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自己評価に関係する諸要因の検討 : 特に肯定的・否定的自己の方向づけと関係して

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Academic year: 2021

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(1)自己評価に関係する諸要因の検討 特に肯定的・否定的自己の方向づけと関係して 横. Analytieal. 田. Comments. 澄. 川. 司・小. dealing. -particularly. Self. Positive. with. Katsuyuki. and. StJA4二MA. evaluation. thoughts. in. deals. have. been. other. variables.. of. to. criteria as relating Society” (1962) by the. of. subject. minotlS. literatures,. D.,. as. an. in. her. what. positive When. 2.. data. To. probe. a. important. to. negative. the. wbicb be adequately correlations. with. following 1.. siblings,. Age,. priori toward. Sex,. 6. Evaluation. *心理学教室(°ept.. in. this. either but. the. a. 3. physical. with. positive. or. variable. of ulndL・・ also. E・. response. bow. handle. we. could. that. inventory. an. ages. of. items. more. as. been. as. 579. were. from. 30 for. Medical. Weight,. was. not. can. certain. elementary The 7 to 13・. factors that of those 30 items selected self・ The. 4・. items. possible. checked. ranging. (30・ Inhabitation) 8・. the. negative?. their. (bealtb),. was. study. relationship. Eeigbt,. his volu-. on. particularly empirical) following two problems: in his making individual either. has already. negative. of. (and. inventory.) Subjects. the. sorts. study. based. was. wbicb. selected. this inventory. condition look, 7・ of personal. of Psychology). or. so. variables・. some. interpersonal. of. self-evaluation,. authors literatures. at. the the. the. study. last. external. influence. of personality residents of Osaka. vere a. what. other. self-evaluation-centered. self, assumed. types. other. the. self is positive. (Incidentally,. 29 items 2.. his. problems, from past. mainly. gathered.. pupils who school discussed authors de丘ne orientations. the. two. above. collected. were. disposition. (1961). aim. behavior・ predicting in terms study of the. and. self-evaluation・ R・ S・, and Ballanchey,. ``Self-Concept”. self-evaluation? individual made. particular identify wbetber. and. an. with. The. Crutchfield. variables. factors. their proceed de血itions of self) with been discussions about. have. behavior. to. related Tbis for the purpose of丘nding study, or factors de丘ned either positive negative factors 1. What would most strongly or. to. there. social. C.,. reviewed. is. operational. Krech,. self. R.. Wylie,. trains.. Further,. 25. each of the itemized facilitate understanding. the. the subject of self・ his J・ J・ (1952), gave. studied who fain, Brown. instance,. to. too,. psychology,. OGAWA*. researchers. emphasis. (as. de血itions. Negative. and. Y. R. For. relation. trend. recent. of social. with. many. of self・evaluation. these. of. relationship In the area or. relation. the. Indeed,. indice. to. function. the. making. there. ”self-concept''in. on. ividual. that. in. Self-Evaluation. to. -Orientation-. Joji YoKOTA*. It is true. 之. Relating. Variables. on. 捷. would include. used:. bistory・ 9・ Evaluation. 5・. Number of clothings,. of.

(2) 24. 横田準司・小川捷之. 10・ Evaluation mother, pping. range. for. social. facing. strangers,. 26.. lastly,. 29.. grade.. As tive. self. found of. range. the. 29. potential. of day,. 13.. Sense. 18.. Affection. to. 16.. Tri・. friends,. personal. belonglng. of. 2. those. above, self. were. variables. as. were:. wbicb Evaluation. performance, in. effective. by in. 20. Evaluation. that. tO. the. above,. and. following 21.. to. self-orientation: 6. Evaluation of personal. personal. in. effective. Desire. look,. identifying. 21.. It. orientations. positive/negative look,. posi・. Analysts.. Discriminant. applying. de丘ning of. 1. tendency. order.. considered. variables derived. 28. Cyclic. Problom. regarding. contributors. of. school 26. Nervousness. negative. of. per. father,. to. willingness,. Coefhcients. as. travel,. Problem. self-evaluation, 10.. Correlation. tberefrom. Of. agalnSt. 13 out. Number. time. 27. Cooperative. 20. Evaluation. approval,. regards. class,. TV一Viewing. Nervousness,. derived. Tripplng. Average. Partial. obtaining. variables for social 16.. School. were. of. 15.. classes, 20. Evaluation 21. Desire of change school performance, 22. Protective feeling for animals for (pet dogs and cats), 23. Desire on lies, 25. Shyness in things, 24. Reaection one's own of personal. possession. By. the. to. approval,. exclusive. 12. Affection. of sleep,. teacher. 17.. travel,. of. 19. Desire. family,. ll. Depth. of speech, Sentiment to. 14.. Desire. for. social. 3. physical 16. Tripplng range approval, speech, condition, Of travel. 15. Number friends, Evaluation 25. Shyness 26. Nervousness, of clothings, 9. of personal in facing 22. Protective feeling lastly, 17. ll. Depth sleep and strangers, for animals, of Average. of. time. TV一Viewing. It has. been. individual's. way. found. per. that. day.. whether. individual's. the. above. listed. 問題. の. of evaluating. self is positive items.. or. negative,. depends. on. 所在. 個人は対人関係において,しばしば他者の反応から,何らかの社会的な手がかり. くsocial. cues〉をつかみ,その社会的手がかりによって自己評価をする。その時の自己評価ほ,.い ろいろなパターンを示すが,一つのパターンとして,. positiveとnegativeの方向づけが 考えられる。例えば「今の自分に満足している+とか「わたしは,友人にくらべて能力がす ぐれている+という時の自己評価を規定する要因や条件については,これまでRosenberg, M.. (1965)辛,. Diggory,. J. C.. (1966)によって考究されてきた。一般的には,さまざま. な課題や場面設定を操作した上で自己評価を研究されることが多かった。. (Wylie,. C. R.. 1961). 自己評価の問題ほ,これまでの社会心理学の研究領域においても,観点を個人システム の中に位置づけるにとどめず,集団システムの中でとらえられることもあり,集団に関係 したさまざまな変数との関係で自己評価の/くターンが検討されてきた。代表的なもののみ に限定するが,例えば, 「自己評価ほ,個人の相対的な地位によって決定される。高い地 位の個人は,高い要求水準を設定しやすいであろうし,低い地位の個人は,低い要求水準 を設定しやすい。そのため,高い地位の個人ほ,さらに高い自己評価をするために,他者 から何らかの手がかりを得たいと考えるだろう。+とKrecb, Ballachey,. E,L.. (1962, p84)は述べているo の関係を問題にしている。. D., Crutcbfield,. R.S.,. and. ここでほ,明らかに社会的地位と自己評価. 「自己評価は,主として,個人が他者を判断したり,評価したりする方法に影響を与え.

(3) 25. 自己評価に関係する諸要因の検討. る--だから,もし,不安感をもった個人が,ある他者から何か警戒するものを感じたと くinterpersonal response すれば,個人がこれまで獲得した対人的反応特性 traits〉一 例えば,攻撃性とか,非友好性-で防衛的反応をとるだろう。+という. ∫.T.. Lanzetta,. (1955)ほ,ストレス下の行動は,対人的な緊張を生じやすいし,また集団内にまさつを 増加させる原因になることを指摘し,自己評価との関係で問題にしている。さらに,. 「自. 己評価ほ,人が所属している集団乃至ほ所属したいという準拠集団によって規定される。 またその集団に対し自己がどの程度関与しているのかによっても自己評価に差異の生ずる ものである。+といったKrech,D.ら(1962,p84)は,準拠集団を自己評価の決定困とし て挙げている。 「所属している集団の目標を達成するために,自分がどれほどその目標に寄与できるの か+と自己評価した場合,. Berkowitz,L.. バーに対し「道具的依存性+くinstrumental. (1957)の指摘するメンバーがそれぞれ他のメン dependency〉を知覚するならば,個人は強く. その集団の課題-と志向することが理解されている。.その他,. Eochbaum,. G. M.. (1954). ほ,個人が集団規範から逸脱していることを知覚すると,自己の自信水準を低下させた り,規範の方向-同調したりすることを述べている。社会的比較過程の理論を提唱した Festinger,. L.. (1954)は,自己評価の客観的基準が,外界から利用できない場合,多く. は集団内の他の人々がどう判断しているのかに依存しなければならないことを,個人の脆 弱性くvulnerability〉と称し,この脆弱性を解消するた捌こ他者との比較において,自己 評価していく過程を論じている。 ともかく,個人が自己評価をする過程には,その時の状況をどう認知したかにより,若. 干異にする。これらは認知の枠組が何らかの内在的ないしは外在的な要因や条件によって 規定されていることほ事実である。実のところ,こういった認知の枠組によって自己評価 が,肯定的になったり,否定的になったりすると考えられるのであるが,どういう要因や 条件が自己評価を肯定的にしたり否定的にしたりするのに作用しているのかを,本研究で 問題にしようとするo. 過去,横田(1971)ほ,個人の自己評価を考える場合,ただ肯定的,あるいは否定的な 自己評価の評定老とスタティックに分撰してしまわないで,個人が自己評価をする場合に はその方向づ桝こ,. positive,. ne.utral,. negativeの側面があると考えた。ある状況にほそ. の側面の中のどれかが顕出することになって肯定的になったり否定的になったりすること を主張した。そしてその側面がそれぞれどういう属性と関係して,どういう変化への規制 を受けるのかを検討したことがある.調査対象は,建設機械セールスマンの場合に限定さ れたが,. 22の属性と,. 共通した属性が,. selfの3側面に同時に影響することほない。例えば共通の属性が,. itiveとneutralな側面, うように,. selfの上記の側面との関係をみた。そこで要約されることほ, neutralとnegativeな側面,. pos-. positiveとnegativeな側面とい (2) positive な側面では,被験. 2側面に同一の属性が影響することほある. 者の性質によるだろうが,現場,生産への興味がもっとも強く関係し, は,. (1). negativeな側面で. 「論理的思考+と,関係することが理解された。そこで生産-の興味が強ければ強い.

(4) 26. 横田澄司・小川捷之. ほどpositiveな側面が影響され,論理的思考をもてばもつほど自己の否定的側面が強化 されるということであった。. 究. 研. 目. 的. 個人が自己評価をする場合に,客観的な諸要因によって規定されることほ,既に述べた ところであり,また,われわれは先の文献によっても十分チェックすることができたと思 「満足したり+する場合には,必ず何 われる。また日常生活においても「自信をもったり+ らかの要因と関係していることほ事実である。そこで,われわれほ,以下の問題点を取上 げることにした。. 1.肯定的・否定的な自己評価を規定する諸要因を,われわれの日常性の中から,探索 しようとする。. 2.肯定的否定的な自己を判別する場合,もっとも影響力の大きい要因は何かを検討す る。. ただし(1)と(2)の結果から,自己評価の類型化を試みた場合,社会的行動を理解する 自己概念の妥当な操作的定義が明確になるだろう。 そこで,先の横田(1971)と今回の研究との違いについては,若干述べておきたい。先 の研究でほ, Selfの側面が異なれば,その側面に影響する属性も異なるだろうという仮定 にもとづき,アプローチをしたが,今回でほある個人が,特定の状況で肯定的・否定的な 自己評価をする場合いくつかある属性の中で特に,ある属性が影響力をもって自己評価を 規制していると俊足すれば,その時,その属性の数,属性の方向,その強度によって,自 己評価を肯定的にしたり否定的にしたりするのではないかと考えられる。もし好ましい方 向へ,ある属性からの影響で自己評価が変化したとすれば,その個人ほ,その属性の規制 によって肯定的な自己評価をするだろうと考える。例えば「社会的+東認を取上げた場合, もしこれが特定の状況においてもっとも自己評価に影響をおよぼしているということにな れば,この変数が本人にとって好ましい影響力をもてば,自己評価を肯定的にさせるであ ろうし,もしその反対であれば,否定的な方向に自己を変化させるに違いないと考えたo. 変数. の選定. a.従属変数の選定. われわれはすでに肯定的自己と否定的自己についての差異は,自己のイメージや特性に ついて自己評価をした場合,そこに肯定的な意味を中心に見出すかどうか,あるいは否定 的な意味合いの方が強いのかどうかによって,自己評価を肯定的にしたり否定的にしたり すると考えた.特定の事態において,もし自己評価を肯定的にしたり否定的にしたりすれ ば,評価に違いを生じさせるだけでなく,他者に対する対人行動のパターンにまで違いを 生じることが指摘されている。例えば,. Lundy,. 良.M.. etal. (1955)は,肯定的に自己評.

(5) 27. 自己評価に関係する諸要因の検討. 価をする人々は,自己の行為を賞賛する人を受容しがちであるが,批判的な人を拒否しが ちであると述べている。それに反して,自己を否定的に評価する人は自己を賞賛する人を 拒否し,批判する人を受容しがちであると述べている。これほ明らかに肯定的・否定的自 己の差異が対人的行動にまで差異をもたらす事実を指摘している。そこで,われわれほ社 会的行動をより理解するために従属変数として,肯定的,否定的自己を導入した。 b.独立変数の選定. 本調査に使用する独立変数の選定についてほ,. Brown. fain, ∫.∫.(1952)やWylie,. 良.C.. 35の属性. (1961)をはじめ,他の文献(1960-1970年の日本心理学大会発表論文集)より,. を抽出し七。ここでほ主としで性格的な属性を中心に選定された。さらに,横田(1971) が使用した変数も参考にしたが,ここからは主として対人関係を中心とした属性が選定さ れた。また事前に,被験老とほぼ同じ年令層の被験老(100名)に「わたしについて+の 作文を書かせたところ,本研究に必要と思われる家庭および学校を中J[Jとした属性が選定 された(横田・谷口他, 以上の手続きから,. 件に合致した目的で,. 1967). 60の独立変数がリスト化されたが,. 5名の小学校教諭に以下の条. 30の変数を選択してもらった。選択基準として,. 1.被験者が肯定的であったり否定的であったりする自己評価ほどの要因がもっとも重 要であると思われるのか,その順位を付すこと。 30変数に限定. 230-25)により,. 2.使用したコンビュ-ターの機種と性能(FACOM せざるを得なかったこと。. 3.名義尺度となりやすい変数は極力避け,間隔尺度または数量化できる変数に限定す ること,以上から,本研究に関係した独立変数が選択された。. 自己評価と関係する諸要因 先の変数の選定は,. Ⅱ.身体属性,. Ⅰ.デモグラフィックな要因,. 生活環鏡(家庭生活・学校生活),. Ⅴ.対人関係,. Ⅲ.本人の外観,. Ⅳ. Ⅵ.性格属性,といったカテゴリーから,. 「自己の方向づけ+である肯定的・否定的な自己評価を規定する諸要因を検討しようとし た。. 自己評価の肯定的・否定的な方向づけと関係すると考えられた諸要因ほ,先の手続きに ょり最終的につぎの変数が決定された。. (ただし,調査用紙についてほ,本論文の最後に要約. された形で添付されている). 1.年令, ての評価,. 2.性別,. 3.健康状態,. 7.身長の程度,. いての評価, ll.居住地域,. 4.既応症の程度,. 8.体重の程度, 12.睡眠状態,. 5.兄弟姉妹の数,. 9.服装についての評価, 13.父に対する感情,. 6.容貌につい. 10.言葉使いにつ. 14.母に対する感情,. 18.一回の平均TV 16.友人の数, 17.施行の行程範囲, 15.担任教師に対する感情, 21.学業成績に対する評価, 視聴量, 19.家庭への帰属意識, 20.他学級-の転属希望,. 22.社会的承認-の欲求程度,. 23.動物(犬・猫)に対する愛護感,. 24.所有物に対する.

(6) 28. 横田澄司・小川捷之. 独占欲, 25.嘘言に対する反省程度, 28. 26.初対面での董恥程度, 27.神経質の程度, 協調性の程度, 29.肯定的・否定的自己の方向, 以上である。 30.回帰性, 31.学年別 掛こ29の「自己の方向+が従属変数として考えられ,他ほこの自己の方向を規定する独 立変数として考えられる。そのため,独立変数の数は29であるが,. 「性別+および「居住. 地域+については,尺度としてほ好ましくないと判断されたため,集計処理の段階で削除 された。理由は,一応ダミー変数として,数量化されたが,事前にコンビュ-メ-で処理 した結果,他の変数ときわめて異質と解釈されたためである。. データの処理 付表を参照されると理解されるが,以下のように各項目の配点をした。例えば, 項目5. 「容貌についての評価+について説明してみると,. 「あなたは,じぶんのかおについて,どうおもっていますか+ @. ( ) ほかの人より,いいかおをしている(ほかの人からも,そういわれる). ②. (○) まあまあ,いいかおをしている。. ⑧. ( ) ふつうていどのかおをしている。. ④. ( ) あまり,いいかおだとおもっていない。. ⑤. ( ) 人の前に出るのが,いやなときがある。. の場合,回答ほ適当な番号に,. 1つだけ選択させた。配点ほ,もし②に○印を付した場. 令,見出し番号と一致した2点を付して,データが集計され,処理された。 本調査のデータは,すべて以上のような配点が与えられたため,得点(平均点も含めて) が,高ければ高いほど好ましい状態を意味する場合とそうでない場合とがある。例えば, 「あなたのけんこうのようすほどうですか+といった場合,. 「たい-んよい+がポイント1.. 「ひ・じょうにわるい+がポイント5である。また質問によってほ, ともだちからのけものにされたことがありましたか+といった場合,. 「あなたは,これまで, 「ひじょうにたくさ. んあった+がポイント1,ぜんぜんなかったがポイント5であることから,相関係数にし ろ,偏相関係数においても,プラス,マイナスの係数ほ,添付された「コード番号とその 内容+ (付表)を参照した上で解釈しなければならない。. 調. 査. 対. 象. 本調査は,小学校児童が,調査の対象に選ばれたが,特に1学年の児童には本調査境目 を十分理解できないのではないかという理由で,除外された。第1真のような対象者に, 本調査用紙が配布され,デ-タが収集されたoほじ糾ま被験者総数584名であったが, 名の回答用妖は,ブランクがあったり選択が指定通りの記入がなされず除外された。 以上の経過から,総計579名の結果が本調査に活用された。ただし,対象校の校域につ いては,つぎのような特徴が,指摘される。. 5.

(7) 自己評価に関係する諸要因の検討 第1表. 計 セ. 調査対象の学年別および性別. 2学年. 3学年. 4学年. 5学年. 6学年. 計. 男. 子. 17. 21. 24. 23. 68. 女. 子. 21. 19. 20. 19. 19. 98. 男. 子. 24. 21. 17. 15. 21. 98. 女. 子. 20. 18. 20. 18. 20. 96. 男. 子. 18. 22. 20. 18. 14. 92. 女. 子. 19. 16. 20. 17. 20. 92. 男子と女子 ソ. 29. ト. 119. 117. 121. 110. 20.55. 20.21. 20.91. 19.00. 103. 112 19.34. 579 100.00. A校の場合,新興住宅地域に属し,最近,他地域よりの転居者が著しく増加したため, 新しく設置された学校である。 B校の場合,校域は,住宅地と商店街を含んだ居住地が含まれ,学校としては,明治 42年に設置されたという。古い歴史をもっている。 C校の場合ほ,自営業,家内工業などの中小企業を校域にもった学校で,ある意味では家 屋が密集した地域である。 ただし,. A,. B,. C,. 3校とも大阪市内にある小学校であるo.. 研. 究. 結. 果. く自己の方向づけを規定する変数間の相関関係〉 第2表から,われわれほ,自己の方向を肯定的にしたり, 問の相関係数を理解することができる。しかし,. 否定的にしたりする独立変数. 「性別+と. 「居住地域+についてほ,ダ. ミ一変数として,他の変数との間の相関係数を算出するようにしたが,両変数とも他の変 数とほ異質であり,たとえ,これらの相関係数が算出されても,その効果の意味が十分理 解できなかったので除去することにした。これについては先述した通りである。. 第2表の相関係数の中でも,この表を参照すれば理解されるが,変数間で相関係数の高 いもの低いものが十分理解される。特に,つぎの相関関係ほ,高い相関係数の代表的なも のとして指摘することができる。. 「年令+-「学年別+ 皮+-「体重の程度+. r-.950 r-.432,. 「友人の数「-「協調性の程度+ r-.338,. 「父に対する感情+-「母に対する感情+. 「服装についての評価+-「学業成績に対する評価+ r◆-13.43,. r-.333,. 「身長の程 r-.371,. 「容貌についての評価+-「服装についての評価+. 「初対面での差恥程度+-「神経質の程度+. 業成蹟に対する評価+. r-.479,. 「容貌についての評価+-「学. r-.334,. 「容貌についての評価+. -. 「社会的承認-の欲求の程度+.

(8) 横田澄司・小川捷之. 30. 第2表 2. 令. 1年 2. 健. 3. 既. 応. 症. 4. 兄. 弟. 姉妹. 5. 容貌についての評価. 6. 身. 長. の. 程. 度. 7. 体. 重. の. 程. 度. 8. 服装についての評価. 康. 状 の. 態 程. 度. の. 数. -.053. 3. 4. 5. .050. 6. 睡. 眠. .. -.060l.. 040. -.001. 態. 11父に対する感情 12. 母に対する感情. 13. 担任教師に対する感情. 14. 友. 15. 旅行の行程範囲. 16. 一日の平均TV視聴量. 人. 数. の. 17. 家庭への帰属意識. 18. 他学級への転属希望. 19. 学業成績に対する評価. 20. 珪会的承認-の欲求程. 21. 動物(犬猫)に対する愛 護感. 22. 所有物に対する独占欲. 23. 嘘言に対する反省程度. 24. 初対面での蓋恥程度. 25 26 27 28. 磨. 神経質の程度(人前で の作業状態) 協調性の程度(友人か らの拒否). 自己評価の変化程度. (回帰性). 学. 年. 荏:ただし,. 8. 10. 1 ll. 1 12. 126. ::;;⊆_. -.053. .116. 状. 】 7. .017. 9高菜使いについての評 10. 自己の方向を規定する. 別 P<.05はr-±.082以上P<.01ほr-±.107以上(n-579). -. ………….

(9) 自己評価に関係する諸要因の検討 独立変数間の相関マトリ 13. 1 14. 1 15. r 16. ,209ト.038ト.316ト.231. .024T. ック. 1 17. .029t. f 18. i 19. 31. ス. 1 20. i 21. 1 22. 23. F 24. i 25. 1. 26. F 27. E. 28. .254ト.015l-.004ト.039. .277l .203ト.076]-.025ト.0261. .333E. .332l. .018. 二::53;[:;;I.'三;三卜:;…卜:;;[ :.'.o;;1  ̄::;;に:;…r二: :三;44F二三63;1 ::6.㍗.'::67l_::≡;i ::32:i. 享き.

(10) 横田澄司・小川捷之. 32. 第3表. 使用した独立変数,従属変数の平均値および標準偏差, 従属変数との偏相関係数. また独立,. 平均値 <従属変数> 自. 向. 己. <以下独立変数> 1 年令との関係. 2.550. 0.970. 9.240. 1.467. 偏相関係数. 0.089*. (7). 0.913. 0 093*. ( 6). 5.219. 1.355. 0 028. (20). 2.412. 1.026. 0 054. (12). 2. 性別との関係. 3. 健康状態との関係. 2.245. 4. 既応症の程度との関係 兄弟姉妹の数との関係. 5. 標準偏差. -. 容貌についての評価との関係. 2.876. 0.878. 0 121**(. 0.976. 0 018. (22). 8. 身長の程度との関係 体重の程度との関係. 2.964 2.989. 0.872. 0 015. (24). 9. 服装についての評価との関係. 2.624. 0.657. 0. (27). 10. 言葉使いについての評価との関係. 2.881. 0.795. 0 071. (8). ll. 睡眠状態との関係. 2.628. 1.027. 0 032. (19). 12. 父に対する感情との関係. 2.310. 0.863. 0. 034. (18). 13. 2.103. 0.779. 0 041. (14). 14. 母に対する感情との関係 担任教師に対する感情との関係. 2.391. 0.910. 0 016. (23). 15. 友人の数との関係. 2.710. 1.071. 0 011. (25). 16. 旅行の行程範囲との関係. 3.791. 1.318. 0 104*. ( 4). 17. 一日の平均TV視聴量との関係 家庭-の帰属意識との関係. 2.064. 1.162. 0 037. (17). 18. 2.678. 0.914. 0. 038. (15). 19. 他学級-の転属意識との関係. 2.147. 1.075. 0 060. (ll). 学業成績に対する評価との関係. 2.934. 0.939. 0 149**(. 社会的承認-の欲康程度との関係. 2.769. 0.928. 0. 184**( 1). 動物(犬猫)に対する愛護感との関係 所有物に対する独占欲との関係. 2.809. 1.007. 0. 068. (10). 2.862. 0.862. 0 005. (26). 嘘言に対する反省程度との関係. 2.967. 0.956. 0. (13). 25. 初対面での蓋恥程度との関係. 2.828. 1.243. 0 070. (9). 26. 3.202. 1.065. 0 095*. ( 5). 27. 神経質の程度との関係(人前での作業状態) 協調性の程度との関係(友人からの拒否). 3.107. 1.254. 0 026. (21). 28. 自己評価の変化程度との関係(回帰性). 2.764. 1.009. 0 038. (15). 28. 学年別との関係. 6 7. 20 21 22 23 24. 003. 051. 0.493. <重相関係数> 注: 「年令と自己の方向づけ+. 「神経質の程度と自己の方向づけ+は,いずれもマイナスの偏. 相関係数が算出されているが,尺度の配点の結果そうなったものである(付表の資料を 参照のこと)。解釈ほいずれもプラスの偏相関係数が算出されたと考えられたい。 なお,. **はP<0.1. *はP<0.5で有意差がみられた。. 3). 2).

(11) 33. 自己評価に関係する諸要因の検討. r=.322,. 「言葉使いについての評価+-「学業成績に対する評価+. r-・322,などがそうで. ある。ただし,. 「友人の数十「協調性+は,マイナスの係数が算出され,これが統計的に 「友人からの拒否+の経験があったかどうかの項 有意であるが,この場合の協調性とは, 目であるため,マイナスであっても,意味としては「友人の数が多ければ多いほど,協調 性が高いという解釈がなりたつ。 一応,. 「学業成蹟に対する評価+と「容貌についての評価+が,相関係数の中でも中心. になっていて,他の重要な変数とさまざまな形の相関関係をもっているように思われるo しかし判別分析の構造ベクトルや偏相関係数を求める場合「学業成績+にせよ「容貌+に せよ,他の変数との関係が高いため,どちらか相関のある変数を棄却した方がよいという ことにはならない。理由は,これらの変数がその他の相関で必ずしも有意な差がみられな ♪<・01で有意な相関 いためである。しかし,参考までに「学業成績に対する評価+が, 係数を算出させた他の変数について列挙してみると,係数の高い順では,服装についての 評価,容貌についての評価,言葉使いについての評価,族行の行程範囲,友人の数,社会 的東認への欲求程度,一日の平均TV視聴量,協調性の程度(友人からの拒否),身長の 程度,神経質の程度(人前での作業),睡眠状態,初対面での蓑恥程度ということになるo 「容貌についての評価+では,服装についての評価,学業成掛こ対する評価,社会的承 認への欲求,友人の数,旅行の行程範囲,言葉使いについての評価,健康状態,年令,身 長の程度,といった相関関係がみられる。学業成績にせよ,容貌の評価にせよ,両者に共 通する相関関係もみられるが,違った要因問の相関関係もみられている。 <自己評価を規定する諸要因の検討>. ここでは,肯定的・否定的自己の方向づ桝こどのような要因が関係しているのかを指摘 する。第3表によれば,まず使用した変数のすベての平均値および標準偏差が列挙される。 (項目29)ち, 「年令+と「既応症+以外の変数と同様 まず,従属変数の「自己の方向+ に,. 5ポイント尺度で測定されたo度-2・550,. SD-0・970で「ものごとをやるとき,で. きるというじしん+について,やや平均の「ふつう+より「だいたい,じしんをもってい 「あなたほものごとをや. る+という結果が算出された。ここで従属変数の項目であるが,. るとき,できるというじしんをいつももっていますか+というのは,多分,他者も自分の. 能力についてある確定した評価をしているだろう,あまりその評価と喰違っていてはいけ ないとして,他者からの認知を一つの規範とした上で自己評価を要求していると思われる。 こういった前提での自己の方向づ桝こ影響を与える独立変数について,まず平均値を中心 SD-1・467となっ 「年令+度-9・240, に検討してみたい。高い平均値のものを挙げれば, (ただし, 6ポイント尺度)平 ている。 ①の7才から⑥の13才の年令のレンジの中で,. 均値が高くなるのほ当然で奉る。この平均値ほそのまま平均年令ということになる。また 「既応症の程度+ほ,度-5.219. DS-1.355となっているが,この尺度もまた6ポイント. であるため,やはり他の5ポイント尺度より高い平均値が算出された。この既応症の平均 値から「長くとも, 1カ月までのけがとか病気がもっとも多い+という回答を意味してい 3.791 (SD-1.318)と高いが, 「族行の行程範囲+については,平均値が, るoなお,. -.

(12) 34. 横田澄司・小川捷之. 人で旅行するとすれば,. 「大阪の近くの府県ならどこでも行ける+. (3ボインりから「日. 本中なら一人でどこでも行ける+. (4ポイント)の間に位置することを示すo被験暑が, 大阪市の小学校児童であるため,大阪を中心として考えた行動範囲の回答である。 得点の低い額目としては「健康状態+の「ややよい+のポイント近くに集中している。 (度-2・245, SD-0・913)また,父,母,担任教師に対する感情も,それぞれの得点が低 いが,特に「母に対する感情+ほ,度-2.103. (SD-0.779)となって,ポイント2の「お. 母さんが,そばにいなければ,必ず<いっかえるの>とか<どこ-いったの>と聞く+の. 方向にある。. 「父に対する感情+も「お父さんが,そばにいなければ,必ず<いつかえる. の>とか<どこへいったの>と聞くの方向にやや集中し,. (X-2.310, SD-0.863),どち らかといえば,被験着たちは父より母の方への心理的距離が近いことを示している。また 「担任教師に対する感情+も先生が休まれると,なぜ休まれたのか気になる+の方向に近い (度-2・392, SD-0・910)さらに,ト日の平均TV視聴量+も度-2.064. (SD=1.162)と. なり,ポイントの「2時間以上3時間まで+に集中している。児童の家庭生活が理解され る.また「他学級への転属希望+。も,低く,度-2.147,. SD-1.075となっているoこれは. ポイント2の「今のままいることができれば,今の方がよい+に集中していることを示す。 さて,. 「自己の方向+と,自己を規定すると思われる要因や条件との関係を,主として. 偏相関係数から検討してみよう。 第3表の偏相関係数の中,有意差の認められている変数を中心に検討すれば「自己の方 向を規定する主要な要因を知ることができる。そこで,この偏相関係数の高い順に要因を 列挙すればっぎのようになる。. 1.社会的永認への欲求程度 認められたい,はめてもらいたいといった気持は,自分がそれだけの能力がある。また, それだけのことをしているので何とかのぞましい評価を周囲からしてほしいと期待する気 持が,自己の方向を規定するものと思われる。 2.学業成績に対する評価 被験老の年令層にとって,学業成績は非常に決定的である′。それだ桝こ本人の学科の成 績の良否が「自己の方向+に影響を与えるのほ当然である.被験者にとって周囲と比較す る場合でも,この学業成績は,きわめて客観的事実として把握されるため,自分の成績に ついてほきわめて明確に評価することができる。いずれにしてもこの評価の良否が,. の方向づけ+に影響を与えることが理解された。 3.容貌についての評価. 容貌がよいということは,周囲から注目されやすいし,同時に社会的承認の欲求をみた すチャンスも与えられることになる。それだ桝こ「よい容貌でありたい+というのは,誰. もが憧れることであり,容貌の良否が「自己の方向づけ+に影響することほいうまでもな い。容貌のよいものは,肯定的自己-と関係をもちやすいのだろう。 4.旅行の行程範囲. 一人で旅行する場合,距離の長さによってほ不安がつきまとうものである。それだ桝こ. 「自己.

(13) 35. 自己評価に関係する諸要因の検討 第4表. 各変数を肯定的・否定的自己にグル-プ別にした場合の平均値 と標準偏差, ならびに両グループ間の検定 否定的. 自己. 検. 肯定. 的 自 己. X. SD. X. SD. 3.44. 1.45. 3.19. 1.44. 1.25. 2.05. 0.90. 2.56. 0.80. 3. 64. 5.48. 0.93. 0. 79. 値. t. 1. 年. 令. 2. 性. 別. 3. 健. 4. 既応症の程度. 5.37. 1.02. 5. 兄弟姉妹の数. 3.33. 0.99. 2.35. 1.00. 0 14. 3.25. 0.76. 6 70. 康. 状. 態. 定 P. **. **. 6. 容貌についての評価. 2.58. 0.86. 7. 身長の程度 体重の程度. 2.92. 0.93. 2.93. 1.08. 0. 07. 2.97. 0.88. 3.01. 0.94. 0. 29. 服装についての評価. 2.48. 0.62. 2.73. 0.65. 2. 50. *. 言葉使いについての評価 睡 眠 状 態. 2.77. 0.77. 3.22. 0.82. 4. 50. **. 2.61. 1.06. 2.88. 0.95. 1 93. 12. 父に対する感情. 2.39. 0.72. 2.37. 0.75. 0 20. 13. 2.14. 0.68. 2.13. 0.62. 0 10. 14. 母に対する感情 担任教師に対する感情. 2.40. 0.94. 2.49. 0.90. 0. 15. 友. 2.59. 1.10. 3.07. 0.90. 3 43. **. 16. 旅行の行程範囲. 3.45. 1.35. 4.17. 1.17. 4. 24. **. 2.09. 1.ll. 1.85. 1.17. 7 29. **. 2.69. 0.85. 2.72. 0.96. 0 21. 2.ll. 1.06. 2.35. 1.08. 1. 71. 2.66. 0.90. 3.38. 0.92. 5. 14. **. 2.54. 0.93. 3.19. 0.94. 4. 64. **. 2.70. 0.96. 2.95. 1.02. 1 79. 0,81. 2.74. 0.86. 1. 8. 9 10 11. 17 18. 19 20. 21 22. 人. の. 数. 一日の平均TV視聴量 家庭-の帰属意識 他学級-の転属希望 学業成績に対する評価 社会的東認への欲求程度 動物(犬・猫)に対する愛護感. *. 64. 40. 23. 所有物に対する独占欲. 2.88. 24. 睦言に対する友省程度. 2.97. 0.85. 3.01. 0.98. 0 29. 1.27. 2.64. 1.34. 2 18. *. 26. 初対面での蓋恥程度 神経質の程度(以前での作業状態). 3.01. 3.46. 1.06. 2.95. 1.04. 3 64. **. 27. 協調性の程度(友人からの拒否). 3.24. 1.29. 3.06. 1.17. 1 06. 1.04. 2.69. 1.03. 0 57. 1.36. 3.95. 1.46. 0 90. 25. 28. 自己評価の変化程度(回帰性). 2.77. 29. 学. 別. 4.13. 年. 注:ただし,. **ほP<0.1. *ほP<0・5で有意差がみられた。. 見知らぬ土地-一人で旅行できるということは,本人ほ人と違って行動できるという自信 をもつことになるのだろう。行程範囲の広さが,広いほど肯定的自己と関係している。逆 に一人でどこ-も行けないということは,当然否定的自己と関係するのだろう。 5.神経質の程度 この場合ほ,. 「人前での作業+ということで,人前で何も気にせず作業ができるという. 意思が強いか弱いかによって自己の方向も肯定的になったり,否定的になったりして変化.

(14) 36. 横田澄司・小川捷之. することが考えられる。どんな人がみていようが気にならないで,作業ができるというこ とほやはり物事をやりとげる自信のあることと関係しているも`のと思めれる. 6.健. 康. 状. 態. 何をするにせよ,健康状態がよいかわるいかによって影響されることはいうまでもない。 もし健康状態がよければよいほど,積極的に行動できるということで,自己を肯定的に変 化させることが考えられる。また,健康状態が好ましくなければ当然否定的自己へ作用す ることが考えられる。 7.年. 令. 第3表でほ,年令との関係ではマイナスになっているが,しかし意味するところほ年令 が高くなればなるほど自己の方向を肯定的に,あるいは,年令が低ければ,どちらかとい えば否定的に変化させることを意味している。年令の増加が「自己の方向+に有意に作用 することを証明している。 <肯定的・否定的自己の両群の検定>. 第4表ほ,従属変数の得点によって,肯定的自己のグループと,否定的自己のグループ 別に分類し,この分類別に各変数の平均値と標準偏差を,算出したものである。ただし, ここで集計処理された被験老は,項目29の「自己の方向+得点の中,ポイント①②とポ イント④⑤それぞれにチェックした被験老のみ抽出され(ポイント⑧の「ふつう+と回答 した被験老は除外された) ①②に回答した肯定的自己の被験老群の平均値,標準偏差,. ④. ⑤に回答した否定的自己の被験老群の平均値,標準偏差が,変数毎に集計された。ここか らそれぞれ母集困のnの値の異なる「平均値の差の有意差検定+ の結果,. (t検定)を行なった。そ. 28変数の中,はっきりと有意差の認められたのほ,. 列挙すれば,. 3.健康状態(P<0.1). 12変数であった。これらを 6.容貌についての評価ミ(P<.01) 9.服装につい. ての評価(♪<.05). 10.言葉使いについての評価(♪<.o1). 友人の数(P<・01). 16.旋行の行程範囲(P<.01). 20・学業成績に対する評価(P<・01). ll.睡眠状態(♪<.o5). 15.. 17.一日の平均TV視聴量(P<.01). 21・社会的承認-の欲求程度(p<・01)写5・初対面. での差恥程度(♪<.05). 26.神経質の程度(♪<.01)となる。以上の12変数が,肯定 的自己と否定的自己の両群別に分類する要因として指摘され顕著な平均値の差がみられる。 第4表から,. 「肯定的自己+■グループに属する被験老は,どんな特徴をもっているのか. を整理すれば,睡眠もとり,健康であり,容貌,服装,言葉使い,学業成蹟についての自 己評価ほ高く,人から認められたい,はめられたいという欲求が強い。初対面での差恥程 度や神経質の程度はむしろ高くなく,友人の数も多い方である。動物に対する愛護感も強 い。一人で族行をするにも,その行動範囲ほ否定的自己に比べて広い。 TVの視聴畳も, 否定的自己のものほど見ない。それに対し, 「否定的自己+の被験老はその道で,肯定的 自己のものほど十分に睡眠をとっておらず,健康状態も非常によいというより普通程度で ある。容貌,服装,言葉使い,学業成績などについての自己評価ほ,むしろ低い。人から 認められたい。ほめられたいという欲求ほ,あまりみられず,初対面での差恥程度や神経 質の程度も高い。そのため友人の数も多くみられず動物に対する愛護感も薄い。また一人.

(15) 37. 自己評価に関係する諸要因の検討 第5表. 判別分析により算出された構造ベクトルとべ-メ-ウェイト ㌔--. 令. 1年 2. 性. 3. 健. 4 5. 0.142. -. ベーター. ウェイト 0.205. -. 別 0.450. 0.322. 既応症の程度. 0.070. 0.090. 康. 状. 態. 兄弟姉妹の数. 0.017. 0.015. 6. 容貌についての評価. 0.604. 0.362. 7. 身長の程度 体重の程度. 0.006. 0.162. 0.040. 0.048. 服装についての評価 言葉使いについての評価. 0.306. 0.058. 0.452. 0.355. 態. 0.203. 0.050. 12. 父に対する感情. 0.009. 0.143. 13. 母に対する感情. 0.018. 0.091. 14. 担任教師に対する感情 友 人 の 数. 0.079. 0.049. 0.360. 0.002. 16. 旅行の行程範囲. 0.430. 0.102. 17. 一日の平均TV視聴量 家庭-の帰属意識. 0.166. 0.035. 0.026. 0.029. 他学級-の転属希望. 0.176. 0.046. 学業成績に対する評価. 0.606. 0.254. 21社会的東認への欲求程度. 0.528. 0.243. 0.209. 0.195. 0.133. 0.098. 0.037. 0.023. 8 9 10. 眠. 11睡. 15. 18 19 20. 22. 状. 23. 動物(犬・猫)に対する愛護感 所有物に対する独占欲. 24. 睦言に対する反省程度. 25. 初対面での蓋恥程度. 26. 神経質の程度(人前での作業状態). 27. 協調性の程度(友人からの拒否). 28. 自己評価の変化程度(回帰性) 別 学 年. 29. 定 注. \. 構造ベクトル. 数. 項. -. 0.225. 0.093. -. 0.376. 0.224. -. 0.115. 0.046. 0.062. 0.034. 0.106. 0.136. -. -. -. -. 2.321. βLウェイトとは,標準化された合成変量(判別得点)を算出する際に使用されるo gi- βo+β1Xli十β2X2i+ +βpxpi gi:標準化された合成変量(判別得点) -・・・. x3'i:もとのスケールのデ-メ. Pj:βウェイト. 族をするにも,その行動範囲ほ狭いものに限られている。そのためか,テレビの平均視聴 量は肯定的自己のものよりも多い。 肯定的・否定的自己の類別は,以上,述べられたような変数の説明で可能である。また, この12の変数で二群の比較をすることも可能となる。それはつぎの判別分析により一層.

(16) 38. 横田澄司・小川捷之. このことが確認される。. <肯定的否定的自己の判別> 第5表は,肯定的自己と否定的自己とを判別するために,判別分析を行なったものであ るoここから諸要因についての構造ベクトルとベーター・ウェイトが理解される. 構造ベクトルとは,肯定的自己と否定的自己を類型する場合の要因の重みづけの意味を 表わし,国子分析の因子に似た構造「次元+と解される。そのため,第5表のベクトルの 中でも,特に下線のある要因の数値は,この要田が肯定的,否定的自己の類型化に,効果 をもたらすものであると考えられる。. 13の要因をいくつかの群に整理すれば,. ①睡眠と. ⑧学業成 か健康状態に関する要因, ②容貌,服装,言葉使いといった印象に関する要因, 績についての評価, ④人に認められたい,ほめられたいという欲求, ⑤友人が多いか少な いか恥しがり屋で神経質かどうか,動物ほ好きか嫌いかといった対人・対物関係に関する 要因, ⑥一人で動ける行動範囲の広さほどうか, ⑦TVをよく見るかどうか,といったよ. うな諸要因がもっとも,肯定的・否定的自己の類型化に有効であることが理解された. 同じく第5表のベータ・. -ウェイトほ′ミラメーターの一種であるoもし特定の個人が実. 施された調査用紙に回答を記入したとすれば,そこから,調査項目毎に,該当する得点を. 得ることができるだろう.その得点を各変数毎のベーター・ウェイトを掛けていけば,集 計された得点が個人得点,いいかえれば肯定的自己か,否定的自己かいずれかを判別する ための個人別の合成変量が算出される。ここからベーター・ウェイトほ特定個人の肯定的 か否定的かの「自己の方向づけ+を判判する「判別係数+ともいえる。ここからベーター・ ウェイトの数値ほ,構造ベクトルの数値が高い要因と同じく高くなるということほいえな い。. 第4表,第5表のデータは,いずれも29額目の尺度を①ひじょうにもっている, いたいもっている,. ⑨ふつう,. ②だ. ⑤ぜんぜんもっていない,の中,. ④あまりもっていない,. ③にチェックした. ①および②を肯定的自己,④および⑤を否定的自己と類別し,. な被験老を削除した。そのため,第2表,第3表の被験老数は579名であったが,第4表 第6表. 音定的・否定的自己の両グル-プの判別分類 新. しい. グルー. プの分類. 己. 否. 計. 肯 元プ のの. グ分 ル類 I. 定. 的. 自. 定. 的. 自. 己. 肯定的自己. 186. 60. 246. 否定的自己. 19. 62. 81. 205. 計. 的中率. (186 +62) 327. 122. ×100≒75.84. (7o). 327. neutral.

(17) 39. 自己評価に関係する諸要因の検討 20. 15. 肯定的自己 (グループⅠ). -0.60. 要準伯東.-o.66 1.31. 否定的自己 I)F均値 (グループⅡ). 塩準偏司Q・57. 10. l J l I. - ̄け左他自己(グループr). J J I. -ーー否定的自己(グループ1Ⅰ). ∫. ll 1. †. .5 「. ∫ ∫. N ー0.5. -え5-2.0-I.5-1.. 第1図. 第5表はその中の252名の⑧ 第6表ほ,. 0.0. 0.5. 2.0. 1.0. 2.5. 3.0. 個人の判別得点による肯定的(自己グループⅠ)と否 定的自己(グループⅡ)別分図布 「ふつう+の評定者を除いた327名によるデータである。. ①②の肯定的自己と④⑤の否定的自己によって分類した「元のグループ別分. 煤+が,判別分析により,早出された合成変畢の新しいグループ別分額の結果を示すもの である。その結果,判別的中率が算出されるが, 75.84%で,かなり高い率で判別されて いる。ここから,われわれが肯定的・否定的自己を判別するために導入した28の変数紘 かなり効果的であることが理解された。 確かに第1図により証明されるが,第1図は,. 327名について算出された判別得点(令. SD-0.66)香 成変量)をプロットしたものである。肯定的自己(グループⅠ,度-o.o6, SD-0.57)の両群が明確に判別される分析を描いて 定的自己(グループⅡ,度-1.31, いる。. 以上,われわれが取上げた独立変数によって,従属変数の自己の方向づ桝ま,一応確認 されたが,同時にその中でも効果的に規定する要因として,われわれが取上げた一応28 変数を考えられてよいことが確認された。. 考. 察. まずわれわれほ,肯定的乃至否定的な自己評価の過程を理解する場合,以下の自己評価 の機能を認めねばならないだろう。 1.われわれが「ああしたい+. 「こうしたい+というような,何か実現したいという場. 各自己評価の中にほ,自己の能力,性格,他の要因との関係で自己を肯定的にしたり, 否定的にしたりして,方向づけを決定することになる。.

(18) 横田澄司・小川捷之. 40. 2.われわれが,何かを実現した場合,その成功の程度を「よかった+. 「まあまあだっ. た+などのような基準と結びつけるようなところがある。この場合,うまくい桝ゴ,それ らが成功した経験として,内在化され強化の働きをし,つぎの行為を決定する場合の肯定 的評価に連らなりやすい。 3.上記の(1).(2)のように,何かを達成したり,他者との関係で,個人が自己評価 をする場合,内在的な要因と同時に,外在的な自己関与する要因によって,肯定的,乃至 は否定的な自己評価をする傾向がある。 特に,今回ほ(3)の自己評価と関係する諸要因について検討するのが,本研究の目的 であった。 <変数間の相関関係>. 調査の計画時点では,変数の数は30であったが,性別と居住地域の変数ほ除外された ので28変数で検討された。そのため28の変数を中心として自己の方向づけを規定する 要因が考えられた。特に当初の計画で性別,居住地域ほ,名義尺度であるが,ダミー変数 によって相関係数を求めようとしたが,算出された係数にどれほどの意味があるのか疑問 に思われた。変数の選定において考慮が払われたが適当な尺度化が困難であった。そのた め,後の機会にすべて名義尺度による多変量解析をする際,改めて検討することにした。 第2表により,特に相関係数の高いものは,既に述べられたが, 「年令+と「学年別+の 相関係数r-.950の高いのは当然といえる。しかし,年令と相関している変数,学年 と相関している変数ほ6つまで共通しているが共通していない変数の心理的な意味づけは 重要と思われる。例えば, 「年令+では「容貌についての評価+と相関が高いが, 「学年 刺+では,. 「初対面での差恥程度+. 「所有物に対する独占欲+と相関している。制度化され. た「学年別+が,被験者によって「年令+とは違った心理的意味をもたらしていることが 考えられる。. 「父に対する感情+と「母に対する感情+との相関が高いことは,明らかに. 父親に対し心理的距離の近いものは同時に母親に対しても心理的距離が近いということが いえる。父親に対しては,強い親近感をもっていて,母親に対しては親近感をもっていな いということほ,今回の被験者からほいえない。しかし,父親と母親とを一括して「親+ としての変数に処理できない点がある。例えば,父親とは「所有物に対する独占欲+とマ イナスの相関関係にあるが,母親とは「家庭-の帰属意識+との高い相関がみられるとい うことで,根本的な差異がみられた。 「身長+と「体重+の相関関係については,まずそれぞれを「年からみてどうか+という 質問の表現をとっている。年令のわりに身長が「高い+とか「低い+とかいうことほ,同 時に「体重+にも同じように,年令のわりに「重い+とか「軽い+という評価がなされてい る。この両者の相関が高いのは,成長期にある被験老にすれば「身長+だけ高くて「体重+ が軽いとか,. 「身長+が低いわりに「体重+が重いというアン′ミラソスな状態ほ,あまり. 「体重+の方ほ. みられないためと思われる。ただし,両者の相関関係が高いといっても, 「健康状態+との相関を特徴としているのに対し「身長+は「容貌+との関係がみられる 点,はっきりした違いが感じられる。. 「体重+ほ健康のバロメーターとして考えられ,身.

(19) 自己評価に関係する諸要因の検討. 41. 「服装+ 「容貌+また「言. 長はスタイルの良否の指標ということになるのだろう。さらに,. 葉使い+といった外面的な評価が,それぞれ,なぜ「学業成績+に対する評価と,相関が 高いのか,ということは一つの問題を提起している。これは,おそらく被験者の年令で, かつ大半の時間を学校生括に過していれば,被験老自身,学業成績に対する自信の有無ほ 他の要因に対しても非常に大きな決定困となることを認知していると思われる。被験老に とっても学業成績のよいものは,他の面でも肯定的であり,積極的であり自信を示すもの と考えるのだろう。また周囲も学業成績のよいものに対し,他の変数に対する評価も好ま しいものとなりやすいのだろう。 「学業成績+と相関の高い「容貌+について検討してみる と,. 「服装+や「社会的承認の欲求程度+と大いに関係していることが理解される。そこか. ら,もし容貌がよければよいほど服装にも関心をもつだろうし,周囲の人々に認吟てもら いたいという欲求も強いのだろう。またそういった欲求が強いため「服装+に対する関心 も強くなるものと思われる。また「承認の欲求+が強ければ「服装+ -の関心が強いとい 「友人の数+が増えれば増えるほど う逆のこともいえるのでほないかと思われる。さて, 「協調性+の高いことも当然といえる。この両変数は「学業成績+とそれぞれ高い相関係数 を維持しており,こういった勉強を通しての友人であり協調性であることを思えば, 人の数+と「協調性+とが相関の高い理由も学校社会という状況を考えて当然である。ま た「神経質の程度+と「初対面の差恥程度+とは,本質的に共通しているため高い相関関 係にあるのは当然だろうが,両者の差異点としては,前者は「社会的承認の欲求+と関係 しているが,後者は「家庭への帰属意識+と関係していることである。 変数間の相関関係で,他変数と有意差(5レベル以下)のある要因で,相関関係にある 数を多い順に列挙してみよう。. 第7表. 相関関係の数の多い要因. 他の変数と 相関関係にある数 旋行の行程範囲. 17. 学業成績に対する評価 睡 眠 状 態. 15. 担任教師に対する感情. 14. 他学級-の転属希望. 14. 服装についての評価. 13. 言葉使いについての評価 友 人 の 数. 13. 一日の平均TV視聴量 初対面での蓋恥程度. となっている。それに反し,相関関係の数の少ない変数としてほ,. 15. 13 13 13. 「友.

(20) 42. 横田澄司・小川捷之 第8表. 相関関係の数の少ない要因 他の変数と 相関関係にある数. 睦言に対する反省程度. 3. 既応症の程度. 4. 動物に対する愛護感. 4. 兄弟姉妹の数. 5. となって,変数間の関係がバラエティ-に富んでいる。残された問題点としては,今後の 研究に,使用する際どういった変数をどういった基準で整理し使用すべきかという問題が ある。特に変数をどういった単位で分析し使用すべきかという問題ほ重要と思われる。 <自己の方向づけを規定する諸要因>. 何らかの形で, 28変数の中, で,. 「自己の方向+づけに影響すると思われた変数ほ,第3表. 7変数あることが理解された。例えば「社会的承認の欲求+が強くても弱くても,自. 己の方向づけに作用するということである。認めてもらいたい,賞讃されたいという欲求 が強ければやはり本人の自己は肯定的な方向にあることは事実で,社会的承認が強いとい うことは自信による裏づけが考えられる。つまり好ましい評価を期待しての反応だろうと 思われる。だからもし「そっとしておいてほしい+. 「放っておいてほしい+という時の状. 態は,明らかに本人にとって自己のイメージや,その他の特性が否定的である場合と考え 「学業成 られる。それだ桝こ「社会的承認+の欲求は,第2表からも理解できるように, 読+ 「容貌+ 「友人の数+との相関関係からも,この欲求の高いタイプの人々は,肯定的方. 向への自己が考えられる。 「学業成績+が,自己の方向づけに影響力をもつということほ,被験者が,小学校児童 であったということに原因しているのだろう。もし被験者の年令が高いもので,他の作業 秤,職業群を対象とした調査であれば, 「学業成績+とほ違った他の能力,資質,あるい は他の適当な要田によって規定されたかもしれない。小学校児童にとって,学業成績が高 いということは,かれら自身の問題として,ほとんど全人格の承認とイコールと考えられ やすい。それだけに,学業成績がよいとか,よくないということは,自己の方向づけに決 定的な要因と考えられるのだろう。もし学業成績を重視されやすい学校生括において,成 績のよくない被験老ほ消極的,否定的になりやすく,自己の方向づけもそのように変化し やすいことほ事実である。 「容貌+についての評価は, ろがあるのではないか,. (1)年令的にいって,外面的なものに高い価値をおくとこ (2)容貌がよければ,周囲から注目されやすく,社会的承認の. 欲求もみたされやすいのでほないかということが考えられる。自分の容貌を強く意識する ものほ他者からよいにつけ,あしきにつけ評価を意識してのことであるから,ある意味で 紘,容貌に自信のあるものは,自己の方向づけも肯定的なものになりやすい。もし,自分 の容貌について否定的であれば,どうしても引っ込み思案となり,自己も否定的に評価せ ざるを得ないと思われる。.

(21) 43. 自己評価に関係する諸要因の検討. 「族行の行程範囲+については,自己関与する領域の広さを意味すると思われるが,ち し,この行程範囲が広ければ広いほど,行動面での自信をもつこととなり,不安感も少な いことを意味するが,逆に,行程範囲の狭いものは,やはり自己も拒否的で自閉的傾向が 強いと思われる。この行程範囲の大小が,自己の方向づ桝こ影響することが理解された。 「神経質の程度+の場合は,人前での作業にどれほど落ち着きのなさを感じるのかから 検討したものであるが,これは自分が何かをする時,他者の存在が気になるかどうか,ち し非常に気になるものほ,自己を否定的に評価しがちであり,それに対し,気にならない ものは,やはり自分の能力をもっとよくみてほしい,よりよく評価してほしいといった願 望と結びついているため,肯定的な方向へ自己を変化させるだろうということである。こ の神経質の程度が強いか弱いかにより,自己の方向づけが決定されるということほ理解さ れる。. 「健康状態+については,健康の良否が自己の方向づけを決定するということである。 健康がよければ,やほり自分ほ何かできる,あるいは積極的に何かをしたいといった感情 と結合しやすいが,健康状態があまりすく小れない場合は,何をするにも積極的になれず, 意識して引っ込み思案となることを意味しているのだろう。. 「身体の具合がよくないので. 何もできない+とか「・-してはいけない+といった表現をとられやすい。これが自己の 方向づけに影響するものと思われる。 「年令+については,年令が自己の方向づ桝こ影響するということである。確かに,. 7. 才から13才までの分布ほ,自己の方向づ桝こ大きな変化をもたらすだろうと思われる。 例えば,. 7才と13才とを比較しても,精神的乃至ほ肉体的な変化が,発達段階に応じて 両者の特徴がはっきりととらえられる。年令が増すにつれ,自己の方向も肯定的否定的と ほっきり評価することができるのだろう。特に「年令+の場合ほ,年令の増加にともなっ て多くの要田と関係してくるので,これを単独にとりあげて解釈をすることはできないか もしれない。. 以上述べたように,ほぼ7つの変数により自己の方向づけと関係していることが理解さ れた。 <肯定的,否定的自己の判別と他の諸要因との関係>. 第3表では,自己の方向づ桝こ関係すると思われる要因を偏相関係数により検討した。 第4表でほ,肯定的自己群と否定的自己群の両グループをそれぞれ要因毎に比較検討した ものである。第4表によって行なわれた肯定的自己群と否定的自己群についてのそれぞれ の要因毎のt検定の結果は,. 28変数の中に変数がはっきり区別される要因として考えら. れる。しかし,両群を判別分析により,有効な諸要因を抽出した場合(第5表)では, 変数中, 12変数が有効な要因として提示することができる。第4表の場合は,本調査の 被験者の中,肯定的,否定的自己群の状態を理解する上では非常に有効と思われるが,ど ういう方法により,肯定的自己と否定的自己を判別した方がよいのか,という問題になる と,第5表のような判別分析による方が,好ましいであろう。ある特定の個人をどちらに 類型化すべきかに役に立つと思われる。なお「構造ベクトル+の高い数値の変数は判別す. 28.

(22) 44. 横田澄司・小川捷之 第9表. 平均的な肯定的否定的自己の反応傾向. 平均的な肯定的自己の反応懐向 健. 康. 状. 態. ふつうよりややよい. あまりいい顔をしているとは思っ. ふつう程度の蘇をしている. 服装についての評価. めだつわけではないがきちんとし. 言葉使いについての評価. ていない. ている. 睡. 眠. 状. 態. 友. 人. の. 数. 目上の人や学校の先生だけに正し い言葉を使っている べつに何にも感じない やや多い. 囲. 大阪の近くの府県ならどこにでも. の. 行程範. う. ふつ. 容貌についての評価. 旅行. 平均的な否定的自己の反応傾向. いシナる. 2時間以上3時間まで. ふつう程度だと思う. みんなと同じような言葉を使って いる. もう少し眠りたい う. ふつ. 大阪ならどこにでもいける. 3時間以上. 一日の平均TV視聴量 学業成績についての評価. 中 の上. 社会的承認の欲求程度 動物に対する愛護感. やや強い 好きだが飼っていない. ふつ. ふつう程度. 少し恥しい. あまり神経質でない. ふつ. 初対面での蓋恥程度 経 質 の 程. 神. 度. 中 う. 好きだが飼っていない. う. ることを意味している。 既に述べたように, 28変数の中,. 12変数が特に有効な諸要因として考えられたが,有 効な「構造ベクトル+をより具体的な表現にすれば,つぎのようになる。つまり,平均的 な肯定的・否定的な自己グループに表現しなおすと,第9表のようになる。これほあくま でも平均的タイプであるが,これをより強度の傾向をとれば,特定の個人ほいずれかに判 別しても妥当であるということになる。それぞれ有効な変数の尺度を抽出して作成された が,直観的な判別の一つの指標にはなると思われる。ただ,被験者の中でも,. 「自己の方 向づけ+でポイント3に配点したものは,すべて除去されたため,第1図のような分布に 判別されているが,その点,残された問題としてneutralな評点を無視せず3群の判別分 析をすべきではなかったかどうかという問題がある。しかし,被験者を,肯定的自己のグ ループⅠ,否定的自己のグループⅡのいずれかに分類する場合,かなり効果のある要因が チェックされたし,両グループの特徴について列挙することも可能と思われたoなお特定 個人を肯定的自己か否定的自己かいずれかに判別する場合にも筋果的と思われた.. 要. 約. これまで多くの研究者が,自己評価による「自己+を,他の変数との関係で研究してき た。. これらの研究は,自己評価の棟能を通して,行動の理解と予測に役立てようとするとこ ろに意図があったと思われる。.

(23) 自己評価に関係する諸要因の検討. 45. 確かに「自己+の操作的定義を,これら他の変数との関係で研究していこうとする傾向 ほ,心理学の研究領域においても指摘される。究極的にほ自己評価と社会的行動を表現す る何らかの指標や基準との関係を問題にしようとしてきた。 本研究ほ,基本的にほ,従属変数としての「自己の方向づけ+一骨定的あるいは否定 的な自己-が,どのような客観的な要因によって規定されるのかという目的のために行 なわれた。その問題点ほ以下の2点である。. 1.個人が,肯定的あるいは否定的な自己評価をするのはなぜか,どのような要因が自 己の方向づけに影響をおよぼしているのか, 2.特定の個人が,自己評価をした場合,かれの自己ほ肯定的であるのか,否定的であ るのかを判別するため,どのような変数で処理すればよいのか, 以上の問題点のために,われわれほ,. 30項目からなるパーソナルな質問調査紙を作成 した。この質問紙は,大阪に居住する7才から13才までの小学校児童579名に施行され た。ただし,この調査用紙を作成するため,いくつかの手続きがとられ,またこの質問項 目についての客観性の検討がなされている。しかし基本的には,この調査用紙は「肯定的, あるいは否定的な自己+と,それを規定するであろうと思われる諸要因から構成されたも のである。. 研究結果は,問題点(1)についてほ,. 「肯定的・否定的自己+と他の28の独立変数と. の偏相関係数を求めたところ,第3表の示す通りである。特に効果のある諸要因として, 21.社会的承認への欲求程度, 16.旅行の行程範囲,. 6.容貌についての評価,. 20.学業成績に対する評価,. 26.神経質の程度,. 3.健康状態,. 1.年令 であることが,理解さ れた。問題点(2)についてほ,肯定的自己と否定的自己を判別するために効果的な変数に よって判別分析を行なった(第5表)その結果,. 12の変数が,自己評 28.の変数の中, 価の肯定的否定的の方向を規定する有効な要因であることが理解された。列挙すれば, 20.学業成績に対する評価,. 6.容貌についての評価,. 言葉使いについての評価,. 3.健康状態,. 人の数, 9.服装についての評価, 愛護感, ll.睡眠状態,. 16.旅行の行程範囲,. L.,. Berkowitz,. Effects. 17.一日の平均TV視聴量. J.. Expectations. Brown. fain,. Diggory,. Hum. Festinger,. Aspiration. Relat.,. 1954,. L.,. tions D.,. G. to. of the 47, 597-606. Self-Evaluation:. S.,. 甘ochbaum,. Krech,. 1952,. ∫.C., A.. Dreyer,. abnorm.. A M.,. Group. 22.動物(犬・猫)に対する. as. 献. 文. Relationships 55,. 1957,. Self-Concept. 15.友. の以上である。. Dependency. Concepts. Behavior. as. the. to. Confomity. upon. Group. 350-354 of Personality.. Dimension. Studies. John-Wiley, and Expectation ln且uenced by. J. abnorm.. 1966 and. Group. Comparison.. Relat.,. 1954,. 7, 175-190. Theory. of Social Relation. The. Pressures. Crutch丘eld,. 考. Psycbol.,. soc.. Stability. J. J.,. Psycbol.,. soc.. Perceived. of. 26.神経質の程度,. 25.初対面での差恥程度,. 参. 10.. 21.社会的東認-の欲求,. R.. to. Uniformity.. S., and. Processes.. Comparison between. Ballachey,. Group Amer. E.. Hum.. Members′ L.,. Soc.. Self. Rev.,. Individual. Confidence. 1954,. 19,. in Society.. 8,. and. 117-140 Their. Rela-. 678-687 McGraw-hill,. 1962.

(24) 横田澄司・小川捷之. 46. J. T.,. Lanzetta,. 良. M.,. Lundy,. M.,. R. C.,. ersity. behavior under Self・acceptability. al.,. et. Psycbol.,. soc.. Rosenberg, wylie,. Group. 1955,. the and Concept:. Self. of Nebraska. and. Hum.. 1955,. Relat.,. 8, 29-52. of Sociometric. Descriptions. Cboice・. J・ abnorm・. 51, 260-263. Society The. Stress.. Press,. 横田澄司・谷口仙三郎他. Adolescent A. Critical. Self・Image・ Survey. Press,. Princetonロniversity. of Pertinent. Research. 1965. Literature・. Univ-. 1961. 学級集団に関する変革の研究(6)第19回日本教育社会学会・報告資料. 1967. 横田澄司. 自己評価と行動型式に関する研究(その3). Positise,. Neutral,およびNegativeなSelf 605-606. の諸側面を規定する諸属性,日本心理学会第35回大会発表論文集1971, 付表 1年. 令. コンピューターのコード番号とその内容 る). 7-7才 8-. 8才. 2-まあまあいい蕨をしている. 9-. 9才. 3-ふつう程度の蕨をしている. 10-10才. 4-あまりいい務だと思ってい ない. 11-11才. 5一人の前に出るのがいやな時. 12-12才. がある. 13-13才 2性. 7身長の程度1一年のわりに非常に高い. 別1一男. 2一年のわりにやや高い. 2一女. 3一年からみてふつうの高さ. 3健康状態1一大変よい. 4一年のわりにやや低い. 2-ややよい 3-ふつ. う. 4-ややわるい. 5一年のわりに非常に低い 8体重の程度1一年のわりに非常に重い. 5一非常にわるい. 2一年のわりにやや重い. 4既応症の程度1-1年以上. 3一年からみてふつうの重さ. 2-6カ月以上1年まで. 4一年のわりにやや軽い. 3-3カ月以上6カ月まで. 5一年のわりに非常に軽い. 4-1カ月以上3カ月まで 5-1カ月まで. 9服装について の評価. ことがない. んとしている. 5兄弟姉妹の数1-1人. 3-ふつう程度だと思う. 2-2人. 4-どこかが少し汚れている. 3-3人. 5-破れたり,汚れたままにな. 4-4人 5-5^ 6-6人以上. の評価. をしている. 2一目立つわけでほないがきち. 6-かかったり,大けがをした. 6容*(こついて. 1-いつも人より目立った服装. 1一他の人よりいい顕をしてい る(他の人からもそういわれ. っている. 10言葉使いにつ いての評価. 1一相手がだれであっても正し. い言葉を使っている 2一目上の人や学校の先生にだ け正しい言葉を使っている.

(25) 47. 3-みんなと同じような言葉を 使っている. 15担任教師に対. 1一先生が休まれると何もする. する感情. 気が起こらない. 4-みんなより少し汚ない言葉. 2一先生が休まれると,なぜ休. を使っている. まれたのか気になる. 5一便ったら恥ずかしい言葉を. 3一党生が休まれても気になら. 平気で使っている 11居. ない. 住地域. 4一先生が休まれるとホッとす. ① 100000一大体普通の家が多い. 12睡眠. る. @. 010000-お店屋さんが多い. @. 001000一工場が多い. @. 000100一田や畠が多い. 2. ⑤. 000010一会社や事務所が多い. 3-ふ. @. 000001一団地やアパ-トが多い. 4-やや少ない. 5一先生の顔をみるのもいやだ 人. 16友. の. 数1一非常に多い. 状 態1-よく眠れて気持がよい 2一別に何も感じない 3-もう少し眠りたいと思う. 13父(=対する感. 1. 17旅行の行程範 囲. -非常に少ない 1一世界中どこ-でも行ける 2一日本中ならどこ-でも行け る. 3一大阪の近くの府や県なら行. -全然眠れないので困る. ける. -お父さんがそばにいなけれ. 4一大阪ならどこ-でも行ける. 2-お父さんがそばにいなけれ. 5-遠いところほ一人で行けな. ば必らず「いつかえるの「と か「どこ-いったの+と聞く 3-お父さんが家にいなくても. しヽ. 18一日の平均テ レビ視聴量. 気にならない. やだ 1. 5. 19家庭への帰属 意識. ば何もする気が起こらない. 4-友だち.の方がいつも帰ろう. ば必らず「いつかえるの+と. というので帰る 5一家に帰るのがいやで帰りた. か「どこ-いったの+と聞く. くない時がよくある. 3-お母さんが家にいなくても. ホッとする. 5-お母さんの顔をみるのもい やだ. 2一家のことほ気になるが遊ん 3-適当に遊んでから帰る. 2-お母さんがそばにいなけれ. 4-お母さんが家にいなければ. -30分まで. 1-すく小家に帰りたくなる. でから帰る. -お母さんがそばにいなけれ. 気にならない. 2-2時間以上3時間まで. 4-30分以上1時間まで. ホッとする. 5-お父さんの顔をみるのもい. 1-3時間以上 3-1時間以上2時間まで. 4-お父さんが家にいなければ. 情. う. ば何もする気が起こらない. 情. 14母に対する感. つ. 5. 4-時々眠れないことがある 5. -やや多い方. 20他の学級への 転属希望. 1-ぜったい変わりたくない 2-今のままいることができれ ば,今の方がよい 3一別に何とも思わない 4-他の学級が羨しくなる.

(26) 48. そうなってしまう. 5一今すく小にでも変わりたい 21学業成績に対 する評価. 5一人も嘘をつくのだから自分. 1-上. 2一中の上. が嘘をつくのもあたりまえだ. 3-中. と思う. 26初対面での蓋. 4一中の下 5一下. 22社会的最認へ の欲求程度. 1. 2. 恥程度. 3-ふつ. う. 4-それほど恥しくない. -やや強い う. 4-あまりない. 23動物(犬・猫). 2-少し恥しい. -非常に強い. 3-ふつ. 1一非常に恥しい. 5一全然恥しくない. 27神経質の程度. 1一本当にそうだ. 5一全然もっていない. (人前での作. 2-だいたいそうだ. 1一緒に寝ても何ともない. 業状態). 3-ふつ. う. に対する愛淳 2一飼っているが一緒に寝るこ. 4-あまりそうでない. 感. 5-ぜったいそうでない. とほない. 3一好きだが飼っていない. 24所有物に対す る牡占欲. 28協調性の程度. 4-あまり好きではない. (友人からの. 2一時々あった. 5-みるのもいやだ. 拒否). 3-ふつ. 5一全然なかった. すのもいやだ. だけ貸す. 3-誰にでも貸してよいが必ら ず「大事にして+といってか. 1一非常にもっている. 29自己の方向. (肯定的・否定 2-だいたいもっている. 5-自分のもちものを誰が黙っ てもっていっても何もいわな. 3-ふつ. 信の程度. 4-あまりもっていない 5一全然もっていない. 30自己評価の変. 1一非常によく気持が変わる. 化程度(回帰. 2-やや気持が変わる方だ. 性). 3-ふつうだと思う. 4-あまり気持が変わらない. しヽ. 反省程度. 5. 1一冊ろしくなって眠れない 2-いつまでも気になってその 人に謝って本当のことをいう. 3一気になって今度こそ嘘を使 わないようにしようと思う. 4一塊をつこうと思っているわ けではないが話している中に. う. 的自己)一自. ら貸す 4一何もいわず誰にでも貸す. う. 4-あまりなかった. 1一大切にしているので誰に貸. 2一貸してもよいが決った人に. 25嘘言に対する. 1一非常に沢山あった. 31学. 別. -全然気持が変わらない 2-2学年 3-3学年 4-4学年. 5-5学年 6-6学年.

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