 歯 固 薫 9 1 - 9 1 1 1 1 O 芝 O ﹂ ) 姻 口 幅 弊 笹 麗 " 無 遡 I l 量 1 - 1 1 一 員 舗 蝶 蝿 ξ 1 ● 蜂蜜 鰹 暴 韻 図 L______一_____」 、 禦 緊 懸 蟹 冨 蟹
闘
L_脚 」 147 。 柊 拳 O κ .≒ .負 、如 駅 富 麗 蹄 蔭 芸 蓮 硝 ﹃ 運 羅 躍 媚 Q 昧 お ﹄ 恥 曝 語 田 劉 ( 賦 園 田 )148 邦 準 備 制度 は 「分 散 的 中央 銀 行 制 度 」,あ る いは 「中 央銀 行方 式 に よ らな い 中央 銀 行制 度 」 とい わ れ て い ぎ:そ れ は,ア メ リカの広 大 な土 地 と種 種 の資 源 の 分 布 に対 応 す るた め に, 国 内 を12の 地 区に 分 割 し,1地 区1連 邦 準 備銀 行 が 配 置 され,な か ば 独 立 の 中央 銀 行 と し て機 能 す るか らで あ る。 各 地 区 の 中央 銀 行 とい う意 味 で は地 方 的 で あ るが,国 民 経 済 的 な 水 準 で 各 地 区 に と らわ れ ず 経済 活 動 は 行 わ れ る ので,各 連邦 準備 銀 行 は 同 時 に全 国 的 役割 も担 うこ とに な る。 連 邦 準 備 制 度 の最 高 決 定 機 構 として7人 の理 事 に よ って 構 成 され る連 邦 準 備制 度 理 事 会 が あ り,そ れ は各 連 邦 準 備 銀 行 の役 員 の 任 命 や監 督,金 融 政 策 の決 定 を 主 要 任務 と して お り,行 政 府 か らの 独立 性 が 高 い政 府 機 関 で あ る。 そ の下 部 機 関 として 連 邦 公 開市 場 委 員 会 と連 邦 諮 問 会 が あ る。 前 者 は,連 邦準 備 銀 行 保有 の国 内 証 券 お よび外 国 通 貨 保有 変 更 につ い て の最 終 決 定 者 で あ り,連 邦 準 備制 度 に お け る公 開 市 場 操 作等 に関 す る金 融政 策 の実 施 決定 機 関 で あ る。 後 者は 理 事 会 と経 済 状 態 に つ い て懇 談 し,連 邦準 備 制 度 に 関 す る種 種 の 事 柄 を理 事 会 に 勧 告 す る こ とに よ り,理 事 会 と銀 行界 お よび 産 業 界 の一 層 の結 び つ きと連 3) 絡 を 保持 す るた め の もの で あ る。 つ ぎに民 間 金 融 機 関 につ いて概 観 し よ う。 機 能 別 に 分類 す る と商 業銀 行 と非 商 業銀 行 に 分 け られ,後 者 に は 貯蓄 貸付 組 合,相 互 貯 蓄 銀 行.信 用 組 合,生 命 保 険 会 社,損 害 保険 会 社,企 業年 金 基 金,州 地 方政 府 職 員 年 金基 金,ミ ュー チ ュア ル ・プ ア ン ド,フ ァイ ナ ンス ・ カ ンパ ニー,証 券 デ ィー ラー ・ブ ロー カー,勤 労 銀 行 が 含 まれ る。 主 要 金 融 機 関 の金 融 資 産 に おけ る比 重 は1976年 末 で 商 業銀 行9660億 ドル44.1%,生 命 保 の の 険 会 社14。2%,貯 蓄 貸 付 組 合17.9%,そ の 他 の機 関 は お の お の数%台 で あ る。 別 稿 で 考察 した よ うに 商 業銀 行 の 地 位 は貯 蓄 金 融 機 関 の 台頭 と と もに低 落 して は い る ものの い ぜ ん と して民 間 金 融 機 関 の中 で 最 大 の シ ェアを 占め,金 融 市 場 に お い て中 心 的 な役 割 を 果 た して い る。 商 業 銀 行 制 度 の特 徴 と して は,第1に 州 銀 行 法に よ り支店 設置 を 認 可 しな い単 一 銀 行 制 度 の存 在 で あ る。 現 在,厳 格 な単 一 銀 行 制度 を採 用 す る州 は少 な くな って きたが,州 外 の 支 店 設 置 は ア メ リカ の銀 行 に と って不 可 能 で あ る。 第2の 特 徴 と し ては 国 法 銀行 法 に 基 づ く国 法銀 行 と,州 法 に基 づ く州 法銀 行 の二 種 類 の商 業 銀 行 が 存在 す る二 重 銀 行 制度 で あ る。 2)窪 田 弘 編 著 『世 界 の金 融 制度 』金 融 財 政 事 情 研 究 会,1973年42∼43ペ ー ジ。 3)高 垣寅 次郎 監 修r世 界 各 国 の金 融 制 度(第10巻)』 大 蔵 財 務 協 会,1975年,35∼45ペ ー ジ。 4)Flow of Funds Accounts, Federal Reserve Bulletin, March,1976.
〔資 料〕 金融 制 度 と金融 政 策 に つ い て の一 考 察 149 第3の 特 徴 とし ては 、 資 金 調達 手 段 と してCDや コマ ー シ ャル ・ペ ーパ ー の発 行,海 外 支 店 を 通 じて の ユ ー ロ ・ダ ラー取 入,フ ェデ ラル 。フ ァン ド市 場 の利 用,資 金 運 用 面 で は タ ー ム ・ロー ン,住 宅抵当貸付け,消 費者信用供与,中 長期債券投資へ の進出 といった銀行 業 務 の多 様 化,さ らに銀 行 持 株 会 社設 立 に よ る周 辺業 務 の拡充,国 際 金 融 市 場へ の参 加 と い っ た広 範 な事 業 を行 い.い わ ゆ る銀 行 業 務 の デパ ー ト化 がす す ん で い る ことで あ る。 2 金 融 制度 改 革 の動 き ア メ リカ金融 制 度 の骨 格 は1930年 代 の 金 融危 機 や 不 況 を背 景 に作 られ,そ れ 以 後 は 目立 った 改 革 は 行わ れ な か った。 しか しそ の 間 に経 済 環 境 は大 き く変 化 し,預 金 金 利規 制 な ど 現 実 に 適 合 で きな い 面 も多 くな り,こ う した 制 度 と実 態 のギ ャ ップを な くす た め の金 融 制 6)度 改 革 の動 きは1960年 代 に な って 活 発化 し て きた。1961年 のCMC報 告,1963年 のヘ ラ ー 7) 報 告 は こ の よ うな動 き の中 か ら提 出 され た が,本 格 的 な 改 革 の動 きが 出 て きた のは1970年 代 に な って か らで あ る。 現 在,ア メ リカ で議 論 され て い る金 融 制 度 改革 は 広 範 な もの であ るが,そ の源 流 は1971年 8) 12月 の ハ ン ト報 告 に 求 め られ る。 この 委 員会 で の 検 討 はつ ぎの よ うな動 機 に基 づ く もの で あ った。 す なわ ち1966年,1969年 の 高 金利 時 には,コ マ ー シ ャル ・ペ ーパ ー金 利 な どの市 場 金利 が預 金 金 利 を上 回 った た め,資 金が 高 利 回 りを 求め て金 融機 関か ら流 出(disinterme・ dition)し,金 融 機 関 の流 動 性 が低 下 し て,住 宅金 融,中 小 企 業 ,地 方 政府 に十 分 な 資 金 供 給 が で きな か った こ とに よる社 会 問 題 化,金 利 上 昇 期 に は商 業 銀 行 へ の 資金 流 入 も減 少 し,連 邦 準 備銀 行 に よ る金 融 政 策 の 実 施 を 困難 とす る等 が指 摘 され た た め であ る。 そ の 後1973年8月,ニ ク ソン大 統 領 が ハ ン ト報 告 に基 づ く金 融 制度 改 革 等 を 発表 し,10月 に は,審 議 未 了 に な った もの の 「1973年金 融 機関 法」が 議 会 に 上程 され た 。 そ して1973年 以 降 の イ ン フ レ ー シ ョン高進,金 融 引 締時 のdisintermeditionの 現 象を 背 景 に 「1975年金 融 機 関 法 」 の議 会 へ の 上程,下 院 銀 行 委 員 会 にお い て 「金融 機 関 と国 民 経済(Financial
Institutions and the Nation's Economy, FINE)検 討 綱 領」 発 表 な ど大 胆 な金 融 制 度 改 革
の動 きが み られ た 。 表1は ・・ン ト報 告 とFINE検 討 綱 領 の主 要 改 革点 を対 照 させ た もの
6)The Commission on Money and Credit, Money and Credit=Their Influence on Jobs, Prices, and Growth,1961.
7) Committee on Financial Institutions, Report of the Committee on Financial Instit- utionsInstit- to the President of the United States,1963.
8) President's Commission on Financial Structure and Regulation, The Report of the Presidenゼs Commission on Financial Structure and Regulation,1971.
150 ハ ン ト報 告 お よびFINE検 討 綱 領 の 内容 の比 較 表1 FINE検 討 綱 領 (1975年11月) 05年 以内に規制を廃止する。 05年 以内に付利 を認 める。 ○ すべての貯蓄金融 機関に要 求払預金 を含む第 3者 支払 いサービスを認 め るo ○ すべての預 金金融 機関に支払 準備率 を課す 。 ○同一規模の金融機関は,同 一 種類の 預 金にっ き同様に取扱 われる。 ○すべての準備金は連邦準備制度に積 み立てられ る。 ○一つの連邦機関(連 邦預金金融機関 委員会) に監督権限を集中す る。 ハ ソ ト 報 告 (1971年12月) 010万 ドル以上の定 期性預 金に対 する 規制 を廃 止する 。 010万 ドル未満の定 期性預 金に対 する 規 制を10年後に廃 止する。 ○付利禁 止は従来 どお り継続す る。
○鑛 雛 轟 購 基檸 倉レ騨:貯
カ ー ドを 含む 第3者 支 払 サ ー ビス の 取 扱 い を認 め る。 ○全商業銀行,第3者 支払サ ービスを鍬 講 購 難宴
薄 壁
○定 期性預 金に対 する支払準備率は廃 止する。 レ ギ ュ レ ー シ ョ ンQ 要求払預金付利 要求払預金お よ びNOW口 座 の 取扱 い支 払 準 備 金
び す よ 中 お 集 ,を 局 限覆
監 督 行 監 銀 に 法 局腰
る 監 れ 行 さ 銀 設 法 。 新 州 る ○ 関機
智 監 ○ 消費 者 信 用 の 拡 大 を 認 め る。 ○ コ マ ー シ ャル ・ベ ー パ ー,社 債,銀 行 引 受 手 形 へ の 投 資 を 認 め る。 ○ すべ ての預金金融機関は,連 邦税法 同一の取扱いを受ける。 のもとで, ○ 州外へ の支店設 置は,ア メ リカ銀行 と同じ条件下 にお く。 ○ 企業 の有価証券 に対 する引受業務 は 禁止する 。 ○ 企業株式 の保有 を禁 止する。 01970年 銀 行持株会社法 の規制 を受 け○誉鼻獲灘 罐 男瀧委譲
ない範囲で消費者信用を認 める。 貯 蓄金融機 関に よる業務 の拡大 ○ すべての預金金融 機関は,同 様に取 扱われ る 。 制税
銀行の子会社は,準 備金積立 の を負 う。 外 同 業 止 業 70 。 国 務 州 と 企 禁 企 19 る 外 義 ○ ○ ○ ○ ○外 国銀行規 制
(出所)三 井銀行r調 査月報』1977年12月p.6.よ り作成。 で あ るが,金 利 の 自由化,金 融 機 関相 互 の 公 平 な条 件 下 で の 競争 促進,監 督 制 度 の簡 素 化, 公 衆へ の幅 広 い 銀 行 サ ー ビスの提 供 が共 通 の改革 目標 とな って い る。 しか し,こ れ らの 改革 を行 うた め に は,種 種 の 問題 点 が 解 決 されね ぽ な らな い。 た とえ ば 現在 の金 利 規 制 に は多 くの問 題 点 が あ り,表1の よ うに規 制 の 完 全撤 廃 を 主 張す る もの が 多 い が,貯 蓄 貸 付 組 合 や相 互 貯 蓄 組 合 の資 産 に は長 期 非 流 動 資 産 と して の住 宅 抵 当 貸付 が 多 く,金 利上 昇 期 に は 預 金金 利 が 貸 付 金 利 を上 回 り損 失 を生 じや す い。 した が って 金利〔資 料〕 金 融 制 度 と金 融政 策 に つ い て の一 考 察 151 白 山化 の完 全実 施 の た め に は,消 費 者信 用 供 与,証 券投 資 等 に も積極 的 に進 出 し,資 産 の 多 様 化 や資 産 満 期 の短 期 化 が ぜ ひ と も必 要 であ る。 ま た監 督 制 度 の簡 素 化 に して も,金 融 政 策 の実 施 と銀 行の監 督 は密 接 な 関 係が あ り,も し一 元 化 す る場 合 に は二 重 銀 行制 度 の崩 壊 に もつ なが りか ね な い とい う反 対 も多 く,今 後 の改 革 は流 動 的 で あ る。 そ の他 に外 国銀 行 規 制 問題(1978年 に 「1978年国際 銀 行 法」 が 上 院,下 院 を通 過),連 銀 預 け 金 に対 す る付 利 問題,NOW口 座 の問 題 等,今 後 も金 融 制度 改革 問 題 は 種 種 の論 議 を 呼 び な が ら展 開 され て い くで あ ろ う。 皿 イギ リス の金 融 制 度 1 金 融 機 構 イ ギ リス の金 融 機 構 は 図2に 示 され て い るが,金 融 機 関 の 構 成 は,英 国銀 行,外 国 銀 行,コ ン ソー シ ア ム ・バ ン ク,郵 便振 替 制 度,そ の 他金 融 機 関 に大 別 され る。英 国銀 行 は 短 期 金融 が業 務 の 中心 で あ る預 金銀 行(商 業 銀 行)と マ ーチ ャン ト ・パ ン クか ら構 成 され る。 ま たそ の 他 金融 機 関 と して は,貯 蓄 専 門 機 関 の建 築 組 合,国 民 貯 蓄銀 行,信 託 貯蓄 銀 行等 が 含 まれ る。 イギ リス 金融 制 度 の 特 徴 の第1と して は,銀 行 に対 す る包 括 的,一 般 的 な 規制 と監 督 が 規 定 され て い る法 典 が な い とい うこ とで あ る。 した が って 銀 行 業 に関 連 す る法律 は 判 例 法 や 為 替 手形 法 とい った限 定 され た範 囲 の2,3の 法令 に依 存 して い る。 ま た 金融 政 策 も市 中 金融 機 関 との 紳 士協 定 で実 施 され る こ とが 多 く,金 融 業 務 の 種種 の面 で も暗黙 の取 決 め に 基 づ い て行 わ れ て い る。 第2の 特 徴 とし て国 際 金 融市 場 で あ る ロ ン ドン市 場 の 発展 に と もな い。 外 国 銀 行 の 占め る比 率 が 大 きい こ とで あ る。 表2に よれ ば1977年 末 で総 預 金 の46.4%を 占め,英 国銀 行 の 31%を 大 き く超 え てい る。 図2,図4に 示 され る よ うに 外 国 銀 行 と くに ア メ リカ 系 銀 行 が,1960年 代 後 半 か ら多 国籍 企 業 の海 外 資 金 調 達 の増 大,ユ ー ロ市 場 拡 大 に とも な って 国 際 業 務 を積 極 化 させ,預 金 量 を 増大 させ て い る。 また 英 国 の 金融 機 関 の 中 で も,総預 金 量 で は ロ ン ドン交 換所 加 盟 銀 行 が14.9%,建 築 組 合14.6%で わず か に上 回 って い るが居 住 者 向 9) け ポ ン ド建 預 金残 高 では 前 者 が229億 ポ ン ドに対 して,後 者 は319億 ポ ン ドとな って お り,
152 鯉 鰹 謳 嗣 Q K 笥 箸 ヤ ㎝ 区 ε 蓼ヨ 駆!田1曇塊 霞 轍 制 覇…証 麒 麟 粗 圃 眠喜 国朔 躍崩湘 "報 翠 罰 ぐ{羅 H轄 類 謹 姻 開 園 曜 趣 和 畷 た 匪 翠 誕 網 田 蹄 ≦…霞 期 剃 姻 盟 裡H朔 躍姻 羅 叶 朔 澗 鋼 騒 駄 郭 認 翠 ム 堅駁占 ヤ λマ 貿占、 λ占 ・ 巾P凸 ・出帆 ゐ 眠 謎 《頷 # 卿 監 「
i
貿 頼"球 囹 鍾 鯉潮 鎧穐 畷 に 艘 謙 酸 く= ユ λ " \ ^ ヤ 促 一 い 扁 旦 " ー ロ ト ・ 紙 ^ 嘘 ( 恥 翻 蟹…護招 奪謹 姻# 賦 駆 囁 伽 羅 懲 申e翠 職 胎 遮 簸 図 葉 妬 講 に 駁 云 夏 中 〔こ翠 礎 云 頭 潭 蒔 く阿開 設 図 題 に 論 蝿b ト 「へ,"峡 畷 雑 報 固 鎚 象 麟 に へ λ ︾ 、 凶 λ ㍗ 庵 ^ 鰍 に 慨 組 " 電 粗 お 申e葦 …贋 朔 駁 に 岬 ト ヤ ミ,卜λ 二L蝶瀬 に 〆n一 ゐL卜 八2』廉 畷 に 」ミ爵 職 じ ロA3』 λ怖 凄裾 郭}さ 。 H 過 如 ﹃ 舳 鰻 橿 ﹄ 榊 曝 語 国 劇 (養 田 )〔
資料〕金融制度 と金融 政策についての一考察 153
表2 主要金融機関の預金量(外 貨預金,金 融機関預金を含む)
英
国
銀
行
「
預 金 量 (百万 ポ ン ド) 1 ・鋤・・2行
行
行
社
他
轟
銀
盤 加 系 加 所 ド 商纏
∵
校
"
ル
受
ド
ト
ィ
・
∵
ロ ス 北 引 そ外
国 銀
行
行 行 他 銀 糸 銀 力 の り 系 メ ア 日 そ ク 度 社 合 社 行 行ソ
会
・・ 制 銀 銀 砂 商 組 融ア
替
金
蓄
蓄
シ 振 '売 貯 貯 一 引 築 販 ソ 便 民 託 ソ 賦 コ 郵 創 建 割 国 信計
32,694 3,610 1,177 6,960 23,611 101,814 49,850 15,340 36,624 8,231 286 563 31,909 809 3,049 4,534 219,247 構 成 比 (%) 31.0 14。9 1.6 0.5 3.2 10.8 46。4 22.7 7.0 16,7 3.8 0.1 0.3 14.6 0.4 1.4 2,0 100 備考:1977年12月14日 現在 。建 築組合,割 賦販売 金融 会社,国 民貯蓄銀 行,信 託 貯蓄銀行は12月 末の数字。 (出所)CSO, Financial Statistics,1978. 建 築 組合 が 上 回 り,そ の預 金 量 格 差 は拡 大 傾 向 に あ る。 これ は 税 制上 有 利 な 取 扱 い を認 め られ て い る貯 蓄 専 門 機 関 との競 争 に お い て商 業 銀 行が 不 知 な 立 場 に たた され て い る こ と も 原 因 で あ る。 と ころ で ロン ドン交換 所 加 盟 銀 行 の預 金 シ ェア ー の低 下 は,1960年 代 に コ・一 ロ ・ダ ラ ー 市 場 の拡 大 や イ ギ リス金 融 市 場 の 総資 金 量 が 増大 した のに もか かわ らず,こ れ を順 調 に 吸 10) 収 で きなか った こ とに起 因す る。 そ の 理 由 として は,第1に1971年 ま で の 流 動 性 比 率 規 11)制 ,特 別 預 金 制度(準 備 預 金 制度)等 の金 融規 制 が 加 盟 銀 行 とス コ ッ トラ ン ド系 銀 行 を対 象 として 行 わ れ た こ と,第2に 加 盟 銀 行 自身が 商 業 銀 行主 義 を と り,短期 の資 金 調 達 ・運 用 に専 念 した こ とで あ る。 す なわ ち銀 行 の 預 金や 貸 付 け は短 期 の もの に の み限 られ,当 座預 10)三 菱 銀 行r調 査 』1977年7月 号,2∼3べrジ 。 11) 加盟銀行は流動比率(流 動資産/総預金)を30%以 上に保つ ことを慣 行上義 務づけられ ていた。154
図3 主要金融機関の預金量
(海外預金,金 融機関預金を含む)
図4 金融機関別預金残高 シェ ア
の推移
5 4 ︹ 百 億 ポ ン ド ︾ 3 2 1 % 米 国銀行 70 ./〆ノ
60
・ 501 ,/ 、
。
./
ロン ドン交換 所 加 盟銀行" 30 '/
!
ノ ◆ ! 20 ノ 建築組 合 ' ρ/
' ' ! 10' . ' ' ■ 66∠//
' ,0 1 ノ!● ' ' ,〆 引忍 社 ● ,,'<プ 巡 氏
一 ■ , 一 ・ ,■ 一 榊 一 ,9 ス コ ッ トラ ン ド 交 換 所 加 盟 銀 行 .●● ,・ ,' ・.._..〆 ' ..一 一一 。・一・・一 ρ 国民貯蓄銀行 ロ ン ドン交換 所加 盟 銀行 ' , o o ' ' ,〆 一ノ ,"'騨' ' ' ' ,' 海外銀行合計,ノノ
レノ
〆{一
' ノ ノ縞婁 乙 ∼ど製_
196061626364656667686970717273747576 (出 所)CSO, Financial Statistics.1955 1966 1%7 1螂 1969 1田0 1卯1 !併2 1卯3 1田4 1併5 :卯6 !脚 (出所)CSO, Financial Statistics.三井銀行r調 査月 報』1978年10月号。 金 や7日 前 予 告 つ き通 知 預 金,当 座 貸 越 の形態 を と った 短 期 の運 転 資 金 貸 出 しが主 た る も 12) の で あ った 。 そ の た め に貯 蓄 性 預 金受 入 れ や 相 対 的 に リス クの大 き い長 期 貸 出 しに対 して 消 極 的 で あ り,業 務 拡大 阻 害 要 因 とな った とい え る。 第3に 通 知 預 金 金 利 は 公 定歩 合 の2 %安,貸 出金 利 は 信 用度 に応 じ公 定歩 合 の0.5%か ら1.5%高 と決 め られ て い た 加 盟銀 行間 の 預 金 ・貸 出金 利 協 定 が 他 の金 融 機 関 との競 争 に お い て不 利 な 条 件 をつ く り出 した。 した が って 預 金 者 の金 利 選 好 が強 い ユ ー ロ ・ダ ラ ー市 場 か らの預 金 取 入 れ が ス ム ーズ に い かず 加 盟 銀 行 の地 盤 低 下 を 加 速 化 させ る こ とに な った とい え るだ ろ う。 この よ うに して 加盟 銀 行 は 預 金 残 高 に おけ る シ ェア を外 国 銀 行,マ ーチ ャ ン ト 。パ ン ク,建 築 組 合 等 貯蓄 専 門機 12)滝 沢 健 三 「ロン ドン 市 場 の 特 徴 と今 後 の 課 題 」 ジo 『金 融 ジ ャ ー ナル 』1977年4月 号,73ん77ベ ー
(資 料 〕 金 融 制 度 と金 融政 策 につ い て の 一 考察 155 関 に奪 わ れ,大 幅 な シ ェア低 下 とな ったが1970年 代 に入 る と シ ェア低 下 傾 向 に変 わ りは な い も の の,そ の ペ ー スは 緩 やか な もの に な っ てい る。そ れ は1960年 代後 半 以 降,加 盟 銀 行 が従 来 の保 守 的 姿勢 か ら積 極 的 な経 営 姿 勢 へ と経 営 方 針 を転 換 した こ とに よ って い る。 す な わ ち取 扱 業務 の多 様 化,他 の金 融 機 関 の系 列 化 や 子 会社 設 立 に よ る他 の金 融 分 野へ の進 出,国 際 金 融 業務 の充 実 を 目指す こ と とな った ㊧で あ る。 とこ ろで イ ギ リス商 業 銀 行 は ア メ リカの 単一 銀 行 制度 に対 して 支 店銀 行制 度 とい われ る 制度 を採 用 して い る。 す な わ ち少 数 の銀 行 が 広 い地 域 を カバ ーで き る支店 網 を持 ち,ロ ン ドン手 形交 換 所 加盟 銀 行中 の6銀 行 で イ ン グ ラ ン ドと ウ ェ ール ズ にお け る銀 行業 務 の 大 部 分 を 占 めて い るほ どで あ る。 加盟 銀 行6行 で 約12000,1行 あた り平 均2000の 支 店 を有 し て い るが これ は ア メ リカの 単 一銀 行制 度 とは 対照 的 で あ る。 ま た世 界 の金 融機 関 の なか で も多 くの 特 色 を持 って い るマ ー チ ャン ト・パ ンク の近 年 の 13) 動 向 も往 日され る。 マ ーチ ャン ト・バ ン クの 業 務 内容 は 貿 易 手形 引受 け,そ の 他 の商 業 手 形 引受 け,コ ール ・ロー ン,短 中期 預 金 受 入 れ,中 長期 貸 付 け,各 種 信 託 財 産 の受 託,外 国 為 替 業 務,会 社 金 融 顧 問 業,割 賦 信 用 供 与,各 種 債 券 の発 行 と引 受 け,証 券 投 資,保 険,リ ー 14) ス,フ ァク タ リン グ等 本来 の銀 行 業 務か ら周 辺 業 務 まで 多 岐 にわ た って い る。 貿 易 手 形 引 受 け に 業務 の重 点 を お くの演 引 受 商 社 で あ り,証 券 発行 業 務 に重 点 をお くの が 発 行商 社 と いわ れ て い るが,主 要 な マ ー チ ャ ン ト ・パ γクは 両 者 を兼 ね て い る。 マ ーチ ャ ン ト 。バ ン ク は小 規 模 で あ りなが ら も企 業 の資 本 調 達 に対 す る専 門 家 と して 重 要 な地 位 に あ り,ユ ー ロ ・ダ ラ ー業務 を ロソ ドソで 発展 させ た の もマ ー チ ャ ソ ト ・バ ン クで あ る。 しか しな が ら 業 務 の多 様 化 を 目指 す ロ ン ドン交 換 所 加 盟 銀行 や 外 国 銀 行 と くに ア メ リカ系 銀 行 が マ ー チ ャ ソ ト ・バ ン クの業 務 分 野 に 進 出 して お り,豊 富 な 資 金 量 と数 多 い 海外 支 店 網 を 持 っ て い る これ ら参 入 老 に対 して,資 金量 の点 で 不 利 な マ ーチ ャ ン ト ・バ ン クに とっ ては 厳 しい状 況 に あ る。 最 近 の ユ ー ロ市 場 で の ユ ー ロ債 引 受主 幹 事 ・副 幹事 実 績 に お い て もマ ーチ ャ ソ ト 。バ ン ク の地 位 は低 下 して お り,今 後 国 際 的取 引関 係 の 強 化,海 外 取 引網 の拡 大,他 の 金融 機 関 と の業務 提 携 を同 時 に達 成 で き る よ うな状 態 で の 資金 導 入 や 金 取 引 き,商 品 取 引 き,投 資管 理 とい った伝 統 的 強 み を持 つ 分 野 へ の 特化 等,業 務 内容 の対 応 が また れ る と こ 15) ろ で あ る。 13)布 目真 生rマ ー チ ャソ ト 。バ ン キ ン グ』 金 融 財 政 事 情 研 究 会,1976年 。 14) 窪 田弘 編 著r前 掲 書 』60ペ ー ジ。 15)≡ …井 銀 行 『調 査 月 報 』1978年10月 号,25∼26ペ ー ジ。
156 2 金 融 市 場 イ ギ リス の金 融 市場 は,割 引 商 社 を仲 立 ち と して商 業 銀 行 が 自行 の流 動 性 ポ ジ シ ョンを 調 整 す る伝統 的 短 期 金融 市 場 で あ る割 引市 場 と,マ ー チ ャン ト ・バ ン クや 外 国銀 行 を中 心 とした 国 際 的 資金 を 基 礎 に需 給 を 反 映 して 金利 が 決 定 され る短 期 資 金市 場 であ る第2次 市 場 の二 大 市 場 か ら成 立 して い る。 割 引 市場 に は イ ソグ ラ ソ銀 行 に よる資 金 供 給 ル ー トが あ り,イ ン グ ラ ン ド銀 行,割 引 商 社,預 金銀 行を 中 心 とす る銀 行 か ら構 成 され て い る。 預 金 銀 行 は資 金 不 足 に な った 場 合,直 接 イ ン グ ラ ン ド銀 行 か ら貸 出 しを 受 け る こ とは な く,割 引商 社:に放 出 してあ る コー ル ・マ ネ ーを 引 揚 げ た り,TB,商 業 手 形,残 存 期 間5年 未 満 の 国債 を 割 引 い て も らい,自 行 の 流 動 性 ポ ジ シ ョンを 調 整 す る。 割 引 商 社 の原 資 は 預 金銀 行や 引受 業 者,外 国 銀 行 か らの コ ー ル ・マ ネ ーが多 く,イ ン グ ラン ド銀 行 借 入れ も行 う。 す なわ ち イ ン グ ラン ド銀 行 は割 引 商 社 に対 す る最終 的 な貸 手 で あ り,他 の金 融 機 関 には 貸 出 しを行 わ な いの で,割 引商 社 は 預 金 銀 行 とイ ン グ ラ ン ド銀 行 の間 に 介在 して,資 金 の 円滑 な供 給 に寄 与 し てい る とい え る。 そ こで 割 引市 場 は イ ング ラン ド銀 行 の金 融 調 節 の 行 われ る場 所 で あ る とと もに 現 金通 貨供 給 ル ー トとい え る。 1950年 代 後 半 に 形 成 され た 第2次 市場 また は並 行市 場(parallel market)は 従 来 の 慣 習 や 当局 の 規 制 もほ とん ど適 用 され ず,金 利 も申 し合 せ で は な く 自由に 決 定 され た た め,割 引 市場 よ りも取 扱 高 が大 き くな っ た。 この 市場 は地 方 公 共 団 体 資金 市 場,割 賦 販 売 金 融 会 社 資 金市 場,イ ン ター ・バ ン ク市 場,ポ ン ドCD市 場 か ら構 成 され て い るが,広 義 で は ユ ー ロ ・ダ ラー市 場 を 含 め て い る。 停 滞 した 割 引市 場 以 外 に この よ うな 第2次 市 場 が 発 達 し,し か も,そ れ が 割 引 市場 の規 模 を上 回 る よ うに な る と,ロ ン ドン手 形 交換 所 加 盟 銀 行 や割 引商 社 が 参 入 して くる よ うに な った。 そ して1971年 秋 か ら新 金融 整 方 式 が実 施 され,す べ て の銀 行 が 自由 に競 争 す る状 況 が 創 り出 され た 。す なわ ち 当 局 の規 制 と慣 習 に よっ て活 力 を 失 な った 割 引 市場 に 自由競 争 原 理 を 導 入 し,第2次 市場 に も割 引 市 場 に対 す るの と同様 の規 制 を 行 い,ま た 従 来か ら 市 場 機 能 を 阻害 してい た イ ング ラン ド銀 行 に よる公 債 価格 支 持 操 作 を 中止 す る とい う内容 16) の もの で あ った。 こ の新 金 融 調節 方 式 に よ り状 況は か な りの変 化 を 生 じた。 3 金 融 制 度 改革 の動 き 1959年 ラ ドタ リフ報 告 に よ って イ ギ リス金 融 制度 の見 直 し,と くに金 融 政 策 の あ り方, 16)滝 沢健三,前 掲論:文,76∼77ページ。
〔資 料 〕金 融 制 度 と金融 政 策 に つ い て の一 考 察 157 金 利 体 系 変 更等 の検 討 が 行 われ て い らい,1971年 の新 金 融 調 節 方 式 の提 唱,銀 行 国有 化 問 題 等 等 大 きな動 きが 生 じて きて い る。 これ は表3に 示 され て い るが,こ のな か か ら新 金 融 調 節 方 式,銀 行 国 有 化,銀 行 の免 許 制 に対 す る草 案 につ い て検 討 して い こ う。 1971年 の新 金 融 調 節 方式 の導 入 に よ り,特 別 預 金制 度,最 低 流 動資 産 比 率 の 適用 が 全 金 融 機 関 を対 象 と した もの に な った ほ か,預 金 ・貸 出金 利 協 定 の 廃 止 に よって 各銀 行 の 自主 的 判 断 で金 利 が 決 定 で き る よ うに な り公 定 歩 合 との連 動 関 係 も断 たれ る こ とに な った 。 そ して1972年10月 か らは イ ン グ ラ ン ド銀 行 の最低 貸 出金 利 を3ヵ 月 も のTB平 均 入札L!一 ト
表3 イギ リスに おけ る最近 の主な金融制度改革案
1959. 8。 19 1967. 5. 15 1971. 5. 14 1973. 6. 22 1976. 8. 3 1976. 9. 30 1977. 10. 7 1978. 7. 25 金齋制度の機能 に関す る委 員会報告(ラ ドタ リフ報告) 物 価 ・所 得委 員会報告 「銀 行手 数料」 イングラン ド銀行 「競 争 と信用調節」 国民貯蓄制 度委員会報 告(ペ ージ報告) 大蔵大臣発表に よる白 書 「預金取扱機関の免 許制 と監督」 労働党大会において銀 行等の国有化提案可決 金融 制度調査会(ウ ィ ル ソン委 員会)の 設 置 銀行 の免許制に関す る 草 案を大蔵 大臣が発表 金融政策のあ り方,金 利体系の変更等の検討を しょうと す る。 金利協定の廃 止,手 数料の公表,収 益等の公開等を勧 告 した もの。 市中貸出規制 の廃IL,流 動性資産比 率等の全銀行へ の適 用,金 利協定 の廃 止等を提案す る。 信託貯蓄銀行制度 お よび国民貯蓄銀行制度 の改正を勧告 した もの。 預 金取扱 機関はイングラン ド銀行 の認証を受け るか免許 を要 することと し監督 を強化す る,す べての金融機間預 金 を対象 とす る預金者保護基金を設け ることな どを提案 す る。 四大銀行,七 大保険会社を国有化 し,イ ング ラン ド銀行 は持株会社 として英国産業に対す る資金の適切な供給を はか る改革案を提案す る。 労働党の銀行国有化提案を受 けて,首 相の諮問機 関と し て設置 され る。諮問事項は①金融 機関の活動の実態 およ び英国経済に果 たす役割につ いての調 査②産業 および貿 易面への資金供 給の見直 し③金融 に対 する公共部門 の進 出の可能性等金融 制度全般の再検討 をす る。 この草案は,預 金取扱機関は銀行 と預 金取扱機関 に分け られ,銀 行はイング ラン ド銀行 の厳重 な監督 を 受け る が,免 許取得は不要 である。預金取扱 機関は免許取得が 必要である。また銀行 とい う名称の使用 も制限を受 ける。 そのほか,小 額預金者保護のため の預金保護基金が設立 され るものであ る。 (出 所)三 井 銀 行 『調 査 月 報 』1978年10月 よ り作 成 。158 の0.5%高(端 数 は最 も近 い%%に 調 整)と す る公 定 歩 合 決定 方 法 の 変 更 が行 わ れ た。 し か し最 低 貸 出金 利 がTBに 直 接連 動す る方 式 は望 ま し くな い不 規 則 な 変 動 を招 く場 合 が あ り,1978年5月 か らイ ン グ ラ ン ド銀 行 の裁 量 で決 定 され 公表 され る よ うに な った 。 これ に よ り,最 低 貸出 金 利 は,金 利 水 準 に影 響 し,経 済 政 策 変 化 を示 す,主 要 な 金融 政 策 手 段 と して の役 割 を もた さ れ る よ うに な った 。 つ ぎに銀 行 の 国 有化 問 題 につ い て考 察 し よ う。 これ は1976年9月 の労 働 党 大会 で 銀 行 の 17) 国 有 化決 議 を した こ とに よ り注 目 され てい る もの で あ る。 そ の根 拠 は 「イ ギ リス経 済 の不 振 の 原 因 は民 間 設 備 投資 の停 滞 に あ る。 民 間 設 備投 資 を 促 進 す る には 産 業 部 門 に対 し十 分 な 資 金が 供 給 され る こ とが 必 要 で あ る。 そ の た め には 主 要 銀 行,保 険 会 社 を 国有 化 して 資 金 が不 動 産 投 機 等 の非 生 産 的 投 資 に 向け られ る ことを 排 除 し,生 産 的 投 資 に 対す る金 融 を 強 化す べ きで あ る」 とい うもの で あ る。 これ に対 し産 業 界 か らは民 間 設 備 投 資 の停 滞 は 金 融 機 関 の資 金 供給 に 問題 が あ った の では な い とい う意 見 が 強 く,銀 行 側 も 「国民 大 多 数 の 利 益 に反 し,国 内 的 に も国 際 的 に も失 うと ころ が大 き い」 と して強 く反 発 して い る。 この 草 案 は首 相 の諮 問 機 関 で あ る金融 制度 調 査 会(ウ ィ ル ソン委 員会)が 現 在 審 議 中で あ る。 つ ぎに預 金 取 扱 機 関 の免 許 制 と監督 問 題 に つ い て考 察 し よ う。 既 述 した よ うに イ ギ リス に お い て は,包 括 的 な 銀 行 規 制 法 は 存在 せ ず,各 種 の金 融 機 関 は 外 国為 替 管理 法,会 社 法,預 金保 護 法,貸 金業 法,所 得 税 法,法 人 税 法 な どそれ ぞ れ 固 有 の 目的 で 作 られ た 法 律 に 従 って 営 業 を して きた。 そ のた め 「銀 行 とは 何 か 」 とい う概 念 も明 確で な く,監 督 当局 の規 制 権 限 も十 分 で は な か った 。 こ うした規 制 方 法 は各 種 金 融 機 関 の競 争 促 進 の 意 味 では 効果 的 で あ ったが,一 部 金 融 機関 に よ る投機 的 経 営 を 招 き,そ の破 綻 に よ り信 用 制 度 全体 に大 き な問 題 を生 じさせ た の も事 実 で あ る。 このた め 金 融 機 関 の監 督 機 関 と して の イ ング ラ ン ド銀 行 の地 位 を確 認 し,か つ 強 化 し よ う とす る のが1978年7月 に 提 案 され た 銀 行 法 案 で あ る。 内容 は 別 段新 味 はな い もの の,イ ギ リス初 の銀 行 法 案 とい う意 味 で は注 目に 値 す る とい え る であ ろ う。 IV西 ドイ ツの 金 融制 度 1 金 融 機 構 西 ドイ ツの金 融 機 構 は 図5に 示 され て い る。 金 融 制 度 に おけ る特 徴 は,第1に 総 合銀 行
17) The Labour Party, Banking and Finance-A Statement by the NEC,1976. 外 の 金 融 制 度 の 変 化 」 『 プ ア イ ナ ソ ス 』1978年9月 号,10∼12ペ ー ジ 。
〔資 料〕 金 融 制 度 と金 融 政 策 につ い ての 一 考察 159 主義(ユ ニバ ーサ ル ・バ ンキ ング)を と って お り,金 融 機 関 の業 務 範 囲 につ いて の 規 制 が 存 在 しな い とい うこ とで あ る。 した が って長 短 金 融 の 分離 が行 わ れ て お らず 商 業 銀 行 と貯 蓄 銀 行 の業 務 内容 が 重:復し,行 動 原 理 も同 質化 す る傾 向 が あ り,相 互進 出が 激 し くな っ て い る。 また銀 行,証 券,外 国為 替 業 務 分野 の壁 が な く,銀 行が 証 券業 務 を兼 営 して お り, そ れ ぞ れ の 分野 で 独 立 専 門 の機 関 が 存在 しない 。 第2の 特 徴 と して公 営 主 義 を とっ て い る こ とで あ る。 す な わ ち商 業 銀 行 を除 くほ とん ど の 金融 機関 が 公 法上 の組 織 で あ る。 第3の の特 徴 と して系 統 の集約 化 が行 わ れ て い る こ とで あ る。 つ ま り各 金融 機 関 が 商 業 銀 行 グル ー プ,貯 蓄 銀 行 グル ー プ,信 用 協 同組 合 グル ー プの三 系 統 に統 合 され て お り,各 系 統 内 で 資 本過 不 足 が 調 整 され,市 場 を 通 じる資 金 の 流 れ は比 較 的 少 な く,市 場 規模 も少 さい とい う こ とであ る。 と ころ で 金融 機 関 の構 成 は商 業 銀 行,貯 蓄 銀 行,信 用 協 同組 合,抵 当銀 行,そ の他 の グ ル ー プに 大 別 され る。 表4か らもわ か る よ うに 貯 蓄 銀 行 の ウエ イ トが商 業 銀 行 よ りも太 き 図5 西 ドイ ツの 金融 機 構 郵 便 貯 金 制度 保 険 会 社 割 賦 信 用 会 杜 関 機 散 金 行 銀 俳 グ ル ー プ 特別銀行 公 営 狸 築 貯 蓄 金 庫 民 営 公 営 抵 当 銀 行 グ ル ー プ 抵当銀行 抵 当 銀 行 私 営 不 動 産 抵 当 銀 行 組 合 中 央 金庫 商工業信用協 同 商 工 業 信 用 協 同 組 合 行 銀 邦 連
"
ド グ ル ー プ 信用協同 組 合 中 央 金 庫 ドイッ 協同 組 合 組 合 中 央 金 庫 農業信用協同 農 業 信 用 協 同組 合 カ 一 ル グ 行 徹 公 営 グ ル ー プ 貯蓄銀行 ド ィ ッ 地 方 内 冶 体 鰍 鴛 ドィッ振替 銀行 ・ 振 替 中 央銀 行 貯蓄 銀 行 私 営 個 人 銀 行 外 国 銀 行 グ ル ー プ 商業銀行 州 立 . 地 域 ・ 地 方 銀 行 三 大 銀 行 投資 会 社 (出 所)窪 田弘 編 著 『前 掲 書 』p.91.よ り作 成 。160 表4 主 要 金融 機関 の預 金構 成(1977年12月 末)単 位=百 万 マ ル ク,()内%
全 銀 行
商
業
銀
行
大 銀 行
地霧 鰭 難 行
外国銀行 の支店
個
人
銀
行
振 替 中 央 銀 行
貯
蓄
銀
行
中
央
金
庫
信 用 協 同 組 合
抵
当
銀
行
割 賦 信 用 会 社
特
別
銀
行
郵 便 貯 金 制 度
要求払
預 金
144,319 (16,2) 51,316 (22。7) 27,609 (23.4) 18,087 (20.0) 1,520 (47.3) 4,100 (28.4) 6,350 (15.0) 48,789 (14.4) 1,151 (12.7) 25,657 (17.5) 458 (0,7) 457 (8,7) 1,386 (5.0) 8,755 (27.1) 定期預金 計 252,050 (28.3) 92,158 (40.7) 43,078 (36.4) 40,693 (44.9) 1,487 (46.2) 6,900 (47.7) 32,316 (76.3) 19,197 (5.7) 3,860 (42.5) 14,338 (9.8) 62,341 (99.2) 1,342 (25.4) 26,408 (94.8) 90 (0.3) 1か 月 ∼3か 月 未 満 3か 月 ∼1年 超 年 年 4 満 1 ∼ 未 以 上4年 3 ・ 3 ・ 0 . 6 , , 3 , 4 , 2 , 6 9 1 9 ( 3 ( 5 ( -( 1 04 の 90 D 31 の 38 幻 16 の 05 の 97 ρ 87 万-33 釧 74 D 99 の 6 ) 8 ) 0 ) 2 ﹁ 6 ( = ﹂ . 0 9 . 3 , 0 ρ ( 8 ﹂ 聾 -( ウ 臼 . 9 ● , 0 , ユ 2 ( 1 2 ( 0 ・ 7 陰 , 2 , ρ 0 3 ( O Q 4 ハ 0 ( 2 2 0 6 9 3 0 0 。 0 . 。 6 , 2 0 ( 3 8 ( 2 (驚
舗
お⑳
㎝鯛
畷
ω
藩
鷺
罵
=
蒸
鰈
蝿
繊
韻器
塒鞭
㈹
=
講
鱒
鞭
羅
鞭
蘭
腿ω
蕗
=
貯蓄債券
54,147 (6.0) 8,834 (3.9) 4,528 (3.8) 4,000 (4.4) 50 (1,6) 256 (1.8) 103 (0.2) 38,724 (11.4) 3,621 (39.9) 1,459 (1,0) 1,406 (26.7)貯蓄預金
440,880 (49.5( 74,168 (32.7) 42,970 (36.4) 27,845 (3軌7) 158 (49) 3,195 (22.1) 3,582 (8.5) 232,009 (68.5) 445 (49) 105,042 (71.7) 73 (0.1) 2,065 (39.2) 58 (0.2) 23,438 (72.6)預金計
891,396 (100.0) 226,476 (100.0) 118,185 (100.0) 90,625 (100.0) 3,215 (100.0) 14,451 (100.0) 42,351 (10砿0) 338,719 (100.0) 9,077 (100.0) 146,496 (100.0) 62,872 (100.0) 5,270 (100.0) 27,852 (100.0) 32,283 (100.0)(出所)Deutsche Bundesbank, Monthly Report of the Z)eulsche Bundesbank.
い。 これ は 歴 史 的 に は貯 蓄 銀 行 に対 す る優 偶 制度 の存 在 が大 き く寄 与 して い る。 貯 蓄 銀 行 は そ のほ とん どが 地 方 公 共 団 体 に よ り設 立 され,半 公 営 的 な性 格 を 持 って い る。 そ の た め に貯 蓄 銀 行 は 税 法上 も種 種 の特典 を与 え られ資 金 調 達 上 も有 利 な条 件 を 提 供 す る こ とが 可 18) 能 で あ った。 また 法 人 取 引,し か も短 期 取 引 の ウエ イ トが 大 きい商 業 銀 行 は,個 人 の小 口 預 金 を吸 収 し中長 期 貸 付 け を 行 う貯 蓄 銀 行 に比 べ て,1960年 代 前半 か らの 資金 の需 要 ・供 給 面 で長 期 取 引 が大 きか った 時期 には,相 対 的 に不 利 な 状態 に おか れ,シ ェア の低 下 傾 向 を た どった ので あ る。 さ らに 店 舗 数 の違 い も個 人 預 金 の吸 収 に差 とな って現 われ た 。1957 年 末 では 商 業 銀行364行1917支 店 に対 して,貯 蓄 銀 行871行8192支 店 で あ6た 。 これ は1977 18)三 菱 銀 行P 査 』1977年8月 号,13∼14ペ ー ジ。
〔資 料〕 金融 制 度 と金融 政 策 に つ い で の一 考 察 161 年 末で も商 業銀 行263行5841支 店 に対 し,貯 蓄銀 行622行16398支 店 で,後 者 の優 位 は 動 か 19) せ ない 事 実 で あ る。 しか し商業 銀 行 も大 衆 化対 策 を 打 ち 出 し,シ ェア 回 復 に努 力 した 結果,1966年 を機 に上 昇 に 転 じる よ うに な った。 それ は 消 費 者 信 用供 与 の 充 実,ク レジ ッ ト ・カ ー ドの 導 入, 1958年 の店 舗 自由化 に と もな い店 舗 網 を 拡 大 す る こ とを 積 極 的 にす す め る等 に よ って 行 わ れ た 。 さ らに1968年 に は 貯 蓄銀 行に 対 す る税 法上 の 優 偶 制度 の廃 止 に よ り,商 業 銀 行 は資 金 調 達 面 で も貯 蓄 銀 行 と同一 条 件 で 競 争 す る ことが 可 能 とな った。 ところ で 商業 銀 行は 大 銀 行,州 立 銀 行,地 域銀 行,地 方 銀 行,個 人銀 行 等 に 分 け られ る。 そ の 中 で も大 銀 行(三 大 銀 行)は,全 金 融 機 関 の総 資 産 に 占 め る シ ェ アが10%強 とい わ れ て い るが,事 業会 社 の株 式 保 有,保 護 預 りして い る株 式 の議 決 権 の代 理 行使,あ るい は 事業 会 社 の監査 役 へ の役 員 派遣 を通 じて 産 業 界 と強 いつ な が りを 持 って お り,数 字 で は ・ 表 せ な い強 い影 響 力 を持 って い る。 また 証 券業 務 面,国 際業 務 面 で も圧 倒 的 な力 を 持 ち, 傘 下 に投 資 信 託会 社,リ ース会 社,不 動 産低 当銀 行,企 業分 析 会 社,割 賦 信 用 機 関 等 を持 20) ち金 融 デパ ー トとい わ れ るほ ど業 務 の 多様 化 をす す め て い る。 また 信 用 協 同組 合 は 西 ドイ ツ最 大 の店 舗数 を持 つ(1977年 末 で4806組 合,14567支 店) 金 融 機 関 で商 工 業 信 用 協 同組 合 と農 業信 用 協 同 組 合 の2系 統 に 分か れ,他 の 金融 機 関 の及 ば な い地 域 に も金 融 サ ー ビスを 提 供 しつ つ,大 衆 の貯 蓄 預 金 を 吸収 し てい る。 そ して信 用 協 同 組 合 グル ー プ,貯 蓄 銀 行 グル ー プ と も商 工 業 貸 出,証 券 業 務,国 際 業 務 等 の充 実 を 図 って お り,商 業銀 行 グル ー プ との競 合 は さ らに激 し くな って い くこ とが 予想 され る。 中 央 銀 行 制 度に つ いて 言 及す れ ば,ブ ンデ スバ ン ク(ド イ ツ連 邦銀 行)の 政 府 との 関係 に お け る 比類 のな い 独 立 性 が特 色 で あ る。 す なわ ち ブ ンデ スバ ンク 法(第29条 第1項)は 「同 行 理事 会 お よび 役 員会 は 連 邦 の 最高 官 庁 た る地 位 を 有 す る」 と 明記 し,政 策 決 定 の 自 主 性 につ いて も 「通 貨政 策 上 の権 限行 使 に 当 って政 府 の 命 令 を受 け な い 」 (同法12条)と して い る。 そ れ と同時 に ブ ンデ スバ ン クは 任務 遂 行 上 支 障 の な い限 りに お い て,連 邦政 府 の一 般 経 済 政 策 に協 力 す る こ とを 義務 づ け られ,協 調 確 保 の 機 構 が設 け られ て い るが, 連 邦 政 府 の一 般 経 済 政 策 とブ ンデ ス バ ン クの金 融 政 策 の ギ ャ ップか ら,対 立 が生 じる こ と も多 い よ うで あ る。
19)Deutsche Bundesbank, Monthly Report of theエ)eutsche Bundesうank, March,1978 . 20)永 川 秀 男 編 『世 界 の 企 業 一 酉 ド イ ツ の 経 済 と 産 業 』 筑 摩 書 房,1975年,268∼286ペ ー ジ 。
162 2 金 融 制 度 改革 の動 き 西 ドイ ツで は1973年 か ら74年 にか け てヘ ル シ ュタ ッ ト銀 行 の倒 産 を は じめ とす る一連 の 信 用不 安 に対 拠 す る た め,金 融 制度 の見 直 しを 図 る アペ ル 委 員会 が 発 足 した。 こ の委 員 会 の 検討 課 題 は 表5に 示 され て い る。 ま た連 邦銀 行 監督 局 とブ ン デス バ ンクに よ り信 用 組 織 法 の 改 正案 が 検 討 され,そ の 提 案 に 基 づ い て改 正 法 律 が1976年5月1日 か ら施 行 され た。 この 改 正 は信 用 不 安 に対 処 す るた め 応 急 的 に準 備 され た もので,銀 行 監督 の強 化 を 図 る こ とを 口的 とし,融 資 リス ク の制 限, 銀 行 監督 当局 の権 限 強 化,銀 行 協 会 の 自発 的 預 金保 証機 構 をi支援 す る措 置 を含 む もので あ 2D る。 そ して金 融 制 度 全 般 にわ た る見 直 しは ひ き続 きアペ ル 委 員 会 で審 議 中 で あ る。 総 合 銀 行 主 義 の 評 価 につ い て は,銀 行 の 証券 業 務 兼 営 は 西 ドイ ツに 定 着 して,い わ ば歴 史的 所 産
表5 主要 な金融制度改革 の動 き
アペル委員会 (1974年 11月) ヘルシュタッ ト銀行等 の相次 ぐ 破綻 から生 じた信用不安を契機 として金融制度 見直 しのた めア ベル蔵 相が設立 した私的 な研究 委 員会 信用組織法改 正 (1975年1月30日 連邦議 会可 決 ,5月1日 発効) 金融機関に対す る信頼 の回復 を 目的 として信用組織 法の改 正が 行われた。 検討事項……①総 合銀行主義(銀 行に よる証 券業務 の兼 営)の 当否②銀行に よる企業お よび証券市場支配 の問題(銀 行 に よる 企業株式の保有を制限す ることの要否,銀 行の受託 株券につ い て の議決権の代理行使の制限の要否,お よび銀行役 員が企業 に 監査役 として派遣 されてい る問題)③ 銀行に対する監督のあ り 方(銀 行の 自己資本の程度,与 信 リス クの十分な分散方 法,支 払能 力の確保お よび経営者の資格の問題等)。 改正 の内容 ……①大 口信用規制@1件 当 り大 口信用(保 証 自己 資本 の15%,を超え る信用)の 最高限度を保証 自己資 本の75%と す る(ク レジッ ト・ライ ンの未使用分 も算入)。 ⑮ 大 口信用上 位5件 の総額は保証 自己資本の3倍 以内 とす る(ク レジッ ト。 ラインの未使用分 も算入)。 ◎大 口信用総額の最高限度は保証 自己資本の8倍 とす る(ク レジッ ト・ライ ンの未使用 分は算入 しない)。④ この規制 の経過期間 は向こ う5年 間 とす る。 ②個 人銀行(金 融機間の常勤役員は最低2名 を要す る こととし 個人銀行は今後認可 しない)。 ③営業免許 の取消 し(金 融機間の損失が保証 自己資本の半額を 超 え,あ るいは収益不振 の恒常化 といった事態を生 じた場合, 連 邦銀行監督局は金融機関の営業免許を取 り消 しうる)。 ④銀 行 検査(連 邦銀行監督局は,定 例の年度決算書検査のほか,格 別 の理 由がない場 合で も随時立入 り検査を実施 しうる)。 ところで保証 自己資本は払込済み資本か ら自社株保有分を差 し 引き,こ れ に積立金を加 えた ものであ る。 (出 所)日 本 銀 行r調 査月 報 』1975年1月 号,2月 号,6月 号 。 大蔵 省rフ ァイ ナ ン ス 』1977 年9月 号 。 三 井 銀 行r調 査 月 報 』1978年10月 号 。 21) 関要 「海 外 の金 融 制 度 の変 化 」rプ アイ ナ ソス 』1978年10月 号,43∼44ペ ー ジ。〔資 料 〕 金融 制 度 と金 融政 策 につ い て の一 考 察 163 であ り,銀 行以 外 に 顧 客 の ニ ー ズに応 じ られ る機 関 も存 在 しな い た め,全 面 的 に 改革 す る 動 きは み られ な い。 しか し この よ うな金 融 制 度 改革 の動 きは,自 由競 争 の 原理 の も とで 発 展 して きた 西 ドイ ツ 金 融 機 関 に 少 なか らぬ 影 響 を 及 ぼす も ので あ る こ とは い うまで もな い で あ ろ う。 V マ ネ ー ・サプ ライ 重 視 の金 融 政 策 1背 景 通 貨供 給 量0伸 び の 目標 値 を 当局 が公 表 す る政 策 は1975年 以来,ア メ リカ,西 ドイ ツ, ス イ ス,カ ナ ダな どで と られ て きた が,1976年 にな る とイ ギ リス,フ ラ シス も採 用 す る よ う に な っ た 。 こ の タ うに マ ネ ー ・サ プ ラ イ の 伸 び を コ ン ト ロ ー ル す る政 策,そ し て そ の 目 標 値 を 公 表 す る政 策 が 各 国 で採 用 され る よ うにな った理 由 と して,BIS(国 際 決済 銀 行) 22) の年 報 で は つ ぎ の よ うな もの を挙 げ て い る。 ① 中 ・長 期 の イ ン フ レー シ ョン率(以 下,イ ン フ レ率 と略 す)と マネ ー ・サ プ ライ と の 間 に相 関関 係 があ る こ とが,1970年 代 の経 験 で 明 らか に な った 。 ② 石 油 危 機 後 の イ ン フ レー シ ョン高 進 の 時代 にお い て,名 目金 利 水 準 が指 標 と して の 信 頼 性 を失 った こ と。 ③ 'スタ グ フ レー シ ョンの も とで,ケ イ ンズ的 財 政 政 策 の有 効 性 に 疑問 が 生 じて き た』 ④ マ ネ ー ・サ プ ライ の 伸 びを 抑 制 す る政 策 を と った ア メ リ九 西 ドイ ツ,ス イ ス では 物 価 が 鎮 静 化 した こ と。 ⑤ マ ネ ー ・サ プ ライ の 目標 値 を公 表 す る こ とで,イ ン フ レー シ ョン抑 制 とい う当 局 の姿 勢 を 一般 に示 す 効 果 が あ る。 た とえば 西 ドイ ツの場 合,賃 上 げ要 求 を抑 え る効果 が あ った 。 欧 米諸 国 にお い て は金 融 政 策 の指 標 と して 従来 の マ ネ ー ・マ ー ケ ッ ト金利 に注 目す る姿 勢 か ら,最 近 数 年間,マ ネ ー ・サ プ ラ イに 代 表 され る 「量 的金 融 指 標 」を よ り重 視 す る よ う に な って きた。 こ の最 大 の 理 由 として は 上 述 した イ ン フ レー シ ョンの 高進 が あげ られ る。 これ を 図6で 考 察 し よ う。 縦 軸 に 名 目金利,横 軸 に マ ネ ー ・サ プ ライ量 を と る こ とにす る。 い ま名 目金 利roを 維 持 す る こ とが 金 融 政策 の運 営 目標 で あ った と 仮 定 す る。 イ ン フ レー シ ョン心 理 を 背 景 に人 々の 期 待 イ ンフ レ率 カミ高 ま った 場 合 に は,名 目金 利 か ら期 待 イ ン フ レ率 を 差 し引 いた 実 質 金利 は 低 下 し,支 出拡 大 のた め の 資 金 需要 は 増 大 す る。 す な
164 わ ち 資 金 需 要 曲線DoはD,に シ フ トす る。 金 融 当 局 が名 目金 利r。 の 維 持 を運 営 目標 として い るか ぎ り,何 ら か の手 段 で 資 金 供給 曲線SoをS,に シ フ トさせ る こ とに よ り,こ の水 準 を 保 た ねば な らな い。 この 結 果 マ ネ ー ・ サ プ ラ イはMか ら.M'に 増 加 し,過 大 .供給 を も'たらす可 能性 が あ る。 す なわ ち 期 待 イ ン フ レ率 の変 化 が 結 果的 に イ ン フ レー シ ョンの 高進 を追 認 す る こ と 23) に な る。 こ の よ うな 金利 の運 営 目標 と 名 目 金 利 ro 5 旨 3 0 … 5 1 図6 D・ DI 5。 5 M ハff マ ネ ー 。サ プ ラ イ して の 欠陥 が もっ と も顕 著 に 現 われ た のが1960年 代 後 半 の 世 界的 イ ン フ レー シ ョンの 進 行 期 で あ る といえ るだ ろ う。 も しこ こ で マネ ー ・サ プ ライMを 運 営 目標 に し,金 利 は 資 金需 給 の実 勢 に委 ね て い る と す れ ば,人 々 の期 待 イ ン フ レ率 が 高 ま り資 金 需 要 曲線DoがD重 に シ フ トした として も, 名 目金 利r。 が 角 に上 昇す るだ け で,イ ンフ レー シ ョンの 発生 また は 激 化 は 回避 で き る で あ ろ う。 す なわ ち 名 目金 利 が 大 幅 に上 昇 す る こ とに よ り,資 金需 要 が 抑 制 され,経 済 の 自律 的 な 均 衡 の回 復 が 促 進 され る こ とに な る ので あ る。 また 国 債 価 格 を政 策 的 に 維持 して い た こ とや,海 外短 資が 大 量 に 流 入 した こ とに と もな う,過 大 な 通 貨供 給 に 対 して 各 国 の 反 省 が あ った こ と も マ ネ ー ・サ プ ライ に 代表 され る 「量 的 金 融 指 標」 が 重 視 され る契 機 とな った とい え るだ ろ う。 2 欧 米 主 要 国 の マ ネ ー ・サ プ ライ統 計 実 際 に マ ネー ・サ プ ラ イ残 高 を金 融 政 策 の 運営 目標 とす る場 合,適 正 な マ ネ ー ・サ プ ラ イ残 高 の確 定,マ ネ ー ・サ プ ライ残 高 『 ン トロー ル の技 術 的 問題 マ ネ ー ・サ プ ライ 統 計 の 整 備 とい った 諸 問 題 を解 決 しな けれ ば な らな い。 こ こで は,ア メ リカ,イ ギ リス,西 ド イ ツ の現 行 マ ネ ー ・サ プ ライ統 計 を表6に 従 っ て概 観 し よ う。M,に つ い て は,ほ ぼ 各 国 共 通 で あ るがMaに つ いて は 準通 貨 の範 囲 が 国 に よ って 若 干異 な って い る。 西 ドイ ツの M$はM1に 法 人 の定 期 性預 金 を 加 え る。 また イ ギ リスで は.M2を 廃 止 した た めM3が 23) 日本 銀 行r調 査 月 報 』1975年3月 号,1∼15ペ ー ジ。 寺 西重 郎 「マ ネ ー ・サ プ ライ 重 視 の 金 融 政 策 」r金 融 と銀 行 』 東 洋 経 済 新 報 社,1975年3集 。
165 〔資料 〕 金 融 制 度 と金 融 政 策 に つ い て の一 考 察 欧 米 主 要 国 の マ ネ ー ・サ プ ライ統 計 の 概要
表6
ツ イ ド 西 ス リ ギ イ カ リ メ ア賭
・
囎
難
達勘定等の調整 o 解 未 。 未 し 同 月 む な 由 ( 同 左 直物お よび翌 日物(注)1. コール資金を含む。 2。 未達 勘定の60%を 控除 。 公共部門の預金を 3. 。除簸 建預金は除 く。 連 ウ 手 を鶴
灘
要 国 け む 立 連 。 + 外 積 合 取 ,く 金 銀 を 形 除 現 1 ・ a 瀧 曲 M且 ブンデスバ ンク,商 業銀行 貯蓄銀行,信 用協同組合お よび同中央金庫.振 替中央 銀行,郵 貯制度,抵 当銀行 特別銀行 (復金等), 割 賦 信用会社 外 開 割 海 機 , ,替 社 行 振 会 銀 便 融 社 業 郵 金 高 商 ,発 受 ,銀 飯 引 行 外 賦 , 銀 ,割 社 蘭 行 手 商 英 銀 大 引 連 銀,商 業 銀 行,外 銀 対 象 金 融機関 砥 十4年 未満の定 期預金 お よび借入金 含 上 D 外 を 以 C の 。 D ル ロ 外 く C 金 ド 大 以 除 ( 預 万 能 い は 金 蓄 10 可 。払 金 預 貯 口 渡 く 求 預 期 + 1 譲 険 要 建 定 ) の を 貨 + む L 2 。 砥 姓施
M1に 同 じ M:1に 同 じ ハあ+法 定解約告知期 間付 貯蓄預金 (注) 法定告知以外の約定 告知付貯 蓄 預 金 は 除 外。 M1に 同 じ 〔ス タ ー リングMa〕M 1十 公 共 部 門 のポ ン ド建 預 金 十民 間 ポ ン ド建 定 期 性 〔薦 預 金(CDを 含む) 1 ス ター リング 薦建 預 金 十外 貨 M1に 同 じ 施 十貯蓄機関の預金 対 象1
金融機 関 M, 対 象機関のほか,相 互 銀行,貯 蓄貸付組 合, 組合施
雛
対 象 金融機園 政府を含み,非 居住者は除 く。 政 府 を 含 み(Ms段 階),非 居 住 者 は 除 く。 建築貯蓄金庫, 投資会社 , 保険会社, 外 銀 か 貯 販 あ 託 ほ 託 賦 く 信 ) 信 割 除 , 貯 , ,を 社 郵 聞 合 手 会 ( 機 絶 大 険 行 敵 薬 ( 保 銀 金 建 社 , 蓄 係 ,会 金 貯 関 行 融 基 民 府 銀 金 金 社 国 政 蓄 光 年 会 M4=M2十 大 口CD M55M3+大 口CD Mlん 鵡 まですべ て (宋銭統計はない) 政 府 を 除 き,非 居 住 者 は要 求 払 預 金 に つ い て のみ ル11 ∼ 跡5に 含 む 。 保 険 会 社,年 金 基 金,投 資 会 社(Mutual Funds), 金 融 会社,政 府 関 係 金 融 機 関 そ の 他 の マ ネ ー ・ サ プ ラ イ 指 標 平浅統計 通貨保有 者 の範囲綴
撚
湿 の ら て な 関 (注)欧 米 諸 国 は それ ぞ れ 各 国 中央 銀 行 作成 統計(こ れ ら の国 に 関 す るIMF作 成 統 計 は これ と 若 干 異 な る)。 (出 所)日 本 銀 行r調 査 月 報 』1978年9月,p.75.よ り作成 。166 準 通 貨 を 含 む唯 一 の指 標 だ が,こ れ は 他 の 諸 国 のM2に 相 当 す る。 イ ギ リス以 外 の 諸 国 で はMaは 鍾 に さ らに 貯 蓄 性預 金 を 加 え た もの とい う点 で共 通 であ る。 こ の点 に つ い て ア メ リカ は,よ り多 くの貯 蓄 金 融 機 関 を含 め る方 法 でMsを 作 成 して い る が,西 ドイ ツで は 金 融 機 関 の範 囲 は ルf2,1矯 共 通 と し,1臨 で 初 め て 個 人 の 貯 蓄性 預 金 を 加 え る方 法 を と って い る。 また ア メ リカ ではM2,ハ23V`そ れ ぞ れ大 口CDを1加 え たM4,M'5と い っ た指 標 を作 成 し,月 中平 均 残 高 統 計 のみ を作 成 して い る のに 対 し,イ ギ リス,西 ドイ ツで は 月 末残 高 統 計 の み を作 成 して い る。 この よ うに各 国 で通 貨 の概 念,ど こ まで を統 計 の 中 に入 れ るか,マ ネ ー ・サ プ ライ の計 測 の方 法等 異 な って お り,各 国 の事 情 にそ って検 討 しな け れ ば な らない 。 3 ア メ リカに お け る マ ネ ー ・サ プ ライ 政 策 ア メ リカに おい て は1951年 財 務 省 と連 邦 準 備 制 度 の間 で 「ア コー ド」 が 成 立 し,そ れ ま で の 固定 的 低 金 利 政 策 とそ れ に 支 え られ た 大 量 国債 発 行政 策 を 止 め,金 利 の 弾 力 化 を図 24) り,公 定歩 合 政 策 の 活用 を行 うこ とに よ り,「 金融 政 策 の復 活 」 が打 ち 出 され た。 しか し 短 期 市 場金 利 を 中心 とし て金 融 政 策 を運 営 した結 果,1967∼68年 に は マ ネ ー ・サ プ ライ残 高 が 急 増 し,1960年 代後 半 の イ ン フ レー シ ョン高 進 を金 融 面 か ら加速 す る こ とに な った 。 この よ うな情 勢 に対 す る反 省 が連 邦 準備 制 度 内 部 に お いて も生 じ,1970年1月 連 邦 公 開 市 場 委 員 会(FOMC)が マ ネ ー ・サ プ ライ残 高 と くにM,, M2の 目標 を 設 定 しは じめ た 。 しか しMlや ルf2を 短 期 間 に 目標 水 準 に コン トロール す る 困 難 さ の 認 識 とと もに, 1972年1月 に総 準 備,2月 には そ れ に代 え て 「民 間一 般 預 金 対 象 準 備(reserves available to support private nonbank deposits, RPD)が 導 入 され た。 R P Dは 連 邦 準 備制 度 加 盟 銀 行 の 総 準備 か ら連 邦政 府 預 金 と金融 機 関預 金 に 見合 う所 要 準 備 額 を差 し引 い た もの であ 25) る。RPDの 短 期 目標 値 は1972年2月 以 来 公 表 され て きた が(現 在 で はそ の 成長 率 の 目標 値 域 は 発表 され て い な い),1974年1月 以降 は さ らにMl, Ma,フ ェデ ラル ・フ ァン ド ・ レー トにつ い て も短 期的 な 目標 値 が 公表 され る よ うに な った 。 マ ネ ー ・サ プ ライ残 高 の 目標 水 準 は 長 期 的 目標 と短 期 的 目標 が あ り,前 者 は四 半 期 ご と,後 者 は1ヵ 月 ご とに 発 表 され る。 前 者 は1年 間 の 目標 伸 び 率,後 者 は 実 績値 が 前 者 の 予 定 径 路 か ら乖 離 した場 合 の 当面 の 軌 道 修 正 目標 と い え る もので あ る。 後 者 はMl, Ma 成 長 率 の許 容 範 囲 何%∼ 何%,フ ェデ ラル ・フ ァ ン ド ・レー トの 目標 値 域 何%一 何%と い 24)尾 崎 英 ご 「世 界 の金 融 市 場 」r金 融 ジ ャ ー ナル 』1977年1月 号,60∼61ベ ー ジ。 25)佐 久 間 潮 「ア メ リカ の 金融 政 策 をめ ぐ っ て」r国 際 金 融 』567。
⊂資料 〕 金融 制度 と金 融 政 策 につ いて の 一 考察 167 うよ うに発 表 され る。 連 邦 準備 当 局 は 究極 的 に は 運 営 目標 と してMi, Maを 重 視 して い るが,フ ェデ ラル ・フ ァ ン ド ・レー トは マ ネ ー ・サ プ ライ に影 響 を 与 え る手 段 と して使 わ れ る。 4 イ ギ リスに お け る マ ネ ー 。サ プ ライ政 策 イ ング ラン ド銀 行 は金 利 を 伝 統的 に金 融 政 策 の運 営 目標 と して いた が,1967年11月 の ポ ン ド切 下 げ 後,量 的 金 融 指 標 に 関心 が 高 ま り,1968年,受 動 的 国債 買 支 え の 中止,1969年
「国内 信 用 増加 額(Domestic Credit Expansion, DCE)」 抑 制 目標 額 を 発表 した 。 D C E
は 「マ ネ ー ・サ プ ライ 増 加類+国 際 収 支赤 字 」 で 近 似 的 に示 され るの で,国 際 収 支 赤字 が 拡 大 す る とDCEを 一 定 目標 内 に 維 持 す るた め に,マ ネ ー ・サ プ ライ増 加 を 厳 し く抑 制 し な け れば な らな い。 そ の後1971年 に 「新 金 融 調 整方 式」 を 導 入 し,直 接 的 な 操 作 目標 を公 開 市場 操 作 と特 別 預 金 預 入 率 変更 に よる銀 行 保有 準 備 の コ ン トロール に 置 き,究 極 的 な 運 営 目標 は マネ ー ・ サ プ ライ 残 高 とした 。 また1973年 末 に は 特別 預 金 制 度 を 実施 した が,こ れ もマネ ー ・サ プ ライ の コ ン トロール を 強 化す るた め の もの であ った。 しか しイ ギ リス に お い て は,マ ネ ー ・サ プ ライ残 高 の変 化 は まず 為 替 相 場 や 国際 資 金 移 動 に影 響 を 与 えや す いた め,国 内経 済 活 動 や 国 内物 価 へ の影 響 を定 量 的 に 計測 す る のが 困 難 で,マ ネ ー ・サ プ ラ イ残 高 に対 す る定:量的 目標 値 は1976年 まで は 発 表 され て い なか った 。 マ ネ ー ・サ プライ の 目標 値 として はMaとDCEが 主 た る もの で あ る。 5西 ドイ ツに お け るマ ネ ー ・サ プ ライ政 策 1960年 代 まで の 西 ドイ ツの金 融 政 策 は,「 銀 行 流 動 性」 に よ って マ ネ ー ・サ プ ライ を コ ン トロー ル し ょ う と しで いた 。銀 行 流動 性 とは そ の具 体 的 内 容 は 時代 に よ って異 な るが, 26) 銀 行 の 自由準 備 と中央 銀 行 信 用 にす ぐに転 換 す る こ とが で き る流動 資 産 の合 計 で あ る。 し か し1970年 春 以 降,再 割 引枠 の使 用 制限,準 備率 の引 上 げ に よ り大 幅 な銀 行 流動 性 吸 収 を 行 っ て も信 用膨 脹 が 引 き続 き起 こ り,従 来 の よ うな銀 行 流 動性 を通 じて の マ ネ ー ・サ プ ラ イ残 高 調 節 方 式が 作 用 しな くな った 。 これ は国 内 外 金 融 市 場 の急 速 な 発 展 に よ り,銀 行 準 備 の アペ ラ ビ リテ ィーが 高 ま った か らで あ る。 と くに海 外 短 資 の取 入 れ の拡 大 や,マ ル ク 相 場 の強 調 に とも な う大 量 の外 貨 流 入 が常 態 化 す るに つ れ て顕 著 とな った。 そ こで銀 行流 動 性 よ りも,よ り直 接的 な マネ ー ・サ プ ライ政 策 の必 要 性 を 認 識 し,「 中 26)三 菱 銀 行r調 査 』1976年1月 号,29∼33ペ ー ジ。