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学会印象記 第18回日本学校教育相談学会

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著者 相馬 誠一

雑誌名 東京家政大学附属臨床相談センター紀要

巻 7

ページ 67‑77

発行年 2007

出版者 東京家政大学附属臨床相談センター

URL http://id.nii.ac.jp/1653/00010042/

(2)

       学会印象記

第18回日本学校教育相談学会

(Impressions of the Japanese annuals of school counseling      and guidance association 18th meeting)

相 馬 誠

東京家政大学文学部心理教育学科 教授

 東京家政大学板橋校舎を会場に2006年8月5目から7日までの3日間にわたり第18回日 本学校教育相談学会が埼玉支部長中村孝太郎大会会長のもと行われた。

 大会には北海道から沖縄と全国から350名の方々を迎え開催することができた。会場の外 は真夏日だったが、大学当局から全館冷房の配慮をしていただき恵まれた環境の下での大会 となった。8月5日の学会主催研修会では、本学の近喰ふじ子先生、福井至先生も講師として 活躍していただいた。

 東京家政大学の大学院生・学生等30名がボランティアとして会場内外で大活躍し、「東京 家政大学の学生さんたちの気配りはすごい」、「手際の良さで無事運営ができ主催者等のスタ

ッフも大変助けられました」と賛辞をいただいた。また、大会参加者のアンケートも多くの 方から「とてもゆったりとし、満足の行くものであった」、「暑い日でしたが、明日もがんば

るぞと気持ちが高まった」と、高い評価であった。

 今大会は大会参加者の入場をスムーズにするため、参加者に、事前に参加証を配布し、受 付業務を簡素化したり、日本カウンセリング学会とジョイント企画として、自主シンポジウ ム等を相互乗り入れして実施した。ジョイント企画の学会主催シンポジウム「学校教育相談 の役割と責務」について以下に報告をしたい。

学会主催シンポジウム「学校教育相談の役割と責務」

 コーディネーター 相馬 誠一    (東京家政大学教授)

シンポジスト 新井 肇     (兵庫教育大学教授)

森嶋 昭伸     (文部科学省生徒指導調査官,国立教育政策研究所総務研究官)

バーンズ亀山静子(ニューヨーク州公認スクールサイコロジスト)

日野宜千    (日本学校教育相談学会会長)

相馬 前学会会長今井五郎先生が心血を注いで まとめてくださった学校教育相談ハンドブック が出来上がりました。学校教育相談学会の今まで

の支柱、これまでのまとめをしてくださいました。

その上でこれから学校教育相談学会がどうある

べきか、それを再確認することと、今までの役割

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と責務を踏まえた上で、これからの一歩をどうし ていくか、そういう事を考えていくのがこのシン ポジウムのねらいでもあります。

 それでは簡単に自己紹介も兼ねまして、学校教 育相談の役割と責務をどのように考えていらっ

しゃるのかについて、お話を伺えたらと思います。

 新井先生お願いします。

新井 私はこの3月まで埼玉県の公立高等学校 の教諭を30年間務めてまいりました。この4月 から、兵庫教育大学の生徒指導実践コースという ところで学校カウンセリングおよび生徒指導の 実践的研究と教育ということに携わるようにな

りました。

 今日は2年間にわたりまして調査研究委員会 の一員として学校教育相談学会の学会員の方々 の現状と意識についての調査をしてまいりまし た。その分析結果から、これからの学校教育相談 の役割と責務ということで、考えているところを 述べさせていただきたいと思います。調査の概要

につきましては、「学校教育相談」の第16号にま とめてあります。ポイントとして、これから学校 教育相談にかかわる我々が、どのような発想と実 践力を身につけていくべきなのか、それを学会と

してどう支援していくべきかということにポイ ントを置きました。今回の調査から見えてきた今 後の課題ということで、5つ指摘をさせていただ

きたいと思います。

 1点目は、支i援の必要性の高い児童生徒への個 別対応はもちろん必要なんですが、すべての児童 生徒に対する集団的アプローチがもっともっと 必要になっています。

 2点目。教育相談を担当する教員の役割権限を、

法的な整備も含めて例えば相談教諭等を設置し ていくことが課題です。

 3点目は、ベテラン教員が退職して若手が急増

してくる中で、若手の教員への教育相談活動の浸 透、そして諸先輩達が切り開いてきた教育相談活 動をどのように継承していくかです。

 それから4点目です。人が移っても火が消えな い体制としての教育相談活動をどう作り上げる のか。そして仲間との支え合い。そういうのが大 事になってると思います。

 最後の5点目ですけれど、学校教育相談学会と して特に、学校カウンセラーの認知度を高めてい くことが必要ではないか。そして、欧米の先進的 な教育に学びつつ、日本の独自の発展・総合を目 指していくことが、これからの我々にとって大き な課題になっていくと考えます。

 以上、調査研究委員会から見た学校教育相談の 役割という事で発表させていただきました。有難

うございました。

相馬 新井先生有難うございました。それでは森 嶋昭伸先生よろしくお願いします。

森嶋 今、国が持っている施策とかこれからの方 向について少しでも情報提供という事でもお話 させていただければと思います。文部科学省の問 題といいますか、児童生徒をめぐる課題について

の主な施策ですが、教育相談体制というのが大き な課題になっております。しかし学校では1番に 授業、要するに、わかる授業楽しい授業。授業が 大切であるということです。学校の先生たち、子 供たちの存在感がある授業とか教室。それがある かどうかということを大切と考えています。です から、学習指導要領の改訂とかカリキュラムの改 訂とかいう話になります。

 2番目には一人一人の先生方の資質と力量です。

これは、やはりその教室の中の先生の役割がどん なものであるかです。

 3番目には相談です。今,子ども達も年々悩ん

でいます。子育てで悩む保護者というのも多いで

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す。そういったような相談の重要性について第3 番目として国としても考えています。ですから国 が配布する予算の中でも相談に関わる費用って いうのは極めて多いものがあります。スクールカ ウンセラーの配置事業は46億という数値、その 数値が平成7年まで3億でした。普通は年々予算 が切られるのが多いんですね。これはやっぱり重 要だと。でもこれは国だけですので、都道府県や 市町村によっては、プラスアルファでいろんなこ

とをやっておりますので、これ以上の工夫がなさ れています。それから、子どもと親の相談員とい

うのがあります。小学校の段階でも、いかに相談 というものを国として重要だと認識しています。

また、これでも足りないと思っております。国が こういうように重要だというメッセージを出せ ば、この先都道府県は予算の中では配置をする、

市町村が配置をする、学校の先生方がそういう意 識を持ってくれていくという、そういう思いです。

 4番目には、学校・家庭・地域と関係機関です。

いろいろな関係機関との連携があったときに、子 どもとの相談というのは成り立つものだという ことが4番目に出ております。

 そして、5番に不登校、それから虐待です。で すから、いかに予算的にいろんな意味で少ないっ て言っても、相談というのが本当には重要なキー ワードというように認識をしております。

 40億といったスクールカウンセラーの活用補 充事業は今年度から要項が変わりました。スクー ルカウンセラーに準ずる人が40%です。要する に、臨床心理士とかそういうような、そういう人 だけじゃなくてそれぞれの地域によって、ニーズ によって、増やして構わないということで、40%

が目安です。50%にするという都道府県があって もよろしいんじゃないかという意見もあります。

また準ずる人は経過措置ではありません。いうん

な相談のニーズがあって必要性があるんだろう ということです。

 さて最後にそれじゃあ学校教育相談における 個別の相談っていうのは、学校の先生方が今まで だったら担任の先生が、そして養護の先生が、い ろいろな先生方が、相談に回って居たんです。相 談っていうのはある専門の人だけしか出来ない んだって思い込んでしまったら、学校の相談体制 は本当に弱くなります。学校全部の相談の動きと いうものがあった時に、その時にいろんなことが

うまくいくんじゃないでしょうか。

 私が申し上げたいのは、専門的な相談、カウン セリングって必要です。でも一方でその方々の力 を得ながら、まさにこの学会の名前ですよね、学 校教育相談っていう。学校の相談力を高めるとい う役割を、これからは膨らましていくことが必要 なんじゃないか、ここにお集まりの先生方が、お 一人で全部個別に相談を受けるよりも、むしろコ ーディネーターの役割や、学校の先生方に相談の 多様性って言うんでしょうか、そういったものも 是非いろいろなご経験の中から教えていただき たいと思っているんです。

相馬 森嶋先生、貴重なご意見ありがとうござい

ました。

 バーンズ先生、ニューヨーク州公認スクールサ イコロジストの立場で、外国から日本を見て、い ろいろお考えがあると思います。どうぞ。

バーンズ ニューヨークの学校教育、そこから日 本の学校教育を逆に見るという形で、外に居るが ためにいろいろ気が付きます。気になるところな んかも、遠慮しながらもちょっとずうずうしいこ とを言うかもしれませんがお許しください。私は スクールサイコロジストと言いまして、子どもの 発達の問題に深く関わっていますので、診断査定

をしたり、それから学習との兼ね合いを見ていく

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ということをしますけれども、アメリカの現場の 中では、メンタルヘルスを担う人間が、学校の中 で自分ひとりということはほとんどありません。

ですから、そういう意味では、アメリカの学校の 中というのは、相談を受ける人間も互いに相談で きる仲間が居るというのは良いのかもしれませ

ん。

 私達の仕事は何のためにあるかといいますと、

児童生徒がサクセスフルに、という言い方をアメ リカではするんですけれども、その子が十分に自 分の力を出しながら、幸せに学生生活が出来ると いう意味のサクセスフルという意味なんですが、

それを送れるように支援する立場というのが私 達の仕事だと思っております。

 私達が、学校の中に居るということが、先生た ちが学校の中で相談を受けていらっしゃるのと 同じように、そこに意味があると思うんです。学 校の中に居ることによって、子どもをもっとトー タルに見られる。うまくいってないその場に私達 が居る訳ですから、いくらでも介入の仕方がある と思うんです。宿題を忘れない、メモの取り方を するとかそういったシステムを子どもの中で確 立するための手伝いを私達の職種が手を出して 行ったりもしていますし、それから個人の子ども がどのようにこの先、将来生活していきたいかっ ていう、この一年、来年、あるいは高校に行った らなんていうことをプランニングの手助けをす るとか、それから、全ての子がサクセスフルに学 校生活をするためには、学校全体を変えていかな ければいけないので、学校全体のシステムに対す るサポートというのもしていきます。危機介入の 介護チームの重要なメンバーとしてもメンタル ヘルスに関わるプロフェッショナルな人が入っ ております。日本の学校の先生ですとか教育委員 会の人とお話させていただくと、「心の教育に一

生懸命力を入れています。今年度は、6時間心の 教育に時間をかけています」ということをおっし ゃられるのを聞くと、年間6時間で何が変えられ るのかなあって、思わず私は思って、「6時間で 何変えるつもりなんですか?」なんて言っちゃう んですけれども、それはやっぱり、何かを教える ものって思ったり、学習と切り離した何か違うも のが相談活動だって思われていることによって6 時間という数字で出てきてしまうんじゃないか

と思うんですね。実は学習の効率を上げていくこ とも我々の仕事ですので、区別がなかなかっかな い。授業をやってる時間っていうのは、学校の時 間の中で、一日とかあるいは一年の時間の中で多 いわけですから、その中で、うまくこれを活用さ れていくと全体への教育っていうのが行き届く

と思うんです。

 アメリカの今抱えている大きな課題は、2002 年に国会を通過した、落ちこぼれ防止法〈No Child LefしBehind Act>っていうのがあります。子ども 達の間の受けられる教育の格差を減らそうとし ていろいろと頑張っています。各州で学習の基準、

スタンダードっていうのを設けて、節目節目を決 めて、そこできちんとそこまでの学習の基準を満 たして居ないと進級できないという形になって きていまして、子どもにもとっても厳しい形にな ってきましたが、もっと厳しくなってきているの は学校なんですね。この子が勉強できないのは学 校がちゃんと教えていないんじゃないか、

Accountabilityが非常に問われるようになりまし

た。日本が一生懸命ゆとりの教育って言ってる時

に、アメリカは必死に巻き返そうとして学力学力

っていうふうな方向になってきていますが、その

Accountabilityというものは、教科だけではなく

て、ガイダンスカウンセリングですとかそういう

私達の仕事にも関わってきております。

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 相談もデータに基づいて、きちっとこれだけの 効果があったということがわからなくてはいけ ないようになって来ました。やはりデータに基づ いてやっていくと、自分達も自分達のやってるこ とが明らかになりますので、非常にやりやすくな ることはあるんですけれども、逆にデータにしな きゃいけないことに伴う仕事量の増加が多くな ると、今度は面接時間が少なくなってしまうとか そういった悩みに変わってしまうところはござ

います。

 でもそれが効率よくできることによって、今ま でやってきたことが自分でも明確になって、行え るようになっているというのは一っでございま

す。

 それから、やはり先生方一人ひとりが、授業の 中で、例えば学校の中の雰囲気を良くしてみんな の学習の効率ですとか、学校生活の質を上げてい くために一番時間を費やしている先生方の意識 が変わらなきゃいけないっていうのもとても大 事になると思います。授業中にいかに先生達の対 応が、見本を示すような形でやっていかなければ、

思いやりを持ちましょうって行ったところで、先 生が思いやりを示している行動をしなければ子 ども達は学んでいけません。逆に先生達みたいな ことをやって良いんだなって言うことを学習し ていきますので、そこを注意することが今非常に 言われているようになってきているということ が現状です。

相馬 バーンズ先生ありがとうございました。ア メリカの落ちこぼれ防止法、結果責任って言うん ですか、ある程度の成果をきちんと出さなければ、

逆に学校が何をしているのか、と言われるような そういうような厳しい状況に、アメリカ自体がな ってきているというお話がありました。それでは

日野先生お願いします。

日野 私はずっと高校の教師をやってきました。

その後、20年も続けて栃木県の教育研究所の相 談部長をやってきました。そこでやっているのは、

学校教育相談っていうのは何かっていうことを 研究し、それを栃木県の先生方に伝えていくとい

うことが主たるものでありました。そのときに全 国の教育センターの先生方が悩んでいるように、

一生懸命2年間3年間学んでも、その後は普通の 教師としていわゆる専門性が付かないんじゃな いかと。そういうことが多かったので、今井先生 とか森川先生とか、名誉会員になられた5人の先 生方なんかに、いろいろと教えてもらったりしな がら、学会を作ってきました。

 この学会は今言ったような形で出来てきたの で、僕自身の考え方もその学校の歩みの中にあり ます。その集大成が、皆さん方が予約してくださ った学校教育相談学ハンドブックということに なります。その僕自身、学校教育相談というよう なのも実践の中から生まれてきたものだろうと 思ってます。

 今日のお話は学校教育相談の役割と責務です。

その責務ということで2っお話ししたいと思い

ます。

 一つは今どういうふうに、どう考えていくかと いうお話。また一つはその後、どんな風に進んで いったら良いのか。そういう道筋みたいなものを どう考えていくか。それを話したいと思っていま

す。

 学校教育相談とか学校カウンセリングってい うと、こんなに本が出ています。大部分の人が僕 の感じから言うとカウンセリングという学問の 一つの考え方、その考え方に立って、学校の中で 子ども達に援助しようというふうに思っていま す。それはもちろんいけないわけではありません。

ただ、われわれは、サイコロジストではないんで

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す。エデュケーター、教育者です。だからあくま でもカウンセリングというのはその教育者とし ての資質を高めるものであって、カウンセラーに なる必要はないんだろうと思うんです。それが大 前提ですね。だから我々は、やり方はどうあれ子 ども達の役に立つような、児童生徒指導優先であ りさえすれば、どんなやり方でも良いだろうと考 えています。簡単に言えば、指導支援という言葉 を定義にしています。僕もそう思うんです。サポ ート、ヘルプも大切だけど、指導なくしては学校 で教育することは出来ないのではないかと思い ます。指導と相談というのは裏表です。学校って いうのは当然健全な子ども達の成長とか発達、こ れが目的であることは確かです。今の定義から行 くと、学校教育相談の定義というのは、児童生徒 最優先の姿勢に徹し、児童生徒の健全な成長と発 達を願い、教師の行う指導支援の営みというとこ ろです。これは我々もそうなんですか、今井先生 なんかと20年に渡ってやってきた学会の姿勢で すよね。もちろんおかれている立場によって、そ れは様々になるというふうに思います。

 従って、子どもたちを尊重する。だからと言っ て、教育というものは理念を教えるものです。そ れ以外のものはないと思うんですね。教師一人ひ

とりが自分の持ってるかくあるべきとか、将来こ ういうふうになって欲しいとかそういうことを 子ども達に教えていくところです。そのやり方が 指導力とかいうんですね。上手な方もいれば、下 手な人も居て、学校教育相談は最も良い形のもの

を目指しているものだというふうに思います。言 うだけで良いというものではありません。聞いて やることも必要だろうし、やり方はいろんなもの があるだろうと思います。全部が学校教育相談だ ろうというふうに思っています。

 もう一つは学校というのは一つの組織であっ

て、教師の理念って言ったんですけど、理念がと んでもなくへんてこりんじゃ困るわけで、現在の 日本がどういう子ども達を作ろうとしているか、

そういうものに則って、我々は子ども達の進んで いく方向だということにしているんだろうと思

うんです。

 実際のやり方は、かなりアメリカは進んでるん です。包括的とかいろんなやり方があって、例え ば、三つの領域を考える。一つは学業の面での指 導支援。もう一つはキャリア発達に関する援助を していこう。最後は子ども達の個人的社会的発達、

友達との関係とか、まあいろんなそういうことを 考えていこうと。そこのところでは、開発的、予 防的、そして問題解決的なものをやっていこうと 考えています。

 先ほど新井先生から学校教育相談教諭という 話が出てきました。僕なんかが考えているこれか らの先生は、きっとそういうことをされていく先 生方が、十分に専門性を高めて、その動いてくれ

る場を提供していくのが、この学会の責務ではな

いか。そのためにどういうふうにしていったらい

いのでしょうか。まず、常勤であるべきだという

のがあるんですね。それから、私達は教育者であ

るということ。それから、全ての児童生徒を対象

としていく。これが実を言うとアメリカはスクー

ルカウンセラーの方々がやっていらっしゃるん

ですよね。教育者として。アメリカは中学高校は

学級担任制じゃないものですから、スクールカウ

ンセラーの方がやってくれて、日本には学級担任

が居るんで、各学校に一人でも良いからそういう

方が入ってくれて、学級担任を持たず、教科担任

で言えば、6時間くらいは持っても、後の時間は

今言ったような子ども達の学校教育相談活動に

充てられるような場を作っていければ良いと考

えています。それは皆さん方が資格を持ってもら

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って、学校の場面で、私がやります、やらせてく ださいと言うことをやってやれないヒとはない と思うんです。そういう研究をどんどん出しても らって、こういう研究だったらやれそうだとか、

どうももっと勉強が必要だって言うんだったら 大学院に行って勉強してくるとか、やがては相談 教諭というような、いわゆる一つの資格として定 着していって、学校の中核になっていく、学校の

中でちゃんと指導してくれるようなリーダーシ ップを持った先生ですね、学校カウンセラーとか、

相談教諭とかが居てくれれば、今後は良いかなあ というふうに思ったりしています。

相馬 日野先生どうもありがとうございました。

 具体的な行動化が次のステップなのだという ことです。普通の子ども達を最優先していかなけ ればいけない。また、エデュケーターとしての私

どもの役割についても話がなされたと思います。

 それでは、ここで会場から質問を受けたいと思 います。いかがでしょうか。じゃあまずフロアの 方からお願いします。

Aさん よろしくお願いします。私は今小学校4 年生の担当をしているんです。

 特別支援教育コーディネーターという仕事を させていただいているんですけれども、問題を抱 えた子ども達の相談をして、支援が必要だという 話合いになっても、実際に支援をしてくれる方が いないっていう現状です。うちの学区にもスクー ルカウンセラーがいらっしゃるんですが、やはり 毎週何曜日って決まってるし、時間も1日5時間 っていうことで、こちらが必要とした時間には来 てくださらないし、あのやっぱり予算の関係で無 理ですと。話し合いもそうですし、実際に子ども がいろいろな状況にある時でも見てくださるわ けでもないし、現実は、ぜんぜん小学校の役には 立っていただけてないというのが現状です。

 とにかく学校内でなんとかするしかない。クラ スを持ちながらそれをやってくれという事なん ですね。でも、授業をやっている時に、他のクラ スで子どもが荒れてても、ついてあげられないで すよね。朝、教育相談必要な子がいても、一緒に ついていってあげて、こういうことをしてあげる っていうことが出来ない現状です。そういう児童 に接してあげられる人が時間に縛られずに何時 間とか言うのじゃなくて、子どもがいる時間は居 てくださる先生が、ぜひ必要だなっていうのを毎 日痛感しています。スクールカウンセラーの配置 の中身にっいて内容,仕事の中身について考えて

もらえたらなあとおもいます。

相馬 ありがとうございました。質問が2っあっ たと思います。一っは支援の仕方を教えてくれる 人がなかなかそばにいないという事が一っ,また もうひとつは、現実に支援する人がいない。いわ ゆるマンパワーの問題ですね。それでは他にフロ アから質問ありますか。はいどうぞ。

Bさん 文部科学省のほうで非常に予算を使っ ていらっしゃるっていうのはわかります。各地方 自治体のほうでもかなりのお金を使っている。な のにですね、特別支援教育っていうふうに考えた 時に、人手がぜんぜん配置になって居ないです。

今Aさんがおっしゃったように、支援を必要とす る子どもが居るのに、する人が居ない。私はボラ ンティア的に行っている学校があるんですけれ ど、そういう人をこれからほんとにノーペイで働 いてくれる人を募集していかなくてはいけない

と思うんですね。お金の問題じゃなくて。

 そういうことを克服して、人手が必要なんだっ ていう事を言っていただく必要があるんじゃな いかと。子どもの数からするとやっぱり人手が欲 しいということを言っていただきたいと思いま

す。

(9)

相馬 はい、ありがとうございます。やはりマン パワーの問題だと思います。ボランティアの活動 っていうようなご意見もありました。森嶋先生、

いくつか質問が出ましたのでお答え願えますで

しようか。

森嶋 もう、ほんとに、おっしゃるとおりだと思 います。課題がどんどん膨らんでおります。例え ば小学校であれば、LDの子の問題、 ADHDの子 の問題。ですから担任の先生のいろいろな悩みが 膨らんできているんだと思っています。そういう 中で、こういう予算ではなかなかいかないものが あるんだろうと思います。重要視はしているけれ ども予算が足りない。そういう中でのマンパワー の問題とボランティアの問題というのが出てく るだろうと思っております。

 そこで2つだけ、実践を紹介します。秋田県A 市っていう市があるのですが、LDの子ども、 A DHDの子どもっていうのを聞いて、どうこの相 談に乗っていいのかわからない。そこで養護の先 生が集まって学校医の先生がその先生とチー一・・ム を作っているんです。その学校医の人や養護の先 生や、そして学校の先生が出て行って、そして相 談っていうのをチームでやっていって、またやり 方を伝えていっている。こういうことをやったの で、秋田県のA市は、市で乗り越えたんです。も う一つだけ、福岡県のB町っていって、赤字に転 落した最初の町があります。小学校2校に中学校 1校で荒れに荒れていました。生活が苦しいです し、そして不登校が多くて非行が多くてどうしよ うもなかったのです。町ですから相談機関なんて ないんですね。この学校が乗り越えたのは、小学 校2校と中学校1校の先生方全員がですね、授業 部会というのを作ったんです。授業で落ちこぼれ てやる気なくしてる生徒が居るんだったら小学 校の先生方と中学校の先生方が協力してやった

ら、新しい何かが産まれるんじゃないか。授業部 会に全ての先生が参加する。もう一つは地域の連 携部会。家庭と地域だって連携して小学校便りや 中学校便りを出しましょうと。もう一つ、教育相 談部会。教育相談っていうのを小学校から中学校 に行ったら引き継いでいく。それで、学校の小学 校2校中学校1校の先生方はどこかに参加する。

参加はご自分の好きなところ。ご自分の興味のあ るところに行きましょうと。これをやった時にB 町は変わりました。

 要するに、相談っていうのを学校から地域と一 緒になって、また、専門の人がいないから賄おう という時に、そういう何かがあった時にまた強く なれる。それが今国として、私ども国立教育政策 研究所としてはこのような実践から、相談とか授 業を点から面に考えていきたいと思います。また、

私どもはボランティアの方の活用とか、マンパワ ーの活用とか先生がおっしゃったようなそうい うものを良さとして新しい切り口を見つけてい かなくてはいけないなと思います。

相馬 はい、ありがとうございました。他の方で 質問はありますか?

Cさん 岡山のCでございます。生徒の変容を説 明しなくてはいけなくなったということですが、

本校も学校評価の地域指定を受けたり、教育評価

が本格的に実施されたりして、担任の先生方がか

かわったことで生徒がどう変わったかとか教育

相談係が学校で仕事をしたことで、学校なり生徒

がどう変わったかということを職員室以外の人

に説明をしなくてはいけないということが始ま

っています。職員室の中で先生方は、あの子は良

くなったとかいうことが実感でわかる訳ですけ

ども、職員室以外の人にそのことを伝えるという

ことを、私達はあんまりしてこなかったような気

がするんで、とても戸惑っています。県教委にた

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ずねても、明快な答えはありません。ですから、

これから私達がそういうことを一つ一つ考えて いくんだと思うんですけど、そのヒントというか、

手がかりというのがおそらくアメリカというの はそういういろんな形の評価の仕方というか、そ ういうものを試してきてるんだと思うので、少し ヒントをいただければと思います。

相馬 今の質問もあわせて、先ほどのスクールサ イコロジストの話もあると思うんですけども、具 体的に教えてくれる人、指導するっていうそうい

う問題がどういう形でアメリカがなっているの かという辺りも、もし良ければいかがでしょう か?他の質問もありますか?お願いします。

Dさん アメリカの青少年の犯罪を最近聞かな くなったので、それだけ大きな要因みたいなもの があるのでしょうか?先ほどお話にもあったん ですけれども、バーンズ先生が、教育臨床の最前 線に居て、何がアメリカを変えて、まあアメリカ もお互いにマネっこしてきているんだろうと思

うんですけど、その大きな契機になっているのは 何かということをお話いただけたらなと思いま

す。

相馬 いわゆる非行対策の問題だと思うんです けれども。もう一人の方どうぞ。

Eさん 学芸大修士2年のEと申します。2点ほ どお伺いしたいんですけれどもアメリカのスク ールカウンセリングの評価についてちょっと聞 きたいんですけれども、いわゆるスクールサイコ ロジストの取り組みですとか、評価とかシステム っていうのがあるんでしょうか?というのが一 点です。それから二つ目が、日本にない職種とし てスクールナースっていうのが居ると思うんで すけど、スクールナースとの連携っていうのもど

ういった形で行われているのか、という部分につ いてお伺いできればと思います。

相馬 たくさんの質問をいただきました。まず、

スクールサイコロジストの中身を展開していた だければ、いくつかご理解いただけるかなと思い ます。バーンズ先生お願いします。

バーンズ スクールサイコロジストのメジャー っていうのは特にありません。スクールサイコロ ジストは主に発達障害を持っている家庭のお子 さんですとか、そういった形で具体的に出てきま すので、それをしているだけの仕事内容がはっき りしてくるというのはあると思います。スクール サイコロジストに対しては、実際やったカウンセ

リングは見えないものですから、実際行動に出て こないとわからないので、この子どもがどう変わ ったかっていうメジャーをカウンセリングでは 出していきます。

 青少年の犯罪に関しては、私の個人的な意見と して、学校に関して、落ちこぼれ防止法の前から、

学校を評価する、学校の成績表っていうのがある んです、アメリカは。各州の教育局のHPを見て いただくと、スクールレポートカードって、ニュ ーヨーク州の公立校に関する学校に対した評価 表が必ず見られるようになっています。学業がど のようなレベルで去年と比べてどうか、他の同じ ような人種構成の学校と比べた学業成績はどう であるかというようなことが見られるようにな っています。

 たまたま、文科省からある役人の人が来て、I T教育に関してアメリカの学校を見たいと言っ

ているんだけども、今日本でいろいろ大変になっ ている学校をどういうふうに変革をしていこう かっていうアイデアが欲しいのだったら、いい学 校がありますって言って、その中でITに力を入れ

ている学校をいくつか紹介したんです。なかなか IT教育で効果を挙げていて、さっき挙げたレポー

トに出ているんですけど、卒業率っていうのがあ

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りまして。たまたま紹介した学校の卒業率がわり と良かったんです。この地域の割にはすごいなあ というのと、また興味にあわせて志望してくるの がいいのかなと思ってみていたら、その子どもの 行動がちゃんとして居ない子供の検挙率がすご

く高かったんです。

 ビシバシ生徒指導をしている学校は、学業も上 がって、卒業率も上がるのかなってこの数値を読 めばいいのだろうかってことをその文科省の方 にもお伝えしたんですけれども、そういう学力を 挙げようっていうのが、お勉強だけしてれば良い っていうよりも、生活全般でも指導するっていう ことが学業を挙げるのに必要であるという認識 を持っようになったんですね。両方バランスをと ったときに、両方の効果が、行動面でも学習面で も出てくるって言うのが学校教育であり、それを 支援していく、それの一つの責務を負っていくの がわれわれの職種の責務であると思います。

相馬 はい、ありがとうございました。

 今回、4人のシンポジストの先生方それぞれ出 てきたのが、やはり普通の子に対する援助、いわ ゆる普通の子ども達、その子ども達をやはりきち んとしなければいけない。また、先生の相談の力 を弱めてはいけない、お金の問題も出てましたけ ど、普通の先生方がいわゆるしっかり対応してい かなくてはいけない。先ほど日野先生がおっしゃ

られたように、まさに不登校のお子さんを作り出 す、その事前の段階でやっぱり食い止めていかな ければいけないというのがポイントかなあとい

う気がいたします。

 時間になってきましたんで、最後シンポジスト の方々に、どうしてもこれだけは伝えておきたい ということを、順番に言っていただければと思い

ます。

新井 私は今大学に居ますけれども、3月までの

教員の経験の方で、2っ言いたいと思います。一 つはですね、ともかく学校の中で、教育相談にあ る程度特化してそして、生徒に直接心理援助して もらう。組織をマネージメントしていく。そうい う役割の存在が必要だろうと思っています。現在 学校の中で細分化した役割がどんどんどんどん 下りてくる。でも、担い手は数は変わらない。そ うすると役割は細分化するために提出書類だけ は増えていく。そういう現状があると思います。

ですから、そんなに役割を細分化させないで、あ る程度の専門性でいいから、総括的に担う役割を、

ある程度教科の時間数を減らして担当できるよ うな教員を構内配置することが必要なんじゃな いか。そしてその人がコーディネーターとして学 校を組織的に動かす核になる。そういう役割の存 在が必要だというふうに思っています。

 もう一つなんですけれども、私は定時制に居ま して、ホント大変でした。学習指導もしっかり取 り組みたいと、みんなそう思ってやって居ます。

子ども達の目を輝かしたい、だからここで動く、

でもその時にもうちょっと人的配置があっても 良いんじゃないか。あるいは、日々身近に子ども 達と生活を共にするようなスクールカウンセラ ー的な役割を出来る人が居て欲しい。そんな私達 の学校でしたけど、スクールカウンセラー3年間 要求して就かないんですよ。それが現場の実情で

す。

 だから教育力を持って、ある程度の専門性を持 った相談担当者を配置して、もう少し、ゆとりを 持って一人ひとりの子ども達に関われるような そういう状況を作って欲しいと。法的な整備に向 けて、我々の実践を発信していくというのは非常 に大事なんだなあというふうに思いました。

相馬 はい、ありがとうございました。教育相談

教諭を作るということ、それから本当にマンパワ

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一として使える人材をきちんと配置する。この2 点に集約されると思います。

森嶋 私も手短にですが、新井先生のがグサッて 来ました。私がお金があったら出したいという思 いはあります。本当に難しくなったなと思ってま すから。学級崩壊というのは日本が初めてだとい

うんですね。それで、国が人を増やしたんです。

 学級崩壊のところには解決が出来たんです。そ のクラスに先生を2人、3人配置すれば解決でき ます。ところが、そういうので一人ひとりの先生 方のカが相対的にどこかで弱くなっていく。それ では、そういう明かりを消さないで、やっていく ためにはどうしたらいいのかって言ったら、やっ ぱり組織なんだろう。マネージメントなんだろう と思ってます。その時に、縦と横と地域との糸。

ですから、私どもの発想というのを変えていかな ければいけない部分もあるんだろうと思ってま す。もちろん、人的配置のことも当然出てくるも のであって、それは国だけではなくて、それぞれ の地域で考えていくこともあるんだろうと思っ

てます。

 私が言ってはいけませんが、お金がかからずに マンパワーというのも。ただ、私どもは国として はやっぱり考えなくてはいけないことはあると いうことかなと思っています。

相馬 ありがとうございます。出来れば森嶋先生 は私達の代表で、文部大臣になって欲しいです。

よく現場をわかっていらっしゃるので、なんとか そういう意味では、学校教育相談に光をもっと当 ててほしいなあと思います。

バーンズ 全然知らないで、こう申し上げるので、

もし違ったら怒らないでください。私が常々疑問 に思っているのは、管理職の理解が足りない、教 育委員会の理解が足りないというのが非常に大 きなパーセンテージで学会の調査にありました よね。それに非常に苦労していらっしゃる。それ

で、管理職は、校長は何やってるんだろうって思 うんです。リーダーシップを発揮してシステムを 作り、一番学校の外に行って、いろいろ交渉した

り話し合ったりする機会を持つことが出来るの が校長先生、あるいは管理職だと思うんです。普 通の人はみんな担任をしてますから外にいけな い。その先生達が頑張ってくれなければ、システ ムを変えられないですよね。現場の先生達が管理 職の固い頭を変えたり、説得したりすることに時 間を費やしているのでは、実際に子どものところ に行く時間が少なくなる訳ですから、先生方が頑 張る必要がないような管理職を、文科省の方で養 成していただくようにした方が良いのではない かと思うんです。そうしないと日本は変わらない

と思うんですね。

相馬 割れんばかりの拍手です。管理職の方も拍 手していらっしゃっております。

日野まあ、行政は金は出さない。人は出さない。

これはもうしょうがないですよね。そこで、我々 は創意工夫とか、なんとかしている。その時にど うもね、教育委員会は文科省を見ている、校長は 教育委員会ばかり見ている。そんなことないよう に皆さん方を勇気付けて欲しいんですよ。学校の 中でやることを教育委員会や、文科省は応援する。

それが行政なんですよ。そうですよね。

相馬 はい、まさに行政のあり方っていうのは先 ほどいってましたけれども、まさにいろんなとこ ろの実践、取り組みはなされています。今後、校 長先生がですね、キャリア的・学級的に発達をこ うした、また学校経営をこうした、というような 研究もですね、これからどしどしなされるべきで はないかなあと思います。

 本当に4人の先生方、最高のシンポジウムが出

来たのではないかなあと私は自画自賛しており

ます。もう一度大きな拍手をお願いします。あり

がとうございました。   〔文責:相馬誠一〕

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