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精神薄弱に関する一考察

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(1)

精神薄弱に関する一考察

沢 英 久

 精神薄弱児は指導によって正常になると考えている人が多い。勿論精神的欠陥があると診断 された多くの人々が,商業,農業,結婚其他各種のいとなみについて正常入と略,同等に生活 している例がある。

 精神薄弱者の判断としては第一,彼等が社会的に一通りの生活が出来るかどうかという社会 的成熟度の調査,第二に精薄者の欠陥としての圭たるもの,即ち,知能的欠陥に対する知能指 数の調査である。

 この二つの内,最も重要なことは社会的成熟度,わけてもその中で,精神薄弱者たちが彼等 の生涯に於て一般社会人と共に,人並の生活が出来るように向上するかどうかという問題であ るが,この問題は一朝一夕に解決する問題ではない。ここに於て吾人は第二の問題,即ち,精 神薄弱者の1.Qの調査によって精神薄弱者を厳密な意味に於て決定づける基準が設定されるか

どうかという問題について考察を進めることにする。

 今迄にもJastak, J(、)が言っているように, Stanford−Binetの1.Qで60, Arthurの 1・Qで100の人間は精神薄弱であろうか,或は亦Wechslerの言語性1.Q 100と動作性LQ45 の人間は精神薄弱であるかと質問されると,明確に答えられるものはいないで,従来は検査者 に,その答をゆだねたのであった。精神薄弱者を唯単にLQだけで判断するものもいないであ ろうが,現在までの所,確信をもって精神薄弱者の決定をするには資料が不足なのである。従 って,精神薄弱者の決定は各方面の能力を測定して,性,年令の発達に比例して,総ての場合 に於て,各方面の得点各々について,二分の一,:或は三分の一以下の得点しか取り得ない時,

姶めて斯かる人間は精神薄弱者であると推定することがこのましいのである。

 Jastak, J.は各方面,総てが正常以下である時,精神薄弱者と認定し,斯かる入間は明かに 社会的に無能力者で,不治の者であると述べている。勿論,斯かる精神薄弱者も剃る程度,年 令とともに発達するもので,発達が中止されたり,後退したりする精神錯乱者ではない。

 Casse1, R.H.はJastak, J.の方法を批判し, Jastakの考え方は目新しいものではないと 言いながらJastakの考え方の各方面に亘って賛意を表している(2)。確かにJastak, J.が 言うように,我々は従来,精神薄弱者の決定に於て余りにも少ない資料に基づいて最後的決定 をしたのではないであろうか。ここに於て吾人は長崎県立浦上学園収容精神薄弱児について,

一,二の考察を行いJastak, J.の要求の一端を明確にしょうとすると同時に,精神薄弱児の 段階別を今少し分析的に細分する試みをくわだてようとしたのである。

 そのために,ここに特に強調したいことは,多くの心理学者の一致しているように,・知能を

(2)

Capacity即ち潜勢力とみようとすることで,この潜勢力は電気のようなもので実際には計る ことが出来ない。然しながら我々は精神物理学的記録としてAbility即ち能力というものを 計ることが出来る。従って,この能力の測定が正確であればある程,我々はCapacityに接 近することが出来るであろう。ここに於て吾人はAltitudeという考え方に付いて改めて考察 することにしよう。Altitudeの考え方は,例えば,診る被験者が巡る機会に三つの検査に於 て夫々5,0,2の得点であったとする。この被験者が他の機会に前記三つの検査に当て夫々,

4,3,4の得点をした時に,我々は,この被験者の三つの検査に於ての得点を夫 々,5,3,4 としようとするのである。換言すると我々は被験者の何れの機会に於ても獲得した得点は,そ の被験者自身の表出したものであり,被験者の能力であるから,その被験者の獲得した最高の 得点,即ちAltitudeこそ,その被験者の実力の表現であると考えようとするのである。この Abilityの計算の最高を得点として採用するという考えこそ,その被験者のCapacityに接 近することが出来ると考えるのである。而して斯かる考えこそ,最も新しい考え方であり,特 に精神薄弱者の厳密な決定に必要欠ぐべからざるものであると思うのである。

実 検査期日

被験者

実験材料 験

第1回 昭和30年6月 第2回 昭和32年6月 第3回 昭和32年7月 長崎県立浦上学園児童

第1回の被験者は45名,第2回の被験者は29名,第3回の被験者は28名であった。

この3回の実験を完全に通過した者28名について整理することにした。

WISC及びVo/keltの材料

WISC一言語性(知識,理解,算数,類似,単語,数唱),動作性(絵画完成,絵画配 列,積木模様,組合)

Fig i Volklt. Hの図

イ) (口) (ハ、 (二) (ホ) ぐへ) (ト〕 (ナ)

更に(ト),㈱の円筒,円錐については描写後(DはFig IIを㈱はFig IIIを示して,これ らの描画の何れが最も適確に描写されているかを質問し,その答を得ることにした。

        F三g II

2 3

一52一

5

[[

 6   7 )

(3)

Fig m

結 

WISCを用いて2ケ年の間隔を置いて2回に亘って実験した。2ケ年の間隔を置いたとい うことは練習効果を防ぐためであった。その結果はTable I及びFlg IVの如くである。

Table l

級 氏名

 池O A

 杉○

 柴○

 金○

 山○

 年  令

男♂,.

男14.1 女11.5 男15.5 男ll.1

B 長○ 男13・11

 松○ 男14.2

級  酒○ 女10,5

 浜○ 男12,7

C

 小○ 女10.7  日○ 女14ユ0  釜○ 男12.9

 瀬○

 吉○

知理算類単数 識解数似語唱

2 6 8 7 5 5 6 5 7 7 610 7 9 8 2 5 4 6 8 6 4 4 7 5 9 6 6 6 7 5 8 3 4 610 3 2 9 3 4 7

2 5104 3 8

3 5 5 3 4 2 3 7 5 4 4 6 4 4 0 3 6 4 4 4 0 3 6 8 0 6 0 2 0 Q 5 7 1 1 4 4 1 4 0 5 5 3 1 5 3 4 4 1 7 7 4 5 6 0 6 4 7 6 6 1 2 1 6 4 4 0 2 5 1 7 3 1

20 0 2 40

0 1 1 3 3 6

25 6 45 3

0 0 0 2 4 1

女・3・5111碧1 男・・…1書ll紹

完配積組 成列木馬 9 5149

147126

7 4 910

106 811

7 5 8 7 6 2 7 5 6 6 9 9 6 7 910

8 41Q 8 6 7 7 7 5 2 5 5 7 4 51!

4 6 6 5

5 4107

3 4 6 5

6 2810

4 0 6 3 4 0 4 1

5 2102

6 0 6 2

40 5 3

1 4 7 6

40 6 1

3 0 4 0 6 0 5 3 5 0 5 4 2 3 8 4 2 1 5 2

Altitude による

言語性動作性全

1.Q

82

78

80

71

66

1.QI,Q

104 89 93 82 78 77 86 75 88 71

62  78 64 60  80 63 58  80 62

71

62

53

62

54 60

66 59

68 53

52 52

56  58 50

53  61 50

(4)

     年 晶晶算類単数

級 氏名 性

     令 識乱数似語唱

 岳○男…6811器8 C桜○女・3」ll拷ll

       O l 2 3 4 0  山○ 女10.9

       0 0 3 2 3 0

 松○女1・・61鍋l18

       0 0 0 3 4 0  森○ 男loユ1

       0 0 0 2 3 0

 山○ 男…8 8886珪8

 森○男・2・6811118 級古○女・4.581Bll

 石○女16・6BllB

 黒○男・5…818111

D 小○ 男13・6 水○ 男17.5

級  峰○ 男15.7

気が向かない

  と発言しない

完配積組 成列木合

6 3 7 1 6 0 6 5 3 0 6 4 4 0 5 2 3 4 7 4 2 0 6 2 2 0 6 2 4 0 4 0 3 3 7 5 1 0 4 4 3 1 6 4 4 0 6 2 2 0 5 1 1 0 4 0 3 0 4 0 3 0 4 1 2 0 4 1 1 0 4 0 0 0 4 1 0 0 3 0 1 0 5 2 2 0 5 2 0 1 6 0 0 0 4 0 1 0 4 0 0 0 3 0

Altiude による 言語性 動作性 全

1.Q   I.Q I.Q

49  68 49 56  57 49 47  64 46 52  53 46 43  64 43 44  58 42 44  46 37

44  46 37 45  45 37 45  41 39

48

45

41

 坂○ 男16.4 E

級 不  能  ・ 不 

これを前記Altitudeの考え:方を入れ言語性1.Q,動作性1.Q及び全1.Qの得点を最:大限 に採点することによって全1.Q 66及びそれ以上をA級,65〜61をB級,60以下をC級,

1.Q算出不能をD, E級と一先づ分類することにした。この分類の根拠はWechsler, Dに従

 66  〜  79  ・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 一・・・・・…  境   界   線

 80〜90…・・………・愚    91〜110・…・…………・………平  

 111  〜 119  ・・・・・・・・・・・・・・・・… 。・。・・・・・・… 。禾暦      発

一54一

(5)

120〜127………・・…・………優秀 128及びそれ以上………… ……・…極 優 秀

 これによると統計的には全1.Q 66−79は純然たる精神薄弱というよりも境界線児であって 指導によっては或る程度の学習に耐えると考えることが出来る。次に全1.Q 65及びそれ以下 をWechsler, D.は心的欠陥者としているが,吾人はこれを三乃至四に分類して65〜61,60 以下,言語性1.Q算出不可能な者,1.Q算出完全に不可能な者に分類することの提案をする

ものである。

 吾人は以上の見地に立ち,更に前記のAltitudeの立場を守りながらFig Iを描写,並に 描画させたのである。この内円筒は上下底,円錐は下底を赤色に塗り被験者に下底の赤色面を 数回眺めさせながら円筒,円錐を写生させたのである。以上を整理するとFig Ivとなった。

       F19 童V

 描画中白紙の所は手本に類似し,誤りなきものFig II(円筒),Fig III(円錐)の答は各被験者の

相当欄に記入して置いた。例えば,3→1→4はFig. Hの3がよしと言い後1から4に移り,最後

に4に落着いたことを示している。

(6)

    ドつエのヰ        ド ヨロの     ド ヨのの 

 ◇鴨△睡醒言色7一 △!

A杉・ 讐      曾3→1  ノ

柴・ @(白紙一合_) ㊥坤161

なを       ヨ ノ    ノ

山・       ㊤   1

,長・讐 血圏   /△ 1

級松・ @令9島△三囲  /○ !

酒・

・・ ㊤ノ6 1

釜・ @%禽盟盟踊跡ノ ム 8

・瀬・ @〈)詔傘    O! 捻 ! 吉・ 6〆△田∈ヨ珊61 ゐ 2 岳・ ○轟愈圏 曜欝/詮 2

櫻・◇影△   旦3冷、6

山・ @覧象△    曾・d !

松・ @△療企囲圖誤0/02→・

森・ ◎船企田田囲02△ 

級山・ @ρ朗携圏割翻轡3倉 2

森・、禽《、   ζ)鋼0 6 古・ 合駕、金   自36 2

石・ @0島宮囲1團曜ロノ() !

黒・ @0継幽田∈囲睡030 ・

小・ @○畿△響町翻㊥  O

D水・ ◇鶉△   夙  △ 級峰・ 部愈  田⑤  〈

島坂・ク囑ρ曾β診θ 躍

      一56一

(7)

考 察 討 論

 (1)精神薄弱者の特質の一つは知的欠陥ということである。而も知的欠陥の中に於ても具体 的のものよりも抽象的のことに欠陥を有していることは多くの学者の指摘している所である。

例えばWechsler, Dは精神薄弱者はV<Pであると論じTable IIIの如く精神薄弱者と 境界線に位置する者との合計332名の調査をした結果,精神薄弱者と境界線の者とに共通する ことは(10〜14)才,(15〜19)才に於てはV<Pであり(20〜49)才に於てはV=Pに近くなる ことを明らかにした(4)。

年 令

lO〜14才 15〜19 20〜49

    Table  亙H

  精神欠陥者

(全1,Q65及びそれ以下)

    51名     38     45

境界線の者

(全1,Q66〜79)

  63名

 53

  82

 普通児は小学校5学年生までは概してV<Pであるが,その後に至るとV>Pとなり(5),

更に極端にV>Pとなる時には分裂症的傾向と診断される傾向さえもあるのである。

 然るに精神薄弱者は成人に至ってもV>PとならないでWechsler, D.のいうようにV=

Pに近よるにすぎないのである。換言すると精神薄弱者は動作性的であり具体的であって,言 語性的抽象的でないということが特色の第一要件としてあげられるということである。

 武藤雪下,CorsiDi. R.T. Fassett, K:K. Beck, H.S. Lam, R.L.たちも精神薄弱者が一般 にV<Pであることを明らかにしている(6).(7).(8)。

 本稿に於ても28名の被験者中Table IVの如く一般的にV<Pであった。ここに診断とし て重要なことは吾人の調査に於てV=P及びV>Pの被験者が4名いるが,これら被験者た ちは他の実験に於て如何なる表出をなすものであるか,又,これら被験者たちの幼児からの教 育の仕方,或は現在の行動などを比較三二することによって治療の方法を個別的に見出す必要 があるということである。

Table IV

V<P V=P V>P

24名

1 3

計 28

 (2)次に28名の被験者のWISC下位テスト10個を施した結果をAltitude的立場から整理 し,言語性,1.Q・動作性1.Q.,全1.Qを算出してみるとTable Iに示した如く2名は全1.

Q(80〜90)であった。Fig Iの描写,描画もFig IVにみられるように概して良好であった。

(8)

実は彼等の生育を調査すると,終戦其他の関係も手伝い,家庭環境上,収容施設に入園したも のであって,Wechsler,的分類によると愚鈍の段階に属するものである。その関係上,我々 は相談の上,彼等2名を普通学校に転校させ,事後観察を続けているのである。

 (3)全1.Q(66〜79)に属したものは3名であった。これら被験者は境界線児であるがFig Iの描写,描画に於ても境界線児としては可成高度の成績である。ただ柴○(女)(小頭)は全 1.Q 80>78即ちV>Pで,自我強く,性格の改善を必要とし軽度の盗癖もあり,残りの2名

も金○(男)は言語障害,盗癖,山○(男)は怠惰,盗癖があるが指導よろしく,環境調節可能な らば教育の対象となる被験者であり,被験者たちの将来に回る程度の光明を見出すことが出来 ると思われる。

 (4)   (65〜61)

 これに属する者3名であるが彼等の動作性1.Qだけから考察すると,70以上に属した者たち であった。だが彼等のFigIでの描写,描画は(イ)即ち菱形描写について3名とも総てやx描写 に欠ぐ所があり,(ロ)所謂,蜂の巣やのの三角形の重複:描写に於ては全体的統一・的描写が崩壊し て部分の羅列と化していることである。更に㊥㈹のの格子の描写に於ては数観念の欠如を如実 に示し,特に酒○(女)は㊥㈹¢9の格子描写に於て各格子が部分的に独立分解していることであ

る。但し(ト)㈱の円筒,円錐の写生に於ては多少の欠陥はあるが被験者として先々許さるべき状 態とみることが出来る。この3名のうち長○(男)は痩形,大頭であり母は精神異常者の疑があ り夜尿,衝動性,爆発的である。松○(男)は言語障害があるが良き家庭に育ち極めて温良な人 物である。酒○(女)は小頭で,外向性,落着なき女児であるが,これら被験者たちは社会の保 護,親切,同情があるならぽ困難ながら実生活に於て生きながらえることが出来るし,生き長

らえさせねばならぬと思う。

 (5) (60〜以下)

 これに属する者,16名彼等を知能テスト各項目の最高点即ちAltitude的に採点したにも拘 わらず浜○(男)の言語性1.Q 71の例外一性格矯正第一で,恐怖感の強い被験者一を除いては 言語性,動作性ともに1.Q68以下の被験者である。彼等はFig Iに於て(イ)は不完全であり,

(ロ)は浜○(男),小○(女),日○(女),釜○(男),岳○(男)被験者が僅かに一・部分,蜂の巣の共 通線,即ち,境界を共有しているだけで他の被験者は殆ど総て部分に分解された描写であっ た。このことはの即ち三角形の描写に於ても同様のことがいえる。然し⇔㈱のの格子について は16門中7名は格子の数が手本と一致していることが指導のよすがとして注目に価するが,(ト)

の円筒,㈲の円錐描写に於てはFig IVで明かなように全1.Q(65〜7】)の被験者と異なって 円筒に於ては上下底とも描き,円錐に於ては唯一一人,小○被験者を除けば知能欠陥の様相を露 呈している。更に体格,性格について医師の診断と対照してみると,Table Vの如くになっ

た。

一58一

(9)

氏 浜 小

釜 瀬 吉 岳 桜 山 松 森 山 森 古 石 黒

○ 性 男 女 女 男 女 男 男 女 女 女 男 男 男 女 女 男

小 小

Table V

頭 頭 小:頭,モンゴリア 小   頭

小頭,

頭部傷痕,大頭

甲状線発育不全

恐怖感強し

麻痺性

頭痛常習,睡眠浅し,情意不安定 特に不器用,落着なし

神経統一・を欠ぐ,精神異常,放心(実験後入院)

小心者

無口,内向性 幼時,虐待,盗癖

浮浪性,性的興味,言語障害,不器用 不器用,性的興味

言語障害,気まぐれ 盗  癖

夜尿,性的興味

協力的

固執性,内向性 夜尿,固執性,盗癖

 以上の16名を概観するに,体質的にも性格的にも,更にTable Iの知能的, Fig Iの描画 的にも何だかの欠陥を見出す。特に本稿の目的である知能的にはWISCの各下位テストの最 高特点(20)の二分の一,叉は三分の一以下の得点である関係上,これら被験者たちが精神薄 弱者として不治のものであるとの疑を濃くするものであるが,更に進んで,これら被験者達の 社会的成熟度,職業興味などを綿密に調査する必要を感ずる。然しながら現在までの所,精神 薄弱者を対照とした厳密な社会的成熟度の研究は不十分であるし,職業適性に於ても例えば Struck, F.T.(9)やStrong, E.K(1。)などは正常者を対象とするもので従って精神薄弱者特 有の職業適性の研究が進むまでは(60以下)に属する被験者たちに対して最終的結論を下すこ

とを差し控えることにしよう。

 (6)最後に言語性1.Q叉は全1.Q算出不可能な被験者についてであるが小○(男),水○

(男)が言語性1.Qを欠いでいることについてFig Iの描写,描画と比較対照して不可解なも のを見出す。そこで両者の身体的,性格的調査を行ってみると,小○(男)は身体的に近視,中 耳炎,性格的に陰気,内向性,劣等感,弧独で,気分が向かない限り発言しないのである。水

○(男)は身体的に眼科異常,失語症であり,性格的に感じ易く疲れ易い,従って興味の持続不

可能であり,知能テストに於て,特に言語性テストにおいて,その成果の出る前に興味を失っ

ている傾向がある。これら2被験者は他日彼等の最大限度の力を発揮する機会をつかみ,AL

titUGeの立場から彼等の潜勢的なものに迫る以外に方法がなさそうである。

(10)

      結       論

 (1)知能テストに於てその下位テストをAltitude的立場から解釈して被験者の潜勢的な知 能に接近しようとする立場をとったことは将来の知能研究に一つの方向を示したことであり,

特に,この:方向を精神薄弱者に適用したことは精神薄弱者を詳細に而も極めて有利に更にそれ によって何等かの指導の僅かながらのよすがを見逃がすまいとする新天地を開拓したことと思

う。

 (2)Volkeltが(3〜7)才児に実験したFig Iの菱形,蜂の巣,三角形,格子,円筒,円錐 などの実験を精神薄弱児に適用して知能テストの不備を補うことが出来たことは収獲の一つで あった。

 (3)本稿は未だ実験の種類が少なく,社会的成熟度の研究不備の関係上,精神薄弱児の一考 察に止まったが,将来更に進んで各方面の研究を統一的にする必要を痛感するものがある。

 (4)本稿を終るにあたり,水田善次郎氏及び教室の各位が心から本研究に協力されたことを 感謝する。

       参  考  文  献

(1)Jastak, J,:ARigorous Criterion of Feeblemindedness. J, ab. soc. psycho1、ユ949,

  44, 367−378,      、

(2) Casse1, R.H.: A Rigorous Criterion of Feblemindedness:ACritigue.

  J,ab. soc. psycho1,1951,46, l16−117,

(3)Wechsler, D,:Measurement ofAdult Intelligence.1954, P.190.

(4)Wechsler, D, et a1,:AStudy of the Subtests of the Bellevue Intelligence Scale   in Bofderline and Mental Defective Cases, Amer, J, Ment. Def.,1941,44,4,555−

  558,

(5)沢 英久:An ApProach to the Development of Inte1】igence in Using of WISC   長崎大学学芸学部教育科学研究報告 第3号 85〜90昭和32年3月

(6)武藤 雪下: 精神薄弱の規準に関する一考察

  長崎大学学芸学部教育科学研究報告 第2号 59〜68昭和31年3月

(7)Corsini, R,T.,&Dassett, K,K,:The Validity of Wechsler s Mental Deterioration   Index.

  J。Consult. Psycho1.,1952,16,462−468。

(8)Beck, H,S,&Lam, R,L,:Use of WISC in Predicting Orgnicity.

  J.Clin. Psycho1,1955,11,154−158,

(9)Struck, F.T.:Vocational Education for A Changing World,

(10)Strong, E.K,:Vocational Interests of Men and Women,

      (昭35, 2. 3受付)

一60一

Fig m 結  果 WISCを用いて2ケ年の間隔を置いて2回に亘って実験した。2ケ年の間隔を置いたとい うことは練習効果を防ぐためであった。その結果はTable I及びFlg IVの如くである。 Table l 級 氏名  池OA  杉○  柴○  金○級  山○  年性 令 男♂,.男14.1女11.5男15.5男ll.1 B 長○ 男13・11  松○ 男14.2 級  酒○ 女10,5  浜○ 男12,7C  小○ 女10.7  日○ 女14ユ0  釜○ 男12.9  瀬○級  吉○ 知理算類単数識

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