• 検索結果がありません。

新潟県におけるスモン患者の現況

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "新潟県におけるスモン患者の現況"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

A. 研究目的

新潟県では病院での個別検診と訪問検診によりスモ ン検診受診者の確保に努めてきたが、 数年来、 高齢化 の進行と死亡者の増加により、 受診者数の減少が顕著 となってきた。 検診方法を再検討し、 可能なかぎり多 くの患者の現況を調査することにより、 日常生活や医 療・福祉における問題点を明らかにして、 患者の支援 に役立てることを目的とした。

B. 研究方法

新潟県在住で連絡を取ることが可能な全スモン患者 に検診案内を送付し、 検診を希望した患者に対して医 療機関での個別検診ならびに訪問検診による調査を実 施した。 検診を希望するものの、 医療機関への受診や 訪問検診が困難な例に対しては、 スモン現状個人調査 票の中でご本人や介護者が記載できる調査項目を選び

作成した用紙を郵送して記載してもらい、 回答を得た のち、 電話による補足調査を行い、 可能な限り現況を 調査した。 また、 新型コロナウイルス感染症流行によ る健康・生活面への影響について、 アンケート形式で 調査した。

(倫理面への配慮)

患者のデータに関しては検診時にデータ解析・発表 について口頭・または署名で同意を経た。

本研究は国立病院機構西新潟中央病院倫理審査委員 会で承認を得た。

C. 研究結果

本 年 度 の 検 診 に 参 加 し た 患 者 は 男 性 4 名 、 女 性 10 名 の 計 14 名 で 、 昨 年 よ り 4 名 減 少 し た 。 受 診 率 は 56.0%であった。 平成 20 年度より訪問検診を導入し、

検診者数の維持をはかってきたが、 近年患者数の減少

― 86 ―

新潟県におけるスモン患者の現況

小池 亮子 (国立病院機構西新潟中央病院脳神経内科) 長谷川有香 (国立病院機構西新潟中央病院脳神経内科) 松原 奈絵 (国立病院機構西新潟中央病院脳神経内科) 三瓶 一弘 (佐渡総合病院脳神経内科)

福原 信義 (上越総合病院脳神経内科) 福島 隆男 (新潟県立新発田病院脳神経内科)

研究要旨

新潟県のスモン患者は高齢化が進んでおり、 医療・介護への依存度は今後ますます高くなっ ていくものと思われる。 患者の現状を把握し、 今後の支援に役立てることを目的に検診を行っ た。 同時にコロナ禍におけるスモン患者への身体ならびに介護・医療への影響に関して、 ア ンケート調査を実施した。 令和 2 年度の検診に参加した新潟県のスモン患者は 14 名で、 受 診率は 56.0%であった。 対面調査を実施できたのは 12 名で、 8 名が医療機関での個別検診を 受け、 4 名に訪問検診を実施した。 対面調査が困難な 2 名に対して郵送による書面での回答 と電話による補足調査を実施した。 受診者の平均年齢は 83.1 歳で、 14 名全例が併発症に対 して継続的な医療を受けており、 半数の 7 名が介護認定を受けていた。 新型コロナウイルス の流行は新潟県においては 2020 年 7 月時点では、 スモン患者の日常生活への影響はあったも のの、 介護・医療への影響は比較的少なかった。

(2)

に伴い、 受診者数も減少傾向が続いている。 (図 1) 年 齢 は 平 均 83.1 歳 (74 歳 〜101 歳 ) で 、 昨 年 度 の 85.3 歳より低かった。 病院での個別検診が 8 名、 訪問 検診が 4 名、 書面での調査+電話調査が 2 名であった。

療養状況は、 在宅が 12 名で、 長期入院・施設入所中 が 各 1 名 で あ っ た 。 14 名 全 員 が 継 続 的 な 医 療 を 受 け ており、 障害度は軽度が 7 名、 中等度が 4 名、 極めて 重度が 3 名であった。 障害要因としてはスモン単独が 3 名で、 他は併発症による影響がみられた。 主な併発 症としては、 高血圧症、 白内障、 脊椎疾患が多く、 次 いで脳血管疾患、 心疾患、 悪性腫瘍、 認知症等であっ た。 (図 2)

Barthel Index は 65.0±36.5 点であったが、 95 点以 上の自立が 4 名いた一方で、 0 点の全介助者が 3 名い た。 また、 継続的に受診している 9 名について 10 年 間 の 変 化 を み る と 、 4 名 で 10 点 以 上 の 低 下 が み ら れ た。

日常生活上の介護は必要ないが 5 名、 必要な時に介 護をしてもらっている、 が 5 名、 毎日ほとんどのこと で介護をしてもらっている、 が 4 名であった。 主な介 護者は、 配偶者 3 名、 娘が 2 名、 ホームヘルパー 2 名、

入所中の施設職員が 2 名であった。 介護保険は半数の 7 名が申請しており、 要支援 1 が 1 名、 要介護 2 が 3 名、 4 が 1 名、 5 が 2 名であった。 14 名中 7 名は今後 の介護に対する不安がある、 と回答し、 主な要因とし ては介護者の高齢化・健康問題であった。 (図 3)

新型コロナウイルス感染症流行による影響に関する アンケート調査は、 送付した 23 名中 13 名から回答を 得た。 4 つの質問項目に対してA.まったく影響はな い B.少し影響がある C.だいぶ影響がある D.

大いに影響がある E.わからない、 の選択肢を提示 し、 各々具体的な理由についても記載してもらった。

日常生活への影響に関しては 8 名が、 だいぶ影響があ る・大いに影響があると回答しており、 主なものとし ては、 外出制限や地域での社会活動の中止に伴い人と の接点が減ったこと、 施設での面会制限で家族に会え ない、 といったものであった。 体調への影響について は 5 名で少し影響がある・だいぶ影響があると回答し、

具体的内容は、 外出の機会が減って足腰が弱くなった、

横になっている時間が増えた、 精神的に疲れた、 不眠 となった等があげられた。 医療に関しては 4 名が、 少 し影響があった、 1 名がだいぶ影響があった、 と回答 しており、 具体的には受診回数が減らされた、 感染が 心配で受診を控えているとの回答であった。 介護・福 祉に関してはサービスを受けている 6 名中 2 名で何ら かの影響はあったと回答し、 具体的には面会禁止で家

― 87 ―

,ϭϴ ,ϭϵ ,ϮϬ ,Ϯϭ ,ϮϮ ,Ϯϯ ,Ϯϰ ,Ϯϱ ,Ϯϲ ,Ϯϳ ,Ϯϴ ,Ϯϵ ,ϯϬ Zϭ ZϮ 䝇䝰䞁ᝈ⪅ ϱϳ ϱϰ ϱϮ ϱϮ ϱϭ ϱϬ ϰϳ ϰϱ ϰϰ ϰϮ ϯϴ ϯϱ ϯϮ Ϯϴ Ϯϱ

ཷデ⪅ ϭϵ ϮϮ ϮϬ Ϯϭ Ϯϯ ϮϮ Ϯϭ Ϯϰ Ϯϱ ϮϬ ϮϬ ϭϳ ϭϵ ϭϴ ϭϰ ゼၥ᳨デ Ϭ Ϭ ϯ ϰ ϰ ϱ ϱ ϳ ϳ ϱ ϲ ϱ ϳ ϰ ϰ

ཷデ⋡;йͿ ϯϯ͘ϯ ϰϬ͘ϳ ϯϴ͘ϱ ϰϬ͘ϰ ϰϱ͘ϭ ϰϰ ϰϰ͘ϳ ϱϯ͘ϯ ϱϲ͘ϴ ϰϳ͘ϲ ϱϮ͘ϲ ϰϴ͘ϲ ϱϵ͘ϰ ϲϰ͘ϯ ϱϲ Ϭ ϭϬ ϮϬ ϯϬ ϰϬ ϱϬ ϲϬ ϳϬ

Ϭ ϭϬ ϮϬ ϯϬ ϰϬ ϱϬ ϲϬ

図 1 患者数と受診者の推移

Ϭ ϭ Ϯ ϯ ϰ ϱ ϲ ϳ ϴ ϵ

図 2 主な併発症

図 3 介護の状況

චགྷ͵͏

චགྷ͵ͳ

͘Ͷ

ຘೖΆͳΞʹ͹

͞ͳͲ

ೖ৙ਫ਼׈Ͳ͹ղޤ 日常生活での介護

͍Ζ

͵͏

Κ͖Δ͵

͏

ղޤ͹෈҈

介護の不安

͵͢

ࢩԋ གྷղޤ

̐ གྷղޤ

̒ གྷղޤ

̓

介護保険ղޤฯݧ

(3)

族に会えないこと、 利用条件が厳しくなったことがあ げられた。 (図 4)

D. 考察

本年度も新潟県内のスモン患者を、 スモン現状調査 個人票に基づいて調査した。 平成 20 年度以降は訪問 検診を導入し、 患者会を通して検診参加を呼び掛ける ことにより、 毎年 20 名前後の参加者を維持してきた が、 患者数の減少と高齢化、 転居や施設入所等で検診 実 施 が 困 難 と な る 例 が 増 加 し て き て お り 、 本 年 度 は 14 名まで減少した。 今後検診者数をどのように確保 するかが課題である。 本年度はコロナ禍の影響で、 対 面調査が困難な例に対して書面+電話調査を実施し、

2 名ではあるが患者の状況をある程度把握することが できた。 今後も受診困難な患者に対して非対面での調 査も積極的に取り入れていくことも検討したい。 スモ ン患者は高齢化に従い医療・介護への依存度が高くなっ てきている例が目立った。 重症化の要因としては、 併 発症の悪化、 特に認知症、 脊椎疾患、 四肢関節疾患、

脳血管障害などに加えて、 加齢に伴う身体機能の低下 が大きな影響があると思われた。 このような状況で生 活しているスモン患者が適切な医療・介護サービスが

受けられるよう、 個別に対応し、 継続してきめ細かく 支援していくことが重要である。 また、 新型コロナウ イルス感染症が長期化する中で、 スモン患者の身体機 能や医療・介護状況に変化がないか、 引き続き経過を 見ていく必要がある。

E. 結論

新潟県では訪問検診の導入や検診医療機関を増やす ことで、 継続受診者の維持に努めているが、 高齢化に より受診者の確保が困難となってきている。 医療機関 での個別検診では患者の病態に合わせた各種検査を実 施することで、 身体状況の変化を把握することができ た。

今後もスモン患者が適切な医療や福祉サービスが受 けられるよう、 現状を把握して支援していくことが重 要である。 現状ではこれ以上新規受診者を確保するこ とは困難な状況ではあるが、 地域の保健所やかかりつ け医との連携により、 可能な限り多くのスモン患者の 状況把握をすることが重要と思われる。

G. 研究発表 なし

H. 知的財産権の出願・登録状況 なし

I. 文献

1 ) 小池亮子ほか:新潟県における平成 20 年度スモ ン患者検診結果. 厚生労働科学研究費補助金 (難治 性疾患克服研究事業) スモンに関する調査研究班・

平成 20 年度総括・分担研究報告書 P 49-50, 2009 2 ) 小池亮子ほか:新潟県におけるスモン患者の身体

機能・療養状況の推移. 厚生労働行政推進調査事業 費補助金 (難治性疾患政策研究事業) スモンに関す る調査研究・令和元年度総括・分担研究報告書 P 98-101, 2020

― 88 ―

図 4 新型コロナウイルス感染症に関するアンケート結果

Ή͚ͮͪ

Ӫڻͺ͵

͏

ͫ͏΁Ӫ ڻ͍͗Ζ

୉͏ͶӪ ڻ͍͗Ζ

4͍͵ͪ͹෕ஊ͹ਫ਼׈ͶӪڻ͍͗

ΕΉ͖ͪ͢

Ή͚ͮͪӪ ڻͺ͵͏

ঙ͢Ӫڻ

͍͗Ζ

ͫ͏΁Ӫ ڻ͍͗Ζ

4ݳࡑण͜ͱ͏ΖҫྏͶӪڻ͍͗

ΕΉ͖ͪ͢

Ή͚ͮͪ

Ӫڻͺ͵

͏

ঙ͢Ӫڻ

͍͗Ζ

ͫ͏΁Ӫ ڻ͍͗Ζ

ݳࡑγʖϑη

ͺཤ༽͢ͱ͏

͵͏

4ղޤʀෳࢳγʖϑηͶӪڻ͗

͍ΕΉ͖ͪ͢

Ή͚ͮͪӪ ڻͺ͵͏

ঙ͢Ӫڻ

͍͗Ζ

ͫ͏΁Ӫ ڻ͍͗Ζ

Κ͖Δ͵͏

4͍͵ͪ͹ର௒ͶӪڻͺ

͍ΕΉ͖ͪ͢

参照

関連したドキュメント

わからない その他 がん検診を受けても見落としがあると思っているから がん検診そのものを知らないから

近畿、中国・四国で前年より増加した。令和 2(2020)年の HIV 感染者と AIDS 患者を合わせた新規報告数に占 める AIDS 患者の割合を地域別にみると、東京都では

〇新 新型 型コ コロ ロナ ナウ ウイ イル ルス ス感 感染 染症 症の の流 流行 行が が結 結核 核診 診療 療に に与 与え える る影 影響 響に

および皮膚性状の変化がみられる患者においては,コ.. 動性クリーゼ補助診断に利用できると述べている。本 症 例 に お け る ChE/Alb 比 は 入 院 時 に 2.4 と 低 値

上部消化管エックス線健診判定マニュアル 緒 言 上部消化管Ⅹ線検査は、50

② 特別な接種体制を確保した場合(通常診療とは別に、接種のための

全国の緩和ケア病棟は200施設4000床に届こうとしており, がん診療連携拠点病院をはじめ多くの病院での