事業戦略策定作業の全体像と分析の進め方
2012年4月7日
株式会社 経営共創基盤
事前課題
あなたはある消費財メーカーの経営企画部に所属しています。
当該メーカーは、今後5年間の国内における中期事業戦略を立案する必要に迫られています。あな たはその中で国内事業の戦略立案責任者となることが決定しました。
事業戦略の立案に先立ち、あなたは戦略立案の作業の全体像を設計する必要が生じています。【事前課題【事前課題】】
消費財メーカーの国内事業戦略立案作業の全体像をどのように設計するか、下記の項目を参考に しながらあなたの考えをまとめてください。¾
消費財メーカーの事業戦略を策定する際には、どのような論点を、どのような順で 解明していきますか?¾
各論点を解明するために、どのように分析して戦略を導き出しますか?<前提となる情報>
※当メーカーは全国の小売店(コンビニエンスストア/スーパー/ドラッグストア/ホームセンター/
一般小売店)に対して自社商品を販売している大手消費財メーカー(国内シェアは2位)
※当メーカーの国内市場は頭打ちになっており、一昨年より国内市場は縮小傾向になってきている
本講義の狙いと内容の要旨
【狙い【狙い】】
事業戦略策定の第一段階(内部・外部環境分析)で検討すべき論点と検討手順を理解する。
各論点を解明して戦略を導き出すために必要な分析のあり方を理解する。【内容の【内容の要旨要旨】】
内部・外部環境分析においては、市場性、競合、事業経済性(業界の特性/自社の経済性)という、企業活動に影響を与える3つ関連要因を包括的に検討する。
各分析に当たっては、打ち手にとって意味のある様々なセグメントに切り分けて分析を進める。とりわけ時系列の変化に着目し、当社の企業活動に影響する重要な変化を読み取っていく。
勝ちパターンの見極めに当たっては、企業活動に関連する市場性、競合、事業経済性という 3つの要因を関連付けて構造化し、打ち手と損益変化の因果を動的に把握していく
内部・外部環境分析において、事業経済性の分析は特に重要な意味を持つ。¾
事業経済性の解明と市場性/競合分析との関連付けは、打ち手と損益変化の因果を把握する目次
I.I. 事業戦略立案に用いる枠組み事業戦略立案に用いる枠組み
II.II. 市場性/市場性/競合の見極めにおいて行うべきこと競合の見極めにおいて行うべきこと
1.
市場性の見極め2.
競合の見極め3.
市場性の見極めと競合の見極めの統合 III.III. 事業経済性の見極めにおいて行うべきこと事業経済性の見極めにおいて行うべきこと1.
事業経済性とは2.
事業経済性の洞察と市場性/競合との関連付け IV.IV. 事業戦略立案プロセスにおいて陥りがちな罠事業戦略立案プロセスにおいて陥りがちな罠1.
市場性/
競合/
事業経済性の関係性の見極めが不十分なケース2.
事業経済性の解釈を誤ってしまったケースⅠ 事業戦略立案に用いる枠組み
勝ちパターンの見極め
(一般解)
勝ちパターンの見極め
(一般解)
市場性
z セグメンテーション
z 市場規模・成長性
z 市場ニーズの質的変化
競争
z 競争の構図
z 流動化状況
z 参入・撤退障壁
持続的競争優位を 実際どう築いていくか?
(固有解)
持続的競争優位を 実際どう築いていくか?
(固有解)
事業経済性
z 業界の収益性を規定する要因
z 自社の儲ける仕組み
外部環境分析
内部分析
当該会社のユニークネス 当該会社のユニークネス
- ビジネスモデル - 経営資源
Ⅱ章 市場性/競合の見極めにおいて行うべきこと
Ⅱ 市場性/競合の見極め
市場性の見極め:業界の市場規模の推移を様々なセグメンテーション(商品・チャネル・地域・年齢 等)で観察し、今後市場がどのように変化するかを見極める作業
競争環境の見極め:企業間の市場シェアの変化や競合他社の業績推移から、今後の自社と競合間 の競争の構図を見極める作業
両分析においては特に時系列の変化に着目し、当社の企業活動に影響する重要な変化を読み取る
勝ちパターンを見極める上で、”市場性の見極め”と“競争環境の見極め”は(後述する“事業経済性 の見極め“とともに)関連付けて理解する必要がある¾
(例)商品・チャネル毎に異なる市場の変化が、競争環境にどのような影響を与えるのか?Ⅲ章 事業経済性の見極めにおいて行うべきこと
Ⅲ 事業経済性の見極め
事業経済性とは収益性を規定する要因(儲ける仕組み)を指す¾
事業戦略の立案に当たっては、業界の事業経済性と自社の事業経済性の両方を見極める
業界の事業経済性:消費財メーカーにおいては、事業規模が大きくなるほどスケールメリットを享受 できる「規模型事業」の特性を持つ業界が多い
業界の事業経済性:自社の事業経済性を様々なセグメントで分析し、それを市場性/競争環境の 分析と関連付けることで打ち手と損益変化の因果を動的に把握する¾
市場性/競争環境の分析と自社の事業経済性の分析を関連付けて、市場の開拓余地を探る¾
自社の打ち手の変化から、自社が勝ちうるセオリーのヒントを得る¾
自社の損益にとって将来にわたってインパクトの大きい商品やチャネルを見極める規模の経済性の構造
売上原価
(変動費)
売上原価
(固定費)
物流費 販売促進費
営業利益
広告宣伝費 人件費 その他販管費
売上原価
(変動費)
物流費 販売促進費 広告宣伝費
人件費 その他販管費
営業利益 100%
コス トの 売 上高 比 率
スケールメリットの 効きやすいコスト
○
○
市場・競合・事業経済性を一体として捉える視点
利益率
事業規模
A産業の事業経済性の構図
自社
供給>需要 供給<需要
コスト競争力高
コスト競争力低
成熟市場において、下位メーカーが
売上拡大を目指して設備投資による生産性向上を狙う場合
売上原価
(変動費)
売上原価
(固定費)
物流費 販売促進費
営業利益
広告宣伝費 人件費 その他販管費 100%
コス トの 売 上高 比 率
△
×
×
売上が思うように伸びず、コスト増となる シェア奪取のための安売り
↓
販促費負担増
売上があまり増えないため、
効果は限定的 その他販管費
売上原価
(固定費)
物流費 販売促進費 広告宣伝費
人件費
売上原価
(変動費)
成熟市場において、中位メーカーが一気に取引改善を行う場合
売上原価
(変動費)
売上原価
(固定費)
物流費 販売促進費 100%
コス トの 売 上高 比 率
広告宣伝費 人件費 その他販管費
売上原価
(変動費)
売上原価
(固定費)
物流費 販売促進費 広告宣伝費
人件費
×
その他販管費
○
×
売上減によるコスト負担増売上減によるコスト負担増 取引条件改善
Ⅳ章 事業戦略立案プロセスにおいて陥りがちな罠
事業戦略立案プロセスにおいて陥りがちな罠
【規模の経済性に対する解釈の誤り】
「弊社は業界6位でシェアは5%に過ぎない。まだまだシェア奪取の余地は大きい。シェアさえ拡大す れば利益は後からついてくる。」¾
市場が明らかに成熟しており、かつ商品のブランド力が低い場合、シェア獲得は 膨大な販売単価の下落と販促費増加が伴う。¾
供給増が招く販売単価の下落が大き過ぎれば、販促費率アップが固定費率の減少分を相殺し てしまう。【事業経済性検討の欠落】
「今後は高齢者の人口に占める割合が増加するのだから、高齢者向けのA商品に経営資源を投下 すべきだ。」¾
商品別損益を見ないで注力分野を決めてしまう。【木を見て森を見ず】
「商品カテゴリーとチャネル毎に、市場動向・競争状況・コスト構造を確認し、課題をまとめよう」¾
精緻な分析に凝るほど全体の方向性が見えなくなる。当該事業にとって意味のあるセグメント を見極めて、打ち手と損益変化の因果を動態的に把握しなければならない。本講義の狙いと内容の要旨
【狙い【狙い】】
事業戦略策定の第一段階(内部・外部環境分析)で検討すべき論点と検討手順を理解する。
各論点を解明して戦略を導き出すために必要な分析のあり方を理解する。【内容の【内容の要旨要旨】】
内部・外部環境分析においては、市場性、競合、事業経済性(業界の特性/自社の経済性)という、企業活動に影響を与える3つ関連要因を包括的に検討する。
各分析に当たっては、打ち手にとって意味のある様々なセグメントに切り分けて分析を進める。とりわけ時系列の変化に着目し、当社の企業活動に影響する重要な変化を読み取っていく。