2009年度学会巡検報告 学園都市KUNITACHIの成立と その後 : 前近代から現代のまちづくりまで
雑誌名 学芸地理
号 65
ページ 63‑64
発行年 2010‑12‑24
その他の言語のタイ トル
Field Trip, 2009
URL http://hdl.handle.net/2309/110328
-1- 学 会 記 事
2009 年度の学会巡検は,2010 年 5 月 8 日(日)
に,東京都国立市において行われ,卒業生や学 生計 35 名が参加した.国立は大正時代末,箱 根土地株式会社(のちの株式会社コクド)によっ て「学園都市」として計画的につくられたモダ ンな印象を受ける地域である.一方,南に隣接 する谷保は,旧・甲州街道沿いに,谷保天満宮 と農村景観が残されている.南から北へ,過去 から現在へ,2 つの異なる景観が隣接する国立 市について,椿真智子先生からご解説を頂いた.
13 時に JR 南武線谷保駅に集合し,谷保駅の 南に位置する谷保天満宮へ向かった.道中の屋 敷では,北西の方角に祠を立て,農業の神を祀っ ていた.幕末以降,この辺りは甲斐絹の輸送路 として栄え,甲州街道沿いには蔵のある農家が 並び,現在も短冊型地割が残っている.また,
江戸時代前期の甲州街道は,谷保天満宮の南側 を通っていたが,多摩川の流路や渡し場が移動
したため,現在は一段高い境内の北側を通って いる.
谷保天満宮には菅原道真が祀られており,亀 戸天神社,湯島天満宮とならび関東三大天神と されている.甲州街道から拝殿へと続く参道は 下り坂となっており,甲州街道の移動によって このような珍しい作りとなった.谷保天満宮の 敷地内にはハケと呼ばれる立川段丘崖線が存在 する.ハケ下では年中水が湧き,谷保天満宮の 裏手にある「常盤の清水」は,東京の名湧水 57 選に選ばれている.谷保の「谷」は台地や 丘陵地が浸食された「ヤト・ヤツ」の意味であり,
湧水は農業・生活用水として利用されてきた.
谷保駅の北に位置する富士見台団地は,1965 年に日本住宅公団(現独立行政法人都市再生機 構)が建設した公共住宅である.現在居住する 約 1,120 世帯のうち,およそ半数は高齢者世帯 とされている.1人暮らしの高齢者も多く,5
2009 年度 学会巡検報告
実施日:2010 年5月8日(日)
案内者:椿 真智子(東京学芸大学)
コース:谷保駅 ― 谷保天満宮 ― 富士見台団地 ― 「むっさ 21」富士見台名店街 ― 大学通り ― 一橋大学 ( 図書館・兼松講堂) ― 商業地区 ― たましん歴史資料館 ― 国立駅
写真1 椿先生による巡検説明
(五十嵐(院 44 期)撮影)
写真2 谷保天満宮拝殿
(五十嵐(院 44 期)撮影)
学園都市 KUNITACHI の成立とその後
-前近代から現代のまちづくりまで-
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学 芸 地 理 第 65 号 (2010)
階建ての建物の大半はエレベーターが設置され ておらず,高齢者には不便な造りとなってい る.また,団地内には富士見台名店街という商 業施設があるものの,近年,廃業する店舗がみ られるようになり,空き店舗の利用方法が問題 となった.そこで,1991 年に商店街の外観を 整備し,「むっさ 21」の愛称が付けられ,活性 化が図られた.
本巡検では,富士見台名店街で活動する NPO 法人「くにたち富士見台人間環境キーステー
ション(以下,KF)」の方々にお話を伺った.
KF は一橋大学のサークル「Pro‐K」に所属す る学生が主体となり,地域住民や国立市と連携・
協働して空き店舗を有効的に活用している.喫 茶店「ここたの」や国立市産の野菜と食品の店
「とれたの」,貸しホールの管理,運営など,さ まざまな事業を展開していた.ただし,店舗の 収入が年々減少しているということから,商店 街の活性化の難しさを感じた.
大学通りを国立駅に向かって進み,景観論争 の発端となった高層マンションや一橋大学を見 学し,兼松講堂前で集合写真を撮った.最後に,
国立駅前にあるたましん歴史・美術館・歴史資 料館を見学した後,解散となった.
今年度の学会巡検では,巡検のおもしろさに ついて改めて認識することができた.普段気に 留めない街の風景が,あたかも語りかけてくる ようであった.僭越ながら,この場を借りて,
今回の巡検を企画された椿先生に感謝の意を表 したい. (院1年 牧 和弘)
写真3 KF が経営する店舗「とれたの」
(五十嵐(院 44 期)撮影)
写真4 巡検参加者集合写真
(五十嵐(院 44 期)撮影)
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階建ての建物の大半はエレベーターが設置され ておらず,高齢者には不便な造りとなってい る.また,団地内には富士見台名店街という商 業施設があるものの,近年,廃業する店舗がみ られるようになり,空き店舗の利用方法が問題 となった.そこで,1991 年に商店街の外観を 整備し,「むっさ 21」の愛称が付けられ,活性 化が図られた.
本巡検では,富士見台名店街で活動する NPO 法人「くにたち富士見台人間環境キーステー
ション(以下,KF)」の方々にお話を伺った.
KF は一橋大学のサークル「Pro‐K」に所属す る学生が主体となり,地域住民や国立市と連携・
協働して空き店舗を有効的に活用している.喫 茶店「ここたの」や国立市産の野菜と食品の店
「とれたの」,貸しホールの管理,運営など,さ まざまな事業を展開していた.ただし,店舗の 収入が年々減少しているということから,商店 街の活性化の難しさを感じた.
大学通りを国立駅に向かって進み,景観論争 の発端となった高層マンションや一橋大学を見 学し,兼松講堂前で集合写真を撮った.最後に,
国立駅前にあるたましん歴史・美術館・歴史資 料館を見学した後,解散となった.
今年度の学会巡検では,巡検のおもしろさに ついて改めて認識することができた.普段気に 留めない街の風景が,あたかも語りかけてくる ようであった.僭越ながら,この場を借りて,
今回の巡検を企画された椿先生に感謝の意を表 したい. (院1年 牧 和弘)
写真3 KF が経営する店舗「とれたの」
(五十嵐(院 44 期)撮影)
写真4 巡検参加者集合写真
(五十嵐(院 44 期)撮影)
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