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愛人と遊び人の話

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愛人と遊び人の話

著者 江口 一久

雑誌名 国立民族学博物館調査報告

巻 45

ページ 392‑405

発行年 2003‑12‑26

URL http://doi.org/10.15021/00001814

(2)
(3)

捌 問男をする女と遊び人の若者

 世間話︑世間話︒わかるな︑友よ︒

 ある男によめさんがあった︒この男のよめさんはどうしようもな

いほど間男をする︒男は旅にでかけた︒男が旅にでかけると︑いつ

も︑遊び人の若者がやってきて小屋のうらで男のよめさんにあう︒

二人はあいびきをする︒ある日︑女はその若者と話をつけておい

た︒若者は愛人だ︒

 さて︑旅にでかけていた男が家にかえってきた︒

 さて︑男のよめさんは男のために湯をわかす︒夕方︑女は湯を

わかす︒男は︑﹁小屋のうらにもつていっておくれ︒わしはいって︑

水浴びをする﹂といった︒男は体に布をまきつけた︒女はいくと︑

湯をナベにいれたまま小屋のうらにおいた︒女は湯をおいたではな

いか︒  さて︑愛人がやってきて︑葦告をさわっている︒すぐに︑愛人

は︑﹁わたしはここにきて︑たっている︒わたしはここでたって︑

まっている︒どうして︑おまえさんはこないのか︒こんなことな

ら︑おまえさんとわたしはうまくいかないだろう︒まえから︑話

がついているのに︑まだこないのか︒こんなことをするなら︑おま

えさんとわたしはわかれよう﹂という︒男は︵女の声色をまねて︶︑

﹁どうということはない︑おこらないで︒ちかくにいらっしゃい︑ いうことがあるの﹂といった︒  さて︑遊び人がちかづいてきた︒男は︑﹁それでは︑手をだして おくれ﹂といった︒遊び人は︑﹁いや︑わたしの手をだすわけには いかない﹂といった︒  さて︑男は熱湯をくんだ︒遊び人は男に︑﹁おまえさんはどこに いる﹂といった︒男は︑﹁ここに︑おまえさんのために︑帽子をお いでおいであげた﹂という︒遊び人がちかづいてきて︑その帽子 をとろうとすると︑男は遊び人の頭のうえから湯をかけた︒男は︑

﹁そうか︑わしはおまえさんのことがわかった︒わしはおまえさん

のことがわかった﹂といった︒遊び人はにげていく︒つぎの朝︑男

は王さまのところにいき︑﹁王さま︑わたしはある人に熱湯をかけ

ました︒その人はいつもわたしのよめさんをさがしにきます︒おね

がいです︒その人をさがしてください﹂といった︒人びとはみんな

をあっちこっちにいかせた︒

 さて︑遊び人は自分の小屋にねていた︒人びとがいくと︑遊び人

がいた︒目は両方とも火傷していて︑皮膚がとれていた︒人びとは

遊び人に︑﹁これから︑人のよめさんをさがしにいくな﹂とい馳つた

とさ︒  お話は︑おしまい︒蒸し焼きができた︒

 ︵一九六九−七〇年︑語り手 バーセーウォ村出身のアブドゥッ

  ラーイ・ウスマーヌ︑マルアにて︶ 囎 3

(4)

5 18 女とその愛入たち

 いつも︑ある女のむごさんは︑﹁自分のよめさんには愛人がいる﹂

という︒ほんとうのこと︑よめさんには愛人が二人いた︒

 さて︑男は︑﹁旅にでる﹂といった︒男はおきあがり︑落花生︑

カボチャ︑いったヴォアンズ二黒︑タイガー・ナット︑ゴマなどな

んでも︑かうべきものをかった︒男はよめさんのお腹がすかないよ

うに︑それをかっておいた︒男は旅にでた︒ほんとうのこと︑よめ

さんは男がかくれていることをしらなかった︒男は夜にやってき

て︑自分の屋敷でねるものの様子をさぐろうとしていた︒

 さて︑男が屋敷からでていくまえに︑﹁かえってこない﹂といっ

た︒女は愛人のところにいくと︑﹁あなた︑おまえさんには耳がい

くつあるか︵﹁きいているか﹂くらいの意味︶﹂という︒愛人は女

に︑﹁わたしには二つある︵﹁きいている﹂くらいの意味︶﹂といっ

た︒女は︑﹁うちの人は旅にでかけた︒よかったらおいで︒きょう

の夜︑あそびましょう﹂という︒愛人は︑﹁よろしい︒おまえさん

の歯がいたくならないように︒おまえさんがわたしにいってくれた

ことは︑たいへんうれしい﹂といった︒

 さて︑女は二人目の愛人のところにいく︒いくと︑愛人がいた︒

女は︑﹁うちの人は旅にでかけた︒よかったらこの時間においで﹂

といった︒  さて︑しばらくして︑夜になると︑男はかえってきて︑王さまの 屋敷のまえにすわりにいった︒  さて︑一人の愛人が男のよめさんのところにやってきた︒二人は むつみあった︒二人はあそびおえた︒愛人が家にかえっていこうと すると︑二人はだれかの足音をきいた︒  さて︑女は︑﹁その水ガメのなかにはいりなさい︒うちの人がか えってくる︒その水ガメのなかにはいりなさい﹂といった︒愛人は 水ガメのなかにとびこんだ︒  さて︑愛人が水ガメにはいった︒ほんとうのこと︑女の二人目 の愛人がやってきたのだった︒愛人がやってきた︒女はそれが自分 のむごさんでないということがわかった︒二人目の愛人がやってき た︒二人はするべきことをした︒二人目の愛人が家にかえっていこ うとすると︑むごさんが夜の集いからかえってくる︒女は二人目の 愛人に︑﹁今度はほんとう︒うちの人がかえってくる﹂という︒二 人目の愛人は︑﹁なんだって﹂という︒二人目の愛人は頭がよかっ たので︑﹁姉さん︑うちのばあさんが︑その水ガメをもちあげ︑家 までもってかえってくれといった﹂という︒女は︑﹁それをもちあ げてあげなさい︒わたしは布をまいて︑頭においてあげる︒わたし はそれをおまえさんの頭にのせてあげる﹂といった︒女と愛人は水 ガメを愛人の頭にのせた︒ほんとうのこと︑二人目の愛人は恋敵が 水ガメのなかにはいっているのをしらなかった︒ 93 3

(5)

 さて︑二番目の愛人は水ガメを頭にのせて︑あるいていく︒愛人 は︑﹁ああ︑きょうは︑おかげでたすかった︒そうでないと︑あい つのむごさんになぐられるところだった﹂といった︒  さて︑カメのなかにいる男が︑﹁おまえさんがたすかったのでは ない︒わしがたすかったのだ﹂といった︒  さて︑女の二人目の愛人は腹をたてて︑水ガメを地面になげすて てしまったとさ︒  ︵語り手 一九七一年二月一二日︑バーセーウォ村出身のアブ   ドゥッラーイ・オスマーヌ︑マルアにて︶

6 18 ウシ飼いのよめさんと若者たち

 世間話︑世間話︒おまえさんの頭のうえ︒わかるな︒

 あるウシ飼いによめさんが三人いた︒男はいつも︑ウシの放牧を

している︒毎日︑男はウシの放牧をしている︒ほんとうのこと︑男

がウシを放牧していると︑若者たちが三人の男のよめさんたちの

ところにやってくる︒若者は一人ずつよめさんをわけあった︒あ

る日︑ある人がウシ飼いの男に︑﹁おまえさんがでかけていったら︑

おまえさんのよめさんたちが若者たちとなにをしているかしつて

いるか﹂という︒男は︑﹁しらない﹂といった︒その人は︑﹁よろし

い︒きょう︑ウシを放牧すると︑おまえさんの屋敷にかくれてお れ︒なにがおこるかわかるだろう﹂という︒男は︑﹁よろしい﹂と いった︒男はウシを放牧した︒男はいつも日暮れどきにかえってく るではないか︒男はウシを放牧すると︑もどってきて︑屋敷にかく れていた︒若者たちがやってきた︒三人だった︒若者たち三人がや ってくると︑一人の若者は男のよめさんを一人よんで︑であって︑ やりたいことをした︒若者はコーラの核を三つと香水一瓶と百フラ ンをとり︑女にやった︒  さて︑もう一人も︑やりたいことをしたあと︑コーラの核を三つ と香水一瓶と百フランをとり︑女にやった︒若者たちはやりたいこ とをしてしまうと︑どこかにいってしまった︒若者たちはいってし まった︒日暮れどき︑男はでていった︒男は日暮れどきに野原にい

った︒男はウシをつれてかえってきた︒男は食事をした︒男はよめ

さんをよんで︑﹁おまえの腰布をとれ﹂といった︒よめさんが腰布

をとると︑男はよめさんの陰部をたたき︑﹁おまえは︑コーラの核

三つと香水一瓶と百フランを手にいれた﹂という︒この女がいっ

てしまうと︑男はもう一人に︑﹁おまえも︑こい︒おまえも︑コー

ラの核三つを手にいれた﹂という︒︵女がいってしまう︒男はもう

一人のよめさんをよぶ︒︶男はそのよめさんの陰部をたたき︑﹁おま

えは︑コーラの核三つと香水一瓶と百フランをを手にいれた﹂とい

う︒男は女たちを三人よびおえた︒そのつぎの日︑男が放牧する

と︑若者たちがみんなやってきた︒若者たちが屋敷のぞとにいると 94 3

(6)

きに︑女たちは︑﹁もどっていきなさい︒もどっていきなさい︒あ

そこがもどりなさいといっている﹂という︒

 お話は︑おしまい︒蒸し焼きができた︒

 ︵一九六九−七〇年︑語り手 バーセーウォ村出身のアブドゥッ

  ラーイ・ウスマーヌ︑マルアにて︑マルアにて︶

餅嫉妬深い男ω

 ある男がいた︒男は一人前の男だった︒男はたいへん嫉妬深かっ

た︒すなわち︑男は村からでていき︑一人ですんだ︒

 さて︑男は村からでていき︑一人ですんだ︒村長が︑﹁なんだっ

て︑わしの子分が村からでて︑一人ですんでいる︒どうしたらいい

だろう﹂といった︒

 さて︑ある男がたちどまり︑﹁なんだって︑わたしにはわかる︒

その人はきれいなよめさんをもらったのだ︒その人は村をでてい

き︑村のぞとにすんでいるのだ︒その人は嫉妬深いのだ︒よめさん

をとられてはこまるからだ﹂といった︒

 さて︑その男は︑﹁それで︑わたしはこの村からでていき︑わた

しのやり方で︑その人を村につれてかえってあげよう﹂といった︒

男は村からでていった︒

 男は村からでて︑そこでとまった︒男はいくと︑︵ライオンの皮 とゾウの皮と︶ヒョウの皮をとった︒いくと︑ハイエナの皮をと った︒男は墓から死体をほりだした︒いくと︑死体から腕をとっ た︒雨がいきよいよくふっている︒男はおきあがった︒男はおき あがり︑どんどんはしっていった︒男は嫉妬深い男の屋敷にいき︑

﹁ごめんください︒ごめんください︒ごめんください︒ごめんくだ

さい︒先生︒ごめんください︒先生︒ごめんください︒先生﹂とい

う︒嫉妬深い男は︑﹁こい﹂といった︒

 さて︑男はすわった︒嫉妬深い男は︑﹁ここまできなさい︒ここ

まできなさい︒ここまできなさい︒ここに葦餐がある﹂という︒男

はライオンの皮をとり︑その皮のうえによこになった︒男はいく

と︑ヒョウの皮をとり︑その皮のうえによこになった︒男はいく

と︑ゾウの皮をとり︑その皮のうえによこになった︒男は︑﹁きょ

うは︑おちつくところができた﹂といった︒きれいなよめさんをも

つ男は︑だれにもまけないほど嫉妬深い︒もう一人の男は日除けの

したにいった︒

 さて︑男たちはすわった︒やってきた男は雌ヤギの太股をだし

て︑火のそばにつきさした︒男はそれに塩をふりかけた︒塩をふり

かけて︑その肉をかじった︒男は人の太股をとりだし︑火のそばに

つきさした︒男はそれに塩をふりかけた︒塩をふりかけて︑﹁これ

がやけるまで︑しばらく火のそばにおいておいて︑たべよう﹂とい

った︒ 95 3

(7)

 さて︑嫉妬深い男がそれをみた︒男は嫉妬深い男とそのよめさ

んにむかって︑﹁おまえさんたちのうちだれが︑たちあがって︑水

をくれるのか︒わたしは水をのむ﹂といった︒嫉妬深い男が︑﹁わ

しがあげる﹂といった︒よめさんが︑﹁わたしがあげる﹂といった︒

嫉妬深い男が︑﹁わしがあげる﹂といった︒

 さて︑嫉妬深い男はそこからでていくと︑はしりながら︑やわら

かいウンコをした︒男ははしっていってしまうと︑かえってこなか

った︒男はこわかったのだ︒そとからやってきた男が自分よりつよ

く︑よめさんを横取りしにきたからだ︒

 さて︑男はにげていった︒そとからきた男は︑﹁女よ︑こわがる

な︒おまえさんのむごさんが嫉妬深いので︑手だてをこうじ︑おま

えさんを村までつれてかろうとしただけだ︒おまえさんをつれて野

原にやってくるのは︑いいことか︒わるいではないか﹂といった︒

 さて︑男はその女をつれて︑.村にいったとさ︒

 ︵一九入一年二月一六日︑語り手 オマル・セイニ・トービ・ム

  ーサ・ラベヤ︑レイ・ブーバにて︒オマルの父親はモノ族︑母

  親はムブム族︒オマルは︑フルフルデ語よりムブム語がよくわ

  かる︒オマルはレイ・ブーバ地方のトゥボロで一三歳までいた︒

  この話は︑ラー韓族のジヨッカディ・ダラジャバからウロ・ト

  ゥッペ町できいたという︶ 鵬嫉妬深い男ω  この話は︑王さまと大臣の話︒  大臣がどうしょうもないほどきれいな女をめとった︒大臣は︑ ﹁わたしは村にはすまない︒わたしのよめさんがきれいだからだ︒ 若者たちがわたしのよめさんをとってしまう︒わたしは野原にい く﹂といった︒大臣は野原のまんなかにいった︒大臣はいくと︑自 分の屋敷をつくって︑よめさんとそこにすんだ︒王さまは大臣に用 事があるとぎ︑大臣のところに人をやらせ︑野原からよんでくる︒ 王さまは︑﹁よろしい︒いいやり方でもって︑わしの大臣を村につ れてかえってきてくれるものはいないか︒わしは村にいるではない か﹂といった︒だれもが︑﹁できません﹂という︒  さて︑ある男がでてきた︒男は︑﹁いって︑人の頭をもってきて おくれ﹂といった︒王さまの家のものがいって︑死体から頭をとっ て︑男にもってきた︒男は︑﹁手が手にはいるか︒いって︑手をも ってきておくれ﹂という︒王さまの家のものがいって︑死体から手 をとって︑男にもってきた︒男は︑﹁いって︑塩をもってきておく れ﹂という︒王さまの家のものがいって︑男に塩をもってきた︒  さて︑若者は野原にでかけていった︒若者が野原にいくと︑雨が

ふったあとで︑まっくらだった︒﹂

 さて︑若者は大臣の屋敷についた︒大臣は小屋のなかでよこにな 96 3

(8)

り︑よめさんと話をしている︒火がもえている︒二人は小屋をしめ

ずに︑よこになっている︒

 さて︑若者はそこについた︒若者は人の手を火のそばに︑たて

かけた︒雌ヒツジの前足と肋をとり︑かじっている︒入の手のうえ

に︑塩をふりかけた︒いくと︑二人のうえに塩をふりかけた︒

 さて︑女も︑男も︑屈をこいた︒

 さて︑女は︑﹁わたしは塩をかけられた︒わたしたちはどちらも

塩をかけられた﹂といいはじめた︒女がそういうと︑大臣はとびお

きて︑裸のまま︑村にかえってきた︒女がおきようとすると︑若者

は女をつかまえて︑﹁わたしがきたというのに︑どうしたというの

か﹂というと︑女と朝までねた︒若者は女をつれて︑王さまのとこ

ろにいった︒大臣は︑﹁アッラーがあなたにいいことをしてくださ

いますように︒夜︑怪物がやってきて︑わたしはよめさんをとられ

てしまいました﹂という︒王さまは︑﹁なんだって︑大臣よ﹂とい

った︒そういうと王さまはわらっている︒それからずっとあとで︑

王さまは自分の屋敷から大臣のよめさんをつれだした︒王さまは

大臣に︑﹁これはおまえさんのよめさんではないか︒大臣よ﹂とい

った︒大臣は︑﹁なんですって︑わたしのよめさんはずっとまえに︑

怪物にたべられてしまいました﹂といった︒王さまは︑﹁この女は

おまえさんのよめさんだ﹂といった︒王さまは大臣によめさんをか

えしてやった︒それから︑大臣は野原より︑村にいるほうがよいと いったとさ︒  ︵一九六九−七〇年︑語り手 バーセーウォ村出身のアブドゥッ   ラーイ・ウスマーヌ︑マルアにて︑マルアにて︶ 鵬嫉妬深い男團  お話︑お話︒  ある男のしたことをしらないか︒この男は自分の家を人とはな れたところにつくった︒男は嫉妬深かった︒男はだれも︑自分のと ころに客をとめなかった︒男はいくと︑自分の家を人とはなれたと ころにつくった︒男のよめさんは髪をあむ︒人がやってくると︑女 はその人の髪の毛をあむ︒その人は家にかえっていく︒人がやって くると︑女はその人の髪の毛をあむ︒その人は家にかえっていく︒ 女は︑﹁だれそれよ︑わたしが髪の毛をあんだら︑バーバ・ジュロ

︵ジュロの父親の意︶がかえってくるまでに︑いってしまっておく

れ﹂という︒女が髪の毛をあんだ人は家にかえっていく︒バーバ・

ジュロはいつもかえってくるわけではない︒女はある人の髪の毛を

あんで︑﹁さて︑だれそれよ︑家にかえりなさい︒バーバ・ジュロ

がかえってくる︒おまえさんがいるのがみつかる﹂といった︒

 さて︑その人は︑﹁わたしは家にかえらない︒わたしはバーバ・

ジュロをみる﹂といった︒女は︑﹁だれそれよ︑バーバ・ジュロが 97 3

(9)

かえってくるまでに︑いってしまっておくれ︒おまえさんがいるの

がみつかる﹂という︒その人は︑﹁わたしは家にかえらない︒わた

しはバーバ・ジュロをみる﹂といった︒バーバ・ジュロはウシに草

をたべさせ︑ウシをおい︑家にかえってくる︒バーバ・ジュロはあ

るきながら︑村にむかって︑いった︒

  ﹁インナ・ジュロ︵ジュロの母親の意︶よ︑どうも︒

   インナ・ジユロよ︑どうも︒

   わたしは︑インナ・ジュロのむごさんだよ︒

   マジャマジャ・マジャマジャ﹂

 さて︑それをきいて︑女のところにきている人がいう︒

  ﹁バーバ・ジュロよ︑どうも︒

   バーバ・ジユロよ︑どうも︒

   わたしは︑バーバ・ジュロのよめさんだよ︒

   マジャマジャ・マジャマジャ﹂

バーバ・ジュロは嫉妬深かった︒

 さて︑この話はひろがっていった︒男は︑きょう︑だれが自分の

家にきたのかといった︒男は家にむかって︑またしてもいった︒

  ﹁インナ・ジユロよ︑どうも︒

   インナ・ジュロよ︑どうも︒

   わたしは︑インナ・ジュロのむごさんだよ︒

   マジャマジャ・マジャマジャ﹂  さて︑女のところにきている人がいった︒   ﹁バーバ・ジユロよ︑どうも︒    バーバ・ジュロよ︑どうも︒    わたしは︑バーバ・ジュロのよめさんだよ︒    マジャマジャ・マジャマジャ﹂  さて︑バーバ・ジュロはまたしても村にむかっていう︒   ﹁インナ・ジュロよ︑どうも︒    インナ・ジユロよ︑どうも︒    わたしは︑インナ・ジュロのむごさんだよ︒    マジャマジャ・マジャマジャ﹂  さて︑女のところにきている人がいった︒   ﹁バーバ・ジュロよ︑どうも︒    バーバ・ジュロよ︑どうも︒    わたしは︑バーバ・ジュロのよめさんだよ︒    マジャマジャ・マジャマジャ﹂ バーバ・ジュロが家につくと︑すぐに︑女のところにきている人 のところにいき︑女のところにきている人を何度もなぐって︑ころ してしまった︒男はその人の肉をとり︑肉についたハエと肉をすて た︒その人は骨だけになった︒男はいう︒   ﹁インナ・ジユロよ︑どうも︒

   インナ・ジュロよ︑どうも︒ 98 3

(10)

   わたしは︑インナ・ジュロのむごさんだよ︒

   マジャマジャ・マジャマジャ﹂

 さて︑骨がいう︒

  ﹁バーバ・ジユロよ︑どうも︒

   バーバ・ジユロよ︑どうも︒

   わたしは︑バーバ・ジュロのよめさんだよ︒

   マジャマジャ・マジャマジャ﹂

男はその骨をひろいあげ︑すてにいった︒

 さて︑男がいう︒

  ﹁インナ・ジユロよ︑どうも︒

   インナ・ジユロよ︑どうも︒

   わたしは︑インナ・ジュロのむごさんだよ︒

   マジャマジャ・マジャマジャ﹂

なんの返事もない︒男にはなにもきこえなかった︒

 さて︑男は目をさますと︑家畜に荷物をのせた︒

 さて︑男はベッドにいるインナ・ジュロをとり︑ゴザでくるみ︑

頭にのせていく︒

 さて︑男は縄をとり︑まるめて︑いくと︑そのうえにのせた︒男

はもどっていった︒男はやってくると︑ゴザをまるめ︑ベッドにお

いた︒男はいくと︑縄をそのうえにおいた︒

 さて︑人がインナ・ジュロにあいにきて︑インナ・ジュロのため に︵ゴザにくるんだ︶おおきな石をもってきた︒  さて︑男は家畜に荷物をのせた︒男はその︵ゴザにくるんだ︶お おきな石をインナ・ジュロだとおもって︑家畜にのせた︒男はど んどんあるいていく︒男は家畜のさきにあるいていき︑石にむかっ て︑﹁インナ・ジュロよ︑インナ・ジュロよ︒わしはおまえをおろ してやる︒やすむのだ﹂という︒  さて︑石はインナ・ジュロのかわりに︑﹁インナ・ジュロはねて しまった﹂という︒男はどんどんあるいていく︒男は︑﹁インナ・ ジユロよ︑インナ・ジュロよ︒わしはおまえをおろしてやる︒やす むのだ﹂という︒石はインナ・ジュロのかわりに︑﹁インナ・ジュ ロはねてしまった﹂という︒とうとう︑男はとまった︒  さて︑男は石をインナ・ジュロだとおもって︑ベッドのうえによ こにした︒石はゴザでくるんである︒男は木をきり︑︵遊牧民のつ くる簡単な︶小屋をたておえた︒男は草で小屋をふいた︒男はいく と︑水をくみ︑薪をひろった︒男はキャンプにウシをつれてかえっ てきた︒男は粉をひき︑火をつけた︒男は寝具をひろげた︒男は︑ ほんとうはおおきな石がはいっているが︑インナ・ジュロだとおも って︑ゴザをひらいた︒男はインナ・ジュロとねようとする︒  さて︑男がゴザをひらくと︑そこには石がはいっていた︒男はず

っとないていた︒男は石をとると︑石で体をうって︑死んでしまっ

たとさ︒ 99 3

(11)

こうして︑わたしのお話は︑おわる︒

︵一

纔Z四年九月︑語り手 ︵遊牧をする︶ジャーフン氏族の人︑

 ガウンデレ地方︑ヤルンバンのちかくのババ村にて︶

㎜ 男とよめさんの一入がなにをしたか

 村にはたくさんの人たちがいる︒村にはたくさんの人たちがいた

が︑ある男は︑ひどく嫉妬する︒男はきれいな女と結婚していた︒

男はどうしょうもないほど嫉妬する︒

 さて︑ハンサムな若者がいて︑いろいろなことができた︒若者は

嫉妬する男の屋敷にはいっていった︒若者は男のよめさんに︑﹁わ

たしはおまえさんがすきだ︒わたしはさわりたい︒おまえさんがむ

ごさんとねるとき︑むごさんのペニスをさわりなさい︒みてみる﹂

といった︒

 さて︑女は︑﹁それだけかい︒よろしい︑日暮れの礼拝のあと︑

あの人が食べ物をもって︑屋敷の入り口にいくとき︑いらっしゃ

い﹂といった︒

 さて︑日暮れの礼拝がおわった︒女のむごさんは食べ物をもっ

て︑屋敷の入り口にいった︒若者がやってきた︒女は︑﹁いって︑

ベッドの向こう側によこになりなさい︒もどってくるから﹂といっ

た︒若者はベッドの向こう側によこになった︒女のむごさんがやっ てきた︒むごさんと女は︑いっしょにすわった︒  さて︑男と女は小屋にはいった︒女は︑﹁ああ︑ああ︑あなた︒ ああ︑あなた︒ああ︑あなた︒きょう︑わたしはあなたとねたかっ た︒きょう︑わたしはあなたとねたかった︒わたしは︑ながいあい だあなたとねていない︒わたしは︑ながいあいだあなたとねていな い﹂といった︒  さて︑男は女とねると︑何度も女をもとめた︒男はねしずまっ た︒女の愛人が手をのばし︑男の毛をぬいた︒男は︑﹁うっ﹂とい

った︒女は︑﹁なんなの︒あなた︑わたしの爪がその毛にひっかか

っただけ︒べつになにもない﹂という︒男はねしずまった︒女は何

度も男をもとめた︒しばらくすると︑女の愛人は男の毛をにぎり︑

ひっぱった︒男は︑﹁うっ﹂といった︒女は︑﹁なんなの︒わたしの

爪がその毛にひっかかっただけ﹂という︒ほんとうのこと︑女の愛

人がベッドの向こう側によこになっていて︑男の毛を何度もひっぱ

るのだった︒

 さて︑女は男のペニスをにぎり︑ひっぱった︒男は︑﹁うっ﹂と

いった︒

 さて︑女は︑﹁なんなの︒わたしの爪がその毛にひっかかっただ

・け﹂という︒男はねてしまった︒男がねると︑女はおきあがり︑戸

をあけた︒女の愛人はでていった︒

 さて︑朝︑バウ・ゲーム︵地面に穴をほり︑石や種などを駒にし oo 4

(12)

て︑あそぶゲーム︶をする場所に︑人がたくさんあつまった︒男た

ちはバウ・ゲームをしてあそんでいる︒女の愛人はバウ・ゲームを

しながら︑自分のみたことを再現しようとする︒

 さて︑女の愛人は嫉妬する男をよび︑﹁おい︑友よ︑きなさい︒

バウ・ゲームをしよう﹂といった︒男がやってきた︒男がやってく

る︒女の愛人が︑﹁そこに駒をおけ︒そこにおけ︒そこにおけ︒そ

こにおけ︒そこにおけ︒そうだ︑そこに駒をいれ︑そこから駒をぬ

きとる︒うっ﹂といった︒

 さて︑男は女の愛人のいうことをきいている︒ああ︑男は駒をと

れなかった︒男は駒を何度ももちあげる︒男は︑﹁駒をおけ︒駒を

おいた︑駒をおいた︑駒をおいた﹂といった︒

 さて︑女の愛人は︑﹁なんだって︑わたしはここにおく︒わたし

はこの場所をとった︒わたしは︑そこから駒をぬきとる︒うっ﹂と

いった︒  さて︑男は︑﹁なんだって︑きのうの晩︑自分がよめさんとかわ

した会話がそとにでるとはどういうことか﹂と独り言をいう︒女

の愛人は︑﹁なんだって︑もう一度︑駒をおきなおそう﹂といった︒

二人は穴に駒をいれていった︒

 さて︑女の愛人が突然︑﹁わたしはここに駒をうつ︒そこに駒を

いれ︑そこから駒をぬきとる︒うっ﹂という︒男はバウ・ゲーム

をやめ︑駒をほかした︒男がかえっていくと︑よめさんが小屋にい た︒男は女に︑﹁なんということか︑おまえ︑きのうの晩︑おまえ とわしがかわした会話が︑どうしてそとにでていったのか︒わし はそとであの会話をきいた﹂という︒女は︑﹁なんだって︑あなた︑ そんなことをいわないで︒もうおわった話なのに︑そんなことをい わないで︒やめなさい︒わたしの話をきいておくれ﹂という︒  さて︑男はその話をやめた︒朝︑女はむごさんに︑﹁朝早 く︑入時ころ︑野原にいっておいで﹂といった︒入時ころ︑男は弓 と矢をもって︑野原にでかけていった︒女の愛人がやってきた︒愛 人がやってくると︑女は屋敷にいた︒女は︑﹁愛人よ︑きたの︒愛 人よ︑きたの︒愛人よ︑きたの︒どうも︑どうも︑どうも︒ここに すわりなさい︒ここにすわりなさい︒水をもってきてあげよう︒の みなさい﹂といった︒女は水をもってきて︑愛人にわたした︒愛人 はその水をのんだ︒  さて︑女のむごさんは︑野原にいかなかったのだろうか︑さっさ と屋敷にもどってきた︒  さて︑︵むごさんがかえってくるのに気がつき︶女は愛人に︑﹁い

って︑そこにすわりなさい︒あなたをゴザでかくしてあげよう﹂と

いった︒女はたちあがると︑愛人をゴザでかくした︒女はむごさん

に︑﹁あなた︑小屋もあなたのもの︒屋敷もあなたのもの︒日除け

もあなたのもの︒すわりなさい︒すわりなさい︒すわりなさい︒話

をしましよう﹂といった︒ 01 4

(13)

 さて︑男はすわった︒二人はすわった︒女は食べ物をつくって︑

男にわたした︒男はそれをたべた︒女は水をくみ︑もってきた︒男

はそれをのんだ︒女は︑﹁あなた︑小屋のなかにいきましょう︒い

って︑あそこにすわりましょう﹂といった︒

 さて︑女は男に︑﹁あなたは︑野原でなにをつかって︑獲物を射

るの﹂とたずねた︒男は︑﹁ああ︑弓と矢で獲物を射るのだ﹂とい

った︒女は︑﹁たちあがり︑その弓をとって︑ひきなさい︒みてみ

ましょう﹂といった︒男はたちあがり︑弓をとり︑ひいた︒女は︑

﹁いま︑ボホールヌマレイヨウを射る矢をみせておくれ︒アフリカ

クロスイギュウを射る矢をみせておくれ︒ヤブスジカモシカを射る

矢をみせておくれ︒蔓アカシアの茂みにいるシカを射る矢をみせて

おくれ︒わたしはそれをみる﹂といった︒男はそれぞれ種類のちが

う矢をみんなみせた︒

 さて︑女は︑﹁さて︑矢をうってみなさい︒いま︑あのゴザをう

つと︑矢はつきぬけるの﹂といった︒男は︑﹁もちろん︒あのゴザ

をうつと︑矢はつきぬけ︑壁にささる﹂といった︒女は︑﹁さて︑

矢をうってみなさい︒矢をうってみましょう﹂といった︒男は矢を

えらんでいる︒女は︑﹁それはよしなさい︒それはよしなさい︒そ

れはよしなさい︒ボホールヌマレイヨウを射る矢をとりなさい﹂と

いった︒男はその矢をとった︒男がうとうとすると︑女は︑﹁うた

ないで︒うたないで︒うたないで︒ゾウを射る矢をとりなさい﹂と いった︒男はゾウを射る矢をとった︒女は︑﹁うたないで︒うたな いで︒うたないで︒カバを射る矢をとりなさい﹂といった︒男はか バを射る矢をとった︒女は︑﹁うたないで︒うたないで︒うたない で﹂といった︒  さて︑女の愛人は︑ゴザの向こう側によこになっているが︑ウン コをし︑小便をたれた︒愛人はでてきた︒愛人はたちあがって︑様 子をみようとした︒男がみると︑だれかがいた︒男とバウ・ゲー ムをした男だった︒その男がたちあがろうとすると︑男はその男 を平手うちにしようとする︒女は︑﹁その人をうたないで﹂といっ た︒女は︑﹁その人をうたないで︒わかるね︒アッラーのおかげで︑ その人はあなたにっかまった︒うたないで﹂という︒女は愛人に︑ ﹁ズボンをぬぎなさい︒ズボンはウンコだらけ︒ウンコをいれたま まズボンをまきなさい︒そとにでていきなさい﹂という︒屋敷のぞ とにはたくさんの人がいる︒男は女の愛人をさきにあるかせた︒女 の愛人は裸だった︒女の愛人はペニスを手でかくした︒愛人はそう して屋敷からでると︑道までやってきた︒人びとはこの若者のこと をわらった︒  さて︑この若者はどこかにいってしまったとさ︒  そういうことで︑このお話はおしまい︒  ︵一九入一年二月一六日︑語り手 オマル・セイニ・トービ・ム

  ーサ・ラベヤ︑レイ・ブーバにて︒オマルの父親はモノ族︑母 02 4

(14)

親はムブム族︒オマルは︑フルフルデ語よりムブム語がよくわ

かる︒オマルはレイ・ブーバ地方のトゥボロで=二歳までいた︒

この話は︑四十歳になるホーレ・ムブ強震・ドゥイジョからき

いたという︶

91 @出たちのペニスをきるという女 1

 べつの話をしよう︒

 わかるな︒ある女がいた︒女は男と結婚した︒男は就職し︑お金

をかせぎにいった︒就職していた︒

 さて︑填たちはお金をかせぎ︑いまから︑故郷にかえるといっ

た︒この男のよめさんはたいへんきれいだった︒

 さて︑男は幼友だちに︑﹁ほんとうのこと︑きみらがしつている

ぽくのよめさんは︑男のペニスをきる﹂といった︒

 さて︑男たちは︑﹁それはうそだ︒それは︑あの女がきれいなた

めそういっているのだ︒わしらがあの女に手をださないようにする

ためだ﹂といった︒

 さて︑男はよめさんに︑﹁わしらの町の男にはあれが二本ずつあ

る﹂という︒

 さて︑男の幼友だちがやってきた︒男たちは三人だった︒

 さて︑一人は屋敷の入りロにたった︒一人は入り口の小屋にたっ た︒一人は女の小屋にはいった︒男が女のところにつくと︑女はこ の町の男には二本あるか︑一本あるのかたしかめるために︑手をや って︑さわろうとする︒  さて︑男は女がペニスをきろうとしているとおもい︑身をひき︑

﹁うっ﹂といった︒

 さて︑入りロの小屋にいる男が︑﹁きられたか﹂といった︒

 さて︑屋敷の入り口にいる男が︑﹁すぱっときられたな﹂といった︒

 さて︑三人はさきをあらそってにげていった︒男たちはしようと

おもっていたことができなかったとさ︒

 わかるな︒この話もすこしはおかしい︒

 ︵一九入三年一月二二日︑語り手 サーリ・ジーカ︑ガウンデレ

  にて︶

2 19 嫉妬深かった男とよめさんの汐入

 ある女のむごさんは嫉妬深かった︒わかるな︒むごさんは嫉妬深

かったので︑いつも︑自分の短刀をとぎすましていた︒いつも︑短

刀をといでいる︒男は自分のよめさんと若者が仲がよいのをしって

いる︒屋敷の主人は︑﹁わしはでかける﹂というと︑若者が屋敷の

ぞとからズボンをぬぎ︑やってきた︒小屋の戸のしたのほうに穴が

あいている︒若者はとんとんとんとはしってくると︑自分のペニス 03 4

(15)

をみて︑﹁つかまえておくれ︑つかまえておくれ︑つかまえておく

れ﹂という︒女は戸の穴からペニスをつかまえる︒若者は小屋のぞ

とにいる︒二人はしたいことをする︒ある日︑むごさんがやってき

て︑女をべつの小屋にうつらせた︒

 さて︑若者がとんとんとんとはしってくると︑﹁つかまえてお

くれ︑つかまえておくれ︒こまった﹂といった︒小屋にいる男が︑

﹁どうしてこまっているのか﹂という︒若者は︑﹁うん﹂といった︒

小屋にいる男が︵女の声をまねて︶︑﹁おまえさんも︑手をだして︑

さわりなさい︒友よ﹂といった︒男は若者の手をとり︑若者のペ

ニスをつかんだ︒若者が︑﹁おまえさんもおまえさんのものをだせ︒

こまった︒おまえさんもおまえさんの手をだして︑さわれ﹂とい

った︒若者が手をさしだすと︑男は.その手を顎のしたにもつてい

き︑髭でこすった︒若者は︑﹁アッラーにかけて︑もう二度としな

い︒わるかった︒ああ︒わるかった︑わるかった﹂といった︒男

は︑﹁服をぬげ﹂という︒若者は服をぬいだ︒男は︑﹁それをみんな

ぬいで︑こちらからわたせ﹂という︒男は若者を裸にし︑はなして

やった︒夜があけて︑朝になった︒若者は恥ずかしかったので︑村

からどこかにうつっていった︒

 さて︑人びとはその服をみて︑﹁わかるな︑この服はあの人の隣

の人のものだ﹂という︒

 さて︑人びとはその女のむごさんがその服をきているのをみた︒ 人びとは︑﹁きょう︑だれそれよ︑おまえさんはあの人の服をきて︑ どこにいくのか︒おまえさんはあの人をからかったのか﹂という︒ 男は︑﹁あの人にききなさい﹂という︒  さて︑このようにして︑この話はおわった︒友よ︒  ︵語り手 一九七一年=星=日︑バーセーウォ村出身のアブ   ドゥッラーイ・オスマーヌ︑マルアにて︶ 鵬運転手  わたしはおまえさんに︑ガルアとマルアのあいだで︑わたしたち が道すがら︑売春婦たちとどんな会話をかわしているかをおしえて あげよう︒  さて︑運転手が︑﹁さて︑きて︑車をおしてくれ﹂という︒車が エンジンの音をたてながらはしりだす︒女が︑﹁まっておくれ︑パ トロン︒まっておくれ︒パトロン﹂という︒運転手は︑﹁どこにい くつもりだ﹂という︒女は︑﹁わたしのパトロン︑男に離縁された の︒わたしはかルアのローペーレ地区のダンワというところにかえ るの﹂という︒運転手は︑﹁それなら︑百五十フランもらおう﹂と いう︒女は︑﹁パトロン︑わたしには一銭もない︒きいてよ︒わた しは男に離縁され︑八年にもなる︒いま︑どこでお金を手にいれ

るというの﹂という︒運転手は︑﹁うそをつくな︒車にはいれ﹂と 04 4

(16)

いう︒ドアをバシンとしめる︒運転手は︑﹁ちゃんとすわっておれ﹂

という︒女は︑﹁わたしはすわっている︒パトロン﹂という︒ブゥ

ゥゥゥ︒女は︑﹁アッラーにかけていうわ︒パトロン︑わたしとア

ッラーだけのあいだの話だけど︑わかっていたなら︑こんなガタガ

タの車にのらなかったのに﹂という︒運転手は︑﹁ちゃんとすわっ

ておれ︒車をロバのようにみるのはよせ﹂という︒女は︑﹁すわっ

ている︒パトロン・ンガフィ︑わたしはフルベ族みたいに車のこと

はわかっている﹂という︒ブーズー︒運転手は︑﹁おまえさんはか

ルアにいって︑男といっしょにすんでいるのか︒ずっとその男とい

っしょなのか﹂という︒女は︑﹁パトロン︑その男にまたしても離

縁された︒それでわたしになにができるの︒糞つたれめ︑あの気違

いめとわかれてやった︒おまえさんには︑あいつのしたことがわか

らないだろう︒いま︑わたしはおまえさんといっしょになる﹂とい

う︒運転手は︑﹁なんだって︑うそだ﹂という︒女は︑﹁ほんとう︒

アッラーにかけて︒パトロン﹂という︒ズーズー︒運転手が︑﹁ち

ゃんとすわっておれ︒山をこえる﹂という︒女が︑﹁わかった︑パ

トロン﹂という︒車が︑﹁ハワーウ︵女の名前︶・ディージャトゥ

︵女の名前︶・ミ・イダー︵﹁わたしはいや﹂の意味︶・ミ・イダー﹂

と音をたてながらはしっていく︒カタカタ・クッルルル・ガチン・

チュー︒女が︑﹁パトロン︒アッラーにかけていうわ︒わたしはお

まえさんがすき︒アッラーにかけて︒わたしはどうしようもないほ どすき﹂という︒運転手は︑﹁わたしもハエがウンコにたかるよう におまえさんがすきだ﹂という︒ズi・クルルル︒運転手が︑﹁い まその街をとおりすぎていくが︑その名前はなんというのか﹂とい う︒女は︑﹁ここはピトワではないの︒パトロン﹂という︒運転手 は︑﹁なるほど︒おまえさんはこの場所をしっている︒いつも︑こ ういうところであそんでいるのだな﹂という︒女は︑﹁わたしに男 が手にはいらないというわけではないが︑こうなればわたしはあな たがすき﹂という︒ズゥゥゥ︒運転手は︑﹁ガルアにいったら︑パ トロン・ンガブイにあいにいくのだな︒それとも︑おまえさんはな にもしないのか﹂という︒女は︑﹁わたしはおまえさんのいるとこ ろがわからない︒わかっていたら︑おまえさんにあいにいけないこ とはない﹂という︒運転手は︑﹁なるほど﹂という︒ズゥゥゥ︒女 は︑﹁おまえさんはケンという店をもっている人が元気がどうかし っているかい︒ガルアではあそこの景気がよいし︑金もある﹂とい う︒運転手は︑﹁なるほど︒おまえさんはケンという店をもってい る人のところにいるのか﹂という︒ルー︒  お話は︑おしまい︒  ︵一九六九−七〇年︑語り手 バーセーウォ村出身のアブドゥッ   ラーイ・ウスマーヌ︑マルアにて︑マルアにて︑マルアにて︶

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参照

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