愛人と遊び人の話
著者 江口 一久
雑誌名 国立民族学博物館調査報告
巻 45
ページ 392‑405
発行年 2003‑12‑26
URL http://doi.org/10.15021/00001814
捌 問男をする女と遊び人の若者
世間話︑世間話︒わかるな︑友よ︒
ある男によめさんがあった︒この男のよめさんはどうしようもな
いほど間男をする︒男は旅にでかけた︒男が旅にでかけると︑いつ
も︑遊び人の若者がやってきて小屋のうらで男のよめさんにあう︒
二人はあいびきをする︒ある日︑女はその若者と話をつけておい
た︒若者は愛人だ︒
さて︑旅にでかけていた男が家にかえってきた︒
さて︑男のよめさんは男のために湯をわかす︒夕方︑女は湯を
わかす︒男は︑﹁小屋のうらにもつていっておくれ︒わしはいって︑
水浴びをする﹂といった︒男は体に布をまきつけた︒女はいくと︑
湯をナベにいれたまま小屋のうらにおいた︒女は湯をおいたではな
いか︒ さて︑愛人がやってきて︑葦告をさわっている︒すぐに︑愛人
は︑﹁わたしはここにきて︑たっている︒わたしはここでたって︑
まっている︒どうして︑おまえさんはこないのか︒こんなことな
ら︑おまえさんとわたしはうまくいかないだろう︒まえから︑話
がついているのに︑まだこないのか︒こんなことをするなら︑おま
えさんとわたしはわかれよう﹂という︒男は︵女の声色をまねて︶︑
﹁どうということはない︑おこらないで︒ちかくにいらっしゃい︑ いうことがあるの﹂といった︒ さて︑遊び人がちかづいてきた︒男は︑﹁それでは︑手をだして おくれ﹂といった︒遊び人は︑﹁いや︑わたしの手をだすわけには いかない﹂といった︒ さて︑男は熱湯をくんだ︒遊び人は男に︑﹁おまえさんはどこに いる﹂といった︒男は︑﹁ここに︑おまえさんのために︑帽子をお いでおいであげた﹂という︒遊び人がちかづいてきて︑その帽子 をとろうとすると︑男は遊び人の頭のうえから湯をかけた︒男は︑
﹁そうか︑わしはおまえさんのことがわかった︒わしはおまえさん
のことがわかった﹂といった︒遊び人はにげていく︒つぎの朝︑男
は王さまのところにいき︑﹁王さま︑わたしはある人に熱湯をかけ
ました︒その人はいつもわたしのよめさんをさがしにきます︒おね
がいです︒その人をさがしてください﹂といった︒人びとはみんな
をあっちこっちにいかせた︒
さて︑遊び人は自分の小屋にねていた︒人びとがいくと︑遊び人
がいた︒目は両方とも火傷していて︑皮膚がとれていた︒人びとは
遊び人に︑﹁これから︑人のよめさんをさがしにいくな﹂とい馳つた
とさ︒ お話は︑おしまい︒蒸し焼きができた︒
︵一九六九−七〇年︑語り手 バーセーウォ村出身のアブドゥッ
ラーイ・ウスマーヌ︑マルアにて︶ 囎 3
5 18 女とその愛入たち
いつも︑ある女のむごさんは︑﹁自分のよめさんには愛人がいる﹂
という︒ほんとうのこと︑よめさんには愛人が二人いた︒
さて︑男は︑﹁旅にでる﹂といった︒男はおきあがり︑落花生︑
カボチャ︑いったヴォアンズ二黒︑タイガー・ナット︑ゴマなどな
んでも︑かうべきものをかった︒男はよめさんのお腹がすかないよ
うに︑それをかっておいた︒男は旅にでた︒ほんとうのこと︑よめ
さんは男がかくれていることをしらなかった︒男は夜にやってき
て︑自分の屋敷でねるものの様子をさぐろうとしていた︒
さて︑男が屋敷からでていくまえに︑﹁かえってこない﹂といっ
た︒女は愛人のところにいくと︑﹁あなた︑おまえさんには耳がい
くつあるか︵﹁きいているか﹂くらいの意味︶﹂という︒愛人は女
に︑﹁わたしには二つある︵﹁きいている﹂くらいの意味︶﹂といっ
た︒女は︑﹁うちの人は旅にでかけた︒よかったらおいで︒きょう
の夜︑あそびましょう﹂という︒愛人は︑﹁よろしい︒おまえさん
の歯がいたくならないように︒おまえさんがわたしにいってくれた
ことは︑たいへんうれしい﹂といった︒
さて︑女は二人目の愛人のところにいく︒いくと︑愛人がいた︒
女は︑﹁うちの人は旅にでかけた︒よかったらこの時間においで﹂
といった︒ さて︑しばらくして︑夜になると︑男はかえってきて︑王さまの 屋敷のまえにすわりにいった︒ さて︑一人の愛人が男のよめさんのところにやってきた︒二人は むつみあった︒二人はあそびおえた︒愛人が家にかえっていこうと すると︑二人はだれかの足音をきいた︒ さて︑女は︑﹁その水ガメのなかにはいりなさい︒うちの人がか えってくる︒その水ガメのなかにはいりなさい﹂といった︒愛人は 水ガメのなかにとびこんだ︒ さて︑愛人が水ガメにはいった︒ほんとうのこと︑女の二人目 の愛人がやってきたのだった︒愛人がやってきた︒女はそれが自分 のむごさんでないということがわかった︒二人目の愛人がやってき た︒二人はするべきことをした︒二人目の愛人が家にかえっていこ うとすると︑むごさんが夜の集いからかえってくる︒女は二人目の 愛人に︑﹁今度はほんとう︒うちの人がかえってくる﹂という︒二 人目の愛人は︑﹁なんだって﹂という︒二人目の愛人は頭がよかっ たので︑﹁姉さん︑うちのばあさんが︑その水ガメをもちあげ︑家 までもってかえってくれといった﹂という︒女は︑﹁それをもちあ げてあげなさい︒わたしは布をまいて︑頭においてあげる︒わたし はそれをおまえさんの頭にのせてあげる﹂といった︒女と愛人は水 ガメを愛人の頭にのせた︒ほんとうのこと︑二人目の愛人は恋敵が 水ガメのなかにはいっているのをしらなかった︒ 93 3
︑
さて︑二番目の愛人は水ガメを頭にのせて︑あるいていく︒愛人 は︑﹁ああ︑きょうは︑おかげでたすかった︒そうでないと︑あい つのむごさんになぐられるところだった﹂といった︒ さて︑カメのなかにいる男が︑﹁おまえさんがたすかったのでは ない︒わしがたすかったのだ﹂といった︒ さて︑女の二人目の愛人は腹をたてて︑水ガメを地面になげすて てしまったとさ︒ ︵語り手 一九七一年二月一二日︑バーセーウォ村出身のアブ ドゥッラーイ・オスマーヌ︑マルアにて︶
6 18 ウシ飼いのよめさんと若者たち
世間話︑世間話︒おまえさんの頭のうえ︒わかるな︒
あるウシ飼いによめさんが三人いた︒男はいつも︑ウシの放牧を
している︒毎日︑男はウシの放牧をしている︒ほんとうのこと︑男
がウシを放牧していると︑若者たちが三人の男のよめさんたちの
ところにやってくる︒若者は一人ずつよめさんをわけあった︒あ
る日︑ある人がウシ飼いの男に︑﹁おまえさんがでかけていったら︑
おまえさんのよめさんたちが若者たちとなにをしているかしつて
いるか﹂という︒男は︑﹁しらない﹂といった︒その人は︑﹁よろし
い︒きょう︑ウシを放牧すると︑おまえさんの屋敷にかくれてお れ︒なにがおこるかわかるだろう﹂という︒男は︑﹁よろしい﹂と いった︒男はウシを放牧した︒男はいつも日暮れどきにかえってく るではないか︒男はウシを放牧すると︑もどってきて︑屋敷にかく れていた︒若者たちがやってきた︒三人だった︒若者たち三人がや ってくると︑一人の若者は男のよめさんを一人よんで︑であって︑ やりたいことをした︒若者はコーラの核を三つと香水一瓶と百フラ ンをとり︑女にやった︒ さて︑もう一人も︑やりたいことをしたあと︑コーラの核を三つ と香水一瓶と百フランをとり︑女にやった︒若者たちはやりたいこ とをしてしまうと︑どこかにいってしまった︒若者たちはいってし まった︒日暮れどき︑男はでていった︒男は日暮れどきに野原にい
った︒男はウシをつれてかえってきた︒男は食事をした︒男はよめ
さんをよんで︑﹁おまえの腰布をとれ﹂といった︒よめさんが腰布
をとると︑男はよめさんの陰部をたたき︑﹁おまえは︑コーラの核
三つと香水一瓶と百フランを手にいれた﹂という︒この女がいっ
てしまうと︑男はもう一人に︑﹁おまえも︑こい︒おまえも︑コー
ラの核三つを手にいれた﹂という︒︵女がいってしまう︒男はもう
一人のよめさんをよぶ︒︶男はそのよめさんの陰部をたたき︑﹁おま
えは︑コーラの核三つと香水一瓶と百フランをを手にいれた﹂とい
う︒男は女たちを三人よびおえた︒そのつぎの日︑男が放牧する
と︑若者たちがみんなやってきた︒若者たちが屋敷のぞとにいると 94 3
きに︑女たちは︑﹁もどっていきなさい︒もどっていきなさい︒あ
そこがもどりなさいといっている﹂という︒
お話は︑おしまい︒蒸し焼きができた︒
︵一九六九−七〇年︑語り手 バーセーウォ村出身のアブドゥッ
ラーイ・ウスマーヌ︑マルアにて︑マルアにて︶
餅嫉妬深い男ω
ある男がいた︒男は一人前の男だった︒男はたいへん嫉妬深かっ
た︒すなわち︑男は村からでていき︑一人ですんだ︒
さて︑男は村からでていき︑一人ですんだ︒村長が︑﹁なんだっ
て︑わしの子分が村からでて︑一人ですんでいる︒どうしたらいい
だろう﹂といった︒
さて︑ある男がたちどまり︑﹁なんだって︑わたしにはわかる︒
その人はきれいなよめさんをもらったのだ︒その人は村をでてい
き︑村のぞとにすんでいるのだ︒その人は嫉妬深いのだ︒よめさん
をとられてはこまるからだ﹂といった︒
さて︑その男は︑﹁それで︑わたしはこの村からでていき︑わた
しのやり方で︑その人を村につれてかえってあげよう﹂といった︒
男は村からでていった︒
男は村からでて︑そこでとまった︒男はいくと︑︵ライオンの皮 とゾウの皮と︶ヒョウの皮をとった︒いくと︑ハイエナの皮をと った︒男は墓から死体をほりだした︒いくと︑死体から腕をとっ た︒雨がいきよいよくふっている︒男はおきあがった︒男はおき あがり︑どんどんはしっていった︒男は嫉妬深い男の屋敷にいき︑
﹁ごめんください︒ごめんください︒ごめんください︒ごめんくだ
さい︒先生︒ごめんください︒先生︒ごめんください︒先生﹂とい
う︒嫉妬深い男は︑﹁こい﹂といった︒
さて︑男はすわった︒嫉妬深い男は︑﹁ここまできなさい︒ここ
まできなさい︒ここまできなさい︒ここに葦餐がある﹂という︒男
はライオンの皮をとり︑その皮のうえによこになった︒男はいく
と︑ヒョウの皮をとり︑その皮のうえによこになった︒男はいく
と︑ゾウの皮をとり︑その皮のうえによこになった︒男は︑﹁きょ
うは︑おちつくところができた﹂といった︒きれいなよめさんをも
つ男は︑だれにもまけないほど嫉妬深い︒もう一人の男は日除けの
したにいった︒
さて︑男たちはすわった︒やってきた男は雌ヤギの太股をだし
て︑火のそばにつきさした︒男はそれに塩をふりかけた︒塩をふり
かけて︑その肉をかじった︒男は人の太股をとりだし︑火のそばに
つきさした︒男はそれに塩をふりかけた︒塩をふりかけて︑﹁これ
がやけるまで︑しばらく火のそばにおいておいて︑たべよう﹂とい
った︒ 95 3
さて︑嫉妬深い男がそれをみた︒男は嫉妬深い男とそのよめさ
んにむかって︑﹁おまえさんたちのうちだれが︑たちあがって︑水
をくれるのか︒わたしは水をのむ﹂といった︒嫉妬深い男が︑﹁わ
しがあげる﹂といった︒よめさんが︑﹁わたしがあげる﹂といった︒
嫉妬深い男が︑﹁わしがあげる﹂といった︒
さて︑嫉妬深い男はそこからでていくと︑はしりながら︑やわら
かいウンコをした︒男ははしっていってしまうと︑かえってこなか
った︒男はこわかったのだ︒そとからやってきた男が自分よりつよ
く︑よめさんを横取りしにきたからだ︒
さて︑男はにげていった︒そとからきた男は︑﹁女よ︑こわがる
な︒おまえさんのむごさんが嫉妬深いので︑手だてをこうじ︑おま
えさんを村までつれてかろうとしただけだ︒おまえさんをつれて野
原にやってくるのは︑いいことか︒わるいではないか﹂といった︒
さて︑男はその女をつれて︑.村にいったとさ︒
︵一九入一年二月一六日︑語り手 オマル・セイニ・トービ・ム
ーサ・ラベヤ︑レイ・ブーバにて︒オマルの父親はモノ族︑母
親はムブム族︒オマルは︑フルフルデ語よりムブム語がよくわ
かる︒オマルはレイ・ブーバ地方のトゥボロで一三歳までいた︒
この話は︑ラー韓族のジヨッカディ・ダラジャバからウロ・ト
ゥッペ町できいたという︶ 鵬嫉妬深い男ω この話は︑王さまと大臣の話︒ 大臣がどうしょうもないほどきれいな女をめとった︒大臣は︑ ﹁わたしは村にはすまない︒わたしのよめさんがきれいだからだ︒ 若者たちがわたしのよめさんをとってしまう︒わたしは野原にい く﹂といった︒大臣は野原のまんなかにいった︒大臣はいくと︑自 分の屋敷をつくって︑よめさんとそこにすんだ︒王さまは大臣に用 事があるとぎ︑大臣のところに人をやらせ︑野原からよんでくる︒ 王さまは︑﹁よろしい︒いいやり方でもって︑わしの大臣を村につ れてかえってきてくれるものはいないか︒わしは村にいるではない か﹂といった︒だれもが︑﹁できません﹂という︒ さて︑ある男がでてきた︒男は︑﹁いって︑人の頭をもってきて おくれ﹂といった︒王さまの家のものがいって︑死体から頭をとっ て︑男にもってきた︒男は︑﹁手が手にはいるか︒いって︑手をも ってきておくれ﹂という︒王さまの家のものがいって︑死体から手 をとって︑男にもってきた︒男は︑﹁いって︑塩をもってきておく れ﹂という︒王さまの家のものがいって︑男に塩をもってきた︒ さて︑若者は野原にでかけていった︒若者が野原にいくと︑雨が
ふったあとで︑まっくらだった︒﹂
さて︑若者は大臣の屋敷についた︒大臣は小屋のなかでよこにな 96 3
り︑よめさんと話をしている︒火がもえている︒二人は小屋をしめ
ずに︑よこになっている︒
さて︑若者はそこについた︒若者は人の手を火のそばに︑たて
かけた︒雌ヒツジの前足と肋をとり︑かじっている︒入の手のうえ
に︑塩をふりかけた︒いくと︑二人のうえに塩をふりかけた︒
さて︑女も︑男も︑屈をこいた︒
さて︑女は︑﹁わたしは塩をかけられた︒わたしたちはどちらも
塩をかけられた﹂といいはじめた︒女がそういうと︑大臣はとびお
きて︑裸のまま︑村にかえってきた︒女がおきようとすると︑若者
は女をつかまえて︑﹁わたしがきたというのに︑どうしたというの
か﹂というと︑女と朝までねた︒若者は女をつれて︑王さまのとこ
ろにいった︒大臣は︑﹁アッラーがあなたにいいことをしてくださ
いますように︒夜︑怪物がやってきて︑わたしはよめさんをとられ
てしまいました﹂という︒王さまは︑﹁なんだって︑大臣よ﹂とい
った︒そういうと王さまはわらっている︒それからずっとあとで︑
王さまは自分の屋敷から大臣のよめさんをつれだした︒王さまは
大臣に︑﹁これはおまえさんのよめさんではないか︒大臣よ﹂とい
った︒大臣は︑﹁なんですって︑わたしのよめさんはずっとまえに︑
怪物にたべられてしまいました﹂といった︒王さまは︑﹁この女は
おまえさんのよめさんだ﹂といった︒王さまは大臣によめさんをか
えしてやった︒それから︑大臣は野原より︑村にいるほうがよいと いったとさ︒ ︵一九六九−七〇年︑語り手 バーセーウォ村出身のアブドゥッ ラーイ・ウスマーヌ︑マルアにて︑マルアにて︶ 鵬嫉妬深い男團 お話︑お話︒ ある男のしたことをしらないか︒この男は自分の家を人とはな れたところにつくった︒男は嫉妬深かった︒男はだれも︑自分のと ころに客をとめなかった︒男はいくと︑自分の家を人とはなれたと ころにつくった︒男のよめさんは髪をあむ︒人がやってくると︑女 はその人の髪の毛をあむ︒その人は家にかえっていく︒人がやって くると︑女はその人の髪の毛をあむ︒その人は家にかえっていく︒ 女は︑﹁だれそれよ︑わたしが髪の毛をあんだら︑バーバ・ジュロ
︵ジュロの父親の意︶がかえってくるまでに︑いってしまっておく
れ﹂という︒女が髪の毛をあんだ人は家にかえっていく︒バーバ・
ジュロはいつもかえってくるわけではない︒女はある人の髪の毛を
あんで︑﹁さて︑だれそれよ︑家にかえりなさい︒バーバ・ジュロ
がかえってくる︒おまえさんがいるのがみつかる﹂といった︒
さて︑その人は︑﹁わたしは家にかえらない︒わたしはバーバ・
ジュロをみる﹂といった︒女は︑﹁だれそれよ︑バーバ・ジュロが 97 3
かえってくるまでに︑いってしまっておくれ︒おまえさんがいるの
がみつかる﹂という︒その人は︑﹁わたしは家にかえらない︒わた
しはバーバ・ジュロをみる﹂といった︒バーバ・ジュロはウシに草
をたべさせ︑ウシをおい︑家にかえってくる︒バーバ・ジュロはあ
るきながら︑村にむかって︑いった︒
﹁インナ・ジュロ︵ジュロの母親の意︶よ︑どうも︒
インナ・ジユロよ︑どうも︒
わたしは︑インナ・ジュロのむごさんだよ︒
マジャマジャ・マジャマジャ﹂
さて︑それをきいて︑女のところにきている人がいう︒
﹁バーバ・ジュロよ︑どうも︒
バーバ・ジユロよ︑どうも︒
わたしは︑バーバ・ジュロのよめさんだよ︒
マジャマジャ・マジャマジャ﹂
バーバ・ジュロは嫉妬深かった︒
さて︑この話はひろがっていった︒男は︑きょう︑だれが自分の
家にきたのかといった︒男は家にむかって︑またしてもいった︒
﹁インナ・ジユロよ︑どうも︒
インナ・ジュロよ︑どうも︒
わたしは︑インナ・ジュロのむごさんだよ︒
マジャマジャ・マジャマジャ﹂ さて︑女のところにきている人がいった︒ ﹁バーバ・ジユロよ︑どうも︒ バーバ・ジュロよ︑どうも︒ わたしは︑バーバ・ジュロのよめさんだよ︒ マジャマジャ・マジャマジャ﹂ さて︑バーバ・ジュロはまたしても村にむかっていう︒ ﹁インナ・ジュロよ︑どうも︒ インナ・ジユロよ︑どうも︒ わたしは︑インナ・ジュロのむごさんだよ︒ マジャマジャ・マジャマジャ﹂ さて︑女のところにきている人がいった︒ ﹁バーバ・ジュロよ︑どうも︒ バーバ・ジュロよ︑どうも︒ わたしは︑バーバ・ジュロのよめさんだよ︒ マジャマジャ・マジャマジャ﹂ バーバ・ジュロが家につくと︑すぐに︑女のところにきている人 のところにいき︑女のところにきている人を何度もなぐって︑ころ してしまった︒男はその人の肉をとり︑肉についたハエと肉をすて た︒その人は骨だけになった︒男はいう︒ ﹁インナ・ジユロよ︑どうも︒
インナ・ジュロよ︑どうも︒ 98 3
わたしは︑インナ・ジュロのむごさんだよ︒
マジャマジャ・マジャマジャ﹂
さて︑骨がいう︒
﹁バーバ・ジユロよ︑どうも︒
バーバ・ジユロよ︑どうも︒
わたしは︑バーバ・ジュロのよめさんだよ︒
マジャマジャ・マジャマジャ﹂
男はその骨をひろいあげ︑すてにいった︒
さて︑男がいう︒
﹁インナ・ジユロよ︑どうも︒
インナ・ジユロよ︑どうも︒
わたしは︑インナ・ジュロのむごさんだよ︒
マジャマジャ・マジャマジャ﹂
なんの返事もない︒男にはなにもきこえなかった︒
さて︑男は目をさますと︑家畜に荷物をのせた︒
さて︑男はベッドにいるインナ・ジュロをとり︑ゴザでくるみ︑
頭にのせていく︒
さて︑男は縄をとり︑まるめて︑いくと︑そのうえにのせた︒男
はもどっていった︒男はやってくると︑ゴザをまるめ︑ベッドにお
いた︒男はいくと︑縄をそのうえにおいた︒
さて︑人がインナ・ジュロにあいにきて︑インナ・ジュロのため に︵ゴザにくるんだ︶おおきな石をもってきた︒ さて︑男は家畜に荷物をのせた︒男はその︵ゴザにくるんだ︶お おきな石をインナ・ジュロだとおもって︑家畜にのせた︒男はど んどんあるいていく︒男は家畜のさきにあるいていき︑石にむかっ て︑﹁インナ・ジュロよ︑インナ・ジュロよ︒わしはおまえをおろ してやる︒やすむのだ﹂という︒ さて︑石はインナ・ジュロのかわりに︑﹁インナ・ジュロはねて しまった﹂という︒男はどんどんあるいていく︒男は︑﹁インナ・ ジユロよ︑インナ・ジュロよ︒わしはおまえをおろしてやる︒やす むのだ﹂という︒石はインナ・ジュロのかわりに︑﹁インナ・ジュ ロはねてしまった﹂という︒とうとう︑男はとまった︒ さて︑男は石をインナ・ジュロだとおもって︑ベッドのうえによ こにした︒石はゴザでくるんである︒男は木をきり︑︵遊牧民のつ くる簡単な︶小屋をたておえた︒男は草で小屋をふいた︒男はいく と︑水をくみ︑薪をひろった︒男はキャンプにウシをつれてかえっ てきた︒男は粉をひき︑火をつけた︒男は寝具をひろげた︒男は︑ ほんとうはおおきな石がはいっているが︑インナ・ジュロだとおも って︑ゴザをひらいた︒男はインナ・ジュロとねようとする︒ さて︑男がゴザをひらくと︑そこには石がはいっていた︒男はず
っとないていた︒男は石をとると︑石で体をうって︑死んでしまっ
たとさ︒ 99 3
こうして︑わたしのお話は︑おわる︒
︵一