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触覚フィードバックによる音声ピッチ制御システムの改良と評価

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─ 139 ─

触覚フィードバックによる音声ピッチ制御システムの改良と評価

坂尻正次

筑波技術大学 保健科学部 情報システム学科 キーワード:触覚フィードバック,盲ろう,触覚ディスプレイ,歌唱

筑波技術大学テクノレポート Vol.22 (1) Dec. 2014

1.背景と目的

これまで盲ろう者のコミュニケーション支援のための触覚 刺激による韻律情報呈示方式について研究し,その成果を もとに盲ろう者・聴覚障害者の歌唱支援のための触覚フィー ドバックによる音声ピッチ制御に関する研究をおこなってき た。そして,2 次元触覚ディスプレイを用いた歌唱支援シス テムを開発し,その有効性を示してきた。また,触覚フィー ドバックにより音程を制御し,歌唱する際の機序を調べるた めに筋感覚等による固有感覚フィードバックに着目した評価 を実施してきた。その結果,本システムを用いることにより

固有感覚フィードバックによる音程制御の精度が向上するこ とが確認された。本研究課題では,さらに触覚フィードバッ クによる音程制御の機序について検討を進めること目指し,

触覚フィードバックの解像度と音程制御の関係について調 べるために音声ピッチ制御システムに必要な改良を施すこと を目的としている。

2.成果の概要

図 1 に音声ピッチ制御システムの概略図を示す。本シス テムでは,目標音階を PC で設定し,その目標音階と同じ 音階(音声ピッチ周波数)になるように,盲ろう者・聴覚障 害者が発声する。触覚ディスプレイの左側 2 列は目標音階 を触覚呈示するために,右側 2 列は盲ろう者・聴覚障害 者自身の音声ピッチ周波数に対応した音階を触覚呈示す るためにある。目標音階側,盲ろう者側ともに同一行の 2 列分が同時に振動する。行方向には刺激ピンが 16 行あ るが,これは音声ピッチ周波数に対応している。ピン番号 1 が最も低いピッチ周波数に,ピン番号 16 が最も高い周波数 に対応している。目標音階の振動と自分の音声ピッチ周波 数の振動位置が同一行になった場合に音程が一致したと いうことになる。

本研究課題では,触覚フィードバックの解像度と音程制 御の関係について調べるために本システムに必要な改良を 施すことを目的としているが,具体的には次の 2 項目につい

ての改良をおこなった。

(1)音声ピッチ周波数と刺激ピンとの対応の変更

(2)ピッチ変換触覚フィードバックの実験のための設定機能   追加

(1)は,触覚フィードバックの解像度と音程制御の正確 性を評価するための改良である。刺激ピン 1 つに割り当て る周波数範囲を変更した状態で音程制御の正確性がどの ように変化するかを評価する。現状では,1 つの刺激ピン の周波数範囲が 12 平均律の半音に相当している。これ を設定ファイル等により変更可能とした。例えば,4 つの刺 激ピンで 1 半音分を割り当てるなど。逆に 1 つの刺激ピン に 2 半音を割り当てることもできる。(2)のピッチ変換触覚 フィードバックでは,実際の振動位置より振動位置を上下に ずらすことにより,音声ピッチ周波数がどのように応答するか を評価する(自分の声の音高の変化を打ち消すように音高 が変化する反射的な現象が起こると予想される)。既に聴 覚・音声の研究分野ではピッチ変換聴覚フィードバックと呼 ばれている研究手法があるが,それは音声ピッチ周波数を 人為的に変更してヘッドフォンで聞かせた際の反射的応答 を調べて聴覚のフィードバック機構を研究する手法である。

同様のことを触覚フィードバックでおこなった場合にどのよう 図 1 音声ピッチ制御システム

PC (speech analysis, visual

display)

Tactile display (presenting musical scale)

User’s voice (microphone)

Setting target musical scale by keyboard or mouse

16th(high)

Musical interval of user’s voice Target musical interval

do si la do

so mi fa re si

1st(low)

(2)

─ 140 ─ な現象が発生するか,ピッチ変換聴覚フィードバックの場合

とどのように違うかを調べることを目的としている。以上の 2 項目につての改良を施した本システムの実行画面を図 2 に 示した。(1)及び(2)のための設定を実行画面上また は設定ファイルにより設定することができる。試用評価の結 果,改良された本システムが当初の仕様通りに動作しするこ とが確認された。今後は,触覚フィードバックの解像度と音 程制御の関係の詳細について,さらなる評価を実施してい く予定である。

図 2 改良された音声ピッチ制御システムの実行画面

3.成果の学会発表

本研究における成果の学会発表等は次のようになる。

[1] M.Sakajiri, S.Miyoshi, K. Nakamura, S. Fukushima, T.Ifukube: Evaluation of voice pitch control in songs with different melodies using tactile voice pitch feedback display, NTUT Education of Disabilities, Vol.12, pp.6-10 (2014)

[2] M.Sakajiri, S.Miyoshi, K.Nakamura, S.Fukushima, T.Ifukube: Accuracy of voice pitch control in singing using tactile voice pitch feedback display;

2013 IEEE International Conference on Systems, Man, and Cybernetics, pp.4201-4206 (2013)

[3] 坂尻正次,三好茂樹,中邑賢龍,福島智,伊福部達:

触覚フィードバックによる音声ピッチ制御 ~ 歌唱時の ピッチの正確性について ~;信学技法 WIT2013-31,

pp.41-46 (2013)

参照

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