平成 20 年度
中国現代物流の発展動向と課題 報告書
平成 21 年 3 月
この事業は、競輪の補助金を受けて 実施したものです。
http://ringring-keirin.jp
は し が き
近年の中国、インドの高成長や ASEAN を中心とした FTA の動きは、東アジアにおける国際物流を 増大させるとともに従前の日本を中心とする物流構造から多極構造へと変化をもたらしている。東 アジアとの貿易投資の比重を高めている我が国にとって、変貌を遂げつつある東アジアの物流事 情を調査分析し、インターモーダル・ネットワークや物流制度・ルールなどの分野で直面する課題 を探ることは今後の円滑な物流、経済交流の一層の促進を図るうえで極めて重要といえる。
このような問題意識から平成 20 年度に本研究所内に以下の「東アジア国際物流研究会」を発足さ せた。
「東アジア国際物流研究会」
主査 小島 末夫 国士舘大学 21 世紀アジア学部教授 委員 中村 光男 日鐵物流(株)顧問
委員 三浦 良雄 中国港湾物流研究会代表 委員 根岸 宏和 中国物流研究会代表 委員 石坂 正男 関東学院大学経済学部講師
事務局 小林 東策 (財)国際貿易投資研究所事務局長
平成 20 年度では東アジアの中核のひとつである中国の物流事情を研究対象とすることとし、年 4 回の研究会開催、中国(北京、上海)への現地調査実施など活発な研究活動を行った。
本報告書「中国現代物流の発展動向と課題」は同研究会による研究報告である。
執筆には上記研究会委員に加え、日本郵船㈱福山秀夫氏に参加いただいた。
報告書は 7 章からなり、中国の物流政策の動向、貨物輸送の現況、物流インフラ(鉄道・道路、港 湾、航空・空港)整備動向、物流企業の展開、インテグレーターの対中進出について調査分析して いる。また、巻末には付属資料として中国物流年表と中国物流に関する情報源を添付した。
本報告書が関係者の皆様に些かなりとも参考になれば幸いである。
2009 年 3 月
財団法人 国際貿易投資研究所
要 約
第 1 章 中国物流政策の動向
中国経済の更なる発展のためには、物流の高度化が急務であるとの認識が中国政策当局 にはある。物流インフラの整備・拡充ばかりではなく、制度・ソフトを含んだ総体として の「現代物流」体系の構築である。行政組織としては、物流対応機構としていまだ一体化 されてはいないが、国家発展改革委員会が中心となって部際レベルで連携がなされている。
物流政策について「大綱」的なものも制定され、それを踏まえて関係部門が政策を策定し、
実行に移している。
第 2 章 中国貨物輸送の現況と物流インフラの整備動向
改革開放以来の中国における高度経済成長に伴って、貨物輸送量は大幅に拡大する傾向 にある。そうした需要の高まりを反映して、政府は交通運輸部門のインフラ建設に対し、
これまで多額の公共投資を実行してきた。特に道路整備向けの投資が他を圧倒しており、
輸送モード別でトップを占めている。BRICs を構成するような国々と比べても確かに 充実されてきたとはいえ、経済発展のスピードに十分まだ追いついていない状態で、イン フラ整備が依然としてネックになっているのが実情である。このため、中国では更なる輸 送能力の強化を目指して、今後も鋭意、交通インフラの整備・拡充に注力していく意向で 計画が目白押しである。
第 3 章 鉄道・道路のインフラ整備の現状と貨物輸送
中国の輸送モードのうち最も遅れている鉄道輸送の現代化を達成するために、鉄道部の 組織改革、体制改革が実施される一方、鉄道網の整備拡充、電化、複線化などのインフラ 整備と同時に現代物流の核たるドア・ツー・ドアサービスを実現するための貨物の最適輸 送などの体制整備や IT による管理体制整備が、鉄道コンテナ輸送体制の整備を基礎として 推進されている。(第 1 節)
1993 年に認可された五縦七横国道主幹線規画の 12 の道路建設は 2008 年に全てを完了し た。この規画後の新しい整備計画は、国家高速道路網規画の 7918 網という高速道路建設で
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ある。両者の現状及び「11・5」規画における未完成の重点プロジェクトの西部開発 8 条省際 公路通道整備の現状を報告し、2009 年不況下で 1.8 兆元を投じて実施される交通インフラ 整備と毎年開催される交通運輸工作会議で発表された 09 年の重点プロジェクト等につい て述べる。(第 2 節)
第 4 章 港湾整備と港湾物流の発展
近年、中国の主要港湾は「世界の工場」を担って支障のないレベルまで発展を遂げてき た。建設の骨格は国家 5 ヵ年計画ではあるが、各地方の特殊性や経済力の優劣がある。
本稿の前半では全国の港湾貨物、とりわけコンテナ取扱量の推移と近況を論じた。後半 では中国最大の経済圏・長江デルタに焦点を絞った。「長江口深水航路」や「洋山港」プロ ジェクトに見られる英知と大胆な外資導入政策で、瞬く間に香港を抜いて世界ランキング 第 2 位となり、今や首位の座を狙う「上海パワー」を、持論を交えて記述した。そして、
上海港の競合港に成長した寧波港にもスポットを当て、おわりに、世界同時不況の影響に も触れた。
第 5 章 航空貨物輸送と空港の整備状況・計画
航空市場への参入規制の緩和が進むにつれ、航空会社の設立と再編が繰り返された結果、
北京、上海、広州の主要空港を拠点とする三大航空会社グループに概ね集約されつつある。
こうした中で、国内と国際を合わせた貨物・旅客とも旺盛な需要拡大に支えられて、航空 輸送の急速な発展が目立ってきた。そのため、航空インフラの整備、とりわけ空港・同タ ーミナルの拡張ないしは増設が急ピッチで推し進められている。中国は今、「民間航空強国」
の確立を視野に邁進中であり、景気後退下にあって今後もさらに一段と投資を強化してい く方針である。
第 6 章 中国における物流企業の展開
中国は建国 60 年、改革開放 30 年の節目を迎え、新しい発展への模索を始めている。ハ ード、インフラの建設では一定の成果を上げている。物流の面では大規模コンテナ埠頭や
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空港の整備は着々と進んでいるが、消費物流の構築などの課題も多い。要はソフトの整備 であり、健全なサービス業、フォワーダーの発展が不可欠と思われる。経済の持続的発展 を支え、物流発展を保証するのは人材の育成、とりわけ現場の職業訓練にあると考える。
第 7 章 インテグレーターの対中進出と中国事業展開
中国のロジスティクスの動向をみるとき、航空会社とフォワーダー両方の機能をもち、
グローバルに展開してきたインテグレーターの動きを見逃せない。4 強といわれる FedEx、
UPS、DHL(DPWN)、TNT のこれまでの中国進出について、エクスプレス事業を中心に紹介す る。近年の事業展開をネットワークとハブなどの拠点形成の点から整理し、各社の特徴を 抽出した。
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目 次
第1章 中国物流政策の動向 ··· 1
はじめに ··· 1
第 1 節 中国の物流行政組織 ··· 2
第 2 節 中国物流政策の流れ ··· 6
第 3 節 中国物流のマクロ的把握 ··· 11
第 4 節 中国現代物流の課題と政策対応 ··· 15
第 5 節 新たな状況と新たな議論 ··· 25
おわりに ··· 26
第 2 章 中国貨物輸送の現況と物流インフラの整備動向 ··· 29
第 3 章 鉄道・道路のインフラ整備の現状と貨物輸送 ··· 33
第 1 節 鉄道インフラ整備の現状と鉄道貨物輸送 ··· 33
第 2 節 道路インフラ整備の現状と道路貨物輸送 ··· 43
第 4 章 港湾整備と港湾物流の発展 ··· 54
はじめに ··· 54
第 1 節 港湾整備の基本政策 ··· 54
第 2 節 中国沿海・内河の港湾分布 ··· 57
第 3 節 中国の港湾貨物取扱能力と取扱量 ··· 59
第 4 節 上海港の発展現況··· 66
第 5 節 発展を支えた外資導入政策 ··· 78
第 6 節 上海港の長江水運振興戦略 ··· 81
第 7 節 上海の競合港−寧波港の発展戦略··· 85
おわりに 〜金融危機の影響 ··· 89
第 5 章 航空貨物輸送と空港の整備状況・計画 ··· 93
第 1 節 中国の航空政策と民航体制改革 ··· 93
第 2 節 拡大する航空輸送市場と航空貨物の取扱実績 ··· 98
第 3 節 航空インフラ整備の進展と空港拡張計画 ··· 102
おわりに ··· 114
第 6 章 中国における物流企業の展開 ··· 119
はじめに ··· 119
第 1 節 日系フォワーダーの展開 ··· 120
第 2 節 中国フォワーダーの台頭 ··· 125
第 3 節 中国フォワーダーの課題 ··· 129
むすび ··· 133
第 7 章 インテグレーターの対中進出と中国事業展開 ··· 135
第 1 節 インテグレーターの対中進出··· 135
第 2 節 インテグレーター各社の対中進出··· 136
第 3 節 今後の課題 ··· 154
付属資料Ⅰ 中国物流年表 ··· 160
付属資料Ⅱ 中国物流に関する情報源 ··· 164
第 1 章 中国物流政策の動向
日鐵物流株式会社 顧問
中村 光男 はじめに
中国において物流は大きな関心事である。
中国経済の急速な拡大に伴って、物流面の対応が要請されるわけであるが、そこには各 種の問題がある。
①物流インフラが不十分で物流の量的拡大に追いつけない ②作業効率がわるい、輸送品質がわるい
③広域化するニーズに対応できない
④グローバル経済の中、国際的SCMに手続きが煩雑で対応が難しい
などなどがある。そして結果として、社会総費用の中で物流が大きな比率を占めており 社会全体における効率性が問題となっているということになる。
一言で言えば、経済発展にとって物流がネックとなっており、経済発展のために物流の 効率化が急務となっているということである。
改革開放で外資企業の対中進出が進んだが、外資企業の中国発着国際貿易においても国 内市場展開においても物流における対応がもとめられ、その方面でのニーズも高まった。
中国の物流問題といえば、インフラ不足が目立ったことから、一昔前は、インフラの発 展状況を中心として捉え議論してきたきらいがあった。道路の延長距離、港湾施設、鉄道 敷設距離、空港整備状況など、それを踏まえて貨物量の伸びを捉えて発展状況を議論する というものである。しかし、インフラの急速な拡充・整備が進んできている中、前述の物 流の高度化、広域化への対応から、物流の仕組み、制度などのソフト的な面への関心が高 まり、物流をハード、ソフトを含めたより全面的な捉え方を踏まえた議論になってきてい る。
中国において「物流」という概念は、1980年代に導入された。フィジカル・ディストリ ビューション(物的流通)の概念である。ところが、現在、中国において「現代物流」とい う概念が主流となっている。「現代物流」とは、輸送・保管を主とした業務を、情報をベー スとした高度な物流サービスのコントロールのもとに一貫して行うロジスティクスのこと
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である。現在、中国においては、「物流」と「現代物流」を厳然と分けており、物流政策と は、「現代物流」政策を対象としているのである。この点、日本は「物流」と広い概念で使 っているが、中国の方が、高度化した物流対応をより強く意識しており問題意識が明確で あると思われる。
中国の「現代物流」は、数々の問題をかかえながらも政策当局の努力によって着実に発展 している。
本稿は、この「現代物流」の発展を主に中国当局の発表資料を読みながら、コメントを加 え、中国物流の発展状況、今後の方向を政策面から理解しようとするものである。政策当 局がどう現実を捉え、どのような政策を策定しどう対応しどのような成果をあげているか ということを見るということである。本稿の構成は以下のとおりである。
まず第1節は、物流行政組織を見る。第2節は、「現代物流」政策の流れをみる。第3節 は、社会全体統計の数字を「物流運行状況分析」を読むことで理解する。第4節は、中国 現代物流の課題と政策対応、ということで具体的な政策対応の状況を見ながら把握する。
第5節は、最近、物流外資に対して警戒感が出てきているが、そのような動きをふくめて 最近の動きについて触れることとする。
第 1 節 中国の物流行政組織
中国において物流行政組織は複雑である。
中国の物流関連行政機関は複数の行政機関にまたがり、権限が分散されている。こうし た問題を解決するため、過去の行政改革時、数度にわたって改革が行われてきた。
2003年の改革では、従来の国家経済貿易委員会と対外貿易経済合作部が廃止され、新た に商務部が新設された。08年の改革では、国家民用航空総局と国家郵政局が交通部に統合 され新たに交通運輸部が設置された。ただ従来から大きな議論となっていた交通部と鉄道 部の合体、即ち、日本の国土交通省のような一体化した運輸行政組織とする大きな変更に ついては、今回も見送られた。これについては、中国政策当局の以下のコメントがある。
「鉄道部の統合は、政・企の機能分離が前提である。政・企の機能が分離した後、指導 機能だけになれば統合が可能となる。道路、水運、航空もみな政・企分離してやっと統合 になった。鉄道の改革は難しい。需要が供給を上回っているうちは改革は難しい。欧州に おいても日本においても鉄道の需要が減退して鉄道改革が初めて実現している。
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また、改革反対論の意見として、中国の鉄道は世界的にみて効率がよい。石炭、食糧な ど大量の物流を統一的に高効率に実現する指導体制がある、というものがある。」(注1)
ただ、鉄道の統合は大きな改革として継続検討とされているが、以下のような小さな改 革は少しずつであるが進められている。
①管理局を分局化する ②物資輸送と旅客輸送の分離 ③専門の業者の育成
また、再編後の組織において、指導の分担を明確にした。高層人事でも、3 つの部分を 単純に併合したものではなく、交差させているなどの一体化の工夫が見られる。
現在の物流関連事業分野と行政組織との関係を示すと図1-1の通りとなる。
以下、各行政部門とそれを補完する関連協会の役割について簡単に述べる。
1.行政部門
中央政府における物流関連の行政管理は、実運送に関しては交通運輸部、鉄道部が行い、
それ以外のフォワーダー関連業務、輸出入管理に関しては、商務部、税関総署が、各イン フラ構築に関する基本的な政策立案は国家発展改革委員会が行っている。交通運輸部、鉄 道部、商務部は、政策立案、運営における指導以外に、その他、それに関連する対外交渉・
金融・教育などの業務も行っている。
(1)交通運輸部
交通運輸部は、従来の交通部が行っていた、陸運、水運(内航、外航)に関わるマクロ交 通政策、インフラの総合的な整備計画および輸送機関の開発、保全などの確保に加え 08 年の行政改革で、国家民用航空局と国家郵政局の機能が加わった。
国家民用航空局は移管後も、民間航空事業政策、航空インフラの整備計画および航空ネ ットワークの建設・運営の管理・指導を担当するほか、航空輸送の実運送業務の指導であ る。
(2)鉄道部
鉄道部は、鉄道に関わるマクロ交通政策、インフラの総合的な整備計画、および鉄道ネ ットワークの建設・運営の管理・指導を担当。
(3)商務部
フォワーディング業務の管理および外国企業の中国への参入に関する管理・指導。
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(4)税関総署
輸出入業務の管理・指導を担当。また、税関は行政区域の制限を設けず、対外開放港湾 および税関の監視管理業務が集中する地域に設置されている。
図 1-1 中国の物流行政管理体制
交通運輸業
国 家 発 展 改 革 委
鉄 道 部 商
務 部
交 通 運 輸 部 水
運
道 路 運 輸
鉄 道 運 輸 港
湾 航 空 運 輸
貨 運 代 理
倉 庫 保 管 業
郵 便
・
国 家 民 用 航 空
国 家 郵 政
公 安 部
国 家 工 商 行 政 管 理 総 局
税 関 総 署
税 務 総 局
(全般的関与)
出所:各種資料より筆者作成
(5)国家発展改革委員会
国家発展改革委員会(以下、国家発改委)は、経済予測を含め、国務院に対する国家レ ベルでの経済発展戦略の立案および長期経済計画を策定する部署である。
物流分野における役割は、主に交通運輸司が担当し、交通輸送の現況を分析・把握し交 通インフラの開発戦略の樹立、計画および改善策の立案、物流業務に関連する管理体制の 改革提言、交通輸送の近代化実施の指導などを行う。
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(6)地方物流行政機関の構造
地方レベルにおいても、各省、直轄市、自治区政府が中央政府の中央行政機構から与え られた権限をもとに、独自の交通・物流政策を策定し、物流管理行政を行っている。
2.行政機能を補完する関連協会
日々増大する運送事業者や複雑・高度化してゆく物流業務に対し、各行政部門による直 接指導、管理は現実的に難しくなり、しかも拡大してゆく業界内の自主管理機能の形成や 法規制の維持も確立しなければならないとの観点から、各物流関連行政部門による各種協 会の設立が進められている。政府の行政部門に代わって、各事業者の要望をそれぞれの行 政部門に反映したり、行政側が公表した業界関連政策の実施、監督を行い、業界の人材育 成も担うなどの積極的な役割を果たすことが求められている。
一部の協会は行政部門からの委託により、各行政部門が所管する事業者の資格認定や営 業免許の発行権限が与えられ、輸送モード毎に事業者の管理、指導を行うなど、今後さら に大きな役割を果たすことが期待されている。
代表的な物流関連協会として以下のものがある。
①中国物流調達連合会 ②中国道路運送協会 ③中国港湾協会 ④中国航空運送協会 ⑤中国国際貨運代理協会
3.全体の調整機能
中国では、縦割り行政による意思決定の遅れや各部門間の情報交換の不足による弊害な どがしばしば指摘されている。このような問題意識から、05年2月に全国部際連絡会議が 設置された。
この組織の設置目的は、全国現代物流発展状況の掌握、発展における問題点の分析、現 代物流の発展政策・戦略、企画における総合協調、現代物流の標準化と情報化、統計指標 体系、人材育成などの基礎工作、各省地区政府及び関係部門に対する指導、関連問題の折 衝・調整その他である。同会議のメンバーは、国家発改委、商務部、鉄道部、交通部、情 報産業部、民航総局、公安部、財政部、税関総署、工商総局、税務総局、質検総局、国家
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標準局の13部委と、中国物流調達連合会、中国交通運輸協会の2協会の計15部門単位で ある。国家発改委がリーダーであり、事務局は、国家発改委経済運行局が行い、事務局会 議は各部門の局長級で構成され重大な課題を整理して部長級会議にあげる。この部際連絡 会議弁公室は、毎年1〜2回、事務局会議は四半期に一度の割合で開催される。会議後は、
毎回議事録を作成、公表されることになっている。総会は年1度開催され、年間業務の総 括、翌年の計画、重大な課題の提起、手配を行う。
ただ、08年は組織改正、四川大地震の発生などによってこの部際連絡会議にも影響があ り、総会が開催されていない。また、07年の総括報告が公表されていない。
第 2 節 中国物流政策の流れ
改革開放後、急速に拡大する経済において中国政府の物流に対する問題認識は大きく言 って二つある。
一つは、外資系企業の自国並みのサービス水準要求への対応であり、もう一つは、中国 自身にとって計画経済・配給経済から脱却し、国内物流企業を育成しつつ新たな物流体制 を構築してゆくということである。
1.WTO加盟と規制緩和
中国の対外開放政策に伴って外資企業が進出したが、外資企業の求める物流サービスに 中国企業が充分に対応できなかったことが、外資物流企業の進出の大きな契機となった。
中国における対外開放の進展により、当初は、対外貿易と外資系企業の生産活動に関連 する領域で、様々な規制緩和が行われた。外資企業は、対外貿易関連の貨運代理を皮切り に次第に国内運輸業への参入が許されるという経過をたどったが、参入拡大の速度は他の 分野に比べると遅かった。これが加速するのは、やはり2001 年末のWTO加盟後のこと である。加盟時の約束事項については、一部(航空貨運代理業への参入)を除いてはスケ ジュールどおりに実施された(表1-1参照)。
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表 1-1 WTO加盟に伴う対外開放スケジュール
加盟時 1年以内 3年以内 4年以内 5年以降 (〜02/12) (〜04/12) (〜05/12) (06/12〜)
倉庫・保管 外資49%以下 外資100%が可
道路輸送 外資51%以上が可 外資100%が可
鉄道輸送 外資51%以上
が可
6年以降外資10 0%が可 貨運代理 外資49%以下 外資51%以上が可 外資100%が可
宅配便 外資49%以下 外資100%が可
内航輸送 開放港での国際 輸送のみ可
出所:WTO関連資料より筆者作成
2.物流政策の策定と実施
中国において計画経済・配給経済から脱却し、国内物流企業を育成しつつ新たな物流体 制を構築してゆくということは、先ず物流インフラを整備・改善することに重点がおかれ た。
90年代から中央、地方政府とも交通インフラの整備・構築に注力し、外資や民間資本の 導入も進められ、中国の物流インフラは急速に改善・拡充された。一方、経済の急速な発 展は、単に物流インフラの改善・整備を行うだけでは不十分であり、ソフト面の対応、物 流業全体(従来の産業分類における交通・運輸業、倉庫業に加えて商業や対外貿易業の一 部を含む)を対象とした政策が必要であり、物流の仕組みなどの再構築を進めることが必 要となってきた。総体としての物流体制の構築である。
(1)「わが国現代物流の発展に関する若干の意見」
上記のような認識のもと、2001年に「わが国現代物流の発展に関する若干の意見」(以 下、「発展意見」という)がとりまとめられた。
中国の物流の行政機構については、既述のように関連部門が多いが、この「発展意見」
は、国家経済貿易委員会、鉄道部、交通部、情報産業部、対外貿易経済合作部、中国民航 総局という物流に関する6部委が共同で公布したものである。
ここで注目すべきは「現代物流」と言っていることである。現在、中国において「物流」
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と「現代物流」とは、厳然と分けられていることは既述した。「現代物流」はロジスティク スである。新しいレベルの物流を構築してゆくという意志を明らかにしているのである。
「発展意見」は以下の8項目からなっている。
1)近代的物流発展の指導思想と全体目標 2)積極的に近代的物流サービス市場の育成 3)近代的物流発展のマクロ環境の構築努力 4)物流インフラの計画、建設の継続的な強化
5)広範な情報技術の採用と、科学技術イノベーションの標準化加速 6)対外開放の加速と外国の先進的経験の学習
7)人材育成の強化、産業・大学・研究機構の結合促進 8)研究・探求の深化、近代的物流発展需要への適応 これらのポイントは、
1)物流を「第三の利潤源」と呼び、それが経済の中で果たす機能と重要性から説き起 こすなどの現場の啓蒙をめざしていること。
2)調達、運輸、保管などの従来型サービスと流通加工・仕上げ、配送などの新しいサ ービスを区分して発展させることや「第三方物流」(3PL)の育成を呼びかけるな ど、国際的な新動向を意識した発展方向を打ち出していること。
3)地域市場の保護主義や一部企業の独占行為を排除し、市場メカニズムの機能=競争 を重視していること。
4)行政面の支援策は、インフラ建設、情報技術や標準化技術の普及などハード面に加 え、積極的な外資導入により先進的ノウハウを吸収することや専門的な人材育成、
産業・大学・研究機構の協力促進といったソフト面を重視していること、等である。
この「発展意見」は、「現代物流」の概念、政策の方向性を示したものに過ぎないという 評価であったが、第10次5ヵ年計画(2001〜05年)では、「製造業を対象とするサービ ス業の発展」の項目で「新しい型の業態や技術を積極的に導入し、チェーン経営、物流配 送、複合一貫輸送を普及させ、従来の流通業、輸送業と郵政業を改造する」ことが明記さ れた。5 ヵ年計画に項目として物流が取り上げられたのは画期的なことである。この「発 展意見」は、中国における「現代物流」の方向性も明確に打ち出したものといえ、この「発 展意見」の公布された2001年を以って中国の物流元年という人もいる。
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(2)「わが国現代物流の発展の促進に関する若干の意見」
その後、04年には「わが国現代物流の発展の促進に関する若干の意見」(以下、「促進意 見」)が公表された。この「促進意見」は、「発展意見」を具体的政策レベルで方向付けて おり、その後策定された第11次5 ヵ年計画を始めとする各種物流政策は、この「促進意 見」を踏まえて展開されているといってよく、そういう意味では現代物流政策の大綱的存 在である。
03年の行政改革で国家経済貿易委員会・経済運行局を吸収し、物流政策の策定機関とな った国家発改委が主導して作成された。国家発改委経済運行局が起草し、ほぼ1年をかけ 関係官庁(商務部、公安部、鉄道部、交通部、税関総署、税務総局、民航総局、工商総局)
間で調整を繰り返してまとめられたもので、9部委の連名で公布されている。
「促進意見」は以下の4つの視点を踏まえている。
1)物流業発展の環境づくり
2)物流業の発展を促進する効果的施策の検討 3)技術レベルにおける物流業への支援 4)物流政策における行政組織の統合 その具体的内容は以下の通りである。
1)物流業発展の環境づくり
①行政管理方式を改善し、企業の新規参入および運営に関する一部の審査手続きを 省略する。
②税収管理を一元化し、無秩序な費用徴収を取り締まる。
2)物流業の発展を促進する効果的施策の検討 ①荷主自家物流のアウトソーシングを奨励する ②物流事業者同士のM&Aによる規模拡大を奨励する ③物流事業者の専門化を支援する
④優良物流事業者の資本調達のサポートを重点的に支援する ⑤外国資本・技術の導入を支援する
⑥国有の大型・中型企業物流部門の独立を支援する ⑦通関手続きを簡素化する
⑧都市内物流の円滑化に取組む
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3)技術レベルにおける物流業への支援
①物流スタンダードの体系化および標準化を促進する ②物流専門車両の設備の使用を推奨する
③物流情報レベルを向上させる
④資格制度の創設による物流人材育成を支援する 4)物流政策における行政組織の統合
①物流関連行政部門を構築する
(3)「わが国サービス業の発展を加速する若干の意見」
07年3月、国務院は「わが国サービス業の発展を加速する若干の意見」(以下、「サービ ス業発展加速意見」)を公布した。この「サービス業発展加速意見」において、物流業に関 しては、専業化、社会化レベルの向上、第三者物流の大いなる発展、鉄道、民航などのサ ービス業の改革の深化、市場参入の緩和、競争制御の導入、国有資産の組み替え、投資主 体の多元化の推進などを指摘している。
「サービス業発展加速意見」の徹底した実施のために、07年に国家発改委がリーダーと なって、各部委が連携し、一連の関連政策を制定、公布した。例えば、「現代物流業発展計 画」を編制完成し、「総合交通網中長期発展計画」を審議通過し、07年9月には「第1回 全国製造業と物流業連動発展大会」を開催、製造業と物流業の連動発展などを指導してい る。また、北京、上海、天津、山東、広東、福建等の省市および深圳、武漢、大連、瀋陽、
寧波などの大中都市の地方政府が、個別に規則、要綱、重点発展産業領域などの方式で、
当該地区の現代物流発展に対して戦略的対応を行うなど、中央から地方まで物流業発展の 指導目標を更に明確に、政策をあわせる努力をしている。
以上、「発展意見」、「促進意見」、「サービス業発展加速意見」をみてきた。「促進意見」
はその後の物流政策のベースとなるものであり、第11 次5カ年計画、その他各部門にお ける諸政策はその延長線上で展開されているといってよい。
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第 3 節 中国物流のマクロ的把握
国家発改委は、四半期、半年、年単位で「わが国物流運行状況分析」(以下、「運行状況分 析」)を公表している。その分析のベースとなる統計は「物流統計情報」である。表 1-2 は07年および08年上半期の数字を記載したものである。
表 1-2 2007 年,08 年上半期 物流統計情報
単位 金額 前年比(%)構成比率 金額 前年比(%)伸び増分 構成比率
1.社会物流総費用 億元 45,406 18.2 24,032 19.8 3.0
輸送費用 億元 24,708 17.6 54.4 12,760 16.5 1.2 53.1
保管費用 億元 14,943 21.2 32.9 8,377 24.4 4.4 34.9
管理費用 億元 5,755 13.6 12.7 2,895 21.7 11.1 12.0
2.物流業付加価値 億元 16,981 20.3 8,962 16.1 -1.1
内:交通運輸業 億元 12,543 17.6 73.9
倉庫業 億元 808 24.7 4.8
貿易業 億元 3,406 26.3 20.1
配送・加工・梱包業 億元 1,253 32.1 7.4
郵政業 億元 224 21.1 1.3
3.社会物流総額 億元 752,283 26.2 432,910 28.1 2.5
内:農産品物流総額 億元 15,849 17.0 2.1 6,451 22.3 8.0 1.5
工業品物流総額 億元 660,878 27.9 87.8 384,717 29.2 1.8 88.9
輸入貨物物流総額 億元 72,627 14.8 9.7 39,656 18.5 4.8 9.2
再生資源物流総額 億元 2,436 18.3 0.3 1,919 42.9 25.4 0.4
単位及住民物品物流総額 億元 493 21.1 0.1 167 20.0 8.5 0.0
4.貨運総量 億トン 225 10.7 117 11.9
内:鉄路貨運総量 億トン 31 9.0 13.9 17 7.1 14.5
道路貨運総量 億トン 163 11.0 72.3 86 12.9 73.5
水運貨運総量 億トン 27 9.7 12.1 14 11.4 12.0
民航貨運総量 万トン 402 15.0 0.0 202 8.1 0.0
5.貨運回転量 億トン・Km 99,181 11.8 50,590 7.4
内:鉄路回転量 億トン・Km 23,797 8.4 24.0 12,567 6.3 -3.7 24.8 道路回転量 億トン・Km 11,258 15.4 11.4 6,127 15.2 -1.6 12.1 水運回転量 億トン・Km 62,182 12.1 62.7 31,835 6.4 -12.9 62.9
民航回転量 億トン・Km 116 23.5 0.1 59 10.5 -17.1 0.1
6.一定規模以上港湾の貨物取扱量 万トン 52 13.4
7.港湾コンテナ取扱量 万TEU 11,179 21.5
8.物流関連固定資産投資 億元 14,281 17.4 5713 9.6 -11.1
内:交通運輸業 億元 10,972 10.8 76.8 4047.5 4 -11.9 70.8
倉庫業 億元 748 55.6 5.2 399.7 47.1 -11.7 7.0
貿易業 億元 2,444 33.8 17.1 1227.8 21.3 -11.5 21.5
配送・加工・梱包業 億元 75 29.6 0.5 37.6 21.3 -11.3 0.7
郵政業 億元 42 5.5 0.3 (倉庫業に含む)
GDP 億元 246,619 11.7 130,619 10.4
社会物流総費用/GDP 18.4 18.4
08年上半期 07年
出所:国家発展改革委員会ホームページ資料を加工
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「物流運行状況分析」は、この物流統計情報をふまえて、社会物流総額、物流業付加価値、
社会物流総費用、物流業固定資産投資について概説している。
08年上半期の「運行状況分析」を基に見てみよう。
1.社会物流総額
社会物流総額の定義は、「一定の期間内に、社会物流領域に入ったもの、社会物流サービ スを経由し、ユーザーに輸送されたか、または輸送途上の貨物の価値総額。それは一定期 間内の社会物流生産規模の価値量の表現であり、貨運量、回転量などの指標とともに社会 物流生産規模を反映している。」(注 2)である。簡単に言うと、「一定の期間内において社 会に物流対象品として存在している貨物の総量」である。物流が外部化されたものが対象 となっている、即ち、物流市場を構成している貨物と考えるべきものである。
表2の3に社会物流総額がある。項目としては、農産品物流総額、工業品物流総額、輸 入貨物物流総額、再生資源物流総額、単位・住民物品物流総額となっている。これらのう ち、再生資源物流総額とは、いわゆる静脈物流と言われるものである。単位・住民物品物 流とは、宅配、引越し等の消費者物流を指している。輸入品以外は前年同期比、20%以上 の増加となっている。特に再生資源物流の伸びは43%となっており、急速に拡大している。
各項目ともGDPの伸びを大幅に超えて増加している。これは、物流が急速に外部化して いることの証左である。
中国において、社会主義経済の残滓もあり、物流は自社物流が主流であった。
「中国倉庫協会」の調査によると、01年から05年までの間、製造業の製品物流は「全部 外部委託」の委託率は21%から 31%まで増えた一方、「全部自家物流」の比率は 43%か
ら 16%まで低下した。さらに「自家物流と外部委託の両方式を兼ねている」企業は 36%
から53%まで増加している。製造業は製品物流に関わる輸送、保管、配送など何らかの物
流業務を外部に委託したことによって、外部委託率は全体で57%から84%まで上昇した。
構成で見ると、工業が88.9%であるのに対し、農業は1.5%でしかない。如何に農業に おける物流が外部化されていないかが理解できる。それが、次節で述べる「万村千郷プロ ジェクト」、「双百市場プロジェクト」、「グリーンルート」などの農村における流通・物流 の振興政策に繋がっているのである。
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2.物流業付加価値
サービス業は「サービス業発展加速意見」に基づき、サービス各部門は積極的な対応を しているが、その中で物流業も大きく貢献している。それを付加価値の問題でとらえよう としている。
07年における物流業の付加価値は全サービス業の17.6%であり、06年より0.5ポイン ト増加した。またGDPの 6.9%を占め前年比 0.2 ポイント増であり、サービス業の発展 の重要な原動力になっている。
しかし、08年上半期は、前年同期比で減少している。これは年初の自然災害による損失、
輸出減に伴う減少、燃料や原材料の大幅な価格高騰によるものである。全サービス業の中 でも物流の比率は下がっており、物流業が自然災害、その他の影響を大きく受けたことを 示している。
3.社会物流総費用
社会物流総費用であるが、この数字は全社会の物流総費用を表し、対GDP比で把握さ れ物流の効率性議論に繋げられることが多い。08 年上半期のそれは 18.4%である。中国 においてこの数字は減少してきている。00年では19.4%であったものが、現在は18.4%。
米国がそれぞれ10.2%、9.5%、日本が8.7%、8.4%という数字であり(注3)、中国物流 業の効率性の低さを表していると中国の政策部門が極めて重視している数字である。
社会物流総費用の増加の原因は、主に3つ挙げられている。一つは、原燃料費の大幅増、
二つ目は、労務費のアップ、三つ目は、借り入れ金利の上昇であるという。
社会物流総費用の内訳は輸送費用、保管費用、管理費用である。項目別に見ると、08年 上半期の輸送費用は、前年同期比16.5%増で、伸びの増分は1.2ポイント。輸送費用の社 会物流総費用に占める比率は、53.1%と前年同期に比べ2ポイントの減少。これは、国際 貿易の増加速度の低下、低温や氷雪雨の災害、四川特大地震災害及び南部の広範囲に及ぶ 洪水の影響を受け、物流の実際量の増加が減速したためである。例えば、鉄道貨物回転量
(輸送総トンキロ数)は前年同期比 6.3%増、伸びの増減幅は 3.7 ポイントの減、道路輸送回 転量は同15.2%増、同1.6ポイント減、水運回転量は同6.4%増、同12.9ポイント減、
民航貨運回転量は同10.5%増、同17.1ポイントの減少であった。
保管費用は前年同期比24.4%増、伸びの増分は4.4ポイントで、保管費用の社会物流総 費用に占める比率は34.9%と前年同期より2.1ポイントの増加。
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保管費用の構成から見ると、第一に、資金のコスト上昇が大きい。08年上半期の利子支 出は、前年同期比30%増で、伸びの増分は15.8ポイント。二つ目は、流通加工、配送、
梱包、情報及び関連サービスなどの現代物流業務が引き続き増加している。同上半期の流 通加工は同28.1%増、配送は同 31.5%増、梱包は同 28.1%増、情報及び関連サービスは
同33.3%増といずれも増加であった。この現代物流業務の大きな増加率は、中国物流の
高度化を表しているものである。三つ目は保険費用が明らかに増加したことであり、保険 費支出は同34.6%増、伸びの増分は18.6ポイントであった。中国において保険付保比 率の低さが問題となっているが、改善されてきていることを示している。
管理費用は同21.7%増、伸びの増分は11.1ポイント、また社会物流総費用に占める比 重は12.0%で、伸びの増減幅は0.2ポイントの減少であった。
4.物流業固定資産投資
物流業固定資産投資は、物流インフラの整備状況を表している数字である。
08年上半期には、交通運輸業、倉庫業、貿易業、配送・加工・梱包業のすべての項目が 対前年比伸びの増分でマイナスとなっているということである。対前年比伸び率ではそれ ぞれまだ大きい(倉庫業は47.1%、貿易業は21.3%、配送・流通加工・梱包業は21.3%)
が、交通運輸業の投資増加率が大幅に落ちたこと(4%)が目立った。これは四川大地震 による影響と考えられ一時的なものである。倉庫の伸びは外資の貢献度が高い。ここでい う貿易業への投資とは、通関等の情報システム等への投資である。この方面への注力が大 きいことが分かる。
以上、「物流統計情報」を眺めたが、中国の政策当局が総体としての物流をどのように捉 えているかということを理解する上で、非常に参考になる。
社会物流総額ということでは、農業部門の物流の市場化が遅れている。ということで次 節で述べるが、農村における流通・物流システムの構築を推進しようという動きにも繋が っている。
物流業の付加価値ということでは、物流企業の粗放性、高度化要請についての問題意識 に繋がっている。
物流総費用ということでは、物流業全般の効率性の問題意識である。中国はまだまだ先 進国との対比において非効率であり、効率を上げていくことが必要との認識である。
固定資産投資額は、物流インフラの整備状況の把握であり、具体的政策目標に繋がりや
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すいものである。
第 4 節 中国現代物流の課題と政策対応
第1節で触れた部際連絡会議弁公室と国家発改委経済運行局が公表している「全国現代 物流発展及び連絡会議工作状況報告」(07 年)において、現在の中国物流の現状を次のよ うに総括している。
「中国現代物流は中国経済の安定快速な発展に伴って順調に発展している。ただ、順調で はあるが、物流インフラも依然不十分であり、中国の物流業は、まだ初期段階にあり、粗 放式経営構造は依然として変わっていないことを認識する必要がある。社会化物流の有効 需要は不足しており、物流の対応能力とサービスレベルは市場の需要に適応していない、
地区間、業界内の物流発展は均衡が取れていない、市場体系の建設は完全ではない、地方 の保護と不公正な競争は物流領域で突出している。既に出されている政策措置は更に確実 なものとする必要があり、長期的にみれば、物流業の発展の為にはより整った産業政策の 支えが必要である。」
ここに中国物流に対する政策当局の問題意識と政策課題が集約されている。
・社会化物流の有効需要が不足しているということは、まだまだ物流の外部化が進んでい ないことを示しており、市場化が充分なされていないということである。
・物流の対応能力とサービスレベルが市場の需要に適応していないというのは、特に中国 物流企業のサービスレベルが低く、ユーザーの要求に対応できていない。外資系ユーザー の需要に対応できず、その物流市場への参入は困難であり、外資系物流企業の進出に対抗 できていない、ということを言っている。
・地区間、業界内の物流発展は均衡が取れていないということは、物流市場における地域 格差、業界内での格差が大きいということを示している。東部沿海地区、大都市地区にお ける物流の急成長に比し、内陸部、農村部における物流の発達の遅れが目立つ。特に農村 における物流業の育成に問題意識がある。
・市場体系の建設は完全ではないということは、中国の大部分の物流企業の規模が小さく 生存能力が弱い、価格競争が一部の物流企業の主要な競争手段となっており、無秩序競争 の現象が深刻で市場構造が不合理であるという認識である。
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・地方の保護と不公正な競争は物流領域で突出しているということは、地方において地方 保護の観点から不公正な規制をしている例(例えば、他省の業者から各種名目で費用を徴 収する、他省業者に事業免許をなかなか下ろさないなど)があり、全国の物流ネットワー ク構築が出来にくい、などのことを言っている。また、不公正な競争のひとつになる過積 載問題など法令違反についても厳重に対処する必要があるとの認識である。
以下、この中国物流の課題について、政策の対応状況をみていこう。
1.物流インフラの整備・拡充
この課題に対する対応は明確である。各部門の計画策定、実行状況は以下の通りである。
国家発改委は、国務院が批准した、鉄道、水路、民航の個別計画と「総合交通網中長期 発展計画」を確実なものにし、各種輸送方式のつながりを強化し、複合一貫輸送の発展を 促進する。鉄道部は、「中長期鉄路網計画」と「鉄路十一五計画」を確実なものにし、実施 し拡大再生産をすすめ、鉄道輸送能力のアップを速める。交通運輸部は、「国家道路水路交 通、"十一五”発展計画」を更に進め、重点プロジェクト建設を継続推進し、現代物流発展 のインフラを保障する。民航局は、「“十一五”民航運輸発展計画」を踏まえ、航空貨物産 業化の実施を加速、貨運インフラ建設を継続推進する、というものである。
問題はこれらの計画に対する実行であるが、物流業の固定資産投資が引き続き増加して いるということは、これらの計画が着実に実行に移されていることを表わしている。
06年、07年の動向を見ると、物流業固定資産投資額はそれぞれ、1兆2,169億元、1兆 4,281億元であり、前年比+23.4%、+17.4%。全国の新設の鉄道は 1,609km,678Km であり、新設及び改修道路は34万Km、14万Km、そのうち高速道路は4,460Km,8,059K m、万トン級バースの増加能力は4.9億トン、4.4億トンであった。
物流園区、物流基地については計画に基づき建設が進められており、上海、大連および 天津の3大航運中心では積極的に物流施設の建設が進められている。産業領域の物流施設 の発展は迅速であり、鉄鋼、化工、自動車などの専業物流が急速に発展している。
07年、各地で倉庫建設が更に重視され、外資が物流センター建設を加速した。例えばプ ロロジス(本社は米国デンバー)は物流施設を継続的に拡張しており、案件の一つの瀋陽 物流園区の建設面積は 19 万㎡である。DHLは各主要空港に貨運中心を建設、仏FM物 流は太倉と北京郊外に 2 つの物流中心を建設している。(このレポート作成中に衝撃的な ニュースがはいった。プロロジスが、08年12月末、中国における事業全部をシンガポー
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ル政府系企業のGICリアル・エステートの関連企業へ売却する契約を締結したとの発表 である。(注4)
08年初から始まった米国発の世界的金融危機は、中国物流へも大きな影響をもたらして いる。金融危機の影響で中国全体の投資は減速したが、物流関連も例外ではなく、08 年 1/四〜3/四で前年同期比 3%の減少となった。中国政府は中国経済を下支えする為に 4 兆 元の景気対策を実施するが、その大きな目玉として物流インフラへの投資がある。
鉄道部によれば、08年末までに準備の整った34の鉄道建設プロジェクトが許可される 可能性があり、規模は3,800億元に達する。09年は6,000億元の投資を計画し、約70の プロジェクトについて新規着工する。今後4年で鉄道車両の購入に5,000億元を投資する。
道路については、09 年、10 年の全国交通固定資産投資規模は、年平均1兆元の水準に 達する。また空港に関しては、09年は40余りの飛行場を新規に着工し、投資規模は2,000 億元である。10年は20ヵ所の飛行場について新規着工し、投資規模は2,500億元である。
(注5)
2.物流市場の育成
物流市場の育成に関しては、国家発改委、商務部、鉄道部、交通運輸部などが積極的な 施策を打ち出している。また関連して財政部、公安部などもサポートを行っている。
07年3月19日、国務院の「サービス業の発展を加速する若干の意見」において、物流 業の専業化、社会化のレベルを向上させ、第三者物流を大いに発展させ、鉄道、民航など のサービス業の改革を深化させ、市場参入を緩め、競争制御を導入し、国有資産を組み替 え、投資主体の多元化を図ることを指摘している。
「サービス業の発展を加速する若干の意見」の徹底した実施のために、07年に国家発改 委がリーダーとなって、各部委が連携し、一連の関連政策を制定、公布した。例えば、「現 代物流業発展計画」を編成・完成し、「総合交通網中長期発展計画」を審議・通過し、07 年9月には「第1回全国製造業と物流業連動発展大会」を開催し、製造業と物流業の連動 発展などを指導している。北京、上海、天津、山東、広東、福建等の省市および深圳、武 漢、大連、瀋陽、寧波などの大中都市の地方政府が十一五計画及び「サービス業の発展を 加速する若干の意見」の基本精神に則って個別に規則、要綱、重点発展産業領域などの方 式で、十一五計画の当該地区の現代物流発展に対して戦略対応を行い、実施を強めた。中 央から地方まで物流業発展の指導目標を更に明確に、政策をあわせる努力をしていると言
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える。
商務部は、
①積極的にチェーンストア企業の内部配送センターの建設及び管理強化、特に生鮮食品 配送センター建設する。
②「万村千郷市場プロジェクト」を全面的に推進し、農村にチェーンストア、スーパー マーケット物流システム及び配送物流システムを設立する。
この「万村千郷市場プロジェクト」とは、05年に開始された農村の現代流通ネット ワーク建設プロジェクト。財政資金の補助、補填方式で都市チェーンストア、スーパ ーマーケットなどを農村に展開させ農村店を発展させようとするもの。05 年から 07 年までに全国に25万店の農村店を建設するというものである。
③「双百市場プロジェクト」を推し進め、農産品卸売市場と農産品流通企業の健全な発 展を推し進める。関係部門と協力して投資、税金、融資、土地、用水、用電などの補 助政策を検討、制定する。
「双百市場プロジェクト」工程とは、農産物の市場化を促進し、農業の生産性向上、
農民の増収、農村の発展のため、また、農産品の流通安全のために商務部が 06 年か ら始めたもの。大型の農産品卸売市場と流通企業をそれぞれ百社ずつ選定し(実際は 両方で309社)、レベルアップ・改造を図る。「双百市場プロジェクト」を通じて、農 産品の流通施設の改造、流通ルートの開拓、農産品の流通コスト削減等を通じ農民収 入の増加、市場への供給を保障し地方経済の発展に繋げるというものである。
④国際貨運代理企業の関係法規の修正、完備を急ぎ、国際貨運代理企業情報管理プラッ トフォームにより国際貨運代理業界の今後の管理監督を強化する。
⑤現代商業物流体系を積極的に構築する。現代商業物流体系の建設を加速させる指導意 見を制定し、一部の企業を選び、商業物流発展モデルを通じ、流通コストを低下させ る。
⑥中部勃興戦略にあわせて中部地区物流体系の建設を強化する、としている。
交通運輸部は、
①公安部などの部門と農産品「グリーンルート」(緑色通道)の建設を行う。
この「グリーンルート」とは、05年に開始された生鮮食品を対象とした道路輸送政 策。グリーンルートを利用することにより、車両通行費の免除を受けることが出来る。
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07年末現在で、グリーンルートの総距離数は、高速道路、国道を含めて4.3万Kmに 達しているという。
②道路、水路輸送企業への総合物流サービスの積極的導入をはかり、現代物流モデル工 程を適時開始する。
③交通業において一部の企業を選択した上で現代物流システムと運行試点を建設し、モ デルを通して、伝統的な運輸企業を現代物流企業へと転換する。
④交通輸送の応用技術の研究と合作を強め、情報技術の開発利用を進め、貨運交易、配 載情報サービスを積極的に進めて交通電子港湾の建設を積極的に推進し、輸送効率を 高め、物流コストを低下させる。
また、民航局は航空貨運ターミナルの建設を主導する、としている。
鉄道部は、
①コンテナの複合一貫輸送に注力し、大型区域性物流センターの建設を急ぐ。
②貨運五定班列、行包専列、行郵専列などの快速輸送、大宗貨物の点間直接輸送、戦略 装車点などを大々的に発展させる。
③積み下ろし点の建設、鉄路貨運大ユーザーの拡大、「集中受理、優化装車、統一配置輸 送力資源」(注6)の貨運実行方式を推進、鉄路貨運生産組織の大規模化、集約化の方 向へ促進する。
④鉄道専業輸送企業から現代物流企業へ転換を急ぎ、一大区域性物流センターを建設す る。
⑤鉄道輸送の優位性を充分に発揮し、水路、道路などの輸送方式と結びつけ、鉄道輸送 業と港湾、船会社、大型物流企業との戦略的な合作を行い、コンテナ輸送とシー・ラ ンド輸送の重点発展を図る、としている。
財政部は、
①国家発改委、財政部は物流インフラ建設および物流企業発展のために特別資金を手配 する。
②現行の財政政策を完備し、財政資金を継続投入して農産品流通サービス施設の建設、
農産品、農業生産財及び日用工業品の流通企業の発展、農産品の国際市場開拓、流通 業界の構造調整及び、民族貿易ネットワーク建設を行い、新農村現代物流サービスネ
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ットワークと農村現代物流体系建設を促進する、としている。
公安部は、
①現在のわが国経済発展の新しい状況及び新たな要求の交通管理方式について、各地域 の積極的な模索に対して継続的指導を推進する。
②現地の交通と物流発展状況に基づき、関係部門と協力して貨物機動車の通行時間、通 行区域について調整する。
③道路交通計画、建設、管理一体化の観点から、建設部門が行う当地の大型物流企業の 項目設計中の交通影響に関する評価業務に、大型物流企業の輸送がスムーズに行われ るように協力する。
④各地の貨運機動車の進入制限区域を積極的に推進し、大型物流企業の配送車両の通行 及び停車の便に供する、としている。
3.物流市場への参入拡大に関する政策
物流市場への参入拡大に関する政策については、商務部が06年4月、「物流領域に外資 を更に誘致する工作に関する通知」を出している。これは、貨運代理、道路輸送業以外は 商業領域管理弁法の資本金規定、即ち会社法の資本金規定を適用する、また、批准権限が 特定のもの以外は地方に移ったということで、物流市場への外資の参入を緩和している。
民航局は、「国内航空貨運の発展を加速することに関する若干の政策措置の意見」を踏ま え、国内航空貨運及び民用航空販売代理市場への参入を更に緩めている。また、伝統航空 輸送及び関連の販売代理企業の現代物流企業への転換を促進することについて、措置をと り、交通運輸企業の現代物流試点工作を固め拡大させ、幾つかの現代物流大企業を育成し てゆくとしている。
4.物流市場の監督強化
中国政府は物流業の規範化に力をいれている。物流業の規範化ということでは、2 つの ことが大きく取り上げられている。一つは、地方保護主義の打破(中国語では「地区封鎖 打破」)、もう一つは過積載の取締りである。
地方保護主義の打破とは、地方政府が物流に関連して各種規制をかけ、当該地域の物流 業を保護する動きである。例えば、他省の貨物車両に対して不当な費用を徴収する、他省
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の業者に事業免許をなかなか下ろさないなどの例である。
商務部などは財政部、税務総局、質検総局の各部門と市場経済整理活動を行い、地方保 護主義規定の整理工作を展開し、06 年、物流発展に影響する 300 件余りの文件を整理撤 廃している。全国工商行政管理機関も、交通運輸クレーム4,000件余りから、地方保護、
行政独占案件を10件余り押さえている。
つぎに、過積載問題であるが、これは、安全面、環境保護面からつとに問題になってい たが、その規制はなかなか実効があがっていない。
07年11月、交通部など9部委が3年間集中した過積載撲滅運動の基礎の上に、過積載 撲滅業務の恒久的コントロールの仕組みを今後3年以内に構築するとしている。
質検総局は、科学技術の手段を運用し、監督管理能力を高める。全システムで電子監督 管理システムの応用を推進し、港湾、埠頭、CSY、チェックポイント、旅客通路、一部の 重点敏感商品企業生産ライン上に監視カメラを設置、総局および直属局に監視カメラ監督 コントロールセンターを置き、総局、直属局、分支機構の3級のネットワークを稼動させ るとしている。
このように中国政府は各種の政策的調整で物流業の規範化に力をいれている。
5.物流市場の整備、物流企業の育成など
(1)物流企業の営業税差額納税制度の導入
物流市場の整備、物流企業の育成観点から、物流企業の営業税差額納税制度の導入があ る。中国の流通税には、主なものとして増値税と営業税がある。増値税とは、中国国内で の物品の販売又は加工、修理、組立ての役務提供および物品の輸入に関して納付するもの であり、営業税は中国国内で特定の課税役務の提供、無形資産の譲渡及び不動産の販売に 関して納付するものである。物流業は、営業税の納付対象であり、輸送業務の税率は3%、
倉庫その他は5%である。
ところで増値税は、前工程分の増値税が控除される仕組みとなっており、営業税でも物 流業以外のサービス業においては、この前工程の営業税が控除される仕組みになっている。
ところが、物流業については、この営業税の前工程分の控除の仕組みがない。即ち、前 工程の業者が、自分の売上金額をベースに納税し、後工程の業者は、前工程の業者の売上 額を含む自分の売上額全体をベースに納税することとなっている。重複納税という仕組み である。
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この重複納税は、他のサービス業では逐次解消されてきたが、物流業ではなかなか解決 できなかった。その理由として、物流業者の認定の難しさにあった。さほどの施設、資本 も持たずに参入して物流業者として登録している企業が多いため、制度運営の対象を如何 にするかが問題であったのである。
これを解決する為に、税務総局は、物流企業の経験と実績評価を認定基準として設定し 段階的に試点企業として認定し、物流企業の営業税の差額納税トライアルの範囲を逐次拡 大している。08年には「試点物流企業名簿(第4次)」で184社が公布されている。
税務総局はまた、物流企業の所得税統一納税方法についても、「物流企業の企業所得税納 付に関する問題の通知」を公布、施行している。一定の条件を満たした物流企業は、同一 の省・自治区・直轄市の範囲内で区を跨った機構を設置することができ、その企業所得税 も本部で一括納入することが可能であるとするものである。
(2)港湾物流の通関環境の改善について
税関総署と質検総局は、通関・検査の連携方式を作り、輸出の通関速度を向上させている。
税関総署は、2006 年 7 月から全国レベルで「属地申告、港湾検査」方式を実施してい る。B/Lの事前申請を全面的に推進し、「事前申請、到着検収完了」とし、管轄署を跨るも のについては「属地申請、港湾検収」の地域通関方式を行うという「大通関システム」であ る。
また、保税物流監督管理改革を継続推進し、各類特殊監管区域及び保税監管場所の「功 能整合、政策徹底」を積極的に推進している。さらには、保税区の発展方向に関する調査 研究を総括し実施に踏み切るよう努力、保税物流中心(B型) (注7) 試点工作を開始する としている。
質検総局は、港湾の検査効率を高めるため、簡素化ステップ、利便性向上、快速化の要 求に基づき輸出入貨物の直行運行制度を設立し、一部の地区で先行トライアルを実施した。
税関の「通関単ネットワーク」(いわゆる「電子口岸」)を全面的に推進し、電子台帳を設 立し、通関データの遡及性を可能ならしめる。また、システム化を強め、工作の効率を高 める。E-CIQシステム(EDIを運営する具体的なシステム)のレベルアップを全面的に 開始し、「大通関」トラブル対応センターの建設および電子支払システムの開発業務、検験 検疫業務の応用プラットフォーム及びサービスプラットフォームを完備し、科学的、合理 的、高効率の検験検疫情報の総合処理、相互利用のメカニズムを建設するとしている。
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