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『化学反応の経路の視覚教材化』

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(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

『化学反応の経路の視覚教材化』

著者 山辺 信一

雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告

10

ページ 33‑48

発行年 1987‑03‑16

その他のタイトル 『 Visualization of paths of chemical reactions 』

URL http://hdl.handle.net/10105/4577

(2)

『化学反応の経路の視覚教材化』

山 辺 信 一

(奈良教育大学附属教育工学センター)

『 Visualization of paths of chemical reactions 』

The OHPCoveトhead‑projector) transparencies materials of chemical education have been made. The motion of molecules in chemical reactions is illustrated. Four units, guide for using molecular orbitals, the frontier‑electron theory, reaction paths, and the

solvent effect, are set up. A two‑day teaching plan is made, where materials of inst‑

ruction are organized. These have been applied to the training of high‑school teachers.

Key words : (1) Visualization of chemical reactions.

(2) frontier‑electron theory.

(3) molecular orbitals.

化学反応を分子の立場から理解できるOH P教材を作製した。 4つの単元、 (イ)分子軌道の基 礎、 (ロ)フロンティア電子論、卜)反応経路、 (ニ)溶媒効果を設定した。指導案を作成し、 OHP教 材の流れを系統化した。現職教員(高校化学)に対し.集中講義の中で、教材を実践利用した。

(序)化抑現象において、原子分子の挙動が最も基本的なデータを与えることはよく知られ ている。ところが、化学教育において巨視的現象と微視的世界の橋渡しが、現在のところ充分 とは言えない。後者には、まだ、未知の要素が多いこと、およびこのテーマの教材が不足して いることの2つが原因と思われる。

近年のマイクロコンピュータの発達、ビデオテープ、オーバー‑ッドプロジェクター(OH p)等の視聴覚機器の普及はめざましい。化学教育の方法論を変革(又は混乱)させる勢いで ある。しかし、原子分子の世界が実際に見ることができない以上、これらの機器を使った視覚 教柳ま意味があると考えられる。実験の代用のシミュレーションといった便法ではなく、本質 的な必要性がある。本研究では、難解と言われる義子化学、特にフロンティア電子論を扱うO

このテーマを、いかに学部学生、ひいては現職教員にわかり易く教えられるかを考え、いくつ かのOHP教材を作成した。教材を作るにあたり、なぜ、フロンティア電子論を学ばねばなら ないかの必然性を強調した。古典的な有機電子論が反応の配向性予測に破綻をきたす例を挙げ、

必要性を示すD

上記、橋渡しのテーマを「化学反応を分子の立場から見る」とし、教材の流れを紹介して

(3)

山 辺 信 一

いく。指導案を解説o次の4つの単元から構成されている。

(イ)分子の三次元的構造と、その電荷分布の定量的表現

‑分子軌道(MO)法の基礎の講習‑

(D)フロンティア電子論による化学反応性の予測 (A)化学反応の道筋とェネルギ‑変化

(ニ)反応において、溶媒分子はどのように振る舞うか。

(指導案と教材)

表1に、 2日間で、 4つの単元を消化するための指導案を示す。

1日目     表1 2日間での「化学反応を分子の立場から見る」指導案

日 時 7、 利 用 器 具

10 ‥0 0 化 学 的 結 合 、分 子 間 結 合 の 視覚 ビデ オ テ ープ

水 分 子 2 等 辺 3 角 形 V S . A M 的 表 現 序 論 に か え て‑ (ス ラ イ ド)

1 1 ‥0 0

1 3 ‥0 0

15 ‥30

ル イ ス の 点 電 子 式 か ら電 子 分布 テキス ト、前 半

O H P ヘ の 定 量 化 図 1

電子 分 布 図 に対 す る学 生 の 印 象

分 子 を球 で あ らわ す 共 有 結 合 と は何 か 結 合 に沿 う電 荷 の 偏 り

個 々 の分 子 の電 子 状 態 で 決 分子 軌道 法 で 何が わ か るか ? 当 日渡 しの レ

図 2

原子 軌 道 の形

ジメ

当 日渡 しレジメ

ま る物 理 量 は は ぼ 定 量 的 に 再 現 で き る

M 0 の 士の符 号 の 不 定 性 水 分 子 の 分子 軌道 (M O ) の出 当 日渡 しの リ

力 の説 明 図 3

分 子 軌 道 計 算 の 手順

ス トお よ び レ 固 有 ベ ク トル よ り電 荷 分 布 ジ メ

0 H P

を計 算 電 卓 計 算

S P 2 混 成 と7E 軌 道 の 由来

3 重 項 分 子 の 由 来 ア ンモ ニ ア の M 0 の形 図 4

( X 、 y 、Z 座 標 の作 り方 )

エ チ レ ン の M 0

( 0 結合 と E 結 合 の分 離 ) 6 結 合 と 7E 結 合 の 相 違

人 間 に と って 、 なぜ 酸 素 分 子 が 必 要 か ?

標準 結 合 距 離 、角 度 結 合 エ ネル ギ ー

当 日渡 しレジメ

テキ ス ト図 当 日渡 しレジメ

当 日渡 しレジメ 当 日渡 しレジメ

‑ 34 ‑

(4)

日 時 】 利 用 器 具 10 ‥0 0 7 n ン テ ィ ア 電 子 論

A M ナ フ 夕 レ ンへ の N O , の 親 電 子 付 加

トル エ ンへ の N 0 2 十付 加

い ろ い ろ な 共 役 化 合 物 へ の 陽 イ オ ン の 攻 撃 場 所

プ ロ ピ レ ンへ の臭 化 水 素 の 親 電 子 的 付 加

塩 化 ア ン モ ニ ウ ム の 生 成 過 程

塩 化 エ テ ル を 基 質 と し た S N 2 、 板 書

O H P

板 書

0 H P

M a r K o w n iK o v 付 加

7r 電 子 系 よ り 0 電 子 系 へ の 板 書

板 書

拡 張

『C H , C O C I + C I 一 E 2 反 応 0

基 質 で の L U M O の ひ ろ が り 方 図 5

S N 2 反 応 で の 背 面 攻 撃 で の 理

O H P

当 日 渡 し の

13 ‥00 塩 化 ア セ チ ル ヘ の 陰 イ オ ンへ の 1 > * 0 H P

0 H P

求 核 置 換 反 応 一→ C H 3C O C I + C I一 』 を 板 書

不 飽 和 炭 素 上 の 求 核 置 換 反

(表1続く)

(5)

山 m iJ̀  ・

エチレン十エチレン シクロブタン エチレン+ブタジエン‑→シクロへキ セン

ブタジェンごシクロブテン

化学反応の経路 H2+L‑2HI

フツ化ビニル‑HF+アセチレン 安定水分子のエネルギー曲面 f∃CNごHNCのエネルギ‑曲面 SN 2反応のエネルギー曲面 図6

「遷移状態」の重要性 反応の速さ

生成物の予測

f]2十I2‑2HI に戻って 反応における溶媒効果

水素結合とは

水分子の水素結合   図7 水の1‑4量体

水溶液中の水分子

水中プロトン移動の例,炭酸生成 中和滴定   図 ‑10 酸触媒によるエステルの加水分解

気相と液相SN 2反応の比較 さらに分子軌道法について知り たい人へ

板書

板書 OH P OH P OH P Of]P テキスト後半

板書

OH P

板書 OH P テキスト図 OH P

ビデオ OH P OH P OH P

化学反応のエネルギー変化

反応速度論 熱 力 学

Y‑H‑X

表1おわり 以上の項目を、数式を使わず、 OHPやビデオテープを用いて、視覚的に解説する.

分子の電子状態の解析こそが化学反応性予測の鍵であり、各個反応における公約数を兄い 出す手段である。授業では、この点を詳しく述べる。学部で上の4つの単元を履習する目的や

‑ 36 ‑

(6)

『化学反応の経路の視覚教材化』

意味が示されなければならない。次の太かっこ内「 」の文章が指導案における導入部である。

「高校「化学」の教科書を見る。我々の高校時代(約20年前)と内容的にはあまり変化が ない。暗記物か9当量の計算問韻という印象を受ける。一方、最近の量子化学の発達で、分子 の構造や反応の過程をミクロに調べることが可能になってきた。ミクOとは,分子集団として の巨視的挙動と対極をなし、個々の分子の電子状態や反応性を指す言葉である。少しずつでは あるが、高校化学にも量子化学的項目が浸透しはじめている。しかし、依然として、反応式と 実際の反応の起こり方の記述の問にギャップがあるようである。量子化学的考え方を用いて、

このギャップをうすめることが必要である。高校「化学」の各論的記述を避け.系統的な物の 見方を育成するために。」

教材の中味)

表1にビデオテープやスライドも使用されているが、ここではOH Pシートと配布プリン トを一部紹介。表1の1日目の朝、 「ルイスの点電子式から電子分布への定量化」の項目が 扱われる。区1 1が例として挙げられるO電子に分子軌道の属性を与える。古典的な点電子式と の対応が付け易いフッ化水素分子が用いられたO数式を使わず、分子軌道法のイメージが湧く よう配慮したO次にXI2をプリントとして配布し、分子軌道法の応用範囲を述べた(下図、板書)。

1日目牛後の後半、分子軌道計算を各受講生に諜する。この演習で生の数値を見て,感覚を持

[

たせる。以上、単元(イ)での分子軌道に慣れることを大まかに述べた。ここでの教育上のポイン トは、出てきた数値に化学的な意味をきっちり与えることである。無味乾燥の数字の大小が、

どのように判読されるかを教えること、これが以後の教育の効果を左右すると言っても過言で はない。例えば、図3の水分子、図4のアンモニア分子の分子軌道について,固有ベクトルと いう数値と空間的ひろがりを対応させて説明。フロンティア電子論への大事な伏線である。

表1の2日目から第2単元ロ)フロンティア電子諭である。分子軌道の3次元的ひろがりを 見慣れた段階で、化学反応経路との相関を説明する。例えは図5 0有機化学での基本的反応、

2分子求核置換(SN2)反応と2分子脱離(E2)反応を扱っている。両反応が異なった場 所で競争的に起こることがはっきりわかる。基質の塩化エチル(クロロユタy)の最低空分子 軌道(LUMO)で反応方向が予測できることである。フロンティア電子論を通じて、反応経路 の概念育成が目的となる。有機化学におけるフロンティア電子論の意義は特にていねいに説明 した。付録で講義ノートを紹介する。

2日目午後から、単元1,、)に移る。化学反応の道筋に関する視覚教材の呈示である.例えば

(7)

山 辺 信 一

図6。同じようなポテンシァルエネルギー曲面が描いてある(コンピュータのプロッターを用 いた)が差がある。安定構造は、曲面上でいずれの方向にもェネルギ一極小位置。対して、遷 移状態は、反応進行方向にのみ極大的で、残りの自由度については極小位置となっている。反 応経路は、あたかもボブスレー雪ぞり競技のルートの如しと説明した0

2日目最後が単元(ニ)溶媒効果である。水素結合の基本単位を図7で解説した。水溶液中で の水分子の挙動での大きな特徴を力説した。水素結合と共有結合の変わり身の速さである。そ して、水溶中では反応物質同志の間に存在する水分子が関与してくる例を挙げたo図8では、

炭酸H,CO 生成過程を図式化した。水分子の水素結合の鎖に二酸化炭素分子が巧みに関与し てくる。図9は、酸触媒下のエステルの加水分解反応の機構。気体反応と水溶液反応の相違が 決定的となる例である。本質的には不飽和炭素上の求核置換反応であるが、ここでも水分子の 関与の仕方は芸術的である。最後に、酸とアルカリの中和滴定中の模様、図10。プロトンが火 事場でのバケツリレーの如く水溶液中を伝達することがわかる。化学反応における溶媒効果は 2つある。 1つは、水分子間での容易なプロトン移動、 2つ目は静電場(クーロンポテンシァ ル)によるエネルギー的安定化である0

2日間にわたり、分子軌道法の考え方から、それを用いた反応経路、エネルギー変化を説 明したことになる。・経路決定の先導役がフロンティア電子論であった。

図1 7ッ化水素HF分子中の電子。共有結合(2(7) 、非共有電子対(30、 l7r、l方) を示す分子軌道。

∋蜜舶(LoHo}

38

(8)

図2 分子軌道法で何がわかるか?

定量的な面(実測データと比較できる量を算出) (イ)分子の平衡構造O結合距離と結合角

CI

実測構造に対し、はば士0.03A、士50の精度で求まる。

(ロ)赤外スペクトルの基準振動数

(ハ)双極子能率(分子内の電荷の偏り程度を示す) 例 H,O 実測1.84 Debye

計算2.18 Debye (最高精度で1.85 Debye) (ニ)エネルギー差 △Ho 、活性化エネルギー(気体反応)

十 ‑‑H20

H30 ‑

△H0‑‑35.5kcaレhol △Sニー28.8cal/mol K (実測△H ‑‑35.Okcaレ'mol △S ‑‑30.2 cal/mol K) (ホ)イオン化ポテンシャル   A‑A±+e‑

士10%内の誤差で実測値を再現できる。

(Koopmansの定理では、 HOMO準位のエネルギーの逆符号) (へ)励起エネルギー (n‑7㌔、 7r‑**)

反応性の予測

(卜)フロンティア電子論により、反応生成物を予言。

(チ)フロンティア電子論やWoodward‑Hoffmann則により、おおまかな反応の道筋がわ かる。

図3 水分子の分子軌道

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(9)

山 辺 信 一

図4 アンモニア分子の分子軌道

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箸 5 2 ) H 5 0 .3 5 ̀.7 0 0 0 0 0 ‑ O .i 5 5 1 ‑ 0 .1 6 A 0

‑ 0 . 1 6 4 0

‑ 0 .1 2 5 0 ‑ 0 .5 9 B 8 ‑ 0 ,0 0 0 0

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/ (<*) H 5 0 .3 5 4 7 0 .<( 8 0 7 0 .2 7 7 6 ‑ 0 .1 6 も0 ‑ 0 . 4 2 5 0 0 .2 9 'M ‑ 0 .5 1 8 6

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‑0.380P750

‑0.380P750   ‑0,4670380    0.‑6103200

‑0.3SO?750   ‑0,4678380   ‑0.8103200

アンモニア

(咽亀子曾咽)

= T   P H

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図5 反応基質、塩化エチルのLUMOの形。求核反応SN2とE2が競争的に起こることが :いか'0,‑>

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(10)

『化学反応の経路の視覚教株化』

図6 安定構造と遷移状態の差の定量的表現

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図7 水の2量体、ホルムアルデヒド‑OH2内での水素結合による電荷分布の変化。

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(11)

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図8 二酸化炭素が水中に溶けると炭酸H2CO;が生成

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図9 酢酸エチルエステルの加水分解。水と少量の酸を加えて熱する0 CH3COOC2H,+H,0ごCH3COOH+C,H.OH

H

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動を増大させる。

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脱プロトン化、試薬H20‑()H IIOMO上昇o求根性高まるO

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(12)

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図10 酸性水溶液にアルカリが滴下された時 H,0 とOH の問にある3個の水分子が分子 振動を起こして、プロトン移動をもたらす。 H +OH一一H20の姿

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(受講生の反響と今後の展望)

昭和60年度に、前節の教材を用いた集中講義を行った。受講者35名に、高校化学の教諭17 名、大学教員5名が含まれている。終了後、講義内容に関するアンケート資料を配布した。 29 名の回答が得られた。表2である。作成された教材については、おおむね好意的と言える。し かし、受講生も化学のプロであり、 Na17、 Na28のような批判があった。全体として、指導案で 教材間のつながりを計ったつもりであったが、まだ各論的な箇所が残っているようである。反 省材料である。

学部授業で、この(イ)、 (ロ)、い、)、 (ニ)の4つの嘩元を展開するにあたり、次のいくつかの課題 が解決されなければならない。

(1)受講者が一般化学に精通していない場合、現展開では項目同志が離散し過ぎる。補助教 材を作成し、話の糸口をつける必要がある。

(2)オリジナルOH P教材のみでは半期15過分として不足。既製の教材も含め、指導案上で、

それらを有機的につなぐ。すなわち、教材利用の系統化を一層工夫しなければならない。

(3)化学反応が時間とともに進行する動的過程の表現。マイクロコンピュータ・ソフトウエ ア開発である。

本研究では、従来見られなかった独自の単元を設定し、それらの内容に沿ったOH P教材 を作製した。化学教育における致命傷、各論‑暗記物を治療することを理想に掲げた。単なる 対症療法で終わるか、根本治療の道具となれるか、現象‑原子分子の挙動間橋渡し教材の任務 は重大である。

(13)

甥 SH^B

表2 受講生の講義内容に関する反響

『化学反応を分子の立場から見る』

〔欄中、 ♯MOとはMolecular orbital、分子軌道のこと〕

N0. 年 令 興 味 を 持 った 単元

1 3 1 C N D O M O 書の 実験 他 所 で 聞 けな い話 で 有 意 義 で あ った 0 o

3

4

5 2 8

3 3

4 8

5 2

フロ ンテ ィア電 子 論

反 応 に お け る溶 媒 分 子 の 振 舞

M o 注

量子 化 学 計 算 結 果 を イ メ ー ジ化 した点 フロンティア電 子 密 度

理解 し易 い講 義 0 薬 剤 な どの 、 も う少 し複 雑 な化 合 物 の 計 算例 を紹 介 しろ○

あ らか じめ 、資 料 を 配 布 して お いて 欲 しい 0 6

7 24

>')

溶 媒 分 子 の 動 き M 0 法 に つ いて 、 ほ とん ど知 らなか った が 、 基 本 的 な 実 際 の M 0 計 算 事 柄 が よ くわ か り、良 か った 0

フロンティア電 子 密 度 も つ と話 題 を しぼ つて 、詳 しい議 論 を せ よ 0 8 28 溶媒 分 子 の 動 き M 0 法 の講 義 を も つ とふ やせ 0

9 54 化 学 反 応 の 実 像

フ ロ ンテ ィア 電 子 論

M 0 計 算 の意 味 が よ くわ か っ た0

10 2 6 0 H P 教 材 の コ ピー を配 布 しろ 0

,

ll 3 1 わ か り易 く、 と て も参 考 にな った0

12 34 溶 媒 分 子 の 振 る舞 い 化 学 に お け る パ ソ コ ン利 用 の演 習 を入 れ よ 0 13

14 15 16

3 5

4 7 58 L'8

M 0 法 講 義 の ス ピ ー ドが ゆ っ くりで 、 て いね いで あ っ て理 解 フ ロ ン テ ィ ア電 子 諭 し易 か った 0

初 心 者 に わ か り易 か った 0

溶 媒 分 子 の振 る舞 い

フ ロ ンテ ィア 電 子 論 有 意 義 な講 義 で あ った 0 17

18 38

5 2

溶 媒 分子 の 働 き M 0 法 の概 要 と応 用 例 、 大 変 わ か り易 か った 0 応 用 の例 の箇 所 、走 り過 ぎ0

M 0 .法 む つ か しか つた けど 、良 か った 溶 媒 分 子 の振 る舞 い0

‑ 44 ‑

(14)

分子の3次元的構造 溶媒分子の振る舞い 化学反応の道筋

フロンティア電子論 化学反応の道筋 溶媒分子の振る舞い M Oil;

中和と水素結合

MO渡

フロンティア電子論 溶媒分子の振る舞い MO法による生成物予測 水素結合

反応における水分子 3111巳

MO渡

フロンティア電子論

反応における溶媒分 子の振る舞い

CNDO MO計算良かった。0王jPビデオを使った説明 たいへん、わかり易かった。

OH Pの資料はコピーして、配布しろ。

左の2つの項目、非常に良かった。

むつかしい量子化学の式がなく、理解し易かった。

これからも、化学分野での進歩しているテーマを講義 せよ。現場にいると、それに暗くなってしまうから。

きわめてわかり易く、計算の位置づけができた。計算 に接近する最適の方法である。

化学反応をもっと詳しく。 MO計算の原理が不明。

計算結果の精度がわからない。

現場教師は『化学における基礎とは何か?』と日頃か ら悩んでおる。

一般論が多く、不充分。数式を入れるか、視覚教材 (VTR、マイコンシミュレーション)をもっと含め よ。今回の内容はどっちつかずであった。

(付 録)

講義ノート『有機化学におけるフロンティア電子論の意義』

有機化学の研究として、新しい化合物の合成と得られた化合物の構造式を決めることがあ る。もし、 2つの反応物質を与えて、何が合成されるかを予知できれば素晴しい。実験をせず に、化合物を予測できれば、実験計画がかなり能率的になる。合成に伴う経験的要素を減らす ことの意義は言うまでもない。

有機化学者の持つ"センス"に分子軌道的概念が入れば、この方向に沿った大きな前進が あるだろう。現在はこの変革進行中であり、武器としての分子軌道法は是非とも習得されなけ ればならない。ここでは、軌道概念を用いる強力武器、フロンティア電子論を解説する。なぜ、

この理論を用いなければならないかを、有機電子論と比較しながら、考えていく。

(15)

山 辺 信 一

ナフタレン分子のどこにNO;が付くか?

ナフタレン(Cio H8 )は平面分子であり、 10個の花電子を持つ。 10個の炭素はすべて3つ

魁◎ry;¥‑蝣in

のSp2混成軌道を作り、その1個が水素のl o軌道と、

他の2つは別の隣接炭素原子とo結合でつながっている.

よって、 10個のn:電子は、それぞれの炭素でSp2混成か ら‑ミ出た電子が分子面に垂直な方向にひろがっている。

2 この共役系が打MOを構成する。花MOより計算された 各炭素上の7r電荷密度はイチである。つまり、中性分子 のナフタレン骨格上では、提供された1個分の電子が7E MO形成の洗礼を受けても、そのまま据え置き(1.0)

となる。電荷密度に差がないとするならば、陽イオン、

陰イオン(Ⅹ士)はどこを攻撃するのだろうか?置換反 応を考えれば、 1位か2位かの判断である。

有機電子論では、 X+は陰イオン性の場所、 X‑は陽 イオン性の場所を攻撃するという。だとすれば、中性炭 素しかない場合、 1、 2双方置換の生成物が50%ずっ得 られるのか?実験結果を見る0 1位置換体が、 Ⅹ+、 Xl 両方とも主生成物であった.これは一見、奇妙な話であ る。 Ⅹ十が好む場所tが、何故、 Ⅹ  によっても攻めら れるのか?有機電子論では、この実験データ説明不可能。

ナフタレンの花分子軌道 一三 軌通ノ

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○であらわされた10個の∬電子が下から(1)、

(2)、 (3)、 (4)、 (5)番目まで、 2個ずつ詰められて いるO よって、 aF電子密度を求める際、(6)、 (7)、

(8)、 (9)、 80)の空のMOは無視される。

さて、前ページで、各炭素上7r電子密度はす べてイチであると述べた。

前ページ、 MO (固有ベクトル)の表より導 出された値である。

例えば、 1の炭素上の3r電子密度

(1)      (2)     (3)

‑((‑0.300552)2+ (0.262866? + (0.399586)

(4)      (5)

+ ( 0.0000007 + (0.425325)う×2 ‑1.000000

HOMO

大かっこの後に2を挽けてあるのは、 (1上(2上一一(51の各MOに2個の電子が入っている分。

同様に、炭素2上の 電子密度

(1)   12)   13)   (4)   15)

‑ 〔(輔.230701)2十(0,425325)十(0.173524)"+ (0.408248)十(0.262866) ]×2‑1.000000

このような計算で、 1、 2、 3、 4‑ ・10すべての炭素上の7r電子密匿が1.0となってしま った。これでは、 Xつまどの炭素を攻撃してよいかわからない。今の計算で1つひっかかると ころがある。 (1上(2)、 (3)、 (4)、 (5)のMOの電子密度が平等に加えられていた。 (l)MOの電子と (5)MOのそれは平等だろうか?上のエネルギー準位の図を見返すc MO(1)に入った電子は

原子核に強く引っぼられ、内側の軌道をまわっている。他方、 MO(5)の電子は原子核からの 束ぼくを弱くしか感ぜず、外側の軌道をまわっている。陽イオンX十が接近した時、当然、外 側の軌道の電子の方が強く影響を受けるはずである。ならば、 1番外側をまわる軌道、 HOMO の空間的ひろがりがX十の接近する場所を決めるのではないか(1)、 (2上(3)、 (4)、 (5)のMO係 数の二乗の和をとることをやめて、 (5)のHOMOの2乗のみを1 、 2、で比較する。

(5)、つまりhomo:

(0.425325) × 2

明らかにtの77電子密度の方が大きい0 7r電子密度とし て、 (1)、 (2)、一一(5)の各MO係数の二乗の和をとらないと、

隠れてしまっていた、 1と2の差があらわれた。

0.262866fx 2   X十の接近に最も敏感なHOMO(5)の2個の電子を問題と した。特定の軌道の空間的ひろがりを見れば、実験結果と 対応した傾向が得られるのである。電荷密度計算の過程で の和をとる操作を怠ると、フロンティア電子論があらわれることは劇的であった。電荷密度計 算の際の、不合理な平等加算を疑問視し、思いきってHOMOの2個の電子のみがⅩ+との共有 結合形成に関与すると考えたのであった10個の電子にはMOで区分された、 (1上(2)、(3)I(4) 、 (5)のエネルギー的ランクがある。このランクを尊重し、最も活性な電子が所属するHOMOの空

(17)

山 辺 信 一

問的ひろがりを問題とした。これは化学的に健全な発想であった。

さて、次に陰イオンⅩ もtを攻撃する実験結果はどう 説明されるか?

求核試薬Ⅹ は、相手分子に電子密度を与えたい。 MO で言えば、相手のナフタレン分子の空軌道が、その電子密 度を受け入れる。最も受け取りたがっているMOはどれか?

前ページのエネルギー準位の図を物る(6)番目のLUMO

ナブタレンの

1‑‑79V 5*1it 0 0 ‑HOMO

xLl

(6)LUMOが、空軌道の中では最も低位置にあり、 ⅩJの電子飛来を 受け止め易い。 (9)ゃoo)番目の準位まで、電子が飛びあがる

場 所 (6 )、 つ ま り L U M O

( ‑ 0 .4 2 5 3 2 5 ) × 2

2 ( 0 .2 6 2 8 6 6 ) × 2

仕事はしんとし一、.よって、 LUMOの空間的ひろがりを調 べて、それの大きい場所をさがす。そこが、 XTの到来を 最も歓迎するだろう。前々ページの固有ベクトルを見る。

(6)のLUMOでの電荷密度を1と2の場所で比較。前ペー ジのHOMOでの比較と同様の計算。結果、やはり1 >2 の傾向。つまりⅩ は分子面に垂直な方向から接近するが、

1を突撃。前ページでは、電子密度を求める際、 (6)、 (7)、

(8)、 (9)、 nO)の空のMOは除外された。意味がないと思われ た空軌道の中で、 LUMOが有機化学的に重要な指標を含 んでいた。求核反応を受ける反応基質での選択性を決める ことである。有機電子論がgive up した、実験事実をフロ ンティア電子論が見事に説明する経過を見た。すなわち、

陰イオンも陽イオンも好んでナフタレンの共通場所1を攻 撃してもおかしくはない LUMOもHOMOもそれぞれ、

Ⅹ二Ⅹ+の接近を1の場所で歓迎する。電子に軌道という属性を与えたために出現したフロン ティア電子論の世界である。

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参照

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