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雑誌名 静岡大学教育実践総合センター紀要

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(1)

学校支援型学校運営協議会とオルタナティヴの模索 : 市民参加による学校づくりの意義と可能性

著者 仲田 康一, 島田 桂吾

雑誌名 静岡大学教育実践総合センター紀要

巻 23

ページ 179‑184

発行年 2015‑02‑27

出版者 静岡大学教育学部附属教育実践総合センター

URL http://doi.org/10.14945/00008898

(2)

静 岡大学教育学部附属教育実践総合セ ンター紀要 No 23 p 179〜

184(2015)

く 実践報告〉

学校支援型学校運営協議会 とオルタナティヴの模索

〜市民参加による学校づ <り の意義 と可能性〜

仲 田康―

'・

島田桂吾

'☆

Constructing the Alternatives to‖ School Support Llodel"of Community Schools:

Signiflcance and potential of scho01 governance by citizen participation

Koichi NAKATA Kcigo SHIMADA

要し

本研究では、コミュニティ・スクールの全国的な成果 と課題 をふまえなが ら、全国的に展開されている「学校支 援型コミュニティ・スクール」の評価 を行 うことを通 じて、新たにコミュニテ ィ・スクールを導入する際の課題を 提起する ことを目的とする。全国的に展開されているコミュニティ・スクールは、学校支援は活発に行 うものの、

学校運営や学校づ くりに対 して具体的に参加 しない「学校支援型コミュニテ ィ・スクール」が多数を占めている。

今後 コミュニティ・スクールを導入する際には、「市民参加による学校づ くり」を強化することが重要であり、①

教育の本質に迫れるアジェンダの設定、②教育委員会に対して意見を述べることができるという権限の活用、③

学校運営協議会委員の力量形成機会の保証、を具体的な課題 として提起 した。

キー ワー ド:コミュニティ・スクール、学校支援型学校運営協議会、市民参加、オルタナティヴ

1  

問題 の所在

新 聞報道 によれ ば、静 岡県 にお いて も、 コ ミュニテ ィ・ ス クール指定推進 について検討が進め られ、県教 育委員会 が有識者会議 を設置 した とい う。同報道 で は、

県教育委 員会担 当者 の発言 として 「市町 教委 の理解 を 得て CSi導 入 を進 めた い」(静岡新 聞、

2014年

4月 10 日夕刊

)と

伝 え られ 、既 に導 入 されて いる 自治体 を含 め、指定拡大が近 く進む と思われ る。その全国的な成 果 と課 題 を確 認す る ことは、本県 の実践者へ も示唆 を 持つ と思 われ る。

制 度概要

言 うまで もな く、 コミュニテ ィ・ ス クール とは、学 校運 営協 議会 を設置 した学校 の ことで、学校運 営協 議 会 は地方 教育行 政 の組織 及 び運 営 に関す る法律 に基 づ く三 つの権 限 を持 つ。一つ 日は、校長が作成す る学校 運営 の基 本方 針 を承認す る とい うもので 、校 長 は承認 を受 けね ばな らな い とい う義務 規程が な され て い る

十浜 松大学 健康 プ ロデ ュース学部 摯静 岡大 学大学院教育学研 究科

(第四十七条の五

 3)。

第二 に、学校運営 に関す る意 見 を教育委員会 または校長 に述べ ることができるとい う ことで、学校 の運営の中で出て きた課題 を踏まえた 意見 を学校長や教育委員会 に対 して述べ る ことができ る とな って いる (第四十七条の五

 4)。

第二 に、教職 員 の認容 に関 して任命権者の教育委員会 に意見 を述べ る こ とが で き る とい うもので あ る (第四 十 七条 の五 5)。 条 文 を見 る限 り、第二・三 は 「できる」規定であ るが 、権 限 として定め られて いる。

全国的に見 ると、学校運営協議会 には、地域住民、

保 護者 、有識者 に校長 、教員が加わる ことが多 く、10 名か ら

15名

程度 の委員で構成 され る ことが多 く、年3 回か ら

10回

程度 の会議を持つ ことが多 い五。

法 制化 された のは

2004年

で あったが、学校週五 日 制や 総合 的な学習 の時 間の完全実施な ど、学校の 自主 性・ 自律性 の拡大が進んでいた時代であ り、分権の受 け皿 と して学校 のガバナ ンス機能強化が求め られて い た ことが この頃の特徴であった。 また、学力低下論や

179

(3)

仲田康一   島田桂吾

学級崩壊な ど、学校に対する厳 しいまなざしとアカウ ンタビリテ イヘの要請が高まった。他方、

2000年

に導 入 された学校評議員制度に対 しては、早 くも「形骸化」

が指摘 されていた時代でもあつたJ。 そ うした中、導入 されたコミュニテイ・ スクールには、佐藤晴雄 による と以下の

5つ

の意義があるという (佐藤,2010:5)。

①地域のニーズを反映させた教育活動の展開

②地域ならではの特色ある学校づくりを展開

③保護者 。地域住民に対する説明責任

④保護者・地域住民が学校教育に対して自覚と

意識 を高 め る

⑤学校を核とした地域社会づくりの広がり

0図 1 

コミュニテ ィ・ スクール指定数の推移 (全

指定状況の推移としては、平成

26年

度の調査では 1,919校 、公立小中学校の

2割

程度 となっている (図 1)。 この間、平成

18年

の教育基本法では「学校、家庭 及び地域住民その他の関係者の相互の連携及び協力」

(第十三条

)が

示され、次いで 「地域 とともにある学 校づ くり」 というスローガンが平成

23年

に定式化 さ れた。さらに平成

25年

の教育振興基本計画(第二期) では全公立小・ 中学校の

10分

1に

コミュニテイ・

スクールを増や していく方向性が示 された。学校 と地 域の連携は、政権交代を経て も、最大公約数的な合意 を得やすい政策的方向性であるためか、今後 も追い風 傾向は変わ らないと考えられる。

全国的な成果と課題

コミュニテイ・スクールについては、一定の普及の 中で、 どのような点に成果 と課題があるのか、おおよ その傾向が現れている。文部科学省による委託調査研 究結果 を本節では参照 したい■。

まず、「成果Jの全国的動向について、コミュニティ・

スクール導入によって得 られた事柄の中か ら特徴的な ものを図

2に

まとめた。これによると、「学校と地域が 情報 を共有するようになる」、「地域 と連携 した取組が

文部科学省調査結果 を もとに作 成

組織的に行えるようになるJ、 「保護者・地域による学 校支援活動が活発になる」な どの値が高い。他方、「教 育課程の改善充実が図 られる」が 637%。 「適切な教員 人事がなされる」や 「教職員が子 どもと向き合 う時間 が増える」は低 くとどまっている。

要するに、地域・保護者の力を取 り入れた学校支援 を活性化させ、特色ある学校づ くりをするという点で は多 くの成果が感 じられているとい うことである。

コミュニテ ィ・ スクール指定数の推移 (全国・ 静岡県

)と

関連 す る政策 の展 開

25 イ R4ず

19.4 20.4 21.4 22.4 23.4 24,4 25,4 26.4

ノ 1183

(4)

学校支援型学校運営協議会 とオルタナテ イプの模索

◆図

コミュニティ・スクールの全国的な成果 (肯定的回答率

;%)

学校と地域が情報を共有するようになる 地域と連携した取組が組織的に行えるようになる 保護者・地域による学校支援活動が活発になる 学校に対する保護者や地域の理解が深まる 特色ある学校づくりが進む 教育課程の改善・充実が図られる 適切な教員人事がなされる 教職員が子どもと向き合う時間が増える

2011年

度 調査

他方、校長は学校運営の方針に対 して学校運営協議 会か ら承認を受けなけれ ばいけないわけだが、学校運 営協議会か らの修正が どの程度あったか を示 した図3 によると、

2011年

調査では「教員人事に意見 を申し出 なかった」が 828%、 「教育委員会に意見 を申 し出なか ったJが749%、「学校の方針に修正意見が出なかった」

845%と

なっている。そ して

2014年

になると、ワ ーデイングは少 し異なるが、「不承認も修正意見もなか った

Jに

対 して

904%と

、さらに増えている。要する に、学校支援は活発になった一方、学校運営や学校づ

なぜ 「学校支援型」で展開 しているのか では、なぜ 「学校支援型」で展開 しているのか。幾 つか考え られる仮説 を示 してお こう。

まず、校長がイエスマ ンばか り集めているというも のである。 これについては、はっき りとした検nIは出 来な いが、参考 にな るのは先の文部科学省委託研究

(2013年

度調査

)で

ある。「校長が委員に対 して望む

く りに対 して具体的に参加す るところにまではまだ い た って いないとい うことができる。

熊本 大学 の岩永定 は、こうした状況 を称 して、「学校 支援 型 コミュニテ ィ・スクール」Vと形容 して い る。ま た、先述の佐藤晴雄は、新聞へのコメン トで 「特 に指 定 の新 しい学校 は、 まだ

CSの

機能 を十分発揮す る段 階 にな いよ うだ」■としている。イ メージ しやす い言葉 で い うと、「学校支援実行委員会」としての機能が全国 化 して い る とも言えるだろ う。

姿 勢

Jに

つ いて 「学校運営 に関 して批判 も言 って くれ る人」 とか 「校長の方針 に素直 に従 って くれ る人」 の 間 で二 者 択 一 を求 めた結果 、前者 が 771%、 後 者 が

168%で

あった。他方、「発言 は少な いが、とにか く会 議 に出席 して くれ る人J「欠 席が ちだが、よ く発言 して くれ る人」 の二者択―で は、前者が 747%、 後 者 が

193%で

あった。

◆図

校長の方針に対する学校運営協議会の修正(%)

た つ

つ カ

カ な

01︲

20

2011・

2013年

度 調 査

181

(5)

仲田康一・島田桂吾

第二 の仮説は、学校運営方針の承認 といって も内容 は広範で、返 って、焦点 を絞 った参加が難 しい という もので 、先述 の岩永 も同様 の見解 を述べて いる。

第二 の仮説 は、 人事 は教育委員会や学校 が警戒感 を 抱 いて いる とともに、地 域住 民・ 保護者 も及び腰であ る とい うものである。 これ らは、学校現場で話 を伺 う と度 々出て くる見解であ り、「任用に関す る意見の申し 出

Jを

権 限か ら省 いて い る 自治体 は

295%(2013年

度 調 査

)と

、そ もそ も 「牙 を抜 く

J自

治体 も多 い。

第 四の仮 説 は、教育課 程等 、学校単位 で変 え られ る

「余地」が少ないとい うものである。学校運営協議会 導 入 当初 は、いわ ゆる「ltDと り」学習指導要領であ り、

総 合 的な学習 の時 間 を中心 に、地域 と連携 したカ リキ ュ ラムマネジメン トが求め られていた。他方、現行学 習 指導 要領で時数増 とな り、 国で定 め られ た教育内容 が 増えた。 この ことは、学校単位で決める余地が縮減 しているとい うことであ り、学校運営協議会の普及に 連 れ て教育課 程が硬 直化 して きた点 に政策 の「ね じれ」

を見て取る こともできよう。

これ に関わ るのが第五 の仮説、すなわち、学校側の 時 間 。人員不足である。時間不足は、時数増 にも影響 され 、教員の多忙化は否定 出来ない現状である。加え て 、 コミュニティ・ス クール化 によって、学校支援事 業が 増えた ことは、学校 の教育 内容 を充実 させて いる か も しれな いが、他方で教員の空き時間を減 らしてい る ことも事実である。学校運営協議会で本質的な議論 を展開するためには、平素よ り学校教育 をめ ぐる様 々 な 論点 を闊達 に議論 し、 アジェンダを絞 り、関連す る 資料 を収集 した りす るな ど多 くの労 力が求め られ るが、

これ に学校側が対応できて いない可能性がある。

第 六 の仮説 として、 コ ミュニテ ィ・ス クール指定 に 学校 分権が伴 って いな い とい うものが ある。ここ10年 で校長裁量 を増やすよ うな教委規則の改正が「あった」

とい うか どうか を訊ねた際、 コミュニテ ィ・ス クール の指定がある教育委員会の方が肯定的回答率が低 い場 合 もあ り前、学校分権 の程度 は、コミュニテ ィ・ ス クー ル指定 と必ず しも連動 しているとは限 らな い。

「学校支援型」コミュニテ ィ・スクールをいかに 評価 するか

こうした 「学校支援 型」 コミュニテ ィ =ス クール と

いう実態を、我々はいかに評価するべきであろうか。

岩永定は、「今 日の学校教育が抱えている課題の解決を 展望 した とき、 これまでのよ うに学校運営の主体は教 職員、保護者や地域住民はあくまで も客体 という関係 のままでは済まない 〔中略〕一定の限界を認識 しつつ も、学校支援 という形であれ、保護者や地域住民がと もか く学校 に関与するということには意味がある」(岩

永 前掲 pp 50 52)と 述べている。他方、 これがあく まで「一定の限界を認識 しつつも¨ 意味がある」であ ることに注意が必要である。岩永は、次のように続け ている。「重要なことは、その関与の過程において各主 体が 〔中略〕教育に関する情報に触れる中で 自分な り の考えを確立 していくというエンパ ワーメン トの機能 が発揮 されるか どうか 〔中略〕学校 と保護者・地域住 民の関係が学校支援 という形で固定化 した場合には上 述 したエンパワーメントは機能 しづ らい」「両者が対等 の関係で意見交換をし、合意形成をしていく参加・共 同決定型コミュニティ・スクールに進んでいく必要」

(同)。 要するに、学校支援の活性化によって学校教 育を革新 していく橋頭堡は得 られるものの、それ を全 てとすることは、制度のポテ ンシャルを発揮させない ばか りか、問題があるということである。

ともすると、「文部科学省が数を増や したそ うだか ら」

「首長のマニフェス トに書いてあるか ら」 というよう な外発的動機で数校を指定 し、「わが町は学校応援団と して位置づけています」 と、防御線 を張る教育委員会 が多 くな りがちである。学校支援型か ら入るにして も、

そのままで良いのか否かについて、各教育委員会・各 学校で本質的な議論が求められるところであろう。

教育委員会制度改革の中でのコミュニテ ィ・スク ール

学校支援型の強化 と、それへの固定化はいかなる意 味で問題であろうか。その点については様々な論点を 立てて説明することが可能である。

たとえば、筆者 (仲

)は

、学校支援が規範化 され た学校において、保護者が学校支援 に追われ、出来る 家庭 と出来ない家庭の間での格差が生 じるな どの実態 を明 らかにしてきた述。学校支援型のコミュニテ ィ・

スクールは、学校の不足を補 うという意味において、

そ もそ も行政による条件整備の不足を問題視せず、そ れ を学校 レベル (地域 レベル

)で

いかに補完するか と

(6)

学校支援型学校運営協議会 とオル タナテイプの模索

い う論理 に立つ ものである。 しか し、学校 を取 り巻 く 保 護者 も、格差や貧 困な どの問題に直面 して いる。 こ のよ うな 中で、保護者か らの学校支援調達 を無限定 に 期待す るのは不可能 だ し、望 ま しくもな い。

しか し、今回は、現代 的論点 を立てつつ、学校支援 型へ の固定化 を問 い直 したい。それは、教育委員会制 度 改革 の 中での コ ミュニ テ ィ・ス クール の位置 を提え 直す とい うことで あ る。

周知 の通 り、

2014年

6月

に教育委員会制度が改

め られ 、

2015年

4月か ら施行 され る。この改革の要点 は、教育長の権限が強まる一方 、総合教育会議や教育 長 の任 命 ・罷免 を通 して 教育長 への首 長の影響力 も強 ま る ことであ る。 こう して、教育長・ 首長が顕現 を強 め るの に対 して、教育委員会による教育長への指揮監 督顕 は削除 された。

本来 、教育長・ 首長 の権 限 を強 めて い くな らば、合 議 制の教育委員会 、す なわ ち素 人 によ る教育委員会 に よ るあ る種の牽常1・ チ ェ ック・ アン ド・バ ランスがよ リー層検討 され るべ きであった といえるだろ う。 こう した 中、新教育委員 会制度 に安定性 ・継続性や政治的 中立性 の課題 が あ る と指 摘 をされて い るわ けである。

こうした中、政治状況 によって限界はあるものの、

学校 運営協議会 の機 能 が重 要 にな って くる と思われ る。

機能可能性のひ とつは、学校 レベルで代表制を補完 す る方 向性 を考 えて い く ことで ある。 選挙で選 ばれた 首長が 民 を代表 す る ことは間違 いな いが 、選挙の争点 は教育 に特化 した ものではな く、あ くまで多数決 の結 果 で ある。学校 レベ ルで 教育 に対 す る多様 な 民意 を も って、選挙 による民意 を少 しで も補完で きないか。

第二 に、「開かれ た学校運営 を通 じた教育委員の機能 強化」 という可能性 である。文部科学省が出 している 通知技で は、教育委員 には一般 的な識見 に加 えて 、教育 に対す る広い関心や熱意が求め られ る ことか ら、

PTA

や地域関係者、学校運営協議会の委員経験者等か ら人 材 を得 る必要が あ る とい うことが言われ て いる。つ ま り、開かれた学校づ くりを通 じて教育現場 を知 り、教 育 の実 態 に対 す る識見 を もつ地域住 民や保 護者が育 つ ことで、将来 の教育委員 の人材 を得 る ことにつなが る とい うことで あるX。

「学校支援型」コミュニテ ィ・スクール をいか に

超 え るか〜オル タナテ ィヴの模索

こ うした状況 を踏まえ、「学校支援型」コミュニテ ィ・

ス クール をいか に超 えるか、その方向性 と方法論 が間 われ て こよ う。

その中で、まず抑えておきたいのは、法律に書 き示 す権限強化 という方向性が必ず しも有効 とは限 らない という可能性を踏まえるべきだろう。たとえば、学校 運営協議会の法制化の際に参考にされた英国の学校理 事会 (School Governing BOdles)は 、

1980年

代後半 以降権限が強め られたが、少な くともその後

10年

程 度の実証研究によれば、権限を充分に行使できている とまではいえないものである対。また、学校のパフォー マ ンスに対する期待が高ま り、そ こにおける学校ガバ ナ ンスの貢献が重視されているが‖i、 その分学校理事 に求め られるスキルや知識 も高ま り、学校理事の欠員

(vacancy)が

未だ多 くの学校の課題 となっている血。

こうした状況を見ると、必ず しも権限規程を精緻化す ることが必ず しも適切であるとは言えない。

岩永が言 うように、まずは 「学校支援型」か ら入る ことは有効であろうが、その中で各委員が学校、子ど も、保護者の実態を知 り、見識を高めるプロセスを保 障 した上で本質的なテーマに則 して教育の熟議を展開 する仕掛けが必要なのではないだろうか。

「仕掛け

J一

つとして、教育の本質に迫れるアジェ ンダを設定が重要であると考え られる。

アジェンダの例の一は、学校独 自のカ リキュラムと い うのはひ とつの重要な要件だと思われる。現在、地 域において独 自に新 しい教科 を設けられる 「教育課程 特例校制度

Jが

広が りを見せている。また、新 しい学 習指導要領の告示・実施がまもなく迫るなか、現在進 め られている学校支援や地域連携 を蓄積させ、新教育 課程づ くりを本格的に地域 と行 うことはできないだろ うか。その他、学校独 自の評価の観点 (指導要録

)の

設定、子 どもの貧困が言われていることを踏まえ、学 校納入金の内容 を精査する、副教材の選定に対する再 精査 とアカウンタビリテ ィ確保のために学校運営協議 会を活用することもあ り得よ う。

第二に、教育委員会に対する意見 を述べ られるとい う学校運営協議会の権限を一層活用することである。

例えば、学カテス トで学校平均点の公表 というのを教 育委員会が決めることになったとき、法的効力はな く

183

(7)

仲 田康一

 

島田桂吾

とも、異議 申立て も含 め、学校運営協議会か ら様々な 意見 が 出され てよいのではないか。

第二 に、学 校運 営協 議会 の委員 の力量形成 の機会の 保 証が重要で あ る。多 くの 自治体 では、任命 当初 に仕 組 み に関す る研修 が あ るが 、そ の後 継続 して研修等 、 力量 向上の機会が用意 されている 自治体は多 くないだ ろ う。 この際 、大学、教育委員会 との連携 による、学 校運営協議会委員 の力量 向上策 の具体化 も考 え られて 良いだろ う。

8  

おわ りに

地方 自治は民主主義の学校 とい うが、学校運営協議 会 の在 り方 は、地 域 にお ける民主主義 をはか るバ ロメ ー ターである とも言え るだろ う。 自分 とは意見の異な る他者 と話 し合 う場所 を持ち続 けなが ら、教育に相応 しい形で折 り合 いをつけて い く経験 を積み、相互 に信 頼 をつ くって い くプ ロセ ス をいか に保証す るか。学校 運営協議会 で あ る必 然性 はな いが、 コミュニテ ィ・ ス クール化 を本県で推進す るか らには、上記視点が不可

iコミュニテ ィ・ ス クールの略語。

五仲田康一・ 大林正史・武井哲郎 「学校運営協議会委 員 の属性・ 意 識・ 行 動 に関す る研 究」『生涯学習教育 研究セ ンター紀 要 』 (5)31‐

402011年

2004年

の中央教育審議会答 「今後の学校の管理運 営の在 り方 につ いて」 では 、「学校評議員制度 につい ては、そ の意見 を踏 まえて教育内容の改善 を行 うな

ど、大きな成果 を上げる学校があるものの、運用上の 課題を抱え、必ず しも所期の成果を上げ得ない学校 も ある」 と、率直な見解が述べ られている (第

2章

)。

2011年

度調査は 「コミュニティ・ スクールの推進 に関する教育委員会及び学校における取組の成果検証 に係る調査研究

Jを

2013年

度調査 「コミュニテ ィ・スクール指定の促進要因と阻害要因に関する調査 研究報告書」 を指す (いずれ も文部科学省委託研究 : 研究代表・佐藤晴雄)。

V岩

永定 「分権改革下 におけるコミュニティ・スクー ルの特徴の変容」『日本教育行政学会年報』

37号

2011年

宙 朝 日新聞

2012年 9月

19日

欠 で あろう。

そ して最後 に、学校づ くりへの参加 を通 した市民の

「教育政治 リテ ラシーの向上

Jが

重要であ る。 教育委 員 会 制度改 革 に見 られ るよ うに、教育が否応な く政治 と無 関係ではい られない情況である。市民一人ひ とり が 、教育に関す る正確な知識 を持ち、多様 な意見があ る ことを意識 しなが ら、教育 を論 じ、教育 に関す る政 治 に参加 し、政治家の教育政策 を注視す る ことが求め られ る。その際には、子 ども・保護者

 

学校 が 置かれ て い る状況 に関す る知識や、学校教育をめ ぐる基本的 論点 につ いて 、一定の リテ ラシーが求め られ るだ ろう。

これ を 「教育政治 リテ ラシー」 と呼ぶな らば、教育政 治 リテ ラシー と学校運営へ の参加 を相乗的 に して いけ るか どうかが肝要であろう。 コミュニテ ィ・ ス クール 化 を、学校 レベル・ 自治体 レベルでの 「教育政治 リテ ラシー

J向

上のための契機 としたい。

※本研究は科学研究費補助金(研究課 題番号 :26780459) の成果 の一部 を含む。

V五 仲 田康 一 「コミュニテ ィ・ スクール に対 す る教育 委員会の役割」

 

『季刊教育法 』

(181)p392014

●五仲 田康一 「学校運営協議会 による保護者啓発の論 理 と帰結」『教育学研究』

2011年

iX 26文 科初第

490号 ;2014年

7月

 17日

X以

上は、仲 田康一 (2014)「 学校現場 と教育委員会事 務局へ は どんな影響があるのかJ『教育委員会改 革5つ の ポイ ン ト』学事 出版 pp 44‐

51に

詳述 した。

Xiたとえ ば、

 Ealley P(1994)θ

ο圏 堕

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Bοs=ル

kingPЮ

ttssζ

 Slough:NFERや

Earley

P&Creese,M (1998)School Governing BOdi6s:

Rationale,Roles and Reassessment,  フZ『レラ7て 2″

7

(8)LOndOn:Institute of EducatiOnを 参 照。

ii 2010年に改め られた

Ottedに

よ るイ ンスペ クシ ョンの枠 組規 定 で は学校 理事 会 に焦 点化 した イ ン スペ ク シ ョン を位 置 づ け、学校 理事 会が 学校 の 問題 状 況 に 対 応 し、 改 善 に向か って い くた め に必 要 な機 能 を発揮

して い るか 明確 に問 うよ うにな って い る (Ofsted (2010)The Evaluation Schedule for SchO。ls

London:Ofsted)

James,C 

θι

J (2014)η

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Engand20■

4 UniVersity of Bath

参照

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