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〈論 説〉
最近 の タイ にお け る国際人権 条約 の 国 内的実施措 置
特 に障害者 の権利保護 に関す る立法 を中心 に
飯 田 順 三
目 次 1は じめに
21997年 憲法 と2007年 新憲法 の障害者 に関す る規 定の比較検討 3障 害者 能力回復法 と障害者生活 向上法案 の比較検討
3‑1法 案 の成立経過 3‑2法 案 内容 の比較検討 4不 当差別禁止法案 の検討
5お わ りに
1は じめ に
本 稿 の 目的 は、 す で に基 本 的 な 国 際 人権 条 約 に加 入 して い る タイ が 人権 保 障 の た め に国 内法 を どの よ うに整 備 して い るか 、 中で も障害 者 の権 利 保 護 につ い て どの よ うな法 律 を制 定 して い るか につ いて これ を明 らか にす る こ とで あ る。
タイ はす で に、 「市 民 的 お よび政 治 的権 利 に関 す る国 際規 約 」 を1967年9月29
1)
日に署 名1996年10月29日 に加 入 、 「経 済 的社 会 的 お よび文 化 的権 利 に関 す る国
2)
際 規 約 」 を1967年9月29日 に 署 名1999年9月5日 に加 入 、 「女 性 差 別 撤 廃 条 約 」
3)
を1987年1月23日 に 署 名1985年8月9日 に 加 入 、 「こ ど も の 権 利 条 約 」 を1990
4)
年9月18日 に 署 名1992年3月27日 に 加 入 、 「入 種 差 別 撤 廃 条 約 」 を1996年5月
5)
5日 に署 名2003年1月28日 に加 入 して い る。 さ らに タイ は、2006年12月13日 、
「障 害者 の権 利 及 び尊 厳 を保 護 ・促 進 す るた め の包 括 的総 合 的 な 国 際条 約 」 いわ ゆ る障害 者 権 利条 約 が 国連 総 会 で採 択 され、 翌2007年3月20日 、 署名 の た め に
6)
開 放 され た際 、 同 日 この条 約 に も署 名 して い る。
だ が一 方 で、1982年 、 第37回 国連総 会 で 「国連 障害 者 の10年(1983年 一1992 年)」 宣 言 お よび 「障害 者 に関 す る世界 行 動 計 画」が採 択 され 、 タイ も これ に従 っ た 障 害者 政 策 の国 内 的実 施 が 求 め られ た が 、 タ イ の障 害 者 関連 立 法 が成 立 す る の は1991年 の 障 害者 能力 回復 法 の公 布 を待 た ね ば な らなか っ た。 その後 、 同法 に基 づ い て設 置 され た障 害 者 能 力 回復 委 員 会 は、第8次 国家 経 済 社 会 発 展 計画 (1997年 一2001年)に 従 って 国家 障 害者 能力 回復 計画1997年 一2001年 を策 定 し、
続 く第9次 国 家経 済社 会 計 画(2002年 一2006年)で は、 国家 障 害者 能 力 回復 計
7)
画2002年 一2006年 を発 表 した。
この 第8次 国 家 経済 社 会 発 展 計 画 の開 始 した1997年 に は、 新 た な憲 法 が 公 布 され た が 、 憲 法 起 草 過 程 で タイ の 障 害者 団 体 の意 見 が 採 用 され後 述 す る よ うに 障害 者 の権 利 保 護 に 関 す る条 文 が規 定 され た 。 さ らに、 この 障害 者 の権 利保 護 の潮流 は翌1998年12月3日 の チ ュ ア ン首相 の障 害者 権 利宣 言 の署名 に結 実 した。8)
そ の後 、 国 際社 会 で は前 述 の 国連 障害 者 の 人権 条 約 が成 立 したが 、 そ の後 の タ イ の障害 者 立法 に大 き く影 響 を与 え た よ うで あ る。事 実 、昨年 来(2006年)、1991 年 障 害 者 能 力 回復 法 を廃 止 し、 一 層 、 障 害 者 の権 利 保 護 に視 点 を 当 て た 内容 の 新 法 を制 定 す る作 業 が進 ん で い る。
本稿 で は、 以上 の よ うな タイ の 障害 者政 策 を立法 面 か ら検 討 す るた め、 まず 、 1997年 憲 法 お よび2007年 新 憲 法 に お け る障 害 者 に関 す る条 項 を指摘 し、 次 に、
前述 の現行 障 害 者 能 力 回復 法 とその 改正 法 案 を比較 す る。 最 後 に、 関連 立 法 で あ る不 当差 別 禁 止 法 案 にっ い て考 察 を加 えた い。
21997年 憲 法 と2007年 新 憲 法 の 障 害 者 に関 す る規 定 の比 較 検 討9)
1997年 憲 法 は 、 そ の第30条 で 人 に対 す る不 当差 別 を禁 止 す る条 文 を置 いて い る。 す な わ ち 同条 は、 「出生 地 、 人 種 、 言 語 、 性 、 年 齢 、 身 体 特 徴 や 健 康 状 態 、 門 地 、 経 済 的 な い し社 会 的地 位 、 宗 教 的信 条 、 教 育 、 憲 法規 定 に反 しな い政 治
]0)
思想 の 違 い に よ る不 当 な差 別 は これ をお こな っ て は な らな い 」 と規 定 す る。
また、 同第55条 で は、 「障 害者 は国か ら公 的 な便 宜 や 支 援 を受 け る権 利 を有 す る」 と明記 され て い る。 また 同80条 後段 で は、 「国 は障 害者 の生 活 の質 が 向上 し、
最近 の タイ における国際人権条約 の国内的実施措 置25
11)
また 自立 で き る よ うに支i援しな けれ ば な らな い」 こ とが 定 め られ た 。
この よ うに1997年 憲 法 は 、障 害 者 の権 利保 護 につ いて3つ の条 文 を用 意 して い る。 特 に第55条 と第80条 後 段 は、 障 害者 に特 定 した条 文 で あ る こ とは注 目す べ き こ とで あ る。
一・方、先 頃成 立 した2007年 新 憲法(以12) 下 、新 憲 法)で は、1997年 憲 法 第30条 が そ の ま ま維 持 され て い る。 さ らに、 これ 以 外 に も障害 者 に関 す る新 た な条 文 が追加 され た 。 まず 、新 憲 法 第40条6項 で 「こ ど も、 青年 、女 性 、 高 齢 者 あ る い は 障害 者 は、訴 訟 審 理 に お いて 適 正 な保 護 を受 け る権 利 を有 し、 か つ性 暴 力 事件 に お い て 適切 な扱 い を受 け る権 利 を有 す る」 と規 定 され た。
この条 文 は、 いわ ゆ る社 会 的 弱者 が適 正 な 訴訟 審 理 を受 け る こ とが で き る権 利 を保 護 す る内容 で あ り、 特 に、性 暴 力 事件 にお い て被 害 者 が訴 訟 審 理 過 程 に
おい て 、2次 被 害 を受 け ない よ う配 慮 した もので あ る。
また新 憲 法 第49条 前 段 で は、 「国 が全 土 的 に良 質 の無 償 教 育 を少 な く とも12 年 間 実 施 す る にお い て 、 人 は これ を平 等 に受 け る権 利 を当 然 に有 す る」 と し、
続 く後段 で は、 「貧 困者 、 障害 者 あ るい は困窮 者 は、 上 記 の権 利 お よび他者 と同 等 の教 育 を受 け るた め に 国 か ら支i援を受 け る権 利 を有 す る」 とされ て い る。
さ らに、 第54条 で は、 「障 害者 は、 福 利 、公 共 上 の便 宜 お よび 国か らの適 切 な 支援 に ア クセ ス しそ れ らか らの利 益 を享 受 す る権 利 を有 す る」 と規 定 され て い
る。
さ らに、第80条 で は、 「国 は以 下 に規 定 す る社 会 、 公衆 衛 生 、教 育 、 文化 の各 分 野 の政 策 に した が って これ を実 施 しな けれ ば な らな い」 と し、 そ の第1項 で は、 高齢 者 、 貧 困者 、 障 害 者 、 困窮 者 の 生活 の 質 が 向上 し 自立 す る こ とが で き るよ うに支 援 し福 祉 を整 備 す る こが 定 め られ て い る。
最 後 に152条 にお い て、 「法律 案 の 審 議 の 際 、 こ ども、青 年 、 女 性 、 高 齢 者 あ るい は障 害 者 に関 す る重要 事 項 が 存 在 す る と下 院 議 長 が判 断 した に もか か わ ら ず、 下 院 が その よ うな審 議 を お こな わ な い場 合 は、 下 院 に対 して 上 記 の人 々 に 関 わ る民 間 団 体 か らの代 表 が委 員 全 体 の3分 の1と な り、 そ の男 女 比が ほ ぼ 同 数 とな る よ うな特 別 委 員 会 を設 置 す る」 と規 定 して い る。
以 上 の よ うに、 新 憲 法 で は、 障 害者 を含 ん だ社 会 的 弱者 の権 利 保 護 に関 す る 規 定 が6条 あ り、1997年 憲 法 よ りも3条 多 くな っ て い る。 新 憲 法 につ いて は、
13}
国民 か ら広 く意 見 を聴 取 して い るので 、 れ た もの と考 え られ る。
この よ うに障害者 の権 利保 護が強調 さ
3障 害者 能 力回復法 と障害者生活 向上法 案の比較検討
3‑1法 案 の成 立 経過
i4)
タ イ で は現 在 、 障 害 者 に関 す る法 律 と して、1991年 障 害 者 能 力 回 復 法 が 効 力 を有 して い るが 、 先 頃、 これ に替 わ る新 法 を制 定 す るた め、 社 会 発 展 と人 間 の
エら
安 全省 は、 「障 害者 の 生 活 の質 の 向上 と発 展 に関 す る法 律 案 」(以 下 、 障害 者 生
16)
活 向上 法 案)を 作 成 した。 そ して、2006年1月17日 、 政 府 は この法 案 に関 す る 3っ の基 本 方針 を閣 議 決 定 した。 そ れ ら は第1に 、本 法 に基 づ き障 害 者 身分 証 明書 を持 つ 者 が 、 国 か ら公 共 上 の便 宜 お よび そ の他 の 支援 を受 け る こ とが で き る こ と、 第2に 、 障 害者 の 生 活 の質 の改 善 と向 上 に供 す る基 金 制 度 を設 け る こ と、 第3に 、 国 に 障 害者 の職 業 機 会 の 向 上 と促 進 に関 す る部 局 を設 置 す る こ と の3点 で あ る。 この 閣議 決 定 を受 け内閣 官 房 事 務局 は、 同月27日 に法 制 委 員 会 事務 局 に対 して 同法 案 を精 査 す る よ う指 示 した 。 障 害 者 生 活 向上 法 案 の検 討 に 際 して は、社 会 発 展 と人 間 の安 全 省 、 財 務 省 、情 報 伝 達 技 術 省 、 内務 省 、 労働 省 、 教 育省 、 予 算 局 、 最 高 検 察 局 か らそれ ぞ れ の代 表 者 か ら構 成 され る委 員 会
17)
で検 討 され た。 こ う して、 今 年(2007年)3月 に障 害者 生 活 向上 法 案 が 成 立 し た ので あ る。
3‑2法 案 内 容 の比 較 検 討
次 に、 障 害者 生 活 向上 法 案(以 下 、 本 法 案)の 内 容 につ い て現 行 法 で あ る障 害 者 能 力 回復 法(以 下 、 現 行 法)と 比 較 しな が ら検 討 して み た い。
現 行 法 の条 文 数 は20条 で あ るが、 本 法 案 は全41条 で あ り条 文 数 が倍 加 して い る点 が 、 まず 注 目 され る。
第1条 は法 律 の名 称 で あ る。 本 法案 は 「障 害者 の 生 活 の質 の 向上 と発 展 に関
18)
す る法 律 」 案 とな っ て お り、 現 行 法 で は 「障害 者 能 力 回復 法 」 で あ る。 この こ とか ら、本 法 案 で は、 障 害 者 の生 活 とそ の質 の視 点 が 付加 され て い る こ とが分 か るが 、 法制 委員 会 事務 局 に よ る と、 「よ り適 切 にす るた め」 に法律 名 を変 え た
最近 の タイ にお ける国際人権条約の 国内的実施措置
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19)
と さ れ る 。
【定 義 規定 】
本 法 案 で い う障害 者 とは、 「視 覚 、聴 覚 、 動 作 、 伝達 、精 神 、情 緒 、行 動 、 知 能 、 学 習 にお いて 障 害 が あ るた め、 日常 生 活 にお い て仕 事 が で きな い 、 あ るい は社 会 参 加 が で きず 、0般 人 と同様 に 日常 生活 にお いて 仕 事 あ るい は社 会 参 加 が で き るた め に は、 各 種 の特 別 の援 助 を受 け る必 要 が あ る者 を い う」(第4条)
とな って い る。一 方 、現 行 法 の 障害 者 の定 義 は、 「省 令 で規 定 され た分類 に従 い、
身体 、 知 能 、 精 神 面 で 異常 ない し欠 陥 を持 つ 者 を言 う」 で あ る。 こ こか ら も分 か る よ うに、 本 法 案 で は、 障 害者 を積 極 的 に社 会 の一 員 と して扱 う とい う人権 尊 重 の視 点 が 見 られ る。
次 に、 「障 害 者 の能 力 回復 」 とは何 か が 定 義 され て い る。 そ れ に よ る と、 「社 会 に お い て働 く機会 や 生 活 が健 常 者 と平 等 にな る よ う、 医療 、 教 育 、 社 会 、 職 業訓 練 を通 じて 、 障 害 者 の能 力 が 向 上 す る こ とを い う」 とあ る。 これ は、現 行 法 と全 く同 じ規 定 内容 で あ る(現 行 法 第4条)。
次 に、 「生 活 の 質 の 向上 と発 展 」 とは何 か が定 義 され て お り、 それ は、 「障 害 者 の 能 力 を 向 上 させ る こ と、 障 害者 を支 援 す る こ と、 そ して健 常 者 と同様 に尊 厳 を もっ て社 会 に利 益 を もた らす こ とが で き る よ うに障 害者 の 日常 生 活 に お け る社 会 参 加 を促 進 す る こ と」 を い う。 この定 義規 定 は、 現 行 法 に は な か っ た も の で あ り、本 法 案 で は、 障害 者 の 「生 活 の質 」 とい う価 値 に着 目 して い る こ と が分 か る。
【障 害者 生 活 向上 委 員 会 】
第5条 は、 障害 者 の 生 活 の質 の 向上 と発 展 に 関 す る国 家 委 員 会(以 下 、 障害 者 生 活 向 上 委 員 会)の 規 定 で あ る。 そ れ に よ る と、 障 害 者 生 活 向上 委 員会 は、
首相 が 委 員 長 、社 会 発 展 と人 間 の安 全 省 大 臣 が 副 委 員 長 とな り、 以下 の委 員で 構 成 され る。 国か らは、 財 務 省 、 観 光 お よび ス ポ ー ツ省 、 社 会 発 展 と人 間 の安 全 省 、 交 通 省 、 情 報 伝 達 技 術 省 、 内務 省 、 法務 省 、 労 働 省 、 教 育 省 、 公衆 衛 生 省 の 各 次 官 、 お よび予 算 局 事務 長 が 委 員 とな る。 民 間 か らは、 各 障 害 者 団 体 の 代 表 合 計7名 以 内 が 委 員 とな るが 、 各 団体 に所 属 す る障害 者 数 を勘 案 し内閣 が
任 命 す る。 さ らに 内閣 は、 民 間 か ら4名 の 識 者 を委 員 と して任 命 す る。 な お、
児 童 ・青 年 ・弱者 ・障 害 者 お よび 高齢 者 の福 祉 増 進 と保 護 局(以 下 、 障 害者 等 保 護 局)事 務 長 は、 本 委 員 会 の構 成 員 で あ り事 務 局 長 を兼 任 す る。(第5条)。
これ に対 して、 現 行 法 で は、 「障 害者 能 力 回復 委 員 会 」 の設 置 が 規 定 され て い る。 た だ し、 委 員 長 は首 相 で は な く内務 大 臣 で あ る。 本 法 案 で は障 害 者 政 策 立 案 に首 相 自 らが 参 画 す る制 度 とな って い る。 この点 に つ い て 、 法 制 委 員 会 記 録 は、 「障害 者 の生 活 の質 の 向 上 と発 展 につ いて は、 国家 レベ ル で の計 画 策 定 にな
̀LO)
るの で 、 関係 各 省 間 の調 整 が無 けれ ば な らな い」 と述 べ て い る。
一・方、 障害 者 生 活 向上 委 員 会 の 委員 に 障 害者 団体 の 代 表 が 参 画 す る点 につ い て は、 「障 害 者 の権利 を擁護 す るに おい て一 層 利 益 とな る」 か らで あ る と指摘 し て い る。
この よ うに、 首 相 が 委 員 長 に就 任 す る とい う こ と、 そ して 、 障 害 者 生 活 向上 委 員 会 の構 成 員 に 障 害者 団体 の代 表 が 含 まれ る とい う こ とは、現 政 府 が 障 害 者 政 策 を よ り重 要 視 して い る証 左 で あ る と言 え る。
第6条 で は、7項 目 にわ た る障 害者 生活 向上 委 員 会 の権 限 が規 定 され て い る。
第1に 、 内 閣 に対 して 障害 者 の 生 活 の質 の 向 上 と発 展 に関 す る政 策 と基 本 計 画 を提 案 す る こ とで あ る。
第2に 、本 法案 の諸 条 項 に規 定 され て い る諸大 臣 に助 言 を与 え る こ とで あ る。
関 係 諸 大 臣 に は、 第19条1項 に基 づ き公 衆 衛 生 大 臣 、 同条6項 に基 づ き情 報 通 信 大 臣、 第29条 お よび30条 前段 に基 づ き労 働 大 臣、 第33条 に基 づ き社 会 発展 と 人 間 の 安 全 大 臣が 該 当 す る。
第3に 、 国 の 機 関 や 民 間 の 関係 団体 に対 して 障 害 者 の生 活 の質 につ いて の援 助 、 向 上 、発 展 に関 す る規 則 お よび 方法 を策 定 す る こ と。 この点 につ いて 、 現 行 法 で は、 規 則 や 方 法 を策 定 す る権 限 は規 定 され て い な い。 つ ま り、本 法 案 で は、 障害 者 生 活 向 上 委 員 会 に現 行 法 に比 べ よ り強 い権 限 が 与 え られ て い る と言 え よ う。
第4に 、 障 害 者 に対 す る不 当 差 別 が あ っ た場 合 、 これ を取 り消 す 命 令 あ るい は当該 行 為 を禁 止 す る命 令 を 出す こ と。 この規 定 も現 行 法 に はな い もので あ る。
この条 文 は、1997年 憲 法 お よび新 憲 法 案 で規 定 され た不 当差 別 禁止 の条 文 が 具 体 化 され た もの で あ る。
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第5に 、 障害 者 の 生活 の 質 の 向上 と発 展 に 関 す る国 あ る い は民 間 団体 の事 業 支 援 を検 討 す る こ と。 この条 文 も現 行 法 には な い もの で あ る。 つ ま り、本 法 案 で は 障 害者 の 生 活 の 質 の 向上 を よ り具体 化 す る とい う視 点 か ら起 草 され て い る
と言 え る。
第6に 、 以 下 の事 項 に関 す る規 則 を制 定 す る こ と。 ① 障害 者 基 金 の 管理 、運 用 、 処 理 に関 す る規 則 お よび障 害 者 の生 活 の質 の 向 上 と発 展 の た め の支 出 を検 討 し許 可 を与 え る規 則 、② 障 害 者 基 金 の財 政 状 況 と管 理 状 況 につ い て の報 告 書 の作 成 に関 す る規 則 、③ 障 害 者 基 金 へ の 入金 、 支 払 、 管 理 お よび高 額 債 務 の 削 減 に 関 す る規 則 、④ そ の他 本 法 を実 施 す るた め に必 要 な規 則 。
次 に、 第7条 か ら第11条 は、 障害 者 生 活 向上 委 員 会 の委 員 に関 す る規 定 で あ る。 同 委 員 会 の委 員 の任 期 は3年 で あ り再任 され る こ とが 可 能 で あ る。 この 障 害者 生 活 向 上委 員会 の会 議 は最 低 年3会 開 かれ な けれ ばな らな い(10条)。 一 方 、 現 行 法 の障 害 者 能 力 回復 委 員 会 の 委 員 の任 期 は2年 で あ る。現 行 法 よ り本 法 案
の ほ うが 、 委 員 の任 期 を1年 長 く設 定 して い る とい う こ とは、 各 委 員 の 障害 者 政 策 に携 わ る期 間 を延 ば す こ とに よ り、 障害 者 施 策 へ の 取 り組 が よ り安 定 的 に
な る よ う期 待 され て い るた めで あ ろ う。
第II条 は、 障害 者 生 活 向 上委 員会 は各 種 の小 委 員 会 を設 置 す る こ とが で き る と規 定 す る。 この小 委 員 会 の委 員 に は、 障 害 者 身 分 証 を持 つ 障害 者 を少 な くと も1名 を委 員 として任 命 しな けれ ば な らな い。 この点 は、現 行 法 と同 じで あ る。
第12条 は、 障害 者 等 保 護 局 が 、 障 害者 の生 活 の質 が 向 上 し発 展 す るた め の諸 施 策 をつ か さ どる権 限 を持 ち、 また、 障 害 者 生 活 向 上 委 員会 の 事 務 を所 掌 し調 査 研 究 をお こな う責務 を有 す る と規 定 して い る。 そ して さ らに、 同保 護 局 の具 体 的 な任 務 が 次 の よ うに規 定 され て い る。
① 障 害者 の 生 活 の質 が 向 上 し発 展 す るよ うにす るた め、 国 の 内外 の 関連 諸 機 関 と協 力 す る こ と。
② 障 害 者 に関 す る資 料 を収集 し保 存 す る こ と。
③ 障害 者 の 生活 の質 の 向 上 と発 展 に関 す る計 画 案 を策定 す る こ と。
④ 障害 者 の 生活 の 質 の 向上 と発 展 に携 わ る者 に対 す る研 修 を お こな う こ と。
⑤ 障害 者 が 職業 に従 事 す るた め に求職 活動 が で き る よ うにす る こ と。
⑥ 障 害 者 に関 す る調 査 内容 を普 及 し広 報 活動 の 中心 とな る こ と。
⑦ 国 お よび 民 間 団体 が お こな っ た障 害 者 の生 活 の質 の 向上 と発 展 に 関 す る施 策 や 計 画 に した が っ た成 果 を分析 ・考 察 ・追 跡 調 査 し、 か つ 評価 した結 論
を障 害 者 生 活 向上 委 員 会 に報 告 す る こ と。
⑧ 職 業 の 開 発 と雇 用 につ い て 障 害者 が 団 体 を組 織 す る こ とを促 進 し支 援 す る こ と。
⑨ 障害 者 の 生 活 の質 の 向上 と発展 に供 す るた め に国 あ るい は民 間 団体 の雇 用 、 教 育 、 職 業 に関 す る諸 組 織 の関 係 を調 整 す る こ と。
⑩ 障害 者 の生 産 品 あ るい は製 作 品 につ い て広 報 す る こ と。
以 上 の諸 点 は、 現 行 法 で もほ ぼ 同 じ内容 で あ る。
第13条 で は、 本 法 案 の 内容 をつ か さ どる職 員 の任 務 が規 定 され て い る。 それ らは、
① 雇 用 者 対 して労 務 管 理 上 の事 実 や意 見 を示 させ 証 拠 を提 出 させ る よ う文書 で通 知 す る こ と。
② 関係 者 に証 言 させ るあ るい は事 実 を陳 述 書 で示 させ 、 また は そ の他 の証 拠 や 証 人 を提 出 させ る よ う通 知 す る こ とで あ る。 な お 、 この命 令 に違 反 す る 者 は、5000バ ー ツ の罰 金 に処 され る(第36条)。
第13条 の 内容 は明瞭 で あ る とは言 え な いが 、第29条 以下 で 規定 され る雇 用 者 の 障 害 者雇 用 義 務 に 関係 す る条 文 内容 と合 わ せ て理 解 しな けれ ば な らな い。 現 行 法 で は、 この よ うな条 文 は な い の で、 本 法 案 は障 害 者 の雇 用 問 題 に つ いて よ
り注 意 を払 って い る こ とが 伺 え る。
【不 当差 別 の禁 止 】
本 法 案 の特 徴 の一一つ と して挙 げ る こ とが で き るのが 、 障害 者 へ の不 当 差 別 の 禁 止 とい う現 行 法 には な い規 定 で あ る。 す なわ ち、 第14条 で は、 障 害 者 に対 し て不 当差 別 とな る よ うな国 、 民 間 団体 、 個 人 の政 策 、 規 則 、 措 置 、 計 画 、 方 式 な どは、 これ らを お こな っ て は な らな い と規 定 す る。本 条 に よ る と、 こ こに い う障害 者 に対 して不 当差 別 とな る よ うな行 為 とは、 その よ うな行 為 を意 図 しな くて も、 結 果 的 に その よ うな不 当差別 とな り、 障害 を原 因 とす る ゆ え に障 害 者 が 得 られ るべ き利 益 を得 られ な くな るよ うな作 為 お よび不 作 為 を言 う。
た だ し、 障 害 者 に対 す る不 当差 別 が慣 習 上 あ るい は公 衆 の利 益 な どの側 面 か
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ら合 理 的理 由 の あ る場 合 の 差 別 は不 当 な もので は な く、 必要 に応 じて これ をお こな う こ とが で き る。 この 場 合 、 行 為 者 は、 障害 者 の権 利 あ るい は利 益 を必 要 に応 じて で き る限 り救 済 あ るい は 回復 す る措 置 を講 じ な けれ ばな らな い。
上 記 の よ うに、本 条 で は 、 「不 当差 別 とな る行 為 」 につ い て の若 干 の 説 明 は あ るが 、 「不 当差 別 」 自体 の定 義 は な い。 この点 、 次 節 で 述 べ る 「人 に対 す る不 当 差別 に関 す る法 律 案 」 第3条 の 「不 当差 別 」 の定 義 が 参 照 され な けれ ば な らな
い 。
第15条 は、 障 害者 へ の不 当差 別 に よ って被 害 を受 けた障 害 者 は、 障 害者 生 活 向上 委 員 会 に 対 して 当 該 行為 を取 り消 す あ るい は禁 止 す る命 令 を求 め る権 利 を 有 す る と規 定 して い る。 この権 利 を有 す る こ とで 、 当 該 障 害者 の不 法 行為 に よ る裁 判 上 の 損 害賠 償 請 求 権 を失 う もの で は な い。 裁判 所 は、 当該 障 害 者 が 被 っ た損 害 を金 銭 に換 算 す る以 外 の形 で認 定 す る権 限 を有 す る。 当該 障害 者 に対 す る不 当差 別 が 極 めて 強 い故 意 また は過 失 に基 づ く ときは、 裁 判 所 は懲 罰 的損 害 賠償 と して 実 際 に被 っ た損 害 の4倍 を超 えな い程 度 で 認 定 す る こ とが で き る。
以 上 の 請 求 権 につ い て、 損 害 を被 った 障 害 者 また は そ の後 見 人 は 、 関係 す る障 害 者 団 体 に代 理 行 為 を依 頼 す る こ とが で き る(16条)。
以 上 の よ う に、 障 害者 に対 す る不 当差 別 を排 除 しよ う とい う強 い意 志 が 本 法 案 に散 見 され る とい え るが 、0方 、 合 理 的理 由が 存 す る場 合 、 特 に慣 習上 で 合 理 的理 由 あ る場 合 に は、 不 当差別 は違 法 とは な らな い とい う規 定 は、 内容 的 に、
また解 釈 上 で も問題 とな る可 能 性 が あ る規 定 と言 え るだ ろ う。
【障害 者 登録 手続 】
第17条 は 障害者 と して 登 録 す るた め の 手続 につ い て規 定 され て い る。 それ に よ る と、 首 都 バ ン コ ク に住 む 障 害 者 につ いて は、 障害 者 等保 護 局 が 登 録 手 続 の 事 務 を扱 う。 バ ン コ ク以 外 の各 県 につ い て は、 社 会 発 展 と人 間 の 安 全 省 の各 県 の 出先 機 関 が登 録 事務 を所 掌 す る。 障 害 者登 録 手続 の詳 細 にっ い て は、 第18条
にお い て 障 害 者 生 活 向上 委 員 会 が 別 に定 め る こ とに な って い る。 一 方 、 現 行 法 の障 害者 登 録 手続 にっ いて は、 第13条 お よび第14条 に ほぼ同様 の規 定 が あ るが 、 登録 事務 は障 害 者 能 力 回復 委 員 会 が所 掌 す る とされ て い る。
一 方、 実 務 面 で は登 録 手 続 にか か る時 間 が 長 く、 障 害 者 に負 担 が か か って い
る現 状 を改 善 す るため に、 障害 者 等 保護局 は、 同局 告示 を2006年11月 に発 した。
その 結果 、 手続 段 階 として8段 階 、所 要 時 間 が480分 か か っ てい た これ まで の事 務 手 続 が 、 現在 で は5段 階55分 に短縮 され 、登 録希 望 者 の登 録 にか か る負 担 を
2I)
軽 減 す る措 置 が と られ た。
【障害 者 の権 利 】
第19条 に は、8項 目 にわ た っ て 障害 者 が 得 る こ とので き る権 利 が規 定 され て い る。 それ らは、
① 障害 者 が その能 力 の 向 上 を はか るた め に サ ー ビス を受 け る権 利 。
② 普 通 学 校 あ る い は特 殊 学校 で教 育 を受 け る権 利 。
③ 障害 者 の身 体 状 態 お よび 能 力 に合 っ た職 業 生 活 お よび職 業訓 練 に関 す る適 切 な指 示 、 相 談 、 援 助 を受 け る こ とが で き る権 利 。
④ 障 害者 が社 会 に お い て受 け入 れ られ社 会 的 役 割 を担 う権 利 。
⑤ 国 の諸 機 関 に よ る公 共 の サ ー ビス に ア クセ スす るた め に支 援 を受 け、 また 法 律 分 野 の援 助 、 お よ び弁 護 士 を探 す た め の援 助 を受 け る権 利 。
⑥ 国 の諸 機 関 お よび国 か ら補 助 金 を受 けて い る民 間 団 体 か ら伝 達 され る情 報 にア クセ ス す る権 利 お よ び情 報 技 術 や そ の他 の便 宜 を受 け る権 利 。
⑦ 障 害 者 が移 動 した り公 共施 設 で便 宜 を受 けた りす るた め、乗 物 や そ の他 の 場所 にお い て補 助 犬 や歩 行 介 助 器機 その他 の 障害 者介 助 器機 をサ ー ビス料 、 手 数 料 、 使用 料 を払 う こ とな く利 用 で き る権 利 。
⑧ 重 度 の 障 害 者 で 職 業 に就 く こ とが で きず か つ 経 済 的 に 困窮 して い る場 合 、 障害 者 福 祉 手 当 を受 給 す る権 利 。 また、 介 護 人 の い な い障 害 者 は、 国 の機 関 か ら住 居 お よび 生 活 上 の福 利 サ ー ビス を受 け る権 利 を有 す る。 民 間 団体 が すで に住 居 お よび生 活 上 で 援 助 を お こな って い る場 合 、 国 は 当該 民 間 団 体 に対 して助 成 金 を支 給 しな けれ ば な らな い。 さ ら に、 障 害者 の 介 護 人 は 自分 自身 の た め に、 相 談 、紹 介 、 介 護i訓練 、 教 育 お よび就 職 に関 す るサ ー ビ ス を受 け る権 利 を有 す る。 また 、 重度 の 障 害 者 の介 護 人 は、 納 税 の軽 減 あ るい は免 除 を受 け る こ とが で き る。
以 上 の本 法 案 に対 して 、 現 行 法 で は⑥ 項 、⑦ 項 、⑧ 項 の 権 利 内容 は規 定 され て い な い。
最近の タイにお ける国際人権条約 の国 内的実施措置
33
【障 害 者 基 金 】
第20条 は、 障害 者 基 金 の規 定 で あ る。 障害 者 等保 護局 に 「障 害者 の 生活 の質 の 向 上 と発 展 基 金 」 が 設 置 され、 障害 者 の 生 活 の 質 の 向上 とそ の発 展 、福 祉 、 能 力 回復 、 教 育 、 雇用 な どの 事項 に使 わ れ る。 障 害 者 基 金 は次 の項 目か ら構 成 され る。 ①1991年 障 害者 能 力 回復 法 第38条 に よ って移 譲 され た財 産 等 、② 国 の 補 助 金 、③ 寄 付 金 、 ④ 事 業 収 入 、 ⑤ 第30条 に基 づ く雇 用 者 か らの拠 出金 、⑥ 基 金 の利 子 利 益 、 ⑦ 基 金 の運 用 利益 な どで あ る。 な お、 上 記 の基 金 は国庫 へ の歳 入 に は算 入 され な い。 また 、基 金 に寄 付 を した者 は、 税 の免 除 を受 け る こ とが で き る(第21条)。
第22条 で は基 金 管 理 委 員 会 の設 置 が規 定 され て い る。 その構成 員 は、 社 会 発 展 お よび人 間 の安 全 省 事 務 次 官 が 委 員 長 、 障害 者 等 保 護 局 事 務 長 が 副 委 員 長 と
な り、 委 員 に は、 公 衆 衛 生 省 、 予 算 局 、 中央 会 計 局 の 各 部 署 か らの代 表 、 委 員 会 が 任 命 す る学 識 経 験 者5名 お よび 障害 者 支援 保 護 局 事 務局 長 で あ る。 な お、
学 識 経 験 者 の 中 に、 障 害 者 団 体 、 障害 者 介 護者 団体 、 障 害 者 の生 活 の 質 の 向上 と発 展 に 関係 す る民 間 団 体 か らそれ ぞ れ1名 ず つ が 委 員 として 含 まれ る こ とに な っ て い る。
第26条 で は、基 金 監 査 評 価 委 員 会 の設 置 が 規 定 され て い る。 委 員 は7名 で あ る。 その構 成 は、 委 員 長1名 、 事 務 局 長1名 、 そ して 学 識 経 験 者5名 で、 この
5名 の 中 に は、 障 害 者 が1名 入 っ て い な けれ ぼ な らな い。
一 方、現 行 法 で は、 「障 害 者能 力 回復 基 金 」 を設 置 す る規 定 はあ るが、 それ を 管 理 ・運 営 す るにつ い て は、財 務 省 の 助 言 を得 なが ら障害 者 能 力 回復 委 員 会 が 別 に規 則 で 定 め る とい う条 文 しか 規 定 され て い な い。 また 、基 金 管 理 委 員 会 に つ いて も現 行 法 に は定 め が な い。 また、 基 金 監 査 評 価 委 員会 の規 定 もな い。 し たが って 、 本 法 案 で は障 害者 基 金 の管 理 ・運 営 に っ い て 一 層 責任 の所 在 が 明 確 に な っ て い る内容 で あ る と言 え る。
【障 害 者 雇 用 義 務 】
第29条 で は、雇 用 者 の 障 害者 を採 用 す る義 務 が 規 定 され て い る。 民 間 の雇 用 者 お よび 国 の 諸機 関 は適 切 な割 合 で 障 害 者 を雇 用 しな けれ ば な らな い 。雇 用 さ れ るべ き障 害 者 の割 合 につ い て は、 労働 大 臣が 省 令 で 別 に定 め る こ とにな って
い る。
これ に対 して 現 行 法 で は、 障 害者 の保 護 と福 祉 の た め に所 轄 大 臣 は、 民 間の 雇 用 者 が適 切 な割 足 で雇 用 す る もの とす る、 と規 定 され て い る。 つ ま り、 民 間 の雇 用 者 に対 す る定 めで あ り国 の機 関 は対 象 外 に な って い る(現 行 法 第17条 の 2項 前 段)。 したが って、 本 法 案 は障 害者 の雇 用 の機 会 拡大 に とっ て大 き く寄 与 す る もの で あ る と言 え る。
第30条 は、29条 で規 定 され た 内容 の とお りに障害 者 を一 定 程 度 で 受 け入 れ な い雇 用 者 が 労 働 省 令 で規 定 され た金 額 を納 付 す る こ とで この義 務 を免 除 され る 規 定 で あ る(同 条 前 段)。 この 納 付 金 に っ い て未 納 、納 入遅 延 、 不 完 全 納 付 の場 合 、雇 用者 は、 未 払 いの部 分 につ き年7.5パ ーセ ン トの遅 延 金 を納 め な けれ ばな らない(第30条 中段)。 障 害 者 を雇 用 す る雇 用 者 お よび基 金 に資金 を拠 出す る雇 用 者 は、 障 害 者1人 あ た りの賃 金 あ るい は基 金 へ の拠 出金 に対 して別 に法 律 で 定 め る割合 で 税 の免 除 を受 ける権 利 を有 す る(同 条後 段)。 上 記 と類 似 の規 定 は、
現 行 法 に も あ る(17条2項 後 段 お よび第18条 後 段)。
次 に、第31条 で は、 第29条 に従 い障 害 者 を雇 用 す る意 思 の な い国 の機 関や 、 障害 者 を雇 用 せ ず か つ基 金 へ の納 付金 を納 め る こ と も希望 しな い民 間雇 用 者 は、
障害 者 あ るい は障 害 者 の 介 護 人 が 障害 者 の製 作 した 商 品 を販 売 す る場 所 、 あ る い は 障害 者 の お こな うサ ー ビス を提 供 す る場 所 を設 け る こ と、 あ るい は また 、 障 害 者 の仕 事 を支援 す る請 負 人 を用 意 す るあ るい は そ の他 の援 助 を お こ な うこ
と とされ て い る。
現 行 法 に上 記 と同様 の規 定 は な い。 な お、 本 法 案 で は、 障 害者 等 保p局 が、
29条 、30条 、31条 の遵 守 件 数 と不 遵守 件 数 を公 表 す る権 限 を有 す るこ とは注 目 に値 す るで あ ろ う(第35条 前段)。
第32条 で は、 障 害者 等 保 護 局 が 、30条 で規 定 され た基 金 へ の納 付 金 を納 め な い雇 用 者 の 財産 を差 し押 さ え る た め、 文書 命 令 を発 す る権 限 を有 す る と規 定 さ れ て い る。 この命 令 を発 す る こ との で き るの は、 一 定 期 間 内 に基 金 へ の 納 付 を 促 す督 促 状 を郵 送 しかつ 納 付 され なか った場 合 で な けれ ば な らな い。 一 定 期 間
内 とは督 促 状 を受領 して か ら30日 以 上 の 期 間 を空 けた期 間 で あ る。
第34条 で は、被 雇 用 者 の80パ ー セ ン ト以上 で かっ 年 度 内 に お いて180日 以 上 の期 間 で障 害 者 を雇 用 す る雇 用 者 は、 別 に法 律 で定 め る規 定 に従 っ て 免税 措 置
最近 の タイ にお ける国際人権条約 の国内的実施措 置
3S
を受 け る権 利 を有 す る と規 定 す る。
上 記2つ の規 定 につ い て も、 現 行 法 で は類 似 の条 文 は ない 。
【バ リア フ リー化 】
第33条 で は、社 会 発 展 と人 間 の安 全 省 は、 特 に障 害 者 が 利用 す る施 設や 障 害 者 にサ ー ビス を提 供 す る建 物 の形 状 、場 所 、 乗物 、 そ の他 の公 共 サ ー ビス に関 す る省 令 を発 す る こ とが で き る と規 定 され て い る。 障害 者 に対 す る この よ うな 施設 等 を提 供 す る建物 、 乗物 の所 有 者 や その他 の公 共 サ ー ビス を提 供 す る者 は、
これ に 出費 した 費用 にっ き別 に法 律 で 定 め る割 合 で 免税 され る権 利 を有 す る。
そ の 免税 率 は、施 設 の 設 置 にか か っ た 費用 の2倍 で あ り、 そ の額 を 当該 年 次 の 経 常 収 益 ない し純 利 益 か ら差 し引 くこ とが で き る。
これ と類 似 の規 定 は現 行 法第17条1項 お よび第18条 に見 られ る。
4不 当差 別禁 止 法 案
す で に見 た よ うに、 障 害 者 生 活 向上 法 案第14条 で は不 当 差別 の 禁 止 が規 定 さ れ て い るが 、 不 当差 別 の 定 義 が 明確 に は定 ま って い な い。 また 、1997年 憲 法 お よび新 憲 法第30条 も同様 に不 当差 別 を禁 止 す る規 定 が あ るの みで 、 不 当差別 と は何 か とい う明 らか な規 定 が な い 。 ま た、 実 生 活 上 、 障害 者 の雇 用 にお いて 不 当 な差別 を受 け る こ とが な い よ うに 国 は法 的措 置 を講 じ る必 要 が あ る。 そ こで 、 本 年(2007年)、 タイ 政府 は、 「人 に対 す る不 当差 別 に関 す る法 律 案 」(以 下 、 不 当差 別 禁 止 法 案)を 策 定 し、 現 在 、 審 議 に付 され て い る。 この法 案 の立 法 趣 旨
と して は、 憲 法 上 で 不 当差 別 に関 す る規 定 が置 か れ て い る もの の、 実 際 に は依 然 と して 不 当差 別 が 見 られ るの で 、 この 法案 に よっ て憲 法 の定 め る 内容 が 一 層
22)
現 実化 され る必 要 が あ る とい う もの で あ る。 この法 案 は、 障害 者 の み を対 象 に 置 い た もの で は な い が 、 障 害者 雇 用 制 度 に極 め て大 きな影 響 を与 え る もの と考
え られ る。 以下 で は、 その 内容 を見 て み た い。
第3条 で は、不 当差 別 の定 義 が 置 か れ て い る。 それ に よ る と、 「不 当差別 」 と は、 「人 に対 して 直接 的 に差 別 す る意 図 は ない が、 そ の行為 の結 果 として 、 人 が 得 られ るべ き権 利 な い し利 益 を失 うよ うな作為 な い し不 作 為 あ るい は行 動 の選
択 を特 定 す る行 為 、 あ るい は、他 人 と差 違 をつ け る こ とに よ って 人 が 適 法 に有 す る権 利 な い し利 益 に対 して影 響 を与 え る よ うな結 果 を もた らす作 為 な い し不 作 為 あ るい は行 動 の 選 択 を特 定 す る行 為 の こ とで あ り、 出生 、 人 種 、 言 語 、年 齢 、 身体 障害 あ るい は健康 障 害 、 門地 、 経 済 的社 会 的地 位 、 宗 教 的信 条 、教 育 、 憲 法 規 定 に反 しな い政 治 的 思 想 に お け る差 違 を 有 す る こ とを理 由 と して、 これ
らの者 を援 助 す る こ とが で き る に も拘 わ らず 適 切 な理 由 に基 づ く援 助 を拒 絶 す る こ とで あ り、 不 当差 別 を扇 動 、脅 迫 、 誘 導 す る こ とを含 む もの で あ る。」
この定 義規 定 は、 す で に見 た1997年 憲 法 第30条 お よび新 憲法 第30条 の不 当差 別 禁 止 規 定 や 障害 者 生 活 向上 法 案 第14条 の解 釈 に とって 極 め て重 要 な条 文 で あ
る。
次 に不 当差 別 禁 止 法案 で は、 「被 害者 」 にっ い て の定 義 が あ る。 被 害者 とは、
直 接 的 に不 当差 別 で被 害 を受 け た者 だ け で は な く、 そ の者 の 両 親 、 配 偶 者 、 親 戚 、後 見 人 、 介 護 人 、 関係 団体 も含 む と規 定 され て い るが 、不 明 瞭 な定 義 内容
で あ る ので 、 法 律 案 が 修 正 され る可 能性 が 残 って い る。
第6条 で は、 不 当差 別 に よっ て被 害 を被 った 者 は、 国 家 人 権 委 員会 あ るい は 各 法 令 で定 め られ て い る委 員 会 に対 して次 の いず れ か あ るい は複 数 の項 目 を実 施 す る よ うに 裁 定 を求 め る こ とが で き る とされ る。 それ らは、 ① 和 解 勧 試 、② 不 当差 別 の存 在 の認 定 、③ 被 害 者 に対 す る救 済 措 置 と して 作 為 あ るい は不 作 為 命 令 、 ④ 被 害 者 を代 理 す る訴 訟 の提起 で あ る。 もっ とも、被 害 者 の 求 め が な く
と も委 員 会 は これ らの 中 か ら適切 な措 置 を選 択 す る こ とが で き る。
な お被 害者 は、 裁 定 を求 め ず と も裁 判 所 に提 訴 す る こ とが で き る。 ま た、 委 員 会 の 裁定 に不 服 が あ る当事 者 は訴訟 を提 起 す る こ とが で き る。
第7条 は、 民 間 団体 あ るい は個 人 に よ る不 当差 別 に よっ て被 害 を被 った者 は、
普 通 裁 判 所 に提 訴 す る権 利 を有 し、 そ の判 決 に不 服 の者 は、 最 高 裁 判 所 に直接 上 訴 す る こ とが で き る と規 定 され て い る。 一 方 、 国 の機 関 あ るい は そ の職 員 に
よ る不 当差 別 に よっ て被 害 を被 っ た者 は、 行 政 裁 判 所 に提 訴 す る もの と規 定 す る。
第8条 で は、 不 当差 別 の被 害 者 が普 通 裁判 所 あ る い は行 政 裁 判 所 に求 め る請 求 の趣 旨が示 め され て い る。 そ れ らは、 ① 不 当 差 別行 為 に あ た る部 分 を取 り消 す か停 止 す る判 決 また は命 令 、 ② 団体 あ るい は個 人 に よ る不 当差 別 行 為 を禁 止
最近 の タイ にお ける国際人権条約 の国内的実施措 置
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す る判 決 また は命 令 、③ 当該 不 当 差 別 が 不 作 為 に よ る もの で あ る場 合 、 特 定 の 行 為 を お こな うこ とを命 じ る判 決 また は命 令 、 ④ 当 該 不 当差 別 に よっ て被 っ た 損 害 あ るい は侵 害 され た権 利 は い か な る もの か を明 示 す る判 決 また は命 令 、⑤ 民法 上 の 不 法 行為 に 当 た るか否 か に関 わ りな く、 当該 不 当差 別 に対 す る損 害 を 賠 償 す る判 決 また は命 令 で あ る。
さ らに、 当該 不 当差 別 の 態様 を鑑 み る と、 裁 判 所 が① か ら③ の 方 法 に よって は被 害 者 の権 利 を保 護 す る こ とが 適 切 で な い と判 断 す る場 合 は、 裁 判 所 は独 自
に損 害 の存 在 を認 定 す る こ とが で き る。
第9条 は、 第8条 に掲 げ られ て い る権 利 請 求 の 消 滅 時 効 が 規 定 され て い る。
す な わ ち、被 害者 は、不 当差別 が あ った こ とを知 りか つ 当該行 為 の行 為 者 を知 っ た ときか ら2年 以 内 に提 訴 しな けれ ぼ な らな い。
第10条 で は、 本 法 案 に基 づ く提 訴 に関 して は、 そ の訴訟 費用 は無 料 とす る規 定 で あ る。
第11条 で は、本 法 案 に基 づ く訴 訟 にお いて は、 そ れが 簡 便 、 迅 速 、公 正 に行 わ れ る よ う最 高 裁 判 所 長 官 また は最 高行 政 裁判 所 長 官 は、 訴 訟 手続 規則 を策 定 す る こ とが で き る と規 定 され て い る。
第12条 で は、 上 記 訴 訟 の審 理 にお いて は、 当 事者 の 善意 悪 意性 、 行 為 の慣 行 性 、 行 為 の 態様 、 行 為 の 必 要 性 、 被 害 の態 様 ・規 模 な どを考 慮 して 審 理 しな け れ ぼ な らな い と規 定 す る。
最 後 に第13条 で 、監 督大 臣 は、 不 当差 別 を 防 ぐた め に、 また人 が公 平 か つ 正 当 に権 利 と自由 を享 受 で き るた め の措置 を講 じ る もの とす る と規 定 され て い る。
以 上 の よ うに不 当差 別 禁 止法 案 で は、 障 害 者 に関 す る内容 の み な らず 、 広 く 不 当 な差 別 を防 ぎ 、 あ るい は現 に不 当差 別 を受 けて い る者 に対 す る救 済 手 続 の 基 本 枠 組 み を設 定 す る 内容 とな っ て お り、成 立 後 の タ イ社 会 で の実 効 性 が 期 待
され る もの で あ る。
5お わ りに
以上 、1997年 憲 法 お よび新 憲 法 の障 害 者 規 定 、 障 害 者 能 力 回復 法 お よび障 害 者 生 活 向 上 法 案 そ して 不 当差 別 禁 止 法 案 を考 察 して きた が 、 こ こで 結 論 で き る
こ とは、 次 の諸 点 で あ ろ う。 まず 、 タイ は人 権 諸条 約 に比 較 的早 くか ら加 入 し て い た もの の、 そ の総 合 的 な障 害 者 政 策 お よび そ の具 体 化 と して の法 律 の制 定
は、1991年 の 障害 者 能 力 回復 法 を待 た ね ば な らなか った とこ とで あ る。 そ して その後 、1997年 憲 法 で 障 害者 の権 利保 護 に関 す る規 定 が 明 記 され た。 こ う して 障害 者 の権 利 を保 護 す る思 想 的潮 流 は、 タイ の 国連 障 害 者 の権 利 条 約 へ の加 入 を経 て 障害 者 の権 利保 護 を よ り重 視 した新 憲 法 の制 定 につ なが り、 さ らに現 在 審 議 中 の障 害 者 生 活 向上 法 案 と不 当差 別 禁 止 法 案 の成 立 へ と広 が っ て きた の で あ る。
次 に、 近 時 の立 法 は障害 者 の権 利保 護 を よ り一 層 強 め て い るこ とで あ る。 特 に、 障 害者 の 雇 用 につ い て、 不 当差 別 が起 こ らな い よ う に工 夫 が され 、 また 障 害 者 を積 極 的 に雇 用 す る よ うな仕 組 み も導 入 され て い る。 た とえば、 障 害 者 を 雇 用 す る雇 用 者 に は免税 の 得 点 を与 え る こ とな どで あ る。 た だ し、 障害 者 基 金 に納 付 金 を納 め る こ とに よ り障 害 者 を雇 用 しな い こ とが 可 能 とな る法 内容 は、
タイ の実 利 的思 考 方 法 を象 徴 して い る と も言 え よ うが、 この 方 法 が 一一般 的 に な る こ とは法 の趣 旨 に反 す る。 した が って 、 将 来 な ん らか の 対策 を講 じ る必 要 性 が 生 じ る こ ともあ る と予 想 され る。
さて 、 以 上 の よ うな法 律 の整 備 と同 時 に、 一 方 で 、 行 政 当局 は障害 者 政 策 の 改 革 に 努 力 して い る こ とが 伺 え る。 た とえ ば、 障 害者 登 録 作 業 につ い て見 て み
よ う。 タ イ の 総 人 口 は 、2005年 の統 計 に よ る とお よ そ6200万 人 で あ り、2002年
の統 計 で は タイ全 土 の障 害者 数 は101万 人 とな って いた が、 障 害者 として 登録 さ24)
れ て い る件 数 は、2007年6月13日 現在 で 、64万5180件 で あ る。 したが って 、 す25)
で に6割 以 上 の 障 害 者 が 障害 者 登録 を済 ませ て い る と考 え られ る。 この よ うに 漸 進 的 で は あ るが 、 障 害 者 登 録 者 制 度 は機 能 して い る。
障害 者 登 録 数 の 増加 に寄 与 して い る仕 組 み と して次 の ものが 挙 げ られ る。 そ れ は・ 障 害者 に対 す る0層 のサ ー ビス向 上 を図 るた め、2005年8月17日 、公 衆 衛 生 省 と社 会 発 展 ・人 間 の安 全 省 が 障 害 者 に対 す る医療 ワ ンス トップ制 度 の導 入 の た め に結 ん だ合 意 で あ る。 これ は、 障 害 者 登 録 と医療 サ ー ビス が病 院 で行 われ るよ うにす る内容 の合 意 で あ る。調 査 に よ る と、 タイ全 土75県 中、40県154 カ所 と首 都 バ ン コ クで1カ 所 の病 院が この ワ ンス トップサ ー ビス体 制 をす で に 整 え・ 障害 者 へ の行 政 サ ー ビス の 向上 に工 夫 が凝 ら され て い る よ うで あ る。 こ
最近 の タイ にお ける国際人権条約 の国内的実施措 置
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こで も人権保護 の国際的義務 を着実 に果 た して きた タイの努 力 を垣間見 るこ と
26)
が で き る 。
タイ は南 方 上 座 部 仏 教 国 で あ る。 慈 悲 の精 神 を貴 ぶ 国 民性 は、 毎 早 朝 の 托鉢 僧 へ の供 物 を捧 げ る行 為 や週 末 に寺 院 に詣 で る習慣 か ら も伺 い 知 る こ とが で き
る。 だが 、 この 思想 と行 動様 式 は、 障害 者 政 策 に マ イ ナ ス の働 き を生 じ させ た こ とも事 実 で あ る。 つ ま り、 障 害 者 は 「社 会 的 弱 者 」 で あ り、 タイ人 に とって 特 に哀 れ み の 感 情 を もっ て 障害 者 に慈 悲 を施 す こ とは通 俗 的一 般 的 に は善 で あ り徳 を積 む行 為 と して認 識 され る。 だ が0方 で 、 障害 者 は、 過 去 に罪 業 を犯 し た結 果 と して現 世 で 障害 者 と して 生 まれ た ので あ る と捉 え られ 、 積 極 的 に障 害 者 の主 体 性 な い し自立性 を尊 重 しそれ を 開発 す る とい う思 考 が 醸 成 され に くい 思想 的 土壌 が 存在 す る。 そ して さ らに、 この よ うな タ イ人 の仏 教 的寛 容 な い し 慈 悲 の 精 神 は負 の作 用 と して働 き、 障 害者 の 真 に必 要 な もの は何 か とい う こ と
27)
を熟慮 させ な い思 考 方 法 と して作 動 す るの で あ る との指 摘 もあ る。
た しか に、 タイの伝 統 的 思考 の も とで は障害者 は施 しを うけ る 「客体 」 で あ っ た とい え な くもな い で あ ろ う。 だ が 、 タイ の 国 際 人権 諸 条 約 へ の加 入 とそ れ を 国 内 的 に実 施 す るた め の これ まで の漸 進 的過 程 お よび、 特 に、 近 時 の 障害 者 の 人権 保 護 の世 界 的 潮 流 とそ れ を受 けた 障 害者 立 法 の整 備 は、 タイ社 会 にお い て 障 害 者 を真 に権 利 の 「主 体 」 と して 積 極 的 に認 識 す る契機 を もた ら して い る と 言 え るで あ ろ う。
注
1)TheOfficeoftheHighCommissionerforHumanRights「International CovenantonCivilandPoliticalRightsNewYork,16December1966
http://www.ohchr.org/english/countries/ratification/4.htm(2007.8.1)0 2)TheOfficeoftheHighCommissionerforHumanRights「International
CovenantonEconomic,SocialandCulturalRightshttp://www.ohchr.org/
english/law/cescr.htm(2007.8.1)0
3)TheOfficeoftheHighCommissionerforHumanRightsrConventionon theEliminationofAllFormsofDiscriminationagainstWomenNewYork,
18DecemberI979」http://www.ohchr.org/english/law/cedaw.htm(2007.8.1)。
4)TheOfficeoftheHighCommissionerforHumanRightsConventionon
theRightsoftheChild」http:〃www.ohchr.org、english/law/crc .htm(2007.8.1)。
5)TheOfficeoftheHighCommissionerforHumanRightsInternational ConventionontheEliminationofAllFormsofRacialDiscriminationNew
York,7March1966http://www.ohchr ,org/english/countries/ratification/2 .htm {2007.8.1)o
G)SecretariatfortheConventionontheRightsofPersonswithDisabilities
ListofSignatoryStatesandRegionallntegrationOrganizationshttp://www . un.org/esa/socdev/enable/convbycountry.htm#countryt(2007/07/31) 。
7)PhongkewKicatham「 障 害 者 の 能 力 回 復:未 来 と 現 在 」(タ イ 語)http://www .tddf.
or.th/tddfγlibrary/files/pd▽library‑2006‑09‑24‑41 .pdf(2007.7.30)1ペ ー ジ 。 8)WiriyaNamsiriphongphan「 障 害 者 の 社 会 参 加 を 阻 む 法 律 の 改 正:障 害 者 の 職 業 の
権 利 を 制 限 す る 法 律 ・規 則 の 考 察 」(タ イ 語)http://www.krisdika .go.th/pdfPage.
jsp?type=news&newsID=122(2007.8.11)57‑58ペ ー ジ 。
9)1997年 憲 法 と2007年 新 憲 法 と の 比 較 検 討 に っ い て は 、 下 院 事 務 局 「新 憲 法 案 と仏 歴2540 年 憲 法 の 比 較 お よ び 重 要 点 」http://www.parliament.go.th/parcy/sapa ̲db/
committee8‑upload/cons20070806.pdf(2007 .8.1)。 な お 、 正 式 に は1997年 憲 法 は 仏 暦 2540年 憲 法 で あ り 、2007年 憲 法 は 仏 暦2550年 憲 法 で あ る が 、 こ こ で は 西 暦 を用 い る 。 10)1997年 憲 法 第30条 規 定 の 不 当 差 別 禁 止 に 関 す る 判 例 と し て は 、 最 高 行 政 裁 判 所 判 決 仏
歴2547年(西 暦2004年)142号 が あ る 。 こ の 事 件 の 概 要 は 次 の と お り で あ る 。 弁 護 士 で あ る 原 告 が 、2001年 度 の 検 察 官 採 用 試 験 に 応 募 し た と こ ろ 、 被 告 で あ る検 察 委 員 会 は 原 告 の 受 験 を 認 め な か っ た 。 す な わ ち 、 原 告 が 身 体 障 害 者 で あ る と の 診 断 書 が 医 療 委 員 会 か ら提 出 さ れ 、 こ れ に も と づ き 受 験 資 格 審 査 小 委 員 会 が 、 原 告 は1978年 検 察 官 法 第33条 のllに 規 定 さ れ て い る 検 察 官 と し て の 資 質 を 満 た さ な い と の 判 断 を お こ な っ た の で あ る 。 こ れ に 対 し て 原 告 は 、 検 察 官 委 員 会 が 原 告 の 受 」 験 を 認 め な か っ た の は1997年 憲 法 第30条 に 違 反 す る と 主 張 し、 検 察 官 委 員 会 の 決 定 を 取 り消 す 判 決 を 裁 判 所 に 求 め た 。 最 高 行 政 裁 判 所 は 、 以 下 の よ う に 述 べ 原 告 の 主 張 を 認 め た 。 原 告 は 、 身 体 障 害 者 で あ る こ と は 明 ら か で あ る が 、 弁 護 士 業 務 に 支 障 を き た す ま で に 障 害 の 程 度 が 重 大 で あ る と は 言 え な い 。 医 療 委 員 会 の 報 告 書 は 、 検 察 委 員 会 の 審 議 の た め に 供 さ れ る 基 礎 的 内 容 の 報 告 書 で あ る が 、 原 告 の 身 体 障 害 の 現 実 的 な 職 務 遂 行 能 力 に っ い て 検 討 が な さ れ て い る わ け で は な い 。 し た が っ て 、 原 告 が 当 該 試 験 を 受 験 す る こ と を 拒 否 し た 検 察 委 員 会 の 決 定 の 理 由 は 合 理 的 根 拠 に 欠 け る も の で あ り、憲 法 第30条 が 禁 ず る 不 当 差 別 に 当 た る 。最 高 行 政 裁 判 所 「142/2547事 件 」(タ イ 語) http://www.admincourt.go.th/03‑JUDGEMENT/01‑JUDGMENT
̲1NTERESTED/
bOlorder/1422547.htmこ の 判 決 全 文 はhttp://www.admincourt .go.th/47/s47‑OI42‑
jtOl.pdf{2007.8.1)a
lI)法 制 委 員 会 事 務 局 「 仏 暦2540年 タ イ 王 国 憲 法 」(タ イ 語)http://www .krisdika.go.th/
IawHeadPDF.jsp?formatFile=pdf&hlD=3(2007 .8.1)0
12)憲 法 制 定 議 会 「 憲 法 草 案 」(タ イ 語)http://www .parliament.go.th/parcy/sapa ̲db/
committeeO‑upload/0‑20070706113428 ̲lastUpdate[050707‑1858].pdf(2007.8.1)o
ま た 、ThaiDisabledDevelopmentFoundation「 憲 法 上 の 障 害 者 の 権 利 」(タ イ 語)
http://www.tddf.or.th/tddf/library/articie .php?id=0000303&genreid=05&genre=
最近 のタイにおけ る国際 人権条約 の国内的実施 措置
41
%A1%AE%CB%C1%D2%C2(2007,7.31)で は 、 障 害 者 に 関 す る 新 憲 法 の 条 文 を 摘 出 し て い る 。
13)新 憲 法 つ い て は 、 憲 法 制 定 議 会 の ウ ェ ブ サ イ トに 詳 細 な 情 報 が 公 開 さ れ て い る が 、 広 く 国 民 か ら の 意 見 を 聴 取 し た こ と が 強 調 さ れ て い る 。http://cda.parliament.go.th/(タ イ 言 吾)(2007.7.31)。
14)社 会 発 展 と 人 間 の 安 全 省 「 障 害 者 能 力 回 復 法 」(タ イ 語)http://www.dsdw.go.th/rule/
t̲porl.pdf{2007.7.30)o
l5)「 社 会 発 展 と 人 間 の 安 全 省 」 の 英 訳 に つ い て 、 同 省 の ウ エ ブ サ イ ト で は 、Ministryof SocialDevelopmentandHumanSecurityと な っ て い る 。HumanSecurityを 人 間
の 安 全 保 障 と邦 訳 す る こ と は 、 国 際 法 学 上 の 国 家 の 安 全 保 障 と概 念 上 の 混 同 を 生 じ さ せ る と 筆 者 は 考 え る の で 、 こ こ で は 、 「 人 間 の 安 全 」 と し た 。 な お 、 タ イ 語 の 省 名 を 訳 す と 「 社 会 発 展 と 人 間 の 確 立 省 」 と な る 。
16)法 制 委 員 会 「 法 制 委 員 会 事 務 局 記 録 障 害 者 の 生 活 の 質 の 向 上 と 発 展 に 関 す る 法 律 案 既 済 案 件168/2550」(タ イ 語)http://www.krisdika.go.th/pdfPage.jsp?type=news&
newsID=500(2007.7.30)。 こ の 資 料 で は 、 法 律 案 と 共 に 法 制 委 員 会 事 務 局 で 検 討 さ れ た 改 正 の 要 点 お よ び 関 係 各 省 庁 か ら の コ メ ン トが 掲 載 さ れ て い る(以 下 、 「 法 制 委 員 会 記 録 」)。
17)法 制 委 員 会 記 録 、1‑2ペ ー ジ 。
18)「 ア ジ ア 太 平 洋 障 害 者 の10年 の 評 価 完 全 参 加 と平 等 へ のNGOの 展 望 」 に 関 す る タ イ 人 の レ ポ ー・ト で あ るNarongPatibatsarakich「CountryReportofThailandThe
ImplementationoftheAgendaAction」http://www.dinf.ne.jp/doc/english/
intl/02rnn/thai ̲e。html(2007.7.31)で は 、RehabilitationofDisabledPersonsAct
と な っ て い る 。 こ れ を 邦 訳 す る と 障 害 者 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 法 と な る が 、 日 本 語 の リハ ビ リ テ ー シ ョ ン な る カ タ カ ナ 語 は そ の 示 す 内 容 が 曖 昧 と な る た め 、 タ イ 語 を 忠 実 に 訳 して 「 能 力 回 復 」 と し た 方 が 意 味 を 明 瞭 に す る こ と が で き る の で 、 こ こ で は タ イ 語 訳 を 採 用 し た 。 19)社 会 発 展 と人 間 の 安 全 省 「 障 害 者 能 力 回 復 法 」(タ イ 語)http://www.dsdw.go.th/rule/
t̲porl.pdf(2007.7.30)5ペ ー ジ 。 20)法 制 委 員 会 記 録 、1‑2ペ ー ジ 。
21)所 要 時 間 の 内 訳 は 、 ① 申 請 書 受 理 に5分 、 ② 添 付 書 類 確 認 に5分 、 ③ 事 実 確 認 お よ び 登 録 作 業 に25分 ④ 登 録 内 容 の 再 確 認 に5分 、 ⑤ 障 害 者 手 帳 お よ び 手 引 き 書 の 交 付 に15分 の 合 計55分 と な っ て い る 。 障 害 者 等 保 護 局 「 障 害 者 登 録 サ ー ビ ス の 手 続 お よ び 所 要 時 間 に 関 す る 告 示 」(タ イ 語)http://oppd.opp.go.th/regist/registlaw24.pdf(2007.8.2)。
22)ThaiDisabledDevelopmentFoundation「 人 に 対 す る 不 当 差 別 に 関 す る 法 律 案 」 (タ イ 語)http://www.tddf.or.th/tddf/library/article.php?id=0000304&genreid=
05&genre=%Al%AE%CB%C1%D2%C2(2007.7.31)0
23)タ イ 統 計 局 「全 国 土 ・重 要 統 計 」(タ イ 語)http://service.nso,go.th/nso/thailand/
thaiprov ̲stat.html(2007/07/31}0
24)障 害 者 能 力 向 上 ・保 護 局 「[障 害 者 数 の]現 状 」(タ イ 語)http://oppd.opp.go.th/
wel ̲50/indexcbr.pdf{2007.8.2)0
25)障 害 者 能 力 向 上 ・保 護 局 「 全 国 障 害 者 登 録 状 況 」(タ イ 語)http://oppd.opp。go.th/
regist/ta.html(2007.7.31}o
26)障 害 者 能 力 向 上 ・保 護 局 「 公 衆 衛 生 省 と 社 会 発 展 ・人 間 の 安 全 省 と 障 害 者 の 生 活 の 質 の 発 展 に 関 す る 合 意 に 関 す る 成 果 」(タ イ 語)http://oppd.opp.go.th/register ̲50/
reportregisthome.html(2007.7.31)0
27)PhongkewKicatham「 タ イ に お け る 障 害 者 能 力 回 復 の 進 展 」(タ イ 語)http://www . tddf.or.th/tddf/library/files/pdf/library‑2006‑09‑24‑36.pdf(2007.8.7)2ペ ー ジ 。
(2007.8.12月 兇看高)
[補記]
本 稿 の 校 正 段 階 で 国 民 投 票 に か け ら れ て い た2007年 憲 法 草 案 は,賛 成 票56.69 パ ー セ ン ト ,反 対 票4L37パ ー セ ン ト,無 効 票1.94パ ー セ ン ト で 承 認 さ れ た 。
タ イ 国 選 挙 委 員 会 「 仏 歴2550年8月19日 憲 法 草 案 国 民 投 票 方 面 別 統 計 」(タ イ 語)http://www.ect.go.th/thai/download50/postl55.pdf(2007.8.25)。 そ の 後,新 憲 法 は8月24日,国 王 に よ り 認 許 さ れ 即 日 公 布 さ れ た 。 『タ イ ラ ッ ト紙 』
ウ ェ ブ 版2007年8月26日 付http://www.thairath.co.th/news.php?section=
politics&content=58676(2007.8.25)0
(本学法学部教授)