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企業環境の変化 と ア カ ウ ン タ ビ リテ ィー

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(1)

企業環境の変化 と

ア カ ウ ン タ ビ リテ ィー

照 屋 行 雄 ・大 田 博 樹

1 は じめに

企業会計の理論的基盤 を研究する領域は,会計公準論,会計主体論お よび 会計職能論の

3

つである。会計公準論 は,企業会計が成立する社会経済的構 造や企業会計 の達成すべ き目標 を示す前提や仮定 を明 らか にす る領域であ る。 ここでは企業の特質や外部環境の分析 に基づ く幾つかの公準が,いずれ も帰納的方法 によって導 き出されることになる。

会計主体論 は,企業会計が行 われる場所的単位 もしくは計算的範囲 として の企業 をどの ように考 えるか とい う 「企業観」 とその変遷 を問題 にする。企 業実体の公準や有用性の公準 などを前提 として成立する企業会計が, どの よ うな企業観 に立 って実施 されるべ きか を明 らかにす るのが会計主体論 であ る。 ここでは,企業 を取 り巻 く各種利害関係者 との関係 において企業 をどの ように観 るか とい うことを考 え,そ して,これ ら利害関係者の企業会計 に対 する情報要求 を探 ることになる。

また,会計職能論 は,会計公準の認識 によって規定 され,会計主体の特定 によって設定 された企業会計 の社会的職能 とは何か を研究す る領域である。

ここでは, どの ような利害関係者の どのような情報要求に対 して, どの よう な方法で どの範囲まで情報開示 (ディスクロージャー)するか とい うことが 219

(2)

明 らかにされることになる。

企業会計の理論的成立基盤 を研究す る上記の

3

つの領域の うち,企業会計 の 目的を達成す るために遂行 しなければならない企業会計の内容 を決定する 役割は会計職能論である。会計職能論 において,企業会計の提供す る会計情 報の特性や範囲が明 らかにされるか らである。 しか しなが ら,会計 目的 との 関連で会計職能が探求 されるためには,企業会計が どのような立場 に立脚 し て行 なわれるべ きかが明 らかにされなければな らない。会計 主体 の本質は, 会計諸概念の理解,会計処理の方法,情報開示のあ り方などの会計 フレーム

ワークを規定することになるか らである。 ここに会計主体論 の意義が認識 さ れるのである。

本稿で会計主体の問題 をとりあげた理由は,この ように会計主体論が企業 会計の立脚点 を明 らかにすることによって,会計理論の体系化 をはかるため の理論的基盤 を提供する領域であることに加 えて,次の ような企業観の変遷 を認識す る点にある。すなわち,①現代企業が大規模化 ・高度化 しているこ と,②各種の利害関係者が参加 していること,③企業活動が グローバル化 し ていること,④企業の社会的 ・公共的性格が増大 していること,お よび ⑤

自然 ・環境 に対する企業の責任が強 く求め られていること,の諸変化 を認識 す ることがで きる。

ここでは, まず企業会計の主体論 について,上記の企業観 の変遷 に照 らし て考察する。次 に,この ような会計主体論 を踏 まえて,企業のアカウンタビ リティーの本質 とその拡大 について特 に企業の環境変化 との関わ りで検討す る。そ して,企業環境の変化が企業のデ ィスクロージャーに及ぼす影響 につ いて論述する。 ここでは特 に環境会計情報の開示 システムの展 開可能性 に論 及することによって,企業会計の新 しい役割 を明 らかに したい と思 う。

なお,本稿の執筆 にあたっては,主 として論文の構成並 びに

1・3

お よび 5を照屋が担当 し,2お よび4を大田が担当 した。 しか しなが ら,本稿 は執 筆者

2

名の共同研究であ り,会計ディスクロージャーの研究 に関する成果の

220 国際経営論集 No.23 2002

(3)

一部 を構成するもの となっていることを明 らかに してお きたい と思 う0

2

企業会計の主体

(1)会計公準の認識

現代 の企業会計 は,長い間の会計実践 における慣行や社会的な約束事 を基 礎 にして成立 している。 したがって,企業会計 を理論 的に体系化す るために は,長年の会計慣行 などの成立基盤 を理解する必要がある。 このように企莱 会計が理論的に成立す るための基礎的前提のことを会計公準 と呼んでいる。

会計公準は,現在の企業会計上 において基本的かつ不可欠な もの となって いる。例 えば,貨幣的測定の公準 は,企業の経済活動の全 てを貨幣価値 によ って把握することを要請 している。企業活動 によって発生す る取引は量的に 把握 され,記録 されているが,その時の量的把握は貨幣単位 によって行 われ ている。企業会計上,企業の取引活動 は貨幣的に把握す ることが基本 となっ てお り,この前提 な くしては成 り立たないのである。

この ように会計公準 は,会計実践 において基礎的前提 をな している。会計 公準 は要すれば

,

「会計実践の中か ら会計 の理論その他一連の帰結 を導 き出 すための基礎的な前提であ り,会計実践 において暗黙の うちに認め られ,会 計実践 にとって不可欠な各種の慣習お よび共通の約束 ない し仮定の うちで基

本的なものを抽出 した もの」 と理解 されるのである。

会計公準 は,これまでメイや リ トル トンなどの多 くの研究者 によって多種 多様の体系化の試みがなされて きたが,現在の ところ, まだ明確 な体系化 は なされていない。 しか しなが ら,会計公準の数お よび内容 については研究者 によって違いがあるものの,現在 は大 きく分けて構造的公準 と要請的公準の

2

つが一般 に容認 されているといえる。

構造的公準 は,企業会計の基礎的な土台 を示 している公準で,企業会計の 実践 を規定する構造的 ・制度的基盤の中か ら基礎的なものを抽出 した もので

企業環境 の変化 とアカウ ンタ ビリテ ィー 221

(4)

ある。構造的公準 には一般的に,企業実体 の公準,会計期 間の公準お よび貨 幣的測定の公準 の

3

つがあげ られる。

企業実体の公準 とは,企業 をそれ 自体が資本主か ら独立 した存在 として仮 定す る もので,会計 は企業実体 を一つの会計単位 として計算す ることになる。

この公準 は,会計 の場所 または範囲を限定す ることか ら会計単位 の公準 とも 呼 ばれている。企業実体 の公準 は,現在 の企業会計 の基礎構造である複式簿 記の成立基盤 として必要不可欠 な概念 である といえる。 なぜ な らば

,

「企業 会計 の技術 的な構造 を形づ くっている複式簿記機構 では,企業 をその出資者 または企業主か ら分離す ることによって,初めて 『企業の財産』 と 『企業の 資本』 とい う概念が生 まれ, また両者 の均等等式 (会計等式)が成 り立つ。

そ して, この ように企業主か ら分離 された企業 は,会計上 『企業実体』 また はエ ンテ ィテ ィと呼 ばれ, また歴史的 にみて も, この概念 の成立 によって,

2)

家計 と企業の分離,店 と奥の分離が可能になった」か らである。

次 に,会計期 間の公準 とは,企業活動 は原則 として半永久的に行 われると い う前提 に立 っている。そ して企業会計 はこの継続性 を前提 に,企業活動 を 人為的にある一定期 間に区分 し,その会計期 間ごとに会計計算 を行 うことに なる。会計期 間の公準 は,継続企業 を前提 としてお り,企業会計 についての 時間的限定 を している考 え方である といえる。会計期 間の公準 は,継続企業 を前提 に していることか ら継続企業の公準 とも呼ばれている。

また,貨幣的評価 の公準 とは,企業の経済的な活動 のすべてを貨幣価値 に よって測定す ると仮定 した ものである。 これによって異 なる財貨や取引 など を貨幣価値で単位 を紘一す ることが可能 とな り,企業の経済活動 を統一的に 把握す ることがで きる。 しか し, この公準の限界 は,貨幣価値で測定で きな い企業活動 に関 しては会計 的に把握す ることがで きない とい うことがあげ ら れる。

一方,要請的公準 は企業会計の 目的 を示す公準であ り,企業 を取 り巻 く社 会的 ・経済的な環境 を分析す ることで,企業会計が 目指すべ き目標 を明確 に

222 国際経営論集 No.23 2002

(5)

したものである。新井清光氏は資産 と費用の測定基準 として採用 されている 取得原価主義や原価配分の原則 を例 に,構造的会計公準だけでは企業会計 を 理論的に成立 させ るための基礎的前提 としては不十分であるとし,要請的公

3) 準の必要性 を指摘 されている。

上記のような取得原価主義や原価配分の原則 は, しば しば継続企業の公準 に基づいているとされるが,企業活動の継続性 とい う前提 は取得原価主義 を 理論づけるための公準である一方で,時価主義の理論 を成立 される公準で も ある。つ ま り

,

「時価主義の一つである売却時価主義 についていえば,企業 はその継続性 ・永続性 を考 えるか らこそ,常 に資産 (ここでは商品,備 品, 建物などの非貨幣資産 を指す) を現金 に換 え,再びその現金で資産 を購入す るという活動 を反復 しているのであ り, したが って,本質的には,資産‑現 金化‑資産 とい う反復活動 に合 った会計つ ま り売却時価主義会計 こそが,継

4)

続企業の公準 にもっとも適合 した会計である」 といえる。 このように継続企 業の公準は,取得原価主義会計だけを理論づける会計公準ではな く,この公 準だけで取得原価主義会計の基礎的理論 を構築す ることは難 しいため,取得 原価主義会計の妥当性 を立証 し,一方で売却時価主義会計の非安当性 を立証 するような理論が必要であると主張 される。すなわち,ここで要請的公準 に より 「企業会計の基本的な目的が明示 されることによって,は じめてその目 的を遂行するための会計行為 (定額法,先入先出法 などの採用)が正当化 さ れ, またその行為指針 たる会計原則 (取得原価主義,原価配分 の原則 など)

5)

の正当性が論証 されることになる」のである。

現在の ところ要請的公準 には,有用性の公準 と公正性の公準の

2

つが一般 的に認め られている。有用性の公準 とは,企業会計 は企業 を取 り巻 く各種利 害関係者の情報要求に対 して,有用 な情報 を提供 しなければならない とい う 考え方である。 ここでいう各種利害関係者 とは主 に株主など投資家のことを 指 している。現在の企業会計が処分可能利益 の算定 を行 う際に,収益認識基 準 として実現主義 を,そ して資産の評価基準 として取得原価主義 を採用 して

企業環境の変化 とアカウ ンタビリテ ィー 223

(6)

いるのは, この公準 に立脚 しているか らである。

公正性の公準 とは,企業会計は各種利害関係者の要求 に応 じて様 々な情報 を提供 しなければならないが,その際にその情報が利害関係者間で公平 に役 立つ ものでなければならない とい う考 え方である。 この公準は有用性の公準 と連携 して,企業の利害関係者の情報要求 に適切 に対応するための重要な前 提である。 ここでは,有用性の公準 における各種利害関係者は主 に株主 など の投資家 に限定 されている。 したがって投資家 にとって有用な情報 を作成す るために,その他 の利害関係者 にとっては有用 な情報 にはならない可能性が ある。 ここで公正性の公準 は,各利害関係者 に公正 に役立つ情報 を提供する ことを要請 し,各利害 関係者同士で情報の非対称性 の是正 を目的 としてい る。

(2)会計主体論の展開

会計主体論 とは,企業会計 は誰のために行 われるべ きなのかを論ず るもの で,会計の立場か ら見た企業観の問題であるといえる。 ここでは,この会計 主体論の変遷 によってこの 「企業観」が どの ように変化 していったのかにつ いて考察す る。

会計主体論 については,多 くの研究者 によって様 々な研究が されて きてお り,時代 の変遷 とともに企業 を取 り巻 く環境の変化 に応 じてい くつかの見解 が生 まれることとなった。会計主体論 はその内容で分類すると,次の三つに 分けることがで きる。一つは,企業 と資本主 との繋が りを重視す る主体論で ある資本主理論お よび代理人理論である。二つは,企業 を資本主か ら完全 に 独立 した存在 として捉 える主体論である企業主体理論お よび企業体理論であ る。三つは,上述のような企業観 に捉われず に,企業 を単純 に資金 を投入 さ れた中立的な存在 として捉 える資金理論である。

これ らの会計主体論 を歴史的に考察すると,まず企業規模が比較的小 さか った時代 においては,ハ ッ トフィール ド

( 班.R.Ha t f i e l d)

に代表 される資本

224 匡l際経営論集 No.23 2(泊2

(7)

主理論が主流であった。資本主理論 は企業 を資本主によって所有 されるもの として捉 え,企業会計 は企業の所有者である資本主のために行われるとい う 考え方である。 この理論の基礎 には,<資産 一負債 ‑資本 >とい う等式が成 り立 っている。 この等式 における資産は資本主 にとっての積極財産であ り, 一方負債 は消極財産 となる。そ して資産 と負債の差額 は資本主の純財産 とな る。資本主理論 は個人経営や比較的規模の小 さい企業は当てはまるが,時代 とともに企業の規模が拡大 し,そ して経済が成長す るのに伴 って資本主理論 が時代 に適合 しな くなって きた と批判 されるようになって きた。特 に企業の 所有 と経営が分離するようになると,資本主理論では企業会計の真実性 は確 保することがで きな くなって きた。

次 に提唱 されたのは,ハズバ ン ド

( G.

R

.Hus ba nd)

に代表 される代理人 理論 (エージェンシー理論)である。代理人理論 は,企業 自体 を資本主か ら 独立 した存在 として捉 えるが,企業 を資本主の代理機関 (エージェン ト) と みな し,経営者 を資本主か ら経営 を委託 された代理人 とみる説である。 この 理論は,企業 を資本主か ら独立 した存在 として捉 えているとい う意味で資本 主理論 とは異 なるが,資本主か ら資金 を委託 され資本主の代理人 として捉 え るという意味では資本主理論 と共通 した部分があるといえる。代理人理論 は 企業の所有 と経営の分離が進み,資本主理論では現実の会計問題の説明が出 来な くなった際に広 く展開 されたが,企業それ自体が法人格 を持 って きたこ とと企業が社会的 ・公共的な存在 になって きたこともあ り, この考 え方は理 論的な妥当性が減殺 されることとなった。

企業規模の拡大 に伴い株式会社形態の企業が多 くなることで,ペイ トン‑

リトル トン

( W. A. Pa t o n&A

.

C. Li t t l e t o n)

に代表 される企業主体論が生 ま れた。企業主体論 とは,企業それ自体 を株主や債権者 といった利害関係者か ら独立 した存在 として捉 えるとい う考 え方である。 したがって,企業会計 は 企業の立場 に立 って行われ,その測定結果 を利害関係者 に報告することにな る。この企業主体論の基礎 には<資産‑持分 (負債 十株主持分) >とい う等

企業環境の変化 とアカウンタビリテ ィー 225

(8)

式が成 り立つ。 この理論 は,今 日の ような株式会社形態の企業 によく当ては まるので会計主体論の中で も重要な見解の一つである。

ところで,経済のグローバル化や 自然環境問題,消費者の多様化 など今 日 の企業 を取 り巻 く環境 は大 きく変わ りつつある。企業側 もまた以前 とは違い, その規模 は比較 にならない程 に拡大 している。そ して大規模企業が もた らす 影響は多岐にわた り, またその影響力 も限 りな く大 きいことは言 うまで もな い。 したがって,今 日の企業は企業それ 自体,経営者,株主 ・債権者の

3

つ の要素だけで構成 されているとは言い難い。つ ま り,企業は前述の

3

つの要 素のほかに地域住民や従業員 なども含 んだ広範囲な利害関係者 によって構成

される社会的な存在 として捉 えるべ き段階に立ち至 っているといえる0 この ような社会 的 ・経 済 的な変化 に よ り生 まれたのが ,ス‑ヤ ーネ ン

( W.So u j a ne n)

に代表 される企業体理論である。 この企業体理論 とは,前述 したように企業 を株主や債権者,従業員,地域住民などの全 ての利害関係者 で構成 される社会的な存在 として捉 え,企業会計が これ らの社会的な存在全 てのために行 われるとい う考 え方である。 したがって,この考 え方では,企 業の社会的貢献 (付加価値)の測定が重要になって くる。具体的には,下記 の表のようになる。 この企業体理論 については,次項で詳 しく考察する。

図表2‑1 企業体理論における付加価値

利害関係者 付加価値

株主 配当金

債権者 支払い利息等

従業員 給料

地域住民 安全な経営,環境への配慮

最後 にバ ッター

( W.∫ .Va t t e r )

に代表 される資金理論 について触れたい。

これまで述べて きた会計主体論は,企業会計 を資本主や企業体の立場で行 う 226 国際経営論集 No,23 2002

(9)

とい うような理論であったが,資金理論 はこれ らには属 さず企業 を単 に資金 の集合体 とみるものである。 これによって資金理論 は,これまでの会計主体 論が持 っていた対象企業の限定 を排除することがで きた。つ ま り,個人企業 や株式会社 に適合するだけでな く,官庁 ・非営利団体 といった各種の形態 に 適合することがで きるのである。

以上で明 らかにされたように,会計主体論 は歴史的にみて資本主理論か ら 代理人理論,企業主体論,そ して企業体理論 までシフ トして きたことが分か る。その時代背景 を考察 してみると, まず,資本主理論や代理人理論が展開 された時代の企業規模 は小 さかったが,次第に企業規模が大 きくなるにつれ て企業主体論,そ して企業体理論へ と展開 していった。企業規模の拡大 によ り企業の影響力が大 きくなるとい うことは,それだけ企業にとっての利害関 係者は多 くなる。つ ま り,企業 を取 り巻 く利害関係者が多 くな り,様 々な情 報 を企業 に要求するようになることで,資本主理論のように,資本主だけに 有用な財務情報 を開示する企業会計の対象 としているような会計主体請では 対応で きな くなったといえる。そのため,企業 自体が より社会的 ・公共的な 存在 となることで,多 くの利害関係者 に対 して有用 な情報 を提供す るような 企業体理論‑ と会計主体論が シフ トしていった と考 えられる。

(3

)企業体理論の特徴

企業 に対 して社会的な役割 を求める要求は,最近 になって始 まったことで はない。企業はこれまで最 も重要だ と考 えられて きた利害関係者である株主 や債権者だけではな く,消費者や地域住民,従業員 といったこれまでの枠 を 超えた利害関係者 をも視野 に入れた経営 を求め られている。既 にふれた よう に,会計主体論の初期の段階では,資本主理論や代理人理論 にみ られるよう に企業の利害関係者の中心は資本主であった。 しか しなが ら,企業規模 の拡 大に伴 って社会的影響が大 きくなるにつれて企業体理論 にみ られるように企 業の利害関係者 も拡大 してきた。企業体理論 とは,企業 を株主や債権者,従

企業環境 の変化 とアカウンタビリテ ィー 227

(10)

業貝,地域住民 などの全 ての利害関係者で構成 される社会的な存在 として捉 え,企業会計 をこれ らの社会的な存在すべてのために行 われるとい う考 え方 である。図表 1‑ 1で も明 らかなように,各種利害関係者の企業への情報要 求内容は多岐に渡 っている。 したがって,この ような情報要求に対 して,こ れまでの財務情報 を中心 とした会計報告書だけでは適切 に対応で きな くなっ て きているのである。そこで生 まれて きた考 え方が企業体理論である。

ここでは,企業体理論の特徴 として, これまでの会計主体論 には見 られな かった新 しい利害関係者である従業員,消章者,地域住民などに焦点 をあて たい。

言 うまで もな く,企業 にとって従業員 は労働力 を提供する重要な要素であ り,直接的な関係者で もある。 しか し,従業員が直接的な関係者 にも関わら ず, これ までの会計情報 は資本主への情報だけに偏 っていた といえる。「環 境の変化 にともない企業観の変化が進んでいる現代企業 において,会計情報 について も,質的変化 ・量的拡充が求め られ,そ うした変化 ・拡充の中心的 検討領域 として,協働作用の一方の担い手である従業員のための情報の作成

6)

およびその提供」が必要 になってきているのである。従業員 に関する情報 と しては,生産面 における労働生産性や資本生産性,分配面 における 1人当た り労働分配額や労働分配率があげられる。 これ らの情報は,経営者 にとって は労働力の効率的な分配 を可能に し,一方で従業員 にとっては労働条件や各 種支払状況などを確認することが可能 となる。企業が持つ情報 を従業員 に向 けて開示す ることで,企業 (経営者)一従業員 間の摩擦 も減少することが期 待 される。

企業 にとって直接的な関係者である従業員 に対 して,消費者や地域住民は 間接的な関係者 といえる。企業の生産活動 に直接的には関わらないが,企業 の生産物 を購入 した り, また企業の建物 ・工場 などの周辺 に住 んでいる集団 を指 している。消費者 は企業の生産物である製品を購入する際 に,その製品 の安全性 などの情報 を知 る権利がある。 また,地域住民 にとっては工場周辺

228 国際経営論集 No.23 2002

(11)

の環境問題 (工場廃水 ・廃棄物 ・大気汚染 ・騒音 など)は生活 に密着 した問 題であ り,彼 らにとって環境問題お よび企業の環境への取 り組みに対する関 心は高 く,それ らの情報の開示 を必要 としている。

以上のように,現代企業 における利害関係者の情報開示要求は多岐にわた っている。 しか しなが ら,それ らの情報要求 に応 えることで株式市場 におけ る資金調達 を容易 に した り,地域住民 との摩擦 を減少 させ ることなどが可能 となる。企業体理論で展開されている利害関係者の拡大 は,現代企業の状況 を正確 に説明 しているといえる。

3

企業のアカウンタビリティー

(1)アカウンタビリティーの本質 と拡充

上述では企業会計 の主体 として,資本主か ら独立 した存在 として企業実体 を強調 し, しか も企業の社会的制度 としての性格 に注 目す る企業体理論の立

7)

場が とられることが主張 された。 この ような企業観 に立つ ことによって,現 代企業 を取 り巻 く各種利害関係者の情報要求に対応 しうる合理的な企業会計

システムを実現する理論的基盤が確保 されると考 えるか らである。

ところで,企業の利害関係者 に対する有用で公正 な意思決定情報の開示 を 強制する論理は何 か, とい うことが問われなければな らない。換言すれば, 企業の会計ディスクロージャーを動機づけている要因を何 に求めるか とい う 問題である。私有財産制 を基盤 とする資本主義社会 における企業の経営活動 は,第一義的には財産の所有者 と企業の経営者 との委任契約 に基づいて営 ま れている。従 って,委託者 (所有者) と受託者 (経営者) との間には,エ ク イテ ィー

( e q ui t y;

請求権) とスチュワー ドシップ

( s t e wa r ds hi p;

受託責 任)の関係が生ずることとなる。

受託者たる経営者のスチュワー ドシップの内容 は,大 きく次の2つか らな る。

企業環境の変化 とアカウンタビリティー 229

(12)

① 株主等 よ り受託 した企業財産 の管理保全 お よびその有効 な運用 を遂行す る責任

② 企業財 産の管理保全 の状況お よびその有効 な運用 の成果 を報告 し,説明 す る責任

企業の経営者が負 うこの ような受託責任 の うち,② の報告 ・説明責任の こ とを特 にアカウンタビリティー

( a c c o unt a bi l i t y;

会計責任) と呼 んでいる。

今 日では経営者の遂行す るアカウンタビリテ ィーが,企業の会計 デ ィス クロ 8)

‑ジャーを強制 もしくは動機づ ける重要 な概念 となっている。以上 に説明 し たエ クイティー‑アカウンタビリテ ィーの関係 を図示すれば,図表

3‑1

の 通 りである。

図表3‑1 エクイティー‑アカウンタビリティーの関係

I l l

エクイティー ■

(lll請求権)lll 財産委託

(株主等)

経営受話

ステユワー ドシップ

( 経営者)

(受託責任)

財産の管理保全 ・有効 運用の遂行責任

企 業

財産の保全状況 ・有効 運用の説明責任

アカウンタビリテ ィーの本質は,株主や債権者等か ら信託 された企業財産 の管理保全 とその有効 な運用 を遂行 した結果 を,企業会計の測定 ・開示 シス テムを通 して報告 し,説明す る経営者の責任 を示す概念であることが明 らか となった。 この ようなアカウンタビリテ ィーに基礎づ け られた企業の会計デ

230 国際経営論 集 No.23 2(氾2

(13)

ィスクロージャーの目的は,株主等の財産委託者 に対 して,そのエクイティ の基礎 となる投資効果の測定 を合理的に行い得 る基礎資料 を提供することに おかれる。投資意思決定のための有用 な財務情報の開示が求め られる理由が ここにある。

このように伝統的なアカウンタビリティー概念 は,投資家の過去 における 投資結果 を適正 に測定 し,そのエクイティーを公正 に表示する会計 システム を要求 した。 この要求は,収益費用の認識 における発生主義 ・実現主義,餐 産評価 における取得原価主義 をコア概念 とする期間損益計算の確立 によって 実施 しているのである。伝統的アカウンタビリティーは, この限 りにおいて 事後的な説明責任 たる性格 を強 く持つ ものであると言 えよう。

ところで,企業活動の展 開によって多種類の外部利害関係者が登場 し, ま た,企業環境の変化 に伴 って会計 ディスクロージャーの範囲が拡充するに至 っている。 この ような現代企業 における会計 は,単 に所有者たる株主に対す るアカウンタビリテ ィーを遂行す ることだけでは,「動的秩序維持の‑形成

9) 要因としての社会的用具」 としての役割 を達成することは出来ない。今 日の 代表的な企業観 として,社会的 ・制度的存在 としての企業 を認識することが 求められているのである。そ して, このような企業観 に立 った場合,アカウ

ンタビリティー概念の拡充が求め られる。

伝続的なアカウンタビリティー概念は,企業 に財産的なエ クイティー (請 求権) を有す る株主等の特定の利害関係者 に対 して行 なわれるスチュワー ド (経営者)の報告 ・説明責任 を意味 した。 これはエ クイテ ィー‑スチュワー

ドシップ関係 として理解 されたのである。い ま,企業の遂行す るアカウンタ ビリティーの拡充 を問題 にする時,エクイティー概念の拡充 を説明す る論拠 が必要 となる。

日本会計研 究学会 の 「会計責任 に関す る研 究」 ス タデ ィー ・グループ

( 1 9 7 6

年)は,エクイティーの拡充 について,環境権,市民権,消費者主権, 労働者主権 などの社会的生存権 ない し社会的主体者 としての権利 に基礎 をお

企業環境の変化 とアカウンタビリテ ィー 231

(14)

10)

く社会 的エ クイテ ィー と説 明 してい る。 この見解 は,会計 デ ィス クロージャ ー を遂行す る企業 を,社会 的 ・制度 的実体 と してそのアカウンタビリテ ィー を認識す る ところか ら導 き出 された ものである。

このス タデ ィー ・グループの社会的エ クイテ ィー概念 によれば,た とえば 企業の製品 を購入す る消費者や企業の立地す る地域 の住民が,企業 に対 して 会計 デ ィス クロージ ャー を要求す る権利 (社会 的エ クイテ ィー) は,当該利 害関係者 の持つ生活権 とか環境権 を基礎 に している とみなすのであ る。企業 の社会 的責任 の拡張 の観点か らすれば,株主等制度 的エ クイテ ィー を保有す る利害 関係者以外 の広範 な各種利害 関係者 に対 す る企業 の アカウンタビリテ 11) イーの遂行 は,当該企業 の社会的責任遂行 の重要 な一環 となる ものである。

アカウンタビリテ ィー概念 の拡充 を図示す れば,図表

3‑2

の通 りに示す ことがで きる。

図表3‑2 アカウンタビリティー概念の拡充

(ソーシャル・アカウリテ

)

拡充アカウンタビリ

(2)環境変化 と会計デ ィスクロージ ャー

企業が行 う会計 デ ィス クロージ ャー を基礎づ けてい るアカウンタビリテ ィ 232 国際経営論集 No.232(泊2

(15)

ーの概念が,伝統的なスチュワー ドシップ ・アカウンタビリティーか らソー シャル ・アカウンタビリティに拡充 されていることを明 らかに した。そこで は,株主等の持つ財産的エクイティーのほかに,その他 の各種利害関係者の 社会的生存権 に根 ざした社会的エクイティーの認識が求め られた。 この よう なアカウンタビリティーの拡充は,会計ディスクロージャーの範囲や開示内 容を変化 させ ることになる。

まず,会計 ディスクロージャーの目的を明 らかに しておかなければならな い。アメリカ財務会計基準審議会

( Fi na nc i a lAc c o unt i ngSt a nda r dBo a r d;

FASB)

は,財務報告の第‑の 目的を 「現在並 びに潜在 的な投資家や債権者 やその他の利用者が,合理的な投資,信用供与お よびその他の同様 な意思決

12)

定をする上で有用 な情報 を提供すべ きである」 と規定 している。 ここでの外 部財務報告の潜在的利用者 としては

,

「所有者,債権者,供給先,潜在 的投 資家お よび債権者,従業員,経営者,取締役,顧客,財務 アナリス トお よび ア ドバ イザー,ブローカー,証券引受人,証券取引所,弁護士,エ コノミス ト,税務当局,行政機関,立法機関,財務情報紙誌社,労働組合,取引団体,

13) 企業研究家,教員お よび学生,並 びに一般大衆」 などを挙 げている。

伝統的なアカウンタビリティ概念の もとでは,潜在的情報利用者のうち所 有者や債権者の ように,企業 に対 して直接的利害関係 を有す る特定の利害者 に対 して,その意思決定のための有用 な財務情報開示が求め られて きた。そ のための会計 ディスクロージャーの手段 となった ものが,伝統的な財務諸表 である。 ところが,アカウンタビリティの拡充 に伴 って,従来の財務諸表情 報 で は十分 に多種 多様 な情 報利用 者 の情報 要求 に対 応 で きない と して,

FASB

は企業会計の作成 ・開示 に関す る一般 目的外部財務報告情報 に加 え て,その他の財務報告情報の開示 を含めたファイナ ンシャル ・リポーティン

14)

グ (財務報告)の手段 をより有用 なもの と考 えるのである

。FASB

のファイ ナ ンシャル ・リポーテ ィングの範 囲 を図示すれば,図表

3‑3

の通 りであ 15)

る。

企 業環境 の変化 とア カウ ンタビ リテ ィー 233

(16)

図表 3‑3 FASBファイナ ンシャル ・リポーティングの範囲 内部 目的 .外部 目的意思決定情報

ファイナ ンシャル .リポーティング (一般 目的外部財務報告情報強制開示会計情報 財務報告)情報不意任会Lq 財計務∠「報的非三言ゝ 財的杏情罪報 基本財務諸表情報 補足情報

本 注 付 刺用

体 記 属 可 計 月ニ口

情 情 情 能 情 情

FASB

の財 務 報 告 は,多種 の情 報利 用 者 の多様 な意 思決 定 の ため に有用 な 情 報 開示 を実施 す るため に,開示情 報 の範 囲 を拡大 し, また , 開示情 報 の内 容 を充 実 す る方 向 で展 開 されてい る こ とが わか る。

以上 は, ア カ ウ ンタビ リテ ィーの拡 充 に伴 って展 開 され る会計 デ ィス クロ ー ジ ャーの拡 充 につ い て, ア メ リカ

FASB

の フ ァイナ ンシ ャル ・リポー テ ィ ング (財 務 報告 ) の考 え方 を例 に考 察 した。 こ こで も明 らか な よ うに,デ ィス クロー ジ ャーの拡 充 は,開示 情報 の量 的拡 大 の面 で は,注記情報 の詳細 , 補 足 情 報 の増 大 お よび任 意情報 の拡 大 な どと して展 開 され て い る。 一方 ,情 報 内容 の充 実 の面 で は,包 括 的利益 計 算書 , キ ャ ッシ ュ フロー計 算 書 , セ グ メ ン ト情 報 , 四半期 別情報 ,財務予 測情報 な どの 開示 と して発 展 してい る。

こ こで, これ まで の考 察 を基礎 に, この よ うな会計 デ ィス ク ロー ジ ャーの 拡 充 が ,企 業 環境 の変化 に よって どの よ うな影 響 を受 け るか とい う問題 につ い て検 討 を加 え る こ と とす る。検 討 の フ レー ム ワー クは,次 の4点 で構 成 さ れ る。

(ヨア カ ウ ンタ ビ リテ ィー (会計 責任 ) の拡 充 (参会計 デ ィス ク ロー ジ ャーの範 囲の拡大 234 国際経営論集 No.23 2002

(17)

③会計 デ ィス クロージャーの内容の充実

(釘企業環境の変化 と会計 デ ィス クロージャーへの影響

まず,本稿 では会計主体 を企業体理論 に立脚 して企業会計 のフレームワー ク (理論 的枠組み) を考 えることを基本 とし,その企業観 の もとでのアカウ ンタビリテ ィーを,伝統的なスチュワー ドシ ップ ・アカウンタビリテ ィーか らソーシャル ・アカウンタビリティーへ拡充 されなければな らない ことを明 らかに した。そ して,アカウンタビリテ ィーの変化 に伴 って,会計 デ ィス ク ロージャーの 目的が,株主や債権者 な どの財産的エ クイテ ィーをもつ利害関 係者 に対する情報開示か ら,広 く消費者,行政,地域住民 な どの社会的エ ク イティーを有す る とみなされる各種 の利害関係者 に対す る情報開示 にまで拡 大 されることとなった。

また, この ような会計 デ ィスクロージャーの 目的の変化 は,企業会計が遂 行すべ き情報開示の範囲や内容が,伝統的な財務諸表情報か らそれ を含 む広 範囲の財務情報開示 を求める財務報告 (ファイナ ンシャル ・リポーテ ィング) 情報 に拡充 されることを要求す るに至 っている しか も,会計 デ ィス クロー ジャーの この ような拡充 は,会計情報 を中心 とす る財務 的情報 の開示 か ら,

16) 非財務的 ・非定量的情報の開示 を重視す る方向への展 開を促す ものである。

次 に,企業環境の変化が,会計 デ ィス クロージャーにどの ような影響 を及 ぼすかについて考察す ることが求め られる。 ここで企業環境 とい う場令,大 きく企業の内部環境 と外部環境 とに分 けることがで きる。 しか しなが ら,企 業の外部利害関係者 に対す る会計 ディスクロージャーを考 える場合,外部環 境の重大 な変化 に主 として着 目しなければな らない。そ して,企業の外部環 境の内容 は,社会的 ・経済的環境状況 と自然資源 ・地球環境 の

2

つのグルー

プに分 けて理解す ることがで きる。

近年 における企業環境 の変化 としては,特 に自然資源や地球環境 の保全 と 再生 とい う領域 について関心が高 まっている。 この 自然 ・環境問題 に関する 企業会計 の対応 として,環境会計 情報の測定 と開示 とい う会計領域が認識 さ

企業環境 の変化 とアカウンタビリテ ィー 235

(18)

17)

れるようになった。 この ように企業環境の重大 な変化 は,会計デ ィスクロー ジャーの目的 と内容 を変化 させ,その結果 として新 しい会計領域の認識 と会 計職能の変化 をもたらす こととなるのである。

4

環境の変化 と会計情報

(1)企業環境の変化 とその影響

現在,企業 を取 り巻 く環境 は大 きく変わ りつつある。企業 を取 り巻 く環境 といえば,消費者や従業員,取引先,株主 といった直接的な関係 と地域住民 といった間接的な関係 などがあるが,最近では,この ような関係の他 に自然 環境 との関係が クローズアップされるようになって きた。その原因 として近 午,環境問題が深刻化 してお り,早急 に対応 しなければな らない状況 にある

とい うことが考 えられる。

日本 において,企業 と自然環境 との関係 は最近 になって始 まった ものでは ない。 日本では,高度経済成長期 において公害問題が発生 し,大 きな社会問 題 となった。 しか しなが ら,公害は汚染域が限定 されていたため,一部の関 係企業だけが対応すれば,それで問題 は解決 していた。 したがって,公害問 題が発生 した時点では,現在のような企業 による環境保護の概念は生 まれて こなかったのである。公害の特徴 は,まず汚染の原 因 と被害 の因果関係が明 らかになっていたことと,被害の範囲が人間に限定 されていたことである。

また,当時の 日本 は,高度経済成長期で企業経営 は利益追求型だったために, 環境保護は二の次であった。 この ようなことか ら,当時は消費者や株主 とい った利害関係者か らの企業への環境保護要求は少 な く,また企業 自身の環境 保護の意識が低かった と思われる。

しか し,今 日クローズアップされるようになった環境問題 は公害問題 とは 違い,地球温暖化問題や酸性雨,オゾン層の破壊 などといった地球全体 にわ たるグローバルな問題で,その被害は広域 にわた り, また企業 との関係 もよ

236 国際経営論集 No.23 2002

(19)

り複雑 なもの となっている。た とえば,酸性雨問題 についてみると,その原 因物質である硫黄酸化物

( SO玉)

や窒素酸化物

( No∑)

は,企業の生産活動 や自動車の利用,我々の 日常生活か らも排出されている。 したが って,地球 温暖化問題の原因を特定の企業 に限定することが難 しいのである。 また,酸 性雨は長距離大気汚染 といわれるように,ある国で発生 した原 因物質はその 国に留 まることはな く,周辺国へ と流れ酸性雨 を降 らせ て しまう。つ ま り, 環境問題 を解決するには一国一企業が対応すれば良い とい うものではな く, 世界的に環境問題 に対応 しなければならないのである。

株主や債権者 といった利害関係者 も企業の環境対策 に関心 を持 っている。

それは,おそ らくパルディーズ号事件 により,環境問題 を起 こ した企業がそ の多額な賠償金の支払いによって利害関係者の利益 を減少 させて しまったこ とが

1

つの契機 となったことは間違いない。ある企業が もし重大 な環境問題 を引 き起 こ して多額の賠償金が請求 された場合,株主 にとっては配当金が, また債権者にとっては利息の支払いが遅れるか, または停止 して しまう恐れ がある。一方で環境問題が深刻 になると,その被害は地域住民や消費者の 日 常生活にも及ぶため,企業外部の集団 も環境問題への関心 を高めている。今 日では,環境問題 によって企業の利害関係者 は従来の利害関係者である株主 や債権者だけではな く,その枠 は消費者や地域住民 にまで広がっている。

このように,環境問題が深刻 になるにつれて,今 日の企業の多 くは環境問 題を重要な経営方針の‑つに掲げるようになった。その背景 には,消費者や 地域住民の環境対応‑の要求や環境情報の開示要求 といった外 的な要因 と, 環境対策による企業イメージの向上や,環境問題への事前対応 によって訴訟 などのリスク回避 といった内的要因があると思われる。今 日では,多 くの企 業が環境報告書 を作成 し, 自社の環境問題への取 り組みやその成果 を報告 し ている。

これまで述べて きたような企業環境の変化,特 に環境問題の深刻化 は今 日 の企業会計 に大 きな影響 を与える可能性 を含んでいる。た とえば,環境問題

企業環境の変化 とアカウンタビリティー 237

(20)

の深刻化 は本稿 の

2

の (

2

)の会計主体論 の展 開で もふれた ように,企業主 体理論か ら企業体理論へ展 開をしてい く背景 となっている。 この ことは,企 業会計が従来の利害関係者である株主や債権者のためだけでな く,その他の 利害関係者のために も行 われるとい うことを意味 している。

(2)環境会計情報の開示

環境会計 は,現在 の ところ確立 されていない分野である。そのため明確 に 定義付 けされてお らず,研究者の間で も環境会計 の捉 え方は様 々である。 ま た,環境報告書 に環境会計 を開示 している企業の間で も,その開示項 目や形 式は様 々で各報告書 ごとに異 なっているのが現状である。環境会計 の早期の 確立が望 まれている。

現在 の ところ,環境会計 は確立 されていない とはいえ,多 くの研究者 によ ってい くつかの考 え方が提示 されている。現在,それ らの見解 を大別す ると, 以下の

3

つ に集約 されると思われる。

①貨幣単位 によって測定 ・開示 (∋物量単位 によって測定 ・開示

③貨幣単位 ・物量単位 の両方 によって測定 ・開示

園部克彦氏 は,環境会計 を 「企業の環境 に関わる活動お よび影響 を認識 し 18) て主 に貨幣単位 で測定 ・評価 し,企業内部お よび外部 に伝達する手段」 と定 義 している。 この説 による と,企業活動 に関わる活動 と影響 を全 て貨幣単位 で把握す ることで,環境要素の測定単位 を統一 させ ることが出来 る。しか し, 環境情報 を貨幣単位 に移行す る際 に,環境 コス トの定義が明確 にされていな い ことで,会計担当者の窓意的な要素が含 まれて しまうといった危険性 も無 視で きない。

一方で,河野正男氏 は環境会計 を 「環境会計 の分野 において物量情報の重 要性 は十分認識 しているが,会計が対象 とす る主たる情報 は財務情報であ り,

19)

物量情報 はそれ を補完す る情報 と考 える」 として,物量情報の重要性 は認め 238 国際経営論集 No.23 2002

(21)

なが らも,環境会計 としては貨幣単位 による測定 ・開示 を中心 に構成 してい くとい う立場 をとっている。

また,R

.GRAY

は,環境会計の扱 うべ き範囲 として 「エネルギーや消費, 環境保護の ような重要な項 目の費用分析や,環境改善計画 に伴 う費用や収益

2 0

) の算定,環境 に係 る財産や危険性,費用の会計的把握技術 の向上 (筆者訳)

をあげてお り,貨幣単位 による把握 ・測定 と物量単位 による把握 ・測定 とを 並列的に扱 うことを主張 している。

しか しなが ら,現在 の ところ①の貨幣単位 によって測定 と③ の貨幣単位 ・ 物量単位 によって測定 とい うのは,測定 システムが確立 されていない ことも あ り実施 している企業は少 ないのが現状である。

また,研 究者以外 で も環境会計 の研 究 は進 んでいる。例 えば,環境庁 は

『環境会計導入のためのガイ ドライン』 を公表 し,環境 コス トの定義や測定 に関 して,その適用方法 をア ドバイス している。その他 にも,アメ リカの環 境保護庁 (EPA)や国連の貿易 開発会議 (UNCTAD)で も環境会計 に関す

るガイ ドラインを公表 している。

環境会計の測定項 目に関 して も明確 な定義付 けが されていない。現荏,作 成 されている企業の環境報告書 をみると,多 くの企業で環境 コス トの測定 と 開示 を行 っている。

上述の通 り,環境会計 にはい くつかの見解が存在するが, どの見解 にも共 通 しているのが環境会計 は企業の環境 に関わる要素 を把握 し,その情報 を企 業内部 と外部 に報告するとい うものである。 ここでは,環境会計情報 を企業 内部で利用するケースについて考察 したい。

環境会計情報の内部利用 は

,

「製品,工場,事業部お よび全体 における各 レベルのの経営者お よびスタッフの意思決定 を容易 にするために,環境保全 活動お よび投資等の環境保全上必要 とされる活動 に伴 う財務的影響お よび生

21)

態的影響 について,記録,分析お よび報告すること」が考 えられる。そのメ リッ トとして,環境 コス トの適切 な把握 により費用対効果の分析が可能 にな

企業環境 の変化 とアカウンタビリテ ィー 239

(22)

り,経営者 による適切 な意思決定がスムーズに行 えるようになることがあげ られる。 また,環境活動 に伴 う投資や費用 を一括管理す ることも可能 にな る。

特 に環境 コス トの適切 な把握は今 日の企業経営上非常 に重要である。なぜ ならば,環境 コス トの増大 に加 えて,例 えばある企業がAとい う製品 を製 造 していた として,経営者がその製品Aの製造過程 における廃棄物処理費 を正確 に測定 していなかった場合,その企業 はその製品Aに対 して十分 な 利益 を確保で きているか どうかがわか らない。 したが って,環境 コス トを正 確 に測定することで,その製品の適切 な販売価格 を決定 した り,あるいはそ の製品か らは撤退するといった経営判断が可能になるのである。

会計情報の外部報告 は,「株主,債権者,政府 などの外部利害関係者 に対 し,彼 らの経済的意思決定 を合理的なもの とするために,企業の経営成績や

22)

財政状態 に関する会計情報 を提供すること」を目的 としている。したがって, 環境会計情報の外部報告 は

,

「慣用利害関係者 に対 して,彼 らの意思決定 を 合理的なもの とす るために,企業の環境活動 に関す る環境会計情報 を提供す ることを目的 としている」 と考 えることがで きる。現在,環境会計情報の外 部報告は,環境報告書 を媒体 に して行 なわれているケースがほとんどである。

この報告書は株主 といった直接の関係者でな くとも,誰で も簡単 に手 に入れ ることが可能で,その企業の環境対策やその他の環境情報 を確認することが で きる。

環境会計情報の外部報告 は,企業の環境対策 を一般 に公表することで社会 的評価の確立が可能 になるとい うメリッ トがある。株主,消費者,地域住民 といった利害関係者 は, ます ます環境問題が深刻 になるなかで,企業の環境 対策 に関心 を持 っている。企業が真剣 に環境対策 を行 なっていて も,その事 実 を正確 に伝 えなければ社会的評価 を得 ることがで きない。 したがって,企 業の社会的評価 を高め るため には環境会計情報 の外部報告が重要なのであ る。

240 国際経営論集 No.23 2002

(23)

一方で,環境会計情報 を受 け取 る側,特 に株主 な どの投資家 にとって も意 思決定 をす る際の重要 な情報源 になる。環境対策 を重視 している企業の株式 だけを組み入れた投資信託であるエ コファン ドが人気 を集めている とい うこ とで も,投資家の環境への関心の高 さが知 られる。

(3

)企業価値の評価 と課題

上述の ように環境会計 は,企業内部 にとって も企業外部 にとって も重要で かつ有用 な情報 を提供す ることが可能である。 しか し,R

.Gr a y

が指摘 して いるように,環境会計 の定義 はそれ を実施す る目的や解釈す る人間によって

23)

変わって きて しまう。例 えば,環境問題 に関心のある経営者であれば,環境 対策 による成果が環境報告書の中心 になるであろ う。 しか し,経営者が よ り 企業の経済性 を優先す るのであれば,その企業の環境報告書では環境情報が 少 な くなって しまうか もしれない。早急 に環境会計 の定義が確立 されること は重要であるが,現在 どの ような情報が求め られているのか を十分 に認識 し たうえで,正 しい方向に進 む必要がある。

環境会計 は現在の ところまだ確立 されていないため,各企業 ごとにその利 用方法 は様 々 となっている。環境報告書す ら作成 していない企業 もあるが, 環境報告書 を作成 している企業の中で もその形式 はそれぞれ異 なっている。

自社 の環境対策 を簡単 な叙述形式で公表 している企業か ら,叙述形式のほか に環境会計 情報 を載せ ている企業 まで千差万別である。 この ような環境報告 書の非統一性 は,各報告書間の比較可能性 を失 わせ,その利用者の判断 を誤

らせて しまう可能性がある。

そ して,環境 コス トの定義が暖味 な点 も,利害関係者の意思決定 を誤 らせ て しまう可能性がある。他社 の環境報告書 との比較可能性 を確保す るために, 統一 された項 目に関 して統一 された単位 で環境活動 を貨幣単位 で把握す る試 みが行 なわれている。 しか し,貨幣単位 で把握す る際の環境 コス トと効果額 の算定方法が明確 にされていないため,その情報の信頼性 その ものが揺 らぎ

企業環境の変化 とアカウンタビリテ ィー 241

(24)

かねない。 したがって,早急 に環境会計の項 目の統一, また環境 コス ト・効 果額の算定方法の確立が望 まれる。

ところで,最近の環境報告書では環境 コス トを費用 として, また環境対策 による効果額 を収益 としてバ ランスシー トを作成 しているケースがある。こ の情報では,企業 による環境投資が どの程度成果 を上げているのかを総合的 に確認す ることが出来る。 ここで問題 になるのは,このバ ランスシー トが赤 字なのか黒字 なのか を表示 している点である。 ここで黒字 になっているとい う事 は,環境対策が一応の成果 を上げていると考 えることも出来るが,そ も そ も環境会計 はこのバ ランスシー トが黒字なのか赤字 なのかを議論するもの ではない とい う事 に注意 しなければならない。 もし企業がバ ランスシー ト上 で黒字 を出す ことばか りに力 を入れていた場合,す ぐに効果が現われるよう な短期的な環境投資 しか行 なわな くなって しまう恐れがある。 また,ここで いう効果額の算定 には企業の推定金額が使 われていることにも注意 しなけれ ばな らない。推定金額 はあ くまで も推定であって,実際の効果額ではない。

その中には,根拠が暖味な もの も含 まれている可能性がある。確定 した環境 コス トと推定 によって算出された効果額 をバ ランスシー トで比較することに はまだまだ問題 も多い と思われる。

これまで述べて きたように環境会計 とその報告媒体である環境報告書 は, 現在の時点ではまだ完成 された ものではない。 しか し,環境問題が今後 も重 要な問題であるとすれば,この発展途中にある環境会計の早期の確立が望 ま れるのは言 うまで もないであろう。そ して,環境会計の確立は,地域住民 と いった利害関係者の情報要求に適切 に応 えることを可能 とす る。

5

おわ りに

以上,本稿 においては, まず企業会計の行 われる主体 について考察 し,企 業体理論 に立脚 して企業会計の理論 的展開を求める研究視座 を明確 に した。

242 国際経営論集 No.23 2002

(25)

次に,企業体理論の立場 に立 ってアカウンタビリティーの本質 とその拡充 を 考察 し,企業環境の変化が企業のアカウンタビリテ ィーの拡充 を要求するに 至った現代企業会計の特質 を浮 き彫 りに した。そ して,最後 に企業のアカウ ンタビリティーに動機づけ られた会計ディスクロージャーの拡充 と課題 につ いて考察 し,環境会計情報の開示 システムや新 たな企業価値の評価 システム についての展開可能性 を明 らかに した。

現代の企業会計 に求め られるアカウンタビリティーは,企業環境の変化 に 伴 ってその範囲が拡充 されなければならない。そのことは,企業会計の主体 を企業体理論 によって説明する会計理論のあっては,すでに伝統的なアカウ ンタビリティー概念の拡充は実現 されていた と考 えることがで きる。 しか し なが ら,今 日の企業経営 におけるいわゆる資源 ・環境関連の変化は,環境会 計やそれを含む社会関連会計の展 開を要求する レベルにまでアカウンタビリ ティーを拡充するに至 っているのである。

一方,拡充 されたアカウンタビリティーを履行するための企業会計の他の 一つの改革は,企業の株主 に帰属す る期 間利益 を計算す る従来の財務会計 と は別に,企業の社会に対する貢献 を示す付加価値 を測定す る付加価値会計の 展開によって実現可能であることが指摘 さjtて きた。付加価値会計 は,企業 資本 と労働が創造 した経済価値す なわち純生産額の測定 とその分配 を遂行す る企業会計 システムなのである。付加価値の測定 によって,社会的 ・制度的 実体 としての企業の経営成果が明 らかにされると考 えられるのである。

また,アカウンタビリティーの拡充の視点か ら企業の付加価値 に着 目する 会計構想 は,付加価値の重要な分配先である企業内労働価値 とその創出主体 であるヒューマ ン ・リソース (従業員等の個人 もしくは人的組織)に関する 情報の測定 ・開示 システムの展開の可能性 を示唆す るものである。

このように本稿では,企業環境の今 日的変化 は,企業のアカウンタビリテ ィーの拡充 を通 じて,現代企業の会計 ディスクロージャーの 目的 と内容 を大 きく変化 させ ることが明 らかにされた。そ して,アカウンタビリテ ィーの拡

企業環境 の変化 とアカウンタビリテ ィー 243

(26)

充 は,伝 統 的 な財 務 会 計 を変 革 して,環 境 会計 や付 加 価 値 会 計 や ヒュ ーマ ン ・リソース会計 な どの新 しい会計 シス テムの展 開の可 能性 を生 み 出 してい るので あ る。

1 )

若杉明著 F精説財務諸表論』中央経済社

,1 9 9 4

,2 4

頁。

2 )

新井清光著 『会計公準論』 (増補版)中央経済社

,1 9 8 1

,2 0 9

頁。

3) 新井清光著 前掲書,301頁。

4 )

新井清光著 前掲書

,3 2 2

頁。

5 )

新井清光著 前掲書

,3 2 3

頁。

6)青木修 ・小 川潔 ・木下照森著 F変貌す る企業環境への会計 的 アプローチ』

中央経済社

,1 9 9 3

,1 5

4頁。

7)企業体理論では,今 日妥当な考 え方 として広 く一般 に受け入れ られている と考 えられる。 しか しなが ら,現代 の企業会計 システムは,必ず しも企業体 理論 に立脚 して統一的に構築 されているとは言 えない面がある。特 に,貸借 対照表 における負債 と資本 の関係 にその問題 を見 出す ことがで きる。今 日の 企業 は一方で企業体理論が立脚す る社会的制度 として存在す る反面,他方で 資本主理論が立脚す る私的所有関係 を考慮せ ざるを得 ない存在 である。 この 点についての見解 は,次の2つの文献 にも示 されている。

山桝忠恕 ・嶋村剛雄共著 F体系財務諸表論 [理論篇]j<二訂版 >税務経 理協会

,1 9 8 2

,3 3‑3 4

頁。

森川八洲男著 F財務会計論l<改訂版 >財務経理協会

,1 9 9 8

,3 6‑3 7

頁。

8) アカウンタビリティー (会計責任)の用語 は,今 日では広 く企業 (経営者) の社会 (各種利害関係者) に対す る報告 ・説明責任 として使用 されている。

これはアカウンタビリテ ィーの果たすべ き範囲が単 に企業会計 の作成する会 計情報のみに限定 されず,企業の経営行動 とその結果 に関す る財務的 ・非財 務的情報の開示 を求める もの として示唆的である。

なお,若杉明教授 は,アカウンタビ1)ティの概念 を広義 に解釈 して,(Dの 財産保全お よび運用責任 と(参の結果の報告 ・説明責任 を含 む企業側の責任 も しくは義務 を総称す る もの と説 明 してお られる (若杉 明著 レト説財務諸表 244 国際経営論集 No.23 2002

(27)

論」<第4版 >中央経済社,1996年, 6‑ 8頁参照)。

9)黒揮清著 F近代会計学<普及版

>

j春秋社,1997年, 5頁。

10) 日本会計研究学会 「会計責任 に関する研究」 に関するス タディ ・グループ

「会計責任 に関す る研究 ・中間報告要 旨

F会計』第110巻第5号 (1976年 11月号),130頁

ll)上記の会計責任ス タデ ィー ・グループは, これ を社会的アカウンタビリテ ィー (socialaccountability)と呼び,社会的アカウンタビリティーを,私有 制企業の制度 自体 に対す る一種 の挑戟である としている。 (同 日本会計研 究 学会 「会計責任 に関す る研 究」 に関す るス タデ ィー ・グループ,前掲書 , 138頁)0

12) FASB(FinancialAccountingStandardBoard),StatementofFinancial AccountingConcepts(SFAC)No,1‑ObjectsofFinancialReportingby BusinessEnterprises,November,1987para34.

なお,FASBは財務報告 (FinancialReporting)を,財務諸表 を含む非常 に広範囲な ものに解 している。す なわち 「財務報告 (ファイナ ンシャル ・リ ポーテ ィング) は財務諸表のみでな く,企業会計 システムによって作成 され る情報 一企業の資源,債務,利益 など一に直接 または間接 に関連す る情報 を 伝達す るその他 の手段 をも含 むのである」 とす る (ibid.,para7)0 FASBの 財務報告 の 目的については,次の文献 を参照の こと。照屋行雄著 F企業会計 の構造j税務経理協会,2001年,153‑156頁.

13) Ibid.,para.24.

14) Ibid.,para.5.

15) この図表は,筆者 においてここでの説明に必要 な限 りにおいて,次の文献 にある図表 を要約 した ものである。FASB,SFACNo,5‑Recognitionand MeasurementinFinancialStatementofBusinessEnterprise,December, 1984,Para8 (照屋行雄著 前掲書,156‑159頁参照のこと)0

16)将来におけるディスクロージャーの拡充 に関 して言 うな らば,アカウンタ ビリティーの拡充 は従来の財務報告 (financialreporting;財務諸表 を含 む財 務情報 開示) か ら非財 務 的情報 を含 む よ り総合 的 な企 業報告 (business reporting;ビジネス ・リポーティング) を志向す ることとなる。 これについ ては,例 えば,河崎照行編著 Fディス クロージャー :電子情報 開示の理論 と 実践j (中央経済社,2001年) を参照のこと。

17) アカウンタビリティー概念の拡充お よび環境会計 に関 しては,次の文献で

企業環境 の変化 とアカウンタビリテ ィー 245

(28)

詳 しく検討 されている。

日本会計研 究学会 「アカウンタビリテ ィー概念 の拡充」 に関す るス タデ ィ ー ・グル ー プ

,

「最 終 報告 書 ;グ リー ン ・ア カ ウ ンタ ビ リテ ィーの展 開

(1996年9月)F現代会計 とグ リー ンアカウ ンタビリテ ィ』 (飯 田修三 ・山上 達人編著,森 山書店,1998年所収)0

18) 園部克彦著 F環境会計』新世社,1998年,所収 p.2 19)河野正男著 F生態会計論」森 山書店,1998年,所収 p.281

20) R.GRAYwithJANBEBBINGTONandDIANEWALTERSACCOUNTING FORTHEENTqRONMENT

PaulChapmanPublishersLondonp6 21)河野正男著,前掲書,所収 p281

22)井 口伸 ・照屋 行雄著 r財務会計原理』東京経 済情報 出版 1999 所収 p7

23) Grayは著書ACCOUNTINGFORTHEENTqRONMENTの中で,Wh atdo wemeanbyenvironmentalaccounting?Thisisopentointerpretation.と書い

ている

246 国際経営論集 No.23 2002

参照

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