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発達過程にある風浪 岩田憲幸・田中孝紀

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(1)

国立防災科学披術セソター研究報告 第4号 1970年1月

551,466:551,465:551,556.8(521.28)

発達過程にある風浪

岩田憲幸・田中孝紀

国立防災科学技術セソター平塚支所

Sp㏄tm11)eve1opm㎝t of Wind Waws By

        N,Iwata amd T.Tanaka

〃伽畑肋〃伽c乃,M〃o〃o1肋5θ舳ん0θ〃θ7/o■〃∫ω伽P〃榊〃o〃

Ab9㍍act

 Amp1i丘cation factors for spectral components of wind−caused waves are reduced from wave observations at the Marine Observation Tower in Hiratsuka−city,Kanagawa−ken,Japan・

 The most predominant features of this reduction are: (1)the spectral development of wind waves obeys the exponentia11aw at ear1ier stages,but(2)the ampliication factors for a11of the frequency components are complete1y different and by far Iarger than those obtained by the critical layer instability mode1proposed by Miles(1960),and(3)the momentum transfer to the ocean surface waves constitutes a major portion of the tota1momentum transfer as suggested by Snyder and Cox(1966).

1.はじめに

 風浪とは読んで字のごとく,風によって起きた水表面の波動のことである.風が吹けば波が 立つ.それはわれわれにとってはごく白然の経験的事実である.しかしながら,どのようにし て,どんな機構で風浪が発生し,発達するのかという問題になると途端にわからなくなる.何 が(WaS)そうさせるのかということと,いかにして(Wie)そうなるのかという二つの側面が,

対照的に明暗二つに分かれているよい例である.

 この風浪の発達過程の研究は,単に力学的興味にとどまらず環境科学的に見ても二つの重要 な応用面を持つと考えられる.一つは,海洋におげる波浪の予報の問題であり,他は海洋大循 環におげる風浪の役割の評価の間題である.

 前者,すなわち波浪予報の間題は,経済航路の選択,海洋工事の施行等に関して特に重要で あるが,その基本的な考え方は次のようなものである.いま,波浪のパワースペクトル密度を S(κ,北;f)とすると形式的に

         ∂S

         一∂τ十・1▽S=W(仁・・σ;τ)■「(い・チ)       (1)

1

(2)

国立防災科学技術セソター研究報告 第4号 1970年1月

のように表現できる・左辺第1項は,考察している点におけるスペクトル密度の時問的変rヒを 示し,第2項は,波のエネルギーの移流を示す.cgは考えている波数κの成分波の群速度で ある.右辺第1項は風による波浪のスペクトル密度の増幅率を示し,第2項が減衰率を示す.

増幅の機構がよくわからないのと同様に減哀についてもはっきりしないカミ,粘性による減衰は きわめて小さく無視してさしつかえない.したがって,減衰項「は高次のオーダーの相互干 渉によるものと考えられる。W の関数形については後述することにするが,予報された風の 場から,Wおよび「を決定して,(1)式を積分し∫を求めるのが波浪予報である.

 いま一つの間題である海水の大循環,特に風による大循環の問題には常に海面に及ぼす風の 応力が必要となる.海洋表面における風の応力の大きさを

         τ=ρ、〃*2      (2)

と表現する.ρ、は大気の密度で,〃*は海面近くの平均風速の分布に対数則を仮定するとき

         σ(・)= *1・ノー       (3)

       κ    2o

として平均風に関係づけられる速度である.風成海流の大循環論では,洋上のこの応力を風の 統計から適当に推定して,推定された応力はすべて海流の運動に使われるとしている.すなわ ち,このような考え方では,大気から海洋への運動量の輸送は大部分が海流の運動に変換され 波浪の発達に寄与するものは無視できるほどに小さいことになる.一方Snyder,Cox(1966)

の風浪の発達に関する観測によれぼ,風の応力の大部分は,波浪の発達に費やされ,直接海流 の発達に寄与するパーセソトは無視できるほど小さい.もちろん,大洋上の風の応力の推定値 もそれほど確かなものではないであろうし,それにもまして,海流の大循環で重要な役割を果 たす横うず粘性係数λの評価に任意性があるから,たとえぼ,海流の運動に寄与する風の応力 を小さく見積もっても,横うず粘性係数λを同様に小さく評価すれぼ,もっともらしい海流の 流量が得られるかもしれない.(高野(1969)によれば,南極大陸のまわりの流量はλを1xl08 から0,5×108に変えると1.4〜1.8倍になる.)しかし,本質的な問題は,輸送される運動軍二 の海流と波浪への分配に関する矛盾を数値的に融和するだけでなく,その力学機構に立ち入っ て,概念的にとらえることであろう.

 この小論の目ざすところは,風と波の共存系の機構を力学的に解析することではない.(1)

式の右辺第1項の風浪のスペクトルの増幅率πを観測から経験的に求め従米の力学的な解析 結果と比較したものである.得られた結論は,捉案されている力学モデルに対しては全く悲観 的なものであって,別の方法から求められたSnyder,Cox(1966)の観測結果を栗づけること はできても,Mi1es(1960)モデルを否定するものであった.

2. 風浪のスペクトルの増幅率

Mi1es(1960)の臨界境界層不安定(critica11ayer instabi1ity)のモデルによる風浪のスペ クトルは発達過程では次のようプよ形になる.

一 2

(3)

発達過程にある風浪一岩田・田中

         ∫(舳一搬θ(W)㌦1ゴκ   (・)

       μ一1(讐)2い寸・    (・1)

ここでκ:考察している波の波数ベクトル,0:波の位相速度,σ=2ザで!は波の周波数,

π(κ):大気の圧力変動の波数スベクトル,θ:大気の圧力変動の時問スケーノレ(integra1time SCa1e)で,物理的にはじょう乱の寿命時問,ρα,ρω:大気と海水の密度,〃。:無次元表示に必 要な風速の表示で,海面上の平均風速に対数法則を適用したときは(3)式の摩擦速度〃*をカ ルマソ定数κ=0.42で割ったものとする.βは(4)式から明らかなようにスベクトル∫(κ,チ)

の増幅を支配するパラメーターで波浪によって誘起された大気中のじょう乱を支配する運動方 程式を積分して得られるものである・

いま

         /[肌α)榊1−w・(^)狐;∫・一争一

として方向について積分し,周波数スベクトルに変換すると,定数項を除いて          S(〃)〃〜∫…ヨ・(∫*)θ(!*,1)寸讐1L1〃*

       g       c  〃*

ここで波浪の分散を示す関係式σ0=gを使用すれぼ,無次元化したスベクトルは,

∫(…1・)仏一叩ま)仏一㌣仰㌻1一 θ(瓜1町・)〃・・(・)

ここで

         1*一ψ        〃1

は無次元化した連吹時問を示し,θの引き数τは時問スケールで時問の次元を示すだけのも ので連吹時間チ*とは無関係のものである.(5)式をチ*について微分すると,

         ∂

         一一∫(∫*,τ*)〜A(!*)十B(∫*)∫(∫*, *).       (6)

         ∂オ*

ただし,

         刈∫。)一2π∫・_L町。,τ。)P(∫。),

       〃1

         B(∫*)=2π〃*=(2π)V*3β(!*)・

 (6)式を(1)式と比較すれぼ明らかなように(6)式の右辺は(1)式の右辺のWに対応する・

(6)式の導出には,無限に広い海にオ=0から一様に一定の風が吹き始めるという仮定がある から(1)式の左辺の移流の項は存在しない.さらに解析は線形であるから,右辺第2項の非線 形干渉項「も無視できる.

 しかしながら(5)式に示すように,スペクトルは,いつまでも時間とともに指数関数的に発 達してゆくことはできない.連吹時問が充分大きくなれぼ,各周波数∫*に対応したそれぞれ の定常状態に漸近的に近づいてゆくはずである.この過程の解析的表現については,現在いか        一3一

(4)

国立防災科学技術セソター研究報告 第4号 1970年1月

なるモデルも提案されていないので,次にデータ処理の必要上次元解析的な表現を試みること にする.(4)式から明らかなように,スペクトル∫は∫,オ,〃。,ρα,ρω,9の関数である.Miles のモデルよりさらに問題を一般化して,風の吹送距離Fをも考慮すれぼ,

         ∫=φ(!,チ,〃1,1ア,ρα,ρω,9)

である.関数φの引き数はそれぞれ独立であって従属変数∫をも入れて全部で変数は8個あ る.次元変数の数は〃,ム,τの3個であるから無次元量は8−3=5個あるはずである.事実 次元解析のπ定理によってこの無次元量は

         Ψ5 〃。 9オ gF  ρα

      2 ,       ,       ,     2 ,

         99 1 1ρω

であることがわかる.したがって

チー/(∫8・ll・lHl)

となるカミ,ここで

         S(∫*,1*)一半,∫*一 ・,1*一9τ F*一9ζ       〃1    9     1    1 1

とすれぼ上式は

         ∫(∫*,チ。)=/*一5φ(∫。,τ*,F*,8)      (7)

となる.(7)式が一般化されたスペクトルの無次元表示で,その特別な場合として吹送距離が 無限と考えられる場合は

         S(∫。,τ。)=^15φ(∫。,オ。,∫).      (8)

さらに吹送距離も連吹時間も無隈と考えられる場合,すなわち一様な海における定常状態のス

ペクトノレは,

         ∫(∫。)=∫。■5φ(∫。,∫).      (9)

この定常状態のスベクトルを元変数に戻すと,

         ・(∫)一・ザ1(争・青)     (・・)

となるから,風浪のスベクトノレの領域で風速に関係しない領域があるとすれぼ(10)式の右辺 のφは定数となり

         S(!)=αg2∫■5      (11)

という関係式が得られるはずである.風速に関係しないスペクトル領域とは,パワーのスペク トル密度が飽和していて,風速がそれ以上強くなっても,波浪の傾度の上隈によって,波高の 発達が押えられ,風速が弱くなっても,波数問の相互作用によって,他の波からエネノレギーを もらって,減衰しない領域と考えれぼ一応の説明はっくが波数問の相互作用の機構が明らかに されないかぎり,推定の域を出ない.このような領域は現場の観測では,2秒以下の高周波低 レベルのところに近似的に見いだされるようであるが,この平街領域に関する議論は本稿の□

的ではないので省略する.

       一4 一

(5)

      発達過程にある風浪一岩田・田中

 (8)式から明らかなように,無次元化したスベクトル∫(∫*,チ*)は∫=constであるから・

ある∫*のパワーはf*だけの関数となる.φの関数形は次元解析からはわからないがオ*;0 で零で,チ*→◎◎で一定値に漸近的に収束するはずである・ここでMi1esの線形解析から得ら れる(5)■式でσμ》1の場合を考えると,

         ∂1.S(∫*,1、)一2π仏一(2π)・∫∫*・β(∫、)    (12)

         ∂f*

となる.すなわち風浪発生のごく初期および,非線形干渉の効果が顕著となる後期の段階を除 いた巾問領域では,スペクトノレは時間の経過とともに指数関数的に増大する.その増幅の割合 は無次元化した時間τ*を使用すれぼ,無次元化した∫*のみの関数となる・(12)式のβ(∫*)

はMilesの線形解析によれぼ,海洋表面波によって誘起された海面近くの大気中のじょう乱 を支配する運動方程式を数値的に積分することにより得られる。この計算を行なうときの最も 重大な仮定は,海面上の平均風速分布が陸上と同様に,対数法則に従うとしていることである・

すなわち,大気の乱流場は,平均風速の分布にのみ影響して,誘起されたじょう舌Lとの問には 相関がない.その意味でこのモデノレは擬層流モデル(quasi−1aminar mode1)であるといえる から,数値的に得られたβあるいはμが観測値と必ずしも一致する必要はないのであるが,

われわれの観測ではその差があまりにも大きいので風浪の発達に関するMi1esの方式そのも のに疑いが持たれてきた.

 海洋表面波によって誘起された大気中のじょう乱と大気乱流場との相関による増幅率μの 変化については現在なおはっきりしない.Phi11ips(1966)は,波形をした固定壁上のMotz−

fe1d(1937)等の実験結果から相関係数の正の値を推定しているが・Mi1es(1967)および浜田

(1968)等が指摘したように,この相関が止となる力学的根拠は何もないのである・この点に関 しては,現在観測と比較しうるほどの具体的な力学モデルがないため将来の研究を待つことと して,本稿では(12)式で示された線形近似の増幅率を観測から求めることにする.なお,吹 送距離F→ooの場合のスペクトルの時問的変化に関しては,次元解析から得られる表現は(8)

式であって,それ以上を出ない.(8)式のφの内容については次元解析は何も語らない。ま た(6)式はMi1esの臨界境界層不安定モデルによる線形解析の結果得られた関係式である・

(6)式の形式的た一般化は,Hasse1mam(1960)によって試みられた・Hasse1mamによっ て提案されたエネルギー収支の式は

        ∂∫(。,1,κ)・。、▽S(・,f,κ)一λ1(父,1,κ)・B、(工〃)∫(兀〃) (13)

       ∂τ

であって,左辺第2項の移流の項が無視できる場合,すなわちF→00で,波浪の発達が空問 的に一様な場合には,(6)式と同じ形になるが,係数A・・B・がMi1esのモデルと異なり・

連吹時問の関数となっている.

 Hasse1mamの形式的な議論からはA。,B。の関数形は具体的には求められない・しかしな がら,発達の中期の段階で,λ、=31=constと近似的に見なせる領域があるとすればMi1es        − 5 一

(6)

国立防災科学技術セソター研究報告第4号1970年1月 の解析との対応を考えると,

        B・〜2π〃・       (14)

となるから,観測からパワースペクトル密度が指数関数的に増大する領或カミあることが確かめ られれぼ・その増幅率μがMi1esの数値解と異なる場合でもHasse1ma㎜流の考え方に対 する一つの支持となるであろう.

3. 観測データの整理

 観測値はすべて容量型波高計による.容量型波高計そのものについては稲日」(1969)を参照 されたい・観測を行なった場所は,神奈川県平塚市の海岸で,距岸1.3km,水深20mの洋 中に建設されている観測塔である.線形近似では,波長および波速はんを水深とすれぼ

        ・一汁・…ポム{・…22ん

となるが・ん→ooの場合をc。,ム。とすると,ん=20m,τ:6sの波浪に対しては,

         c     ム

         ー≒0.98,一一≒0.98,

         C.    L。

  十

      平江浦       塚ノ半    早」ll⑥島島      測観

伊東紬1

豊脇崎州等

蓋 60◎大島 石 8・倫

崎勿肝

     〃新島 139T

14(ゴE

35

図1観測地点図

τ=8sの波浪に対しては,

    6.    ム.

     一0 87, _=0 89     C。.. 五。

となるので,周期6〜8秒までの波浪は近似的 に深水波とみなしてさしつかえない.τ<3sの 波浪は,波高計の取付け位置の関係により,観 測塔による散乱波の影響を受けるようであるが

(藤縄(1969)),われわれの観測ではτ<3sの 波浪はσ=10m/sの場合,きわめて短時問

(大体のオーダーでは20〜30分以内)に最も 激しい増幅の過程を経過してしまうようである し,T>8sの波浪は,逆に10数時問の連続観 測を行なわないと増幅率が求められないので,

考察の中心をτ=4〜5sの波浪の発達に置い

た.

 力学モデルとの対応を見るためには,初め波 浪の存在しない静止海面に突然一定の風向,風 速を持つ風が無限大の吹送距離にわたって吹き始めるという条件が必要であるが,現実の観測 ではこのようなことは望みえない.実際に整理したデータは表1にまとめてあるようなもので ある・読坂りは容量型波高計の出力電圧を観測塔内でA−D変換して数字fヒしこの数字を陸 上の計測室まで伝送して計算機によってデータの紙テーブを作るという操作をした.1回の観       一6 一

(7)

発達過程にある風浪一岩田・田中 測のデータの読取総

数は,停電のあった 4月4日の3番目の 観測のとき時問の関 係で,N=1,000と したほかすべて 2,000個である.読

 月  日 25March1969

4Apri1 1969 8Apri1 1969 12Apri1 1969 21Apri1 1969 11May !969

表1観測資料の概要

時    問   1読取問隔時問原点平均風速回 数         1  一.

Ihm hm  s■hmm/s

13  25 〜 14  25       0.ユ   12  25     8     10 9  50 〜 17  00       0.6    6  40    12     12 10  00 〜 15  00       0.3    9  50    10     11 10  30 〜 14  43       0.6   10  10     9     10 9  27 〜  13  53    0.3〜O.6  9  12    10     15 8  24 〜 12  49       0.6    7  45 ■  11     11

坂時問間隔は表1に示してある」1うに必ずしも一定していない.特に3月25日の〃:0・1sの テータはN=2,000としても1回の観測に要する時問が3分問であるから,τ=4〜5sの波浪 の発達を見るには,時問が短すぎてスペクトルの信頼度が弱いが,これは他の〔的のための観 測データを転用したものであるのでやむを得ない。

 問題はf*および∫(∫*)を計算する場合に必要となる,平均風速および立ち上り時刻の推 定である.図2a〜2fは観測時の風の記録である.この図は,各観測点における風速を,なん

らの補正も加えずにプロットしたものである.われわれが必要とする風速は,相模湾上の風域 全体の平均風速であるが,これだけの資料から見ても,沿岸で観測した風は,相当局所的な地 形の影響があると思われる.図2に示したすべての資料を通じて,平塚(支所構内)の風速は 常に早川(水産指導所)より大きく,場合によっては,大島(測候所)の風速より大きいこと を考え合わせると,平塚周辺は,特に風の強い地域であるように思える.したがって,これだ けの資料から必要とする,海域上の平均風速を推定することはできないので,われわれは後述 するように,Bretschneider(1959)によって,半経験的に求められた連吹時問図表(duration graph)を用いて風速を推定した.

 (12)式に示したようにMi1esのモデルによって得られる増幅率μまたはβは∫*の関数 である.∫*は定義によって∫*=〃。/9であった.〃1は海面上の平均風速に対して(3)式を 適用したとき〃1=〃*/κで定義された量である.詳しい議論は省略するが,力学モデルからβ を数値的に求める際には,ある高さ2の風速でなく,平均風速分布のシヤーパラメーターとし

て,

         9=.9生       〃。2

という量が必要となる.Z・は乱流境界層の壁面の粗度を示す量と考えてよいが,海面のよう に風浪の存在する場合には陸上と異なって一定とならない.それがどんな振舞をするかは,固 定壁を持つ乱流境界層の力学機構がわからない現在では次元解析にたよる以外にはない.

 E11ison(1956)のように水面のz。は風の応力,すなわち〃。のみの関数と考えれぼ,必然 的に9=constとなり,Shemdin(1966)の風胴水槽におげる実験およびHay(1955)の観測 結果もこの関係を裏づけていろようである.またその数値は〃*2。/リ>3となる・壁面が力学的 に粗であるような場含には9〜10−2のオーダーである・しかしながら海面におよぼす風の応        一7一

(8)

国立防災科学技術セソター研究報告 第4号 1970年1月

m/s 16 14 12 10

8 6 4 2

  一・↓・一一平塚(塔)(21.5) m/s

  土平塚(陸上)(15.5) 20 時間原点n巾一I互廊崎(12・2) 18   −x.二  崎(22.0) 16

1 。7  

! }

/二二}\へへ 戸  、」 ムヘ

戸一沖込

ノ       x

8910 12 14 ユ6 18 2021h a 1969年3月25日

14 12 10

8 6 4 2

時問原点      一 ク

 1  !

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 1.1一{㎜4 ・一一.一.一、.

 . ▲κ・・{一北・

 ^    一

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012345678910 12 14 16 18h

b 1969年4月4日

   ︐   −   一   一   ■      ︐   o   \  全  塾   一   ︒上   ︐  \亥 ︑ ・  一 一 ︸一 中一 ・  − ケ  ● ■ 一 灼 ・

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11

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大早平平石三︑ ︑ 一

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時問原点

     ︑    ︑  ︑︑ ︑x  ︑   ︑︑.  ^ ︑べ  v︑  ︑︑  へ︑  .     ︑

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1969年4月8目

2021h

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45678

910  12  14  16 1819h f 1969年5月11日

時間原点へ

      ㌧・へ     〆、

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1

﹁■1−ート■■1−﹂−1■■L  SNSE〃2018161412108642

心・{.◆・〃心■■←■■功.4■→・→

貝…x一■メ■x一.沖・伽一沖・.x■.}.一.x■→

NWSE

5678

910 12 14 16 18h

e 1969年4月21日

図2平均風速と風向

(9)

発達過程にある風浪一岩田・田中

力それ白身も,海面状態すなわち風浪の発達の過程において変化する.Mi1esの線形解析によ れば,この応力は海面の傾度のスベクトルに増幅係数βを乗じてすべての波数について積分

したものに比例する.したがって一般にはZ。は風の応力のみならず,海面状況を示す平均二 乗傾度(mean square s1ope)の関数と考えた方が現実的であろう.すなわち

         2。:∬(〃。,∫2,9),∫2=(肋)2.

これから直ちに,

         gzl=〃ず).

         〃工 しかるに定義によって

(15)

♂一いw・F)〃

一rぺ∫・・∫(∫・・1・・…1)ゴ∫・

      =N(チ*,F*).

すなわち,∫筥したがって9も吹送距離と連吹時問の関数であって,Fおよびまの増大につれ て一定値に収束する.ところでCox,Mmk(1954)らの太平洋上における観測では

         ∫2;1.1×10■4(9リω)■1/3σ       (16)

となって一見して次元解析と矛盾する結果を与えるが,これは関数wの引き数である連吹時 問の推定が困難であったためと思われる.この観測結果の∫2がσに比例するという現象の 説明にはNeumamスペクトルが使われているがNeumamのスペクトルは次元解析と矛

盾したものであるのでここでは考えない.

 このようにF→◎0と考えられる場合でも,s2がオ*とともにどのように変化するかはっき りしないことに加えて(15)式の∬(∫2)の振舞について信頼すべきデータがたいためここでは ρ=0.01とする.9をこのような値にとると

         τ=ραμ*2=ραC刀σ102

で定義される抵抗係数C刀は1.5×10■3(σ。。=6m/s)から2.5x1o−3(σ。。=15m/s)の問で変 化し,観測から求められたらの変化に比較的よい近似で追随する(Phi11ips,1966).(3)式 から

〃μ・一祭(÷)2

とたるからぴ2)を与えれば9に応じた〃。が一義的に定まるが平均風速σの推定誤差を

∠σとし(σ=σ。十∠σ),それに対応するσ/〃。の誤差を∠(σ1〃。)とすれぱ

         1({)一・宏[・・(ん1一一・音

のオーダーとなる. したがって

一9一

(10)

国立防災科学技術セソター研究報告 第4号 1970年1月

∫(〃・)一窃({)5

の式により無次元化したスペクトルの誤差は,

。(ガオズー・κ[・・(、ポー一・劣

すなわち平均風速に10%の推定誤差があると,計算されたスペクトルの誤差は50%にも達 する.これに反して,連吹時問チ*の相対誤差は平均風速σと同じである.

 このように推定風速値によるスペクトルの変動が微妙であるため,風域全体にわたる平均風 速の推定にいわゆる連吹時問図表(duration graph)を参考にした.連吹時問図表とは,

g紅一1(誓)・狙一・←筈一)

として示されるように無次元化した有義波高および有義周期と連吹時問との関係を示すもので 図3と図4に一括して示してある.3月25日の資料は観測時問が短すぎるため省略した.図の 実線はBretschneider(1959)が半経験的に求めた式から計算したものである.経過時問の初 期の段階で有義波高,周期ともBretschneiderの求めた値より大きくなっているのは,風浪 の発達する前に既に存在したうねりの影響を示すもので,このことは後述するパワースペクト ルの形からも知ることができる.4月4日の資料のみが初期の段階で他のものとは,逆に小さ くなっているのは,風速の記録(図2b)からもわかるように,観測の途中で風速がほぼ5m/s ほど変動したためであると考えられる.この連吹時問図表は表1に示した平均風速を使用した

ものであるが,この推定風速は図2の風の記録と比較して見ると観測値よりやや低い.

0.3

0.2

0.ユ

1ユ/5

9伽 ユ2/4

び2

21/4 04/4

08/4

0.O1ユ02 ユ03      104

       五        σ

図3連吹時問と有義波高との関係      一10一

105

(11)

発達過程にある風浪一岩出・出中

2.O

1−0      08/4

ユ2/4 O.6        ユ1/521/4

04/4  O.4

gτ1、

π

 O.2

O・110・

 103    g1    104         丁

図4連吹時問と有義周期との関係

 Bretschneiderの半経験式は海面上8〜10mにおける平均風速を使用して作られたのであ るから,支所構内の風速計の高さを海面上21.5mと仮定すれぼ,その風速は10mの高度 の風速より約0.7〃。だけ大きくてさしつかえたいことになるが,観測塔上の風速計の示度が陛 上の風速より大きいので推定値は観測値よりやはり低く見積もられていることになる.このこ とは言い換えれぼ波高が小さく評価されていることでもあるから,あるいは相模湾の地形が有 効吹送距離に影響しているかもしれない.

 このようにして決定した風速を使用して無次元化したパワースペクトルを求めると,図5の ようになる.表1および図2から明らかなように,南風の吹き出しが始 まって30分以内に観測 を始めたのは4月8目,12日,21日の3日でその他は約40分から3時問近くのずれがある.こ のことはスペクトルの形にもめいりょうに認められる.8日および12目のスペクトルはル。/9

≒8×10−3(この場合は周期約8秒)のうねりのある静かな海面に突風によって発達する風浪を 初期の段階からとらえた場合の典形的なスペクトルである.これに反して図5a,fは風の吹き

出し後ある程度時問がたってしまってから観測を始めたために,高周波の成分が既に充分発達 して平衡領域に近づいていることを示している.図5b No.1,2のスペクトルは,風の記録

(図2b)に見られるように,最初の約10m/sの風速のときの観測で,No.3以下が13h30m 以降の風速が約15m/sの時のスペクトルである.両者の問の時問問隔と風速のずれとによっ てその問が大きく開いている.風の吹き出しが典形的プよのは図2eの場合であって,風速がほ ぼ零の状態から9m/sになるまで30分とかからない.しかし,その時(9h27m〜47m)の 最初の観測は〃。/9=3×10■2(周期約3.5秒)の波浪が既に充分発達していることを示して いる.したがって10m/s程度の風による波浪の発達を見る場合は周期が3秒より短い波浪は 局所的な影響を受げやすいことに留意しなけれぼならない・

 一方図5c,dとeを比較すると,前者ではうねり(周期約8秒)のパワーが後老(周期約10        −11一

(12)

国立防災科学技術セソター研究報告

第4号

1970年1月

② ①

仏。帖、

τ(SeC)

⑪⑩⑨⑧⑦⑥⑤

1000

⑦⑥⑧⑨⑩

O

0

1

1

ユ08 54 2.5  2τ(SeC)

a 1969年3月25日,σ=8m/s

0

1 5×

4

与 3

ワ﹈

O

b 1969年4月4日,σ=13m/s

①②③④⑤

0       00      00      ユ

93

S

51

α

10

﹃⑥

⑩l/⑨

⑧⑦

1  2 ^3 45×lO!

!000

0 0 1

10

8 65 4 3τ(・・と)

d 1969年4月12目,σ=9m/s

⑤④

    ①

⑨⑧⑦

0      00       00      1⊥

1

里が 皿

1

01

×  加5   m  10

  σ

   二4

3    日

与那   42 年

  69  19

  c 1 O

図5.1 無次元化Lたバワースペクトル

12一

(13)

発達過程にある風浪一岩田・田中

②①

④⑥

   ↓ ⑪⑩⑨⑧⑤⑦

 ﹃

亨■ ㌻一

1000

0 0

10

①②③④⑤

12

 1

・6…       τ(sec)      L__丁γ    2∫α。3

     9

1969年4月21日

 4 5×10     0  1

σ=10m/s      f 19691 図5,2無次元化したパワースペクトル

     ⑮

⑥⑦⑧⑨⑩⑪⑫⑬⑭

1000

0 10

3915

10

〜12秒)より数倍大きい.このようなバックグラウソドの波浪の状況によってたとえばル。/g

=1.7xlO12の波の発達は図5c,dとeとではかなり異なる.すなわち,風の吹き出す前に既 にうねりによるパックグラウソドの波高がある程度大きければ,その周波数成分の波は,風の 吹き出しが始まってもなかなか発達したい.それカミ急激に発達し始めるのは,ちょうどその周 波数成分の波高が零の静止水面に風が吹き出したとして,注〔しているこの周波数の波高が,

現実に存在したうねりによる波高と同じくらいになるまで時間が経過して始めて急激な発達を 見るようである.

 今同の観測では,風速がユom/s程度であったので,τ=4〜5秒の波の発達が最も見やす かった.そしてこの代表的な周波数成分の波浪は,始めは指数関数的に増幅してゆくとみなし てよいようである.

 さて,推定風速の誤差が無次元化したスペクトルに微妙に影響してくるので,増幅率の算出 には始めに〃、=1.0m/sを仮定して,観測ごとの風速の補正をあと回しにした.この〃。の値 は9=o.01とするとz=24mの高度において,σ:10m/s,あるいは2=10;mにおいて σ:9.2m/sに対応する.

 ・般に〃。の代;表的な値(この場合は1.0m/s)を〃。とし

         九一仏,1。一ぴ

       σ       o とすれぼ

13

(14)

国立防災科学技術セソター研究報告 第4号 1970年1月

∫(∫・・1・)一・(^)(1:)5・

       1。:オ。ムー       〃1

であるから

      ∂1.S(ム,1、)一・・∂一1。∫(九,1。)     (17)

      ∂1*         〃o  ∂τo

となるので〃。=1.0m/sとして右辺の1n∫(∫。,f。)の微係数を求め,観測ごとの〃、の推定値 による補正を行なえぼよい.このことはまた(4a)式と(5)式とから

      ∂

      一  1n S(∫o,チo)=2πμ∫o       ∂オ。

一(・1)3・刈1)2/(云)

一4工[1・∫(∫・・1・)1(免)3(1:)2

となることからも確かめられることである.図6には,〃。=1.o m/sとしたときの,代表的な 周波数∫。に対するスペクトルの時間的変化を示した.図によって点線と鎖線で囲んであるも のがあるが,これは,間題としている周波数の相前後する周波数の波の増幅図である.これか        表2増幅率と増幅係数

ア・×10 2

25 March 1969 σ=8.O m/s

8 Apri1  1969 σ=1O m/s

12 Apri1  1969 σ=9m/S

21 April  1969 σ=1O m/s

11 May  1969 σ=11m/s

2.6 2.8 3.3

1.7 2.0 2.3 2.6 3.0 3.4

1.7 2.0 2,3 2.6 3.O

1.x10−2

2.1 2.2 2.6

1.5 1.8 2.1 2.3 2.7

2πグoμx1O−5 5.3〜7.6 8.5〜9.2 9.2〜11.5

2.3〜3.7 3.7〜5.3 4.2〜8.5 4.2〜7.6 4.8〜7.6 6.2〜11.5

5.8〜6.9 6.5〜7.6

5.8。〜 7.6

7.6〜9,2 9.2〜12,7

49〜6,9 23〜3,0 32〜3,9 37〜5,5 42〜7,6 39〜4.6

2π∫*μ×10■5

4.3〜6.1 6.4〜7.4 7.4〜9,2

γ〃×10一茗

5.2〜6.2 5.8〜6.8 5.2〜6,8 6.8〜8,3 8.3〜11,4 4.4〜6.2

4.3〜5.1

2.05〜2,91 3.10〜3,38 2.80〜3.48 ユ.35〜2,18 1.85〜2,66 1.83〜3,70 1.62〜2,92 1.60〜2,54 1.83〜3,40 3.40〜4,05 3.22〜3,78 2.52〜3,28 2.91〜3,54 3.08〜4,22 1.44〜2,03

!.35〜1,77 1.60〜1,95 1.61〜2,40 1.62〜2,93 2,26〜2.68

一14一

(15)

発達過程にある風浪一岩田・田中 1000

100

sg3

10

    ∫。=O,033

    ∫。=O.028     ∫。=O.026

 ㌦

ユOOO

100

7

893αO 10

O.5   gま    1×105

αO

a 1969年3月25目   σ=10m/s

         彦          〃          4         11         〃      プイ疋=5

  。つ{!ノ1\

ノ…乏及:.12。二

 〜 1■

!〆

・〉

∫。=0.034

O,5    1 9工 1.5

    τ

c−1 1969年4月8目    ひ=10m/s

22.5×105

1000

100

Sg3

仙o

10

      P

         !∫。=0・023

      〈 〃    「;4・5\〃

         〃

    P、、冷\  ・      王八.\、・ 、・

       、・\. .む、1

      \

  り  ∫。=O.030   的.1 1

  〃

べ芯、

\グ

d

ユ000

100

7

8gg〃O 10

qv

ノー

    ∫。=0,026  r=4一,・、、

             x

  ,)1

〃戸乃、グー・ 〃 〃

sグ

. y

O.5   1 gな 1,5   2 2.5×105

    τ

c−2 1969年4月8日    σ=1om/s

0  0.5 1g主1.5

τ

c−3 1969年4月8口    σ=1om/s

2 2.5×105

図6.1無次元化したスペクトル成分の時問的変化

一15一

(16)

国立防災科学技術セソター研究報告 第4号 1970年1月 1000

100

7

∫g3也O 10

   R   〜、

  4

  1

恥》 9一

 メ

 たノ

イ.〆.

 y

∫。=O.020

∫。=O.034

1000

100

sg3

!0

∫。=0,030

  \

  o

  ○つ  〃   』q

  、八、

   フ

、へ、・γ.

   、

 ㌧、、

 ぐ一

 ∫=O.023

τ=4.5

0  0.5 1 9  1,5    2 2.5×!05

τ

d−11969年4月12日    σ=1om/s

00.51g−1.5

      τ

d−2 1969年4月12目    ひ=10m/s

2  2.5×105

lOOO

ユOO

Sg3

τ

αO

10

    T=6

    ∫o=O.(〕17

 〆1舳 r 〃

o=0,026

1000

100

∫g3

〃0

10 .〜ダ

   々 /

  メ ρ   ■ !

/。ノ   !

ノ!

1!

〆1

v

九=0.020

0  0.5 1 9£ 1,5   22.5×105

00,519オ1.5       可

22.5×ユ05

d−3 1969年4月12日    σ=10m/s

ト11969年4月21日    σ=10m/s 図6.2無次元化したスペクトル成分の時間的変化

一16一

(17)

発達過程にある風浪一岩田・田中

1000 1000

!00

Sg3

〃0

10

     \・ヤ以

  〃

略、。.。、3

な 〃

  1

 .  1

  1

   一

、φ

v

     〜・/㌻員.。。。

1・・κ〆

   !V〆

   洲d

。。・ !

下、)   ぺ

         〆\〃=O・01・

1・燃1鮒

        、

   ρべ〔7ダ     ザ

O O.5 1g11.5 2

        O     e−2 1969年4月21日        σ=10m/s

2.5×1(⊃5 0   0.5   1 gf !.5   2 2.5×105

       也O    e−3 !969年4月21目       σ=10m/s

1000

!00

∫g3

〃0

10

     仁ハ

     /1     〆ダ

   11

   〃

  !!T:6

  。  ノ1九=o・017

〆1

ノーノ

O  O,5 1 gオ 1,5   2 2.5×105    αO

f 1969年5月11日   ひ=10m/s 図6.3無次元化したスペクトル   成分の時間的変化

ら表2に示すような増幅率が求められるが,こ.

れは数値微分係数を求めることであるから,そ の値は相当の誤差を覚悟しなけれぼならない・

このようにすれぼ,風速の推定誤差による,増 幅率そのものの推定誤差は,無次元化スベクト ルの推定誤差の1/5程度になるが,数値微分に よる誤差の方がはるかに大きいので,表1の風 速を観測当日の風域全体の風速と仮定しても結 果に大差はないと考えられる.また,4月4日 の観測は途中で風速が変化し,図3の連吹時問 図表からも不適当と判断されたので除外した.

図7は上帥萬率をまとめて示したものである.実 線はMi1esの線形解析から得られるもので・

われわれの観測で最も信頼度が高いと思われる

∫*=2〜3×10■2の増幅率から見てMi1esの線 形解析は,近似的にも風浪の発達の機構を示す

ものとは考えられない.

 さて,以上のわれわれの結果を,他の観測と 一17一

(18)

  2

2ガ。!

10−4  9  8  7  6  5  4

10 5

×10■3

1

1++

国立防災科学技術セソター研究報告

」2=O.O03一一一一

9二〇.01 9=O.02

1       2

図7

0  1  2  3

図8

×25 March1969

●8 Apri1 1969

▲12 Apri1 !969

△21.April 1969

■11 May 1969

3 45678×10−2

   ヱ 増  幅  率

                                                      ▲     X▲

  ■  X

       .

●   合X

×25

●8

▲ユ2

△21

■11

March1969

Apri1 1969 Apri1 1969 Apri1 1969

May 1969

456789×10−2

 ム C

増 幅 係 数

第4号

1970年1月

比較するために(6)式を有次元に書 き直すと

  ∂  ∂チ∫( )〜α(∫)十1(∫)S

ここで

  γ一且(一2πμ)

  1  ∫*

である.図8はγ/アを〃*/cに対 してプロットしたものを示す.実線 はBarnett(ユ968)がSnyder,Cox

(1966)らの資料から求めた経験式で σ=25〃*として

十一・1μ一・1(・・等一・・)

      (18)

と表現できる.計算は∫=1.2×10■3 とした.Barnettの経験式による増 幅率は,われわれの観測より多少大

きめになる.Barnettと同様に直線 で近似すれぼ点線で示す

・πμ一・・1(・・葦・一・・)(・・)

の方が観測値に近いように見えるが これだけの資料からは何とも言えな い.また直線的に増加するという何 の根拠もないので参考にしかならな い.4月12日の観測のうち最初の2 個がとび離れているが,図6dから わかるように,事実この程度の増幅 は行なわれたのである.このような 特異な現象が何によるか明らかでな い.このときだけ特に移流の影響が あったかもしれないし,非線形干渉 かもしれないがすべて想像である.

 なお,高周波の領域で小さく出て いる増幅率はあまり信用できない.

一18一

(19)

      発達過程にある風浪一岩田・田中

(17)式に示すように,この増幅率は〃1/〃。に比例するから,平均風速の推定値の誤差を考慮し ても,Mi1esの言うような臨界境界層不安定による,風浪の発達理論を肯定できるような結果 は与えないといえよう.

 さて,(1)式の波浪予報に使われるWの項がBamett(1968)の提案した経験式を使っても・

われわれの観測値と矛盾しないことはわかったが,最初に述べた運動量の輸送はどうなるであ ろうか.波面に及ぽす風の応力は,

         1一一刈;β榊)狐/一μ

      1(讐)2 である.μに(19)式を代入すれば

/一(2捺(・吠一去)

となるから上式に代入して

1一一舳・1榊・/二岬,刈・・∫・一÷)・(∫・)狐 ここで,近似的に

S(∫*)=α∫*一5, ∫*:≧∫肌

とすれぼ

1一一んパ(・榊・差(・・十十)

となる.ここでPierson−Moskowitz(1964)のスベクトルを使って        8.1

         α=    ×10■3        (2π)4

と仮定する.われわれの観測から求めたαの値もほぽ同様なものであったがτのオーダーを 求めるのが目的であるので従来使われている値を使用する.風の応力は摩擦速度を使用して表 現すると,

         ㌦一1・・31汗(・・一÷去)・   (・・)

Pierson−Moskowitzのスペクトルは

       0.74

         S(ム):αプ㌻一5exp(一δムー4),   δ=     ×10■4        (2π)4

であるからスベクトルのピークを示す周波数は バ)一(÷1)㌧8;;7・・い

となるが,風の全応力τがすべて波の抵抗によると仮定すると(20)式から

        プ;肌…=≡2.64x10■2

となって,波のごく高周波の領域にのみ抗力は働かないとしなければ,風成海流は説明できな い.従来はτを二つに分けて乱流応力τ。と波によって誘起された応力τωとより成り立つと       一19一

(20)

       国立防災科学技術セソター研究報告 第4号 1970年1月

してMi1es(1965)は

      τ=τ 十τω,

      0.28

      τω=       (σの単位 cm/s)

      70        1+一_

       σ

と評価しているが,観測値から得られるτωはこの値よりはるかに大きく,全応力のほとんど すべてが波の抵抗によると考えなけれぼならない.少なくともτω》τ。と考えた方が至当であ

ろう.

4. お わ り 1こ

  今回の観測値の整理では,風速を低目に見積もったり,またρを大き〔に見積もったりし て,増幅率を低く押えようとしたが,結果はMi1esの解析とは比較できないほど大きい増幅 率を与えるものであった.今後の課題ぱこの増幅率を定量的に更に詳細に追求することである一   おわりに資料を提供された大島測候所,石廊崎測侯所,神奈川県水産試験場,神奈川県水産 指導所に深くお礼申し上げる.

       参 考 文 献

1) Bamett,T.P.(1968):On the generation,dissipation and prediction of ocean wind waves.∫.

    Gθo助ツs。肋∫。,73(2),513−529.

2)Bretsc㎞eider,01工.(1959):Wave variability and wave spectra for wind−generated gravity     waves.B.E.3.T2c乃〃.〃2刎o.No,118,

3)Cox,C.S.and W.H.Munk(1954):Statistics of the sea surface derived from sun glitter。∫

    ルZα7. 1芒25., 13, 198−227.

4) E1lison,T.H.(1956):Atmospheric turbu1ence, In S〃〃ツ∫伽 θc肋 c8,pp.400−430,Cam−

    bridge Univ.Press.

5)藤縄幸雄(1969):重力波におげる波高と水月{の関係(I).国立防災科学技術セソター研究報告,第     2号,69−74.

6) Hasselmann,K.(1960):Grundg1eichung der Seegangsvoraussage.8o乃倣∫κc伽狛,7,191−195.

7) Hay,J.S.(1955):Some observations of air How over the sea.Q〃〃 .1.Roツ。 功.∫oc.,81,

    307−319.

8)浜田徳一(1968):水面上の風の性質について.港湾技術研究所報告,7(4),1−22.

9)稲田 亘・渡部 勲(1969):容量型波高計について.国立防災科学技術セソター研究報告,第2号,

    57−68.

10)Miles,J.W.(1960):0n the generation of surface waves by turbu1ent shear H(〕ws.∫一 〃〃 励.,

    7, 469−478.

11)Mi1es,J.W.(1965):A note on the interactioIl between surface waves and wind promes.ノ.

    〃〃〃κ乃。,22(4),823−827.

12)Mi1es,J.W.(1967):On the generation of surface waves by shear Hows,part5.∫.F〃〃〃6力・,

    30(1),163−175.

13)Motzfeld,H.(1937):Die turbu1ente Stroemungan we1ligen Waenden.Z.伽g刎. α肋. 2c乃.,

    17, 193−212.

14) Phi11ips,O.M.(1966):丁加1)〃α閉北8ψ肋2ψμ70cθ伽,Cambridge Univ.Press,2611〕p.

15)Pierson,W,J.and L.Moskowitz(1964):A proposed spectra1form for fu11y deve1oped wind     seas based on the simi1arity theory of S.A.Kitaigorodskii.∫・G20ヵ伽5・R28・,69(24),5181−

    5190.

16) Snyder,R.L.and C.S.Cox(1966):A fie1d study of the wind generation of ocean waves.∫.

       一20一

(21)

発達過程にある風浪一岩田・田中   〃〃.肋5.,24(2),141−178.

17) Shemdin,O.H.and E.Y.Hsu(1966):The dynamics of wind in the∀icinity of progressive   water waves.Tθc伽.Rψ.No.66,Dept.of Civil Engng.,Stanford Univ、,209pp.

18)高野健三(1969):世界中の海水の大循環.目本海洋学会誌,25(1),48−50.

       (1969年7月2日 原稿受理)

一21一

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