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IRUCAA@TDC : 健康的に年をとれるとよいなぁ

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Academic year: 2021

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

健康的に年をとれるとよいなぁ

Author(s)

松坂, 賢一

Journal

歯科学報, 117(2): 2i-2i

URL

http://hdl.handle.net/10130/4234

Right

Description

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健康的に年をとれるとよいなぁ

松 坂 賢 一

「人間五十年,下天のうちを比ぶれば,夢幻の如くなり。」,人の世の50年は,天界の一昼夜と同じ で,それに比べれば,夢や幻のように儚い。とは言いつつ,1人のヒトとしての人生の50年は,相当 な年月でもある。人生50年,いつの時代のことであろうか。私も50歳を過ぎ,20歳代30歳代のころと は違った様子である。2015年の我が国における平均寿命は男性が80.79歳,女性が87.05歳であった。 我が国は1970年に高齢化社会となり,1994年には高齢社会,そして2007年には超高齢社会に入ってい る。そして,総務省統計局の人口推計によると2016年(9月1日現在)では高齢化率が27.2%で,単純 に考えれば,歯科医院を受診する患者の4人に1人以上は65歳以上である。これには,医療技術の進 歩や環境衛生,さらには政治や経済なども大きくかかわっているのであろうが,生物としてのヒトの 進化は数十年単位では全くないといってもよいであろう。わが国ではう蝕の減少や過去には全盛期で あったアマルガム充填が姿を消すなど,この数十年で大きく環境が変化するが,1960~1970年代のう 蝕罹患者数のピーク時よりも年々減少傾向にあり,衛生概念や医療全体での予防の浸透の結果であろ う。高齢になればなるほど,誤嚥の危険性が増し,口腔内清掃状態と肺炎の関連性を考慮すると口腔 の専門家である歯科医師も常にこのことを意識しなければならない。しかも,高齢者の死因上位に位 置する肺炎と口腔内細菌の関連性の高さからも,これからの歯科医療の立場が必要に応じてシフトし てくるだろう。 高齢者が多くなれば,循環器疾患や内分泌疾患,呼吸器疾患などの基礎疾患を有する患者が増えて くるのは当然ではあるが,患者を診るときに注意すべき基礎疾患を把握しての歯科医療が要求され る。見ただけでわかる全身状態もあれば,さまざまな検査結果から初めて知り得る疾患まで患者に よって多種多様で,しかも重症度も個々人によって異なることは言うまでもない。隠れた基礎疾患が あるにも拘らず,患者に自覚症状がなく治療を受けていない者が歯科医院を受診している可能性も高 い。平均寿命から日常的・継続的な医療・介護に依存して生きる期間を除いた健康寿命も年々伸びて いるが,平均寿命の延びに比較してその伸びは小さく,日常的・継続的な医療・介護に依存している 人が多くなっているわけである。健康な高齢者の健康寿命を延ばすこともこれからの医療従事者に求 められるであろう。日ごろから健康で医者にはかかっていないが,歯科にはかかっているという患者 も多くみられる。その様な場合には特に隠れた基礎疾患を見逃して歯科治療を行っている可能性が高 いのも事実である。血液や尿を用いた検査からさまざまなことが分かるが,外科的治療が主体である 歯科医療において,貧血傾向や微生物の感染,肝疾患,腎疾患がある場合の歯科治療は注意が必要で あることは言うまでもない。潜んでいる疾患を早期に発見し,早期に治療を開始することも,健康寿 命を延長させる可能性の一つでもある。一般歯科医院においても一般的な臨床検査によって潜在して いる疾患をさらに見つけ出すことが可能となれば,健康寿命の延長,さらには国民医療費の削減にも つながるであろう。 近年の歯科医師国家試験においても臨床検査に関連する問題や臨床検査データを基に解答させる設 問がしばしば見受けられるようになり,基礎疾患を有する患者や高齢者の歯科治療を意識させるよう なものが増えている。患者の口腔症状と基本的な検査値が示され,基礎疾患を類推させて,他の考え られる症状を答えさせたり,診断に必要な追加検査を問う出題である。一般的な歯科治療においても 簡単な臨床検査を行い,高齢者に安全な歯科医療を提供できるように,そして,潜在している疾患が 悪化する前に見つけて早期治療につなげることで健康的に年をとる手助けができるようになるとよい なと考える今日である。 (東京歯科大学臨床検査病理学講座 教授)

参照

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