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−日本大学生産工学部第42回学術講演会(2009-12-5)−

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(1)

超分子金属錯体触媒のためのカリックスアレーン連結型 Xantphos 配位子 のデザインと合成経路の探索

日大生産工(院) ○猪瀬 真之 日大生産工 市川 隼人・清水 正一

1. 緒言

遷移金属錯体触媒を用いた反応は工業的に幅広く 行われており,この触媒反応における活性,選択性 などは主に配位子に依存するため,より優れた触媒 反応を実現するために配位子の研究・開発が盛んに 続けられている。ヒドロホルミル化反応は,工業的 に大規模に行われている遷移金属触媒反応プロセス の一つであり,プロペンを原料としてブタナールが 毎年800万トン以上製造されている。しかし,Rhなど の金属錯体触媒は非常に高価なので,その回収・再 利用が容易に行える反応プロセスが必要である。有 機相と親和性を示さない液相に遷移金属錯体触媒を 固定した二相系ヒドロホルミル化では,反応終了後 に生成物と触媒を容易に分離でき,さらに回収した 触媒は再利用が可能であることから注目されてい る。例えば,水,フルオラス溶媒,イオン液体など の液相に遷移金属錯体を固定した二相系ヒドロホル ミル化反応がこれまでに報告されている。中でも, 水を用いた水相–有機相二相系ヒドロホルミル化反応 は,Rhône-Poulencプロセスとして工業的に実際に用 いられている1。この反応系には,水溶性のトリフェ ニルホスフィントリスルホナト(TPPTS)を配位子と したRh錯体触媒が用いられ,触媒は,水相に固定化 されていると見做すことができる。したがって,反 応は,水相中で進行し,反応の進行とともに生成す るアルデヒドは有機相として二相を形成する。しか し,高級アルケンは,水に対する溶解度が小さいの で,この反応プロセスを適用することはできない。

この問題を解決する方法として逆相間移動触媒作 用を利用する方法がある。Shimizuら2は,包接化合物 であるカリックス[4]アレーンにホスフィノ基を導入 し,これを配位子としたRh錯体触媒を用いた水相−

有機相二相系ヒドロホルミル化反応を報告してい る。この系では,水に不溶な基質がカリックス[4]ア

レーンの疎水性空孔に包接され,水相に移動するこ とにより反応が促進されていると考えられている。

この錯体触媒は非常に高い活性を示し,さらには触 媒を含む水相の回収・再利用が可能であることが,

リサイクル実験により実証されている。しかし,この 反応系では工業的に有用な直鎖アルデヒドの選択性 が低いという問題は依然解決されずに残っている。

Caseyら3は,二座ホスフィン配位子が金属に配位し

てできるP-M-P角(bite angle)が120 ˚付近になるような 配位子をもった金属錯体をヒドロホルミル化の触媒 に用いると,高い選択性で直鎖アルデヒドが得られ ることを示した。van Leeuwenら4は, このbite angleが

120 ˚付近となるキサンテン型二座ホスフィン配位子

のXantphosおよびその類縁体を開発し,高い触媒活

性と共に,従来の配位子と比べて著しく高い直鎖選 択性が得られることを示した。

そこで本研究では,水に不溶な長鎖オレフィンに 対しても水相−有機相二相系ヒドロホルミル化反応 において,高い触媒活性および直鎖選択性を示し,

さらには回収・再利用が可能な金属錯体触媒のため の配位子の開発を目的として, Figure 1に示した分子 構造をデザインし,その合成経路の探索を行ってい るのでその過程を報告する。

Design of Calixarene–Conjugated Xantphos Ligand for Supramolecular Metal Complex Catalyst and Investigation of Synthetic Route

Masayuki INOSE, Hayato ICHIKAWA and Shoichi SHIMIZU

1

Figure 1. Novel water-soluble calixphosphine.

BnO OBn BnO

P O

OBn P

SO3Na NaO3S

NaO3S SO3Na

NaO3S SO3Na SO3Na NaO3S

NaO3S SO3Na

NaO3S SO3Na

−日本大学生産工学部第42回学術講演会(2009-12-5)−

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2. 実験

カリックス[4]アレーン部位は,2 を出発原料とし てn–BuLiでジリチオ化,4–ブロモベンズアルデヒド とのSuzuki–Miyauraクロスカップリング反応(3, 75%) を経て合成した。

また,キサンテン部位は,既知化合物の 4

sec-BuLi でリチオ化し,これを三塩化リンと反応さ

せて中間体5を生成させ,これと4–ブロモフェニル リチウムとの求核置換反応(6, 43 %)を経て合成し た。

このようにして得られた6をジリチオ化し,3への 求核付加反応によりカリックス[4]アレーン部位とキ サンテン部位が連結したカリックスホスフィン 7の 合成反応を行った。

3. 結果および考察

61H NMRスペクトルには,Xanthene骨格の3位 と 6 位の水素に帰属すると考えられるシグナルが δ 6.50 (ddd, 4JH-H = 1.4 Hz, 3JH-P = 3.8 Ηz, 3J H-H = 7.5 Hz , 1H) と δ 6.46 (ddd, 4JH-H = 1.4 Hz, 3JH-P = 3.9 Ηz, 3J H-H = 7.5 Hz ,

1H)に二つ確認できた。これは,3位と6位の水素の 化学環境が異なっていることを示している。また 9 位のジメチル基に帰属されるシグナルがδ 1.65 (s, 6H) に確認できた。また,31P NMR スペクトルにおいて も,–17.2 ppm (d, 6JP-P = 34.2 Hz )と–18.3 ppm (d, 6JP-P = 34.2 Hz)にその構造から推測される二重線のシグナル を確認できたことから,目的物6が得られたことが

分かった。

7 を合成するためのカップリング反応で得られた 反応混合物は,フラシュクロマトグラフィーにより 精製し,収率20 %程度で,目的物と考えられる生成 物を分離した。この画分の 1H NMR スペクトルに は,ホルミル基の水素に帰属されるピークがなく,

またキサンテン骨格の 9 位のジメチル基に帰属され るシグナルがδ 1.29–1.33(m, 6H)で確認できた。さら に,カリックス部位のメチレン架橋に帰属されるシ グナルが,δ 2.95–2.99(4H)とδ 4.20–4.25(4H), ベンジル 基に帰属されるシグナルがδ 7.79–5.18(8H), またキサ ンテン部位とカリックス部位を連結しているメチン 架橋に帰属されるシグナルが δ 4.48–4.78(2H)に認め られたことから目的生成物が得られた可能性が高い と思われる。今後は,目的化合物の収率向上を目指 し,その構造を同定する予定である。

4. 参考文献

1) Kuntz, E. G. CHEMITECH, 1987, 570–575.

2) Shimizu, S.; Shirakawa, S.; Sasaki, Y.; Hirai, C. Angew.

Chem. Int. Ed. 2000, 39, 1256-1259.

3) Casey, C. P.; Whiteker, G. T. Isr. J. Chem. 1990, 30, 299–304.

4) van Leeuwen, P. W. N. M.; Goedheijt, M. S.; Kamer, P.

C. J. J. Mol. Catal. A. Chem. 1998, 134, 243–249.

2 BnOOBnOBn BnO

Br Br

BnOOBnOBn BnO

OHC CHO

3 O

PPh2 P

Br Br

6 O

PPh2 Br

4

O PPh2 PCl2

5

BnO OBn BnO

O P

OBn P

HO OH

7 (a)

(b) (d)

aReagents and conditions:(a)1) n-BuLi, B(OCH3)3, THF, -78 ˚C, rt, 1N HCl; 2) Pd(OAc)2, PPh3, 4-bromobenzaldehyde, Toluene/1- PrOH, 2M Na2CO3, reflux; (b) sec-BuLi, PCl3, THF , –78 ˚C; (C) p-BrPhLi, THF/Et2O, –78 ˚C to rt; (d) n-BuLi, THF, –78 ˚C.

Scheme 1a

(c)

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参照

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