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3DCG
によるオムライスの写実的表現に関する研究Study on Realistic Representation of Rice Omelet by using 3DCG
1W130142-4 加藤 美沙貴 指導教員 坂井 滋和 教授
KATO Misaki Prof. SAKAI Shigekazu
概要: 本研究では、オムライスを 3DCG で写実的に表現することを試みた。制作には 3DCG ソフトの CINEMA 4D を用いた。まず、モデリングを卵、ケチャップ、食器などパーツごとに分けて行った。ほとんどのパーツは写真 などの資料をもとに自分でモデリングしたが、ケチャップは液体と固体が混ざっている状態であり、自分でモデ リングをするのが困難なため流体シミュレーションソフトウェアの RealFlow を使用して卵の上を流れる様子を正 確に表現しようとした。次に、色や質感の設定は、実際の卵やケチャップの写真を読み込んで行った。その後、
実際の料理撮影でも使われている、料理を美味しそうに見せるテクニックを参考に、カメラやライトを配置して、
一枚の画像を描き出した。最後に、画像編集ソフト GIMP によって、より写実的に見えるように編集を行った。そ して、完成した画像や制作過程から気がついたことについて考察を行った。
キーワード:3DCG、食べ物、写真、流体シミュレーション Keywords: 3DCG, food, photograph, fluid simulation
1. はじめに
近年、ハードウェアやレンダリング理論の進歩 により、写実性の高い CG が多く制作されるよう になってきた。しかし、こうしたなかで、CG で 表現される対象は、人間や動物、自然などが主で、
食べ物の CG 画像はあまり見かけない。CG であら ゆる物の写実的表現が可能になった現在、食べ物 も CG で本物のように再現することが可能なので はないだろうかと考え、我々が毎日食べる身近な 料理を CG で表現することを試みた。本研究では、
CG による食べ物の写実的表現とその制作手法の 獲得を目的に、実際にオムライスの CG 制作を行 った。
2. 先行研究と本研究の位置づけ
CG で写実的な表現をするための要素として、
カメラで撮影した時のような遠近感、細部にわた る形状の表示などが必要である。なかでも特に表 面の明るさや影の表示は重要で、物体の属性に基 づく反射光の計算や、直接光だけでなく壁などを 反射した間接光も考慮することで、より写実的な 表現が可能になる[1]。また、CG にも実際の写真 撮影と同じ様に、カメラやライトの設定が必要で ある。食べ物を美味しそうに見せるためには、光 は料理の斜め後ろや横から当てると立体感が出 る、料理撮影には望遠レンズが適している、構図 は上を広く下を狭くするとよい、など様々なポイ
ントがある[2]。
本研究は、既存の様々なメディアでの食べ物の 表現手法を参考に、写実性の高い CG の制作手法 を 用 い て 再 現 す る こ と に よ り 、 オ ム ラ イ ス を 3DCG によって写実的に表現しようとしたもので ある。
3. 制作
3−1. 参考画像の作成
オムライスをどのように演出して画面に写し 出すか決めるため、食品サンプルを用いて実際に 撮影を行い、参考画像を作成した。オムライス以 外に画面の中には何が必要でどこに置けばいい のか、また、カメラのアングルなども決定した。
3−2. モデリング
3DCG 制作ソフト、CINEMA 4D を用い、卵、お皿、
コップ、スプーン、テーブルクロスのモデリング を行った。ケチャップは液体と固体が混ざった状 態であり、自分でモデリングするのが困難なため、
流体シミュレーションソフト RealFlow を用いて 卵の上を流れる様子を正確に表現しようとした。
3−3.マテリアル作成
実際に卵を焼いて撮影した画像などを読み込 むことで、より本物のように見えるマテリアルを 作成した。設定項目としては「カラー」「透過」
「反射」「バンプ」の調整を行った。
2 図1 シーンの全体図
3−4.カメラ、ライティング、レンダリング 実際の料理撮影現場を参考に、各モデルを配置 し、カメラとライトの設定を行った。さらに、間 接光を取り入れるために、オムライスの置いてあ る部屋とレフ板を作成した。シーンの全体図を図 1 に示す。
レンダリングは、フィジカルレンダラーを使用 し、背景のボケを表現できるようにした。また、
間接光が画像に表現されるように、グローバルイ ルミネーションも適用した。
3−5.画像編集
レンダリング後の画像を、GIMP で編集した。
ケチャップの厚みと、厚みによる影が不自然だと 感じていたので、卵やお皿との境界を馴染ませる ように「にじみ」ツールを用いた。また、ケチャ ップが垂れた様子をより立体的に表現するため に、垂れる途中にブラシで影をつけた。さらに、
光が卵やケチャップの油で反射している様子を 強調したかったので、トーンカーブを調整して画 像全体のコントラストを強めた。
4.結果と考察
完成した画像を図 2 に示す。
卵に関しては、より詳細なマテリアルの設定が 必要だった。具体的には、油による照りをより強 調できれば本物に近づけるのではないかと考え た。モデリングやマテリアルの正確さを求めるの ならば、3D スキャナーを用いて自動で 3D モデル を作成する方が良いかもしれない。
ケチャップも、卵同様マテリアルの設定には改 善の余地がある。具体的には、ケチャップの液体 感が足りないと感じた。現状では厚みがどの場所 も一定なので、厚みを所々変え、薄いところは卵 が透けて見えるようにできればより本物の液体 のように見えるのではないかと考えた。
実際の料理撮影と同じようにライトやレフ板 などを配置することで、完成画像も本物のように 見えると感じた。カメラの設定は、レンズや F 値によるボケ具合の変化まで考慮できればより 写実的な結果が得られたかもしれない。
5.まとめ
本研究では、写実性の高い CG の制作を行い、
制作手法について検討した。
本研究を通して、食べ物の CG を制作する場合 には、実物の写真から作成したマテリアルを用い、
液体がある場合には流体シミュレーションを行 い、環境をセッティングする際には実際の撮影現 場を再現することで、より写実的な表現が可能に なることが分かった。
CG で食べ物を表現することの最大のメリット は、すぐに設定を変更できてやり直しがきくこと だと感じた。さらに、CG は時間経過による食べ 物の変化(冷める、溶けるなど)がないので、商 品撮影の補助としてアングル決定などの役に立 つことが考えられる。その他、写実性の高い食べ 物の CG が容易に制作できるようになれば、映画 やゲームなどのメディアの表現の幅が広がるだ けでなく、レストランのメニュー表など我々の日 常生活の中での活用も期待される。
参考文献:
[1] 藤代一成ほか, 『コンピュータグラフィックス』, 画像情報教育振興協会, 2010, pp.97-98.
[2] 佐藤朗・小坂桂, 『おいしいかわいい料理写真の 撮り方』, イカロス出版, 2016, pp.44-59.
図2 完成した画像