九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
金属材料の逆変形機構と低サイクル疲労挙動に関す る研究
森野, 数博
https://doi.org/10.11501/3097529
出版情報:Kyushu University, 1994, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
第7章 引張圧縮低サイクル疲労試験片形状の問題点とその対策
7.
1 緒 日
第2章から第6章では金属材料の逆変形機備について検討した。 逆変形を行う とバウシンガ効果を生じるが、 静的試験を通じてその本質を明らかにするには大 変形域の逆変形山線あるいは大予ひずみ材の破断延性値を精度よく求めることが 必要であることから、 きわめて困難であるこれらの実験、 特に圧縮大変形を可能 とする負荷装置を製作し、 高精度の引張圧縮試験方法を確立することにより、 弾 塑性域から破断まで統一的に説明しうる逆変形機構を提示した。 引張圧縮におけ るこのような実験上の難点は低サイクル疲労においても共通しており、 このこと も低サイクル疲労に残された問題点の解決を遅らせている一因であるように思わ れる。 そこで本章では、 くびれ直前の限界ひずみ幅まで高精度の実験が可能な引 張圧縮繰返し試験方法を確立し、 低サイクル疲労に用いられる試験片形状につい て問題点を明らかにし、 その対策について検討を行った。
低サイクル疲労試験を引張圧縮で行う場合、 試験片には円柱形あるいは砂時計 形が用いられる。 と くに砂時計形試験片は座屈が生じ難いこと、 疲労破壊の起点 が限定できることなどの理由から比較的大きなひずみ領域を対象とする場合に用
いられることが多い。 しかし、 それを用いて得られた疲労寿命は円柱形のものよ り長寿命側にくることが指摘されている1 3 0 )ー14l)0 たとえば試験片中央部の曲率 半径ρ。と最小直径d。との比ρ。/d。が8のものでもおよそ1. 4"" 3倍1 3 9) 1 4 0)に なっており、 5倍程度14 0)になる場合さえ見受けられる。 このことは砂H寺計形試 験片を用いると危険側の値を与えることを意味しており、 設計上大きな問題とな る。 また、 砂11寺計の形状は三判応力を誘起することから、 正しい繰返し応力一ひ ずみ曲線を得るには不適切1 4 2 )だといわれており、 さらには疲労破壊機機の解明 を目的とする場合にも、 結果に少なからず影響を及ぼすことが懸念されている4 4 ) 。
しかしながら、 試験片形状に関してJ 1 Sには何も規定されておらず、 またAS
T M 143)にも明確な恨拠のないまま推奨値が示されているにすぎない。 このよう
に試験片中央部の形状が低サイクル疲労挙動に及ぼす影響については、 これまで 系統的な検討は行われていない。
そこで本章では、 まず平行部の長さを変化させた円柱形試験片を用い、 塑性ひ
『田園圃F・ー"
ずみ幅一定のもとで引猿圧縮による正確な低サイクル疲労挙動を求めた。 次に中
央部の|曲率を広範囲に変化させた砂H寺計形試験片を用いて同様の実験を行い、 疲
労寿命に及ぼす形状の影響を求めた。 このとき両者の疲労寿命に差が生じる理由 を実験的に明らかにするとともに、 繰返し応力一ひずみ曲線をもとに弾塑性有限 要素解析を行い、 微小き裂伝ぱ則1 4 4) 1 4 5 )を適用することにより砂時計形試験片 の疲労寿命 を推定し、 上記の理由を裏づけた。 また、 砂11寺計形試験片の疲労寿命 から円柱形試験片の疲労寿命を推定する方法についても述べた。
7.2 これまでに用いられてきた試験片形状の傾向
図7-1は過去20年間(1971-1990)に「日本機械学会論文集Jおよび「材料」に掲
載された低サイクル疲労に関する論文のうち、 室内包下において用いられた引張圧 縮試験片形状の頻度分布を掲載論文数で示したものである。 試験片形状の代表値 として 円柱形では中央部の平行長さいと直径d 0との比1 0/ d 0をとり、 砂時計形 では中央部の曲率半径ρ。と最小直径d 0との比ρ。/d 0をとった。 円柱形ではl 0
/ d 0が2前後の形状が多く用いられているが、 砂H寺計形ではρ。/d 0が4前後と8
にピークがみられる。 また、 円柱形では最大塑性ひずみ幅が2 %以下で用いられ ているものが多い( 2 %より大きい場合でもほとんどが2 %よりわずかに大きい程 度にとどまっている)が、 砂時計形では2 %を越す場合が比較的多く、 この傾向は ρ。/d 0が小さい方で著しい。 このことは座屈防止を念頭においた対応であろうと 思われるが、 砂時計形試験片は2 %以下でも少なからず用いられており、 円柱形 の代用として安易に用いられている傾向もうかがわれる。 また図中にはASTM 推奨値1 4 3) (円柱形: 2 �玉1 0/ d 0三五4、 砂11寺計形:4豆ρ。/d 0壬8 ) を併記した。
推奨値より形状比が小さい試験片は多数使用されているが、 それより形状比を大 きくした例は見当らなかった。
7.3 試験片、 使用材料および実験方法
図7-2に用いた試験片形状を示す。 円柱形、 砂時計形ともd 0を一定とし、 いあ
るいはρ。を変えることによりい/d 0とρ。/d 0を広範囲に変化させた。
素材にはS25 C圧延丸棒を用いており、 88 QOCで1 h焼なましたものを図7-2の 形状に仕上げた後6000Cで1 h真空焼なましを行い、 さらに電解研磨により表面を
Cylindrical type
『司圃圃圃--
ASTM
recommended
Lt===16
4εp
仁コ >0.02
口豆0.02 30
20
10
」ω2EコZ
3.0 4.0 5.0 10/ d 0 2.0
。 1.0
ASTM
recommended Hourglass type
4εp
仁コ>0.02 口豆0.02
」ωDEコZ
30
立コロ E二コ3
20
10
10.0 6.0 8.0
ρo/do 2.0 4.0
。
低サイクル疲労に用いられている試験片形状
図7-1
『司固ー----
Cylindrical type
1 37
{o/ do do d1 lo h
2.0 12.0 29.4 21.6
6.0 10.0 17.2
1.5 9.0 26.4 23.1
1.0 9.0 24.2 25.4
9.0 12.0 16.0
0.5 4.5 19.7 27.65
Hourglass type
ρo/do d。 d1 ρo {3
20.0 120.0 31.0 20.0
8.0 18.0
14.0 84.0 25.8 22.6
8.0 48.0 27.4 22.6
5.0 6.0 30.0 21.6 25.5
3.3 10.0 20.0 17.4 17.2 27.6
2.0 12.0 13.2 29.7
1.0 6.0 9.0 31.8
図7-2
試験片形状
表7-1 化学成分(wt. %)
C
I δ1
IVln ド '-'(',胃 I
NiI
Cr0.26 I 0・1::1
I 1J.4凡 I 11 I1ソソ I I111ソlI 0.01 I 0.04 I 0.05
σsl
表7-2 機械的性質(MPa,%)
ψ
230 57.0
ゆ: Reduction of area
εFo=111-L=0844(Jo/do=20) 1-ゆ
直径あたり30μm程度除去し実験に供した。 材料の化学成分を表7-1に、 機械的性 質を表7-2に示す。
試験機には島津オートグラフ(D S S -5000形)を使用し、 両振りの引張圧縮疲労 試験を行った。 負荷装置は2章で示した静的変形に用いたものと基本的には同じ であるが、 さらに剛性を高め高精度なものとし、 座屈を防止することに努めた。
これを図7-3に示す。 変形速度は1.0""2.0mm/minである。 車111方向のひずみ測定 には標点間距離が8.0mm(ただしい/d 0が0 .5では4.0m m )のひずみゲージ式伸
び計を用いており、 直径方向のひずみ測定にもひずみゲージ式伸び計を用い、 い ずれも真ひずみによる塑性ひずみ幅が一定となるように試験機を制御した。 また、
荷重が最高値の9割に低下したときを破壊繰返し数と定義した。
7.4 結果および考察
7. 4. 1 疲労寿命と試験片中央部形状の関係
( 1 ) 円柱形試験片
図7-4に円柱形試験片を用いた場合の判!方向塑性ひずみ幅一定のもとでの疲労 寿命曲線を示す。 1 0/ d 0がASTM推奨値の範囲にある2.0の形状〈・印〉では
Manson-C offin型の関係1 6) 1 7
)をきわめてよく満足しており、 最小二乗法で求め『司国国---ー
ト山一 ーρu n'U 1nu qa ハUTlu nυA rA Ub v'A nrv nυ‘ nυa nu
Guide
nu nFU ‘,‘ •. nu ハau円「Unυa 円、υ
150 Cross head
図7-3 引張圧縮負荷装置
『司・圃---
10-1
内/』 nU 4EE
門凶ω可ωOC6」C一のおωω一日ωω一仏
Cylindrical type4εp・Nf 0,54 = 0.95
lo/do
ム 0.5 マ 1.0 口 1.5 -・- 2.0
103 104
Number of cycles to failure Nf
図7-4
�!IU方向塑|生ひずみ11届一定のもとでの円柱形試験片の疲労寿命曲線
たメチ命則は次式で表される。
Ll ε p. N [ 0, 54=0.95 (7. 1)
しかるに、 円柱形試験片の疲労寿命は1 0/ d 0により差が生じることが図7-4から うかがわれる。 図7-5 に4ε p= 2 %および4 %の場合の1 0/ d 0による疲労寿命 の変化を示す。 ここで疲労寿命N[は式(7. 1)から求めた値N [ 0との比で表わして いる。 これからん/ d 0が1.5より大きくなれば疲労寿命は塑性ひずみ幅4ε pに関 係なくほぼN[ 0と等しくなり、 正確な値が得られることがわかる。 一方、1 0/ d 0 が1.5より小さくなると疲労寿命は次第に低下する。 図7-6に繰返しに伴う応力幅 4σの変化を示す。 1 0/ d 0を変化させた場合、 1.5以上では4σの変化はほぼ一 致しているが、 0.5では繰返しのかなり早い段階でそれらから逸脱しており、 くび れの発生を裏づけている。 なお、 1 0/ d 0が2.0においても4ε pが4 %と大きくな ると4σは低下している。
では、 1 0/ d。が小さくなりくび れを生じるとなぜ寿命が短くなるのであろうか。 くびれを生じる場合と生じない場合の代表としてい/ d 0がO. 5と2.0の形状を選び、
繰返しに伴う最大引張応力σ a Tと最大圧縮応力σ a Cをdε pニ2 %の場合について
- ... 固圃圃---
1.5
Cylindrical typeASTM
recommended
♀
空1.0
Z
Aεp 0.02 0.04
•
立
。0.5
5.0 3.0 4.0
10 I d 0 1.0 2.0
。
円柱形試験片の10/ doによる疲労寿命の変化
図7-5
1000
Cylindrical type lo/do
-一一一0.5 一一一1.0
・1.5
一一一 2.0
800
(cn比三)・0可。。c
c」ωωωおの
0.005
102 103 104 105 Number of cycles N 400� 101
10U
円柱形試験片の10/ doによる応力l隔の変化
図7-6
Cylindrical type
一-.--
400
10/ do Tensile Compressive
4εp = 0.02 (caE)O巾・0 mト巾・0
102 103 104 Number of cycles N 101
200 10U
引猿りおよび圧縮時における最大応力の10/ doによる変化 図7-7
1 0/ d。が2. 0で ここでは真応力を用いているが、
これを図7-7に示す。
比i絞した。
はどちらの最大応力もほぼ等しくなっているのに対しい/ d 0がO. 5の場合、 繰返 しの初期には引張りと圧縮で同程度だった最大応力が繰返しとともに引張側の方
これは、 圧縮H寺に肩部の拘束が原因で中央部が太鼓形にな で大きくなっている。
そこに取り付-けられている車111方向伸び計はみかけ上圧縮ひずみを加えられた り、
のと同機の状態になることから所定の引張ひずみを与えるには余計に引猿る必要 その結果寿命が短くなったものと考えられる。
があるためであり、
4 ε p豆4 %の範囲では円柱形試験片を用いて軸方向ひずみ これらのことから、
1 0/ d。の値を1 . 5以上にすれば疲労の初期から破断に至る 幅を一定にした場合、
1 0/ d。に関するASTM推 したがって、
奨 値 1 4 3 )は多少大きめに見積りすぎていると思われる。
まで正確な値を求めうることがわかる。
砂H寺計形試験片 (2)
図中には式(7. 1)
直径
両者の比較を行うため、
図7-8に砂時計形試験片を用いた場合の疲労寿命曲線を示す。
より得られた円柱形試験片の寿命曲線を併記した。
方向全ひずみε dから式(7.2)で換算した!lqlJ方向塑性ひずみε p143)を用い、 そのひ ずみ幅4ε pを一定とした実験を行っている。
εp = - ε dP/レ p 一(ε d + ν eσ/ E )/ν p (7. 2) ここにσは負荷応力、 Eは縦弾性係数であり、 弾性ポアソン比ν e にはO. 30を、
塑性ポアソン比ν pにはO. 50を便宜上用いた。 実線はASTM推奨値の範囲にある
p 0/ d 0が5.0の場合について示している。 この場合もManson- C offin型の関係を よく満足しているが、 寿命は円柱形より延びている。 このとき両者の寿命比は一
定ではなく、 l幡中ら14 1 )の結果と同じく塑性ひずみ|隔が大きくなるほど増加して いる。 また、 疲労寿命は砂H寺計形状により異なる傾向もうかがわれる。
図7-9に試験片中央部の形状による疲労寿命の変化を示す。 このとき形状はd 0
/ρ。で代表させ、 疲労寿命Nrは同じ塑性ひずみ幅4εpを与えた場合の式(7. 1)か
ら求まるNr 0との比で示している。 ここでは4εp= 2 %と4 %の場合について検 討したが、 ぱらつきはいくぶん大きいもののどちらの場合もほぼ同様の傾向を示 している。 砂H寺計形試験片の疲労寿命は円柱形より全般的に延びているがその増 加率はたかだか5 0 � 70 %であり、 これは常温におけるこれまでの報告13 9) 1 4 1 )と ほぼ同程度である。 寿命が最も延びるのは砂11寺計形状がASTM推奨値14 3)の範 囲にある場合であり、 形状がそれ以上鈍くなると寿命は低下しはじめ、 円柱形の 値に漸近する。 なおASTM推奨値の範囲では、 疲労寿命比N r/N r 0はほぼ一定
になっている。
7.4.2 砂時計形試験片における長寿命化要因の検討 ( 1 ) 実験的検討
(a) 繰返しに伴う塑性ポアソン比の影響
直径方向ひずみを用いて疲労試験を行う場合、 疲労途中における塑性ポアソン 比を知る必要があり、 いくつか検討が行われている139)141)146)が、 その結果は 互いに異なっている。 また、 制方向と直径方向のひずみを用いて得られた円柱形 試験片の疲労寿命関係は必ずしも一致していない139)140) 146) 。 そこで、 同様の 実験をここで も行った。 試験片にはい/ d 0が2.0の円柱形を用い、 材料には9000C で1 hの焼ならしを行ったSK 5材(0.85%C)を併せて用いた。
図7-10にS25 C焼なまし材の疲労途中におけるヒステリシスループとそこでの
←トトト ηζ
nu
nU
4E1 4EE-
au可ωOCC」C一のおωω一日ωω一仏
\川 、 九〉 \0
Hourglass type
ρ
o/doo 1.0
く> 2.0 口 3.3
-・- 5.0
• 8.0
+ 14.0
x 20.0 Cylindrical type
Aεp ・Nf 0.54 = 0.95
正司
103 104
Number of cycles to failure Nf
円ノ』nu dEE- qu nu dEI
円柱形と砂時計形試験片の疲労寿命曲線の比較
図7-8
2.0
Hourglass typedεp 0.02 0.04
正司
•
。
ASTM
recommended
♀
竺1.5
Z
1.0 0.5
1.0 1.2 0.8
do/ρ。
0.6 0.4
0.2
。
砂時計形試験片のρ0/ doによる疲労寿命の変化
図7-9
塑性ひずみ幅が2 %の場合、
軸方向と直径方向の塑性ひずみ関係の一例を示す。
疲労途中におけるみかけの塑性ポアソン比ν pは除荷11寺と負荷H寺でよく一致してお この傾向は繰返し数に関係なく成 ーサイクル中ではほぼ一定になっている。
り、
塑性ひずみ幅の大きさにも関係なく4 %まで り立つことが図7-1 1からわかるが、
また図7-11から、 繰返 成り立っており、 松岡ら14 6 )とは異なる結果が得られた。
繰返しに伴うレ pの し数が増すにつれレ pがわずかに減少していることがわかる。
レ pは疲労のごく初期に 材料により多少の差はみられるが、
変化を図7-12に示す。
そ
わずかな繰返しで0.5まで減少し、は0.5よりいくらか大きな値をとっており、
の後は疲労の進行に伴ってゆるやかに減少しながらO. 48程度の値に漸近している。
S K 5焼なら
このような挙動はいずれの結果139)141) 146)とも異なっているが、
実線で示したBui-Quocら13 0 )の実験値 疲労のごく初期を除けば、
し材の値は、
ときわめてよく一致している。
II�ÍI方向ひずみ制御の場合と直径方向ひずみ制御の場合における円柱形試 また、
Cylindrical type
( 101
d0
=2.0 )
nJL e
nuNU
o
=
w D1 4E-
nu FC= AN
400 (cn比三)b
。
。。 εdP - εp
・ ・ σ- εp
。 0.01
4EE nu nu c一応」窃QZω豆丘一EHOEEQ 牛刀 U
-400
-0.01 0
Axial plastic strain
疲労途中における除荷時と負荷時の軸方向と 直径方向の塑性ひずみ関係
図7-10
『司.園田_.-'
以」
日ω5a-cboEC一口 C一C』)←ωω
a.. てコ
Aεp二0.02 Cylindrical type
(
10/ d 0 = 2.0 )N=2
。 人
。。
斗 じ
N = 10
|εp = 0.011
Axial plastic strain
εIP図7-11 疲労途中における軸方向と直径方向の塑性ひずみの関係
止
5
4 nu
nu
λozの』ωcoωω一onLQZωω一仏
0.6
0.3 (5
AεP = 0.02 Cylindrical type (Io/doニ2.0 )
T.Bui-Quoc et al.
住
o ・S K5 S25C0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
Cycle ratio N/Nf
図7-12
繰返しに伴う塑性ポアソン比の変化10-1
Cylindrical type
(
10/ d 0 =2.0 )
Diametral strain controlledν
p
o
0.50
・ 0.45
り可。。cc」
C 1"'\
.c\s
1 0一ζ
c/) ι2 c/) 6
0...
仕
Axial strain controlled(.dεp・Nt54
=0.95)
103 104
Number of cycles to failure Nf
図7-13
�!Ill方向ひずみ制御の場合と直径ひずみ制御の場合における 円柱形試験片の疲労寿命の比較
験片の疲労寿命変化を図7-13に示す。 レ pにO. 50を用いて直径方向ひずみ制御を行 った 場合、 実線で示す1�1I方向ひずみ制御の場合とほぼ一致し ており、 常jlilにおけ るこれまでの報告1 3 9) 1 4 6 )と同じ結果が得られた。 またν pにO. 45を用いても寿命 はごく わずかしか延びなかった。 これらのことから、 ν pのわずかな差は寿命にさ ほど影響を及ぼさず、 直径方向ひずみ制御で疲労試験を行う 場合、 レ pは O. 50でも 十分な精度を有しているといえよう。 し た がって、 塑性ポア ソン比は 砂時計形試 験片の疲労寿命を大きく延ばす要因にはならないことがわかる。
(b) 最小断面における三判l応力の影響
図7-14に砂時計形試験片の繰返しに伴う応力幅4σの変化を円柱形試験片とと
もに示す。 繰返し硬化の傾向はいずれも似かよっているが、 砂時計形状が鈍くな るにつれて4 σの値 は小さくなっている。 この変化を図7 - 1 5に示した。 ここで
Ll a は N c / 2 における値で代表させ、 円柱形の4σ。との比で示しているが、 平 行部にわずかな曲率をつけるだけでd σ は 円柱形よ り 大きくなっている。 また
1000
Hourglass type
ρ
。/d02.0 1.0
5.0
3.314.0
一一
Cylindrical type(
I o/d 0 =1 .5 )
Aεp =
0.02
(caE)・0可ωOCC」ωωωおの
102 103 104 105 Number of cycles N 101
400�
10V
円柱形と砂時計形試験片の応力幅の比較
図7-14
1.3
Hourglass type正司
Experimental N=Nf/2
Aεp
0.02 0.04
•
。
1.2
1.1
1.0
ob可\・0
可
1.2 1.0
0.8 d 0/ρ。
0.4 0.6 0.9 å 0.2
砂時計形試験片のρ0/ doによる応力|隔の変化
図7-15
7.4.2(2)項の有限要素解析による値を併記したが、 両者はほぼ一致している。 こ のような傾向は砂H寺計形状による応力の三割11性に起因していることは明白であり、
これは疲労寿命を延ばすことに対しては逆の要因である。
(c) 微小き裂発生確率の影響
第1章で述べたように、 低サイクル疲労では主き裂の伝ぱがその挙動を支配す る43)-45) 。 このき裂は試験片表面に発生するため、 表面積が狭いほどき裂の発生
確率は低くなることから、 砂11寺計形では円柱形より疲労寿命が延びる可能性は十 分考えられる。 インコネル617合金を用い10000Cで実験を行った服部ら1 4 0 )はこれ を長寿命化の原因にあげているが、 低サイクル疲労の場合、 き裂は全寿命の5,-..,
20 %で発生することが多くの実験で確認されている32)33) 43) -45)ことから、 き裂
の発生確率に差が生じても、 50'-"'70%も疲労寿命を延ばす原因になるとは考えら れない。
(d) 三朝h応力下における砂時計底近傍の引張軸方向応力の影響
低サイクル疲労被 害の物理的実 体は微小き裂であり、 疲労寿命の大部分が微小 き裂の伝ぱ過程で占められることはすでに第l章で述べたとおりである。 したが って、 砂時計形試験片の疲労寿命が延びるのはき裂伝ぱ速度の遅いことが原因で はないか1 " 1 )と考えるのは当然の帰結であろう。
図7-16は砂時計形試験片と円柱形試験片のき裂伝ぱ曲線を比較したものである。
表面には直径と深さがともに0.1 m mの小穴を注意深くあけ、 き裂の発生条件を同 じにした。 き裂長さの測定はレプリカ法で行っている。 き裂長さの短い範囲では、
円柱形と同じく砂H寺計形試験片においても、 き裂長さの対数l n lとき裂長さが O.2rnrnになってからの繰返し数N-No.2の聞にほぼ比例関係が成り立っている。
砂時計形試験片のき裂伝ぱは円柱形より遅くなっており、 ρ。/d 0に伴いき裂伝ぱ 速度が減少する傾向は図7-9にみられた疲労寿命が増加する傾向とほぼ同じになっ
ている。 このことは、 砂時計底近傍における引張軸方向応力が同じ塑性ひずみ幅 (円柱形試験片では判方向ひずみ制御で与え、 砂時計形試験片では直径方向ひずみ 制御で与えるものと する)を与えた場合の円柱形の値より小さいことを示唆してお り、これが砂時計形試験片の疲労寿命が円柱形より延びる原因であろうと思われる。
0.1
Cylindrical type
・ 10/d 0
=
2.0Hourglass type ρ。/ d 0
2.0 8.0 14.0 dεp = 0.02
〈〉O口
ε ε
..c ,...
ち) 10u
c。 よ正ごに3 6
0
200 400 600 800 Number of cycles N - NO.2
nu nu AEE・
円柱形と砂時計形試験片のき裂伝ぱ曲線の比較 図7-16
有限要素法と微小き裂伝ぱHlJに基づく検討 ( 2 )
解析形状および解析方法 (a)
解析には三 解析に用いた形状は実験に用いた図7-2の中央部形状と同ーとした。
最小断面近傍は山率に関わらずすべて同じ形状に分割し 角形リング要素を用い、
最小要素と曲率 た。 解析形状および要素分割例(ρ。/do=5.0)を図7-17に示す。
368'""499 である。
節点数は212'""296、 要素数は 半径の比は1/48'""1/960であり、
西谷ら1 4 7 )が体積力法で得た 図7-18に得られた形状係数Ktの値を示しているが、
要素分割方法は妥当であるものと判断 値ときわめてよく一致していることから、
できる。
円柱形試験片を用い 構成式にはNr/2での繰返し応力一ひずみ曲線を用いた。
て求めた応力振|隔4 σ s/ 2と塑性ひずみ振幅4 ε p/ 2の関係から式(7. 3)を得たが、
実験値をよく近似していることが図7-19からわかる。
(7. 3)
2 3
4 σ s/2
=
1050(1. 0 x 10-4 + Ll ε p / 2 ) 0解析には山田らの ポアソン上じν eはO. 30とした。
時i塑性有限要素解析プログラム1IJ 8)を用いた。
また縦弾性係数Eは209.5G Pa、
po/do
要素数 節点数 ユニット数 Iぐt20.0 499 296 10 1.011
14.0 493 291 10 1.015
8.0 176 278 10 1.027
5.0 493 285 10 1.043
3.3 459 266 10 1.064
2.0 428 248 9 1.106
1.0 368 212 8 1.217
Bo
p 0
x
関7-17 解析形状および要素分割例(ρo/do=5.0)
--司圃圃---
1.4
Hourglass type
�
1.2
X
1.0
o A u t h 0 r s ( 2R 0/ d 0 = 1.67 )
x Nisitani et al. ( 1.1豆2R 0/ d 0孟2.0 )
0.8 10
ρo/do 火17-18 鈍い砂時計形試験片の形状係数
103
AMmN
f a11l''
2 Wnν-
e=
比 N Vy C
(caE)
4σs /2= 1050(α+LlεP / 2)0.23 α= 1.0 x 10-4
ω\ω・0可
Experimental 10/ d 0 o 1.5 o 2.0
」 パ ハ/ 』 川川
nU
4 ー 10-2
Aεp
/
三図7-19 繰返し応力一ひずみ曲線
(b) A S T Mのひずみ換算式の検討
図7-20に砂時計形試験片の設小断面における半径方向ひずみε rと円周方向ひず みεθ の変化を塑性ひずみl隔A ε p = 2 %の場合について示す。 ρ。/ d 0がおよそ 4以上では中心から直径の半ばあたりまではε r ε。となっているものの、 それ より外側では両者は一致していない。 その差は表面で最大であり、 ρ。/ d 0が3近 傍で最大4 %程度の差となっている。 またρ。/ d 0が2より小さくなると両者はど の位置においても一致しなくなる。 この傾向はいずれの4 ε pにおいても認められ た。 このため、 砂時計底近傍では円周方向応力σo キOとなる。 このことは、 最 小断面の表面における応力状態が-.llq!1であると仮定して求めている式(7. 2)のA S
TMのひずみ換算式1 tJ 3 )が厳密には成り立たないことを意味している。 このとき、
軸方向塑性ひずみは有限要素解をもとに式(7. 4)で求められる。
(ε p)cat= ε z一(σ zー レ c (σ r+ σ。)} / E (7. 4) 同じ直径方向ひずみ幅が与えられた場合、 式(7. 4)に基づいて求めた判!方向塑性ひ ずみl幅(Ll ε p) c a t は式(7. 2)より求められるd ε pより最大で3 %あまり小さくな
ASTMのひずみ換算式を用いて得た砂時計形試験片の疲労寿 命は円柱形試験片の疲労寿命より多少大きめの値を与えることになる。
したがって、
る。
微小き裂伝ぱ則に基づく疲労寿命の推定 (c)
塑性ひずみ幅4ε p= 2 %の場合の最小断面における引援車111方向応力分布を図 引恨制l方向応力σ zは式(7. 2)から求めた4ε pに対応する直径方向ひ 7-21に示す。
式(7. 3)による円+主形の ずみ幅を与えた場合の(LIε p ) c a Iから求めたものであり、
応力の三!ÞUI性 σ zは内部で値が大きくなっており、
応力σ Z 0との比で示している。
が表れているが、 砂H寺計底近傍のσ zはρ。/ d 0が1. 0以外の形状では円柱形の値よ 7.4.2(1)項で推測した結果を裏づけている。
り小さくなっており、
疲労寿命Nfと 低サイクル疲労では微小き裂伝ぱ則が成立することから、
通常、
応力振幅σ aの間には次の関係が導かれる144)145〕0
(7. 5) σ a n • N f 一定
σ aには4ε F一定のも とで得られた応力娠中国4σ s/ 2 (N二N f / 2 )を用いて式(7.6 )の寿命則を得たが、
ON・0\N・0
定数nはこれまで得られている値1tI 9 )を考慮して8とし、
4εp = 0.02
ρ0/ d 0 = 1.0
1.3
1.2
1 . 1
1.0
20.0
0.4 0.6
x
/
R 00.9 å 0.2
砂時計形試験片の最小断面における引張軸方向応力分布
図7-21
nu nu nu nu nO PO (caE)
ω
nu nu A斗 ・00刀コ日一 nu nu qu aECωωωおの
200 � 10L
Cylindrical type N=Nt/2 σa8・Nt = 4.20 x 1 0 23
10/ d 0 o 1.5
く> 2.0
103 104
Number of cycles to failure N
t図7-22 応力振|隔と疲労寿命の関係
実験値と比11安的よく合っていることが図7-22からわかる。
σ 38• N r=3.80x 1023 (7. 6)
そこで、 円柱形試験片を用いて求めたこの微小き裂伝ぱ則を有限要素解析で求め た砂11寺計形試験片の応力状態に適用して疲労寿命を推定した。 このとき、 σ aには
主き裂の直径方向への進展深さを考慮、した値を用いるべきであろうが、 焼なまし た炭素鋼のNr/2でのき裂進展深さは20"-'50μm34)42)45)149)ときわめて浅いた め、 砂H寺計底の値を用いることにした。 微小き裂伝ぱ則に基づく寿命惟定手)1闘を 図7-23に示す。 また、 得られた疲労寿命Nrを図7-9の実験値と同様にまとめた。
これを図7-24に示す。 解析結果は実験値にみられたρ。Id。の変化に伴う寿命変動 の傾向を定性的にはよく表わしている。
これらのことから、 ρ。Id 0が4より大きい形状での疲労寿命 は円柱形の値に次 第に漸近し、 安定した変化を示しているが、 ρ。Id 0が8より大きくなると実験が 困難になることを考え合わせると、 ρ。Id 0に関するASTM推奨値14 3)は妥当な 形状を与えているように思われる。 これより、 砂H寺計形試験片を用いて低サイク
ル疲労試験を行う場合、 ρ01d 0がASTM推奨値の範囲にある試験片形状を用い
同一直径方向ひずみ幅 Aεd
ASTMのひずみ換算式 εp二一(εd+νeσI E) Iνp
(σ ==.L]σsl 2 )
σaこ す S二f ( � ; p )
弾塑性有限要素解
有限要素解より (εp )ω= εz-
(σz- ν巴(σr+σ。) } I E
σa-σz (最小断面表面)
微小き裂伝ぱ則による寿命の算出 Nf二二塁 (n==8)
σa
凶7-23
微小き裂伝ぱ則に基づく砂時計形試験片の
低サイクル疲労寿命の推定方法
『ー・回F
2.0
4εp Exp. FEM
♀ 0.02 •
き1.5
0.04 。‘←ー
Z
1.0
。0.5ト
ASTM recommendeddo = 6 mm
。 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 do/ρ。
図7-24
微小き裂伝ぱ則に基づく砂時計形試験片の疲労寿命の推定
れば、 寿命の絶対値が多少大きめになることを認識さえしておけば実用上はさし っかえないものと思われる。
7.5 結 日
試験片の中央部形状を広範囲に変化させたS25 C焼なまし材を用い、 塑性ひず み幅一定のもとで引猿圧縮による低サイクル疲労試験を行った。 試験片には円柱 形と砂時計形を用い、 有限要素法と微小き裂伝ぱfflJに基づく検討も併せて行った 結果、 �!Ih方向塑性ひずみ幅d ε p豆4 %の純四で次の結論を得た。
( 1 ) 円柱形試験片ではい/ d 0が変われば低サイクル疲労挙動が異なる。 正確 な値を得るためにはい/ d 0が1. 5以上であればよい。 したがって、 l 0/ d 0に関す るASTM推奨値は多少大きめに見積りすぎている。
( 2 ) 砂H寺計形試験片ではρ。/ d 0が変われば低サイクル疲労挙動が異なる。 疲 労寿命は円柱形より全般的に延びるが、 その噌加率はたかだか50,...,70%である。
最も寿命が延びるのはρ。/ d 0がASTM 推奨値の範囲にある場合であり、 寿命は そこでほぼ一定になる。
ー『司-
( 3 ) 砂時計形試験片における長寿命化の主因は、 砂時計底近傍における引張
物11方向応力が同じ塑性ひずみ幅(円柱形試験片ではllIlh方向ひずみ制御で与え、 砂H寺 計形試験片では直径方向ひずみilJiJ fl11で与えるものとする)を与えた場合の円柱形の 値より小さくなるためである。
( 4 ) 直径方向ひずみ制御で低サイクル疲労試験を行う場合、 塑性ポアソン比
にはO. 50を用いても十分な精度をもった疲労挙動が得られる。
( 5 ) 砂IJ寺計形試験片を用いて低サイクル疲労試験を行う場合、 ρ 。/ d 0がA S
T M推奨値の範囲にある試験片形状を用いれば実用上はさしっかえない。 ただし 砂時計形ではσo キOであるので、 式(7. 2)のひずみ換算式は成り立たないことに 注意すべきである。
ー喝-
第8章 提案した試験片による低サイクル疲労挙動の検討
8. 1 緒
広コ昨今、 資源を有効利用する立場から機械や構造物では軽量化が求められている。
球状黒鉛鋳鉄においても薄肉化が進められたことにより、 低サイクル疲労を考慮、
する必要性が増してきた。 球状黒鉛鋳鉄の疲労寿命は高サイクル域では基地が同 じ材料とあまり変わらないといわれているのに対し、 低サイクル域ではそれより ひとけたほど短くなるとの報告がある150〉0 また、 球状黒鉛鋳鉄の低サイクル疲 労寿命は破断延性値の大小関係とは一致しない15 1) 1 5 2 )との報告もなされている。
しかし、 これらの現象は主として実験精度の点から十分に認知されたものとはな っておらず、 これらの原因について検討されたものもほとんど見当らない。
一方、 球状黒鉛鋳鉄の強度に黒鉛が影響を及ぼすことは明らかである。 単純変 形においては黒鉛は引暖変形に対して空孔であり、 圧縮変形に対しては充てん物 であることはよく知られているが、 逆変形に関しても黒鉛は引張変形に対して空 孔とみなせることをすでに第6章で明らかにした。 低サイクル疲労は大きな逆変 形を伴うため、 その挙動に黒鉛が大きな役割を果たすことは十分考えられる。
そこで本章では、 第7章で提案した試験片を用い、 パーライト系球状黒鉛鋳鉄 (以下PD 1と略す)について引娠圧縮の低サイクル疲労試験を精度よく行い、 そ の疲労挙動を明らかにしようとするものである。 このとき、 基地の材料がPDr と同じ共析鋼を比較材として用いることにより黒鉛の果たす役割を明確にし、 球 状黒鉛鋳鉄の低サイクル疲労破壊機構の解明を試みた。 なお、 PDrは欠陥を含 む材料の一種だと考えられることから、 これらの結果はそのような材料の低サイ クル疲労破壊機構を解明する上での指針となることが期待される。
8. 2 使用材料、 試験片および実験方法
球状黒鉛鋳鉄にはパーライト系のPD r (F C D 700)を用いた。 また、 比較材に は共析鋼(以下S K 5と略す)を選んだ。 PD rは鋳放し状態のまま用いている。
S K 5はPD rと基地の硬さがほぼ同程度になるように9000Cで1 hの焼きならし を行った。 図8-1にそれらの顕微鏡組織写真を示す。 またそれらの化学成分を表8
-1に、 機械的性質を表8-2に示す。 表8-2から、 S K 5はPDrのきわめてよい比
『・・回'
rDr SK5
表8-1 化学成分(wt..%)
Cll
0.599
H\1(1/20)
*287 288
ゆ Rcdllctiollof area * Hardllcss of pearlitic ll1λlrix
表8-.'3 }ιfO 1"1:状
PDI
DllI Av(、I・agr {!;I孔phi1.(' diamct.cr nq
f" Aff'a. fI'町t.iOl1 o[ graphit.c hq
ん A!'f';t fré1ctiollぱl】P日rli1.('
PDI SK5
図8-1 顕微鏡組織写真
ん (%) 81目。
100μm
一『司圃,
!絞材に調質されていることがわかる。 そのため、 両者を比較することにより、 定 量的解析もある程度は可能であろうと思われる。
また、 画像処理により求めた黒鉛性状に関する諸特性を表8-3に示す。 黒鉛のし きい値は12μmとした。 黒鉛の球状化率は81%とかなり良く、 また黒鉛面積率は しきい値を4μmにしても8.4%とほとんど変わらなかった。
正確な低サイクル疲労挙動を得るため、 試験片形状には第7章で提案した円柱 形を用い、 中央部長さと直径の比は1.5のものを用いた。 これを図8-2に示す。 な おS K 5については、 一部の試験片について図中に示す微小切欠きをつけた。
試験機には試作した油圧サー ボ式疲労試験機を使用し、 車111方向伸び計により測 定した真ひずみによる塑性ひずみl隔を一定に制御した両振りの引張圧縮疲労試験 を行った。 繰返し速度は0.03'"" 0.1 H zである。 また、 荷重が最高値の9割に低下 したときを破壊繰返し数と定義した。
表面の疲労被害およびき裂長さの測定は、 所定の繰返し数ごとに採取したレプ リカに真空中でクロムを蒸着し、 金属顕微鏡( x 400)で観察した。 き裂長さは試験 片表面の円周方向に沿って測定した。
0.1
トー「→1d
知j Ih
労労%分づガ必必
d=h
に;〉 に;〉
Cコ
。的$
26. 4 115
図8-2
試験片形状
ー唱司--
実験結果および考察 8. 3
ト系球状黒鉛鋳鉄と共析鋼の疲労寿命曲線の比較 ノぞーライ
8. 3. 1
きわめて注意深く実験を行った 刈8-3にP D 1とS K 5の疲労寿命l曲線を示す。
一本の線の誤差範囲に納まる P D 1の疲労寿命は図8-3にみられるように、
結果、
どちらも塑性ひずみ幅4 ε pが大きいと これより、
程度にしかぱらつかなかった。
寿命に及ぼす4 ε pの影響も 型の関係を満足しており、
ころま でManson- C offin
最小二乗法で求めた寿命則はそれぞれ次式 ほぼ同じになっていることがわかる。
で表わされる。
( 8. 1) ( S K 5 )
60=0.743 A ε p
•
N r 0(8. 2)
、1j
D
PA 〆f\
59=0.157 4 ε p
•
N r 0しかしながらP D 1ではS K 5より疲労寿命がひとけたほど短くなっており、 フ 基地 ト系の球状黒鉛鋳鉄で得られた1 5 0 )のとほぼ同程度の差がみられた。
ェライ
黒鉛 の存在が寿命を低下させる原因であ 組織がほぼ同じであることを考えると、
黒鉛が低サイクル疲労寿命に及ぼす そこで、
ることは確かであろうと思われる。
影響について検討した。
104
•
. 、
• • ~ ・
\ "
POI SK5
4εp ・NfO.59 = 0.157 (Jj
10-1
2
3 nu
nu
dEEE dEE・
可00cc」C一のおωω一日ωω一仏
。•
。 dεp ・NfO.SO = 0.743
101 102 103
Number of cycles
10failure Nf 低サイクル疲労寿命曲線
図8-3
『司-
8.3.2 疲労寿命に及ぼす黒鉛の影響
高サイクル疲労の場合、 l個の欠陥がある場合の疲労限は平滑材より低く、 多 数の欠陥がある場合とはあまり差がないことが知られている。 そこで、 低サイク ルの疲労寿命ではこの関係がどうなるか、 検討を行った。
図8-4に破断を生じた起点におけるき裂発生の一例を示す。 き裂の発生時期はき
.争 u , ,
N/Nf =0
. -
c o
+ 目。の」
万一の一×〈
,
'
|50μml N / N f = 0.03
図8-4 き裂発生点の観察(ぶfY = 0.01 ) ①はき裂発生点)
ー『司.固F
わめて早く、 塑性ひずみ!隔が1 %のこの場合には全寿命のわずか3 %程度ですで にき裂が発生している。 他の塑性ひずみ l隔の場合もほぼ同様の傾向がみられた。
また、 破断の起点については多くの報告がなされているようにここでも黒鉛であ るが、 その位置は表面よりいくぶん下になっている。 黒鉛の存在の仕方について は、 図8-5に示すように、 大きく3つに分類できょう。 このうち疲労挙動への影響 度が最も大きいのは( b )の場合だといわれている。 そこで、 黒鉛粒径と穴径およ
び深さが等しい小穴をあけることにより、 黒鉛の状態を近似した。
(
a)
司D(
c)
Surface
「一一λ一一「. d
図8-5 黒鉛が果たす役割
刈8-6に、 S K 5とPDIに1個の小穴をあけた場合の疲労寿命の変化を、 小穴 径との関係でまとめたものを示す。 ここで、 黒印は小穴が破壊の起点になったも のを示しており、 白印 はそこからは壊れなかったものを示している。 これから、
S K 5に小穴をあけた場合、 疲労寿命は小穴径が大きくなるほど低下しており、
P D 1の寿命と等しくなるには1. 2m m程度の大きさの黒鉛が必要であることがわ かる。 一方、 PDIの場合、 小穴径がQ. 2m mより小さい場合はそこが破壊の起点 になってはおらず、 Q. 4m mより大きくなると確実にそこから壊れることがわかる。
これまでの観察から、 低 サイクル疲労における破壊起点の大部分は黒鉛であると
-
ω」コ一一の』
Aεpニ0.01
SK5
ト半寸
参謀ト
4・40 d=h
(j) Q) '"'
三10ζ
ιコ
斗ー。
iコω ε コ Z
1000
Fracture origin Open mark Not a blind hole Solid mark A blind hole
0. 5 1.0 1.5
Diameter of a hole d (mm)
ヌ18-6
疲労寿命の小穴径による変化
いわれており、 本研究でもそのような結果が得られているが、 400μmの大きさの 黒鉛が存在することは考えられず、 このことから、 低サイクル疲労では一般的に は、 最大欠陥が破壊の起点にはならないものと思われる。
また、 低サイクル疲労の場合、 l個の穴が疲労寿命へ及ぼす影響度がPD rと
S K 5で大きく異なることから、 PDrでは多数の黒鉛が寿命を低下させる大き
な要因になっていることが考えられる。
8. 3. 3 球状黒鉛鋳鉄の低サイクル疲労破域機構
( 1 ) 繰返しに伴う表面観察
図8-7に疲労の進行に伴うPD rの表面状態の変化の一例を示す。 ここには塑性 ひずみ幅が1 %の場合を示しているが、 塑性ひずみ|隔が0.5%より大きい範囲では ほぼ同機の変化がみられた。 ここに示したき裂は破壊に至ったものであるが、 表
面にほぼ接していると思われる黒鉛からわずか2回の繰返しによりき裂が発生し ている。 き裂はいくつかの黒鉛から発生しており、 繰返し変形を受けることによ り、 それらが連結を繰返しながら成長していくき裂の様子が観察される。
ー司-
,、
N
/Nf = 0.02 (N=2)
一、
M ,
・h�
N
/Nf = 0.08 (N=8)
CO一円。ω」万一応一×〈
1100μm|
N
/Nf = 0.46 (N=45)
刈= 98 ①はき裂先端)
一-
き裂伝ぱ特性 (2 )
S K 5では平滑材 におけるき裂
!のき裂伝ぱ曲線を示す。
図8-8にS K 5とPD
l n 1と繰返し数Nの関係が疲労のほぼ全寿命にわたって直線になっているこ 長さ
小穴材のものを平滑材 微小き裂伝ぱ則が成り立つことがわかる。 また、
とから、
の疲労寿命に一致させ平行移動するとそれらはほぼ一致することから、 主き裂が 支配因子になっていることがわかる。
初期き裂長さは Iでは繰返しのごく初期に黒鉛からき裂が発生し、
PD 一方、
大きな範囲で P D 1でも全寿命のほぼ ば‘らつきはあるけれども、
PDI l n 1とNの関係はほぼ直線になっていることから、
101 その後、
Aεp
=
0.0150'"'"' 80μm程度になっており、
101 SK5 は
Aεp
=
0.01dmm o 0.40 0.60 1.00 A口V
・ A - v
10-1
10-2 ε E
£mcω一v-u悶」O
dmm
・・ O
Å ð. 0.10
・ 口 0.40
T 'v 1.20 A A
/ fp J
dF f A 1
,,s fip
•
nu nU AEE
10-1
10-2 E E
工vmcω一v-um」O
20 40 60 80 100 Number of cycles N 500 1 000 1500 2000 。
Number of cycles N
。
き裂伝ぱ曲線
図8-8大部分を微小き裂の伝ぱが占めており、 そこでも微小き裂伝ぱ則が成り立つもの と思われる。 また、 小穴材のき裂伝ぱ山線は平滑材のものとほぼ平行になってい ることから、 P D Iでも主き裂が破壊の支配因子になっていることがわかる。
(3 ) 低サイクル疲労破壊機榊
図8-9に繰返し数比N/NrがO. 90と破断直前におけるき裂面形状を加熱着色法に より観察した例を示す。 S K 5では主き裂だけがだ円状に大きく成長しているこ とがわかる。 これに対してP D 1では、 多少大きめのき裂が2箇所にだけ存在し ており、 その形もだ円状になっていることがわかる。 このことから、 き裂の成長 に関してはP D 1もS K 5と全く同じ機椛であるものと考えられる。 しかしなが ら、 き裂長さに関しては両者は大きく異なっており、 S K 5が2mm程度になっ ているのに対し、 P D Iでは全寿命の90 %になってもわずかにO. 5m m程度までし か成長していない。
SK5
PDI
図8-9 破|新直前のき裂面形状
企εp= 0.01 N/Nf =0.90
1灯1打1 L..J
どちらも主き裂が支配因 一つのき裂伝ぱ曲線を比較したものを 図8-10に示す。
全寿命の大半を微小き裂の伝ぱ過程が占めている点では共通している 子であり、
PDrではS K 5より初期き裂長さが長い上に限界き裂長さは短くなってお が、
さらにき裂の伝ぱ速度は5倍ほど速くなっていることがわかる。
り、
西谷ら1 IJ 5) 1 4 9)は微小き裂伝ぱ則が多くの材料で成り立つことを明
ところで、
図8-8と図8-10の結果はS K 5とPDIでもこの関係が成り立つ らかにしてきた。
微小き裂伝ぱ則は次式で表わされる。 すなわち ことを 示している。
(8. 3)
dl/dN
=Cσ;l
lはき裂長さであり、 Cと 疲労寿命Ntは次のように求められる。
は応力振|隔、
σ a
はき裂伝ぱ速度、
式(8. 3)から、
nは材料定数である。
d l / d ここで
101
く〉
-ふ令.... く〉
Aεp = 0.01
Solid marks PDI Open marks SK5
E E
s<> 0
さむ
8 0
0<> 8
。
く〉
0 ó>)く〉
10-1
10-2
zvocω一v-oc」O
2000 500 1 000 1500
Number of cycles N
。
P D
1と共析鋼のき裂伝ぱ曲線の比較
図8-10
一-
(8. 4)
N2 - JV1
=(l/Cσ;)1η(l2/ l1)
の間に比例関係が成り立っき裂長さの範囲を示してい
1 n 1と
1 2は
ここでl Jと
1 Jと1 2はそれぞれ初期き裂長さl。と限界き裂長さ S K 5とP D 1の場合、
る。
したがって式(8. 4)から
1 fにほぼ対応していることが図8-8と図8-10からわかる。
(8. 5)
lVj �弓ln(lj/lo)(l/Cσ:,)二ln(lj/lo)
x1/(dl/dN)
P D IとS K 5の疲労寿命比は次式により評価できる。
(8. 6) したがって、
(JVj )PDI l叫ん/IO)PD1 " (dl/ dN)SKS (JVj)SK5 ln(lj/lo)s川一(dl/dJV)PDI
となる。
両者の疲労寿命比は、 破壊までに進行するき裂伝ぱ距離の比とき裂伝 これから、
図8-10で得られた実験値を代入するとそれ ぱ速度比の積で求まることがわかる。
P D 1でほぼひとけたほど疲 これから、
らの値はそれぞれ1/3および1/5となり、
労寿命が短くなることは説明がつくように思われる。
本章では 式(8. 3)の関係を用いて議論す 式(8. 6)の関係式は応力振|隔一定と仮定して求めた結果である。
定の条件で実験を行っているため、
塑性ひずみ|隔 なお、
部 門/』
U'. QU qu d Fu ロ『
//
A出 /べ\\ 内 ,,I' 門/』 = - , C
N = Nf /2 POI
SK5
0
•
1000 900 800 700 600
500
4σs / 2
=
2163 (Llεp / 2 ) 0,2柑400
(ca2)刊\ωb可。℃三一一巳εωωωω」vmw
10-3 10-2
Plastic strain amplitude Llεp /2 300
繰返し応力一ひずみ曲線
図8-13
ーー・司圃,
b
SK5
4εp = 0.03
εp
PDI
4εp = 0.03
εp
o First cycle
図8-11 引張圧縮におけるヒステリシスループ(�εp
=0.03)
ー・..,
2000
c'ö a..
2
ミ1600
0 0) c c'ö
SK5
Aεp
・0.04 ロ0.03
・0.02 o 0.01
・0.005
のωω」刊の
800�
10U 101 102
Number of cycles N
104
2000
c'ö a..
2
ミ1600
ω 0) c c'ö
PDI Aεp
く>
0.06... 0.05
・0.04 ロ0.03
・0.02 ... 0.014 o 0.01
・0.005
ð 0.002
ωωω』vmw
101 102 104
Number of cycles N
図8-12 PDIと共析鋼の応力I隔の変化
図8-11に塑性ひず ることの妥当性について検 討しておかね ばならないであろう。
それらの曲線 み1隔が3 %の場合のS K 5とP D 1のヒステリシスループを示し、
どちらの材料とも、
これから、
から得られた応力|隔4σの変化を図8-12に示す。
4σが疲労の全過程でほぼ一定になっている 広い塑性ひずみ|隔の範囲にわたり、
N f / 2の応力幅で代表させた応力振|隔を用いて得た繰返し ことカくわかる。 また、
どちらの材料とも塑性ひずみ娠l幅4 ε p/ 2と 応力一ひずみ曲線を図8-13に示す。
したがってd ε pを 応力娠中高Aσ s/ 2との聞によい直線関係があることがわかる。
上の 一定とした実験はここでは近似的にd σs一定の実験に置き換えがきくため、
関係を用いて議論して得た結果は有効であるといえよう。
以上の結果をまとめて模式的に錨いたものを図8-14に示す。
Crack propagation limit Crack initiation
Graphite size 4εp = 0.01
ムマ・
101
10-1
ε Eこ丸山co一v-06」O
2000 500 1 000 1500
Number of cycles N
。
PDrと共析鋼のき裂伝ぱ曲線の比較
火18-14ー司咽-
最後に、 このようなことが起こる原因について検討する。 まず、 PD 1で初期 き裂長さが長くなっているが、 この原因は黒鉛の応力集中にあるものと考えられ る。 一方、 限界き裂長さは逆に短くなっているが、 これは疲労のごく初期に発生 した多数の先行き裂が、 疲労過程の終盤において連結を容易に起こすように作用 しているためではないかと考えられるが、 これについては今後さらに検討を行う 必要がある。
では、 き裂の伝ぱ速度はなぜPDIで大きくなるのであろうか。 引張負荷σを 与えた場合、 長さ!のき裂先端にはき裂に特有の繰返し塑性域r prev(以下単にこ れを塑性域という)が発生するが、 この様子を図8-15に示す。 いま、 図8-16に示す ように、 同じ材料中に同じ長さlのき裂を考えると、 大きい力を加えたσ 2の方で
r p rev σ ,
E
図8-15 引張負荷を与えた場合のき裂先端の塑性域
1;川↑↑↑↑…1 _lî↑↑↑↑↑↑↑川|
- Rこ二二二::? e く 二 二二二>
↓ ↓ ↓↓↓い い ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
σ1
<
EA
σ2
EA
σ1
EA >
σl
EB
図8-16 異なる条件下におけるき裂先端の塑性域の変化
き裂先端に大きな塑性域を生じる。 次に、 異なる材料に同じ力を加えてこれと同 じ現象を起こそうとすると、 縦弾性係数を小さくすればよいことがわかる。 一方、
微小き裂の場合、 き裂の伝ぱ速度d 1 / d Nとき裂先端の塑性域寸法r p r e vの聞に は次の関係が成り立つことが知られている15 3 )。
dl/d
?、])7・ev (8. 7)これから、 縦蝉性係数Eを小さくすることによりき裂伝ぱ速度が大きくなること がわかる。
では、 この考え方により図8-10で求まったき裂伝ぱ速度比が説明できるであろ
うか。 いま、 き裂長さlを一定とすると、 塑性域寸法r p r e vと応力振幅σ aの聞に 次の関係が成り立つことが知られている144)14510
n 'p7・e'u CX:σα
このときnはおよそ8となる145〉0
(8. 8)
ここでき裂先端に注目すると、 まず材料が同じ場合、 塑性域寸法で代表される き裂先端の応力場の厳しさは、 式(8. 8)から
厳しさα(σ2/σ1)
(8. g)このとき、 き裂先端は弾塑性応力場になっており、 実際のき裂の関口状態は図8- 1 7に示すように点線のようになっているが、 この応力場は弾性応力の関係から推 視IJできることが西谷1 5 4 )により明らかにされていることから、 先端から同じ距離
σ1 < σ2 σ1 σl
EA EA EA > EB
文18-17
異なる条件下におけるき裂先端の関口変位の変化
εにおける弾性変位4でこの応力場を代表させることにすると式(8. 9)は次のよう に表わされる。
厳しさα(ム2/6.1)8
(8.10)材料を変えて同じ状態をっくりだすためには、 縦弾性係数Eを小さくする必要が あり
厳しさα(ムlB/ム1A)8
(8.11)となるが、 LI σ/E の関係から
厳しさα(EA/EB)
(8.12)となることがわかる。 塑性域寸法とき裂伝ぱ速度の間には式(8. 7)の関係があるこ とから、 結局、 き裂伝ぱ速度比は次式のように縦弾性係数の比から求められるこ とがわかる。
(dl / d JV)B__ fEA\8
( d l
/d JV) A
-- \ EB ) (8.13)これに表8-2に示す縦�'lìl性係数を代入するとこの比は約5. 6倍となり、 ほぼ実験値
と同程度の値になる。 このことから、 厳密な議論から導かれた結果ではないけれ ども、 き裂伝ぱ速度が増加するのは縦陣性係数が小さくなるのが原因だとする考 えは妥当ではないかと考えられる。
8. 4 結 匡ヨ
第7章で提案した試験片を用い、 パーライト系球状黒鉛鋳鉄(P D 1 )の引張圧 縮低サイクル疲労挙動の検討を行った。 比較材としてP D 1と基地の材料が同じ である共析鋼を用い、 表面き裂の連続観察と微小き裂伝ぱ則を適用した結果とか ら、 次の結論を得た。
( 1) 疲労寿命曲線はどちらもManson- C offin 型の関係を満足しており、 傾 きもほぼ等しいが、 疲労寿命はP D 1のほうがひとけたほど短い。
( 2) P D 1の破断寿命に影響を及ぼす欠陥は穴径でおよそo.4m mを越す場合
に限られる。 欠陥がそれより小さい場合、 破断の起点の大部分は黒鉛であるが、
最大寸法のも のが起点にはなっていない。
( 3) P D 1では繰返しのごく初期(全寿命の5%以下)にき裂が発生し、 主き裂 が支配因子となり、 微小き裂の伝ぱ過程が全寿命の大半を占める。
(4) P D Iの疲労寿命が大|隔に低下するのは、 黒鉛の応力集中により疲労の
ごく初期に発生する初期き裂長さが長いことおよび限界き裂長さが短いことに加 え、 縦弾性係数が減少することでき裂の関口変位が増大することによりき裂の伝 ぱ速度が加速されることが主因である。