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日常の教育活動における生徒指導を

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Academic year: 2021

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1 はじめに

 私は、昭和58年、全国的に校内暴力が問題と なっている時代に教職に就き、日々生徒の問題行 動への対応に追われていたため、生徒指導=問題 行動の対応という認識が強かった。当時は強い指 導のできる教員が生徒指導を担当し、対応に当た るというのが一般的であったが、その後、暴力行 為等の問題は減少し、変わって、不登校(当時は 登校拒否)やいじめの発生件数が増加してきた。

そこで、これまでの生徒指導の認識では対応でき ないことを知り、いわゆる消極的生徒指導から積 極的生徒指導への転換を図るようになった。

2 日常の積極的生徒指導の実践

 (1)生徒指導の三つの機能

 積極的な生徒指導に転換を図るために、「生徒 指導とは何か」と、もう一度原点に戻って考える ことにした。生徒指導提要には生徒指導の意義は

「児童生徒自ら現在及び将来における自己実現を 図っていくための自己指導能力の育成を目指す」

とある。このことは、以前から生徒指導研修会な どで、度々耳にはしていたが、具体的な方策等に ついては分かっていなかった。そのような時に、

目にしたのが「生徒指導の三つの機能」であった。

 ・生徒に自己存在感を与えること  ・共感的な人間関係を育成すること  ・生徒に自己決定の場を与えること

 この三つの機能を日常の学校生活のあらゆる場 面で、意図的に生かしていくために、具体的にど

のようにすればよいかという視点に立ち、考える ことにした。

ア 生徒に自己存在感を与える  ・声を掛ける

 ・つぶやきや、うなずきを見逃さない  ・一人ひとりに役割を与える

 ・多様な考えも取り上げる

 等が考えられるが、そのためには、あらゆる場 面で生徒を観察し、個に応じた対応をしなくては ならない。授業中は基より、読書の時間、給食の 時間、休み時間等、様々な場面で生徒を観察し、

生徒を知ることを心掛けるようにしている。

イ 共感的な人間関係を育成する  ・生徒と一緒の時間を増やす  ・自己開示をする

 ・約束を守る

 教師と生徒との間に信頼関係がなくては、生徒 指導は成立しない。教師が上から目線で、指導す るという姿勢では、生徒に思いは伝わらない。飾 ることなく、自分のありのままの姿を見せ、思い や気持ちを伝えることで、初めて生徒は心を開い てくれるものである。問題行動に対応するときも、

自分が中学生のときはどうであったかということ を常に考え、指導するようにしている。

ウ 生徒に自己決定の場を与える  ・授業中に考える時間を十分に与える  ・自分の考えを発表する機会を多く設ける  ・個に応じた学習課題を準備する

 私は若い頃、教科指導に限らず道徳や特別活動

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日常の教育活動における生徒指導を

生かした道徳の授業実践 

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北区 植竹中学校 教諭   玉 川 敏 史

「生きる力と希望をはぐくむ教育の推進」

特 集

26

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(2)

においても、生徒に考えさせるよりも教え込むこ とが多かったように思う。そうした指導は、結局 は自己満足でしかなかったと反省している。

 前述の「生徒指導の三つの機能」を意識し、授 業や日常の指導を行うということは、今までにも 言われていたことであり、特に目新しいものでは ない。しかしながら、このことを具現化していく には、教師が意識を高め、日々の指導の中で、意 図的に場を設け、実践することが重要であると考 えている。

 (2)生徒指導と道徳

 今回、公開授業ということで道徳の授業を行っ た。道徳教育と生徒指導は、教育活動全ての場面 で行うということでは共通しているが、その性質 は異なるものがある。生徒指導は、前述のとおり 生徒の自己指導能力の育成を図るため、様々な働 き掛けをする。それに対して道徳教育は、生徒に 深く考えさせ、心情や、判断力、実践意欲などの 道徳性の育成を図ることを目的としている。すな わち、道徳教育で育成したものが、生徒指導に役 立ち、日頃の生徒指導が道徳教育を充実させると いう相互作用があると言える。

3 公開授業について

 今回の主題は、内容項目1−(3)「自律の精 神を重んじ、自主的に考え、誠実に実行してその 結果に責任をもつ」を主なねらいとしている。「物 事を判断するときに大切なことは何か」というこ とに気付かせたいと考え、2002年の高校サッ カー岡山県決勝戦での誤審問題を取り上げ、授業 を行った。 

 始めに、試合 経過と誤審によ り試合結果が変 わってしまった 事実のみを知ら せ、その感想を 発表させた。

 次に、全国大会に出場するか、辞退するかどう かということについて、選手の考えが分かれたこ とを知らせた。選手の心情を考えさせた上で、自

分だったらどのようにするかを話し合わせた。こ の段階まで、生徒は、「負けた方がかわいそう」、「自 分だったら出場する」という考えが大半を占めて いたが、周囲の誹謗中傷や、全国大会での様子を 伝えたことにより、「出場する」と「辞退する」が、

ほぼ拮抗するようになった。その後、監督や審判、

選手等の思いを 知らせ、ものご とを選択すると き に 何 が 大 切 であるかという ことを考えさせ た。

<生徒の感想より(自己決定)>

 ・  自分勝手な選択をすると、周りの人がどう思 うかを考えて行動したい。

 ・自分が決めたことに責任をもつ。

 ・  すぐに思ったことを言うのではなく、もっと 深く考えることが大切だと思った。

 ・  相手のことをしっかり考えて判断ができるよ うにがんばりたい。

 ・  その選択が、本当に合っているのかをもう一 度確認してから改めて決めよう。

 ・  その選択をしたら、どうなるのかを考えるこ とが大切だと思った。 

 予想以上に多くの生徒が、上記のような感想を 書いており、「自主的に考え、判断し、その結果 に責任をもとうとする心情を育てる」というねら いを達成できたと思われる。

4 おわりに

 今回の授業では、生徒の真剣な取組により、育 てたい心情に迫ることができたが、大切なのは生 徒のこれからの生活に実践として生かされていく ことにある。1回の授業で、生徒を変容させるこ とは難しいことではあるが、これからも、生徒と ともに過ごす時間を大切にし、一人ひとりの成長 にかかわっていきたい。

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参照

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