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雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告

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社会科学習における統計教材の作成のためのパーソ ナルコンピューターの利用

著者 淡野 明彦

雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告

巻 7

ページ 29‑40

発行年 1984‑03‑16

その他のタイトル Utilization of Personal Computers for Drawing Statistical Graphs on Social Studies

URL http://hdl.handle.net/10105/4595

(2)

パーソナルコンビュ‑タ‑の利用

淡 野 明 彦(社会科教育教室)

Utilization of Personal Computers for Drawing Statistical Graphs on Social Studies

by

AKIHIKO TANNO (Department of Social Studies) Abstract

In the present paper, the author will try to utilize personal computers for drawing statistic‑

al graphs. It is important to understand social statistical data on social studies. We must have technical skills to draw statistical graphs, but this matter is a troublesome work.

Realizing this point, the author commenced a study of this subject. First, the main point is the programming for statistical graphs on our own. Nowadays, devices are improved and development of programms make progress. As a result, it is easy to draw statistical graphs by using personal computers.

Key words: Personal Computer, Drawing Statistical Graphs.

I はじめに

社会科教育の究極的な目標は、社会生活についての正しい理解を深め、民主的な国家、社会の 成員として必要な公民的資質を養うことにあるが、その目標の達成を図るための手段として、教 授方法、授業構成、教材構成などについて種々な検討が加えられてきた。社会科の学習対象は社 会的事象であり、それをこども自らが正しくとらえることが社会科の学習の第一歩である。断片 的・一方的な知識の注入を排し、こどもの生活経験にねぎし真にこどもが生きていくうえでの力 量を養うには、現実の社会的事象を適確にとらえ教材が構成される必要がある。社会的事象を正

しくかつ身近なものとしてとらえる具体的手段として、社会的事象の観察、具体的資料・基礎的 資料の活用が既に行なわれている。資料としては、図書、パンフレット、文献などの文書資料、

映画、テレビ、スライドなどの視聴覚資料、統計表、統計図表などの統計的資料および現物、模 型、標本などの資料(文部省1978)が活用されているO なかでも、統計的資料の活用は単に社 会科教育の目標を達成するための手段としてだけでなく、社会的事象を法則的・構造的にとらえ る能力を育成するという面からも重要なものである。 (朝倉隆太郎1972)。

統計的資料の活用の能力の育成には、統計的な見方や処理のしかたについての技能を養う必要

があるが、そのためにはまず教師が統計的資料を教材化できる能力をもたねばならない。しかし、

(3)

現実には社会科を担当する教師のすべてが大学等の教員養成機関において統計に関する専門的教 育を受けてきたわけではなく、統計的資料の収集の方法や統計図表の作成について全くの素人で あることは稀ではない。また、筆者の経験や本学出身の教師からの見開では、就職後に専門的な 研修を受ける機会も日常の繁忙なスケジュールの中で物理的にみて乏しい。近年、OA化と称し

て官公庁や会社の事務部門のコンピューターなどによる機械化が進み、業務の能率向上が図られ ている。教育現場ではLL装置、アナライザーなどこども用の教具面での機器の導入は進められ てきたが、教師の業務用の機器の導入は遅れている。機械的に処理できる業務は、その処理にふ さわしい機器に委ねる工夫を図らねばならない。

本稿は社会科学習における統計教材の作成にあたって、小学校を例としてパーソナルコンピュ ーターの利用について検討することを目的とする。

Ⅱ 社会科学習における統計的資料の活用

小学校の社会科学習における統計的資料の活用は、昭和55年4月1日から実施された現行の学 習指導要領(文部省1977)によれば、第3学年から第6学年までの各学年につぎのようにうた われている。

〔第3学年〕

1.目標

(2)地域社会における社会的事象を具体的に活用させるとともに、地図その他の具体的資料を効果的に 活用させる。

〔第4学年〕

1.目標

(3)地域社会における社会的事象を具体的に活用させるとともに、具体的資料の特徴を考えながら効果 的に活用させる。

〔第5学年〕

1.目標

(3)国土の自然環境や社会的事象についての基礎的資料を効果的に活用させる。

〔第6学年〕

1.目標

(3)我が国の歴史や国民生活に関する基礎的資料を効果的に活用させる。

3、4年生では、いわゆる「地域学習」が行なわれ、「具体的資料」とは各学年の目標、内容 の達成に必要な資料を指しており、特別に幾つかの資料に限定しているわけではないが、例えば 3年生の内容(2)の自分たちの市(町、村)の生産活動、(3)の自分たちの市(町、村)の商店街の はたらき、の学習においては、産業別人口、土地利用、農家数、工場数、農業および工業生産高、

商品販売額などの統計を教材とすることにより、地域の社会的事象の実態にせまることができる。

5、6年生では「基礎的資料」という表現が用いられているが、3、4年生の「具体的資料」と

異なる資料ではなく、各学年の目標、内容のねらいを達成するにあたり、精選された不可欠な具

体的な資料の意味であると解釈できる。5年生では内容(1)の我が国の農業や水産業の現状、(2)の

我が国の工業の現状、の学習において国内の産業に関して、6年生では目標(3)に関連して国民生

活に関して、それぞれ統計的資料が必要である。

(4)

統計データから統計図表を作成したり、それらを読んだりするには、算数の学習との関連が考 慮されねばならない。算数における統計に関する学習は、指導要領では<数量関係>として第3

〜6学年の内容において扱われている(表1)。

第1表 小学校学習指導要領算数の<数量関係>の各学年の内容 学年   内容

(2)資料や表やグラフで分かりやすく表したり、それらを読んだりすることができるよう にする。

ィ,棒グラフのよみ方及びかき方を知る。

(3)目的に応じて資料を集め、分類整理したり、特徴を調べたりする能力を伸ばす。

ウ.資料を棒グラフや折れ線グラフに表したり、グラフから特徴や傾向を調べたりする。

(4)目的に応じて資料を分類整理し、それを円グラフ、帯グラフなどを用いて表すことが できるようにする。

(3)簡単な場合についての資料の散らばりを調べるなど、統計的に考察したり表現したりす る能力を一一層のばす。

ア.度数分布を表す表やグラフについて知ること。

ィ.表やグラフを目的に応じて適切に選んだり、便利なものを工夫して作ったりすること。

文部省(1977):『小学校学習指導要領』より抜粋 指導要領に基づき社会科と算数の学習内容を対応させると、少なくともつぎのような異体的な 統計資料を用いた学習が行なわれる。

3年 自分たちの市(町、村)

生産活動 商店街のはたらき

県(都、道、府)内の自然条件が異なる地域 生活の様子

4年 自分たちの市(町、村)

県(都、道、府)

資源(水資源、エネルギー資源)

廃棄物 災害

気候や地形の条件からみて国内の特色ある地域 生活の様子

5年 我が国

農業や水産業の現状 工業の現状

気候、資源の分布、交通網など 6年 我が国

歴史 国民生活 世界の国々

貿易

ヽl︑    −    ..1−ノ

→棒グラフ 書く 読む

ー→資料 収集→棒グラフ、折れ線グラフ 分類整理  書く

調べる

ト資料分類整理→≡そ‡三

分類整理一一一>円グラフ、

度数分布を表す表やグラフ 知る 表やグラフ 選ぶ

作る

(5)

物理的な作業としては、データの収集、分類整理、表や棒グラフ等の図の作成がある。最終的 にはこどもがこの一連の作業を行なうことにより、統計的資料による社会的事象の実態にせまる わけであるが、教師がまず第一にこの一連の作業に取り組み、効果的な統計教材をこどもに提示 しなければならない。教科書にはそれぞれの学習内容に必要な統計的資料が体裁よく掲載されて いるが、p必ずしもその地域や学校およびこどもの実態に合致したものとはいえず、むしろ「見本」

的な場合が多い。より地域の実態にせまる学習を行なううえにおいては、その地域に的確な統計的 資料が必要とされることが多い。

Ⅲ 統計教材作成のためのパーソナルコンピューターの利用

統計教材の作成には第1図に示すステップがある(Cuff D.J,&Mattson M.T,1982)。

社会的事象轟轟掛デや車檜図表の作成■檜図・表 躊鵜会芸事霊

:::::::▼:::::::

データーの選択

〝  吟味

:::::::::::▼:::::::::

技術(教師・こども)

レイアウト・構成

第1図 統計教材の作成のステップ

統計に関する専門的な知識や技術は、①学習の対象とする社会的事象をどんなデータでとらえ るかというデータの選択と吟味、②データをいかに図表に加工して表現するか、③作成した図表 をいかに活用するか、の各段階で必要である。1960年代からCAI(Computer AssistedIns卜 ruction)システムが考えられ、算数や理科において個別処方的教授の方法としてコンピューター を利用する試みがなされ、論理的思考や原理・原則を学ぶうえでの効果が指摘されてきた。しか し、社会科では学習対象とする社会的事象が複雑であり、算数や理科との思考形態が異なること から、CAIシステムはなじみにくい。社会科でのコンピューターの利用は、現時点ではデータ の管理や図表の作成などの技術面でのサポートについてであり、主に⑧の段階において効果的な ものであると考えられる。かっては一般には手のとどかなかったコンピューターも、今では100 万円程度の費用で実務にたえるパーソナルコンピューターが普及し、教育現場でも徐々に導入さ れるようになってきた。

データからの図表の作成には、基本的な知識と技術および用貝・道具が必要である(第2表)。

こうした知識や技術を習得しつつ、同時に技術の未熟さと用具・道具の不備を補い、図表の作成 ができる方法をパーソナルコンピューターに求めることができれば便利である。

32

(6)

第2表 データからの図表の作成における基本的な知識と技術および用具・道具 項目/図表  全体       例 棒グラフ   例 折れ線グラフ    例 円グラフ 知識    ふさわしい鴎表   単純比較の概念  時系列比較の概念    割合比較の概念

の選択 座標の概念

技術    横軸、縦軸の目盛  零線の設定    零線の設定 円サイズの設定 り方        横と縦の釣合   横と縦の釣合      分割の度合 線の画き方     棒の画き方    線の選択、結び方

ハッチング 表題などの文字の 位置

彩色

格子線、水準線の設定

用具・遺貝 紙、直定規、曲定規、物差し、コンパス、分度器、製図用ペン、ハッチング用シート、

レタリング用シール、その他

(注)例.のグラフの作図に必要な知識や技術は、特に固有に要求されるものである。

1)自作プログラムによる図表の作成

筆者の研究室では昭和56年2月から8ビットのパーソナルコンピューター(富士通FM18)

を設置し、西本修明(1983)とともに図表の作成のためのプログラミングを試みた(第2図)。

(MB 27601)

第2図 システムのブロックダイヤフラム

この時期はソフトウェアの十分な裏付けがないままに、ハードウェアが出回るという状態であ ったため、われわれはパーソナルコンピューターに関する基礎的な学習から始め、これまでの手 書きによる図表の作成の経験をもとに、試行錯誤のなかでプログラミングを行なった。その成果

として・・GRAPH とネ,ミングした作図用プログラムを作成した。2) GRAPH はCRT画面との 対話形式で、作図に必要なデータを画面の表示に従って入力していくと、棒グラフ、折れ線グラ

フ、帯グラフ、円グラフのいずれかがプリンターにより措かれるというものである。プログラム

(7)

の概要を示す(第3図)。

データ等の入力に 関するプログラム 入力項目

データの入力方法の選択 キーボード

フロッピーディスク 図表の名称

項目数(/一一7)

項目の名称 表示の単位 データの訂正

プリンター出力の有無 データの保存の有無

作図プログラム

入力項目

作図グラフの選択 省略線の有無

Y軸の目盛の値 凡例の表示位置 図表の名称の表示位置

第3図  GRAPH の概要

プログラムは大きくは二つの部分から構成され、データ等の入力に関するプログラムと、作図 プログラムである。データ等の入力に関するプログラムは、図表のタイトルをカナ入力すること から始まり、数値データの項目数の設定によりCRT画面に数値データの入力に必要な罫線が引

かれ、数値データの入力により表を作成する。数値データは項目数(横)は最大7項目、各項目 に対応する時系列(または内訳)データ(縦)は最大20件まで入力可能である。既にフロッピー

ディスクにデータがファイルされている場合には、ファイル名の指定によりデータがロードされ、

表を作成し、表はハードコピーが可能で、この機能によりデータバンクとしても利用できる。画 面で作図に必要な入力データに誤りがないかを確認したならば、作図プログラムに移る。作図す る図の種類をメニュー画面により選択し、どの項目について作図するかを指示すると、それぞれ の図の作成に必要な項目の入力を画面で求めてくる。例えば棒グラフ(折れ線グラフもほぼ同様)

の場合には、Y軸の最大値をどこまで設定するか、Y軸の目盛の刻む間隔をどう設定するか、Y 軸の省略線を引くかどうか、などについて指示を与えると、画面に棒グラフが描かれる。Ⅹ軸に っいては、データの件数に応じてデータの表示位置、間隔および棒の幅が自動的に割り出される。最後 に、図のタイトルおよびデータ名の表示位置を設定すれば、棒グラフはできあがり、プリンター によりハードコピーが出力される(第4図)。作図サイズはCRT画面の表示幅を一定にした関 係から、データの最大値と最小値の差の大小やデーターの件数の多少に拘わらず、固定されてい

る。プログラム全体として、できる限り画面との対話形式で必要なデータの入力や指示を与える

方法をとっているため、ノヾ−ソナルコンピューターによる手書きに代る図表の作成という目的の

達成とともに、作図の初心者には図表の作成に必要な知識をも習得できる。問題点としては、パ

ーソナルコンピューターの容量の制約からメモリー節約のためにある程度のマルチステートメン

トを使用していることから、対話の方法に若干の慣熟を要すること、エラー処理のルーチンが不

完全なため、データ入力の途中でキーインを誤ればエラーを生じる場合があること、表題などに

用いる文字に漢字を表示させることが困難であることなどである。筆者らのプログラミング技術

(8)

第4図  GRAPH による棒グラフの作図例

(印刷の関係上、縮少している)

の不足を補い、さらにこのプログラムを使用しての作図の例の増加による使用にあたってのノウ ハウの収集により、プログラムの改良を試みる必要がある。

2) 市販プログラムによる図表の作成

昭和58年4月に16ビットのパーソナルコンピューター(ナショナルMy Brain3000)を設置し、

8ビット機と同様の課題を試みた。この機種はオペレーティングシステムとしてMS−DOSが使 用でき、BASICで日本語処理も可能で、8インチFDD2台を接続したことから、8ビット機に おけるハードウェアに起因する制約の多くは解決できる見通しがついた。さらに幸いなことには、

ソフトウェアの充実が進んだことから、 BG/M (Business Graphics for Microcomputers)

と名付けられた作図用ソフトウェアが市販された。3) BG/M,,は基本グラフが15種類、バリエー ションをも含めると52種類のグラフが、パーソナルコンピューターの操作に関する知識があれば プログラミングおよびコマンド不要で作図できるというもので、プログラミングの初歩から学習 し、長時間を費やして自作プログラムを開発したことからすれば画期的なソフトウェアである。

BG/M に必要なハードウェアの構成は第5図に示したが、MSqDOS上で動作し、日本語 表示による画面との対話形式で順次必要なデータを入力すれば、プリンターによる作図ができるま)

BG/M を使用して棒グラフを作成した。キーインの誤りがなければ5分程度で棒グラフ

が作成できる(第6図)。ほぼ同じステップにより、折れ線グラフ、円グラフを作成できる。こ

うした作業により明らかになった BG/M の作図にもたらす技術面での効果をみると(第3

表)、基本的技術の解決に優れており、作図の初心者に対してはデフォルト機能(自動的な値の

設定)やヘルプ機能(操作途中でステップが不明になったときのヘルプメッセージの表示)によ

りサポートし、熟練者には値が任意に設定できる融通性も備えている。作図するという目的を果

たすと同時に、作図についての基本的な技術の学習をも行うことができる。作図に用いた数値デ

ータ等や指定したグラフの仕様はファイルに保存が可能で、その後のデータの追加や削除および

仕様の変更が簡単に行なえることから、刻々と変化する社会的事象を最新のデータに基づき、作

図することが容易である芝)問題点としては、何よりも BG/M の利用に必要なハードウェア、

(9)

田や畑 店   銀行や市役所 工喝    工事場   そのはか

しごとのしゅるい

(昭和55年国勢調査)

第6図  BG/M による棒グラフの作図例

(印刷の関係上、縮少している)

(10)

第3表  BG/M の利用による図表作成の技術面での効果 図表作成の基本的技術

(全体)

横軸、縦軸の目盛り方 線の画き方

ハッチング

表題などの文字の位置 彩色

(棒グラフ、折れ線グラフ)

零線の設定 横と縦の釣合 棒の画き方

−    >−

 ̄    >

−   >

 ̄    >

1   ̄ >

−    >

>一

一   >

線の選択、結び方      一一一一一→

格子線、水準線       一→

(円グラフ)

円のサイズ 分割の度合

−    >

一  一 >

BG/Mの利用効果

開始値、終了値、間隔値の指定により自動設定 5種類から任意選択

8種類から選択(デフォルト指定では自動)

自動設定(漢字表示可能)

カラーCRT画面でのみ表示可能

開始値0を入力(途中の省略不可)

デフォルト値により自動設定

′′

5種類から選択(デフォルト指定では自動)

任意設定

1〜45mmまで任意(デフォルト値40)

最大10個まで可能

ソフトウエアの価格が合計で約130万円することである。棒グラフや折れ線グラフを作図するだ けのために、これだけの費用をかけることは適切ではないし、現実に各小学校での購入のための 予算措置は無理である。しかし、ハードウエアはマルチステーションとしての役割が可能で、ソ フトウェアにより日本語ワードプロセッサー、教務処理、成績処理、マルチプラン(簡易作表)

等の多種類の目的にも使用できるため、6)適切な利用計画が立案されれば各目的に応じたハードウ ェアを別個に購入するよりは経済的である。つぎの問題点は、自作プログラムでの作図と同様に 作図サイズがB5版大程度であり、個別に配付するには適した大きさであるが、掲示図表とする には小さすぎる。OHPフィルムにコピーして拡大投写する、拡大機能をもつコピー機械により 拡大図面にする、スライド作成機によりスライド化する、などの方法があるが、原図がドットマ

トリックスプリンターによるプリントのため、拡大により図表が不鮮明なものになる。この間題 の解決には、XYプロッターの利用が適するが、バージョンの制約等から現時点では無理があり、

またプログラムがロックされているため自作プログラムの追加も不可能である。

Ⅳ ま とめ

社会科学習の統計教材の作成にあたって、教師の統計図表に関する技術および労力をカノヾ−す る手段として、パーソナルコンピューターの利用について検討してきた経過を報告した。当初は、

筆者らによる8ビット機を用いた作図のための自作プログラムの開発を試みた。その成果とし ̄こ

GRAPH と名付けたプログラムを作成し、いくつかの問題点をもちながらも、小学校の統計

教材として必要な棒グラフなど四種類のグラフを、パーソナルコンピューターの専門的知識がな

(11)

くても、必要なデータ入力さえすればパーソナルコンピューターにより描くことを可能にした。

自作プログラムの開発の一方、ソフトウェアの充実により作図用プログラムが市販されるように なり、 BG/M と名付けられたプログラムを16ビット機を用いて試用を行なった。 BG/

M は、その操作の簡便さ、処理能力の速さなど、筆者らの自作プログラムでは現時点で不可能 な能力をもっており、統計教材の作成にとって優れたプログラムである。

自作プログラムの開発は、パーソナルコンピューターに関する基礎的な知識や技術を要し、し かもプログラミングには長時間がかかるという点で、個々の教師が行なうことには無理があり、

パーソナルコンピューターの導入による統計教材の手書きの労力軽減という趣旨に反することに もなる。項実的には大学などの研究機関で作成されたプログラムもしくは市販プログラムを現場 で利用することになるが、ハードウェアの価格が各小学校で購入できるほど安価なものではない

ために、当分はセンター的な機能をもつ機関で現場のニーズにそうプログラムの開発および市販 プログラムの試用を行ない、ハードコピーとして現場に供給することが妥当であると思われる。

注.

1)たとえば大阪書籍発行『小学社会 3年上・下、4年上・下。(昭和57年3月改訂検定)

ではつぎの図表が掲載されている。

3年  倉敷市の人口(アイソタイプ棒グラフ)、倉敷市の主な作物の取れ高の移り変わり

(棒グラフ)、新見市の人々の仕事と土地の使われ方(棒グラフ、帯グラフ)、松 阪市の人口の移り変わり(棒グラフ)など。

4年  奈良市の水源別給水量(棒グラフ)、ふえる発電量(内訳つき棒グラフ)、石炭・

石油の消費量(円グラフ)、高知市の月別快晴日数(棒グラフ)、高知市の野菜の 生産(折れ線グラフ)など。

2)プログラムの一部を示す。 (次頁に)

3)ステラシステム(株)発売、価格98,000円、他の機種用のものも発売している。

4)本研究では16ドットマトリックスプリンターを使用したが、若干のコマンドの変更で24ド ット漢字プリンターが使用可能である。

5)他のファイルからのデータの読みこみ、マルチプラン(簡易作表)とのリンクも可能であ る。ただし、操作は複雑である。

6)マイブレーン3000用としては、これらのソフトウェアはすべて市販されている。

(12)

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参考文献

文部省(1978):『小学校指導書社会編』大蔵省印刷局.

朝倉隆太郎(1972):『指導のための統計の理解』中教出版.

文部省(1977):『小学校学習指導要領。大蔵省印刷局.

能代弘武(1978):『統計とグラフ』国土社.

CuffD.5,&Mattson M.T(1982):rIbematic Maps,Methuen.

西本修明(1983):地理教育におけるノヾ」ソナルコンピューターの利用.昭和57年度奈良教育大学卒業 論文.

猪間頓一(1957):『統計図表の見方画き方使い方』東洋経済新報社.

参照

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