少人数 を対象 と した健康教育 の試 み

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富山大学保健管理センター高岡支所 宮 元芽久美

Megumi MiyamOtO:The practice Of the health education fOr a small number of c01le」e

students

く索 引用語 :健 康教育 ,大 学生 >

くKeywords:health educatiOn, c011ege students>

【は じめに】

保健管理 セ ンターが開所 となった平成13年当時 の高岡短期大学では、健康に関連する一般教養の 講義 は実施 されていなか った。 セ ンターとして、

どのように健康教育を行 ってい くか ということは 大 きな課題であった。体育学で数 コマ健康 に関す る講義を開催す ることとなったが、大人数対象の 講義 は、一方通行の知識提供 の場 とな らざるを得 ず、理解度の向上があま り得 られなか った。双方 通行の健康教育のためには、一人一人 のニーズを よ く理解 し、少人数 を対象 に した健康教育が必要 であることを痛感 した。 そ こで、で きるだけマ ン ツーマ ンに近 い10名程度 の少人数を対象 とした小 セ ミナーを開催す ることとな った。職員 も含め誰 で も気軽 に参加で きるよ うに、短時間でなるべ く 簡単でわか りやすい内容 にす ることを目指 した。

また講義ではないので、医学 だけでな く栄養学 。 体育学 。心理学等 のさまざまな分野の コラボ レー

ションにより、よリグローバルな視点か ら 「健康」

を捕 らえ ることがで きるようにす ることを目的 と した。

【 対象 と実施方法】

本 セ ミナーは平成14年度か ら高岡キ ャンパ スに て、 自由参加型のセ ミナーと して開催 している。

学生 だけでな く、教職員 も対象 としている。授業 終了後 に開催す ることも考慮 したが、午後 には実 習関連の講義 も多 くコースによって終了時間が定 時で はない こと、 また帰 りの交通機関の時間やイヾ イ ト。課外活動 を考えると出席 し辛 いとの声 も聞 かれたため断念 した。で きるだけ学業への支障が な く参加 しやすい様 に、 また職員 も比較的参加 し やすい時間帯である昼休み時間内で、30分を目安 として開催 している。

【 セ ミナー内容】

保健管理 セ ンターを利用す る学生等 の希望 を参 考 に しなが ら、現在 までに 〔 表 1〕 のテーマにて 開催 した。

参加人数 はテーマによって も違 うが、多 いとき で60数名、少 ないときで3〜4名 とかな り人数 に開 きがある。 この差 は、 テーマ内容だけではな く、

試験 。課題 ・制作等学業 の忙 しい時期 と関連 して いるようである。

人気の高 いテーマは、一人暮 らしの食生活 [写 真 1]0ア ルコール [写真 2]・ 骨密度であった。

アル コールパ ッチテス トや骨密度測定等、 自分の

データを計浪1できることが人気 の一因のようであ

る。毎年冬季に運動不足解消のため、運動系のテー

マで開催 しているが、12月〜2月は学業の忙 しい

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時期 と重 な る ことが多 く学生 の出席 率 はか な り低 くな る。 しか し職員 (特に女性)の 出席率 は比較 的高 く、 か らだ ほ ぐ し 。エ ア ロ ビクス等 は好評 で あ る。

メ ンタルヘルスの テーマ は職 員 (教官)か らの 要望 も多 く、 近 隣 の心 療 内科 の先生 を講 師 と して お迎 え して開催 した。 ただ内容 的 に (認知療法 ・ 社 会不 安 障害)学 生 向 きで はなか った ため、教 員

のみの参加 で あ った。最近 は本学 の非常勤 カ ウ ン セ ラーに依頼 し、学生 に も興 味 を持 ちやす いよ う な ス トレスマ ネ ジメ ン ト等 の内容 に変 更 して きて い る。

【セ ミナー開催 上 の問題点 】

開催 上 の大 きな問題 点 と して以 下 の3点 が あ げ られ る。

・ テ ーマの内容

・ 学 生への周知方法

。 セ ミナー開催 の時期

それぞれについての考察を以下 に述べ る。

テーマの選択

面談 ・相談でよせ られ る事柄や、学生の要望の 多い ものを選択 して きたが、 テ ーマにより参加人 数 にかな りのば らつ きがある。学生の意識を調べ るため、平成20年1月に芸術文化学部1年生 を対象 として無記名式 ア ンケー トを施行 した (図 1〜 図 7は いずれ もこのア ンケー トの集計 による)。健 康 に関す る興味のある内容 (複数回答可)と して 1位は栄養 (食事)に 関す ることで608%、 2位は 運動 ・スポーツの28.9%、 3位 はメ ンタルヘルス の175%で あ った [図 1]。 本 キ ャンパ スで は、

栄養に関 しては、小セ ミナーの他に 「 栄養セ ミナーJ として別 に開催 しているため 1)、 栄養 に関す る小 セ ミナーは一人暮 らしの食生活だけである。開催 時期が4月 とい うこともあ り、  1年 生 の参加者が 多いテーマである。栄養 (食事)は 要望 の多 い内 容であるので、栄養 セ ミナーとは異なるセ ミナ ー 内容 を検討 し、今後回数 を増や してい く予定であ る。運動 ・スポーツの関心 も高 いが、参加者 は学 生 より職員のほうが多い。 セ ミナーは昼休みの30 分程度でお こなっていることと、誰 にで も参加で きるようにス トレッチなど運動強度の低 い ものを 実施 しているため、学生 にとつて物足 りない内容 であることも考え られ る。強度の高 い もの と低 い ものを別 に して開催す ることも検討す る必要があ る。

開催 してか ら7年 目とな ると、 セ ミナーの内容 写真 1 ‑人 暮 ら しの食生 活

写真 2 ア ル コールについて

国栄養 (食事) (608%) 圏運動 ・スポー ツ

(289%)

□生活  般 (103%)

□健康情報 (72%)

■病気 につ いて (113%) 囲 メンタルヘル ス

(175%)

図 1 健 康 に関す る興 味 の あ る内容

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ア マ

実施回数

① 正 しいス トレッチ ・筋カ トレーニ ングで シェイプア ップ 1 回

② 劇 症 肝 炎 「肝移 植 」 の体 験 ―健 康

の大切 さ

1 回

③ 認知療法 について 1 回

④ あなた はアル コール に強 い ?弱 い ? 3 回

⑤ 自分 につ いて知 ろ う〜 自己成長 エ

ゴグラムを用いて〜 1 回

⑥ マ ンス リー ビクスで生 理 通 なん て

怖 くな い

2 回

⑦ 体 ほ ぐ し

3 回

③ 社 会 不 安 障害 と うつ 病 の治 療 と対

応 につ いて

2 回

⑨ ど う しよ う…一人暮 らしの食生活 5 回

⑩ 体験す る解剖学 〜 日常生活 にお け

るか らだの手入れ〜 1 回

⑪ Leザ s Challenge!メ ール&パ ッチで、

気軽に禁煙にチャレンジしよう

1 回

⑫ かん じきハ イキ ング i n 高岡 キ ャ シ

パ ス 1 回

⑬ ソフ トエア ロ ビクスで、体脂肪 を

燃やそ う ! 2 回

⑭ ス トレス マ ネ ジメ ン ト

1 回

⑮ 骨密度を測 ってみよ う

1 回

表 1 小 セ ミナ ー実施 テーマ

も重 な りが多 々あ るよ うにな って くる [表 1]。

今後 は視野 を広 げて、幅広 いテーマにて開催す る ことが必要である。

学生への周知方法

セ ミナーの開催の周知方法 として、学内放送 ・ ポスター塗布 (学生食堂前 ・談話室前等)・ 保健 管理 セ ンター掲示板でのお知 らせ 。セ ンター職員 の声がけを行 っているが、実際にセ ミナー開催 を 知 っている学生 は60.8%と低か った [図2]。

セ ミナこの周知方法 として効果的な方法を学生 に尋ねた ところ、放送が38.1%と トップであ った [図3]。 放送 はセ ミナー開催 日の前 日と当 日に流

図 2 セ ミナー開催の認知度

4 3 3 2 2 1 1

囲 放送 (38.1%) 圏 ポ ス ター

( 2 0 . 6 % )

□ 掲示板 (25.8%) ロ メール

(10.3%)

■ 声 が け ( H . 3 % ) 薗 そ の他 ( 1 . 0 % ) 図 3 セ ミナー通知 の効果 的 な方法

図 4 保 健管理 セ ンター掲示板 の閲覧

して い るが、頻繁 に利用 で きない こと、学 内の場 所 に よ って は聞 き取 りに くい箇所 が あ る こと、 ま た直前 にセ ミナ ー開催 を知 って も予定 をつ けに く い とい った現 状 が あ る。 掲 示 板 は25.8%と 2位 で あ ったが、保健管理 セ ンターの掲示板 は学生 には あ ま り見 られて いない事実 とは矛盾 す る [図 4]。

セ ンター職員 の声 が け も積極 的 に行 らて い るが、

セ ンターを よ く利用 す る学生 に限 られ るため、全

キ ャンパ ス的にセ ミナーの認知度を上 げるには至 っ

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て いない。現在 メールで は開催 を通知 して いない が、学 内 メール は利用度 が低 いため効果 が期待 で きない ことが考 え られたためで あ る。個 々の学生 が頻繁 に学 内 メールをチ ェ ックす る ことが可能 で あれ ば、 よ り効果的 な周知手段 とな り得 ると考 え られ る。 また今後 は学 内の PSNSを 利 用 した周 知方法 も検討 して い く予定 であ る。

セ ミナー開催 の時期

参加人数 は、試験や課題 ・制作 の締 め切 りとい っ た学業 の予定 に大 き く影響 され る。 な るべ く、考 慮 は して い るつ もりで あ るが、学年 とコ ー スによ り忙 しい時期 が異 な るため、 なか なか皆 に とって 都 合 の良 い時期 に設定 す るの は難 しい。 テ ーマ ご とに ターゲ ッ トを しば って開催す る こと も考 え る 必要 が あ る。

【 今後 の展 望】

平 成 19年度 の芸 術 文 化 学 部 1年生 の セ ミナ ーヘ の参 加経 験 者 は21.6%で あ った [図5]。 今後 の セ ミナーヘ の参加意志 を確認 す ると、参加経験者 で は、参加意思 の あ る ものが857%、 参加未経験 者 で は487%で あ った [図 6]。 実 際 に セ ミナ ー の参加者 は リピー ターが多 く、高学年 にな るに し たが って、新規 の参加者 は少 な くな る傾 向 にあ る。

学年全体 と して参加意思 のない ものは43.3%で あ っ た。

参加意 思 が な い理 由を調 査 した と ころ (複数 回 答 可 )、 学 業 が忙 しいが 500%、 バ イ トで忙 しい が40.5%、 ま った く興 味 が無 い は262%で あ った [図 7]。 ま った く興 味 が無 い人 に どの よ うに関心 を持 って もらうか は今後 の大 きな課題 で あ る。

しか し、 セ ミナーに関心 が無 い学生 が皆健康 に 関心 が無 いわ けで はな い。 情報収集 手段 は、 テ レ

ビ 。雑誌 0イ ンターネ ッ ト等数多 くあ る。 自主 的 に健康 に対 す る意識 を高 め、行動 につ なが って い るので あれ ば理想 的で あ るが、実践 で きて い る学 生 は非常 に少 ないよ うで あ る。 よ り身近 な情報収 集 手段 と して セ ミナーの活用度 が上 がれば非常 に 望 ま しい と考 え る。

図 5 セ ミナ ーヘ の参加経験

セ ミナー の参加 経 験 者 ヒミナー の参加 未 経験 者

図 6 今 後 の セ ミナーヘ の参 加 意志

図 7 セ ミナ ーヘ参加 しない理 由 今後 セ ミナ ーに対 す る関心 を高 め るに は、興 味 の有無 に関わ らず全員 に同 じアプ ローチをす るの で はな く、 ステー ジ変容理論 2)を 踏 まえ、 学生 の 意識 レベル に応 じて別 の アプ ローチが必要 と考 え られ る。 ま った く興味が無 く参加意思 が ない 「前 熟考期」、興味 はあ るが参加意思 がない 「 熟考期J、

参 加 意 思 は あ るが参 加 経 験 の な い 「準 備 期」、 参

加 経 験 の あ る 「実 行 期 」、 参 加 リピー ターの 「維

持期」 の 5段 階 に分 け、 それ ぞれ の ス テ ップを上

げ、健康 に対 す る関心 と理解度 を上 げ るよ うアプ

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ナ ー参加 と健康行動 の実践 は、 また別 の問題 であ る。健康教育 の最終 的 な 目的 は、健康 に対 す る理 解度 を上 げ るだ けで な く、健康行動 を実践維持 す る ことにあ る。 ステー ジ変容理論 は禁煙 や健康診 断後 の健 康 行動 の実 践維 持等 によ く応 用 されて い る理論である。今回 「セ ミナー参加」 に焦点 を絞 っ て この手法 を応用 したが、 セ ミナーヘ の参加学生 の増加 だ けで な く、将来 的 に健康行動 を実践維持 で きる学生 の増加 につ ながれ ば と考 えて い る。

【文献】

1)宮 元芽久美 :高 岡 キ ャンパ スでの栄養教育 の 試 み . 学 園 の 臨 床 研 究 V o l . 5 ( 1 ) : 3 7 ‑ 4 3 , 2007

2 ) ジ ェイムズ ・プ ロチ ャスカ他 : チ ェ ンジング ・

フ ォー ・グ ッ ド. 法研 , 2 0 0 5 .

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参照

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