• 検索結果がありません。

買主の追完請求権に対する制限について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "買主の追完請求権に対する制限について"

Copied!
33
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

買主の追完請求権に対する制限について

その他のタイトル Zur Beschrankung auf die

Nacherfullungsanspruch des Kaufers

著者 今西 康人

雑誌名 關西大學法學論集

53

4‑5

ページ 1034‑1065

発行年 2004‑02‑25

URL http://hdl.handle.net/10112/12325

(2)

売買の目的物につき物の瑕疵が存在する場合︑売主の瑕疵担保責任︵民五七

O )

定責任説と契約責任説︵債務不履行説︶

︱一日本法の概観

(1

0

の性質については周知のように法

の対立が存在する︒この点︑代物又は修補の請求を内容とする買主の追完請

求権につき両説を対比するなら︑以下のようになる︒まず︑近時︑多数学説となりつつある契約責任説では︑特定物︑

不特定物︵種類物︶を問わず︑瑕疵なき物の給付の履行請求権が肯定されるので︑代物給付又は修補の請求権が認め られる︒特定物売買でも債務不履行の一般原則が排除されるわけではないので︑その要件︵民四一五︶に従い︑買主

今 買主の追完請求権に対する制限について

西

(3)

は完全履行請求権を有する︒ただ︑特定物売買において︑目的物の個性が着目される通常の売買例なら︑完全履行請

求権の内容は修補が可能な限り︑修補に限定される︒

他方︑判例が原則として採用する法定責任説では︑不特定物に限り︑追完が可能なときのみ︑追完請求権が認めら

れる︒但し︑これはもっぱら不完全履行の効果として帰結されるにすぎず︑特定物の場合︑又は瑕疵の存在を認識し

つつこれを履行として認容して不特定物を受領した場合には瑕疵担保責任︵民五七

0 )

が定める効果だけが認められ

る︒不特定物売買であっても︑代物給付︵取替︶請求については信義則を根拠に一定の行使制限又は行使期間制限が

解釈論として主張される︒さらに︑法定責任説の中には︑特定物であっても︑金銭賠償請求に仮託した修補請求︵買

主自ら修補を行い︑修補費用相当額の損害賠償請求を行うこと︶を認める見解︑又は信義則若しくは取引慣行等を根

拠とした修補請求を認める見解が存在する︒

二七七

いずれの説に立つにせよ︑買主の追完請求権は一︱つの点でその制限が考えられる︒第一に︑特定物売買では

原則として代物請求は売買の目的の性質上認められないのか︒換言すれば︑特定物のドクマより︑代物給付は不能な

( 8 )  

のか︒契約責任説に立つなら︑特定物売買でも追完請求権は修補請求権に限定されないのか︒これは︑売買の目的の

性質から帰結される追完請求権の制限の問題である︒第二に︑特定物であれ︑不特定物であれ︑修補が可能な場合︑

契約責任説に立つならば︑常に買王は追完請求として修補請求が認められるのか︒さらに不特定物売買では修補請求

及び代物請求がいずれも可能である限り︑法定責任説︑契約責任説をいずれの立場でも︑買主は代物給付請求又は修

補請求を自由に選択することができるのか︒前者は追完請求の内容となる特定の追完方法自体の制限に関する問題で

ある︒また︑追完請求として修補請求のみが可能な場合なら︑この問題は追完請求権自体の排除を帰結させると共に︑

(1

0

(4)

売買の目的物︵特定物売買における代物請求の可否︶

第五三巻四・五号

日本法ではそもそも損害賠償請求︵民五七0

分性﹂に言及する請負規定︵民六三四I

但 ︶

と修補請求との選択如何の問題に派生する︒他方︑後者は

選択可能な二つの追完法における一方の制限の問題である︒したがって︑前者の問題は︑上記第一の点につき特定物

売買において追完方法を修補請求に限定する立場に立っても生ずる問題である︒他方︑後者の問題は︑第一の点につ

き特定物売買でも修補のみならず代物請求を認めるのであれば︑同様に生じる︒その限りで︑第一の点と第二の点は

ところで︑追完請求権の内容に関するこれら制限のうち第二の点につき参考となるのは︑修補に関する﹁費用の過

である︒いうまでもなく︑同但書は追完法の選択につき費用の過分性を

(9 ) 

基準とするわけではなく︑修補と修補に代わる損害賠償の選択にすぎない︒その点につき留意することは必要である

が︑この規定の具体的内容は何か︑さらに売買における買主の追完請求権の制限につきどのような影響を与えている

のか︒以下︑本稿では追完請求権の制限という視点から︑特定物売買における代物請求の可否︵性質上の制限︶︑さ

らに買主の追完請求権の内容である追完法に対する制約基準としての﹁費用の過分性﹂につき若干の検討を加えてみ

たい︒なお︑買主側の追完請求権の制限は︑売主側からみれば︑追完の拒絶権であることは言うまでもない︒

︳で若干既述したように法定責任説︑契約責任説を問わず︑不特定物売買における物の瑕疵については︑民法五七

0条をも適用するか否かの差異こそあれ︑特定が生ぜず不完全履行責任に基づき買主に完全履行請求権として代物請 別個独立の問題ではない︒ 関法

(1

0

(5)

明文を以って言及する民法六三四条一項但書は︑仕事の瑕疵が重要でない場合において修補請求が過分の費用を要す

るときには注文者は修補を請求することができない旨を定める︒ただ︑﹁費用の過分性﹂という基準の具体的内容は︑

判例・学説上必ずしも明らかでない︒第一に︑学説はこれにつき﹁修補に必要な費用と修補によって生ずる利益とを

( 1 7 )  

比較して定むべきである﹂との一般的抽象的基準を提示するにとどまり︑基準の具体化が行われていない︒そのため︑

第二に︑費用の過分性が﹁修補自体に客観的に著しく過分な費用を要すること﹂を意味するのか︑さらに﹁当該請負

(1) 

請負 求を肯定する点では一致する︒したがって︑不特定物売買では︑買主による代物請求か修補請求かの選択が問題となる︒しかし︑特定物売買では両説ははっきりと異なる︒法定責任説では物の瑕疵につきもっぱら民法五七0条が適用

されるので︑追完請求はそもそも問題とならない︒代物請求のみならず修補請求も否定される︒もっとも︑法定責任

説の立場でも実際には不代替的特定物にのみ同条を適用する見解では︑代替物売買には不完全履行理論が適用される

( 1 3 )  

ので︑契約責任説と実質的に異なるところがない︒

他方︑契約責任説においては︑追完が可能な限り︑買主は完全履行請求権を有するので︑修補請求だけでなく代物

( 1 4 )

1 5

)  

請求も認められる︒特定物売買において代物請求が可能であるというのは︑代替的特定物売買を指す︒他方︑契約責

任説に立つとしても︑特定物売買を以って目的物の性質に着目した場合に限定する限りにおいては︑﹁代物﹂の請求

は認められないと指摘されている︒

費用の過分性

まず︑費用の過分性につき請負人の担保責任を考えてみよう︒修補請求に関する費用の過分性につき

(1

0

(6)

(2) 

売買 基準として機能しないのか︒ 第五三巻四•五号

一部学説は上記請負規定︵民六

(1

0

人に修補させることに過分な費用を要すること﹂をも含むのか︑曖昧である︒にもかかわらず︑この点は︑修補に過

分な費用を要する場合において注文者に認められる瑕疵の﹁修補に代わる損害賠償﹂請求︵民六三四

I I )

につきその

賠償の具体的内容如何と関係する︒判例は︑客観的に修補自体に過分な費用を要する場合︑瑕疵除去費用つまり修補

費用相当額の損害賠償を﹁修補に代わる損害賠償﹂として請求することを否定する︒このような賠償請求を認めるな

らば︑修補請求権を制限した六三四条一項但書の法意が無視されてしまうからである︒だから︑瑕疵を除去しないこ

とによって被る不利益だけが賠償の対象となる︒では︑﹁当該請負人に修補させることに過分な費用を要する﹂場合

一部学説は︑﹁注文者側による修補の費用に相当する額の賠償﹂を認めても︑同項但書の趣旨に背くも

( 2 0 )  

のではないと解する︒いずれにしろ︑費用の過分性につき当該請負人にとって主観的な事情︑当該修補の態様に関す

る客観的事情がどのように勘酌されるか︑詳細な検討は行われていない︒第三に︑費用の過分性の基準が曖昧である

ことが影響し︑費用の過分性の基準それ自体が機能する場面が一︱つの点で極めて限定されていることにつきさしたる

関心が向けられていない︒第一点として︑すなわち︑製作物供給契約はともかく︑新たな仕事の製作の請求を追完法

として認めないわが国の請負規定では︑費用の過分性は︑追完の具体的方法一般に関わる制約基準ではなく︑瑕疵の

修補請求のみに関わる制約基準にすぎない︒さらに︑第二点として︑費用の過分性は︑瑕疵の修補請求に関わる絶対

的な制約基準となっていない︒仕事の瑕疵が重要である場合︑六三四条一項但書の反対解釈により︑注文者は解除権

の行使はもちろん過分な費用を要するときでも瑕疵の修補を請求できる︒なぜ︑瑕疵が重大な場合︑費用の過分性が

ところで︑費用の過分性につき明文の規定のない売買においても︑

ならどうか︒

関法

ニ八〇

(7)

買主の追完請求権に対する制限について

I但︶を参考にしつつ﹁費用の相当性﹂という名の下で修補請求の制約基準としてこれを解釈論上採用する︒特定

物売買では︑例えば契約責任説の︱つである森田説は︑瑕疵修補義務が瑕疵なき物の給付義務の完全な履行を超えた︑

別個の付加的な負担を強いる側面︵現実賠償としての法的性格︶があることを理由に︑修補義務の履行が損害賠償と

( 2 2 )  

比較して売主にとって不相当な負担となる場合には修補義務を否定すべきであるとする︒法定責任説においても不特

定物売買では既述の如く不完全履行の一般問題に還元される以上︑修補又は代物請求の選択が問題となる︒信義則を

根拠に目的物引渡しから長期間の経過後の代物請求を排除すべき見解︵我妻説︶の存在は既述した︒では︑修補が物

理的に可能ではあるが︑不相当な費用がかかる場合︑買主は完全履行の具体的主張として修補請求ができるのか︑そ

れとも売主は右請求を拒絶でき︑その結果代物請求のみが許されるのか︒この点は︑検討課題として残されている︒

このような場合にも信義則を根拠に修補請求を封じるならば︑そこでの信義則の具体的内容は費用の過分性を担酌事

( 2 3 )  

情とした買主・売主間の公平性の確保であると評価することが可能である︒さらに︑法定責任説の我妻説及び柚木・

高木説では︑特定物売買において﹁費用の相当性﹂は解除権の制限基準の一っとなっている︒契約の目的を達成でき

ないほど重大な瑕疵があるか否かの判断に際し︑﹁修補が容易かつ低廉にできないこと﹂を要件にしているのがそう

( 2 4 )  

である︒特に修補費用相当額の賠償請求を認める我妻説では︑右要件は解除か実質的な修補請求かの判断に際し︑修

補における﹁費用の相当性﹂が掛酌事情の一っとして考慮されていると考えられよう︒

以上︑簡単に整理するなら︑物の瑕疵に関する売主の瑕疵担保責任につき︑契約責任説では特定物売買︑不特定物

売買を問わず︑買主には完全履行請求権の一っとして修補請求が認められる︒しかし︑特定物売買では︑修補請求を

排除し損害賠償請求にとどめる基準として︑費用の相当性︵費用の過分性︶を考慮すべき見解が存在する︒不特定物

(

0

(8)

る ︒ 比較法的考察 く使用されているのではなかろうか︒

関法

第五三巻四•五号

(1

0

O )

売買でも︑修補請求を排除し代物請求にとどめるべき事態を十分想定できるので︑代物請求にとどめる基準として同

( 2 5 )  

じく費用の過分性を考慮する余地があろう︒他方︑法定責任説では不特定物売買において瑕疵担保責任ではなく不完

全履行の効果として修補請求又は代物請求が認められる︒しかし︑買主が瑕疵の存在を知りながら目的物を長期間使

用する場合には︑修補請求でなく代物請求を排除する根拠である信義則の要素として費用の過分性を考慮する場面が

ありうる︒このように費用の過分性という基準は︑契約責任説︑法定責任説を問わず︑また特定物売買︑不特定物売

買をほとんど問わず︑修補請求か代物請求かという追完法の選択において︑修補請求か損害賠償請求かの選択におい

て︑或いは契約目的不達成による解除か修補費用相当額の賠償請求かの判断において︑実際上さしたるこだわりもな

以上︑簡単に概観したように︑第一に︑特定物に瑕疵があった場合︑代物請求が認められるか否か︑契約責任説に

おいても原則としてこれを肯定する︒代物請求の﹁可能性﹂の意味又は目的物の﹁個性に着目しないこと﹂の意味は

必ずしも明らかではないが︑代物請求の可否については売買の目的が代替物か不代替物かがポイントとなっている︒

第二に︑日本法では売買であれ請負であれ︑物又は仕事に瑕疵があった場合に認められる追完法の選択において︑ま

た︑請負人の担保責任又は契約責任説における修補請求か損害賠償請求かなどの選択においてそれぞれ制限基準とし

て費用の相当性又は費用の過分性が機能しているにもかかわらず︑その明確化がいまだ行われていないのが現状であ

(9)

そこで︑次に不特定物売買における代物請求の可否及び費用の過分性の基準の具体的内容を検討すべく︑物の瑕疵

に関する売主の責任につき法制度を全面改正し︑新たな規定を設けたドイツ法を取上げてみたい︒ドイツは二

0

0

年一月一日施行の債権法現代化法によって︑民法典︵以下

B G

Bと略称︶におけるこの責任を特殊な法定責任から債

務不履行責任に一元化し︑かつ︑物の瑕疵及と仕事の瑕疵に関する売主と請負人の各責任を同一の性質の責任に改め

( 2 6 )  

た︒その立法経緯とその全体像は別稿で取上げたので︑本稿では売主の責任につき特定物と不特定物を問わない点

(B GB

§4 39 I)

︑さらに買主の追完請求に対して当該追完法の過分性を理由として売主に追完拒絶権を付与する点

(B GB

§4 39 II I)

 にのみ焦点を当ててその法状況を見てみることとする︒

ドイツ法の新たな法状況

本稿の二つの問題につき︑

種類売買と特定物売買

一方で売主が買主側からの瑕疵のな ドイツの新規定︑最近の学説及び若干の裁判例を順に概観する︒

B G

B四三九条一項は︑売買の目的物に瑕疵があった場合︑特定物売買

( S t t

i c k k

a u f

)

及び種類物売買

( G a t

t u n g

s

k a u f

)

を明ホせず︑買主がその選択に従い瑕疵の除去又は瑕疵のない物の引渡しを追完として請求することができる

旨を定める︒形式的な文言解釈によれば︑特定物売買︵特に代替的特定物売買︶においても買主が代物給付の請求権

を有することとなる︒種類物売買についてのみ瑕疵のない物の引渡し請求を買主に認めた

B G

B0条が削除さ旧四八

れたことも︑この解釈の補強材料となる︒そうなれば︑代替的特定物売買では︑

い代物の請求を拒絶できず︑これを履行しなければならない事態が︑他方で買主が売主側から費用の過分性を理由に

(1

0

(10)

(1) 

第五三巻四•五号

修補請求を拒絶され

(B

GB

§4

39

I I I )

代物の提供を追完として受領しなければならず︑修補拒絶を理由とした契約

解除を直ちに行うことはできない事態がそれぞれ生ずる︒

BGB

新規定の上記形式解釈をそのまま肯定し︑特定物売買でも買主の代物請求権を追完請求権の内容

( 2 7 )  

として肯定する有力説が存在する︒この説に立つカナリス

く買王の代物請求に対する制限︵売主の追完拒絶権の承認︶

( 2 8 )  

ついての請求権を付与しているという︒しかし︑他方で︑特定物売買における物の瑕疵につき買主は代物給付の請求

( 2 9 )  

権を有しないとする見解が多数説として根強く存在する︒要は︑特定物売買における債務内容が具体的な当該物に契

約上限定されることを新法が無視したという前提を採るか否かが見解の分岐点となっている︒新法はこの点を重要視

しなかったと捉えるのが有力説である︒新法の立法趣旨を以下のように理解するビッター/マイト

( 3 0 )  

の見解も同様である︒すなわち︑瑕疵のない物を引渡すべき売主の義務及びそこから派生する買主の追完請求権は︑

売主が瑕疵のない一定の物の引渡しによって買主の給付利益を満足させなければならないとの基本理念に基づく︑と

( 3 1 )  

する見解がそうである︒以下︑多数説と有力説の対立点を四つの視点からみてみよう︒

B G

B四三九条一項の文言

L i

e f

e r

u n

g   e

i n

e r

  ma

ng

el

f  r e

i e

n   S

a c

h e

)  

関法

( C

a n

a r

i s

)  

( B i t

t e r   ¥ 

M e

i d

t )

 

(1

0

( d i e

 

は︑新法は四三九条三項及び二七五条に基づ

の枠内で特定物買主に対し契約上の債務目的でない物に

有力説は同項が買主の追完請求権の内容として瑕疵のない物の引渡し

の請求を肯定するにつき使用した文言

( e i n

e r )

に注目する︒別の文言

( d e r

)

( 3 2 )  

を使用しなかったのは︑代替的特定物売買では瑕疵のない代替特定物の請求を認める趣旨であると解釈する︒しかし︑

既述のように種類物売買に関する

BGB

旧四八0条でも瑕疵のない物の引渡しにつき同じ文言

( e i n

e )

が使われてい

( 3 3 )  

る以上︑有力説のこの根拠には説得力がないと多数説は批判する︒ ニ八四

(11)

(4) 

附随的な根拠として︑有力説は損害賠償につき原状回復主義を採用する同条

( 3 6 )  

において原状回復請求権が滅失又は毀損した当該物と別個の物の請求をも包含し得る点を指摘する︒しかし︑追完請 求権は売主の帰責事由の有無と無関係な請求権である点で︑損害賠償請求権とは異なる︒追完請求権はあくまで履行

( 3 7 )  

請求権の変形した︑又は修正された形態の第一次的請求権であり︑損害賠償請求権のような第二次的請求権ではない︒

た債権法改正最終草案では︑最終草案第四三八条一項二文は﹁売主は︑その選択に従い︑瑕疵を除去し︑又は目的物

(3) 

買主の追完請求権に対する制限について 務の特定

(2 43

I I )  

有力説は︑種類物売買の場合︑修補及び代物給付に関する選択権は一般原則に拠れば種類債

の前後を問わず買主︵債権者︶に帰属しないが故に︑追完請求権がもともと本来の履行請求権と

は別個独立のものである︑と評価する︒このように追完請求権を捉えるならば︑種類物売買において追完請求権が売 主の契約上の義務をその基礎としない以上︑特定物売買でも追完請求権の内容は売主の契約上の義務から一応切り離

( 3 4 )  

してその内容を考えることができる︑というのである︒他方︑多数説はこれに対し有力説のいう前提自体を以下のよ

( 3 5 )  

うに批判する︒すなわち︑種類物売買では追完請求権につき買主の選択権が否定されるのは︑種類売主の契約上の給 付義務の観点からのみにすぎない︒だから︑売主が履行の対象としようとする当該物を合意された種類物の中から選 択する売主の本来の権利は︑買主が修補を主張する場合には︑買主が売主により最初に提供された物の保持に固執し 得る限り︑制限される︒つまり︑種類売主が瑕疵ある種類物の一定数量を提供した場合には︑種類売主の契約上の履 行に関する選択権が制限されるのであって︑種類売主の契約上の履行義務がさらに拡大し︑自らの選択に従い瑕疵の

ない種類物を常に改めて提供できるわけではないのである︒

(2) 

債権法改正最終提案及び消費者動産売買指令との関連 BGB

二四九条一文との対比 買主の選択権

(1

0

一九九一年連邦司法省の債権法改定委員会が提案し

(12)

第五三巻四•五号

(1

0

( 3 8 )  

が代替物であるときは瑕疵のないものを引渡すことができる﹂旨を定めていた︒追完法の選択権者が誰であるかはと もかく︑ここでは追完の内容は目的物が代替物か不代替物かという客観的基準に従い定まり︑種類債務か特定物債務 かという主観的な基準により決定されないことが明らかである︒他方︑新法第四三九条一項は既に討議草案第四三七 条一項の段階から︑代替物か不代替物かを問わず︑また目的物につき文言上限定を加えず︑瑕疵の除去又は瑕疵なき 物の引渡しの請求を認めた︒その理由は︑同条項が︑条文上目的物の如何を問わず買主に瑕疵除去請求又は代物請求

を認める旨の規定︵指令

3m

)

が存する

E

Cの消費者動産売買指令の国内法化措置として設けられたことにある︒同

指令は国際動産統一売買法

(C

IS

と略称︶をモデルとしてもともと制定されたものであり︑同法には特定物売主G

( 3 9 )

4 0

)  

に代物給付義務を否定する旨の規定

(C IS G4

6I I )

が存在していた︒しかし︑同指令は指令冒頭の趣旨説明では︑中 古品に限りその性質上代物は﹁一般的に﹂あり得ないので︑消費者は代物請求権を﹁通常﹂有しない旨を述べる︒そ こで︑有力説は中古品に対する同指令のこのような評価を重視し︑代物給付義務の存否は売買の目的物の交換可能性 すなわち代替可能性という客観的基準に従い判断されるのであり︑種類売買か特定物売買か︑或いは当事者の合意は

( 4 2 )  

問題とならない︑と主張する︒しかし︑フーバー

( H u b e r ) は多数説の立場から︑たとえ買主が百貨店において同種 商品の中から︱つを選択しレジで購入した場合でも︑具体的に個別化された

( k o n k r e t i n d i v i d u a l i s i e r t e n )

目的物に

もっぱら限定して購入する当事者の意思に照らして考えるなら︑代物請求は認められない︑とする︒ただ︑同種の物 を給付することが容易に可能であり︑かつ︑買主がそれを望む場合は︑新たな売買契約の締結があったと評価すれば 足りる︑とする︒但し︑同じ多数説ではあるが︑

( A c k e r m a n n )   アッカーマン 類売買及び特定物売買の区別の問題に帰着する︑と考える︒客観的に交換可能︵代替可能︶な目的物の場合には︑ド

の立場は異なる︒この点はむしろ種

(13)

買主の追完請求権に対する制限について BGB

四三九条三項の意義

BGB

四三九条三項は︑その第一文において﹁買主が選択した追完が過分の費用をもってのみ可能であるときは︑

売主は︑第一一七五条第二項及び第三項の適用を妨げることなく︑その追完を拒絶することができる︒﹂と定め︑買主

の主張する特定の追完請求︵修補請求又は代物請求︶に対し売主に追完拒絶権を付与する︒同条一項が定める追完法

に関する買主の選択権を制限すべく︑売主にこの拒絶権が与えられたのである︒さらに同条同項二文は︑追完に要す

る費用の過分性を判断するに際し︑﹁特に瑕疵のない状態における物の価値︑瑕疵の程度及び買主に重大な不利益を

被らせることなく他の追完をすることができたかを︑その場合に考慮する︒﹂と定め︑三つの基準を列挙する︒

ところで︑本条項はもともと消費者動産売買指令の三条三項一文及び同項一一文を民事売買一般に拡張して国内法化

(1) 

2過分の費用と追完請求権の制限

イツ法ではその売買を種類︵不特定物︶売買と評価すれば足りる︒また同種の商品が並ぶ陳列棚から消費者が一個を

取り出しそれを購入したからといって︑それを以って特定物売買と評価するのも早計であり︑レジで同種の在庫商品

( 4 4 )  

から一個を受領する単純な種類売買と同様に考えるべきである︒もちろん特定物でも代替的特定物の売買の場合には︑

例外として代物請求が認められる︒同じ中古品でも中古車︑骨董品︑絵画などと違い︑例えば雑誌バックナンバー一

式の場合などがそうである︒したがって︑多数説も︑代替的特定物売買の場合には代物請求を否定するわけでないと

( 4 5 )  

思われる︒特定物売買だけを理由に代物請求権を単純に否定することは︑消費者動産売買に関する限り片面的強行法

( 4 6 )  

に対する抵触の可能性もあり得る︒

(BGB§475

S .  

2

7I

)

(1

0

(14)

第五三巻四•五号

( 4 7 )  

されたものである︒その際︑特に買主と売主の各立場につき一定のバランスをとることが意図された︒追完法の決定

につき買主の選択権を認めた消費者動産売買指令三条三項一文本文とその国内法化である

B G

B四三九条一項に基づ

く買主の追完請求権に対し︑これに対抗する形で四三九条三項において当該追完法に対する売主の追完拒絶権の存在

が明示されたのである︒消費者売買はともかく︑売買一般につきこのような権利を設けることは

E

C指令との抵触問

ともあれ︑特定の追完を内容とする買主の追完請求権の行使に対し︑売主は︑当該追完法が﹁過分の費用をもって

のみ可能﹂である場合︑買主の追完請求を拒絶できる︒この場合︑買主は追完請求権自体を失うのでなく︑原則とし

(BGB§439 

I I I

  S

. 

3参品阻︶︒では︑追完につき過分の費用を要する場合とは

買主の追完請求権が特に実際上重要となるのは︑買主がいわゆ

る有利な取引をしたとき︑すなわち安価で売買の目的物を取得し︑又は他から調達し得ない物を購入したときである︒

ここでは瑕疵が目的物にある場合︑買主は追完請求に拘泥するはずであり︑解除を望まないであろう︒しかし︑①で

既述したように︑買主の追完請求権は︑無制限に認められるわけではない︒

B G

B四三九条三項二文が定める﹁追完に要する費用の過分性﹂に関する三つの基準につき︑ビッター/マイトは

( 4 8 )  

各基準の内容上の差異を理由に以下のような二段階基準論を提唱する︒すなわち︑﹁瑕疵のない状態における物の価

値﹂及び﹁瑕疵の程度﹂という二つの基準は︑各追完法につき個別に適用される第一段階の基準である︒これらはい

わゆる絶対的基準であって︑個々の追完法がこれに該当する場合︑直ちにその追完法は︑過分な費用を要するものと 追完につき過分の費用を要する場合の意義 具体的にどのようなケースなのか︒ て他の追完法に制限されるだけである 題を引き起こさない︒ 関法ニ八八

(1

0

(15)

おける物の価値﹂︵二0

0

0

判断される︒他方︑﹁買主に重大な不利益を被らせることなく他の追完をすることができたか﹂という掛酌事情は︑

第二段階の基準に関わる︒この基準は修補及び取替えの二つの追完法を追完費用の点で比較対照することによって費 用の過分性の有無を判断する点でいわゆる相対的基準である︒

なお︑費用の過分性は追完請求の不能又は可能とは別個のものである︒

の追完法が高額の出費を伴うときでも︑他の追完法におのずと確定するのではない︒さらに他の追完法につき費用の 過分姓の有無を検討する必要がある︒以下︑この見解における各段階の基準の具体的内容についてみてみよう︒

第一段階において︑﹁瑕疵のない状態における物の価値﹂の基準にいう価値

(W er t)

とは︑代金額ではなく物の客 観的価値すなわち目的物の時価をいう︒例えば︑時価二

OOOユーロの商品を一

0

0ユーロの代金額で購入した場0

合において︑その商品につき瑕疵が存し︑修補という追完法によるときに︑三

000

ユーロの費用が必要なケースを 考えてみよう︒時価を上回る修補費用を要する瑕疵が存する点で︑目的物が無価値であると考えられる︒ビッター/

( 4 9 )  

マイトは︑﹁瑕疵のない状態における物の価値﹂の一五

0

%を上回る費用を要する追完法は過分な費用を以って初め

( 5 0 )  

て可能な追完法であるので︑売主はこれを拒絶できると提言する︒したがって︑このケースでは﹁瑕疵のない状態に

補費用︵三

000

の一五0%の修補費用︵三

0

00

ユーロ︶を要するので︑限界事例となる︒修 は 一

000

ユーロの代金額と比べれば︑その一︱

10

0%にまで達する結果とはなるが︑この

隔差が費用の過分性につきそもそも考慮されないのは︑隔差の原因が時価を下回る価格で売主が売却したことにある からである︒要するに︑売主はもともとうまみのない損な取引

(s ch le ch te Ge sc ha ft )

をしたのである︒

では︑売主がうまみのある取引をしていた場合はどうか︒ビッター/マイトは時価売買をその例に挙げ︑このよう

(1

0

一方の追完法が不能であるなら︑たとえ他

(16)

う基準からみると︑瑕疵による客観的価値︵時価︶ 第五三巻四•五号

(1

0

な場合にこそ︑第一段階における他方の基準﹁瑕疵の程度﹂が機能するとする︒例えば︑五段変速の中古自動車売買

を時価相当額の代金四0

0

0ユーロで行った場合において︑実は四段変速であることが判明し︑時価が一二五

0

0

ロにとどまり︑かつ︑五段変速のための修補につき二

000

ユーロが必要であるときはどうか︒﹁瑕疵のない状態に

おける物の価値﹂のみを基準とするなら︑上記一五0%の限界値を当てはめると︑修補費用が四0

0

ユーロの時価0

の一五0%に相当する六0

0

0ユーロを越えない限り︑費用の過分性が認められない︒しかし︑﹁瑕疵の程度﹂とい

修補費用を要するので︑このケースも費用の過分性を認めるぺきである︒売主が瑕疵につき帰責事由がない場合︑客

観的価値︵時価︶ の減少分五

0

ューロの実に四0

0

%に当たる二0

000

ユーロの

の減少分の四倍の当たる追完費用請求を買主に肯定するのは明らかに妥当性を欠くというのである︒

そこで︑ビッター/マイトは︑この基準によれば︑修補費用が瑕疵による客観的価値︵時価︶

越えるときには︑修補請求は過分な費用を要する追完請求となるぺきことを提案する︒

用を要する修補請求︑さらに﹁瑕疵の程度﹂を考慮するなら瑕疵による客観的価値︵時価︶

える費用を要する修補請求は︑ の減少分の二

0

0

以上︑この見解は︑﹁瑕疵のない状態における物の価値﹂を考慮するなら売買目的物の時価の一五0%を上回る費

の減少分の二

0

%を越0

いずれも過分な費用を以ってのみ可能な追完請求となり︑売主はこれを拒絶できると

する︒したがって︑第一段階のこの二つの基準に従い修補請求及び代物請求のいずれもが過分な費用を要するなら︑

買主は追完請求自体を売主から拒絶されるので︑契約の解除権又は代金減額権の行使だけが認められる

44 1)

︒また︑︱︱つの基準に従い修補請求又は取替え請求のいずれか一方のみが過分な費用を要するなら︑買主は他方

の追完請求権のみを有する︒問題は︑

(B GB 44 0,  

いずれの基準に従っても費用の過分性が認められない場合には︑売主は買主の 関法

(17)

買主の追完請求権に対する制限について

当該追完請求を拒絶できないのかである︒ビッター/マイトは︑第二段階として﹁買主に重大な不利益を被らせるこ

となく他の追完をすることができたか﹂という阻酌事情が考慮されるのは︑まさにこのケースに限られるという︒

第二段階の基準の具体的内容は︑以下のとおりである︒まず修補請求及び代物請求にそれぞれ要する費用につき比 較する︒もし︑各追完法が買主に対する期待可能生の点で等価値

(G le ic hw er ti gk ei t)

であるなら︑当該追完法の実

効性及び買主にとっての付随的不利益を考慮しながら︑追完費用額の直接的対比によって︑費用の過分性を判断する︒

買王が追完法につき真実選択権を有するのは︑二つの追完法が追完費用の点で上記の基準に拠ってもほとんど差がな

い場合に限られる︒そこで︑

( 5 2 )  

案する︒すなわち︑ ビッター/マイトは︑この基準のより具体化を図るべく以下の内容の一0%ルールを提

一方の追完法が他方の追完法よりも費用の点で一0%高い場合︑各追完法が等価値であるにもか

かわらず買主が高い方の追完法を選択することは売主にとって期待不可能であるが故に︑費用の過分性に該当する︒

他方︑各追完法が買主に対する期待可能生の点で等価値でない場合には︑﹁買主に重大な不利益を被らせることなく 他の追完をすることができたか﹂が勘酌される︒したがって︑買主の下で長期にわたって修補作業が必要な場合︑た

とえ修補が売主にとってコストの点でより有利な追完法であっても︑売主はこれを援用できず︑したがって代物請求

はコスト面で割高となるときでも過分な費用を要する例とならない︒また買主の履行利益が売主にとってより有利な

追完法によって期待可能な形で満足されないときにも︑売主の負担の下で不利な追完法が優先される︒

以上︑ビッター/マイトによれば︑二段階基準論に従い費用の過分性が判断される︒但し︑この見解は当該追完法

がこの基準により過分な費用を要する例として評価された場合でも︑一定の例外を設け︑売主は︑たとえ過分な費用

( 5 3 )  

を要する当該追完請求であってもこれを拒絶することができないことがあるとする︒売主が当該追完請求につき一定

(1

0

(18)

< 

第五三巻四•五号

(1

0

O )

の配慮を欠いたが故に︑その追完法が過分な費用を必要とするに至った場合がこれに当たる︒具体例として挙げられ るのは︑第一に︑売主が外部委託によって修補を確保し得たにもかかわらず︑これを行わず︑目的物の瑕疵につき自 前の修補設備をないことを理由に買主の修補請求を費用の過分性を援用し追完請求を拒絶する場合︑第二に︑日常雑 貨の在庫一掃大売出しにおいて商品の瑕疵により交換商品の調達又は商品の修理に要する費用が代金額の何倍にも なった場合である︒もともと

BGB 政府草案四三九条三項一文は︑前者の例につき売主が修補設備を持たない場合︑

修補請求が追完の期待不可能性を理由に一律に過分な費用を要する例になると考えていた︒しかし︑ビッター/マイ トはこれに反対する︒外部の修補機関の手を借りた修補の実行は︑売主にとって費用のかさむ経済的負担でなく組織 上の出費増を意味するだけである︒売主は買主の修補の要求に応えるべく新たな対処法を講ずることができ︑かつ︑

講じなければならない︒期待不能性を理由として費用の過分性を常に認めることは妥当でないという︒他方︑後者の 例のうち交換商品の調達︵代物請求︶につき費用の過分性を理由に否定することに対しては︑以下のような批判を展 開する︒この例が通常想定される消費者動産売買では︑売主がメーカーとの売買契約において効果的かつ費用の面で 有利な代物給付の特約を行う可能性を有する限り︑これを怠ったにもかかわらず︑売主が費用の過分性を理由に代物 給付を拒絶することは許されない︒この点は自前の修補設備を有しない第一の例と同様である︒

新法施行後の若干の裁判例 新法施行後︑既に買主の追完請求権の内容に関して数件の裁判例が登場している︒以下︑その内容を簡単に見てお

関法

(19)

事件の概要は以下のとおりである︒原告は二

0

0二年四月三日新車

︵フォルクスヴーゲン社・ゴルフ︶を一万六三九五余ユーロで購入し︑

三九五ユーロについては自動車ローンを締結︶を支払いその引渡しを受けたが︑まもなく後部左ドアの窓の開閉装置

に欠陥があると共に︑後ろのトランクルームの蝶番につきさびがあることを発見した︒これら瑕疵を除去するための

費用は見積り額で五︱二余ユーロであった︒さらに原告は契約時にはドイッ又は

Eu

圏内で製造された車であるとの

説明を受けたにもかかわらず︑実は車が南アフリカ製であったことを発見した︒そこで︑原告が売主である被告に対

し瑕疵のない自動車の引渡しを請求したのに対し︑被告がこれを拒絶し修補ならこれに応じるとしたため︑買主が売

主に対し追完請求として代物請求を求め訴求した︒

L

Gは︑まず本件売買は特定物売買であるとの被告の主張事実︵原告は被告の販売店展示場にある当該自動車を選

択し購入したこと︶につき︑このような売買であっても原告の主張する取替え請求は認められる余地がある︑とし︑

その理由として以下のような一般論を判示する︒すなわち︑﹁特定物売買においても︑当該目的物につき経済上代替

物が存在し︑かつ︑代替物が買主の給付利益を満足させるものである限り︑代物給付による追完は可能であるとの見

解︵ビッター/マイト︑パラント︑メディクス等の見解︶

が給付された場合の買主の権利につき特定物売買と種類売買を区別していないことをその根拠として挙げる︒その上

で ︑ L

G

BGB

四三九条三項一文︵過分な費用を要する追完︶・ニ文︵過分な費用に関する三つの掛酌事情︶が定

める売主の追完拒絶権︵抗弁︶につき判断する︒まず︑

完法に関する売主の﹁期待可能性﹂の証明の問題と解した上で︑本件は四三九条三項二文中の﹁買主に重大な不利益

( 5 4 )  

LG

E l l w a n g e n  

Ur t.

  v .  

13 .  12 . 

2002 

一部代金として一万三三九五ユーロ

に当裁判所は立つ︒﹂とし︑

BGB 新債権法は瑕疵ある物 L

Gは同条同項を以って他方の追完法と比較対照した当該追

二 九 ︱ ︱

(1

0

(20)

(2) 

第五三巻四•五号

を被らせることなく他の追完をすることができたか﹂という鞘酌事情が考慮されるケースであると考え︑修補及び取 替えの二つの追完法を追完費用の点で比較対照する︒その際︑

L

Gは ︑

ルールを緩和し︑﹁当該の追完法がもう一方の追完法よりも費用の点で

(1

0

ビッター/マイトが提案した既述の一

0

%

□ 

1 0

 

%を越える追完費用を要する場合︑当該追完請求は過分の費用を以ってのみ可能な請求である﹂との立場に 立った︒これを本件にあてはめ︑代物たるゴルフ車定価

(E

u圏内製造車︶及び特別仕様に要した費用を加えた額か

ら小売の際の値引き額及び瑕疵あるゴルフ車の時価相当額︵代金額から既に登録済み自動車として中古車となったこ

とによる価値減少分一五%を除いた額︶を控除した二八九九余ユーロが取替費用となる一方︑修補費用は五︱二余

ユーロとなる結果︑取替費用は修補費用の実に五六五%になると判断し︑被告たる売主の追完拒絶を認め︑原告たる

買主の取替請求を過分な費用を理由に棄却した︒

OL

G B

r a

u n

s c

h w

e i

g ,

e s   B

c h l .

  v .  

4.  2 . 

2003 

走行・自動車登録済み︶

キシステム

①同様自動車の事件であるが︑中古自動車

(1

0キロメートル

のケースである︒原告は二

0

0二年三月三一日中古自動車業者である被告より一

ユーロで中古車を購入した︒当該自動車につき被告はインターネット上︑さらに仕様書上︑

アンチ・ロック・ブレー

(A BS ) 及び四エアーバック装備であることを表示していた︒ところが︑原告は購入後

ABS

非装備であ

り︑かつ︑ニエアーバック車であることを認識するに至った︒そこで︑原告はこれらが装備された瑕疵のない中古車

に取替えるべきことを請求したが︑被告は当該車の引取り・代金返還を行い︑又は代金を二

0

0ユーロ減額すること

を回答するにとどまった︒そこで︑原告は右請求を主張し訴求した︒第一審において︑被告は︑本件売買では上記二

つを装備した同種の中古車の在庫がなく︑市場から調達するとこもできないことを理由に︑取替えを求める買主の追 関法

﹃ 二

0

の︑換言すると一方が他方の

(21)

買主の追完請求権に対する制限について

完請求が不能であること︑さらに原告による当該中古車の使用による経済的価値の下落及び当該中古車を時価(‑五

六五一ユーロ︶を七五0

ユーロも下回る安価で購入したことを理由に︑同請求は被告にとって期待不可能であること

L

Gは裁判上の和解を試みたが︑結局︑訴訟費用の分担につき不満の原告が抗告した︒

O L

G

L

Gと反対に本件は代物給付の不能を理由に原告の追完請求を被告が拒絶することができる

( B

G B

§ §

4 3

9 I

I I

2

7 5

) 事案ではない︑

とし︑﹁被告が約定された二つの装備を備えた中古車を在庫として有しない

という事情のみから︑代物給付による追完請求が不能であることは帰結されない﹂と判示する︒列挙される理由は︑

団特定物売買の目的物につき瑕疵がある場合において追完請求として代物給付を請求するのは債務の目的である物以 外の物の引渡しを求める点で売主の義務範疇外の事柄であり︑そもそも排除される︑という見解は︑立法者意思に反 する、~立法者によれば、瑕疵のない物の引渡し義務及びこれと結合した追完請求権は、売主が瑕疵のない 物﹂の引渡しによって買主の給付利益を充足させなければならないことに基づく︑りしたがって︑この給付義務の不

能は︑売主が債務の目的となった物と同種の︑

つまり瑕疵のない物を調達することができない場合に限り︑生ずる︑

という点である︒

O L

Gは以上より︑被告は未だ

AB

S及び四エアーバック装備の同種の中古車を市場から調達でき

ない点につき証明を尽くしていないことを理由に不能を否定した︒

O L

Gは︑本件の代物請求につき費用の過分性を理由とした売主の追完拒絶権の有無を検討し︑本件では過

分性に関する掛酌事情である﹁瑕疵のない状態における物の価値﹂が特に問題であるとする︒

O L

Gは︑﹁瑕疵のな

い状態における物の価値﹂を掛酌した費用の過分性とは﹁本件売買の代金額と追完費用との差額に基づくのではなく︑

当該目的物の客観的価値︵時価︶

と追完費用との差額に基づき判断されるぺきである﹂という︒﹁本件では時価を下

(1

0

参照

関連したドキュメント

の資料には、「分割払の約定がある主債務について期限の利益を喪失させる

本製品はFCC規則パート15のBクラスデジタルデバイスに対する制限を遵守しているかを

すなわち、独立当事者間取引に比肩すると評価される場合には、第三者機関の

Collins Aerospace AIRBUS BOEING SAFRAN Rolls Royce.. Directed

一五七サイバー犯罪に対する捜査手法について(三・完)(鈴木) 成立したFISA(外国諜報監視法)は外国諜報情報の監視等を規律する。See

何日受付第何号の登記識別情報に関する証明の請求については,請求人は,請求人

売買による所有権移転の登記が未了の間に,買主が死亡した場合,売買を原因とする買主名