映像教材提示の過渡的試行 −スチルビデオを例に
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著者 西田 史朗
雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告
巻 13
ページ 1‑10
発行年 1990‑03‑16
その他のタイトル An attempt of still visual presentation in lighted classroom through a large field television
URL http://hdl.handle.net/10105/4534
‑スチルビデオを例に‑
西 田 史 朗
(地学教室)
An attempt of still visual presentation in lighted classroom
through a large field television
Shiro NISHIDA
Exciting large field pictures give big educational effect on students. Nowaday we can get many kinds of visual presentation aids. Commonly large scale presentation equipments, such as projection‑TV, OHP and optical film projector etc., are used in a dark room.
Using a CRT‑TV systm, students can look at a picture and easily make note of a lecture in a lighted room.
key words : Visual teaching material ; Large fieldCRT‑TV・
1.はじめに
教育の場での映像教材の有効性はいまさら言うまでもありません。黒板に色チョークで、あ るいは模造紙にポスター・カラーで、多くの教師にとってうまくもない図表を苦心して造った のも旧い話になってしまいました。フェルトペンが世にでたとき、何と便利な物が出来たかと、
また有力な助け人が現われたかと感激したものでした。今では静電コピーあるいは熱転写コピー でOHPフィルム化するのが日常的です。フルカラーの静電複写ですら一般化しつつあります。
しかしこのような形で提示できるのは、特別な場合を除いて図表、あるいは線画に限られてい ます。すなわち加工された教材の提示に制限されるわけです。
自然のあるいは現象の生きた姿を示すのには、光学的フィルムによるスライド映写が多用さ れます。またムービーやビデオによる動きのある素材提示もひじょうに効果的です。いずれの 場合もきれいなカラー映像が、教材をより魅力あるものにしています。しかし多人数を対象と
したムービーやスライド映写は、部屋を暗くしなければならず、そのため教育の場としてノー トなりメモがひじょうに不自由になります。ビデオでの提示は最近まで画面の大きさに制約が ありました。投影型の装置もありますが、画面の明るさに難点があり、ム‑ビ‑やスライド映 写以上に完全な暗室が要求され、さらに見る角度に制約があり、マス教育向きではないように 思われます。マルチビジョンは大型画面が得られますが、とても教育現場向きではありません。
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ハイビジョンもひじょうに魅力ある機材ですが、周辺機器が開発途上で、また経済性の点から も現状ではとても一般的に受け入れられません。
いっぽう組織的に展開され、組み立てられたカリキュラムが、きれいなフイルムやテープの 形で市販されるようになってきました。極端な言い方をすれば、教師は視聴覚教材を選び発注 すれば、後はAV機器のオペレーターとして講義あるいは授業の場に立ち会っていればよいこ とになり、将来は親切な文教当局はおそらくそのような教材も選んでくれ、配給してくれるの ではないでしょうか。
皮肉はさておき、「創造的な教育は創造的な教師によってなされる」ように思えてなりませ ん。自ら選んだ素材と手造りの教材で、教師自身の言葉で教育の場が運営されるのが本来の教 育の姿ではないでしょうか。教育の現場でも社会でも、自然や環境を主題にする場面がますま す増えてきています。これらの教材が学生生徒に承けるのには、二つの条件が有るように思わ れます。ひとつはひじょうに質の高いきれいな映像であること、他のひとつは身近な処にテー マを兄いだしたものであることです。強烈な感動か、親近感が必要なのです。生物や地学分野 の教材ではまさにこのことが大切なのです。
最近の教育用AV機材の発展は、ハイテク日本にあっては日進月歩の感じがいたします。使 用できる機器が、機材が流動的なのです。したがって固定的な大型のシステムを構築しような どとは、夢ゆめ考えるべきでは無いように思えます。計画を立案し、実現した頃には、何とも 旧式のお荷物になっている可能性が高いからです。ハイビジョンの実用化や高密度で書き換え 自在の記録媒体としてのレーザー・ディスクの普及がごく近い将来に迫っています。大型のシ ステムを整え、なんとか使用に耐える状態になった時には、何とも時代遅れの旧い装置と関わっ ていることになりそうだからです。さしあたり小型の機材で、小回りの利く映像データベース を小さなグループなり個人レベルで作成し、運用していくのが賢明なやり方ではないでしょう か。ハードとシステムが定着した段階で、大型のデータベースとして統合してゆくことはそれ
ほど難しいことではないように患えるからです。
このレポートでは現在市販されており小型で経済的なAV機器を使って、またパソコンによ るデータ管理を援用して、在来の映像情報を大型CRTテレビで提示しようとする試みを紹介 するものです。
2.利用可能な装置
現在国内で利用可能な機器として以下の機材が見られますが、その中には開発途上の性能的 に未完成と思われる物、あるいは近い将来有望視される機器を含みます。括弧を付けた機器は とりわけ利用し難いか、まだまだ高価な装置です。
映像入力機器
電子スチルカメラ:在来の光学的カメラのフイルムを磁気ディスクに置き換えた物と見るこ とができます。CCDイメージ・センサーを使用し、自動測光・オートフォーカスでテレ ビのビデオ入力端子に接続して再生することができます。映像記録形式はハイバンド方式 で、磁気ディスクは電子スチルカメラ懇談会の統一規格ができています。光学カメラの
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性能には今ひとつの様子ですが、ごく近い将来には有力な装置になると思われます。
スチル・ビデオカメラ:静止画を取り込むビデオカメラで、そのままテレビに接続して映像 化したり、スチル・ビデオレコーダで磁気ディスクに記録することができます。ビデオ・
プリンターに出力すればハードコピーとして保存することができます。実物・印刷物ある いは写真・フイルムを対象にします。フイルムはネガ・ポジを問わず使用でき。画面のト
リミングや色合いを調整することが可能です。
スチル・ビデオレコーダー:静止画像を対象としたビデオレコーダで、2インチ磁気ディス クを使用し、50コマの収録ができます。電子スチルカメラの記録媒体と同じ親格で、共通 に使用します。不用な記録を消去することができ、テーマによって編集をすることができ ます。
(レーザー・ディスク・ドライブ):大量の映像を付帯データと共に記録することができま すが、パソコンを使うので装置が大きくなり、また専用のソフトが必要で、今のところ高 価で簡便さに欠けます。不用になった記録の書換えに難点が残っているようです。
テレビ映像:通常のテレビ放送の画像を利用します。画質の向上できれいな映像が多くなり、
有効な映像ソースです。ハイビジョン方式は今回のやり方に適合しませんが、衛星放送に よる高画質映像はひじょうに魅力的です。他にMSX方式のパソコン画面をそのまま取り 込むことが可能です。
ビデオ・ムービーカメラ:従来のビデオ・ムービーカメラによる映像で、動きのある画像が 目的です。通常方式では再生静止画の画質が劣りますが、高画質方式ではかなり改善され、
音声情報を並行して使用することができます。
映像提示機器
CRTモニター・テレビ:スライド映写のように部屋を暗く しないで映像を提示することが できます。ノートやメモを明るいところで採ることが可能なことは大きな利点です。最近 では37インチCRTが出現し、スライド映写画面の大きさに迫ってきています。より大型 の45インチCRT−TVも発売されていますが、経済性からこの程度が限界ではないでしょ うか。従来の視聴覚機材として設備されている複数並行配置の中型テレビ装置をもちろん 使用することが出来ます。
ビデオ・プロジェクター:ビデオ・ピロジェククーは大きな画面を得ることができますが、
まだまだ画面の明るさが不足で、きれいな映像を得るためには部屋を暗く しなければなり ません。また投影面と装置の距離・見る角度に制約があって、大画面のわりには多人数向 きではないようです。
液晶型OHP:液晶に表示した映像をOHP方式で、映写する方式ですが、大型画面カラー 液晶の開発が遅れています。またカラー液晶の画質にまだまだ改良の余地がありそうです。
将来は小型の装置で、大きな明るい画面が期待され。有望な機器になりそうです。
液晶プロジェクター:従来のビデオ・プロジェクターは三管投影方式が多く、装置も大型で した。最近小型のカラー液晶を使って高輝度光源で拡大投影する装置が開発され実用化し つつありますが、画面の明るさと色調に改良の余地が残されているようです。しかしビデ オ・プロジュククーの数倍の任意の大画面が得られ、映写距離も自由になるのが特徴です。
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映像記録機器
スチル・ビデオレコーダー:先に説明したように、磁気ディスクを媒体として、スチルビデ オ映像を記録します。再生と消去の機能を備えています。カラー・フイルムの退色対策、
分野別・テーマ別の編集・複写機材としても有効です。
ビデオ・テープレコーダー:動きのある映像、静止画を問わずテレビ画面をビデオテープに 記録します。テープに記録するので、ユコマ単位で編集するのが困難です。通常録画方式 では静止画の再生画質に難点があります。しかし音声情報を並行して記録できるのが特徴 です。
(レーザー・ディスク・ドライブ):先に説明した通りです。
ビデオ・プリンター:テレビ映像をハードコピーとして出力します。カラー画像に対応して プリントアウトする機器が増え、プリントの品質もずいぶん向上しています。編集時のメ モとして使用するのであれば、安価なモノコピー機で充分でしょう。
ビデオ・ファックス:電話回線を介し遠方へ画像を送ることができます。機器の組合せによっ てはモノクロ画像になってしまいます。今のところそこまでする緊急性はなさそうです。
映像情報管理
パーソナルコンピューター:別の報告で環境スライドのパソコン管理を紹介しましたが、こ のシステムを援用して適切なフイルムを検索し、教材シナリオを組み立てます。詳細は別 報(西田、1989)をど参照下さい。
3.システムの概略
対象はすべての視覚に映るメディアで、写真・図形・図表・印刷物・実物さらにはテレビ映 像を含みます。およそテレビカメラで摸影できるか、テレビ画面に映し出すことのできるもの であれば良いのです。一般的な機器の概略は先に説明しましたので、ここでは私の研究室で試 用したものについて紹介します。
映像入力機器 映像提示機器 ビデオ・カメラ 大型CRT・TV
VTR TVチュナー
映像記録機器 ビデオ・プリ ンター
映像情報管理 パーソナル・コンピューター
映像入力:スチルビデオカメラを使用し、EIA標準方式NTSCカラー準拠ビデオ信号と してビデオ端子から入力します。市販の多くの機種では、CCD固体撮影素子を使用し、小型 化され、値段も手ごろになってきています。解像度も兢インチで25万画素以上を標準としてい ます。またフイルム照明にはインバーター方式の蛍光管が使用され、ちらつきの無いカラー・
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バランスの良い再生映像が得られています。レンズを交換することによって、35ミリフイルム、
6×6版フィルムのほか印刷物・実物を対象とします。ネガ・ポジ切り替えができるので、ネ ガカラー・フイルムをモニター上で正常に見ることができます。さらに画像の色調整・縦横位 置の転換とズーミングができます。オプションを使用すればモニター画面にフレーミ ング・マ
スクやポインターを表示することができます。国内では数社から同じ信号方式の製品が売り出 されています。モニター・テレビとの組合せにもよりますが、画素数の多いものはど多性能で、
価格も高くなります。
映像提示:大型CRTモニターを使用します。少人数の場合は小型モニターで充分です。多 くのスチル・ビデオカメラでは水平解像度が400本以上で、通常のテレビ放送画像より精細な 画像が得られます。小さな文字などは別として、大型モニターを使用しても、実用上まったく 問題になりません。ビデオ・プロジェクターは画面の明るさと見る角度に制限があることから、
いまさら使う気持ちにはなれません。
映像記録再生:ビデオ・レコーダーをモニター・テレビのビデオ出力端子に接続して使用し ます。2インチ磁気ディスクに50画面の記録ができます。ディスクは1コマ単位で消去・収録 が可能です。
他に編集用とシナリオ保存用にビデオ・プリンターを使用しています。
4.スチル・ビデオ教材の制作
手作りの映像教材は当然のことながらオリジナルなものでなければなりません。教材は授業 担当者が自ら手作りすることが理想的でしょう。自分で集めた素材を基に、自らの生徒に合っ
た教材としてのシナリオ展開を考えてゆくべきではないでしょうか。その際、地域に関連した 事象を優先して採りあげるべきです。日頃見慣れた風景の中から、ちょっと違った事柄を示し て行くのです。生徒たちの身近にあるものの中から、少し視点を変えて兄いだすことによって、
教材に対する親しみが随分と増して来るのではないでしょうか。
私の研究室では花粉やプランクトンなどの微化石をつかって、また火山灰層の区別によって 年代尺度を切って、第四紀の環境変遷を明らかにしようとしてきました。ここではその一端を
入門的に紹介するべく、50コマにまとめてみました。
編集の流れ
「環境映像教材データベース」
]
検 索
]
関連フイルム
I
シナリオ展開
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映像チ土ツク
]
映像収録
[
映像検討
I
プリントアウト
[
シナリオ検討
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