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ベトナムにおける日本語教育事情および日本留学の動向と課題

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Academic year: 2022

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ベトナム国家大学ハノイ校外国語大学  日本言語文化学部 講師

タン・テイ・ミビン 氏

ベトナムにおける日本語 教育事情および日本留学 の動向と課題

○丸山 最後のご登壇者をご紹介申し上げたいと思います。ベトナムからでタン・

テイ・ミビン先生でいらっしゃいます。ミビン先生は、ベトナム国家大学ハノイ 校外国語大学で日本語を教えていらっしゃる先生です。こちらの大学には附属高 校がありまして、きょうはそちらのお話を中心に、ベトナムの中等教育について ご説明いただけます。どうぞよろしくお願いいたします。

○ミビン 丸山先生、ご紹介ありがとうございました。ベトナムから参りました ミビンと申します。よろしくお願いします。

 異文化環境で母語ではない言語でしゃべるとなかなかうまくしゃべれないと思 いますけれども、どうぞお許しください。【スライド⑥-1】

 では、早速、発表させていただきます。本日発表の内容ですけれども、本日の シンポジウムの趣旨に従って、こういう内容で進めていきたいと思います。【ス ライド⑥-2】

 最初に、まず 1 つ目のベトナムにおける日本語教育の実情ですけれども、先 ほど郭先生とアナン先生と、それからゼニ先生のご発表を聞いて、やっぱりベト ナムでの日本語教育はかなり遅れていると感じています。

 日本語教育の開始は 1957 年ですけれども、本格的に日本語教育がスタート するのは 1961 年にハノイ貿易大学でスタートしました。それから 1973 年で すね。ハノイ外国語大学で日本語教育がスタートしました。それから、かなり時 間をあけてハノイ師範大学での日本語教育の開始は 1992 年です。【スライド⑥ -3、4】

 これから本論に入りますけれども、中等教育における日本語教育試行プロジェ

(2)

クトが立ち上げられ、中学校や高等高校で第一言語としての日本語教育が実施さ れているということです。2003 年にスタートしたのですけれども、本格的に高 校で教えられるようになったのは 2005 年ですね。初めて教えたのはハノイ外 国語大学の附属高校で実施されました。それから 2007 年に一般の高校で日本 語教育が開始しました。この同年度に、つまり 2007 年に日本語がベトナムの 国民教育の正式な外国語教育の 1 つになったということです。こちらに少し情 報を加えたいのですけれども、2007 年に初めて高校卒業試験および大学入学試 験に日本語が取り入れられたということです。【スライド⑥-5】

 2013 年に中等教育日本語教育試行段階が完了し、日本語教育が中等教育にお いて完全に普及段階になります。

 それから、特に 2016 年に、2012 年国家外国語プロジェクトの第一外国語科 目として、ハノイ 4 校ホーチミン 1 校の合計 5 つの小学校でも日本語教育がス タートしているということになります。【スライド⑥-6】

 でも、ちょっと全体のほうを見ると、2016 年の例ですけれども、この段階の 統計によると、ベトナムの全国の日本語教育の機関数は 219 校ですね。教師数 は 1,795 人と、学習者の数は 6 万 4,863 人ですけれども、そのほかも、正規教 育機関以外の学習者の数は 3 万 4,266 人ぐらいいます。こちらは国際交流基金 の調査のデータですけれども、この正規教育機関以外の学習者の数というのは、

正規教育ではなくて、民間日本語教育機関ですね。あるいは日本語センターとか、

実習生のための日本語を教育するセンターのような機関です。実際に、この数よ り大幅に多いと思いますけれども、例えば、こちらの調査に入らない数、情報と かも含めて、私のほうから考えると、もっと多いのではないかなと思います。【ス ライド⑥-7】

 もう 1 つの統計のデータをちょっと見ていただきたいですけれども、こちら も国際交流機関の調査したデータです。こちらをご覧になっていただくと、赤い 線はこちらですね。この赤い線は機関数です。日本語を実施している機関ですね。

それから、紫のほうは、こちらは国際交流機関とか JICA から派遣されている専 門家の数です。緑のほうは学習者の数ですけれども、2014 年度のデータによる と、学習者はまだ約 1 万人ぐらいですね。それから、機関数はまた 47 機関です けれども、2006 年度になるとこのように変わりました。【スライド⑥-8】

 こちらはピラミッドの形になっていて、ちょっとわかりづらいと思うんですけ

(3)

れども、こちらは中等教育における外国語教育のスタートの順番です。下から上 までは早い順番ですね。最初は英語とかフランス語、ロシア語、中国語とか、日 本語教育のほうは、こちら黄色いのマークをしていますが、5 番目ぐらいに中等 教育に導入されているということですね。

 2016 年の段階では、ベトナム全国で 7 つの都市とか県とかで行われています。

その中に中学校の数も結構あります。中学校でも日本語教育を実施されています。

これは 26 校ですね。それから、高校は 22 校です。学習者の人数は約 2 万 5,000 人ぐらいで、これは 2016 年の段階です。【スライド⑥-9】

 現在、2019 年の統計ですけれども、こんなに上がりました。ハノイ、北部は 高校 6 校と中学校は 39 校、小学校 4 校です。中部のほうは、フエ、ダナンを 含めて高校は 6 校と中学校は 7 校ですね。南部、南のほうは、ホーチミンとか ビンズン県とか含めて、高校 12 校と中学校は 8 校、小学校 1 校です。現在の 段階では、ベトナム全国の中等教育、ちょっとこの数は 78 校ですけれども、こ れは高校と中学校です。この数を見ると多分おわかりのとおり、中学校のほうが 多いですけれども、高校の数は限られています。ですので、幾つかの課題があり ます。後ほど説明させていただきます。【スライド⑥-10】

 次に、これまでご覧になっていただいた情報を見ます。ベトナムにおける中等 教育の日本語教育はかなり遅れていると思いますが、普及程度は比較的高いと思 われます。それから、日本語がベトナムの民間教育のシステムで教えられる外国 語で認められ、盛んになっていると言えると思われます。【スライド⑥-11】

 続いて 2 番目の内容に入りたいと思いますが、その前に課題についてです。

先ほど申し上げました、実施している日本語教育教育機関からの課題です。まず、

中学で教えられる学校の数は多いですが、高校への進学の道はまだ狭い、つまり、

高校の数が少ないです。もう 1 つの課題は、教科書問題、教師問題とか教材問題、

学習環境問題などの問題が顕著です。もう 1 つは、ベトナムの政府やの支援や 予算的な裏づけはまだ十分ではなく、日本側のほうに依存しているので、中等教 育における日本語教育はまだ受動的であるのではないかなと私は思います。【ス ライド⑥-12】

 続いて、2 番目の内容に入りますけれども、中等教育における日本語教育の内 容、それから日本語レベル、関心分野、高校生の日本語留学への志向などについ て進めます。これらの内容は、主に外国語大学附属高校の事例の調査から分析し

(4)

ます。

 簡単に、この外国語大学附属高校を紹介させていただきます。この高校は 1964 年に創立され、現在、学習者の数は 1,500 人ぐらい生徒がいます。教師 数 110 名の中、日本語教師は 7 名です。日本語学習者の数は 300 名ですね。

この高校は、現在私が勤めている大学の附属高校ですけれども、この高校はかな り名門高校で、入学試験はとても難しいですね。だいたい 20 名の中で 1 人しか 採らない、みたいな、結構、入試の厳しい名門校、難しいので有名な高校です。【ス ライド⑥-13 】この高校の外国語大学に所属して日本語教育の、ちょっと簡単 に紹介しますけれども、ここの高校での日本語教育の開始は 2005 年ですね。

さっき申し上げたように、現在の学習者の数は 300 人ですけれども、第一外国 語としての日本語を学習しているのは 252 人で、第二外国語としての日本語学 習者は 50 人です。この高校の特徴としては、外国を専門として学習されており、

第一外国語を選択する以外、もう 1 つの外国語を勉強できるという特別な制度 というか、教育方針を持っている高校です。【スライド⑥-14】

 この高校では現在 7 カ国語を教えられているんですけれども、人気ランキン グから考えると、こちらはインタビューからまとめた結果ですけれども、やっぱ り英語のほうが一番人気ならびに日本語は最近とても人気があります。そのあと、

韓国語、中国語とドイツ語、フランス語、ほかはロシア語なども教えられていま す。【スライド⑥-15】

 学習の内容ですけれども、こちらはちょっと文字が小さくても見づらいと思う んですけれども、こちらはこの高校の 1 週間の学習科目です。日本語はだいた いちょっと、すみません、こちらに、見えるかどうか、申しわけないですけれど も、この Nhy という言葉が、こちらは日本語を教えている、日本語ということ です。こちらは高校の 3 年生です。こちら 1、2、3 ですね。1、2、3、4、5、6、

つまり 3 年生のときは 1 週間 6 コマ教えられています。1 つのコマは 45 分。

それに対して、1 年生の場合はもっと多めに教えられて、学習しないといけない です。こちらは、例えば、1 年生の D2 というクラスですけれども、こちらは日 本語、「Nhâ4t」(ニャット)という言葉ですね。1、2、3、4、5、6、7、8、合 計 8 コマ教えています。つまり、ここの学習時間から考えると、かなり多いと 私は思います。現在、大学生が勉強している日本語の時間でも 1 週間 10 コマぐ らいですので、高校でこのぐらい勉強しているというのは非常に多いと推測でき

(5)

ます。【スライド⑥-16】

 学習内容です。こちらは現在この高校が使っている 2 つの教科書です。右の ピンクの色のほうは高校の 2 年生が使っている教科書です。この教科書も外国 語大学の先生たちが作った教科書です。右の青いほうは、3 年生が使っている教 科書です。両方とも後期の教科書です。【スライド⑥-17】

 簡単にまとめて申し上げますと、主に日本文化とか日本語社会の紹介などがこ の教科書の主な内容ですけれども、ベトナムにおける日本語教育を初め、中等教 育における日本語教育は、主に文法学習を中心にしています。日本語学習イコー ル日本語の文法学習みたいな感じですね。それから、日本語能力試験のため、日 本語学習するのが現状です。実用的な日本語はまだ少ないというか、会話力が弱 いというのが現実です。【スライド⑥-18】

 日本語を履修する学生が関心を持つ専門分野ですけれども、こちらは人気順に まとめました。こちらもインタビューで学習者たちの意見を聞きました。一番多 く望んでいる進学先というか、勉強したい科目は、社会系のほうですね。社会系 といえば、経済とか国際とか言語とか教育などのような専攻を目指しています。

2 番目は理工系ですけれども、機械とか技術とか建設のような専攻を目指す人が 多いです。3 番目は IT 関係の専攻を目指す人が多いということがわかりました。

【スライド⑥-19】

 次に、この高校で卒業をしたら、日本語のレベルです。それから、留学志向に ついてパイロット調査を実施しました。調査の実施期間はつい去年の 12 月に行 いました。アンケート調査とインタビュー調査を行いました。使用言語はベトナ ム語だったんだけれども、この調査の対象者は、附属高校の 2 年生と 3 年生含 めて 105 名に依頼して実施してもらいました。【スライド⑥-20】

 その結果、まず日本語レベルについてですけれども、高校を卒業した段階で N1 に合格する人は、だいたい 14 名です。3.3%ぐらいを占めています。それ から、N2 に合格する人は 37 名、N3 は 30、N4 は 24 名です。つまり、この 高校を卒業段階では、だいたい N3 とか N2 のレベルに達している人が多いと思 われます。ベトナムの学習者たちは、なかなか N1 に合格する人は非常に限られ ています。大学を卒業しても、だいたい N2 ぐらいのレベルしか達しない、でき ない大学生が多いので、この高校は特別にエリートの学生が多いので、N1 に合 格すると。こんな数になっています。【スライド⑥-21】

(6)

 次に、卒業後、日本への留学を考えるか、みたいな質問をしたんですけれども、

その答えは、「はい」と答えるのは 47 名ですね。ざっくりと約半分は日本に留 学したいということです。「いいえ」が 24 名、まだ考え中なのは 22 名と、「そ の他」は 12 名という結果が出てきました。【スライド⑥-22】

 この「その他」は何かというと、こういう具体的な内容を書いてもらいました。

例えば、奨学金を受けたら入学すると、6 名が回答しました。そのほかは、ベト ナムの大学卒業後、日本の大学院に留学したいと答え人は 3 名。また、親の経 済状況によると答えたのは 3 名でした。【スライド⑥-23】

 次に、日本へ留学する場合は直接、日本の大学に入りたいかという質問を聞き ました。その回答は、「はい」と回答したのは 49 名。「いいえ」が 20 名と、考 え中なのは 26 名と、「その他」は 10 名です。【スライド⑥-24 】「その他」は 何かというと、日本語が心配だから、ちょっとまだ考えていない。あるいは、英 語で勉強したいという答えをアンケートの回答用紙に書いてもらいました。【ス ライド⑥-25】

 この調査の最後の質問として、日本の大学の受け入れへの期待は何ですかとい う質問しました。これも順番ですけれども、一番多いのは奨学金への期待が大き いです。また、学費の免除ですね。学費免除、全額免除あるいは一部免除される といった対応が望ましいです。そのほかは、受験を簡略、簡単にして、EJU み たいな試験がなかったらいいなと思う人が多いです。また、面接か小論文か、1 つ、

簡単にする。結構、小論文とか面接は苦手な人が多いみたいですね。また、もし 日本の大学で英語で学習できたらいいなという意見もありました。日本語だけで はなく、英語の教材の使用とか、英語維持環境みたいなのがあったら、それは一 番いいという意見が出ました。【スライド⑥-26】

 最後の 3 番目の内容に進みたいと思います。こちら日本の大学への進学の課題。

こちらは私なりに考えましたし、学生からの意見をこちらにまとめました。やっ ぱり一番大きい課題は経済課題です。日本の大学の学費が高いとか、日本での生 活費が高いとか、そういう心配が大きいです。続いては、日本語が課題ですね。

やっぱり日本語で教科の理解とか、学習の内容理解の心配も大きいです。もう 1 つは、自立課題です。日本の生活に慣れないとか、自立できない。これはちょっ とベトナムの特徴かもしれないですけれども、この高校の生徒たちはまだ親が学 校まで送ったり、学校が終わったらまた迎えにきたりというように、まだ全然自

(7)

立していないというか、まだほとんど勉強以外は、ほかの仕事はあまりしないで す。家事もあまりしないとか、そういうふうなので、自分からも心配し、親も心 配します。一人で外国に勉強させるのは、親の心配も大きいです。【スライド⑥ -27】

 もう 1 つの課題は進学課題ですね。これは何かというと、やっぱり日本の大 学の情報不足だと思います。さっき郭先生などもおっしゃっていたように、やっ ぱり日本の大学の情報はまだ十分ではない。現在、インターネット環境で簡単に 検索とかできますけれども、英語で書かれている情報は限られていますので、み んな日本語の理解はまだそこまでできないので、難しいですね。少ない。

 もう 1 つ、EJU の課題はやはり大きいです。すみません、さっき説明しなか ったですが、EJU というのは日本留学経験です。こちらもベトナムの生徒たち の大きい壁です。

 もう 1 つは、教育課題は、生徒たちの意見によると、日本の大学は柔軟度が まだ足りないということです。これは何かというと、例えば、ヨーロッパとかア メリカの大学なら、例えば卒業しなくても 6 年間とか、もうちょっと伸びても 大丈夫だけれども、日本の大学はこれができるのか、できないのかといった心配 があります。

 もう 1 つは、教授法とか学習法に、ベトナムの高校の生徒たちがすぐなじめ るかどうか。それも心配です。

 もう 1 つは、仲間づくりという課題があります。みんなは日本に行って友達 をつくれるか。日本で勉強するとなかなか友達をつくれないという心配というか、

そのうわさが結構あります。なので、友達、仲間づくりという課題も結構あると いう意見もありました。【スライド⑥-28】

 もう 1 つ、そのほかには、これはあまり多くない意見ですが、英語の低下、

つまり英語の力が落ちるかなという心配もありました。

 それから、進学先です。日本の大学を卒業したら、もし大学院へ進学したいな ら、英語が落ちるから、日本の大学しか進学できない。ヨーロッパとかアメリカ へは行けないという心配もありました。

 そのほか、地震。確かに地震は多いですね。

 就職環境は、これもそんなに多くない回答ですけれども、こちらは日系企業と か、日本での就職か、ベトナムに帰ってベトナムでの日系企業しか就職できない、

(8)

みたいな心配ということです。【スライド⑥-29】

 最後に簡単にまとめていくと、日系企業の進出は、現在ベトナムで非常に目立 っています。それから、日本の文化もすごく、非常に盛んになっております。こ の 2 つとともに、ベトナムの中等教育における日本語教育はブーム期を迎えて います。スタートはすごく遅れているんですけれども、先ほど申し上げましたよ うに、数も多いし、各高校、各地域、地方などにも普及しています。そのため、

中等教育における日本語教育が著しく発展し、学習者の数もどんどん増えていま す。その一方、教科書とか学習内容とか日本語教師など、学習環境の問題も目立 っています。

 最後に、こちらの高校を卒業直後の時点での日本語留学志向は、さっき申し上 げましたように、非常に高いと思います。壁としては、経済問題ですね。日本語 能力、日本の大学のスクールライフのような課題も多くの皆さんからの意見とし てありました。これらの課題をクリアできれば、日本語学校などを経ずに、日本 語学校に行かずに、直接、日本の大学に入る、入学する展望が大きくなるのでは ないかなというのが、私の本発表の結論です。【スライド⑥-30】

 以上、ご清聴ありがとうございました。【スライド⑥-31、32】

○嶋原 大変貴重なお話をありがとうございました。

(9)

【スライド⑥-2】

【スライド⑥-1】

3.

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4. Đào Thị Nga My (2018)

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5. https://www.jpf.go.jp/j/about/press/2016/dl/2016-057-2.pdf

参照

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