1920年代アメリカの金融寡頭制支配
著者 村上 和光, 阿地知 進
雑誌名 金沢大学教育学部紀要 人文科学・社会科学編 =
Bulletin of the Faculty of Education, Kanazawa University. Social science and the Humanities
巻 39
ページ 169‑177
発行年 1990‑02‑20
URL http://hdl.handle.net/2297/20208
169
1920年代アメリカの金融寡頭制支配
村上・和光・阿地知進
SurveyofAmericanFinancialOligarchyControlinthel920,s
KazumitsuMURAKAMI・SusumuAZICHI
向などを確認した。次に,自己金融化の進展に より生じた遊体資本と株式制度及び株式会社制 度の発達が空前の投機ブームをひきおこし,投 資の対象が非生産的株式・非生産的証券へ向か うなかで,数少ない生産的投資の対象で,かつ 自己金融化の傾向もほとんどみられなかった公 益事業について検討した。結局,公益事業にお いては,その事業内容の性格から,自己金融化 の本源となる。多くの内部留保を持つことが法 的に規制されていたため自己金融化の進展が見 られなかったわけて、あった。それどころか,公 益事業における投資は生産的な性格ではあった が,その設備拡大のために発行される証券は,
持株会社が引き受けており,公益事業の生産が 根拠であるにしても,いくつかの持株会社がピ
ラミッド型に連鎖し証券を発行していったため,
ある意味では最も非生産的な証券発行の構造の 中核をなし,株式投機ブームの重要な一翼を 担っていたわけである。同時に,持株会社の資 金は商業銀行,投資銀行,生命保険会社などの 金融機関から投入され弘公益事業は,金融資本 による制度的産業支配の中心的存在であった。
ここに至り,公益事業を巻き込んで多くの金融 機関を傘下におさめた2大利益集団が20年代の 産業を支配していたことが確認される。これは 各産業における独占の確立と銀行の役割の変容 とを伴った金融寡頭制支配の確立を示唆するも のであろう。前稿て.,商業銀行・生命保険会社.
1.はじめに
1929年からの大恐慌を考える時,アメリカと いう国が演じた役割は大変大きく,アメリカの 1929年恐慌を検討することは,世界恐慌を理解 する重要なステップの1つであろう。さて,ア メリカの大恐慌を考察するに際して,その原因 は,発生的な側面と波及的な側面の2つの面が 考えられる。つまり,なぜかような経済的被局 が訪れ,しかもそれが,かくも大きな長いスラ ンプをひきおこしたのかということになるのだ が,いずれも興味深いところてある。たしかに,
発生および波及という両面は,相互に関連し あっているわけだが,それを分析する際には,
各々の側面を区別して理解する必要があろう。
つまり,1920年代に準備されていたそれぞれの 原因が1929年以降結果としてあらわれてくるの である。20年代のアメリカ資本主義の経済的構 造の中に準備されていたものが,景気循環や金 融的諸関係を伴い大恐慌をひきおこしていった とすれば,20年代の把握は重要な課題といわざ るをえない。
前回までに,')20年代の実体面で、の概要の把 握・分析が一応終わっている。つまり,最初に,
当時の耐久消費財ブームの中心的存在で,景気 の循環にも大きな影響力のあった,自動車産業 を中心に,製造業における自己金融化の進展や 資本の集中の進行と多角化・海外進出という傾
平成元年9月16日受理
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務や証券引き受け・保有あるいは,融資や人間 関係5)などを通して深いつながりを持つように なっていた。
以下,チェース集団,モルガン集団の順にそ の傘下の企業及び規模を検討してみることにす る。利用する表中には固定資本の当該部門にお けるシェアを各企業ごとに示してある。6)傘下 企業の固定資本のシェアが所属利益集団の大き さをそのままあらわすものではないことは事実 である。各企業のつながりの深さもケースバイ ケースである。しかし,ほぼどれくらいの資本 が各利益集団に集中していたのかということを 理解する尺度にはなるであろう。
投資銀行・投資会社などの金融機関の業務内容 の変化と,連邦準備局の政策などを確認した。
本稿では,チェース集団とモルガン集団とでも 呼ぶべき,2大利益集団の構成や支配力の大き さなどを検証し,金融寡頭制支配の実体を確認
してみたい。
2.金融寡頭制支配
アメリカにおける20年代の各製造業の金融面 での傾向は,いわゆる自己金融化の方向を示し ていた。2)また,消費の傾向は耐久消費財支出が 増加するようになり,耐久消費財を生産する産 業が主要産業となってきた。しかし,耐久消費 財においては,消費が一巡すると次の購入まで には期間が必要となり,耐久消費財関連の産業 においては,遊休資本が多角化・海外進出・そ の他の目的3)で証券投資に向かうようになって いた。こうした自己金融化の進展と証券金融の 隆盛という相反する2つの事実が混在していた のが20年代の特色であり,金融寡頭制支配の確 立がその事実を納得させてくれるであろう。つま り,自己金融化の進展で,多くの企業において固 定資本の拡大や生産設備拡充のための生産的証 券発行は行なわれていなかったが,公益事業の 生産的証券を根拠に,その数倍にのぼる二次証 券,三次証券が証券市場にあふれ,投機ブーム に乗って,他社買収用の証券も発行され,ブー ムの恩恵により,容易に企業の集中が可能と なっていた。。こうして,1927年から29年までに アメリカ産業は,約200億ドルの新たな資本を証 券市場より調達しているが,このうち,実に41%
が非生産的な産業によるもので、あった。この非 生産的証券発行のかなりの部分を,チェース集 団,モルガン集団という2大利益集団が担って いたことは以下明らかとなるであろう。これら の利益集団はいずれもいくつかの金融機関を傘 下に持ち,これらの資金を背景に投資会社,証 券小会社等を設立し,持株会社により,公益事 業を支配し,多層的な証券発行によって多くの 資金を集め,その他の産業に対しても,証券業
3.チェース集団
ChaseSecuritiesCorpを中心に,図lのよう に11の投資銀行が証券の引受け業務を通して連 関をもっていた。そして,その証券発行の資金 提供者,あるいは,引き受け証券の保有機関と して商業銀行,生命保険会社,投資会社が投資 銀行とつながりを持つようになり,図2にみら れるような金融機関の相関関係がみられること になる。図2においては,図lの11行に加えて,
BrownBrothers&CO.,Seligman&CO.,
Hayden,Stone&CO,Harris,Forbes&CO.,
Dillon,Read&CO・の5つの投資銀行が新たに 参加している。これは,共同での投資会社設立 や合同引受けによる新たなつながりとしてあら われたものである。図2のような金融機関を中 心につながっている利益集団をチェース集団と 呼ぶことにする。7)
では,公益事業より||頂を追って集団内の企業 名及び固定資本の同部門内での割合を検討して みることにする。
①公益事業
表lのように,最大非金融200社に含まれる,
公益事業部門の企業は42社あるが,そのうちの 15社がチェース集団に含まれており,固定資本 の合計額では,同部門の固定資本全体の約 43.2%がチェース集団の勢力下にあったことが
村上・阿地知:1920年代アメリカの金融寡頭制支配 171
証券業務による金融機関 図1証券業務によ‘
分る。
各企業のチェース集団との関係は,単なる証 券金融を通したものばかりではなく,株式所有 や重役の派遣という人的つながりまて。,様々で あった。図3で分るように,公益事業は全部門 の固定資産の23.6%を占めており,電力はその 約半分を占めているわけだが,チェース集団は その電力部門のほぼ半分を傘下におさめてい た。電信・電話部門で・は,AssociatedTeL Vtilitiesと人的つながりをもっていたのみて、
あった。
②鉱工業
石油部門では,上位19社中5社が傘下に入っ ており,部門内での固定資本の割合は,約318%
を占めていた。(表2参照)
i関(チエース集団)(出典;前掲西川書)
Central Public
ServiceCo, 156,520L1
UtilitiesPr.&Lt、
Corp、 283,436L9
PacificLightingCorp、 175,6881.2 EdisonEIIluminating
CoofBosten l30,063O9
NorchAmericanLt.&Pr.CQ 260,7771.8
(以上,電力・ガス)計[38社中]42.2 AssociatedTeLUtilitiesCo、 25,2090.6
(以上,電信・電話)計[4社中]0.6 西Ⅱ|純子rアメリカ企業金融の研究』東京大学出版会,
1980年より作成
表2チエース集団の鉱工業(1929年)
△し 部門内
社固定資本での瞥''1合
=
(千ドノレ)(%)
StanclardoilcoofN.Y、468,82611.5 TideWaterAssociated
OilCorp、 151,9933.7
SinclairConsoliclated
OilCorp 252,9496.2
PhilipsPetroleumCo ll4,1462.8 TexasCorp、 311,8207.6
(以上,石油)計〔19社中〕31.8 AmericanRolling
MillCo、 64,6672.4
(以上,鉄鋼)計〔11社中〕2.4 WestinghouseEIec.&Mf9. 71,34459.2
CO.
(以上,電機)計〔2社中〕59.2 1nterrationalPaper
Co、189,60461.5
(以上,紙パルプ)計〔3社中〕61.5
(西111前掲書より作成)
表1チエース集団の公益事業(1929年)
社固定資本鵡客で
△■=
(千ドノレ)(%)
Insull系1,574,23810.6 StandardGas&EIecCo、 978,1966.6 AssociatedGas&Elec、
CO、 606,7404.l
SouthernCarifomia
EdisonCo、 296,2172.0
NorthAmericanCo、 678,06646
DetroitoEdisonCQ 32,27202
Stone&Webster,Inc 307,56121 CitiesServiceCo、 736,7005.0
DukePowerCo、 158,2631.1
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172
-----
仁---- ̄~ ̄ ̄~ ̄~ ̄~ ̄
〃 ChaseSecuritiesCorp. ChaseNationaIBank
UtiIitiesEquityCorp.
Cenel・all〕ubIicServiceC()rp.
S【(Dne&Webster、Inc.Webster、Inc. )「p、
、ミ
、、ミミ 、 Railway&LLSecuritiesCo.CO.CO.CO.CO.
、
StandardlnvestingCorp.
=====---
BrownBrothe「s&CO.
BankofAmericaNaL Asfin.
InterstateE(IuitiesC(》rI).
IlanCameriでaBIdhirCol・ID. .⑪TI).
AmWi(、。'、」11.itisl1&C(DIlIint、nlilIC(、1.1).ilIqDl・I).
IlIvII1、WiMw&C(》.
12《IuimlDIeTru島tC⑥.
SQPlecte(11,(lustri⑪s、IncC、
二二二二二二 TriCon(inen(alCorp.
[面1577百FT5TT7E1
SeliRman&CO. 、
MamsExp「essC().
MamsExp「essC().
MetropolitanLife MetropolitanLife Ilayden・StI)、e&CO. AmericanlntlCorI).
HaygartCorp.  ̄ フ
--
 ̄1■E ̄■--
二三二二天
Dillon、Read&CO.  ̄
US.&IntlSecuritiesCorp.
ン】『 HamsTlPust&Savings Banks
[.S・dFo「eignSeCuriIiesCor
意ミーミーニL二二二二二二二二二二二二二コ
Harris,Forbes&CO.
恥いく、、、
B、ⅡesbV&.CO. AmericanFoundersCorp.
R【DllinsA
、、
American&ConIinentalCorp.
1N、(<、、l、 、、
、
、
IjMernlSecuritiesC()rp. 1,t'ISecuritiesCorpofAmerica M(IG、nIDurK・TIMIImiHn&CO). sec《)ndlnt,lSecuritiesCoTp.
ⅥID、ISL(、《、
/
.lllUn&〔(, ヨ Corp、SecuritiesCoofChicago
1M$(.Stuart&CO.
lnsuIIUtiIityInvestments 有関係関係
関係 図2
保資的券
証融人一一一一
(出典;前掲西川書)
チェース集団の金融機関
l社のみであったが同部門て、の固定資産の割合 は615%を占めていた。
結局,鉱工業部門全体では,約13.9%がチェー ス集団に含まれていた。
③鉄道業
表3のように4社がチェース集団に含まれて いた。部門内での割合は約94%であった。モル ガン集団にくらべて,きわめて少ないことがわ かる。
鉄網部門ではAmericanRollingMillCo・の 1社だけであった斌この会社は電機部門のW
esting-houseElec&MfgCo・に重役を派遣
していた。
電機部門,)では,既出のWestinghoseのみで あったが,固定資産の割合は59.2%とかなり大 きかった。又,Westinghouseが傘下にあること は,電力関係の企業との関係で大変重要なこと
て、あった。
紙・パルプ部門ではInternationalPaperCo.
③
村上・阿地知:1920年代アメリカの金融寡頭制支配 173
句 挙
鐇
倉 露 倉
業j餅
●ノ7羽
堀 9.5 堀
9.5
IWiL
幻
鯵鯵鯵 琴琴煙炭0.3-電壽
ず゛夕 ず゛夕 ず゛夕
無 石油籟製8.4石油籟製8.4石
炭一属鉱儂 3菫一覺士ii 造鰯繊維7.0
承乏外
お
iiA&
皮革,Iliill1inJJIjn7IL
-Z石・粘11.8
凝
化 化 化
3土・ガラス6粘 学 3.6学N
3.6
/
汽車 0.9 学 3.6
齢6
i雪iii詮lliK
三籔/as
/64.6
757F墨
典;前掲西川書) 図3鉱工業と公益事業各部門の固定資本(1929)
Speyer&CO.
(出典;前掲西川書)
図4証券業務による金融機関(モルガン集団)
第39号平成2年 金沢大学教育学部紀要(人文科学・社会科学編)
174
表3チェース集団の鉄道業(1929年)
社固定資本蟄罰署で
△~ヱミ
(千ドノレ)(%)
NewYork,NewHaven&312,0412.2 HartfordRRCo・
Chicago,Milwaukee,St・Paul689,3544.8
&PacificRRCo・
WesternPacificRRCo、 0.8 119,382
SeaboardAirLineRy、CO、 227,8321.6
4.モルガン集団
1860年代,ロンドンの有力な個人金融業者の JSモルガン商会のアメリカ代理店としてJ P・モルガン,Aドレクセンの両者の共同出資で 設立され,'0)証券の引受.発行の分野で強固な地 位をきずき上げてきたモルガン商会を中心にし て,モルガン=ファーストナショナル集団と呼 ばれるべき時代を経て,1920年代において,モ ルガン集団と呼ぶべき利益集団ができ上がって
計〔42社中〕9.4 西Ⅱ|前掲書より作成
いた。
i、
J、P・Morgan&CO. BankersTrustCo.
' ク
GuarantyCo. GuarantyTrustCo.
NationaICityCo. NationalCityBank
I
EIectriclnvestors,Inc SecuritiesCorpCeneraI
Bonbright&CO. NewYorkTrustCo.TrustCo.
JIIIIIIII-lIII
FirsINat・Banl(ol1IiY.
、H百~〒雨~て壷)
、三ET75FK~て7,
フ
CommonwealthSecuritiesJnc.
1
- } rKi両n-Ei7;-1
1,rudentiaIInvestors,Inc UnionTrustCo、0fPitts.
Americanlnvestors,Inc.
Americanlnvestors,Inc.
II1II
GeneraICapitaICorp.
Tucker,Anthony&CO. MellonNationalBank
IntSecuritiesCo,ofAmer.
Langley&CO. UnionTrustCoofC1ev.
CIevelandTrustCo.
証券業務関係
---証券保有関係
一人的関係 (出典;前掲西川書)
Z]5モルガン集団の金融機関
12の投資会社,3つの生命保険会社,9つの商 業銀行を含む-大金融集を形成していた。
①公益事業
電力・ガス部門においては,表4のように,
6社がモルガン集団に属し,固定資産の割合は 図4には,モルガン商会を中心とした,金融
機関の連関が示されている。図5には,さらに それぞれの金融機関が,証券保有や人的関係に より拡大した連関が示されている。これらの図 で分るように,モルガン集団は10の投資銀行,
①
I〕rudentiallns.
村上・阿地知:1920年代アメリカの金融寡頭制支配 175
約34%を占めていた。上位200社の中で電力・ガ ス部門に含まれる37社中,モルガン,チェース のどちらの集団にも属していなかったのは,2 社だけてあったことが分る。'1)かくして,モルガ ン・チェースの両集団の傘下の企業が,電力・
ガス部門の約77.2%の固定資本を掌握していた ことになるのである。
電信・電話部門では,大手2社がモルガン集 団に属しており,固定資本の割合は,93%にも のぼっていた。
②鉱工業
チエース集団の中心が公益事業におかれてい たのに対し,モルガン集団の中心は,鉱工業で あった。上位200社中,鉱工業部門に含まれる74 社のうち21社がモルガン集団に属し,鉱工業部 門74社の固定資産全体の26.9%がモルガン集団 の傘下にあった。
石油部門では,3社がモルガン集団に属して
表4モルガン集団の公益事業(1929年)
社固定資本蟄團客で
△、エニ
(千ドノレ)(%)
UnitedCorporation系2,653,17417.9 EIectricBond&shareCo、 509,8753.4 ConsolidatedGosCoofN.Y、1,041,71770 AmericanWaterWorks&348,9232.4
ElecCo
UnitedLt.&Pr.CQ 379,8802.6 LoneStarGasCorp、 99,4580.7
(以上,電力・ガス)計〔38社中〕34.0 AmericanTeL&TeLCo、 3,506,72286.0 1,t,lTel.&TeLCo、 283,6367.0
(以上,電信・電話)計〔4社中〕93.0 西111前掲書より作成 表5モルガン集団の鉱工業(1929年)
社固定資本雲罰客で
ムーー
(千ドノレ)(%)
GulfOilCorp、 270,5196.6 ShellUnionOilCo、 332,1788.l ContinualOilCo・ ’09,2182.7
(以上,石油)計〔19社中〕17.4 GeneralMotorsCorp、 415,78648.8
(以上,自動車)計〔4社中〕48.8 EIDuPontdeNemours&148,04228.6
CO、
InternationalMatchCorp、 39,0657.6 Procter&GambleCo、 33,9426.6
(以上,化学)計〔6社中〕42.8
AluminumCoofAmerica ll2,97411.0
AmericanSmelting&Refin‐ 122,432120 ingCo.
(以上,非鉄金属)計〔6社中〕23.0 YoungstownSheet&Tube l33,7304.9 Co
Republiclron&SteelCo.114,3824.2 BethlehemSteelCorp 455,28516.6 U・SSteelCorp、 1,541,49356.1
(以上,鉄綱)計〔11社中〕76.9 FirestoneTire&RubberCo 51,08415.5 BRGoodrich&CO、 74,92222.8 GoodyearTire&RubberCo、 101,93431.0
U、SRubberCo、 101,38430.8
(以上,ゴム)計〔4社中〕lOOO GeneralElectricCo、 49,23640.8
(以上,電機)計〔2社中〕408 Philadelphia&ReadingCoal81,375286
&IronCO
PittsburghCoalCo、 137,09748.2
(以上,石炭)計〔3社中〕76.8 NationalDairyProductsCo・ ’06,13311.0
(以上,食品)計〔9社中〕11.0
億ドル 5
鱸:皿□電機・機械学雷鳥戯事.穂
fi圏騨パル爵
石非化食ゴ局四囲
4
3
'
2
(1929)、 (1928)Ⅱ
恥
1
0
(
-1
(出典;前掲西川書)
鉱工業10部門74社にみる固定資本め増額 (1927-1929)
図6
金沢大学教育学部紀要(人文科学・社会科学編) 第39号平成2年 176
造から,自動車のような,耐久消費財生産を中 心とする構造に変わっていった。
電機部門ではGEがモルガン集団に属してお り,同部門内での固定資本の割合は408%にも およんでいた。電機部門は,当時の電力業の急 速な伸びと深くかかわっており,モルガン集団 の電力会社が必要とする電力機械は,ほとんど 独占的にGEにより給供されていた。
③鉄道業
上位200社に含まれる鉄道業企業の中の11社 がモルガン集団に属していた。固定資産の割合 は36.7%にのぼり,伝統的に鉄道業との深い関 係をもっていた様子がしのばれる。しかし,鉄 道業はもはや産業構造の中で中心的な役割を含 めるような時代は終わっており,モルガン集団 の中でも中心的な役割は演じておらず,それと 同様に,モルガン集団とFirstNationalBank との共同関係も鉄道業のみにしぼられていって いた。
おり,部門内の固定資本の17.4%を占めていた。
石油は,自動車の普及に伴い消費も増大し,29 年においては,固定資本の増加額トップを占め ていた。12)
自動車部門においては,GMが証券取引を通 じて'3)モルガン集団と関係していた。GMは,自 動車部門の上位4社の固定資産額の48.4%にの ぼる固定資本を有していた。
化学部門ではGMと関係の深いDuPontを はじめといて3社がモルガン集団に属し,固定 資本の同部門内の割合は42.8%となっていた。
化学部門は後述するゴムや既述の石油などとと もに自動車関連の産業として,当時の有力な新 興勢力を形成していた。'4)
非鉄金属部門には2社がモルガン集団に属 し,固定資本の同部門内の割合は23%を占めて いた。これらの産業の生産物は,自動車のボディ の部品の原料として,重要になりつつあった。
鉄鋼部門は,石炭の消費と深いかかわりを持ち つつ存在した。鉄鋼関係には,3社がモルガン 集団に属し,固定資本の割合は76.9%で,石炭 部門には,2社が属し,固定資本の割合は,
76.8%と,いずれもかなりの大勢力であったが 時代の流れは,鉄鋼・石炭を中心とする産業構
5.むすび
1929年において,非金融最大200社の固定資本 合計の約55.4%をチェース集団,モルガン集団 が占めていた。内分けは,チェース集団が,
19.4%でモルガン集団が37%である。また,金 融機関においても大きな勢力を2大集団はもっ ていた。つまり,預金高2億ドル以上の銀行の 預金残高の約15.5%がチェース集団の商業銀行 にあり,約37.5%がモルガン集団の中にあった。
すなわち,2大集団がその約53%を把握してい たわけである.さらに,生命保険会社の資産に おいても,チェース集団に26.9%,モルガン集 団に32.5%と,2大集団をあわせると,全生命 保険会社の資産合計の約59.4%を占めていたこ
とになる。
以上のように大きな勢力を持った2大集団が 実体面から遊離しつつあった証券取引を中心と
して持株会社という機構を通して証券市場に君 臨していたのて、ある。前述のような数値を見る までもなく,2大利益集団の存在の大きさは看 表6モルガン集団の鉄道業(1929年)
社固定資本蟄襲で
△、ユミ
(千ドノレ)(%)
AlleghanyCorpErieRR.337,0662.3
CC
N.Y、Chicago&St・LouisR.214,3741.5
R、
AtchisonTopeka&SantaFe 935,2696.5 Ry・CO・
Baltimore&OhioRRCo、 474,8293.3
ReadingCo、 237,044L6
WestemMarylandRy.CQ ’45,0621.0 GreatNothernRy・CO、 480,0703.3 NewYorkCentralRR900,9886.3 NorthernPacificRy、CO、 551,4913.8 Chicago,Burlington&Quincy 538,9893.7
RRCo、
SouthernRailwayCo、 483,9893.4 計〔42社中〕367 西111前掲書より作成
村上・阿地知:1920年代アメリカの金融寡頭制支配 177
取し得るが,かの数値を確認するに至り,自己 金融化の進展と証券金融の隆盛という相反する 社会現象を整合させる金融寡頭制支配の確立を 確認する-つの視角が得られるといえよう。30 年代に進む時,これらの利益集団は,持株会社 という機構を奪われ,'5)証券市場の崩壊という 重要な変化に遭遇し,大きく変容してゆく。こ の過程の検討は,別の機会にゆずることとする。
4)西Ⅱ|純子『アメリカ企業金融の研究』東京大学出版 会,1980年,p、86~143参照
5)重役の派遣などによる。
6)以下数値は,西川前掲書より引用,作成した。
7)前掲西川書の流れに添って論を進めることにする。
8)JK・ガルブレイス『大恐'慌」徳間書店,(小原敬士 訳)1969年,p,78~参照
9)電機部門においては,新技術の開発がざかんであっ たが,ウェステイングハウスやGEといった企業で 開発された技術は,それぞれ互換性がなく,-担設 備を設置すると,配線や発電機その他まで、,同社の 製品を使用せざるをえなかった。
10)呉天降『アメリカ金融資本成立史』有斐閣.1971年 p、65参照
11)Copper持株集団は除く。
12)図6参照
13)フォードが証券発行をほとんど行なわなかったのに 対し,GEは,多くの企業を証券取引により吸収し,
多角化していた。
前掲拙稿第35号所収を参照されたい。
14)林敏彦『大恐慌のアメリカ』岩波新書,1988年,p,
77~参照
15)ニューデイール立法による。
アメリカの大恐慌を理解する作業の中での20 年代研究は産業面,金融面と見てきたわけだが,
政府の政策及び国際的側面の検討が今後の課題 となろう。
1)『金沢大学教育学部紀要』35号1986年~同38号までに 所収の拙稿を参照されたい。
2)吉富勝『アメリカの大恐慌』日本評論社,1965年,
pll6~148を参照
3)他社買収用証券発行や株式の交換による支配のため などがある。
西川純子・松井和夫『アメリカ金融史』有斐閣,
1989年p158~161など参照